(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.情報処理システムの基本構成
1−1.基本構成
1−2.課題の整理
2.実施形態の詳細な説明
2−1.構成
2−2.動作
2−3.効果
3.ハードウェア構成
4.変形例
【0023】
<<1.情報処理システムの基本構成>>
<1−1.基本構成>
本発明は、一例として「2.実施形態の詳細な説明」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。最初に、本発明の実施形態による情報処理システムの基本構成について
図1を参照して説明する。
【0024】
図1に示したように、本実施形態による情報処理システムは、モバイル端末10、通信網12、専用網14、WEB・DBサーバ20、IB(Internet Banking)サーバ22、およびホストコンピュータ24を含む。
【0025】
[1−1−1.モバイル端末10]
モバイル端末10は、本発明における情報処理装置の一例である。このモバイル端末10は、利用者が所持する携帯型の端末である。モバイル端末10は、例えばスマートフォンや、タブレット端末であってもよい。
【0026】
また、モバイル端末10は、スマートフォン通帳アプリを実装することが可能である。このスマートフォン通帳アプリは、例えば利用者の取引明細など、紙通帳に印字される内容とほぼ同内容をディスプレイに表示させるためのアプリケーションである。例えば、モバイル端末10は、スマートフォン通帳アプリにより、IBサーバ22から取得される利用者の取引明細を一覧化した、
図2に示したような取引明細画面をディスプレイに表示する。なお、取引明細とは、利用者の取引履歴のうち取引一件分の明細データである。
【0027】
[1−1−2.通信網12]
通信網12は、通信網12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網12は、電話回線網、インターネット、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN、WAN(Wide Area Network)などを含む。また、通信網12は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0028】
[1−1−3.専用網14]
専用網14は、金融機関内での情報の送受信に利用されるネットワークである。専用網14は、例えばIP−VPNなどにより構成される。
【0029】
[1−1−4.WEB・DBサーバ20]
WEB・DBサーバ20は、通信網12に接続される各装置と専用網14に接続される各装置との間の通信を中継する装置である。このWEB・DBサーバ20は、主に専用網14に接続される各装置のセキュリティを高めることを目的として設置される。
【0030】
例えば、WEB・DBサーバ20は、モバイル端末10から取引明細の取得要求を受信した場合には、受信した取得要求をIBサーバ22へ転送する。また、WEB・DBサーバ20は、モバイル端末10の利用者の取引明細をIBサーバ22から受信した場合には、受信した取引明細をモバイル端末10へ転送する。
【0031】
[1−1−5.IBサーバ22]
IBサーバ22は、本発明における管理装置の一例である。IBサーバ22は、金融機関のインターネットバンキングシステムを管理するための装置である。例えば、IBサーバ22は、モバイル端末10の利用者と対応づけて、利用者の取引明細を記憶する。
【0032】
なお、IBサーバ22では、記憶容量の制約上、利用者の取引明細が例えば数か月など所定の期間だけ保存されることが定められている。
【0033】
[1−1−6.ホストコンピュータ24]
ホストコンピュータ24は、入出金や振込などの各種の金銭取引(勘定の取引処理)を処理するための装置である。また、ホストコンピュータ24は、金融機関のATM(図示省略)における顧客の取引履歴を取得し、管理する。例えば、ホストコンピュータ24は、ATMにおける顧客の取引内容、紙通帳への記帳履歴、ATMにおける取引内容が記載された紙明細の出力履歴などを記憶する。
【0034】
なお、本実施形態による情報処理システムは、上記の構成に限定されない。例えば、WEB・DBサーバ20は含まれなくてもよい。
【0035】
<1−2.課題の整理>
以上、本実施形態による情報処理システムの基本構成について説明した。上述したように、IBサーバ22では、利用者の取引明細を所定の期間だけしか保存しない。このため、モバイル端末10が未取得のまま取引明細の保存期限が経過した場合には、モバイル端末10は、該当の取引明細をIBサーバ22から取得できなくなる。
【0036】
例えば、
図3に示したように、取引明細の保存期限が経過してしまい、該当の取引明細をIBサーバ22から取得不可能になった場合には、取引明細画面30bにおいて取引明細の表示抜けが生じてしまう。なお、
図3では、「2014年2月5日」〜「2014年2月21」の期間における取引明細がIBサーバ22から取得不可能であることを示している。
