特許第6442883号(P6442883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442883
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20181217BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20181217BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   H01M10/617
   H01M10/6555
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-130372(P2014-130372)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-9621(P2016-9621A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信司
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−048965(JP,A)
【文献】 特開2014−010983(JP,A)
【文献】 特許第5482882(JP,B1)
【文献】 特開2009−110833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10、10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースに収容された電極組立体と、を有する蓄電装置を備えた蓄電モジュールにおいて、
前記電極組立体は、正極活物質層を有する複数の正極電極と負極活物質層を有する複数の負極電極とが積層されており、
前記ケースは、前記電極組立体の積層方向から見て前記正極活物質層が対向する対向領域が投影される対向ケース壁を有し、
前記対向ケース壁には、拘束荷重を付与する拘束板が並設されており、
前記拘束板は、前記対向ケース壁に面する第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記第1面と前記第2面のうち何れか一方の面には、前記対向ケース壁に並設した状態において前記対向領域の中央に対向する部位を含む位置に凹部を有し、
前記拘束板において前記凹部の開口の外側に位置する面が、前記対向ケース壁に接触する接触面であり、
前記蓄電モジュールは、前記対向ケース壁を対向させて並設させた複数の蓄電装置と、複数の拘束板と、を有し、
前記複数の拘束板は、並設された前記複数の蓄電装置のうち最も外側に位置する蓄電装置よりも並設方向の外側に位置する第1の拘束板と、前記第1の拘束板よりも並設方向の内側において前記蓄電装置の前記対向ケース壁に面する第2の拘束板と、を含み、
前記第1の拘束板を除く、全ての第2の拘束板が前記凹部を有し、
前記凹部は、前記第1面と前記第2面のうち何れか一方の面に一つのみ形成されており、
一対の第1の拘束板には通しボルトが挿通されているとともに、前記一対の第1の拘束板を貫通した前記通しボルトにはナットが螺合され、前記蓄電装置は並設方向に拘束されており、
前記一対の第1の拘束板は、前記通しボルトと前記ナットとの螺合によって前記一対の第1の拘束板間に配置された前記複数の蓄電装置に対して均等な拘束荷重を付与し、
前記第2の拘束板は、前記第1の拘束板からの前記拘束荷重を前記蓄電装置のうちの前記接触面と接触する部位に付与して該部位の発熱を増加させるとともに、前記蓄電装置のうちの前記凹部に対向している部位には前記拘束荷重を付与しないことによって該部位の発熱を増加させない蓄電モジュール。
【請求項2】
前記第2の拘束板の前記凹部は、前記第1面又は前記第2面に設けた穴である請求項に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第1の拘束板は、前記最も外側に位置する蓄電装置に対向する面に凹部を有さない請求項又は請求項に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第1の拘束板及び前記第2の拘束板は金属製である請求項〜請求項のうちいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に拘束荷重を付与する拘束板を有する蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。この種の二次電池は、例えば、特許文献1に開示されている。二次電池は、ケース本体に電極組立体や電解液などの電池要素を収容し、そのケース本体の開口部を蓋体で閉塞している。そして、二次電池を、例えば電源装置などで利用する場合は、複数の二次電池によって構成される蓄電モジュール(組電池)として扱われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−259455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電モジュールは、二次電池をまとめて拘束する拘束部材を有し、この拘束部材によって二次電池には均等に荷重が付与されている。このように均等に荷重が付与されている場合、二次電池のケースに収容されている電極組立体には均等に電流が流れることになり、その結果、電極組立体は均一に発熱する。
