(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結体が、前記被加振体に接続される前記第二突出部の先端に設けられ、前記連結体の軸線が前記所定方向に対して傾斜することを許容する先端関節部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加振器の取付構造。
前記連結体が、前記磁路形成部の挿通孔に挿通され、前記第一突出部及び前記第二突出部の突出方向の基端部を含む振動体側軸部と、前記被加振体側から前記磁路形成部に向けて突出し、前記第二突出部の突出方向の先端部をなす被加振体側軸部と、前記振動体側軸部及び前記被加振体側軸部を相互に接続すると共に、前記振動体側軸部及び前記被加振体側軸部の軸線が相互に傾斜することを許容する中途関節部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の加振器の取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1〜8を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明の加振器の取付構造が適用される楽器として、鍵盤楽器の一つであるピアノ1を例示する。なお、
図1〜8においては、ピアノ1の演奏者から見て左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向としている。
図1に示すように、この実施形態に係るピアノ1は、アコースティックピアノの一種であるアップライトピアノである。ピアノ1は、筐体11、鍵盤部12、ペダル13、アクション機構14、ダンパー機構15、響板(被加振体)16、弦17等を備える。
【0021】
筐体11は、上前板18、下前板19、背面上桁20、背面下桁21、支柱22、一対の親板23、屋根後24、屋根前25、底板26、棚板27、前框28、一対の妻土台29及び一対の脚柱30を備える。
上前板18及び下前板19は、筐体11の前面をなし、互いに上下方向(Z軸方向)に間隔をあけて配されている。
背面上桁20は、上前板18の上端部分に対向するように筐体11の背面側に配され、左右方向(X軸方向)に延びている。背面下桁21は、下前板19の下端部分に対向するように筐体11の背面側に配され、左右方向に延びている。
【0022】
支柱22は、背面上桁20と背面下桁21との間において上下方向に架け渡される。なお、
図1はピアノ1の側断面図であるため、支柱22は一つのみが記載されているが、支柱22は左右方向に間隔をあけて複数配列されている。
一対の親板23は、上前板18、下前板19、背面上桁20及び背面下桁21を左右方向から挟んでいる。一対の親板23は、ピアノ1の左右方向の両端に配される。
図1はピアノ1の側断面図であるため、一方の親板23のみが記載されている。
【0023】
屋根後24及び屋根前25は、上前板18、背面上桁20及び一対の親板23の上端に当接するように配される。
底板26は、下前板19、背面下桁21及び一対の親板23の下端に当接するように配される。
棚板27及び前框28は、上前板18の下端、下前板19の上端及び一対の親板23の内壁面に囲まれた開口から前方(Y軸正方向)に向けて突出している。
【0024】
一対の妻土台29は、それぞれ下前板19の下側の部分における左右の端部から前方に向かって突出している。一対の脚柱30は、それぞれ棚板27の下面と各妻土台29との間に架け渡されている。
【0025】
鍵盤部12は、演奏者の手指によって演奏操作がなされる複数の鍵31を左右方向に配列したものである。各鍵31は棚板27上に筬32を介して揺動自在に設けられている。また、各鍵31の前端部は、筐体11の前面側(
図1において右側)において外部に露出している。
ペダル13は、筐体11における下前板19の下端に設けられ、演奏者の足により操作されるものである。
【0026】
アクション機構14及びダンパー機構15は、各鍵31に対応付けて設けられ、鍵31の後端部の上方に配される。
アクション機構14は、演奏者の手指による鍵31の押鍵力を、ハンマー33により弦17を打撃する打弦力(打撃力)に変換する機構である。
ダンパー機構15は、鍵31の押鍵力や、ペダル13の一つであるダンパーペダルが演奏者の足によって踏み込まれる踏込力を、弦17上のダンパー34を弦17から離す離弦力に変換する機構である。ダンパー機構15は、アクション機構14と共に、筐体11内部のうち上前板18や前框28と後述する響板16との間の領域に配される。
【0027】
響板16は、上前板18、下前板19、一対の親板23、屋根後24、屋根前25及び底板26によって囲まれた筐体11の内部において、上前板18及び下前板19と前後方向(Y軸方向)に対向するように、筐体11の支柱22側に寄せて配されている。