【0037】
ところで、利用者は、IBサーバ22から取得不可能となった取引明細が印刷されている紙媒体を所持している可能性がある。例えば、利用者は、ATMにおいて該当の取引明細を紙通帳に記帳していたり、あるいは、対応する取引をATMで行っており、かつATMから出力された紙明細を所持している可能性がある。
【0038】
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態によるモバイル端末10を創作するに至った。本実施形態によるモバイル端末10は、記憶されている取引履歴の欠損を補完することが可能である。
【0039】
<<2.実施形態の詳細な説明>>
<2−1.構成>
次に、本実施形態による構成について詳細に説明する。
図4は、本実施形態によるモバイル端末10の構成を示した機能ブロック図である。
図4に示したように、モバイル端末10は、制御部100、通信部120、撮影部122、操作表示部124、および記憶部126を有する。
【0040】
[2−1−1.制御部100]
制御部100は、モバイル端末10に内蔵される、後述するCPU(Central Processing Unit)150、RAM(Random Access Memory)154などのハードウェアを用いて、モバイル端末10の動作を全般的に制御する。また、
図4に示したように、制御部100は、判断部102、取引履歴補完部104、要求部106、および表示制御部108を有する。
【0041】
[2−1−2.判断部102]
判断部102は、後述する取引明細DB128に記録されている取引明細が欠損しているか否かを判断する。より具体的には、判断部102は、利用者により過去に行われた取引の取引明細のうち、取引明細DB128に記録されていない取引明細が存在するか否かを判断する。
【0042】
例えば、判断部102は、まず、IBサーバ22から受信される取得不可明細の有無情報に基づいて、未取得のままIBサーバ22から取得不可能となった取引明細(以下、取得不可明細とも称する)の有無を確認する。そして、取得不可明細が存在する場合には、判断部102は、取引明細が欠損していると判断する。なお、取得不可明細の有無情報は、例えば、IBサーバ22において取引明細の1件ごとにWEB・DBサーバ20からのアクセスを受け取得されたか否かを管理し、取得されないまま削除された取引履歴があれば、当該顧客について取得不可明細が存在する、と判断することにより決定される。
【0043】
一例として、
図3に示した取引明細画面30bに対応する取引明細が取引明細DB128に記録されている場合について説明すると、判断部102は、IBサーバ22から受信された取得不可明細の有無情報に基づいて、取引明細DB128に記録されている取引明細のうち、「2014年2月5日」〜「2014年2月21日」の期間における取引明細が欠損していると判断する。
【0044】
なお、取引明細DB128は、モバイル端末10により取得された複数の取引明細が記録されるデータベースである。取引明細DB128では、例えば、取引明細に含まれる取引年月日、取引内容、支払金額、預り金額、差引残高、および備考欄の内容が対応づけて記録される。
【0045】
[2−1−3.取引履歴補完部104]
取引履歴補完部104は、取引明細DB128に記録されている取引明細に欠損があると判断部102により判断された場合に、後述する通信部120または撮影部122により取得される紙媒体の画像に基づいて、欠損している取引明細を補完する。より具体的には、取引明細DB128において欠損していると判断された取引明細が、通信部120または撮影部122を介して取得された紙媒体の画像から得られる明細データの中に含まれる場合に、取引履歴補完部104は、取得された紙媒体の画像に基づいて、欠損している取引明細を補完する。
【0046】
(2−1−3−1.補完例1)
ここで、
図5〜
図7を参照して、上記の機能についてさらに詳細に説明する。
図5〜
図6は、利用者の取引明細が記帳された紙通帳の明細ページの例(紙通帳40)を示した説明図である。なお、
図5では、「2014年2月3日」〜「2014年2月12日」の期間、また、
図6では、「2014年2月13日」〜「2014年2月22日」の期間において、利用者が行った取引の明細がそれぞれ印刷されている例を示している。
【0047】
例えば、
図5および
図6に示した紙通帳40が後述する撮影部122またはスキャナ(図示省略)により読み取られ、かつ、読み取られた画像がモバイル端末10に取得された場合を仮定する。この場合には、取引履歴補完部104は、まず、読み取られた画像に対して文字認識を行うことにより、取引明細1件ごとの明細データを生成する。次に、取引履歴補完部104は、取引明細DB128に記録されている取引明細と、生成した全ての明細データとを、例えば取引日や取引内容などをキーとして突合する。そして、取引履歴補完部104は、生成した明細データのうち取引明細DB128に記録されていない明細データを特定し、そして、特定した明細データを取引明細DB128に追加記録する。
【0048】