【0005】
しかしながら、二次電池の放熱性は、電極組立体の縁部に近い部位ほど高く、中央の部位ほど低い。このため、電極組立体の中央の部位は、温度が下がりにくいことから、他の部位よりも各電極を絶縁するために介在させているセパレータの目詰まり(シャットダウン)が生じやすく、目詰まりの不均一化が発生する。その結果、電池性能の低下に繋がる。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、蓄電装置の性能の低下を抑制し得る蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する蓄電モジュールは、ケースと、前記ケースに収容された電極組立体と、を有する蓄電装置を備えた蓄電モジュールにおいて、前記電極組立体は、正極活物質層を有する複数の正極電極と負極活物質層を有する複数の負極電極とが積層されており、前記ケースは、前記電極組立体の積層方向から見て前記正極活物質層が対向する対向領域が投影される対向ケース壁を有し、前記対向ケース壁には、拘束荷重を付与する拘束板が並設されており、前記拘束板は、前記対向ケース壁に面する第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記第1面と前記第2面のうち何れか一方の面には、前記対向ケース壁に並設した状態において前記対向領域の中央に対向する部位を含む位置に凹部を有する。
【0008】
上記構成によれば、放熱性の低い部位(対向領域の中央を含む部位)には拘束荷重が付与されないように拘束板を構成したので、セパレータの目詰まり(シャットダウン)の不均一化が発生し難く、蓄電装置の性能の低下を抑制できる。
【0009】
上記蓄電モジュールにおいて、前記拘束板において前記凹部の開口の外側に位置する面を、前記対向ケース壁に接触する接触面としている。
上記構成によれば、拘束板において凹部の外側に位置する面を接触面としていることで、従前と同様に、蓄電装置に拘束荷重を付与することができる。その結果、電極組立体に電流を流れやすくできる。
【0010】
上記蓄電モジュールにおいて、前記蓄電モジュールは、前記対向ケース壁を対向させて並設させた複数の蓄電装置と、複数の拘束板と、を有し、前記複数の拘束板は、並設された前記複数の蓄電装置のうち最も外側に位置する蓄電装置よりも並設方向の外側に位置する第1の拘束板と、前記第1の拘束板よりも並設方向の内側において前記蓄電装置の前記対向ケース壁に面する第2の拘束板と、を含み、前記第1の拘束板を除く、全ての第2の拘束板が前記凹部を有している。
【0011】
上記構成によれば、蓄電モジュールを構成する全ての第2の拘束板が凹部を有することで、全ての蓄電装置を同一条件下で使用することができる。その結果、蓄電モジュールを構成する蓄電装置のうち、一部の蓄電装置が短期間で性能が低下するなどの事態の発生を抑制できる。
【0012】
上記蓄電モジュールにおいて、前記第2の拘束板の前記凹部は、前記第1面又は前記第2面に設けた穴であるまた、上記蓄電モジュールにおいて、前記第1の拘束板は、前記最も外側に位置する蓄電装置に対向する面に凹部を有さない。また、上記蓄電モジュールにおいて、一対の第1の拘束板には通しボルトが挿通されているとともに、前記一対の第1の拘束板を貫通した前記通しボルトにはナットが螺合され、前記蓄電装置は並設方向に拘束されている。また、上記蓄電モジュールにおいて、前記第1の拘束板及び前記第2の拘束板は金属製である。





【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電モジュールを構成する蓄電装置の性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】二次電池を示す分解斜視図。
図2】蓄電モジュールを示す斜視図。
図3】蓄電モジュールを示す分解斜視図。
図4】二次電池と拘束板を示す正面図。
図5】(a)、(b)は別例の拘束板を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、蓄電モジュールを具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電モジュールを構成する蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に、直方体状の電極組立体12と、電極組立体12の外面を覆う樹脂製の絶縁部材13と、電解液(図示略)と、が収容されている。絶縁部材13は、ケース11と電極組立体12と、を絶縁する。この実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0016】
