(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、開示の管理装置、端末装置、および管理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる管理システム100の動作例を示す説明図である。管理システム100は、管理対象装置101の保守の支援を行うシステムである。具体的には、製造元から出荷された管理対象装置101のオンサイト拠点に所属する保守要員は、障害が発生した際、または定期的に、管理対象装置101が設置された拠点に出向き、管理対象装置101の保守サービスとして、管理対象装置101の保守を行う。例えば、保守要員は、障害が発生した際、管理対象装置101が設置された拠点において、管理対象装置101を直接操作して障害の発生となった原因を追究する。また、保守要員は、管理対象装置101の内部に蓄えられた管理対象装置101の動作結果を示す情報を収集したり、他の箇所で見つかった不具合を解消するため、管理対象装置101の部品を交換したり、管理対象装置101のファームウェアを更新したりする。また、管理対象装置101は、どのようなものでもよく、例えば、ストレージ装置等である。また、管理対象装置101は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0011】
ここで、例えば、管理対象装置101を用いる現地作業員が入力した、管理対象装置101の設置場所を特定する情報や管理対象装置101の識別情報を含む管理対象装置101の管理情報に基づいて、保守要員は、管理対象装置101の管理、運用を行う。しかしながら、現地作業員による入力漏れや入力ミスにより、正確な情報を得られないと、保守作業が困難となる。例えば、現地作業員が管理対象装置101の識別情報として装置号機名を誤って入力した場合、管理対象装置101に詳しくない保守要員が、管理対象装置101が設置された拠点に出向いてしまうおそれがあり、保守にかかるコストが増大する。また、現地作業員が管理対象装置101の設置場所を特定する情報を誤って入力した場合、保守要員は、管理対象装置101が設置された拠点にたどり着くことが困難となり、保守にかかるコストが増大する。
【0012】
正確な管理対象装置101の管理情報を得るため、現地作業員が、GPS機能を有する携帯端末を用いて、メール等で管理対象装置101の管理情報を入力して発信することが考えられる。しかしながら、現地作業員が入力した情報の入力漏れや入力ミスが発生するおそれがある。また、管理対象装置101がネットワークインターフェースを有するならば、管理対象装置101から管理対象装置101の管理情報を発信することが考えられる。しかしながら、管理対象装置101が設置された拠点のセキュリティ上、外部ネットワークへのアクセスが制限されており、管理対象装置101が、管理対象装置101の管理情報を発信できない場合がある。
【0013】
このように、正確な管理対象装置101の情報を得ることができないと、管理対象装置101の動作結果を示す情報等を収集することや、管理対象装置101の不具合の情報を展開することが困難となり、管理対象装置101の品質向上を阻害する原因となる。また、管理対象装置101が設置された拠点が製造元の国とは異なる国にある場合、現地作業員が管理対象装置101の情報を入力する内容を正しく理解できなかった結果、正確な管理対象装置101の管理情報を入力できなくなる場合がある。
【0014】
そこで、本実施の形態にかかる管理システム100は、開梱時に管理対象装置101と同梱された端末装置から受信した端末装置の位置情報から、管理対象装置101の設置場所を特定する情報を作成する。これにより、管理システム100は、現地作業員による設置場所の入力を伴わずに管理対象装置101の管理情報を作成することができるため、設置場所を特定する情報を含む管理対象装置101の管理情報が正確になる。
【0015】
図1に示す管理システム100は、管理装置102と、端末装置103とを有する。管理対象装置101と端末装置103とはネットワーク110により接続される。
図1の例では、端末装置103とネットワーク110とは無線通信により接続され、管理対象装置101とネットワーク110とは有線通信により接続される。
【0016】
管理装置102は、管理対象装置101を管理するコンピュータである。管理装置102は、例えば、サーバである。また、管理装置102は、例えば、パーソナル・コンピュータでもよい。端末装置103は、管理対象装置101と同一拠点に設置されており、かつ、位置情報を取得可能であり、かつ、管理対象装置101の識別情報を記憶するコンピュータである。管理対象装置101の識別情報について、管理対象装置101が複数あるならば、端末装置103は、全ての管理対象装置101の識別情報を記憶する。
【0017】
