(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
棚体のスライド方向の全長よりも短い第1の長さだけ、前記棚体を所定の収容位置から第1端部側へスライドさせた第1位置で、前記棚体のスライドを規制するとともに、前記全長と前記第1の長さとの差分である第2の長さだけ、前記棚体を前記第1端部側とは反対の第2端部側へスライドさせた第2位置で、前記棚体のスライドを規制するロック部と、
前記ロック部による前記棚体のスライド規制を解除する解除操作部と、
を備え、
前記解除操作部は、
前記第1位置における前記棚体のスライド規制を解除する第1解除操作部と、
前記第2位置における前記棚体のスライド規制を解除する第2解除操作部と、を備え、
前記第1解除操作部は、前記棚体を支持する支持体の前記第1端部側に設けられ、
前記第2解除操作部は、前記支持体の前記第2端部側に設けられ、
前記ロック部は、前記第1解除操作部、および、前記第2解除操作部にそれぞれ連係されて突出方向に付勢された凸部を備え、前記棚体または前記支持体には、前記棚体が前記第1位置および前記第2位置にスライドした際に前記凸部が没入する凹部が形成されており、
前記棚体が前記第1位置にスライドした際に前記第1解除操作部の凸部が没入する第1凹部、および、前記棚体が前記第2位置にスライドした際に前記第2解除操作部の凸部が没入する第2凹部は、共に、前記棚体の一方の側面側に設けられており、
前記第1解除操作部の凸部が前記第2凹部に没入することで、前記第1の長さよりも短い長さだけ前記第1端部側へスライドさせた位置で、前記棚体のスライドを規制し、
前記第2解除操作部の凸部が前記第1凹部に没入することで、前記第2の長さよりも短い長さだけ前記第2端部側へスライドさせた位置で、前記棚体のスライドを規制する
ロック装置。
棚体のスライド方向の全長よりも短い第1の長さだけ、前記棚体を所定の収容位置から第1端部側へスライドさせた第1位置で、前記第1端部側への前記棚体のスライドを規制する第1規制ステップと、
前記全長と前記第1の長さとの差分である第2の長さだけ、前記棚体を前記第1端部側とは反対の第2端部側へスライドさせた第2位置で、前記第2端部側への前記棚体のスライドを規制する第2規制ステップと、
を有し、
前記第1規制ステップは、前記棚体が前記第1位置にスライドした際に前記棚体のスライドを規制するロック部の第1凸部を前記棚体または前記棚体を支持する支持体に形成された第1凹部に没入させることで前記棚体のスライドを規制し、
前記第2規制ステップは、前記棚体が前記第2位置にスライドした際に前記ロック部の第2凸部を前記棚体または前記支持体に形成された第2凹部に没入させることで前記棚体のスライドを規制し、
前記第1凹部および前記第2凹部は、共に、前記棚体の一方の側面側に設けられており、
前記第1凸部が前記第2凹部に没入することで、前記第1の長さよりも短い長さだけ前記第1端部側へスライドさせた位置で、前記棚体のスライドを規制するステップと、
前記第2凸部が前記第1凹部に没入することで、前記第2の長さよりも短い長さだけ前記第2端部側へスライドさせた位置で、前記棚体のスライドを規制するステップと、
を更に有する
棚体の収納方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るロック装置を、図面を参照ながら説明する。
本実施形態に係るロック装置は、CPU(Central Processing Unit)やストレージ等の複数の電子機器で構成されるサーバに適用される。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る収容装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように、収容装置1は、ラック10と、スライドレール11a、11b(支持体)と、ロック装置20と、を備えている。収容装置1は、サーバを構成する複数の格納物A(棚体)を内部に収容する。この格納物Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、各種モジュール、ストレージ等の電子機器が組み合わされて構成される。
【0012】
ラック10は、高さ方向(±Z方向)に長辺を有する直方体状に形成されている。
図1に示すように、ラック10は、矩形板状に形成された棚体である格納物Aを、高さ方向(±Z方向)に複数配列する。ラック10は、その筐体を構成する面の一つである正面S1(YZ平面に平行な面であって+X方向側の面)から、当該複数の格納物Aを引き出し(スライド)可能としている。これにより、作業者は、ラック10に収容されている格納物Aにアクセスし、保守・点検を行うことができる。なお、格納物Aは、正面S1の反対側の面である背面S2(YZ平面に平行な面であって−X方向側の面)からも突出するようにスライド可能とされている。
