特許第6442935号(P6442935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442935
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20181217BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20181217BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G03B21/14 D
   G03B21/00 D
   H04N5/74 Z
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-179105(P2014-179105)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-194677(P2015-194677A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-58773(P2014-58773)
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 洋平
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−255911(JP,A)
【文献】 特開2009−175351(JP,A)
【文献】 特開2012−127985(JP,A)
【文献】 特開2012−008185(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0310364(US,A1)
【文献】 特開2010−066628(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0120720(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249981(US,A1)
【文献】 特開2005−234207(JP,A)
【文献】 特開2007−114672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00−21/10;21/12−21/13;
21/134−21/30;33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射する投射光学装置と、
前記投射光学装置の中心軸に対する直交方向に前記投射光学装置を移動させる移動装置と、を備え、
前記移動装置は、
支持部材と、
前記投射光学装置を支持し、前記直交方向のうち水平方向に沿って移動可能な第1移動部材と、
前記支持部材及び前記第1移動部材の間に配置され、前記直交方向のうち鉛直方向に沿って移動可能な状態で、前記支持部材に取り付けられている第2移動部材と、
前記第2移動部材が前記第1移動部材と前記支持部材とに挟まれた状態で、前記第1移動部材及び前記支持部材を連結する連結部材と、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材を移動させる駆動装置と、
前記駆動装置からの動力を伝達する伝達装置と、を有し、
前記伝達装置は、前記第1移動部材及び前記第2移動部材のそれぞれに前記動力を伝達する第1伝達部及び第2伝達部を有し、
前記第2移動部材は、
前記第1移動部材及び前記支持部材と当接する本体部と、
前記第2伝達部と係合し、前記本体部に嵌合されて一体に組み立てられる係合部材と、を有ることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材の一方は、他方に対向する面に突起を有し、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材の他方は、前記突起が挿入され、前記水平方向への前記第1移動部材の移動を案内するガイド部を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2移動部材は、内部に段差部が形成された長円形状の孔部を有し、
前記支持部材は、前記孔部内に配置されて前記段差部に当接し、ねじにより固定されるワッシャーを有し、
前記第2移動部材が前記支持部材に配置され、前記鉛直方向に沿って限界まで移動される際に、前記ワッシャーは、前記段差部における前記第1移動部材側の面に当接することを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記支持部材は、当該支持部材を前記中心軸に沿って貫通する開口部を有し、
前記連結部材は、
前記支持部材の開口部を挿通して前記第1移動部材に取り付けられる先端部、及び、当該先端部より拡径された基端部を有するピンと、
前記先端部が挿通される孔部を有し、前記第1移動部材とは反対側の前記支持部材の端面における前記開口部に応じた位置に配置され、前記開口部の内径より大きい押さえ部材と、
前記押さえ部材及び前記基端部の間に配置され、前記押さえ部材及び前記基端部が互いに離間する方向の付勢力を作用させる付勢部材と、を有することを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、当該光源装置から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成する光変調装置と、形成された画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射する投射光学装置と、を備えるプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターとして、投射光学装置の中心軸に直交する上下方向及び左右方向に当該投射光学装置を移動させて、画像の投射位置を調整する投射位置調整装置を備えたプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のプロジェクターが備える投射位置調整装置は、レンズ接続部と、当該レンズ接続部が固定される第1の移動板と、第2の移動板と、固定部材と、第1及び第2の調整駆動部と、4つの連結部材と、を備える。
レンズ接続部は、投射光学装置としての投射レンズと接続され、第1の移動板に固定される。第1の移動板は、固定部材に沿って上下方向及び左右方向に移動可能に構成されている。第2の移動板は、第1の移動板及び固定部材の間で左右方向に移動可能に構成されており、左右方向への移動に伴って第1の移動板を同方向に移動させる。固定部材は、プロジェクター内部に固定され、投射位置調整装置全体を支持する。第1の調整駆動部は、使用者の操作により第1の移動板を上下方向に移動させ、第2の調整駆動部は、使用者の操作により第2の移動板を左右方向に移動させ、これにより、画像の投射位置を上下方向及び左右方向に変更させる。各連結部材は、固定部材を挿通して、第1の移動板を固定部材に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプロジェクターの投射位置調整装置では、固定部材上に水平方向に移動する移動板(以下、水平移動板という)が配置され、当該水平移動板を覆うように、垂直方向に移動する移動板(垂直移動板)が固定部材に取り付けられる。すなわち、水平移動板は、垂直移動板と、当該垂直移動板が取り付けられる固定部材との間に配置される。このような場合、水平移動板を水平方向に移動させる水平スライダーと、垂直移動板を垂直方向に移動させる垂直スライダーとのそれぞれを固定部材に取り付け、垂直移動板の係合用凹部に、垂直スライダーの係合用凸部を挿入する構成が採用され得る。しかしながら、例えば、水平移動板の移動に伴って垂直移動板が、垂直スライダーから離間する方向に移動した場合でも、垂直移動板が歪んだり傾いたりせずに、これら係合用凸部と係合用凹部との係合状態を維持しようとすると、垂直移動板及び垂直スライダーの剛性を高めておく必要がある。このためには、垂直移動板及び垂直スライダーを大きく形成することが考えられるが、このような場合には、投射位置調整装置、ひいては、プロジェクターが大型化する。これに対し、投射位置調整装置を小型化しようとすると、スペース上の制約から垂直移動板及び垂直スライダーの剛性を確保できず、当該垂直移動板が固定部材に対して傾く場合が生じるおそれがある。