ここで、同一拠点であることを担保するために、例えば、管理対象装置101の製造元は、端末装置103と管理対象装置101とを同一の箱に梱包して出荷する。そして、現地作業員が、箱を開梱して管理対象装置101と端末装置103とを設置することにより、端末装置103と管理対象装置101とが同一拠点であることを担保することができる。また、現地作業員が、箱を開梱して管理対象装置101を箱から取り出して設置する一方で、端末装置103については箱の中から取り出さずに箱を拠点内に保管したとしても、端末装置103と管理対象装置101とが同一拠点であることを担保することができる。
図1の例では、管理対象装置101と端末装置103とは、拠点bsに設置されたものである。
【0018】
また、位置情報の取得方法について、例えば、端末装置103は、GPSセンサを有し、GPSセンサから得られた位置情報を取得してもよいし、端末装置103の近傍にある基地局から位置情報を取得してもよい。
図1の例では、端末装置103は、GPSセンサを介して得られたGPS衛星111との通信により、端末装置103の位置情報を取得する。
【0019】
端末装置103の位置情報を取得した後、端末装置103は、管理対象装置101の識別情報121と、端末装置103の位置情報122とを対応付けて管理対象装置101に送信する。管理対象装置101は、管理対象装置101の識別情報121と、端末装置103の位置情報122とを受信する。そして、管理対象装置101は、端末装置103の位置情報122に基づいて、管理対象装置101の設置場所を特定する情報を含む管理対象装置101の管理情報123を作成する。
【0020】
具体的には、例えば、管理対象装置101は、端末装置103の位置情報122を、管理対象装置101の位置情報と見做して、端末装置103の位置情報を管理対象装置101の設置場所とする。また、管理対象装置101は、端末装置103の位置情報122を、住所を示す文字列に変換して、変換した文字列を管理対象装置101の設置場所としてもよい。
【0021】
次に、
図2を用いて管理装置102のハードウェア構成例を示し、
図3を用いて端末装置103のハードウェア構成例を示し、
図4を用いて管理システム100の機能構成例を示す。
【0022】
図2は、管理装置102のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2において、管理装置102は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、を含む。また、管理装置102は、ディスクドライブ204およびディスク205と、通信インターフェース206と、MMI(Man Machine Interface)207と、を含む。また、CPU201〜ディスクドライブ204、通信インターフェース206、MMI207はバス208によってそれぞれ接続される。
【0023】
CPU201は、管理装置102の全体の制御を司る演算処理装置である。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。
【0024】
ディスクドライブ204は、CPU201の制御に従ってディスク205に対するデータのリードおよびライトを制御する制御装置である。ディスクドライブ204には、例えば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを採用することができる。ディスク205は、ディスクドライブ204の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発性メモリである。例えばディスクドライブ204が磁気ディスクドライブである場合、ディスク205には、磁気ディスクを採用することができる。また、ディスクドライブ204がソリッドステートドライブである場合、ディスク205には、半導体素子によって形成された半導体メモリ、いわゆる半導体ディスクを採用することができる。
【0025】
通信インターフェース206は、ネットワーク110と内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する制御装置である。具体的に、通信インターフェース206は、通信回線を通じてネットワーク110を介して端末装置103等の他の装置に接続される。通信インターフェース206には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。MMI207は、管理装置102の利用者と管理装置102を仲立ちする装置である。
【0026】
図3は、端末装置103のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3において、端末装置103は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ディスクドライブ304と、ディスク305と、通信インターフェース306と、を有する。さらに、端末装置103は、GPSセンサ307と、を有する。また、CPU301〜ディスクドライブ304、通信インターフェース306、GPSセンサ307は、バス308によってそれぞれ接続される。
【0027】