【0013】
スライドレール11a、11bは、棚体である格納物Aの両側面(XZ平面に平行な面)と、ラック10の内壁面(XZ平面に平行な面)と、を連結するように設けられ、ラック10から各格納物Aを前方(+X方向)側または後方(−X方向)側にスライド可能とするように支持する支持体である。このスライドレール11a、11bは、ラック10の高さ方向(±Z方向)に複数配列される格納物Aごとに取り付けられている。これにより、作業者は、各格納物Aを個別にスライドさせて、所望の格納物Aにアクセスすることができる。
【0014】
ロック装置20は、スライド可能な格納物Aのスライドを所定の第1位置、第2位置、及び、格納物Aの全てがラック10の内部に収容される収容位置で規制する。
ここで「第1位置」とは、格納物Aのスライド方向(±X方向)の全長La(
図2(a)等参照)よりも短い第1の長さL1だけ、格納物Aを収容位置から第1端部側へスライドさせた位置である。また、「第1端部」とは、格納物Aが収容位置にある場合におけるスライドレール11a、11bの正面S1側の端部である。また、格納物Aが収容位置にある場合において、スライドレール11a、11bの全長は、格納物Aのスライド方向の全長Laに等しい。
「第2位置」とは、格納物Aのスライド方向(±X方向)の全長Laと第1の長さL1との差分である第2の長さL2だけ、格納物Aを第1端部側とは反対の第2端部側へスライドさせた位置である。また、「第2端部」とは、格納物Aが収容位置にある場合におけるスライドレール11a、11bの背面S2側の端部である。
なお、本実施形態に係る収容装置1は、第1の長さL1及び第2の長さL2が等しくなるように構成されている。即ち、収容位置から第1位置までの格納物Aのスライド量(第1の長さL1)は、スライドレール11a、11bの全長Laの1/2に等しい長さとされる。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係るスライドレール及びロック装置の構造を示す図である。
図2(a)は、スライドレール及びロック装置の平面図を、(b)は、スライドレール及びロック装置の側面図を、(c)は、スライドレール及びロック装置の正面図をそれぞれ示している。
図2(a)に示すように、矩形板状の格納物Aは、ラック10において、その平坦面(XY平面に平行な面)の長辺がスライド方向(±X方向)となるように配されている。格納物Aが所定の収容位置にあるとき、当該格納物Aの正面(スライド方向前方(+X方向)側の面)は、ラック10の正面S1と面一に重なる。また、格納物Aの背面(スライド方向後方(−X方向)側の面)は、ラック10の背面S2と面一に重なる。即ち、格納物Aの長辺方向(±X方向)の全長Laは、ラック10の正面S1から背面S2までの距離に一致する。
また、格納物Aの側面の一方(XZ平面に平行な面であって−Y方向側の側面)には、スライドレール11aが設けられている。また、格納物Aの側面の他方(XZ平面に平行な面であって+Y方向側の側面)には、スライドレール11bが設けられている。このスライドレール11a、11bは、格納物Aの両側面に接しながら、スライド方向(±X方向)に伸びて配される。このとき、スライドレール11a、11bは、格納物Aの長辺全体に渡って配される。したがって、本実施形態においては、スライドレール11a、11bの全長は、格納物Aの長辺方向の長さLaに一致している。
【0016】
また、
図2(a)〜(c)に示すように、スライドレール11a、11bは、それぞれ外側レール110と、内側レール111と、を備えている。内側レール111は、外側レール110と接しながら、その延在方向(±X方向)にスライド可能とする。
図2(a)において、スライドレール11aの外側レール110は、その側方(−Y方向側)に配されるラック10の内壁面(図示せず)に固定される。また、スライドレール11aの内側レール111は、その側方に配される格納物Aの側面(XZ平面に平行な面であって−Y方向側の側面)に固定される。
同様に、スライドレール11bの外側レール110は、その側方(+Y方向側)に配されるラック10の内壁面(図示せず)に固定される。また、スライドレール11bの内側レール111は、その側方(−Y方向側)に配される格納物Aの側面(XZ平面に平行な面であって+Y方向側の側面)に固定される。
以上のような機構によれば、スライドレール11a、11bは、格納物Aの両側面(XZ平面に平行な面)と、ラック10の内壁面(XZ平面に平行な面)と、を連結しながら当該格納物Aを支持する。格納物Aの両側面に固定される内側レール111が、ラック10の内壁面に固定される外側レール110に対して延在方向前方(+X方向)にスライドすることで、格納物Aがラック10の正面S1から突出するように引き出される(