ケース11は、ケース本体14と、当該ケース本体14に電極組立体12を挿入する開口部15を塞ぐ平板状の蓋体16と、からなる。ケース本体14と蓋体16は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。この実施形態においてケース本体14と蓋体16は、溶接(例えば、レーザ溶接)によって接合される。
【0017】
ケース本体14は、四角箱状であり、長辺と短辺を有する矩形平板状の底壁14aと、底壁14aの四辺から立設された複数の側壁と、を有する。底壁14aは、ケース本体14の開口部15を塞ぐ蓋体16と対向する。複数の側壁は、底壁14aの四辺において長辺に立設されるとともに対向する2つの長側壁14bと、底壁14aの四辺において短辺に立設されるとともに対向する2つの短側壁14cと、からなる。この実施形態において底壁14a、長側壁14b、短側壁14c及び蓋体16は、ケース11の外側に位置する面が平坦状である。また、この実施形態において、長側壁14bと短側壁14cは、同一高さである。長側壁14bは、短側壁14cよりも面積が大きく、この実施形態においてはケース11を構成するケース壁の中で最も面積が大きい。この実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。なお、この明細書において、角型電池における「面積の大小」は、ケース11の各壁面を法線方向から平面視した場合の大小を言う。
【0018】
電極組立体12は、正極電極12a、負極電極12b、及び正極電極12aと負極電極12bを絶縁するセパレータ12cを有する。正極電極12aは、正極金属箔(例えば、アルミニウム箔)の両面に正極活物質を含む正極活物質層を有するとともに、長辺と短辺からなる矩形状である。負極電極12bは、負極金属箔(例えば、銅箔)の両面に負極活物質を含む負極活物質層を有するとともに、長辺と他辺からなる矩形状である。電極組立体12は、正極電極12a及び負極電極12bの活物質層同士が一方向に沿って対向し合うように正極電極12aと負極電極12bとが交互に積層されるとともに、両電極の間にセパレータ12cが介在された積層構造である。セパレータ12cは、微多孔性フィルムである。
【0019】
積層構造の電極組立体12では、正極電極12a及び負極電極12bの活物質層同士が対向する方向が電極組立体12の積層方向Xとなる。そして、電極組立体12は、積層方向Xから見て正極活物質層と負極活物質層とが対向する対向領域17を有する。なお、対向領域17を正面視した場合の面積は、正極活物質層を正面視した面積と同一若しくはほぼ同一である。このため、対向領域17は、正極活物質層と負極活物質層とが対向する対向部であるとともに、積層された正極電極12aの正極活物質層に着目すれば正極活物質層が積層方向Xで対向する対向部でもある。
【0020】
そして、電極組立体12は、図1に示すように、積層方向Xとケース本体14の長側壁14bの対向方向と、が一致するようにケース本体14に収容されている。これにより、対向領域17は、電極組立体12をケース本体14に収容した状態において、図1のケース本体14に二点鎖線で示すように長側壁14bに面する。つまり、対向領域17は、長側壁14bに投影される。なお、長側壁14bは、ケース11に電極組立体12を収容した状態において、電極組立体12の積層方向Xに垂直なケース壁である。このため、電極組立体12の対向領域17は、電極組立体12の積層方向Xに垂直なケース壁に面するとも言える。因みに、短側壁14cは、電極組立体12の積層方向Xに平行なケース壁である。
【0021】
この実施形態において、長側壁14bは対向ケース壁となり、短側壁14cは電極組立体12の対向領域17に面しておらず、長側壁14bに連設される非対向ケース壁となる。また、この実施形態において、ケース本体14の底壁14aと、蓋体16は、何れも電極組立体12の対向領域17に面していない非対向ケース壁となる。
【0022】
二次電池10は、各正極電極12aから突出した各正極タブ18に接合(例えば溶接)された金属製の正極導電板19と、各負極電極12bから突出した各負極タブ20に接合(例えば溶接)された金属製の負極導電板21と、を有する。正極導電板19は、蓋体16からケース11外に露出する正極端子22と電気的に接続されているとともに、負極導電板21は、正極端子22と同様にケース11外に露出する負極端子23と電気的に接続されている。これにより、電極組立体12は、正極端子22と負極端子23のそれぞれに電気的に接続されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、蓄電モジュール30は、前述した二次電池10を有する。この実施形態において蓄電モジュール30は、複数の二次電池10を並設させて構成している。複数の二次電池10は、隣り合う二次電池10の長側壁14bが対向するように並設されている。