ここで、CPU301は、端末装置103の全体の制御を司る演算処理装置である。ROM302は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。ディスクドライブ304は、CPU301の制御に従ってディスク305に対するデータのリード/ライトを制御する制御装置である。ディスク305は、ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発性メモリである。ディスクドライブ304には、例えば、ソリッドステートドライブ等を採用することができる。ディスクドライブ304がソリッドステートドライブである場合、ディスク305には、半導体メモリ、いわゆる半導体ディスクを採用することができる。
【0028】
通信インターフェース306は、ネットワーク110と内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する制御装置である。具体的に、通信インターフェース306は、通信回線を通じてネットワーク110に接続され、ネットワーク110を介して他のコンピュータに接続される。そして、通信インターフェース306は、ネットワーク110と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。GPSセンサ307は、GPS衛星から信号を受信して、端末装置103の位置情報を得るセンサである。なお、
図3に示した端末装置103は、専用の端末装置を想定するが、スマートフォンやタブレット端末や、携帯電話でもよい。
【0029】
(管理システム100の機能構成例)
図4は、管理システム100の機能構成例を示すブロック図である。端末装置103は、制御部401を有する。そして、制御部401は、取得部402と、送信部403とを含む。制御部401は、記憶装置に記憶された管理プログラムをCPU301が実行することにより、各部の機能を実現する。記憶装置とは、具体的には、例えば、
図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などである。また、各部の処理結果は、CPU301のレジスタや、CPU301のキャッシュメモリ等に格納される。
【0030】
また、
図4には示していないが、端末装置103は、端末装置103と同一拠点に設置される管理対象装置101の識別情報を記憶する記憶部を有する。管理対象装置101の識別情報は、ディスク305といった記憶装置に格納されている。
【0031】
また、管理装置102は、制御部411を有する。そして、制御部411は、受信部412と、特定部413と、作成部414とを含む。制御部411は、記憶装置に記憶された管理プログラムをCPU201が実行することにより、各部の機能を実現する。記憶装置とは、具体的には、例えば、
図2に示したROM202、RAM203、ディスク205などである。また、各部の処理結果は、CPU201のレジスタや、CPU201のキャッシュメモリ等に格納される。
【0032】
また、管理装置102は、アドレス管理テーブル421、保守拠点情報管理テーブル422、管理情報テーブル423を有する記憶部を有する。アドレス管理テーブル421、保守拠点情報管理テーブル422、管理情報テーブル423は、ディスク205といった記憶装置に格納されている。
【0033】
アドレス管理テーブル421は、管理対象となる端末装置103の識別情報として、メールアドレスを記憶するテーブルである。アドレス管理テーブル421の記憶内容の一例は、
図5で説明する。
【0034】
保守拠点情報管理テーブル422は、管理対象装置101を保守する者が所属する複数の保守拠点の各々の保守拠点に対応する位置情報を記憶するテーブルである。保守拠点情報管理テーブル422の記憶内容の一例は、
図6で説明する。
【0035】
管理情報テーブル423は、管理情報を記憶するテーブルである。管理情報テーブル423の記憶内容の一例は、
図7、
図8で説明する。
【0036】
取得部402は、自装置となる端末装置103の位置情報を取得する。具体的な位置情報の取得例については、例えば、
図1で説明した方法がある。また、管理対象装置101と端末装置103とが同一の箱に梱包されているとする。このとき、取得部402は、箱が開梱されたことを検出した場合、端末装置103の位置情報を取得してもよい。開梱を検出する方法としては、例えば、特許文献1に記載された方法がある。また、取得するタイミングとしては、例えば、取得部402は、現地作業員に端末装置103の電源ボタンを押下された場合に、端末装置103の位置情報を取得してもよい。
【0037】
送信部403は、管理対象装置101の識別情報と端末装置103の位置情報とを対応付けて管理装置102に送信する。
【0038】
受信部412は、端末装置103から、管理対象装置101の識別情報と端末装置103の位置情報とを受信する。
【0039】
また、受信部412は、端末装置103から、管理対象装置101の識別情報と端末装置103の位置情報と端末装置103の識別情報とを受信してもよい。
【0040】
特定部413は、保守拠点情報管理テーブル422を参照して、複数の保守拠点のうちの受信部412が受信した端末装置103の位置情報に応じたいずれかの保守拠点を特定する。例えば、特定部413は、複数の保守拠点のうちの端末装置103の位置情報が示す座標位置から最も近い保守拠点を特定する。