図1参照)。また、内側レール111が、外側レール110に対して延在方向後方(−X方向)にスライドすることで、格納物Aがラック10の背面S2から突出するように引き出される
【0017】
図2(a)〜(c)に示すように、スライドレール11aの上方(+Z方向)側には、ロック装置20が設けられている。ロック装置20は、スライドレール11aの延在方向の第1端部T1及び第2端部T2にそれぞれ一つずつ配されている。このロック装置20のロック機能(格納物Aのスライドを規制する機能)について、以下に詳細に説明する。
【0018】
図3は、第1の実施形態に係るロック装置の構成及び機能を説明する第1の図である。
図3(a)〜(c)には、
図2(a)〜(c)に示したスライドレール11a及び当該スライドレール11aに設けられたロック装置20を、格納物Aが配される側(+Y方向側)から見た様子を図示している。また、
図3(a)は、格納物Aが所定の収容位置にある状態を図示している。
図3(a)に示すように、ロック装置20は、第1ロック部200a及び第2ロック部200bを備えるロック部200と、第1解除操作部201a及び第2解除操作部201bを備える解除操作部201と、を備えている。ロック部200及び解除操作部201は、外側レール110(スライドレール11)の延在方向の第1端部T1及び第2端部T2の各々において、当該外側レール110の上方(+Z方向)側に設けられた軸Rを介して支持される。
【0019】
第1端部T1側に設けられた第1ロック部200aは、第1端部T1から格納物Aの後方(−X方向)側に伸びるように形成される。また、第2端部T2側に設けられた第2ロック部200bは、第2端部T2から格納物Aの前方(+X方向)側に伸びるように形成される。
さらに、第1ロック部200aには、第1端部T1から格納物Aの中心側(−X方向側)に伸びた先の端から下方(−Z方向)側に折れて突出する凸部200xが形成される。同様に、第2ロック部200bには、第2端部T2から格納物Aの中心側(+X方向側)に伸びた先の端から下方(−Z方向)側に折れて突出する凸部200xが形成される。
ここで、外側レール110には開口部Mが形成されている。この開口部Mは、凸部200xを下方(−Z方向)側に挿通可能とするように設けられている。開口部Mに挿通された凸部200xは、その先端において内側レール111の上面に接するように形成される。
第1ロック部200aは、以上のような構成により、格納物Aを収容位置から第1端部T1側へスライドさせた第1位置で、当該格納物Aのスライドを規制する。同様に、第2ロック部200bは、格納物Aを収容位置から第2端部T2側へスライドさせた第2位置で、当該格納物Aのスライドを規制する。
【0020】
第1端部T1側に設けられたロック装置20の第1解除操作部201aは、軸Rから外側レール110の前方(+X方向)側に突出するように形成される。即ち、第1解除操作部201aは、格納物Aが収容位置から第1位置に向かうスライド方向(+X方向)に、スライドレール11aの第1端部T1から突出するように設けられる。第1解除操作部201aは、第1ロック部200aによる、第1位置における格納物Aのスライド規制を解除する。
同様に、第2端部T2側に設けられたロック装置20の第2解除操作部201bは、軸Rから外側レール110の後方側(−X方向)に突出するように形成される。即ち、第2解除操作部201bは、格納物Aが収容位置から第2位置に向かうスライド方向(−X方向)に、スライドレール11aの第2端部T2から突出するように設けられる。第2解除操作部201bは、第2ロック部200bによる、第2位置における格納物Aのスライド規制を解除する。
【0021】
第1ロック部200aの延在方向の端に形成された凸部200xは、軸Rを介して第1解除操作部201aに連係される。また、第2ロック部200bの延在方向の端に形成された凸部200xは、軸Rを介して第2解除操作部201bに連係される。ここで、ロック装置20の軸Rには、軸Rを回転軸として凸部200xを下方(−Z方向)に付勢可能な弾性体(図示せず)が仕込まれている。凸部200xは、当該弾性体により、凸部200xの突出方向に付勢され、同時に、第1解除操作部201a、第2解除操作部201bは、上方(+Z方向に)付勢されている。
【0022】
図3(a)に示すように、スライドレール11aの内側レール111には、第1ロック部200a、第2ロック部200bにより格納物Aのスライドを規制可能とするための規制用部材p1、p2、p3が設けられている。規制用部材p1、p2、p3は、それぞれ内側レール111の上面(+Z方向側の面)において、当該内側レール111の延在方向に設けられる。
図3(a)に示すように、内側レール111には、スライドレール11aの第1端部T1から所定の長さだけ後方(−X方向)側に離れた所に規制用部材p1の前方端q11(+X方向側の端)が位置するように設けられ、その後方(−X方向)側に、規制用部材p2、規制用部材p3と連続して配されている。規制用部材p3の後方端q32(−X方向側の端)は、スライドレール11aの第2端部T2から所定の長さだけ前方(+X方向)側に位置している。