例えば、
図3に示した取引明細画面30bに対応する取引明細が取引明細DB128に記録されている場合について説明すると、取引履歴補完部104は、
図5および
図6に示した紙通帳40の読み取り画像から生成される明細データのうち、
図5および
図6において太線で囲んだ領域に対応する明細データ、つまり「2014年2月5日」〜「2014年2月21日」の期間の明細データのみが取引明細DB128に記録されていないことを特定する。そして、取引履歴補完部104は、上記の期間の明細データのみを取引明細DB128に追加記録する。
【0049】
このような補完を行うことにより、モバイル端末10は、例えば
図7に示した取引明細画面30cのように、
図3に示した取引明細画面30bにおいて表示抜けしていた「2014年2月5日」以降の取引明細を、紙通帳40に記帳されている通りに表示することが可能となる。
【0050】
(2−1−3−2.補完例2)
また、
図8は、例えばATMにおける取引後に出力された紙明細の例(紙明細42)を示した説明図である。なお、
図8では、「2014年2月5日」において、利用者が行った一取引の取引明細が印刷されている例を示している。
【0051】
例えば、撮影部122またはスキャナにより読み取られた紙明細42の画像が取得された場合には、取引履歴補完部104は、まず、例えば
図8において太線で示したような、紙明細42の画像に含まれる各項目欄420に対して文字認識を行うことにより、1件の明細データを生成する。そして、取引履歴補完部104は、取引明細DB128に記録されている取引明細と、生成した明細データとを突合する。そして、取引履歴補完部104は、生成した明細データが取引明細DB128に記録されていない場合には、生成した明細データを取引明細DB128に追加記録する。
【0052】
なお、変形例として、撮影部122またはスキャナにより複数の紙明細が1枚の画像として読み取られた場合には、取引履歴補完部104は、上記の同様に、読み取られた画像に含まれる各項目欄420に対して文字認識を行うことにより、画像に含まれる紙明細の枚数だけ明細データを生成することも可能である。
【0053】
[2−1−4.要求部106]
要求部106は、利用者の取引明細の取得要求をWEB・DBサーバ20へ通信部120に送信させる。また、要求部106は、WEB・DBサーバ20から受信される取引明細を取引明細DB128に記録する。
【0054】
また、要求部106は、紙媒体への取引明細の出力情報(以下、紙媒体出力情報とも称する)の提供要求をホストコンピュータ24へ通信部120に送信させる。例えば、要求部106は、取引明細DB128において欠損していると判断部102により判断された取引明細に関する、紙媒体への出力情報の提供要求をホストコンピュータ24へ通信部120に送信させる。
【0055】
なお、紙媒体出力情報は、例えば紙媒体が紙通帳である場合には、記帳が行われた日、および記帳された取引明細の取引日ごとの件数などを含み、また、紙媒体が紙明細である場合には、紙明細が出力された日などを含む。
【0056】
[2−1−5.表示制御部108]
(2−1−5−1.表示例1)
表示制御部108は、各種の表示画面を、後述する操作表示部124に表示させる。例えば、表示制御部108は、取引明細DB128に記録されている1以上の取引明細を含む取引明細画面を生成し、そして、生成した取引明細画面を操作表示部124に表示させる。
【0057】
(2−1−5−2.表示例2)
また、表示制御部108は、表示されている表示画面上に各種の情報を追加表示させる。例えば、表示制御部108は、ホストコンピュータ24から受信される紙媒体出力情報に基づいて、欠損している取引明細を紙媒体から読み取ることを利用者に対して誘導する表示を表示画面に追加表示させる。
【0058】
より詳細には、受信された紙媒体出力情報が、取得不可明細が紙通帳および紙明細の両方に出力されたことを示す場合には、表示制御部108は、まず、紙通帳において、取得不可明細の一部が記帳されている明細ページの読み取りを誘導する表示を表示画面に表示させる。例えば、表示制御部108は、「2014年2月6日〜2014年2月21日の明細が記帳されているページを読み取って下さい」などのように、取得不可明細に対応する取引日や、取引日ごとの件数などを表示させる。
【0059】
そして、表示制御部108は、紙通帳の読み取りが終了した後に、残りの取得不可明細が記載されている紙明細を読み取ることを誘導する表示を表示画面に表示させる。例えば、表示制御部108は、「2014年2月5日に発行された紙明細を読み取ってください」などのように、紙明細の出力日などを表示させる。
【0060】
または、受信された紙媒体出力情報が、取得不可明細が複数の紙明細に出力されたことを示す場合には、表示制御部108は、取引日時の順に、該当の紙明細を読み取ることを誘導する表示を、紙明細が読み取られる度に順次表示させる。
【0061】