【0041】
作成部414は、受信部412が受信した位置情報に基づいて、受信部412が受信した識別情報から識別される管理対象装置101の設置場所を特定する情報を含む管理対象装置101の管理情報を作成する。
【0042】
また、作成部414は、管理対象装置101の設置場所を特定する情報と、特定部413が特定したいずれかの保守拠点の位置情報とを含む管理対象装置101の管理情報を作成してもよい。
【0043】
また、作成部414は、受信部412が受信した端末装置103の識別情報と記憶した管理対象となる端末装置103の識別情報とが一致する場合、受信部412が受信した位置情報に基づいて、管理対象装置101の管理情報を作成してもよい。
【0044】
図5は、アドレス管理テーブル421の記憶内容の一例を示す説明図である。アドレス管理テーブル421は、端末装置103の識別情報として、端末装置103に付与されたメールアドレスを記憶するテーブルである。
図5に示すアドレス管理テーブル421は、レコード501−1、2を有する。
【0045】
アドレス管理テーブル421は、メールアドレスフィールドを有する。メールアドレスフィールドは、端末装置103に付与されたメールアドレスを格納する。例えば、レコード501−1は、ある端末装置103に付与されたメールアドレスが、「a@….co.jp」であることを示す。
【0046】
図6は、保守拠点情報管理テーブル422の記憶内容の一例を示す説明図である。保守拠点情報管理テーブル422は、保守拠点に関する情報を記憶するテーブルである。
図6に示す保守拠点情報管理テーブル422は、レコード601−1、2を有する。
【0047】
保守拠点情報管理テーブル422は、保守拠点名と、電話番号と、位置情報と、というフィールドを含む。保守拠点名フィールドには、保守拠点の名称が格納される。電話番号フィールドには、保守拠点の電話番号が格納される。位置情報フィールドには、保守拠点の位置座標として、保守拠点の経度と緯度とが格納される。
【0048】
例えば、レコード601−1は、保守拠点名「○○拠点」の電話番号が「xx−xxxx−xxxx」であり、保守拠点の位置座標が「経度:x1、緯度:y1」であることを示す。
【0049】
図7は、管理情報の作成の一例を示す説明図(その1)である。端末装置103は、開梱されたことを検出すると、
図7の(1)の処理として、位置情報を取得して、位置情報を含めたメール701を管理装置102に送信する。管理装置102は、端末装置103からメール701を受信する。
図7に示すメール701は、送信元アドレスが、「a@….co.jp」であり、本文には、管理対象装置の装置号機名が「b号機」であり、装置型名が「c」であり、位置情報が「経度:xx、緯度:yy」という内容が記載されている。
【0050】
管理装置102は、
図7の(2)の処理として、メール701から送信元アドレスを取得し、取得したメールアドレスがアドレス管理テーブル421に登録されているか否かを判断する。
図7の例では、取得したメールアドレスがアドレス管理テーブル421に登録されていると判断し、管理装置102は、
図7の(3)の処理として、装置情報を作成して、管理情報テーブル423に格納する。
【0051】
ここで、管理情報テーブル423は、管理情報を格納するテーブルである。管理情報テーブル423は、装置号機名と、装置型名と、位置情報と、保守拠点名と、電話番号と、というフィールドを含む。また、管理情報テーブル423は、管理装置102の利用者が自由に編集可能な備考フィールドを含んでもよい。
【0052】
装置号機名フィールドには、保守対象となる装置号機名が格納される。装置型名フィールドには、保守対象となる装置型名が格納される。位置情報フィールドには、保守対象となる装置が設置された位置情報が格納される。ここで、位置情報フィールドには、保守対象となる装置が設置された位置の緯度経度の値が格納されてもよいし、管理対象装置101の利用者に分り易くするため、緯度経度から変換された保守対象となる装置が設置された住所を示す文字列が格納されてもよい。保守拠点名フィールドには、保守対象となる装置を保守する保守拠点名が格納される。電話番号フィールドには、保守対象となる装置を保守する保守拠点名の電話番号が格納される。
【0053】
具体的には、
図7の(3)の処理として、管理装置102は、メール701から装置号機名と装置型名と位置情報とを取得し、取得した装置号機名と装置型名とが一致するレコードが管理情報テーブル423にあるか否か検索する。
図7の例では、取得した装置号機名と装置型名とが一致するレコードを検出できなかったとして、管理装置102は、管理情報テーブル423に、取得した装置号機名と装置型名と位置情報とを有するレコード702−1を追加する。位置情報について、管理装置102は、位置情報「経度:xx、緯度:yy」から変換した「×○県△□市…」を位置情報フィールドに格納する。レコード702−1の保守拠点フィールドと電話番号フィールドへの登録については
図8で説明する。
【0054】
図8は、管理情報の作成の一例を示す説明図(その2)である。
図7で示した(3)の処理の後、管理装置102は、