弦17は、各鍵31に対応付けて設けられ、上前板18や下前板19に対向する響板16の内面16a上に張設されている。
また、響板16の内面16aには、張設された弦17の一部を係止する駒35が設けられている。一方、支柱22に対向する響板16の外面には、響棒36が設けられている。
【0028】
以上のように構成されるピアノ1では、例えば、一の弦17がハンマー33によって打撃されて振動すると、一の弦17の振動が駒35を介して響板16に伝達され、響板16が振動する。響板16の振動は空気中に伝播し、音響となる。すなわち、響板16は加振されることで発音する。また、響板16の振動は駒35を介して他の弦17に伝達され、他の弦17も振動する。
なお、響板16は、その厚さ方向(Y軸方向)に振動する。以下の説明では、響板16の振動方向を所定方向と呼ぶ。
【0029】
本実施形態のピアノ1には、響板16を所定方向(Y軸方向)に加振することで発音させる加振器40が設けられている。以下、加振器40について
図3,4を参照して説明する。
図3,4に示すように、加振器40は、ボイスコイル型のアクチュエータであり、磁路形成部41と、振動体42と、連結体44と、を備える。
【0030】
磁路形成部41は、磁路を形成するものである。磁路形成部41には、所定方向(Y軸方向)に貫通して、後述する連結体44を挿通させるための挿通孔410が形成されている。
本実施形態の磁路形成部41は、
図4に示すように、トッププレート411、磁石412及びヨーク413を備える。
トッププレート411は、例えば、軟鉄等の軟磁性材料からなり、中心に貫通孔414を有する円盤状に形成されている。
【0031】
ヨーク413は、例えば、軟鉄等の軟磁性材料からなり、円板状の円板部415と、円板部415の中心から突出する円柱状の円柱部416とを一体に形成して構成されている。これら円板部415及び円柱部416の軸線は互いに一致している。円柱部416の外径寸法は、トッププレート411の貫通孔414の内径寸法よりも小さく設定されている。前述した磁路形成部41の挿通孔410は、ヨーク413の円板部415及び円柱部416をその軸線方向に貫通して形成されている。
磁石412は、円環状に形成された永久磁石である。磁石412の内径寸法は、トッププレート411の貫通孔414の内径寸法よりも大きく設定されている。
【0032】
磁石412は、ヨーク413の円柱部416を挿通させた上で、ヨーク413の円板部415に固定される。さらに、トッププレート411は、ヨーク413の円板部415との間に磁石412を挟み込むように、かつ、円柱部416の先端部がトッププレート411の貫通孔414に挿入されるように、磁石412に固定される。
上記のようにトッププレート411、磁石412及びヨーク413を相互に固定した状態では、これらの軸線が相互に一致し、磁路形成部41の軸線C1をなす。
【0033】
以上のように構成される本実施形態の磁路形成部41では、磁石412からトッププレート411、円柱部416、円板部415を順番に通って磁石412に戻る磁路MPが形成される。これにより、トッププレート411の貫通孔414の内周面とヨーク413の円柱部416の外周面との間には、円柱部416の径方向成分を含む磁場が発生する。すなわち、トッププレート411の貫通孔414の内周面とヨーク413の円柱部416の外周面との間の空間は、上記した磁場が発生する磁場空間417となっている。
【0034】
振動体42は、上記した磁路形成部41に対して所定方向(Y軸方向)に振動するように設けられる。また、振動体42は、磁路形成部41の挿通孔410の一方の開口410A側に配される。この振動体42は、ダンパー部45によって磁路形成部41に支持される。また、振動体42は、固定手段420によって後述する連結体44に対して着脱自在に固定される。以下、本実施形態の振動体42について詳細に説明する。
【0035】
本実施形態の振動体42は、ボビン421と、ボイスコイル422と、キャップ423と、を備える。
ボビン421は、筒状に形成されている。ボビン421は、磁路形成部41の円柱部416を挿入し、かつ、トッププレート411の貫通孔414に挿入されるものである。このボビン421の軸線は振動体42の軸線C2をなす。
ボイスコイル422は、ボビン421の外周面のうち軸線方向の一端部に巻き付けられる導線である。
【0036】
キャップ423は、ボビン421の軸線方向の他端部側の開口を塞ぐようにボビン421に固定される。また、キャップ423には、ボビン421の軸線方向に貫通して後述する連結体44を挿通可能な孔が形成されている。さらに、キャップ423には、前述した振動体42の固定手段420が設けられている。固定手段420は、キャップ423の孔に挿通された連結体44をキャップ423に固定するものであり、例えばチャック装置である。