【0024】
そして、蓄電モジュール30は複数の拘束板を有し、蓄電モジュール30を構成する各二次電池10には拘束板を通じて拘束荷重が付与されている。この実施形態において拘束板は、金属製である。また、この実施形態の拘束板には、第1の拘束板31と第2の拘束板32と、を含む。第1の拘束板31は、図2及び図3に示すように、並設された複数の二次電池10のうち最も外側に位置する二次電池10よりも並設方向の外側に位置し、エンドプレートとして機能している。この実施形態の蓄電モジュール30は、一対の第1の拘束板31を有する。一方、第2の拘束板32は、図2及び図3に示すように、第1の拘束板31よりも二次電池10の並設方向の内側に位置し、二次電池10の長側壁14bに面している。この実施形態の蓄電モジュール30は、複数枚の第2の拘束板32を有する。
【0025】
そして、図2及び図3に示すように、各第1の拘束板31の四隅には、それぞれ通しボルト33が挿通されているとともに、各通しボルト33にナット34が螺合されている。これにより、全ての二次電池10及び全ての第2の拘束板32は、二次電池10の並設方向に挟持された状態で一体化されている。この実施形態の蓄電モジュール30において各二次電池10は、各第1の拘束板31と、各第2の拘束板32と、各通しボルト33と、各ナット34と、からなる拘束部材によって二次電池10の並設方向に拘束されている。この拘束により、各二次電池10は、二次電池10の並設方向に沿って位置するケース本体14の長側壁14bに拘束荷重が付与されているとともに、長側壁14bを通じて電極組立体12は積層方向Xから荷重が付与されている。
【0026】
図3及び図4に示すように、各第2の拘束板32は、隣り合う二次電池10の間に位置する場合に二次電池10の長側壁14bに面する第1面32aと第2面32bと、を有する。第1面32aと第2面32bは、第2の拘束板32の板厚方向で対向しており、第2面32bは第1面32aの反対側に位置する。また、この実施形態において第1面32aと第2面32bを正面視した場合の面積は、ケース本体14の長側壁14bを正面視した場合の面積と同一若しくはほぼ同一である。
【0027】
各第2の拘束板32は、第1面32aと第2面32bとを板厚方向に貫通する凹部としての孔32cを有する。この実施形態において孔32cは正面視矩形状に穿設されている。図4に示すように、孔32cは、第2の拘束板32を二次電池10に並設した状態において対向領域17の中央に対向する部位を含む位置に穿設されている。なお、対向領域17の中央は、電極組立体12を積層方向Xから正面視した場合の中央と一致する場合もあれば、一致しない場合もある。つまり、中央が一致するか否かは、電極が有する活物質層の位置によって決まる。
【0028】
そして、各第2の拘束板32は、図2及び図3に示すように蓄電モジュール30を組み立てた際に、孔32cの開口領域を除く第1面32aと第2面32bのそれぞれの部位が二次電池10の長側壁14bに接触する接触面32d,32eとなる。第1面32aの接触面32d、及び第2面32bの接触面32eは、それぞれ孔32cの開口の外側に位置する面である。なお、この実施形態の蓄電モジュール30では、第1の拘束板31に孔32cが穿設されておらず、第1の拘束板31を除く、全ての第2の拘束板32が孔32cを有する。
【0029】
以下、この実施形態の作用を説明する。
蓄電モジュール30は、前述した拘束部材の作用によって二次電池10の並設方向に沿って拘束荷重が付与されている。拘束荷重は、第2の拘束板32を介して二次電池10に付与される。このとき、各二次電池10には、第2の拘束板32に孔32cが穿設されていることから、長側壁14bに接触している第2の拘束板32の接触面32d,32eを通じて拘束荷重が付与されることになる。つまり、孔32cの穿設部位は長側壁14bに非接触の状態であるから、孔32cと対向する長側壁14bの部位には拘束荷重が付与されない。そして、孔32cは、対向領域17の中央を含む部位、つまり正極活物質層の中央を含む部位に対向していることから、当該中央を含む孔32cの開口面積分の領域には拘束荷重が付与されない。
【0030】
上記のように二次電池10を拘束した場合、第2の拘束板32との接触によって拘束荷重が付与されている部位では極間距離が短くなり、抵抗の低下によって電流が流れやすく、その結果、発熱が増加する。しかし、上記部位は、孔32cの開口面積分の領域の外側に位置し、対向領域17の中央から離間した部位(電極組立体12の縁部に近い部位)であるから、放熱性は高い。一方、第2の拘束板32と接触していない部位、つまり孔32cの開口に対向している部位は、拘束荷重が付与されていない部位となることで、極間距離が長くなり、抵抗が高くなることによって電流が流れ難く、その結果、発熱が低下する。
【0031】
なお、第2の拘束板32の孔32cは、対向領域17の中央に対向する部位を含む位置に穿設することを前提とし、その開口面積は任意に設定することができる。つまり、孔32cの開口面積は、二次電池10の出力と放熱性を加味し、シミュレーションなどによって得られた最適な結果をもとに決めることができる。