【0023】
図3(a)に示すように、格納物Aが所定の収容位置にある場合、規制用部材p1の前方端q11は、第1ロック部200aにおける凸部200xの、後方側の側縁t11(凸部200xの−X方向側の縁)と当接する。これにより、外側レール110に固定された第1ロック部200aの凸部200xが内側レール111に設けられた規制用部材p1の前方側への移動を阻害するように機能するので、第1ロック部200aの凸部200xは、格納物Aの正面S1側(+X方向側、
図1参照)へのスライドを規制する。
同様に、格納物Aが所定の収容位置にある場合、規制用部材p3の後方端q32は、第2ロック部200bにおける凸部200xの、前方側の側縁t21(凸部200xの+X方向側の縁)と当接する。これにより、外側レール110に固定された第2ロック部200aの凸部200xが内側レール111に設けられた規制用部材p3の後方側への移動を阻害するように機能するので、第2ロック部200bの凸部200xは、格納物Aの背面S2側(−X方向側、
図1参照)へのスライドを規制する。
このように、ロック装置20の第1ロック部200a及び第2ロック部200bは、収容位置にある格納物Aのスライドを規制する。このようにすることで、ロック装置20は、格納物Aが意図せず収容位置からスライドすることを抑制できる。
【0024】
また、規制用部材p2の後方端q22(−X方向側の端)と規制用部材p3の前方端q31(+X方向側の端)とが離間して設けられることで、規制用部材p2と規制用部材p3との間に凹部m2が形成される。凹部m2のスライド方向(±X方向)の幅は、凸部200xのスライド方向の幅よりも大きくなるように形成される。第1ロック部200aの凸部200xは、格納物Aが第1位置にスライドした際に凹部m2に没入する。この様子を、
図3(b)、
図3(c)を参照しながら説明する。
【0025】
図3(b)は、格納物Aが所定の収容位置から前方(+X方向)側に所定の長さだけスライドした状態を図示している。
図3(b)に示すように、作業者は、第1端部T1(ラック10の正面S1)から前方(+X方向)側に突出するように設けられた第1解除操作部201aを下方(−Z方向)へ押し下げる操作を行う。凸部200xは、軸Rに対して第1解除操作部201aとは反対側に位置するため、第1解除操作部201aが下方に下がると、軸Rが支点となって、第1ロック部200aの凸部200xが上方(+Z方向)に持ち上がる。そうすると、内側レール111に設けられていた規制用部材p1の前方端q11が凸部200xの側縁t11に当接しなくなる。一方、第2ロック部200bの凸部200xの側縁t21は、規制用部材p3の後方端p32側に当接しているものの、これは、内側レール111の前方(+X方向)側へのスライドを規制するものではない。したがって、内側レール111は、スライド方向前方(+X方向)にスライド可能となる。即ち、作業者が第1解除操作部201aを下方に押し下げることで、格納物Aの収容位置におけるスライド規制が解除される(
図3(b)参照)。なお、作業者が、第1解除操作部201aを下方に押し下げながら格納物Aを前方(+X方向)側に引くと、当該格納物Aが前方(+X方向)側にスライドする。
なお、
図3(b)に示す状態で、作業者が第1解除操作部201aから手を離した場合、下方側に付勢される第1ロック部200aの凸部200xが、規制用部材p1又は規制用部材p2の上面(+Z方向側の面)を下方(−Z方向)側に押圧する。したがって、第1ロック部200aの凸部200xは、当初の位置(
図3(a)参照)から、その下方端が規制用部材p1、p2の上面の高さまで持ち上がった状態に維持される。この状態における凸部200xは、内側レール111のスライド方向(±X方向)へのスライドを規制しないので、作業者は、第1解除操作部201aから手を離した状態であっても格納物Aをスライドさせることができる。
【0026】
図3(c)は、格納物Aが所定の第1位置までスライドした状態を図示している。
図3(c)に示すように、格納物Aが第1位置までスライドした状態(即ち、格納物Aが収容位置から前方(+X方向)側に第1の長さL1=La/2だけスライドした状態)で、下方(−Z方向)側に付勢される第1ロック部200aの凸部200xが凹部m2に没入する。そうすると、当該凸部200xの側縁t11が規制用部材p3の前方端q31(+X方向側の端)に当接するとともに、側縁t11の反対側の側縁t12が規制用部材p2の後方端q22(−X方向側の端)と当接する。これにより、外側レール110に固定された第1ロック部200aの凸部200xが、内側レール111に設けられた規制用部材p2の後方側への移動、及び、規制用部材p3の前方側への移動を阻害するように機能する。このようにして、第1ロック部200aは、格納物Aの第1位置からのスライドを規制する。