【0037】
上記振動体42は、ボイスコイル422を巻いたボビン421の一端部が挿通孔410の一方の開口410A側に配された磁路形成部41の磁場空間417に位置するように、かつ、ボビン421の他端部が磁路形成部41から突出するように、ダンパー部45によって磁路形成部41に取り付けられる。
【0038】
ダンパー部45は、振動体42が磁路形成部41に接触しないように振動体42を支持する役割、また、振動体42の軸線C2を磁路形成部41の軸線C1に一致させると共に、振動体42を磁路形成部41に対して磁路形成部41の軸線C1方向に変位可能に支持する役割を果たす。
本実施形態のダンパー部45は、環状に形成されている。また、ダンパー部45は、その径方向に波打つ蛇腹状に形成されている。ダンパー部45の内縁はボビン421の他端部に固定され、ダンパー部45の外縁はトッププレート411に固定されている。このようなダンパー部45は、例えば繊維や樹脂材料等によって弾性変形可能に形成される。
【0039】
上記した磁路形成部41及び振動体42を備える加振器40では、例えばオーディオ信号に応じた電流が、磁場空間417に配されたボイスコイル422に流れることで、振動体42が磁路形成部41の軸線C1方向に振動する。なお、オーディオ信号は、例えば不図示の記憶部に記憶されたオーディオデータに基づいて不図示の制御装置において振動体42を駆動するための駆動信号として生成されるものである。
【0040】
図3,4に示すように、連結体44は、振動体42及び響板16を相互に連結し、振動体42の振動を響板16に伝達するものである。連結体44は、前述した磁路形成部41の挿通孔410に挿通される。連結体44のうち挿通孔410の一方の開口410Aから突出する第一突出部441は、挿通孔410の一方の開口410A側に位置する連結体44の一端側であり、固定手段420によって振動体42に対して着脱自在に固定される。また、挿通孔410の他方の開口410Bから突出する第二突出部442は、挿通孔410の他方の開口410B側に位置する連結体44の他端側である。そして、連結体44の他端である第二突出部442の突出方向の先端は、響板16に接続される。
【0041】
本実施形態の連結体44は、磁路形成部41の挿通孔410に挿通される棒状の振動体側軸部443と、響板16側から磁路形成部41に向けて突出する棒状の被加振体側軸部444と、これら振動体側軸部443及び被加振体側軸部444を相互に接続する中途関節部445と、を備える。
振動体側軸部443には、前述した第一突出部441、及び、第二突出部442のうちその突出方向の基端部が含まれる。第一突出部441をなす振動体側軸部443の端部は、振動体42のキャップ423に挿通された上で、固定手段420によって振動体42のキャップ423に固定される。これにより、振動体側軸部443の軸線が振動体42の軸線C2に一致する。
被加振体側軸部444は、響板16側に位置する第二突出部442の突出方向の先端部をなす。
【0042】
中途関節部445は、振動体側軸部443の軸線C2及び被加振体側軸部444の軸線C3が相互に傾斜することを許容するものである。本実施形態の中途関節部445は、所謂ボールジョイント構造である。中途関節部445は、振動体側軸部443及び被加振体側軸部444の一方の端部に形成された球状部447と、振動体側軸部443及び被加振体側軸部444の他方の端部に設けられて、球状部447を内部において回転自在に保持するリテーナ部448と、を備える。図示例では、球状部447が振動体側軸部443の端部に形成され、リテーナ部448が被加振体側軸部444の端部に設けられている。
中途関節部445(球状部447)の中心P1は、振動体側軸部443及び被加振体側軸部444の両方の軸線C2,C3上に位置する。これにより、振動体側軸部443及び被加振体側軸部444の軸線C2,C3は、中途関節部445の中心P1を支点として、相互に傾斜することが可能となる。すなわち、本実施形態の連結体44は、中途関節部445において屈曲可能となっている。
【0043】
また、連結体44は、響板16に接続される第二突出部442の先端をなす被加振体側軸部444の端部に設けられ、被加振体側軸部444の軸線C3が所定方向(Y軸方向)に対して傾斜することを許容する先端関節部446を備える。
本実施形態の先端関節部446は、前述した中途関節部445と同様のボールジョイント構造であり、被加振体側軸部444の端部に形成された球状部449と、響板16に固定されて、球状部449を内部において回転自在に保持するリテーナ部450と、を備える。