【0032】
また、この実施形態において第2の拘束板32は、上記したように二次電池10に拘束荷重を付与する部材として機能するとともに、二次電池10の発熱を吸収する吸熱部としても機能する。なお、第2の拘束板32は、二次電池10から吸収した熱を外部に放熱させる部材として作用させても良いし、二次電池10から吸収した熱を一時的に受ける所定の熱容量を有する部材(ヒートマス)として作用させても良い。
【0033】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)放熱性の低い部位(対向領域17の中央を含む部位)には拘束荷重が付与されないように第2の拘束板32を構成したので、セパレータの目詰まり(シャットダウン)の不均一化が発生しにくい。したがって、二次電池10の性能の低下を抑制できる。
【0034】
(2)一方、第2の拘束板32において孔32cの外側に位置する面を接触面32d,32eとしていることで、従前と同様に、二次電池10に拘束荷重を付与することができる。つまり、拘束荷重を付与することで、電流を流れやすくできる。
【0035】
(3)蓄電モジュール30を構成する全ての第2の拘束板32が孔32cを有することで、全ての二次電池10を同一条件下で使用することができる。その結果、蓄電モジュール30を構成する二次電池10のうち、一部の二次電池10が短期間で性能が低下するなどの事態の発生を抑制できる。つまり、各二次電池10の劣化を均一化することができる。
【0036】
(4)第2の拘束板32に孔32cを穿設したことにより、簡単な構成で上記(1)〜(3)の効果を生じさせることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0037】
図5(a),(b)に示すように、第2の拘束板32に凹部として穴(又は溝)40を設けても良い。また、穴40の場合は、図5(a)に示すように、第2の拘束板32の一面(例えば、第1面32a)に設けても良い。あるいは、穴40の場合は、図5(b)に示すように、第2の拘束板32の両面(第1面32aと第2面32b)に設けても良い。このように第2の拘束板32に穴40を設けることで、実施形態の孔32cと同様に拘束荷重が付与されなくなる。なお、第2の拘束板32の一面に穴40を設ける場合は、反対側の面が長側壁14bに接触することになるが、拘束荷重は付与されない、あるいはほぼ付与されない。
【0038】
○ 実施形態の孔32c、及び上記別例の穴40における開口形状は、任意に変更することができる。例えば、正面視した形状として、円形、楕円形、三角形、あるいは五角形以上の多角形でも良い。
【0039】
○ 蓄電モジュール30において第2の拘束板32の配置(枚数を含む)は任意に変更することができる。例えば、2つの二次電池10を考えた場合に、一方の長側壁14b同士を直接接触させ、他方の長側壁14bにそれぞれ第2の拘束板32を並設させても良い。
【0040】
○ 第2の拘束板32は、金属製に限らず、例えば樹脂製でも良い。
○ 蓄電モジュール30に拘束荷重を付与する場合、第1の拘束板31同士を締結することに限らず、他の方法を採用しても良い。
【0041】
○ 蓄電モジュール30は、単一の二次電池10と、一対の第1の拘束板31と、二次電池10に並設される第2の拘束板32と、によって構成しても良い。
○ 正極活物質層の面積と負極活物質層の面積は、同一面積でも良いし、異なる面積でも良い。
【0042】
○ 電極組立体12は、積層型に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回型でも良い。捲回型の電極組立体の場合、扁平面が重なる方向を電極組立体の積層方向とする。そして、正極活物質層と負極活物質層とが対向する対向領域(正極活物質層が対向する対向領域)は、扁平面に投影される。捲回型の電極組立体は、扁平面がケース本体14の長側壁14bに面するように収容される。
【0043】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。また、蓄電装置としてキャパシタでも良い。
【0044】
○ 二次電池10は、車両電源装置として自動車に搭載しても良いし、産業用車両に搭載しても良い。また、定置用の蓄電装置に適用しても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0045】
(イ)凹部は、第1面と第2面とを貫通する孔である。
【符号の説明】
【0046】
10…二次電池、11…ケース、12…電極組立体、14…ケース本体、14b…長側壁、12a…正極電極、12b…負極電極、12c…セパレータ、17…対向領域、30…蓄電モジュール、31…第1の拘束板、32…第2の拘束板、32a…第1面、32b…第2面、32c…孔、32d…接触面、32e…接触面、X…積層方向。
図1
図2
図3
図4
図5