【0006】
一方、垂直移動板の係合用凹部と、垂直スライダーの係合用凸部との間には、垂直移動板の移動に伴う垂直移動板の水平方向への移動を許容するクリアランスが必要となるが、当該クリアランスが垂直方向のガタを発生させる原因となる。このようなガタが発生することにより、垂直移動板が支持する投射光学装置の自重によって、垂直移動板の位置が垂直方向(重力方向)に変更されたり、或いは、垂直移動板が固定部材に対して傾いてしまい、投射光学装置から投射される画像の投射位置がずれたりする可能性がある。
【0007】
本発明は、画像の投射位置のずれを抑制でき、小型化可能なプロジェクターを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るプロジェクターは、画像を投射する投射光学装置と、前記投射光学装置の中心軸に対する直交方向に前記投射光学装置を移動させる移動装置と、を備え、前記移動装置は、支持部材と、前記投射光学装置を支持し、前記直交方向のうち水平方向に沿って移動可能な第1移動部材と、前記支持部材及び前記第1移動部材の間に配置され、前記直交方向のうち鉛直方向に沿って移動可能な状態で、前記支持部材に取り付けられている第2移動部材と、前記第2移動部材が前記第1移動部材と前記支持部材とに挟まれた状態で、前記第1移動部材及び前記支持部材を連結する連結部材と、前記第1移動部材及び前記第2移動部材を移動させる駆動装置と、前記駆動装置からの動力を伝達する伝達装置と、を有し、前記伝達装置は、前記第1移動部材及び前記第2移動部材のそれぞれに前記動力を伝達する第1伝達部及び第2伝達部を有し、前記第2移動部材は、前記第1移動部材及び前記支持部材と当接する本体部と、前記第2伝達部と係合し、前記本体部に嵌合されて一体に組み立てられる係合部材と、を有ることを特徴とする。
【0009】
なお、プロジェクターが所定の設置面上に設置された場合には、上記水平方向は、投射光学装置による画像の投射方向を例示でき、これに直交する方向を上記直交方向として例示できる。
上記一態様によれば、鉛直方向に移動可能な第2移動部材は、投射光学装置を支持するとともに水平方向に移動可能な第1移動部材と支持部材との間に配置され、第1移動部材及び第2移動部材のそれぞれには、第1伝達部及び第2伝達部を介して駆動装置の動力がそれぞれ伝達される。そして、第1移動部材が水平方向に移動しても、第2移動部材は水平方向に移動しない。このため、第2移動部材は、第2伝達部から離れる方向に移動されることがないので、第2移動部材に嵌合されて第2伝達部と係合する係合部材の剛性を高める必要がない。従って、第2移動部材及び係合部材の剛性は十分であり、これらを大きく構成する必要がないので、プロジェクター(移動装置)を小型化しつつ、当該第2移動部材が支持部材及び第1移動部材に対して傾くことを抑制できる。これにより、第2移動部材が第1移動部材に対して傾かないので、支持部材に第1移動部材が取り付けられていることと相まって、第1移動部材の傾きも抑制できる。
【0010】
また、第2移動部材は、支持部材と第1移動部材との間に配置され、駆動装置からの動力を伝達する第2伝達部と係合する係合部材が本体部に嵌合されて一体に組み立てられており、また、第2移動部材は、鉛直方向にのみ移動するため、第2伝達部と係合部材との間に第2移動部材の移動に伴う当該第2移動部材の水平方向への移動を許容するクリアランスを設ける必要がない。これにより、第2伝達部と係合部材との間にガタが発生することを抑制できるので、第2伝達部と係合部材とが強固に係合する。よって、第2移動部材が投射光学装置を直接支持しないことと相まって、第2移動部材が垂直方向に変更されたり、或いは、第2移動部材が支持部材に対して傾くことを抑制できる。従って、投射光学装置から投射される画像の投射位置がずれることを抑制できる。
【0011】
更に、投射光学装置を保持する第1移動部材は、水平方向に沿って移動可能であり、鉛直方向に沿う移動は第2移動部材の移動に伴って行われるので、当該第1移動部材のみが独立して鉛直方向(特に鉛直方向下側)に移動することがない。これによれば、第1移動部材に対して投射光学装置の自重が作用しても、当該第1移動部材が鉛直方向に移動することを抑制できる。また、鉛直方向に沿って移動可能な第2移動部材は、投射光学装置を保持しないので、移動後の第2移動部材が、当該投射光学装置の自重によって鉛直方向に移動することを抑制できる。
このように、投射位置調整後の各移動部材、ひいては、投射光学装置の移動を抑制できるので、当該投射光学装置による画像の投射位置のずれを抑制でき、かつ、プロジェクターを小型化できる。
【0012】
上記一態様では、前記第2移動部材が挟まれた状態で、前記第1移動部材及び前記支持部材を連結する連結部材を備える。
このような構成によれば、第1移動部材と支持部材とが連結され、第2移動部材が当該連結された第1移動部材及び支持部材に挟持される。これによれば、支持部材に対して第2移動部材を移動可能に支持させ、当該第2移動部材に対して第1移動部材を移動可能に支持させる構成に比べて、移動装置の構成を簡略化できる。従って、移動装置の組立を容易に実施でき、ひいては、プロジェクターの製造工程を簡略化できる。
【0013】
上記一態様では、前記第1移動部材及び前記第2移動部材の一方は、他方に対向する面に突起を有し、前記第1移動部材及び前記第2移動部材の他方は、前記突起が挿入され、前記水平方向への前記第1移動部材の移動を案内するガイド部を有することが好ましい。
上記一態様によれば、上記突起及び上記ガイド部により、第2移動部材に沿って第1移動部材を水平方向に確実に摺動させることができる。
【0014】
上記一態様では、前記第2移動部材は、内部に段差部が形成された長円形状の孔部を有し、前記支持部材は、前記孔部内に配置されて前記段差部に当接し、ねじにより固定されるワッシャーを有し、前記第2移動部材が前記支持部材に配置され、前記鉛直方向に沿って限界まで移動される際に、前記ワッシャーは、前記段差部における前記第1移動部材側の面に当接することが好ましい。
上記一態様によれば、ねじにより固定されたワッシャーの面が、第2移動部材が鉛直方向に限界まで移動される際に、段差部における第1移動部材側の面に当接するので、第2移動部材の鉛直における一端が支持部材から離間する方向に傾くことが抑制される。すなわち、第2移動部材が第1移動部材側に傾くことが抑制される。これによれば、投射光学
装置を支持する第1移動部材が傾くことを抑制できる。従って、投射位置調整後の各移動部材、ひいては、投射光学装置の移動を抑制できるので、当該投射光学装置による画像の投射位置のずれを確実に抑制できる。
【0015】
上記一態様では、前記支持部材は、当該支持部材を前記中心軸に沿って貫通する開口部を有し、前記連結部材は、前記支持部材の開口部を挿通して前記第1移動部材に取り付けられる先端部、及び、当該先端部より拡径された基端部を有するピンと、前記先端部が挿通される孔部を有し、前記第1移動部材とは反対側の前記支持部材の端面における前記開口部に応じた位置に配置され、前記開口部の内径より大きい押さえ部材と、前記押さえ部材及び前記基端部の間に配置され、前記押さえ部材及び前記基端部が互いに離間する方向の付勢力を作用させる付勢部材と、を有することが好ましい。
【0016】
ここで、付勢部材としては、圧縮コイルばね及び板ばね等のばね部材の他、ゴム及び発泡樹脂等の弾性部材を例示できる。