先端関節部446(球状部449)の中心P2は、被加振体側軸部444の軸線C3上に位置する。これにより、被加振体側軸部444の軸線C3は、先端関節部446の中心P2を支点として、所定方向(Y軸方向)に対して傾斜することが可能となる。
【0044】
また、
図4に示すように、本実施形態の加振器40は、第二突出部442の基端部をなす振動体側軸部443の端部に係合することで、振動体側軸部443が係合する位置において振動体側軸部443の軸線C2方向への移動を許容しつつ、軸線C2方向と交わる方向への移動を規制する規制部46を備える。
本実施形態の規制部46は、フレーム部461と、接触部材462とを備える。
【0045】
フレーム部461は、例えば金属等からなる板状部材に折り曲げ加工を施して形成されている。フレーム部461は、磁路形成部41のうち挿通孔410の一方の開口410A側の端面に重ねて固定される固定板部463と、磁路形成部41のうち挿通孔410の他方の開口410B側の端面に対向配置される係合板部464と、磁路形成部41の側部において磁路形成部41の軸線C1方向に延びて形成され、固定板部463及び係合板部464を相互に接続する接続板部465と、を備える。
【0046】
固定板部463は、トッププレート411に固定されている。固定板部463には、その厚さ方向に貫通する開口孔466が形成され、固定板部463がトッププレート411から突出する振動体42、連結体44の第一突出部441、ダンパー部45等と干渉することを防いでいる。係合板部464は、ヨーク413の円板部415に対向するように配される。係合板部464には、その厚さ方向に貫通して振動体側軸部443を挿通させる孔が形成されている。
【0047】
接触部材462は、環状に形成され、例えばフェルト、クロス等の柔らかい繊維部材によって構成される。接触部材462は、係合板部464の孔の内周面に接着等により固定されている。接触部材462は、係合板部464の孔とこれに挿通された振動体側軸部443との隙間を埋めるブッシュとして機能する。すなわち、接触部材462は、係合板部464の孔内に位置する振動体側軸部443の部分に接触し、振動体側軸部443に係合する。
これにより、規制部46は、振動体側軸部443が係合した位置において振動体側軸部443の軸線C2方向への移動を許容しつつ、軸線C2方向に直交する方向への移動を規制する。
【0048】
次に、上記構成の加振器40を前述したピアノ1に取り付ける取付構造について、
図1〜8を参照して説明する。
【0049】
図1〜3に示すように、加振器40の磁路形成部41は、固定支持部としての筐体11に固定される。磁路形成部41を筐体11に固定する際には、その挿通孔410の他方の開口410B(
図4参照)が響板16の主面である内面16aあるいは外面16bに対向するように、また、磁路形成部41の軸線C2が響板16の主面に直交する所定方向(Y軸方向)に平行するようにする。また、磁路形成部41を筐体11に固定する際には、振動体42が磁路形成部41に対して響板16の主面から離れる方向に突出するようにする。
本実施形態では、磁路形成部41が響板16の内面16aに対向するように筐体11内部に配される。本実施形態では、磁路形成部41が筐体11内部のうち下前板19と響板16の間の領域に配される。また、本実施形態では、磁路形成部41が支持部50を介して筐体11に固定されている。支持部50は、筐体11の親板23に固定され、親板23の内面23aからX軸方向に延びている。
【0050】
本実施形態の支持部50は、例えば金属等からなる板状部材に折り曲げ加工を施して形成されている。支持部50は、響板16と磁路形成部41との間に配される位置決め板部51と、磁路形成部41を鉛直方向下側から支持する支持板部52と、を備える。位置決め板部51には、その厚さ方向に貫通し、加振器40の連結体44を挿通させる開口孔53が形成されている。
磁路形成部41は、上記構成の支持部50に対してネジ止め等により固定される。また、磁路形成部41を位置決め板部51に押し付けると共に支持板部52上に載置することで、筐体11及び響板16に対する磁路形成部41の位置決めが図られる。
本実施形態では、磁路形成部41と位置決め板部51との間にフレーム部461の係合板部464が介在するため、係合板部464が位置決め板部51に押し付けられる。また、磁路形成部41と支持板部52との間にはフレーム部461の接続板部465が介在するため、接続板部465が支持板部52上に載置される。
【0051】
一方、加振器40の振動体42は、連結体44を介して響板16の主面である内面16aに接続される。ここで、響板16における連結体44の接続位置は、例えば響板16の外面16bに配された響棒36との間に響板16を挟み込む位置に設定されるとよい。