この表示例2によれば、記帳履歴や、ATMの利用履歴を利用者に知らせることができる。このため、例えば、取得不可明細に対応する期間においてATMを利用した事実を利用者が忘れている場合などに、紙明細の出力日が表示されることにより、利用者は、該当の期間においてATMを利用した事実を思い出すことができ、かつ、該当の紙明細を所持していないか確認することができる。その結果、より多くの取引明細を補完できる可能性が高まる。
【0062】
[2−1−6.通信部120]
通信部120は、本発明における受信部および取得部の一例である。通信部120は、通信網12を介して、他の装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部120は、要求部106の制御に従って、利用者の取引明細の取得要求をWEB・DBサーバ20へ送信する。また、通信部120は、利用者の取引明細をWEB・DBサーバ20から受信する。
【0063】
また、通信部120は、例えば通信網12に接続されたスキャナから、スキャナにより読み取られた、紙通帳の明細ページの画像または紙明細の画像を受信する。
【0064】
[2−1−7.撮影部122]
撮影部122は、本発明における取得部の一例である。撮影部122は、利用者の操作に応じて、外環境を撮影する。例えば、撮影部122は、撮影可能範囲に配置されている紙通帳の明細ページまたは紙明細を、利用者の操作に応じて撮影する。
【0065】
[2−1−8.操作表示部124]
操作表示部124は、表示制御部108の制御に従って、例えば取引明細画面などの各種の表示画面を表示する。
【0066】
また、操作表示部124は、利用者によるモバイル端末10に対する各種の入力操作を受け付ける。例えば、操作表示部124は、取引明細画面に表示されている選択項目に対する利用者の選択操作を受け付ける。
【0067】
[2−1−9.記憶部126]
記憶部126は、例えば、取引明細DB128などの各種データや、スマートフォン通帳アプリなどの各種ソフトウェアを記憶する。
【0068】
なお、本実施形態によるモバイル端末10の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、撮影部122は含まれなくてもよい。また、取引明細DB128は、記憶部126に記憶される代わりに、通信網12に接続可能な他の装置に記憶されることも可能である。
【0069】
<2−2.動作>
以上、本実施形態による構成について説明した。続いて、本実施形態による動作について説明する。なお、以下では、モバイル端末10において利用者が取引明細を確認する場面における動作の例について説明する。
【0070】
[2−2−1.全体的な動作]
図9は、本実施形態による全体的な動作を示したシーケンス図である。
図9に示したように、まず、モバイル端末10の制御部100は、例えば操作表示部124に対する利用者の操作に応じて、記憶部126に記憶されているスマートフォン通帳アプリを起動する(S101)。
【0071】
その後、要求部106は、例えば操作表示部124に対する利用者の操作に応じて、未取得の取引明細の取得要求をWEB・DBサーバ20へ通信部120に送信させる(S102)。
【0072】
その後、WEB・DBサーバ20は、S102で受信された、取引明細の取得要求をIBサーバ22へ転送する(S103)。
【0073】
その後、IBサーバ22は、S103で受信された、取引明細の取得要求に応じて、モバイル端末10の利用者の取引明細のうち未提供の取引明細を抽出する。さらに、IBサーバ22は、当該利用者の取引明細のうち取得不可明細の有無を確認する。続いて、IBサーバ22は、抽出された取引明細、および取得不可明細の有無情報をWEB・DBサーバ20へ送信する。その後、WEB・DBサーバ20は、IBサーバ22から受信された、取引明細、および取得不可明細の有無情報をモバイル端末10へ転送する(S104)。
【0074】
その後、モバイル端末10の要求部106は、S104で受信された取引明細を取引明細DB128に記録する(S105)。
【0075】
続いて、判断部102は、S104で受信された取得不可明細の有無情報に基づいて、取得不可明細の有無を判断する(S106)。取得不可明細が存在しないと判断された場合には(S106:No)、モバイル端末10は、後述するS116の動作を行う。
【0076】
一方、取得不可明細が存在すると判断された場合には(S106:Yes)、モバイル端末10の要求部106は、紙媒体出力情報の提供要求をWEB・DBサーバ20へ通信部120に送信させる(S107)。
【0077】
その後、WEB・DBサーバ20は、S107で受信された提供要求をホストコンピュータ24へ転送する(S108)。
【0078】
その後、ホストコンピュータ24は、S108で受信された提供要求に基づいて、該当の取得不可明細に対応する期間における、記帳または紙明細の出力の有無などを確認する。そして、ホストコンピュータ24は、確認結果に基づいて紙媒体出力情報を生成し、そして、生成した紙媒体出力情報をWEB・DBサーバ20へ送信する。その後、WEB・DBサーバ20は、ホストコンピュータ24から受信された紙媒体出力情報をモバイル端末10へ転送する(S109)。