上記一態様よれば、ピンが支持部材の開口部を挿通して、第1移動部材に取り付けられ、ピンが挿通した状態の押さえ部材が支持部材の端面における開口部に応じた位置に設けられ、当該ピンの基端部と押さえ部材との間に付勢部材が設けられているので、押さえ部材及びピンの支持部材側の端部に互いに離間する方向への付勢力を作用させる。すなわち、当該付勢力により、押さえ部材は、支持部材側に押圧される。また、当該付勢力により、ピンの基端部が支持部材から離間する方向に付勢されることで、ピンが取り付けられる第1移動部材が、支持部材側に引っ張られ、第1移動部材が支持部材に押圧される。これにより、第1移動部材と支持部材との間に設けられた第2移動部材は、当該第1移動部材及び支持部材とにより摺動自在な状態で挟持される。更に、付勢部材の付勢力により、第1移動部材が支持部材に引き寄せられるため、第1移動部材に投射光学装置の自重がかかったとしても、支持部材が第1移動部材を支持部材側に引き寄せるため、第1移動部材が当該自重により移動することを規制することができる。従って、投射位置が調整された投射光学装置の移動を確実に抑制でき、投射光学装置から投射された画像の投射位置のずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクターの外観を示す斜視図。
図2】上記実施形態における装置本体を模式的に示す図。
図3】上記実施形態における投射位置調整装置を光出射側から見た斜視図。
図4】上記実施形態における投射位置調整装置を光入射側から見た斜視図。
図5】上記実施形態における投射位置調整装置を光出射側から見た斜視図。
図6】上記実施形態における投射位置調整装置を示す分解斜視図。
図7】上記実施形態における第1移動部材の本体部を光出射側から見た図。
図8】上記実施形態における第1移動部材の本体部を光入射側から見た図。
図9】上記実施形態における第2移動部材を光出射側から見た図。
図10】上記実施形態における第2移動部材を示す分解斜視図。
図11】上記実施形態における第2移動部材を光入射側から見た図。
図12】上記実施形態における支持部材を光出射側から見た図。
図13】上記実施形態における支持部材を光入射側から見た図。
図14】上記実施形態における支持部材を光出射側から見た図。
図15】上記実施形態における駆動装置を示す斜視図。
図16】上記実施形態における駆動装置及び伝達装置の第1伝達部を示す斜視図。
図17】上記実施形態における支持部材及び伝達装置の第2伝達部を光出射側から見た図。
図18】上記実施形態における駆動装置の第2駆動部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの外観構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1は、設置台等に設置されたプロジェクター1を正面側上方から見た斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、形成した画像光をスクリーン等の被投射面(図示省略)上に拡大投射する。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2を備える。
【0019】
外装筐体2は、金属又は合成樹脂製の筐体であり、プロジェクター1の装置本体10(図2参照)を収納する。この外装筐体2は、アッパーケース21及びロアーケース22が組み合わされて構成されている。これらのうち、アッパーケース21は、外装筐体2における天面部2Aと、正面部2C、背面部2D及び左右の側面部2E,2Fの一部とを構成し、ロアーケース22は、外装筐体2における底面部2Bと、正面部2C、背面部2D及び左右の側面部2E,2Fの一部とをそれぞれ構成する。
【0020】
正面部2Cは、後述する投射光学装置36の一部を露出させる開口部2C1を有する。
天面部2Aは、後述する投射位置調整装置4を構成する第1ダイヤル811及び第2ダイヤル821を露出させる開口部2A1,2A2を有する。これらダイヤル811,821が使用者により回転操作されると、投射光学装置36が上下方向(天面部2Aと底面部2Bとを結ぶ方向)及び左右方向(左側面部2Eと右側面部2Fとを結ぶ方向)に移動し、これにより、被投射面上の画像の投射位置が調整される。このような投射位置調整装置4の構造については、後に詳述する。
【0021】
[内部構成]
図2は、外装筐体2の内部に収納される装置本体10を模式的に示す図である。
装置本体10は、図2に示すように、光学ユニット3及び投射位置調整装置4を備える。この他、図示を省略するが、装置本体10は、プロジェクター1の冷却対象を冷却する冷却装置、プロジェクター1の各構成部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1の動作を制御する制御装置を備える。
【0022】
[光学ユニットの構成]
光学ユニット3は、上記制御装置から入力される画像情報に応じた画像を形成及び投射する。この光学ユニット3は、光源装置31、照明光学装置32、色分離装置33、リレー装置34、電気光学装置35、投射光学装置36及び光学部品用筐体37、を備える。
【0023】
光源装置31は、超高圧水銀ランプ等の光源ランプ311、リフレクター312及び平行化レンズ313と、これらを内部に収納するハウジング314と、を備える。
照明光学装置32は、光源装置31から入射される光の中心軸に対する直交面内の照度を均一化する。この照明光学装置32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323及び重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、入射される光束を複数の部分光束に分割し、第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321から入射される複数の部分光束のそれぞれを、重畳レンズ324とともに後述する液晶パネル353に重畳させる。
偏光変換素子323は、入射される光の偏光方向を一種類に揃える。
【0024】
色分離装置33は、2枚のダイクロイックミラー331,332及び反射ミラー333を備え、これらにより照明光学装置32から入射される光を赤(R)、緑(G)及び青(B)の3色の色光に分離する。
リレー装置34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343及び反射ミラー342,344を備え、色分離装置33で分離された赤色光を赤色光用のフィールドレンズ351に導く機能を有する。
【0025】
電気光学装置35は、入射される各色光をそれぞれ変調して、上記制御装置から入力される画像情報に応じた画像を形成する。この電気光学装置35は、それぞれ上記色光毎に設けられるフィールドレンズ351、入射側偏光板352、光変調装置としての液晶パネル353(赤、緑及び青用の液晶パネルを、それぞれ353R,353G,353Bとする)及び出射側偏光板354と、1つの色合成装置355と、を備える。
これらのうち、色合成装置355は、本実施形態では、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなすクロスダイクロイックプリズムである。この色合成装置355は、各直角プリズムの界面に形成された2つの誘電体多層膜により、それぞれ対応する液晶パネル353により変調された各色光を合成する。このような色合成装置355により合成された光(画像を形成する光)は、投射光学装置36に入射される。
【0026】
投射光学装置36は、上記外装筐体2の正面部2Cに形成された開口部2C1(図1参照)を介して先端部分が露出し、色合成装置355により合成された光を拡大投射し、これにより、上記被投射面上に画像が投射される。このような投射光学装置36は、鏡筒361内にズームレンズ及びフォーカスレンズを含むレンズ群が収納された組レンズとして構成されている。
【0027】
光学部品用筐体37は、それぞれ合成樹脂又は金属により形成された部品収納部材371及び蓋状部材(図示省略)が組み合わされて構成される筐体である。
部品収納部材371は、上記各装置31〜34、並びに、電気光学装置35のフィールドレンズ351及び入射側偏光板352を内部に収納する。この部品収納部材371内に当該光学部品を収納するための開口部(図示省略)は、蓋状部材により閉塞される。
【0028】
[投射位置調整装置の構成]
図3及び図4は、投射光学装置36及び投射位置調整装置4を光出射側及び光入射側からそれぞれ見た斜視図である。また、図5は、投射位置調整装置4を光出射側から見た斜視図であり、図6は、投射位置調整装置4を示す分解斜視図である。