本実施形態では、連結体44の第二突出部442の先端をなす被加振体側軸部444の端部に設けられた先端関節部446のリテーナ部450が響板16の内面16aに固定される。また、本実施形態では、リテーナ部450と響板16との間に介在部品60が設けられ、リテーナ部450は介在部品60を介して響板16に固定される。
介在部品60は、響板16に対して接着により脱離不能に固定されると共に、連結体44に対して着脱自在に固定される。介在部品60は、板状に形成され、その厚さ方向が所定方向(Y軸方向)に一致するように設けられる。
【0052】
図3,5〜7に示すように、介在部品60には、先端関節部446のリテーナ部450に対向する第一対向面61から窪む位置決め凹部63Aが形成されている。本実施形態の位置決め凹部63Aは、介在部品60の厚さ方向に貫通している。一方、リテーナ部450には、介在部品60に向けて突出し、位置決め凹部63Aに対して所定方向に挿入可能な位置決め突起63Bが形成されている。位置決め突起63Bは、位置決め凹部63Aに対して隙間なく挿入される。これにより、連結体44の先端をなすリテーナ部450は、介在部品60に対して位置決めされる。
【0053】
また、介在部品60には、リテーナ部450を介在部品60に締結固定するためのネジ64を螺着させる雌ネジ孔65が形成されている。雌ネジ孔65は、介在部品60の厚さ方向に貫通している。雌ネジ孔65は、介在部品60の周方向に間隔をあけて複数(図示例では三つ)配列されている。
また、介在部品60には、これを響板16に締結固定するためのネジ66を挿通させるネジ挿通孔67が形成されている。ネジ挿通孔67は、介在部品60の周方向に間隔をあけて複数(図示例では三つ)配列されている。
そして、これら雌ネジ孔65及びネジ挿通孔67は介在部品60の周方向に交互に配列されている。
【0054】
さらに、響板16に対向する介在部品60の第二対向面62には、接着剤(不図示)によって響板16に接着される接着領域62aと、接着されない他の領域62bとがある。そして、第二対向面62には、接着領域62aから漏れ出した接着剤が他の領域62bにおいて濡れ広がることを抑制する濡れ抑制構造62Cが形成されている。本実施形態の濡れ抑制構造62Cは、第二対向面62に形成されて他の領域62bを接着領域62aよりも低く位置させる段差である。他の領域62bには、第二対向面62のうち位置決め凹部63A、雌ネジ孔65、ネジ挿通孔67が開口する領域が含まれる。
【0055】
次に、本実施形態の加振器40をピアノ1に取り付ける取付方法について説明する。
加振器40を取り付ける際には、はじめに、介在部品60を響板16に固定する介在部品固定工程を実施する。この工程では、はじめに、介在部品60の第二対向面62の接着領域62aに接着剤を塗布した上で、介在部品60の第二対向面62を響板16の内面16aに押し付ける。これにより、介在部品60が響板16に対して脱離不能に固定される。
ここで、介在部品60の第二対向面62の他の領域62bは濡れ抑制構造62Cによって接着領域62aよりも低く位置するため、上記のように介在部品60を響板16に押し付けた際には、接着剤が接着領域62aから他の領域62b側にはみ出しても、接着剤が他の領域62bに開口する位置決め凹部63A、雌ネジ孔65、ネジ挿通孔67に入り込むことが防止される。
【0056】
本実施形態では、介在部品60を響板16に接着固定した後に、ネジ66を介在部品60のネジ挿通孔67に挿通させた上で響板16に螺着させることで、介在部品60を響板16に締結固定する。
また、上記した第一固定工程の前後には、支持部50を筐体11に固定する支持部固定工程を実施する。これら介在部品固定工程及び支持部固定工程のうち後に実施する工程では、不図示の治具を用いて介在部品60と支持部50との相対的な位置決めを実施するとよい。特に、所定方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向及びZ軸方向)における介在部品60と支持部50との相対的な位置決めを実施するとよい。
【0057】
その後、連結体44を介在部品60に固定する連結体固定工程を実施する。この工程では、はじめに、先端関節部446のリテーナ部450を介在部品60の第一対向面61上に重ねて配置する。この際、リテーナ部450の位置決め突起63Bを介在部品60の位置決め凹部63Aに挿入することで、リテーナ部450が介在部品60に対して位置決めされる。次いで、ネジ64をリテーナ部450に挿通させて介在部品60の雌ネジ孔65に螺着させる。これにより、リテーナ部450が介在部品60に締結固定される。この工程を実施した後の状態では、連結体44の振動体側軸部443が支持部50の位置決め板部51の開口孔53に挿通された状態となる。