【0027】
なお、図示を省略するが、作業者は、第2端部T2(ラック10の背面S2)から後方(−X方向)側に突出するように設けられた第2解除操作部201bを下方(−Z方向)へ押し下げる操作を行うことで、格納物Aをスライド方向の後方(−X方向)側にスライドさせることもできる。即ち、第2解除操作部201bが下方に下がると、軸Rが支点となって、第2ロック部200bの凸部200xが上方(+Z方向)に持ち上がる。そうすると、内側レール111に設けられていた規制用部材p3の後方端q32が凸部200xの側縁t21に当接しなくなるため、格納物A(内側レール111)がスライド方向後方(−X方向)側へのスライド規制が解除される。
ここで、規制用部材p1の後方端q12(−X方向側の端)と規制用部材p2の前方端q21(+X方向側の端)とが離間して設けられることで、規制用部材p1と規制用部材p2との間に凹部m1が形成される。第2ロック部200bの凸部200xは、格納物Aが第2位置までスライドした状態(即ち、格納物Aが収容位置から後方(−X方向)側に第2の長さL2=La/2だけスライドした状態)で凹部m1に没入する。そうすると、当該凸部200xの側縁t21が規制用部材p1の後方端q12(−X方向側の端)に当接するとともに、側縁t21の反対側の側縁t22が規制用部材p2の前方端p21(+X方向側の端)と当接する。これにより、外側レール110に固定された第2ロック部200bの凸部200xが、内側レール111に設けられた規制用部材p1の後方側への移動、及び、規制用部材p2の前方側への移動を阻害するように機能する。このようにして、第2ロック部200bは、格納物Aの第2位置からのスライドを規制する。
なお、凹部m1、m2は、収容位置から第1位置までの格納物Aのスライド量(第1の長さL1)と、収容位置から第2位置までの格納物Aのスライド量(第2の長さL2)とが等しくなるような位置に設けられている。
【0028】
以上のような構成によれば、第1ロック部200a及び第2ロック部200bは、凸部200xおよび凹部m1、m2の係合によって格納物Aのスライドを規制することができる。そのため、簡単な構造でロック部200を構成することができる。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係るロック装置の構成及び機能を説明する第2の図である。
図4(a)〜
図4(c)は、
図3(a)〜
図3(c)に模式的に示したロック装置20及びスライドレール11aの構造をより具体的に示している。
図4(a)は、格納物Aが初期位置にある状態を示している(
図3(a)に対応)。
図4(a)に示すように、ロック装置20は、軸Rをもって外側レール110の第1端部T1側上方に固定設置される。ロック装置20の第1ロック部200aは、軸Rからスライド方向後方(−X方向)側に所定の長さだけ伸びた位置で下方に突出するように形成された凸部200xを有している。そして、格納物Aが初期位置にあるとき、
図4(a)に示すように、第1ロック部200aの凸部200xは、内側レール111の上方に設けられた規制用部材p1の前方端(+X方向側の端)と当接する。これにより、第1ロック部200aは、内側レール111(格納物A)の前方(+X方向)側へのスライドを規制する。
【0030】
図4(b)は、
図4(a)の状態から、作業者が第1解除操作部201aを下方に押し下げた直後の状態を示している。
図4(b)に示すように、作業者が、ロック装置20全体を軸支する軸Rの一方側に配される第1解除操作部201aを下方に押し下げることで、軸Rの他方側にある第1ロック部200aが上方に持ち上がる。そうすると、凸部200xが、内側レール111に設けられた規制用部材p1の前方端(+X方向の端)に当接しなくなるため、内側レール111が前方(+X方向)側にスライド可能となる。
【0031】
図4(c)は、格納物Aが初期位置から前方(+X方向)側に所定距離だけスライドした状態を示している(
図3(b)に対応)。
作業者は、第1ロック部200aの凸部200xが上方(+Z方向)に持ち上がった状態(
図4(b)に示す状態)を維持しながら内側レール111(格納物A)を前方(+X方向)側に引くと、内側レール111が当該前方側にスライドする(
図4(c)参照)。このとき、凸部200xの突出端(−Z方向側の端)は内側レール111に設けられた規制用部材p1の上面と当接する。この状態における凸部200xは、凹部m1、m2等に没入されていない状態であり、スライド方向(±X方向)については前方側、後方側の何れにも当接しないため、内側レール111のスライド方向前方(+X方向)へのスライドを規制しない。
【0032】