以下の説明では、投射光学装置36に入射される光の進行方向(当該光の中心軸に沿う進行方向)をZ方向とし、当該Z方向にそれぞれ直交し、互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。本実施形態では、プロジェクター1が所定の設置面に載置されて、Z方向が水平方向に沿う場合に、Y方向は、鉛直方向に沿って下から上に向かう方向(底面部2Bから天面部2Aに向かう方向)とし、X方向は、Z方向に沿って見た場合に水平方向に沿って右から左に向かう方向(左側面部2Eから右側面部2Fに向かう方向)とする。更に、Z方向側とは、Z方向における下流側(Z方向先端側)を指し、Z方向とは反対側とは、Z方向における上流側(Z方向基端側)を指す。他の方向も同様である。
【0029】
本発明の移動装置に相当する投射位置調整装置4は、投射光学装置36の鏡筒361を保持するとともに、当該投射光学装置36の中心軸に対する直交方向であるX方向及びY方向に沿って鏡筒361を移動させ、これにより、画像の投射位置を調整する。この投射位置調整装置4は、図3図6に示すように、第1移動部材5(図3図5及び図6)、第2移動部材6(図3及び図6)、支持部材7(図3図6)、駆動装置8(図3図5及び図6)、伝達装置9及び4つの連結部材CM(図4及び図6)を備える。そして、支持部材7に対して、駆動装置8及び伝達装置9が取り付けられ、更に、連結部材CMにより第1移動部材5及び第2移動部材6が取り付けられることで、投射位置調整装置4は組み立てられる。
【0030】
[第1移動部材の構成]
第1移動部材5は、X方向に沿って移動可能に支持部材7に取り付けられる。この第1移動部材5は、投射光学装置36を挟持する本体部51及び接続部52を備える。
接続部52は、投射光学装置36の鏡筒361に接続される部材であり、本体部51に対してZ方向側に位置する。この接続部52は、図3に示すように、鏡筒361に応じた略円形状の挿通孔521を略中央に有する。そして、接続部52は、当該挿通孔521に鏡筒361が挿通し、かつ、当該鏡筒361の径方向外側に突出するフランジ部(図示省略)を本体部51との間に挟んだ状態で、挿通孔521を囲む4つの位置で、本体部51のZ方向側の端面51Aに、ねじS1により固定される。
【0031】
図7は、本体部51を光出射側(Z方向側)から見た図である。
本体部51は、上記のように、接続部52とともに鏡筒361を保持するとともに、Z方向とは反対側の端面51B(図8参照)が支持部材7に当接しつつ、X方向及びY方向に移動可能に支持部材7に支持される。
この本体部51は、図7に示すように、Z方向に沿って見て略矩形状に形成されており、略中央部分には、鏡筒361が挿通される挿通孔511が形成されている。
本体部51の四隅には、後述する連結部材CMのスクリューピンCM2がZ方向とは反対側から螺合する孔部512が形成されている。
本体部51におけるY方向側の端部には、略U字状の凹部513が形成されており、当該凹部513には、後述する伝達装置9のスライド部材916が挿入される。
【0032】
本体部51におけるZ方向側の端面51Aには、図7に示すように、挿通孔511の周囲に、上記接続部52が取り付けられる略矩形状の平面部51A1が形成されている。この平面部51A1における四隅には、上記ねじS1が螺合するねじ孔51A2が形成されている。また、平面部51A1における挿通孔511を挟む位置には、突起部51A3がそれぞれ突設され、各突起部51A3は、鏡筒361を位置決めする際に利用される。
【0033】
図8は、本体部51を光入射側(Z方向とは反対側)から見た図である。
本体部51におけるZ方向とは反対側の端面51Bには、図8に示すように、Z方向側に凹むガイド凹部51B1が挿通孔511を挟む位置にそれぞれ形成されている。これらガイド凹部51B1は、それぞれX方向に長い略矩形状に形成されており、当該各ガイド凹部51B1には、第2移動部材6におけるZ方向側の端面61Aに突設されたガイド突起61A1(図9及び図10参照)がそれぞれ挿入される。
また、端面51Bにおいて、各孔部512の周囲には、略矩形状の平面部51B2が形成されている。これら平面部51B2は、第1移動部材5が後述する支持部材7に取り付けられた際に、当該支持部材7の平面部7A4(図12参照)に当接される。
【0034】
[第2移動部材の構成]
図9及び図10は、第2移動部材6を光出射側(Z方向側)から見た図である。これらのうち、図10は、第2移動部材6を示す分解斜視図である。
第2移動部材6は、第1移動部材5(本体部51)と支持部材7との間に挟持され、第1移動部材5をY方向に移動させる機能を有する。この第2移動部材6は、図9及び図10に示すように、本体部61と、当該本体部61に取り付けられる係合部材62とを備えて構成されている。
【0035】
本体部61は、平面視略十字形状の板体で構成され、略中央部分に、鏡筒361が挿通される挿通孔611を有する。
本体部61において挿通孔611をX方向に挟む位置には、Y方向に長径を有する長円形状の貫通孔である孔部612がそれぞれ形成されている。これら孔部612内は、Z方向側の端縁の開口面積よりZ方向とは反対側の端縁の開口面積が小さくなる段差部6121が形成されている。そして、孔部612内には、第2移動部材6を後述する支持部材7に配置した際に、当該支持部材7に配置されたワッシャーW(図6参照)と、当該ワッシャーWを固定するねじS2(図6参照)とが位置する。これらワッシャーWは、第2移動部材6がY方向又はY方向とは反対方向に限界まで移動される際に、段差部6121におけるZ方向側の面に当接することで、第2移動部材6のY方向における一端が支持部材7から離間する方向に傾くことが抑制される。
【0036】
本体部61におけるZ方向側の端面61Aにおいて、挿通孔611に対して各孔部612の外側(X方向側及びX方向とは反対側)には、略円筒状のガイド突起61A1が突設されている。これらガイド突起61A1は、それぞれ対応する上記ガイド凹部51B1に挿入される。これにより、第2移動部材6に対する本体部51、ひいては、第1移動部材5のX方向に沿う移動が案内される他、第2移動部材6に対する第1移動部材5のY方向に沿う移動が規制される。
端面61AにおけるX方向側の端部には、Z方向とは反対側及びX方向とは反対側に凹んで係合部材62が取り付けられる略矩形状の取付部61A2が形成されている。
【0037】
係合部材62は、本体部61と同様の合成樹脂により、本体部61とは別部材として形成されている。この係合部材62は、Z方向に沿って見て横向きの略T字状に形成されている。このような係合部材62は、上記取付部61A2に対してX方向とは反対方向から挿入されて嵌合される略矩形の嵌合部621と、当該嵌合部621が取付部61A2に嵌合された際に、本体部61からX方向に突出する突出部622と、を有する。
【0038】
嵌合部621は、図10に示すように、X方向とは反対側の端部からX方向に向かうに従ってY方向の寸法が大きくなる傾斜部6211が形成されている。このため、取付部61A2への嵌合部621の挿入が行いやすくなる他、当該嵌合部621が嵌まり込んだ際に、取付部61A2からの脱落が抑制される。更に、係合部材62が本体部61とは別部材として構成されているので、各部品の公差を吸収できる。これにより、第2移動部材6が一体成型品として形成されている場合に比べ、上記ガイド突起61A1と上記ガイド凹部51B1との係合、及び、後述する伝達装置9の第2伝達部92を構成するスクリューギア921(図6参照)と係合部材62との係合とを、確実に実施できる。
【0039】
係合部材62におけるZ方向側の端面62Aには、突出部622の位置に、半周分のねじ溝を複数有する噛合部6221が形成されている。この噛合部6221は、スクリューギア921と噛合する。そして、係合部材62は、スクリューギア921の回転に伴って、当該スクリューギア921のスラスト方向に沿って移動し、これにより、第2移動部材6がY方向に沿って移動する。この第2移動部材6の移動については、後に詳述する。
【0040】
図11は、第2移動部材6を光入射側(Z方向とは反対側)から見た図である。