図8の(1)の処理として、メール701の位置情報を用いて、保守拠点情報管理テーブル422から、近傍の保守拠点を検索する。
図8の例では、管理装置102は、「経度:xx、緯度:yy」の近傍として、レコード601−1を検出する。そして、管理装置102は、
図8の(2)の処理として、検出したレコード601−1の「○○拠点」と「xx−xxxx−xxxx」とを、レコード702−1の保守拠点名フィールドと、電話番号フィールドとに格納する。
【0055】
次に、
図9〜
図12を用いて、管理システム100の各装置が実行するフローチャートについて説明する。
【0056】
図9は、位置情報送信処理手順の一例を示すフローチャートである。位置情報送信処理は、位置情報を管理装置102に送信する処理である。
【0057】
端末装置103は、開梱されたことを検出して起動する(ステップS901)。次に、端末装置103は、GPSセンサ307を用いて位置情報を取得する(ステップS902)。そして、端末装置103は、メール本文に、装置号機名と装置型名と位置情報とを添付する(ステップS903)。次に、端末装置103は、管理装置102に予め登録されたアドレスでメールを送信する(ステップS904)。ステップS904の処理終了後、端末装置103は、位置情報送信処理を終了する。位置情報送信処理を実行することにより、端末装置103は、位置情報を管理装置102に送信することができる。
【0058】
また、位置情報送信処理は、管理対象装置101の設置場所が変更、すなわち、管理対象装置101が移設される度に行われる。管理対象装置101を移設する際には、例えば、移設元の現地作業員が、端末装置103と管理対象装置101とを梱包していた箱に再び梱包する。そして、移設先の現地作業員が、端末装置103と管理対象装置101とを梱包する箱を開梱した際に、端末装置103は、位置情報送信処理を再び実行する。
【0059】
図10は、管理情報作成処理手順の一例を示すフローチャートである。管理情報作成処理は、メールを受信した際に、管理情報を作成する処理である。
【0060】
管理装置102は、メールを受信する(ステップS1001)。次に、管理装置102は、受信したメールの送信元アドレスを取得する(ステップS1002)。そして、管理装置102は、送信元アドレスをアドレス管理テーブル421から検索する(ステップS1003)。次に、管理装置102は、アドレス管理テーブル421から送信元アドレスを検出したか否かを判断する(ステップS1004)。アドレス管理テーブル421から送信元アドレスを検出した場合(ステップS1004:Yes)、管理装置102は、管理情報格納処理を実行する(ステップS1005)。管理情報格納処理の詳細は、
図11で説明する。
【0061】
一方、アドレス管理テーブル421から送信元アドレスを検出していない場合(ステップS1004:No)、管理装置102は、受信したメールを破棄する(ステップS1006)。ステップS1005、または、ステップS1006の処理終了後、管理装置102は、管理情報作成処理を終了する。管理情報作成処理を実行することにより、管理装置102は、管理情報を作成することができる。
【0062】
図11は、管理情報格納処理手順の一例を示すフローチャートである。管理情報格納処理は、管理情報を格納する処理である。
【0063】
管理装置102は、受信したメールから装置号機名および装置型名を取得する(ステップS1101)。次に、管理装置102は、取得した装置号機名および装置型名を用いて、管理情報テーブル423を検索する(ステップS1102)。そして、管理装置102は、一致する装置のレコードを検出したか否かを判断する(ステップS1103)。一致する装置のレコードを検出していない場合(ステップS1103:No)、管理装置102は、管理情報テーブル423に、取得した装置号機名および装置型名を有するレコードを追加する(ステップS1104)。
【0064】
一方、一致する装置のレコードを検出した場合(ステップS1103:Yes)、管理装置102は、既に管理情報テーブル423に登録されているため、管理情報テーブル423に対して特に処理は行わない。ステップS1103:Yesとなる場合とは、管理対象装置101が移設した場合である。
【0065】
ステップS1104の処理終了後、または、ステップS1103:Yesの場合、管理装置102は、受信したメールから位置情報を取得する(ステップS1105)。次に、管理装置102は、管理情報テーブル423の前述のレコードに、取得した位置情報を格納する(ステップS1106)。そして、管理装置102は、取得した位置情報を用いて、保守拠点情報管理テーブル422から、近傍の保守拠点を検索する(ステップS1107)。次に、管理装置102は、管理情報テーブルの前述のレコードに、検出した保守拠点名と保守拠点の電話番号を格納する(ステップS1108)。ステップS1108の処理終了後、管理装置102は、管理情報格納処理を終了する。管理情報格納処理を実行することにより、管理装置102は、管理情報を格納することができる。
【0066】
図12は、管理情報照会編集処理手順の一例を示すフローチャートである。管理情報照会編集処理は、管理情報を照会したり編集したりする処理である。