【0079】
その後、判断部102は、S109で受信された紙媒体出力情報に基づいて、該当の取得不可明細に対応する期間における記帳または紙明細の出力の有無を判定する(S110)。記帳または紙明細の出力がないと判定された場合には(S110:No)、モバイル端末10は、後述するS116の動作を行う。
【0080】
一方、記帳または紙明細の出力があると判定された場合には(S110:Yes)、表示制御部108は、S109で受信された紙媒体出力情報に基づいて、取得不可明細を紙通帳または紙明細から読み取ることを利用者に対して誘導する表示を表示画面に追加表示させる(S111)。
【0081】
その後、利用者は、紙通帳または紙明細の読み取り機能を起動させる(S112)。例えば、モバイル端末10は、
図3に示した取引明細画面30における明細取得不可表示欄302が利用者によりタップされるなど、操作表示部124に対する操作を検出した場合には、撮影部122を撮影可能状態に設定する。または、利用者は、スキャナを起動させる。
【0082】
その後、モバイル端末10は、後述する「通帳・明細取込み処理」を行う(S113)。
【0083】
その後、利用者は、取得不可明細のうち他に取込み可能な取引明細が、利用者が所持する紙通帳または紙明細に記録されているか否かを判断する(S114)。他に取込み可能な取引明細が記録されている場合には(S114:Yes)、モバイル端末10は、再びS113の動作を行う。
【0084】
一方、他に取込み可能な取引明細がない場合には(S114:No)、利用者は、紙通帳または紙明細の読み取り機能を終了させる(S115)。
【0085】
その後、表示制御部108は、操作表示部124に対する利用者の操作に応じて、取引明細DB128を参照することにより、取引明細画面を生成する。そして、表示制御部108は、生成した取引明細画面を操作表示部124に表示させる(S116)。
【0086】
[2−2−2.通帳・明細取込み処理]
次に、
図10を参照して、S113における「通帳・明細取込み処理」について詳細に説明する。
【0087】
まず、利用者は、取得不可明細が印刷されている、紙通帳の該当ページまたは紙明細を、モバイル端末10の撮影部122により撮影する。あるいは、利用者は、紙通帳の該当ページまたは紙明細をスキャナに読み取らせ、そして、読み取られた画像をモバイル端末10へスキャナに送信させる(S201)。
【0088】
続いて、取引履歴補完部104は、撮影部122により撮影された画像、またはスキャナから受信された画像に対して文字認識を行うことにより、明細データを生成する(S202)。
【0089】
続いて、取引履歴補完部104は、取引明細DB128に記録されている明細データと、S202で生成された全ての明細データとを突合する。そして、取引履歴補完部104は、S202で生成された明細データにのみ含まれる取引明細を特定する。(S203)。
【0090】
その後、取引履歴補完部104は、特定した取引明細のデータを取引明細DB128に追加記録する(S204)。
【0091】
<2−3.効果>
以上、例えば
図4、
図9、および
図10等を参照して説明したように、本実施形態によるモバイル端末10は、取引明細が印刷されている紙媒体から読み取られた明細データを取得し、そして、取引明細DB128において欠損している取引明細を、取得された明細データにより補完する。
【0092】
このため、仮に欠損している取引明細がIBサーバ22において保存期間が経過しており取得不可能となっているとしても、モバイル端末10は、欠損している取引明細が印刷されている紙媒体から生成される明細データを用いて補完することができる。
【0093】
<<3.ハードウェア構成>>
以上、本発明の実施形態について説明した。次に、本実施形態によるモバイル端末10のハードウェア構成について、
図11を参照して説明する。
図11に示したように、モバイル端末10は、CPU150、ROM(Read Only Memory)152、RAM154、内部バス156、入出力インターフェース158、入力装置160、出力装置162、HDD(Hard Disk Drive)164、ネットワークインターフェース166、およびカメラ168を備える。
【0094】
<3−1.CPU150>
CPU150は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってモバイル端末10内の動作全般を制御する。また、CPU150は、モバイル端末10において制御部100の機能を実現する。なお、CPU150は、マイクロプロセッサなどのプロセッサにより構成される。
【0095】
<3−2.ROM152>
ROM152は、CPU150が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。
【0096】
<3−3.RAM154>
RAM154は、CPU150の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0097】
<3−4.内部バス156>