本体部61における方向とは反対側の端面61Bには、図11に示すように、挿通孔611をY方向に挟む位置に、ガイド突起61B1がそれぞれ形成されている。これらガイド突起61B1は、後述する支持部材7にY方向に沿って形成されたガイド溝7A2に挿入される。
【0041】
[支持部材の構造]
図12は、支持部材7を光出射側(Z方向側)から見た図である。
支持部材7は、投射位置調整装置4を構成する各部材を支持し、上記外装筐体2内に固定される。具体的に、支持部材7は、後述する連結部材CMにより、第1移動部材5を支持するとともに、当該第1移動部材5との間に第2移動部材6を挟持する。
この支持部材7は、図6に示すように、Z方向に沿って見て略矩形状に形成されており、鏡筒361が挿通される挿通孔71を略中央部分に有する。
【0042】
支持部材7におけるZ方向側の端面7Aには、Z方向とは反対方向に凹む収納凹部7A1が形成されており、当該収納凹部7A1内に上記第1移動部材5及び第2移動部材6が配置される。この収納凹部7A1の四隅には、それぞれ支持部材7を貫通する略菱形形状の開口部72が形成されている。すなわち、支持部材7は、挿通孔71の周囲に、当該挿通孔71を挟む一対の開口部72を2組有する。これら開口部72には、後述する連結部材CMのスクリューピンCM2が挿通される。
【0043】
収納凹部7A1内において挿通孔71をY方向に挟む位置には、それぞれY方向に沿うガイド溝7A2が形成されている。これらガイド溝7A2には、収納凹部7A1内に第2移動部材6が配置される際に、上記ガイド突起61B1が挿入される。これにより、支持部材7に対する第2移動部材6のY方向に沿う移動が案内されるとともに、第2移動部材6のX方向に沿う移動が規制される。
収納凹部7A1内において上記各開口部72の周囲には、略矩形状の平面部7A4が形成されている。これら平面部7A4には、支持部材7に第1移動部材5が取り付けられた際に、上記平面部51B2が当接する。
収納凹部7A1内において挿通孔71をX方向に挟む位置には、上記ワッシャーWを固定するねじS2が螺合するねじ孔7A3がそれぞれ形成されている。
【0044】
上記端面7Aにおいて、収納凹部7A1に対するX方向側の端部には、後述する伝達装置9の第2伝達部92が配置される配置部73が設けられている。この配置部73は、Y方向に長い略矩形の第1収納部731と、当該第1収納部731に対してY方向とは反対側に位置する第2収納部736と、配置部73における四隅近傍にそれぞれ形成されたねじ孔737と、を有する。
【0045】
第1収納部731には、後述する第2伝達部92のスクリューギア921(図17及び図18参照)が配置される。この第1収納部731は、当該第1収納部731におけるY方向側、すなわち、第2収納部736とは反対側の位置に、切欠732を有する。
第1収納部731には、当該第1収納部731の内側に突出した規制部733が形成されている。この規制部733は、スクリューギア921の外周に沿って形成された凹部924に挿入され、これにより、スクリューギア921がY方向に沿って移動して、第1収納部731から脱落することが規制される。
第1収納部731は、Y方向とは反対側の端部に、第1収納部731と第2収納部736とを連通させる連通口734を有する。この連通口734には、スクリューギア921の一端が挿入される。
【0046】
第2収納部736は、第1収納部731より小さく形成されている。この第2収納部736には、スクリューギア921をY方向側に付勢する付勢部材BM及び中間部材DM(図17及び図18参照)が配置される。
ねじ孔737には、スクリューギア921を押さえて、当該スクリューギア921の螺旋溝922と、当該スクリューギア921及び端面7Aの間に位置する係合部材62との噛合状態を維持する板状体PLを取り付けるねじS3(図3及び図5参照)が螺合する。
支持部材7におけるY方向側の端面には、後述する駆動装置8が取り付けられる取付部74が設けられている。
【0047】
図13は、駆動装置8及び連結部材CMが取り付けられた支持部材7を光入射側(Z方向とは反対側)から見た図である。
支持部材7におけるZ方向とは反対側の端面7Bには、図13に示すように、上記収納凹部7A1の四隅に応じた位置に、Z方向に凹む略矩形状の凹部7B1がそれぞれ形成されている。換言すると、各凹部7B1は、上記開口部72に応じた位置に形成されており、当該開口部72は、各凹部7B1の底面に形成されている。これら凹部7B1内には、連結部材CMが配置される。
【0048】
[連結部材の構成]
連結部材CMは、支持部材7と第1移動部材5との間に第2移動部材6が配置された状態で、当該第1移動部材5を摺動可能に支持部材7に連結するものであり、投射位置調整装置4に4つ設けられている。
これら連結部材CMは、図6及び図13に示すように、上記支持部材7の凹部7B1内に配置される挟持部材CM1、スクリューピンCM2及び付勢部材CM3を備える。
【0049】
挟持部材CM1は、図13に示すように、X方向に長い略矩形状に形成されており、凹部7B1内にY方向に沿って摺動可能に配置され、第1移動部材5により支持部材7を挟持する。この挟持部材CM1のX方向の寸法は、凹部7B1内の同方向の寸法に応じて設定されている。すなわち、挟持部材CM1のX方向の寸法は、開口部72における同方向の寸法(開口部72の内径)より大きい。このような挟持部材CM1には、X方向に長い長孔CM11が形成されており、当該長孔CM11内をスクリューピンCM2が挿通する。
スクリューピンCM2は、先端部より拡径された基端部である頭部CM21を有している。このスクリューピンCM2は、長孔CM11及び開口部72をZ方向に沿って挿通して、上記第1移動部材5の孔部512に螺合する。これにより、第2移動部材6を挟持した状態で、第1移動部材5と支持部材7とが連結される。
【0050】
付勢部材CM3は、スクリューピンCM2が長孔CM11を挿通した際に、当該スクリューピンCM2の頭部CM21と、挟持部材CM1との間に介装される。この付勢部材CM3は、本実施形態では、圧縮コイルばねにより構成されており、挟持部材CM1及び頭部CM21に互いに離間する方向への付勢力を作用させる。すなわち、当該付勢力により、挟持部材CM1は、支持部材7側に押圧される。また、当該付勢力により、頭部CM21が支持部材7から離間する方向に付勢されることで、スクリューピンCM2が螺合する第1移動部材5が、支持部材7側に引っ張られ、これにより、第1移動部材5が支持部材7に押圧される。
なお、第1移動部材5がX方向に沿って移動する場合には、スクリューピンCM2及び付勢部材CM3が、上記長孔CM11内を当該第1移動部材5とともに同方向に移動する。また、第2移動部材6がY方向に沿って移動する場合には、連結部材CM全体が凹部7B1内を当該第2移動部材6とともに同方向に移動する。
【0051】
[駆動装置の構成]
図14は、上記接続部52を除く投射位置調整装置4を光出射側から見た図である。また、図15は、駆動装置8をY方向側及びY方向とは反対側から見た斜視図である。
駆動装置8は、図14に示すように、上記取付部74に取り付けられ、使用者の操作に応じて、第1移動部材5をX方向に沿って移動させるとともに、第2移動部材6をY方向に沿って移動させる。具体的に、駆動装置8は、上記取付部74に取り付けられた際に、当該駆動装置8の一部がZ方向から見て上記端面7Aと重なるように配置される。
このような駆動装置8は、図14及び図15に示すように、使用者の操作により、第1移動部材5をX方向に沿って移動させる第1駆動部81と、第2移動部材6をY方向に沿って移動させる第2駆動部82と、これら第1駆動部81及び第2駆動部82が取り付けられる取付部材83と、を備える。
【0052】
第1駆動部81は、第1ダイヤル811及びギア812,813を有し、第1ダイヤル811に対する使用者の回転操作によって生じた回転力(第1移動部材5を移動させる動力)を、後述する伝達装置9の第1伝達部91に伝達する。
第1ダイヤル811は、上記天面部2Aに露出する本体部8111と、当該本体部8111と同軸に設けられたギア部8112と、を有する。