【0067】
管理装置102は、管理対象装置に関する情報を用いて管理情報テーブル423を検索する(ステップS1201)。具体的には、管理装置102の利用者が入力した、装置号機名や、装置型名等といった管理対象装置に関するキーワードを用いて管理情報テーブル423を検索する。
【0068】
次に、管理装置102は、一致する装置のレコードを検出したか否かを判断する(ステップS1202)。一致する装置のレコードを検出した場合(ステップS1202:Yes)、管理装置102は、指示内容が次に示す内容のいずれに一致するかを判断する(ステップS1203)。次に示す内容は、情報照会と、変更と、削除と、である。指示内容が情報照会である場合(ステップS1203:情報照会)、管理装置102は、検出したレコードの内容を表示する(ステップS1204)。
【0069】
また、指示内容が変更である場合(ステップS1203:変更)、管理装置102は、MMI画面に、検出したレコードの内容を出力する(ステップS1205)。次に、管理装置102は、変更内容を受け付ける(ステップS1206)。ステップS1206の処理の一例として、管理装置102は、備考フィールドに格納された内容が変更された内容を受け付ける。そして、管理装置102は、変更したレコードの内容を表示する(ステップS1207)。ステップS1207の処理の一例として、管理装置102は、備考フィールドの変更後の内容を含む、検出したレコードの各フィールドの内容を表示する。
【0070】
指示内容が削除である場合(ステップS1203:削除)、管理装置102は、MMI画面に、検出したレコードの内容を出力する(ステップS1208)。次に、管理装置102は、削除内容を受け付ける(ステップS1209)。ステップS1209の処理の一例として、管理装置102は、備考フィールドに格納された内容が削除された内容を受け付ける。そして、管理装置102は、削除したレコードの内容を表示する(ステップS1210)。ステップS1210の処理の一例として、管理装置102は、備考フィールドに何も格納されていないことを含む、検出したレコードの各フィールドの内容を表示する。
【0071】
ステップS1204、ステップS1207、ステップS1210のうちのいずれかの処理終了後、または、一致する装置のレコードを検出していない場合(ステップS1202:No)、管理装置102は、管理情報照会編集処理を終了する。管理情報照会編集処理を実行することにより、管理装置102は、管理情報を照会したり、管理情報を編集したりすることができる。
【0072】
以上説明したように、管理装置102によれば、開梱時に管理対象装置101と同梱された端末装置から受信した端末装置の位置情報から、管理対象装置101の設置場所を特定する情報を作成する。これにより、管理装置102は、現地作業員による設置場所の入力を伴わずに管理対象装置101の管理情報を作成することができるため、設置場所を特定する情報を含む管理対象装置101の管理情報が正確になる。また、管理対象装置101の管理情報が正確になるため、管理システム100は、管理対象装置101の保守にかかるコストを抑制することができる。
【0073】
また、管理システム100は、現地作業員による設置場所の入力を伴わずに管理対象装置101の管理情報を作成するため、現地作業員の入力にかかる負担を抑制することができる。また、管理システム100は、現地作業員の入力を伴わないため、入力画面における入力ミスや入力漏れのチェック等も行わずに済むため、管理システム100にかかる負荷を抑制することができる。
【0074】
また、管理装置102によれば、複数の保守拠点のうちの端末装置103の位置情報に応じたいずれかの保守拠点を含む管理対象装置101の管理情報を作成してもよい。これにより、管理装置102は、管理対象装置101の保守に適切な保守拠点の情報を管理対象装置101の管理情報として作成でき、管理対象装置101の保守にかかる時間的なコストや経済的なコストを削減することができる。
【0075】
また、管理装置102は、管理対象装置101の種別と端末装置103の位置情報とに応じて、複数の保守拠点から保守拠点を特定してもよい。例えば、管理装置102は、アドレス管理テーブル421に、メールアドレスに管理対象装置101の種別を対応付けておく。そして、管理装置102は、受信した送信元メールアドレスから管理対象装置101の種別を特定し、複数の保守拠点から保守拠点を特定する。
【0076】
例えば、管理対象装置101が大型の機械である場合、管理対象装置101を保守する保守要員は、自動車に保守に用いる工具や交換部品等を詰め込んで、自動車で管理対象装置101が設置された拠点に出向くものとする。このとき、管理装置102は、管理対象装置101が大型の機械という種別を特定し、複数の保守拠点のうちの端末装置103の位置情報が示す位置から近い保守拠点をいくつか特定したうえで、自動車で向かった際に最も速く到達する拠点を特定する。
【0077】