【0058】
連結体固定工程後には、振動体42を連結体44に固定する振動体固定工程を実施する。また、磁路形成部41を支持部50に固定する磁路形成部固定工程を実施する。これら振動体固定工程及び磁路形成部固定工程の実施順は特に問わないが、これらの工程は、例えば並行して実施されるとよい。
振動体固定工程では、はじめに、連結体44の振動体側軸部443を、磁路形成部41に一体に固定されたフレーム部461の係合板部464の孔、磁路形成部41の挿通孔410、振動体42(キャップ423)の孔に、上記の順番で挿通させる。その後、連結体44の第一突出部441をなす振動体側軸部443の端部を固定手段420によって振動体42に固定する。この状態では、振動体側軸部443の軸線が振動体42の軸線C1に一致する。
【0059】
一方、磁路形成部固定工程では、はじめに、磁路形成部41に一体に固定されたフレーム部461の接続板部465を支持部50の支持板部52上に載置すると共に、フレーム部461の係合板部464を支持部50の位置決め板部51に重ねて配する。これにより、筐体11や響板16、連結体44に対して磁路形成部41の位置決めを図ることができる。その後、フレーム部461を支持部50にネジ止め等により固定することで、磁路形成部41が支持部50に固定される。
以上により、加振器40の取付方法が完了する。
【0060】
上記した取付方法では、響板16に固定される介在部品60と筐体11に固定される支持部50との相対的な位置決め、及び、支持部50に対する磁路形成部41の位置決めを行うことで、
図3に例示するように、磁路形成部41の軸線C1を所定方向(Y軸方向)に平行させることができる。また、磁路形成部41の軸線C1、振動体42の軸線C2、連結体44をなす振動体側軸部443の軸線、及び、被加振体側軸部444の軸線C3を、相互に一致させることができる。
【0061】
以上のように加振器40を取り付けたピアノ1において、オーディオ信号に基づく駆動信号が加振器40のボイスコイル422に入力されると、振動体42が所定方向に振動する。この振動体42の振動は連結体44によって響板16に伝達され、これにより、響板16が所定方向に振動する。響板16の振動は空気中に伝播し、音響となる。
【0062】
また、加振器40を取り付けた本実施形態のピアノ1において、経年劣化等に基づいて響板16に所定方向に直交する方向への変位が生じた場合、具体的には、
図8に示すように響板16にZ軸方向への変位が発生した場合、響板16に固定された介在部品60や先端関節部446のリテーナ部450が、響板16と同様に、磁路形成部41に対してZ軸方向に変位する。
ここで、本実施形態の連結体44には中途関節部445及び先端関節部446が設けられているため、介在部品60や先端関節部446のリテーナ部450がZ軸方向に変位すると、中途関節部445及び先端関節部446によって、被加振体側軸部444の軸線C3が、所定方向及び磁路形成部41の軸線C2の両方に対して傾斜する。このため、振動体42及び振動体側軸部443の軸線が所定方向に対して傾斜することを抑制できる。すなわち、振動体側軸部443に固定された振動体42の軸線C2が所定方向に平行する磁路形成部41の軸線C1に対して傾斜することを抑制できる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の加振器40の取付構造及びこれを備えるピアノ1によれば、磁路形成部41は、振動体42が磁路形成部41に対して響板16から離れる方向に突出するように設けられる、すなわち、加振器40が響板16に対して従来と逆向きに配される。その上で、振動体42と響板16とが、磁路形成部41の挿通孔410に挿通された連結体44によって連結される。このため、磁路形成部41に対する振動体42の取付部分から、響板16における振動体42(連結体44)との接続部分までの距離を、従来と比較して長く設定できる。したがって、経年劣化等によって響板16に直交方向(X軸方向、Z軸方向)への変位が発生しても、磁路形成部41に対する振動体42の変位量を小さく抑えることが可能となる。
【0064】
以下、上記効果について、本実施形態の構成に照らし合わせてより具体的に説明する。
響板16にZ軸方向への変位が発生した際には、響板16のZ軸方向への変位量よりも小さいものの連結体44の中途関節部445もZ軸方向に変位し得るため、振動体側軸部443及び振動体42の軸線C2は磁路形成部41の軸線C1に対して傾斜し得る。