ギア812,813は、それぞれ二段ギアで構成され、ギア812は、上記ギア部8112とギア813とに噛合している。また、ギア813は、ギア812と噛合する第1ギア部8131と、かさ歯車様に形成された第2ギア部8132と、を有し、当該第2ギア部8132は、第1伝達部91を構成するスクリューギア911と噛合している。
このような第1駆動部81では、第1ダイヤル811が回転されると、互いに噛合するギア812,813がY方向に沿う軸を中心として回転し、これにより、当該ギア813に噛合するスクリューギア911が、X方向に沿う軸を中心として回転される。
【0053】
第2駆動部82は、第2ダイヤル821及びギア822〜824を有し、第2ダイヤル821に対する使用者の回転操作によって生じた回転力(第2移動部材6を移動させる動力)を、後述する伝達装置9の第2伝達部92に伝達する。
第2ダイヤル821は、第1ダイヤル811と同様に、上記天面部2Aに露出する本体部8211と、当該本体部8211と同軸に設けられたギア部8212と、を有する。
ギア822は、二段ギアで構成され、ギア部8212とギア823とに噛合している。
ギア823,824は、平歯車で構成されており、これらは互いに噛合している。これらのうち、ギア824の回転軸上に形成された開口部8241には、第2伝達部92を構成するスクリューギア921の嵌合部923が嵌合する。
このような第2駆動部82では、第2ダイヤル821が回転されると、互いに噛合するギア822〜824がY方向に沿う軸を中心として回転し、これにより、当該ギア824に嵌合されるスクリューギア921が、Y方向に沿う軸を中心として回転される。
【0054】
取付部材83は、金属の板状体を折曲加工することで形成されており、上記取付部74に取り付けられる。この取付部材83は、第1支持部831、第2支持部832及び配置部833を有する。
第1支持部831は、第1駆動部81を構成する第1ダイヤル811及び各ギア812,813をY方向に沿う軸を中心として回転可能に支持する。この第1支持部831は、取付部材83におけるZ方向側で、X方向とは反対側の位置に設けられている。
第2支持部832は、第2駆動部82を構成する第2ダイヤル821及び各ギア822〜824をY方向に沿う軸を中心として回転可能に支持する。この第2支持部832は、取付部材83におけるZ方向側で、X方向側の位置に設けられている。
【0055】
図16は、図15に示した状態から板状体PLを取り外した駆動装置8を示す斜視図である。
配置部833は、後述する第1伝達部91を収納する。この配置部833は、図16に示すように、取付部材83におけるY方向とは反対側の端面83Aに設けられている。詳述すると、配置部833は、端面83AにおけるZ方向側で、かつ、上記第1支持部831及び第2支持部832に挟まれる位置に設けられている。このような配置部833は、X方向に長い略矩形の第1収納部8331と、当該第1収納部8331に対してX方向側に位置する第2収納部8336と、配置部833における四隅近傍にそれぞれ設けられたねじ孔8337と、を有する。
【0056】
第1収納部8331には、第1伝達部91を構成するスクリューギア911が配置される。この第1収納部8331は、当該第1収納部8331におけるX方向とは反対側、すなわち、第2収納部8336とは反対側の位置に、切欠8332を有する。
第1収納部8331は、当該第1収納部8331の内側に向けて突出した規制部8333を有する。この規制部8333は、スクリューギア911の外周に沿って形成された凹部914に挿入され、これにより、スクリューギア911がX方向に沿って移動して、第1収納部8331から脱落することが規制される。
【0057】
第1収納部8331は、X方向側の端部に、第1収納部8331と第2収納部8336とを連通させる連通口8334を有する。この連通口8334には、スクリューギア911の一端が挿入される。
第1収納部8331は、Z方向とは反対側で、かつ、X方向の略中央部分に、凹状に切り欠かれた切欠8335を有する。この切欠8335の底部には、図示を省略するが、後述するスライド部材916が嵌め込まれ、当該スライド部材916のX方向に沿う移動を案内するガイドレールが形成されている。
【0058】
第2収納部8336は、第1収納部8331より小さく形成されている。この第2収納部8336には、スクリューギア911をX方向とは反対方向に付勢する付勢部材BM及び中間部材DMが配置される。
ねじ孔8337には、スクリューギア911を押さえる板状体PLを取り付けるねじS4(図15参照)が螺合する。
【0059】
[伝達装置の構成]
伝達装置9は、駆動装置8による回転力(動力)が伝達され、第1移動部材5及び第2移動部材6を移動させる機能を有する。この伝達装置9は、図14に示すように、第1駆動部81と係合し、上記第1ダイヤル811の回転操作に伴って第1移動部材5をX方向に沿って移動させる第1伝達部91と、上記第2駆動部82と係合し、上記第2ダイヤル821の回転操作に伴って第2移動部材6をY方向に沿って移動させる第2伝達部92と、を備える。
【0060】
[第1伝達部の構成]
第1伝達部91は、図16に示すように、上記配置部833にそれぞれ収納されるスクリューギア911及びスライド部材916を備える他、図16では図示を省略するが、付勢部材BM及び中間部材DM(ともに図18参照)を備える。
これらのうち、付勢部材BM及び中間部材DMは、上記のように、第2収納部8336内に収納され、スクリューギア911をX方向とは反対方向に付勢する。これら付勢部材BM及び中間部材DMは、第2駆動部82を構成する付勢部材BM及び中間部材DMと同じ構成を有するものであり、これらについては、後に詳述する。
【0061】
スクリューギア911は、スラスト方向がX方向に沿うように、上記第1収納部8331内に収納される。このスクリューギア911は、螺旋溝912、かさ歯車913、凹部914及び小径部915を有する。
螺旋溝912は、スクリューギア911におけるスラスト方向の略中央部分の外周面に形成されている。
かさ歯車913は、スクリューギア911におけるX方向とは反対側で、かつ、切欠8332を介して第1収納部8331外に露出する端部に取り付けられている。このかさ歯車913は、上記ギア813の第2ギア部8132と噛合する。
凹部914は、螺旋溝912とかさ歯車913との間に形成されている。この凹部914は、スクリューギア911の周方向に沿い、かつ、径方向内側に凹むように形成されている。この凹部914には、上記規制部8333が挿入される。
小径部915は、上記かさ歯車913とは反対側の端部に形成されており、当該小径部915の径寸法は、スクリューギア911における中央部分の径寸法より小さい。この小径部915は、上記連通口8334に挿入され、第2収納部8336内の中間部材DM(図示省略)に当接する。
【0062】
スライド部材916は、X方向に沿う噛合部917と、Z方向に沿う延出部918と、を有する略L字状に形成されている。
噛合部917は、スクリューギア911の螺旋溝912に噛合する他、図示を省略するが、上記切欠8335に形成されたガイドレールに嵌まり込む。
延出部918は、噛合部917におけるX方向側の端部からZ方向とは反対方向に延出し、上記連結部材CMによって支持部材7に連結された第1移動部材5の上記凹部513内に挿入される。この延出部918におけるX方向の寸法は、当該凹部513における内側の同方向の寸法と略一致する。
なお、スライド部材916は、上記ねじ孔8337にねじS4により固定される板状体PL(図15参照)により押さえられる。このため、スクリューギア911が回転される場合でも、当該スクリューギア911と同軸を中心とするスライド部材916の回転が規制されている。
【0063】
このような第1伝達部91では、第1駆動部81の第1ダイヤル811が回転操作されて、スクリューギア911がX方向に沿う軸を中心として回転されると、当該スクリューギア911の螺旋溝912と噛合するスライド部材916が、X方向に沿って移動する。これにより、延出部918が挿入される凹部513を有する第1移動部材5がX方向に沿って移動することとなる。
なお、図14に示したように、また、噛合部917からZ方向とは反対方向に延出する延出部918が、第1移動部材5の凹部513内に挿入されることからも分かるように、第1伝達部91は、Z方向に沿って見た場合に、第1移動部材5とZ方向側にて重なるように配置されている。