また、管理対象装置101が小型の機械である場合、管理対象装置101を保守する保守要員は、保守に用いる工具や交換部品等を工具箱に詰め込んで、電車や徒歩で管理対象装置101が設置された拠点に出向くものとする。このとき、管理装置102は、管理対象装置101が小型の機械という種別を特定し、複数の保守拠点のうちの端末装置103の位置情報が示す位置から近い保守拠点をいくつか特定する。そして、管理装置102は、いくつか特定した保守拠点の中から、電車や徒歩で向かった際に最も速く到達する拠点、または交通費を最も小さくすることができる拠点を特定する。このように、管理装置102は、管理対象装置101の種別に応じた保守拠点を特定することにより、管理対象装置101の保守にかかる時間的なコストや経済的なコストを、管理対象装置101の種別を考慮しない場合に比べて削減することができる。
【0078】
また、管理装置102によれば、端末装置103から受信した端末装置103の識別情報と、アドレス管理テーブル421に記憶した端末装置103の識別情報とが一致する場合、管理対象装置101の管理情報を作成してもよい。これにより、管理装置102は、管理しなくてよい管理対象装置101に関しては、アドレス管理テーブル421に記憶しておかないことにより、管理にかかるコストを削減することができる。また、管理装置102は、無関係のメールによる管理情報テーブル423への登録を抑制できるため、セキュリティを確保することができる。
【0079】
ここで、本実施の形態では、端末装置103の識別情報として、メールアドレスを用いているが、よりセキュリティを確保できる情報を用いてもよい。例えば、管理システム100は、ハッシュ関数に端末装置103の識別情報を入力して得たハッシュ値を、端末装置103の識別情報として用いてもよい。例えば、端末装置103は、ハッシュ関数に送信元アドレスを入力して得たハッシュ値を本文に追加して、管理対象装置101にメールを送信する。メールを受信した管理装置102は、受信したメールの送信元アドレスをハッシュ関数に入力して得たハッシュ値と、受信したメールの本文内のハッシュ値とが一致すれば、管理対象装置101の管理情報を作成する。
【0080】
ここで、端末装置103の識別情報として、ハッシュ関数に送信元アドレスを入力して得たハッシュ値を用いる場合、管理対象装置101が移設する度に送信されるメールのハッシュ値は常に同一の値となるため、第三者に悪用されるおそれがある。例えば、メールを盗聴した第三者が、盗聴したメールの本文のハッシュ値と、全くでたらめな位置情報とを、盗聴したメールの送信元アドレスを用いて管理装置102にメールを送信したとする。この場合、管理装置102は、第三者が送信したメールに基づいて管理対象装置101の管理情報を作成することになる。
【0081】
そこで、管理システム100は、端末装置103の識別情報とメールの送信回数とを結合した文字列をハッシュ関数に入力して得たハッシュ値を、端末装置103の識別情報として用いてもよい。
【0082】
具体的には、管理対象装置101は、アドレス管理テーブル421の送信先メールアドレスに、受信回数を記憶しておく。そして、端末装置103は、ハッシュ関数に送信元アドレスとメールの送信回数とを結合した文字列を入力して得たハッシュ値を本文に追加して、管理対象装置101にメールを送信する。ここで、メールの送信回数は、これからメールを送信する分を含めてもよいし含めなくてもよい。メールを受信した管理装置102は、受信したメールの送信元アドレスと受信回数とを結合した文字列をハッシュ関数に入力して得たハッシュ値と、受信したメールの本文内のハッシュ値とが一致すれば、管理対象装置101の管理情報を作成する。これにより、メールを盗聴した第三者が、盗聴したメールの本文のハッシュ値を用いてメールを送信しても、送信回数が異なるため、管理装置102は、メールを盗聴した第三者からのメールを破棄することができる。
【0083】
また、端末装置103によれば、端末装置103と同一拠点に設置された管理対象装置101の識別情報を記憶しておき、管理対象装置101の識別情報と、取得した端末装置103の位置情報とを対応付けて管理装置102に送信してもよい。これにより、端末装置103は、セキュリティ上、情報送信できない管理対象装置101に代わって、管理対象装置101の位置情報と見做せる情報を管理装置102に送信することができる。
【0084】
また、端末装置103によれば、管理対象装置101と端末装置103とが同一の箱に梱包されており、箱が開梱されたことを検出した場合、端末装置103の位置情報を取得してもよい。これにより、端末装置103は、現地作業員に手間を増やさずに、管理対象装置101の識別情報と端末装置103の位置情報とを送信することができる。また、現地作業員の手間がないことから、端末装置103は、管理対象装置101の識別情報と端末装置103の位置情報との送信漏れを抑止することができる。
【0085】
また、管理システム100は、管理対象装置101の正確な管理情報を得ることができるため、管理対象装置101が設置された拠点に保守要員が出向くことが容易になるため、管理対象装置101の設計変更等といった情報を現地作業員に伝えることが容易になる。また、管理対象装置101の正確な管理情報が得られない場合、製造元は、保守サービスを実行するために、管理対象装置101を購入した業者等に問い合わせすることになり、保守にかかるコストが増大する。本実施の形態における管理システム100は、管理対象装置101の正確な管理情報が得られるため、保守にかかるコストを抑制することができる。