ここで、本実施形態の取付構造では、加振器40が響板16に対して従来と逆向きに配されるため、振動体42から中途関節部445に至る振動体側軸部443の長さを、従来と比較して長く設定できる。このため、磁路形成部41の軸線C1に対する振動体側軸部443及び振動体42の軸線C2の傾斜角度(変位量)を従来よりも小さくすることが可能となる。
【0065】
さらに、本実施形態の取付構造によれば、連結体44の第一突出部441をなす振動体側軸部443の端部が振動体42と共にダンパー部45によって支持されると共に、連結体44の第二突出部442をなす振動体側軸部443の端部が規制部46によって支持される。すなわち、連結体44の振動体側軸部443がその軸線上の異なる二つの箇所で支持される。このため、仮に磁路形成部41と響板16との間隔が狭くても、ダンパー部45によって支持される振動体側軸部443の支持部分から、規制部46によって支持される振動体側軸部443の支持部分までの距離を長く設定することが可能となる。
これにより、響板16にZ軸方向への変位が発生することで、振動体側軸部443の軸線C2を磁路形成部41の軸線C1に対して傾斜させようとする力が作用しても、ダンパー部45及び規制部46によって振動体側軸部443が傾斜することを抑制できる。したがって、磁路形成部41に対する振動体42の変位量をさらに小さく抑えることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態の取付構造によれば、連結体44が中途関節部445及び先端関節部446を備えることで、響板16にZ軸方向への変位が発生した際には、被加振体側軸部444が所定方向及び振動体側軸部443の軸線C2の両方に対して傾斜するため、振動体側軸部443及びこれに固定された振動体42の軸線C2が磁路形成部41の軸線C1に対して傾斜することを抑制できる。したがって、磁路形成部41に対する振動体42の変位量をさらに小さく抑えることができる。
【0067】
以上のように、磁路形成部41に対する振動体42の変位量が小さくなれば、磁路形成部41の磁場空間417に対する振動体42のボイスコイル422の位置ずれが小さくなるため、加振器40によって加振される響板16の振動に基づく音響に雑音が混ざることを好適に防ぐことが可能となる。
【0068】
また、本実施形態の取付構造によれば、振動体42が連結体44の第一突出部441に対して着脱自在に固定される、すなわち、振動体42と連結体44との固定部分が磁路形成部41と響板16との間に位置しないため、磁路形成部41及び振動体42を、連結体44に対して簡単に着脱することが可能となる。これにより、ピアノ1に対する加振器40の取付、及び、加振器40のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0069】
さらに、本実施形態の取付構造及び取付方法によれば、加振器40の連結体44と響板16との間に介在部品60が設けられ、介在部品60は連結体44に対して着脱可能であるため、介在部品60のみを響板16に固定することができる。また、介在部品60は加振器40と比較して容易に小さくかつ軽量に形成できるため、介在部品60を響板16に接着固定する際に介在部品60を響板16に安定して押し付けることができる。これにより、介在部品60を響板16に対して高い密着性で固定することが可能となる。したがって、振動体42の振動を好適に響板16に伝達することが可能となり、加振器40により響板16を加振することで発生する音響を好適に得ることができる。
【0070】
また、加振器40の連結体44は介在部品60に対して着脱可能に固定されるため、連結体44を含む加振器40全体を響板16から容易に取り外すことができる。したがって、加振器40の保守点検を容易に行うことができる。
【0071】
さらに、本実施形態の取付構造によれば、連結体44を響板16に固定された介在部品60に取り付ける際に、連結体44をなす先端関節部446のリテーナ部450に形成された位置決め突起63Bを、介在部品60に形成された位置決め凹部63Aに挿入することで、介在部品60に対する連結体44の位置決めを容易に行うことができる。すなわち、連結体44を容易に介在部品60に取り付けることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態の取付構造によれば、響板16に対向する介在部品60の第二対向面62の他の領域62bが接着領域62aよりも低く位置するため、介在部品60を響板16に接着固定するために介在部品60を響板16に押し付ける際に、介在部品60と響板16との間の接着剤が接着領域62aから他の領域62b側にはみ出しても、接着剤が他の領域62bに開口する位置決め凹部63A、雌ネジ孔65、ネジ挿通孔67に入り込むことを防止できる。したがって、ネジ66による響板16への介在部品60の締結固定や、ネジ64による介在部品60への連結体44の締結固定が、接着剤によって阻害されることを防止できる。