【0064】
[第2伝達部の構成]
図17は、第2伝達部92が取り付けられた支持部材7及び第2移動部材6を光出射側(Z方向側)から見た図である。また、図18は、第2伝達部92を示す平面図である。
第2伝達部92は、第2駆動部82にて生じた回転力が伝達されて、上記第2移動部材6をY方向に沿って移動させる機能を有する。この第2伝達部92は、図17及び図18に示すように、スクリューギア921、付勢部材BM及び中間部材DMを備える。
【0065】
スクリューギア921は、螺旋溝922、嵌合部923、凹部924及び小径部925を有する。
螺旋溝922は、スクリューギア921におけるスラスト方向の略中央部分の外周面に形成されており、当該螺旋溝922は、上記係合部材62の噛合部6221と噛合する。
嵌合部923は、スクリューギア921におけるスラスト方向の一端側に位置し、上記ギア824の開口部8241に挿入されて嵌合される。これにより、スクリューギア921は、スラスト方向に沿う軸を中心として上記ギア824と同軸で回転する。
凹部924は、螺旋溝922と嵌合部923との間に位置する。この凹部924は、スクリューギア921の周方向に沿い、かつ、径方向内側に凹むように形成されている。この凹部924には、上記規制部733が挿入される。
小径部925は、嵌合部923とは反対側の端部に形成されており、当該小径部925の径寸法は、スクリューギア921における中央部分の径寸法より小さい。この小径部925は、上記連通口734に挿入されて、第2収納部736内の中間部材DMに当接する。
【0066】
付勢部材BMは、スクリューギア921をスラスト方向の一方側、すなわち、嵌合部923側に付勢する付勢力を発生させる。この付勢部材BMは、本実施形態では圧縮コイルばねで構成されている。上記第1伝達部91を構成する付勢部材BMも同様である。
中間部材DMは、スクリューギア921における小径部925側の端面926と当接する当接面DM1を有する。この中間部材DMは、付勢部材BMを保持するホルダーとして機能する他、当該付勢部材BMの付勢力により押圧されて、当接面DM1にて当接されるスクリューギア921を上記嵌合部923側に付勢する。
【0067】
[投射位置調整装置の動作]
このような投射位置調整装置4は、以下のように動作する。
例えば図5に示すように、第1ダイヤル811が使用者により一方向に回転操作されると、ギア812,813が回転され、当該ギア813と噛合するスクリューギア911がスラスト方向(X方向)に沿う軸を中心として回転される。このスクリューギア911の回転により、当該スクリューギア911と噛合するスライド部材916がX方向に移動される。このスライド部材916は、第1移動部材5の凹部513に挿入されていることから、当該スライド部材916の移動に応じて、第1移動部材5が、スライド部材916と同方向に、第2移動部材6及び支持部材7に対して移動される。これにより、第1移動部材5に保持された投射光学装置36がX方向に移動される。
一方、第1ダイヤル811が使用者により他方向に回転操作されると、ギア812,813を介して、スクリューギア911が逆方向に回転し、スライド部材916、ひいては、第1移動部材5がX方向とは反対方向に移動される。
これにより、投射光学装置36による画像の投射位置が、X方向において調整される。
【0068】
また、第2ダイヤル821が使用者により一方向に回転操作されると、ギア822〜824が回転され、当該ギア824に嵌合されたスクリューギア921がスラスト方向(Y方向)に沿う軸を中心として回転される。このスクリューギア921の回転により、当該スクリューギア921と噛合する係合部材62を有する第2移動部材6がY方向に移動される。この第2移動部材6のガイド突起は、第1移動部材5の上記ガイド凹部51B1に挿入されていることから、当該第2移動部材6のY方向への移動に伴い、第1移動部材5も同方向にスライドされる。これにより、第1移動部材5に保持された投射光学装置36がY方向に移動される。
一方、第2ダイヤル821が使用者により他方向に回転操作されると、ギア822〜824を介して、スクリューギア921が逆方向に回転し、第2移動部材6、ひいては、第1移動部材5がY方向とは反対方向に移動する。
これにより、投射光学装置36による画像の投射位置が、Y方向において調整される。
【0069】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を有する。
鉛直方向(Y方向及びY方向と反対方向)に移動可能な第2移動部材6は、投射光学装置36を支持するとともに、水平方向(X方向及びX方向と反対方向)に移動可能な第1移動部材5と支持部材7との間に配置され、第1移動部材5及び第2移動部材6のそれぞれには、第1伝達部91及び第2伝達部92を介して駆動装置8の動力がそれぞれ伝達される。そして、第1移動部材5がX方向及びX方向と反対方向に移動しても、第2移動部材6はX方向及びX方向と反対方向に移動しない。このため、第2移動部材6は、第2伝達部92から離れる方向に移動されることがないので、第2移動部材6に嵌合されて第2伝達部92と係合する係合部材62の剛性を高める必要がない。従って、第2移動部材6及び係合部材62の剛性は十分であり、これらを大きく構成する必要がないので、プロジェクター1(投射位置調整装置4)を小型化しつつ、当該第2移動部材6が支持部材7及び第1移動部材5に対して傾くことを抑制できる。これにより、第2移動部材6が第1移動部材5に対して傾かないので、支持部材7に第1移動部材5が取り付けられていることと相まって、第1移動部材5の傾きも抑制できる。
【0070】
また、第2移動部材6は、支持部材7と第1移動部材5との間に配置され、駆動装置8からの動力を伝達する第2伝達部92と係合する係合部材62が当該第2移動部材6に嵌合されて一体に組立されており、また、第2移動部材6は、Y方向及びY方向と反対方向にのみ移動するため、第2伝達部92と係合部材62との間に第2移動部材6の移動に伴う当該第2移動部材6のX方向及びX方向と反対方向への移動を許容するクリアランスを設ける必要がない。これにより、第2伝達部92と係合部材62との間にガタが発生することを抑制できるので、第2伝達部92と係合部材62とが強固に係合する。よって、第2移動部材6が投射光学装置36を直接支持しないことと相まって、第2移動部材6がY方向及びY方向と反対方向に変更されたり、或いは、第2移動部材6が支持部材7に対して傾くことを抑制できる。従って、投射光学装置36から投射される画像の投射位置がずれることを抑制できる。
【0071】
投射光学装置36を保持する第1移動部材5は、X方向及びX方向と反対方向に沿って移動可能であるので、第2移動部材のみが独立してY方向及びY方向と反対方向(特にY方向と反対方向)に移動することがない。これによれば、第1移動部材5に対して投射光学装置36(鏡筒361)の自重が作用しても、当該第1移動部材5がY方向及びY方向と反対方向に移動することを抑制できる。また、Y方向及びY方向と反対方向に沿って移動可能な第2移動部材6は、投射光学装置36を保持しないので、移動後の第2移動部材6が、当該投射光学装置36の自重によってY方向及びY方向と反対方向に移動することを抑制できる。
更に、第2移動部材6は、支持部材7と第1移動部材5との間に配置され、当該第1移動部材5は、第2移動部材6に沿って摺動する。すなわち、第1移動部材5と第2移動部材6とは接触している。これによれば、第2移動部材6が、第1移動部材5側に傾斜することを当該第1移動部材5により抑制できる。
このように、投射位置調整後の各移動部材5,6、ひいては、投射光学装置36の移動を抑制できるので、当該投射光学装置36による画像の投射位置のずれを抑制でき、かつ、プロジェクター1を小型化できる。
【0072】
また、第2移動部材6には、第1移動部材5に対向する端面61Aに突起61A1が設けられ、第1移動部材5には、突起61A1が挿入され、水平方向(X方向及びX方向と反対方向)への第1移動部材5の移動を案内するガイド凹部51B1が設けられているので、第2移動部材6に沿って第1移動部材5を水平方向(X方向及びX方向と反対方向)に確実に摺動させることができる。