【0086】
また、管理システム100は、管理対象装置101の正確な管理情報を得ることができるため、管理対象装置101が設置された拠点に保守要員が出向くことが容易になるため、管理対象装置101の動作結果を示す情報の収集を容易にすることができる。これにより、管理対象装置101の開発者は、管理対象装置101の動作結果を示す情報を用いて、管理対象装置101の品質向上を図ることができる。
【0087】
なお、本実施の形態で説明した管理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本管理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本管理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0088】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0089】
(付記1)管理対象装置と同一拠点に設置され位置情報を取得可能な端末装置から、前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報とを受信し、
受信した前記位置情報に基づいて、前記識別情報から識別される管理対象装置の設置場所を特定する情報を含む前記管理対象装置の管理情報を作成する、
制御部を有することを特徴とする管理装置。
【0090】
(付記2)管理対象装置を保守する者が所属する複数の保守拠点の各々の保守拠点に対応する位置情報を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶された前記各々の保守拠点に対応する位置情報を参照して、前記複数の保守拠点のうちの受信した前記端末装置の位置情報に応じたいずれかの保守拠点を特定し、
前記管理対象装置の設置場所を特定する情報と、特定した前記いずれかの保守拠点の位置情報とを含む前記管理対象装置の管理情報を作成することを特徴とする付記1に記載の管理装置。
【0091】
(付記3)管理対象となる端末装置の識別情報を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、
前記端末装置から、前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報と前記端末装置の識別情報とを受信し、
受信した前記端末装置の識別情報と前記記憶部に記憶された前記管理対象となる端末装置の識別情報とが一致する場合、受信した前記位置情報に基づいて、前記管理対象装置の管理情報を作成することを特徴とする付記1または2に記載の管理装置。
【0092】
(付記4)自装置と同一拠点に設置される管理対象装置の識別情報を記憶する記憶部と、
自装置の位置情報を取得し、前記管理対象装置の識別情報と自装置の位置情報とを対応付けて管理装置に送信する制御部と、
を有することを特徴とする端末装置。
【0093】
(付記5)前記管理対象装置と同一の箱に梱包されており、
前記制御部は、
前記箱が開梱されたことを検出した場合、自装置の位置情報を取得することを特徴とする付記4に記載の端末装置。
【0094】
(付記6)端末装置と管理装置とが接続される管理システムにおいて、
前記端末装置は、
前記端末装置と同一拠点に設置される管理対象装置の識別情報を記憶し、
前記端末装置の位置情報を取得し、
前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報とを対応付けて前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記端末装置から、前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報とを受信し、
受信した前記位置情報に基づいて、前記識別情報から識別される管理対象装置の設置場所を特定する情報を含む前記管理対象装置の管理情報を作成する、
ことを特徴とする管理システム。
【0095】
(付記7)コンピュータが、
管理対象装置と同一拠点に設置され位置情報を取得可能な端末装置から、前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報とを受信し、
受信した前記位置情報に基づいて、前記識別情報から識別される管理対象装置の設置場所を特定する情報を含む前記管理対象装置の管理情報を作成する、
処理を実行することを特徴とする管理方法。
【0096】
(付記8)コンピュータに、
管理対象装置と同一拠点に設置され位置情報を取得可能な端末装置から、前記管理対象装置の識別情報と前記端末装置の位置情報とを受信し、
受信した前記位置情報に基づいて、前記識別情報から識別される管理対象装置の設置場所を特定する情報を含む前記管理対象装置の管理情報を作成する、
処理を実行させることを特徴とする管理プログラム。