図5は、第1の実施形態に係るロック装置の作用効果を説明する第1の図である。
図5(a)には、格納物Aが第1位置にある状態を示している。上述したように、格納物Aが第1位置にあるとき、第1ロック部200aの凸部200xは、内側レール111に設けられた凹部m2に没入し、格納物Aのスライドを規制する。このとき、格納物Aの前方端(+X方向の端)は、スライドレール11a、11bの第1端部T1(ラック10の正面S1)から前方(+X方向)に第1の長さL1=La/2だけ突出している。したがって、ラック10に収容されていた格納物Aのうち前方(+X方向)側の半分を占める領域A1が露出する。一方、格納物Aのうち後方(−X方向)側の半分を占める領域A2は、ラック10の内部に留まっている。したがって、格納物Aが第1位置にあるとき、作業者は、格納物Aのうち露出している前方側の領域A1にのみアクセス可能となる。
【0033】
図5(b)には、格納物Aが第2位置にある状態を示している。格納物Aが第2位置にあるとき、第2ロック部200bの凸部200xは、内側レール111に設けられた凹部m1に没入し、格納物Aのスライドを規制する。このとき、格納物Aの後方端(−X方向の端)は、スライドレール11a、11bの第2端部T2(ラック10の背面S2)から後方(−X方向)に第2の長さL2=La/2だけ突出している。したがって、ラック10に収容されていた格納物Aのうち後方(−X方向)側の半分を占める領域A2が露出する。一方、格納物Aのうち前方(+X方向)側の半分を占める領域A1は、ラック10の内部に留まっている。したがって、格納物Aが第2位置にあるとき、作業者は、格納物Aのうち露出している後方側の領域A2にのみアクセス可能となる。
【0034】
このように、作業者は、ラック10の正面S1側から第1解除操作部201aを操作することで、格納物Aの半分の一方を占める領域A1にアクセスすることができるとともに、ラック10の背面S2側から第2解除操作部201bを操作することで、格納物Aの半分の他方を占める領域A2にアクセスすることができる。したがって、作業者は、ラック10に収容される格納物Aの全ての領域にアクセスし、保守・点検を行うことができる。
また、格納物Aの領域A1又は領域A2の少なくとも一方は、常にラック10の内部に収容される。したがって、格納物Aが引き出された状態であっても、収容装置1全体の重心が大きく変動することが抑制され、直方体状に形成された筐体全体を安定させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係るロック装置20では、ラック10の正面S1から格納物Aの前方(+X方向)側へのスライド規制を解除する第1解除操作部201aが当該正面S1から前方側に突出するように設けられる。また、ラック10の背面S2から格納物Aの後方(−X方向)側へのスライド規制を解除する第2解除操作部201bが当該正面S2から後方側に突出するように設けられる。
このような構成により、作業者は、ラック10の正面S1側または背面S2側の何れからでも、当該正面S1側または背面S2側からスライド可能な方向へのスライド規制を解除することができる。即ち、第1端部T1側から格納物Aにアクセスした作業者は、容易に第1解除操作部201aを操作して格納物Aのスライド規制状態を解除することができる。また、第2端部T2側から格納物Aにアクセスした作業者は、容易に第2解除操作部201bを操作して格納物Aのスライド規制状態を解除することができる。その結果、作業者の作業効率を向上することができる。
また、作業者は、第1解除操作部201a、第2解除操作部201bが、ラック10の正面S1または背面S2から突出するように設けられているため、作業者が手に持って操作しやすくなり、作業効率を向上することができる。
【0036】
以上、第1の実施形態に係るロック装置20によれば、格納物Aの第1端部T1側へのスライド量を制限することができるとともに、格納物Aの第2端部T2側へのスライド量を制限することができる。さらに、第1端部T1側へのスライド可能な量(第1の長さL1)と第2端部側へスライド可能な量(第2の長さL2)との和が格納物Aの全長Laに等しいため、作業者は、スライド方向を変えることで格納物Aの全領域にアクセスすることができる。また、例えば、第1端部T1側からアクセス可能な作業者を制限することで、格納物Aのスライド領域に応じたアクセス制限を設定することができる。さらに、例えば、第1端部T1側や第2端部T2側にのみスライド可能な場合と比較して、格納物Aの突出量を低減できるため、格納物Aを備える収容装置1の配置自由度を向上することができる。また、格納物Aを収容位置に戻す場合には、第1解除操作部201a、第2解除操作部201bを操作することで容易に規制を解除できる。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係るロック装置の作用効果を説明する第2の図である。