【0073】
更に、孔部612内に配置されて段差部6121に当接し、ねじS2により固されたワッシャーWが、第2移動部材6がY方向及びY方向とは反対方向に限界まで移動される際に、段差部6121における第1移動部材5側の面に当接するので、第2移動部材6のY方向における一端が支持部材7から離間する方向に傾くことが抑制される。すなわち、第2移動部材6が第1移動部材5側に傾くことが抑制されるので、投射光学装置36を支持する第1移動部材5が傾くことが抑制される。従って、投射位置調整後の各移動部材5,6、ひいては、投射光学装置36の移動を抑制できるので、当該投射光学装置36による画像の投射位置のずれを確実に抑制できる。
【0074】
更に、第1移動部材5と支持部材7とが連結され、第2移動部材6が連結された第1移動部材5及び支持部材7に挟持されているので、支持部材7に対して第2移動部材6を移動可能に支持させ、当該第2移動部材6に対して第1移動部材5を移動可能に支持させる構成に比べて、投射位置調整装置4の構成を簡略化できる。従って、投射位置調整装置4の組立を容易に実施でき、ひいては、プロジェクター1の製造工程を簡略化できる。
【0075】
また、連結部材CMを構成するスクリューピンCM2が支持部材7の開口部72を挿通して、第1移動部材5の孔51A2に螺合することにより取り付けられ、スクリューピンCM2が挿通した状態の挟持部材CM1が支持部材7の端面における開口部72に応じた位置に設けられている。また、スクリューピンCM2の頭部CM21と挟持部材CM1との間に付勢部材CM3が設けられているので、挟持部材CM1及びスクリューピンCM2の支持部材7側の頭部CM21に互いに離間する方向への付勢力を作用させる。すなわち、当該付勢力により、挟持部材CM1は、支持部材7側に押圧される。また、当該付勢力により、スクリューピンCM2の支持部材7側の頭部CM21が支持部材7から離間する方向に付勢されることで、スクリューピンCM2が螺合する第1移動部材5が、支持部材7側に引っ張られ、第1移動部材5が支持部材7に押圧される。これにより、第1移動部材5と支持部材7との間に設けられた第2移動部材6は、当該第1移動部材5及び支持部材7とにより摺動自在な状態で挟持される。更に、付勢部材CM3の付勢力により、第1移動部材5が支持部材7に引き寄せられるため、第1移動部材5に投射光学装置36の自重がかかったとしても、支持部材7が第1移動部材5を支持部材7側に引き寄せるため、第1移動部材5が当該自重により移動することを規制することができる。従って、第1ダイヤル811及び第2ダイヤル821の操作により、投射位置が調整された投射光学装置36の移動を確実に抑制でき、投射光学装置36から投射された画像の投射位置のずれを抑制できる。
【0076】
[実施形態の変形]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、付勢部材CM3は圧縮コイルばねを用いていたが、本発明はこれに限らない。すなわち、スクリューピンCM2を付勢できれば、ゴム及び発泡樹脂等の弾性部材でもよく、板ばね等のばね部材であってもよい。
【0077】
上記実施形態では、第1移動部材5は、本体部51において第2移動部材6に対向する端面51Bに、ガイド部としてのガイド凹部51B1を有し、当該第2移動部材6は、本体部61において端面61Aに、ガイド凹部51B1に挿入される突起としてのガイド突起61A1を有するとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。すなわち、第1移動部材5が、第2移動部材6側に突出する突起を有し、第2移動部材6が、当該突起が挿入され、X方向に長いガイド凹部を有する構成としてもよい。
【0078】
上記実施形態では、支持部材7は、孔部612内に配置されて段差部6121に当接し、第1移動部材5が傾くことを抑制するワッシャーWを有する構成とした。しかしながら、このようなワッシャーWはなくてもよい。
【0079】
上記実施形態では、連結部材CMは、挟持部材CM1、スクリューピンCM2、及び付勢部材CM3を備えることとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、付勢部材CM3を設けることなく、スクリューピンCM2の頭部CM21が弾性部材により構成されることとしてもよい。
また、スクリューピンCM2が第1移動部材5の孔51A2と螺合することにより、スクリューピンCM2と第1移動部材5とが固定されることとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、第1移動部材5の孔51A2とスクリューピンCM2とが固定されれば、どのような構成でもよく、例えば、接着剤により、スクリューピンCM2の先端が第1移動部材5に固定されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、伝達装置9は、支持部材7に配置されることとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、各移動部材5,6のいずれかに配置されてもよい。
また、上記実施形態では、駆動装置8は、使用者により操作される各ダイヤル811,821を備えることとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、モーター等の回転力発生装置(動力発生装置)を備えていてもよい。
【0081】
上記実施形態では、第2移動部材6は、本体部61と係合部材62とにより構成されることとした。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、第2移動部材6を一体で構成してもよい。この場合、より精度よく第2移動部材6を形成すればよい。これにより、第2移動部材の剛性を高めることができる。
【0082】
上記実施形態では、プロジェクター1は、3つの液晶パネル353R,353G,353Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネル353を用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
上記実施形態では、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネル353を用いていたが、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラー表示素子等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
【0083】
上記実施形態では、光源装置31は、光源ランプ311と、当該光源ランプ311から出射された光を反射させるリフレクター312とを有する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らない。すなわち、光源装置は、LED(Light Emitting Diode)等の固体光源を有する構成としてもよい。また、光源装置の数は2つ以上でもよい。
上記実施形態では、光学ユニット3は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…プロジェクター、36…投射光学装置、361…鏡筒、4…投射位置調整装置(移動装置)、5…第1移動部材、51A2…孔(孔部)、51B1…ガイド凹部(凹部)、513…凹部、6…第2移動部材、61A1…突起、612…孔部、6121…段差部、62…係合部材、7…支持部材、72…開口部、8…駆動装置、9…伝達装置、91…第1伝達部、916…スライド部材、92…第2伝達部、CM…連結部材、CM1…挟持部材(押さえ部材)、CM2…スクリューピン(ピン)、CM21…頭部(基端部)、CM3…付勢部材、W…ワッシャー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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