【0073】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、位置決め凹部63Aが介在部品60に形成され、位置決め突起63Bが先端関節部446のリテーナ部450に形成されているが、例えば位置決め凹部63Aがリテーナ部450に形成され、位置決め突起63Bが介在部品60に形成されてもよい。
【0074】
介在部品60の第二対向面62に形成される濡れ抑制構造62Cは、上記実施形態のように他の領域62bを接着領域62aよりも低く位置させる段差に限らず、例えば、接着領域62aと他の領域62bとの間に形成される溝であってもよい。この場合、接着領域62a及び他の領域62bは同じ高さに位置してもよい。
このような構成であっても上記実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、介在部品60を響板16に接着固定するために介在部品60を響板16に押し付ける際に、介在部品60と響板16との間の接着剤が接着領域62aから他の領域62b側にはみ出しても、接着剤は上記した溝に入り込む。このため、接着剤が他の領域62bに開口する位置決め凹部63A、雌ネジ孔65、ネジ挿通孔67に入り込むことを防止できる。
【0075】
また、連結体44に備える中途関節部445や先端関節部446は、上記実施形態のようなボールジョイント構造に限らず、例えばユニバーサルジョイント構造であっても構わない。
【0076】
また、連結体44は、例えば
図9に示すように、中途関節部445を備えなくてもよい。すなわち、連結体44は、例えば一つの棒状部材であってもよい。
図9に示す加振器40Aには、規制部46が設けられていないが、この加振器40Aの磁路形成部41は、上記実施形態と同様の支持部50によって筐体11に固定される(
図2,3等参照)。また、
図9に示す加振器40Aでは、上記実施形態の加振器40と同様に、磁路形成部41の挿通孔410の一方の開口410Aから突出する連結体44の第一突出部441が振動体42に固定されている。また、挿通孔410の他方の開口410Bから突出する連結体44の第二突出部442の先端が響板16に接続される。
【0077】
図9に示す加振器40Aの取付構造において、経年劣化等に基づいて響板16にZ軸方向への変位が生じ、響板16に固定された介在部品60や先端関節部446のリテーナ部450がZ軸方向に変位すると、先端関節部446によって、連結体44及び振動体42の軸線C2が所定方向及び磁路形成部41の軸線C1の両方に対して傾斜する。
ここで、
図9に示す加振器40Aは、上記実施形態の加振器40と同様に、響板16に対して従来と逆向きに配されるため、磁路形成部41に対する振動体42の取付部分から、響板16における振動体42(連結体44)との接続部分までの距離を、従来と比較して長く設定できる。したがって、
図9に示す加振器40Aであっても、磁路形成部41の軸線C1に対する連結体44及び振動体42の軸線C2の傾斜角度(変位量)を従来よりも小さく抑えることが可能となる。
【0078】
また、連結体44は、例えば中途関節部445及び先端関節部446を備えず、連結体44の軸線C2が所定方向に平行した状態に維持されるように響板16に固定されてもよい。
【0079】
また、加振器40,40Aは、筐体11内部に配されることに限らず、例えば筐体11の外部に露出するように設けられてもよい。すなわち、加振器40,40Aは、上記実施形態のように響板16の内面16aに接続されることに限らず、例えば響板16のうち筐体11の外側に向く外面16bに接続されてもよい。この場合、響板16における加振器40,40Aの接続位置は、例えば、響棒36に干渉しない範囲で駒35との間に響板16を挟み込む位置に設定されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、加振器40,40Aを取り付ける被加振体として響板16を例示したが、例えば屋根後24や親板23等のように経年劣化等に伴う変位を生じ得る筐体11の部材を被加振体としてもよい。
また、本発明に係る加振器40,40Aの取付構造は、例えば、被加振体が変位しない部材であり、磁路形成部41を固定する筐体11の部材が経年劣化等によって変位し得る部材である場合の構成にも適用可能である。
また、本発明に係る加振器40,40Aの取付構造は、響板16等の被加振体を備える楽器に適用可能であり、例えば、グランドピアノ等の他の鍵盤楽器、アコースティックギター、バイオリン等の弦楽器、ドラム、ティンパニ等の打楽器などの各種楽器に適用可能である。