図6(a)は、本実施形態の対比例に係る収容装置8を複数配列してなる収容システム9の構成を模式的に示している。また、
図6(b)は、本実施形態に係る収容装置1を複数配列してなる収容システム3の構成を模式的に示している。
【0038】
本実施形態の対比例に係る収容装置8は、ラック10の正面S1側からのみ格納物Aをスライド可能とする収容装置である。この場合、ラック10に収容された格納物Aの全領域にアクセス可能とする必要がある。そのため、
図6(a)に示すように、収容装置8は、格納物Aの全領域が露出する長さ、即ち、格納物Aのスライド方向(±X方向)の全長Laだけ正面S1からスライド可能なように構成される。
【0039】
以上のような構成の収容装置8が、所定の床面(XY平面)上において、格納物Aのスライド方向(±X方向)及びその垂直方向(±Y方向)に複数配してなる収容システム9について以下に説明する。
図6(a)に示すように、格納物Aを床面(XY平面)に配列して収容システム9を構成する場合、作業者が格納物Aの保守・点検を行うために必要なスペースを確保する必要がある。即ち、格納物Aの全領域にアクセス可能とするため、第1列目に配される収容装置8と、その格納物Aのスライド方向前方(+X方向)であって第2列目に配される収容装置8との通路幅(間隔α1)は、格納物Aの全長La以上とする必要がある。なお、
図6(a)に示す例では、第1列目の収容装置8の格納物Aと第2列目の収容装置8のラック10との接触を防止する目的でゆとり幅ΔLを設け、間隔α1をα1=La+ΔLとしている。このように、対比例に係る収容装置8を複数配列してなる収容システム9は、列ごとに間隔α1=La+ΔLのスペースを確保する必要がある。
【0040】
一方、本実施形態に係る収容装置1は、上述したように、ラック10の正面S1側及び背面S2側の両方から格納物Aを半分ずつスライド可能とする収容装置である。したがって、収容装置1は、格納物Aの領域の半分が露出する長さ、即ち、格納物Aのスライド方向(±X方向)の全長Laの1/2だけ正面S1及び背面S2からスライド可能なように構成される。
【0041】
このような収容装置1が、所定の床面(XY平面)上において、格納物Aのスライド方向(±X方向)及びその垂直方向(±Y方向)に複数配してなる収容システム3について以下に説明する。
図6(b)に示すように、第1列目に配される収容装置1と、その格納物Aのスライド方向前方(+X方向)であって第2列目に配される収容装置1との通路幅(間隔α2)は、格納物Aの全長Laの1/2以上とする必要がある。なお、
図6(b)に示す例では、更にゆとり幅ΔLを加えて、間隔α2をα2=La/2+ΔLとしている。
このようにすれば、第1列目と第2列目の間に設けられた間隔α2のスペース内において、作業者は、第1列目に配される収容装置1の正面S1からスライドする格納物Aと、第2列目に配される収容装置1の背面S2からスライドする格納物Aと、の両方にアクセス可能となる。また、ロック装置20の機能により、第1列目に配される収容装置1の正面S1からの格納物Aのスライド、及び、第2列目に配される収容装置1の背面S2から格納物Aのスライドは、いずれもスライド量がLa/2となる第1位置又は第2位置で規制される。したがって、第1列目に配される収容装置1の正面S1からスライドする格納物Aが第2列目に配される収容装置1のラック10に接触することはない。同様に、第2列目に配される収容装置1の背面S2からスライドする格納物Aが第1列目に配される収容装置1のラック10には接触しない。
このように、本実施形態に係る収容システム3は、第1列目の収容装置1の格納物Aにアクセスするためのスペースと、第2列目の収容装置1の格納物Aにアクセスするためのスペースと、を共有している。したがって、スライド方向(±X方向)で隣り合う収容装置1から互いに対向する側に同時に格納物Aを引き出さないようにすれば、収容装置1同士のスライド方向の間隔を短くしても、全ての格納物Aにアクセス可能となる。具体的には、収容システム3は、対比例に係る収容装置8で構成される収容システム9に比べ、第1列目と第2列目との間隔を略1/2に縮小することができる。
以上、本実施形態に係る収容システム3によれば、収容装置のスライド方向両側に設けられる通路幅を狭くして、予め決められた床面積でより多くの収容装置を配置することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る収容装置1は、収容位置から第1位置までの格納物Aのスライド量(第1の長さL1)と、収容位置から第2位置までの格納物Aのスライド量(第2の長さL2)とが等しくなるように構成されている。したがって、スライド可能な格納物Aを備える収容装置1をスライド方向に並べて配置する場合に、各収容装置1からスライドして引き出される格納物Aの突出量が等しくなる。その結果、複数の収容装置1同士のスライド方向の間隔を同一に設定することができ、装置レイアウトを容易に決定できる。