内部バス156は、CPUバスなどから構成される。この内部バス156は、CPU150、ROM152、およびRAM154を相互に接続する。
【0098】
<3−5.入出力インターフェース158>
入出力インターフェース158は、HDD164、およびネットワークインターフェース166を、内部バス156と接続する。例えばHDD164は、この入出力インターフェース158および内部バス156を介して、RAM154などとの間でデータをやり取りする。
【0099】
<3−6.入力装置160>
入力装置160は、例えばタッチパネル、ボタン、マイクロフォン、およびスイッチなど利用者が情報を入力するための入力手段と、利用者による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU150に出力する入力制御回路などから構成されている。利用者は、入力装置160を操作することにより、モバイル端末10に対して各種のデータを入力したり、処理内容を指示したりすることができる。
【0100】
<3−7.出力装置162>
出力装置162は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置162は、スピーカーなどの音声出力装置を含むことも可能である。
【0101】
<3−8.HDD164>
HDD164は、記憶部126として機能する、データ格納用の装置である。このHDD164は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含む。また、HDD164は、CPU150が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0102】
<3−9.ネットワークインターフェース166>
ネットワークインターフェース166は、例えばインターネットなどの通信網に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。このネットワークインターフェース166は、通信部120として機能する。なお、ネットワークインターフェース166は、無線LAN対応通信装置、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置、または有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0103】
<3−10.カメラ168>
カメラ168は、外部の映像を、レンズを通して例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子に結像させ、静止画像又は動画像を撮影する機能を有する。
【0104】
<<4.変形例>>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
<4−1.変形例1>
例えば、2−2−1節では、モバイル端末10(の要求部106)が紙媒体出力情報の提供要求をホストコンピュータ24へ送信する例について説明したが、かかる例に限定されない。モバイル端末10は、紙媒体出力情報の提供要求をホストコンピュータ24へ送信しなくてもよい。つまり、S107〜S110の動作は省略されてもよい。
【0106】
<4−2.変形例2>
また、モバイル端末10(の取引履歴補完部104)は、取引明細の補完に先立ち、紙媒体が例えば他人の紙媒体ではないことを認証することも可能である。
【0107】
[4−2−1.紙通帳の場合]
例えば、紙媒体が紙通帳である場合には、取引履歴補完部104は、紙通帳の読み取り画像から生成された明細データと、取引明細DB128に記録されている取引明細との両方に含まれる例えば取引日が同一である取引明細を特定する。そして、特定された取引明細に関して、取引履歴補完部104は、差引残高の金額が一致するか否かを判断することにより、紙通帳の正当性を認証する。
【0108】
あるいは、取引履歴補完部104は、(取引明細の補完に先立ち)まず、撮影部122またはスキャナにより読み取られた、紙通帳の表紙の画像に対して文字認識を行うことにより、紙通帳の口座番号を取得する。そして、取引履歴補完部104は、取得された口座番号が利用者の口座番号と同一であるか否かを判定することにより、紙通帳の正当性を認証する。
【0109】
[4−2−2.紙明細の場合]
また、紙媒体が紙明細である場合には、取引履歴補完部104は、まず、読み取られた紙明細の画像に含まれる、口座番号の項目欄420aに対して文字認識を行うことにより、紙明細の口座番号を取得する。そして、取引履歴補完部104は、取得された口座番号が利用者の口座番号と同一であるか否かを判定することにより、紙明細の正当性を認証する。
【0110】
<4−3.変形例3>
また、本実施形態によれば、CPU150、ROM152、およびRAM154などのハードウェアを、上述したモバイル端末10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも提供可能である。また、該コンピュータプログラムが記録された記録媒体も提供される。