【0043】
また、本実施形態に係る収容装置1に、サーバを構成する各種電子機器を格納することで、予め決められた床面積でより多くのサーバを設置できる。また、例えば、モジュールを着脱可能に構成された高密度サーバなどの場合には、当該モジュールの組換え作業を格納物Aのスライドにより容易に行うことができる。
【0044】
以上、第1の実施形態に係るロック装置20、収容装置1及び収容システム3によれば、スライド可能な棚体(格納物A)のスライド方向の全領域へアクセス可能としつつ、周囲の作業スペースを削減することができる。
【0045】
第1の実施形態に係るロック装置20、収容装置1及び収容システム3は、上述の態様に限定されることはなく、以下のようにも変形可能である。
【0046】
図7は、第1の実施形態の変形例に係るロック装置の構成を示す図である。
第1の実施形態に係るロック装置20は、
図2(a)〜(c)に示したように、格納物Aの一方の側面(XZ平面に平行な面)に固定されたスライドレール11aの両端に一つずつ設けられる態様として説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限られない。例えば、変形例に係るロック装置20は、
図7に示すように、格納物Aの一方の側面に固定されたスライドレール11aの第1端部T1側と、格納物Aの他方の側面に固定されたスライドレール11bの第2端部T2側と、に一つずつ設けられる態様であってもよい。すなわち、格納物Aの側面のそれぞれに一つずつロック装置20が設けられる態様とする。
この場合、スライドレール11aの内側レール111には、格納物Aが第1位置で規制可能となる位置に凹部m2が設けられるとともに、スライドレール11bの内側レール111には、格納物Aが第2位置で規制可能となる位置に凹部m1が設けられるものとする。
このようにすることで、格納物Aの両側面に配される2つの内側レール111の各々に一つずつ凹部m1、m2が設けられる。したがって、例えば、格納物Aを前方(+X方向)側にスライドさせた場合において、第1ロック部200aの凸部200xが格納物Aの第1位置での規制のために設けられた凹部m2とは異なる凹部に没入することを防止することができる。これにより、作業者の作業効率を向上させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態に係るロック装置20は、
図2(a)、(b)等に示したように、スライドレール11aの第1端部T1側及び第2端部T2側のそれぞれに一つずつ計2つ設けられる態様として説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限られない。例えば、他の変形例に係るロック装置20は、単一のロック部200のみを有する態様であってもよい。
【0048】
また、スライドレール11a、11bには、格納物Aのスライドを円滑にする機構(例えば、ローラ等)が設けられていてもよい。
【0049】
図8は、他の実施形態に係るロック装置の全体構成を示す図である。
図8に示すように、スライド可能な棚体(格納物A)のスライドを規制するロック装置20は、ロック部200と、解除操作部201と、を備える。ロック部200は、格納物Aのスライド方向の全長Laよりも短い第1の長さだけ、格納物Aを所定の収容位置から第1端部T1側へスライドさせた第1位置で、格納物Aのスライドを規制する。また、ロック部200は、格納物Aの全長Laと上記第1の長さとの差分である第2の長さだけ、格納物Aを第1端部T1側とは反対の第2端部T2側へスライドさせた第2位置で、格納物Aのスライドを規制する。
解除操作部201は、ロック部200による格納物Aのスライド規制を解除する。
【0050】
このような構成によれば、格納物Aの第1端部T1側へのスライド量を制限することができるとともに、格納物Aの第2端部T2側へのスライド量を制限することができる。さらに、第1端部T1側へのスライド可能な量と第2端部T2側へスライド可能な量との和が格納物Aの全長Laに等しいため、スライド方向を変えることで格納物Aの全域にアクセスすることができる。また、例えば、第1端部T1側からアクセス可能な作業者を制限することで、格納物Aのスライド領域に応じたアクセス制限を設定することができる。さらに、例えば第1端部T1側や第2端部T2側にのみスライド可能な場合と比較して、格納物Aの突出量を低減できるため、格納物Aを備える装置の配置自由度を向上することができる。また、格納物Aを収容位置に戻す場合には、解除操作部201を操作することで容易に規制を解除できる。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。