(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1ライン分の読取動作に対応してそれぞれが異なる色の光を照射する複数の光源を順次点灯する点灯動作を行うとともに副走査方向に相対移動する読取画像に作用した各色の光をイメージセンサによって順次読み取ることで得られる各色の画像データを入力し、1ライン分の画像データを生成する画像処理装置において、
前記1ライン分の読取動作に対応する各色の画素を対象として、当該対象画素が、副走査方向の上流側のエッジ部に相当するか、副走査方向の下流側のエッジ部に相当するか、非エッジ部に相当するかを判定するエッジ判定部と、
前記対象画素に関する各色の画素値と、前記対象画素がカラーかそれとも黒かを区別する色黒判定条件とに基づいて、前記対象画素が黒であるか否かの色黒判定を行う色黒判定部と、
前記エッジ判定部の判定結果に基づいて前記色黒判定条件の設定を行うことで、前記色黒判定部によって黒と判定される判定幅を切り替える条件切替部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の構成を模式的に示す説明図である。第1の実施形態に係る画像形成装置1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体を1本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置1は、画像読取装置10、画像形成部30Y,30M,30C,30K、定着装置50、制御部70を主体に構成されている。
【0017】
画像形成装置1は、その上部に自動原稿送り装置ADFを備えている。自動原稿送り装置ADFの原稿載置台25には原稿Dが載置される。原稿Dは、一枚ずつ分離され原稿搬送路に送り出され、搬送ドラム26により搬送される。第1搬送ガイドG1及び原稿排出ローラー27は、搬送ドラム26により搬送された原稿Dを原稿排出トレイ28に排出する。
【0018】
画像読取装置10は、搬送ドラム26により搬送される原稿Dの画像を読み取る。画像読取装置10は、原稿読取位置RPにおいて原稿Dを光源ユニット15にて照射する。原稿Dにて反射した反射光は、複数のミラー11,12,13によって導かれ、結像光学系14によってイメージセンサCCDの受光面に結像する。イメージセンサCCDは入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。画像処理部20は、この画像信号に対して所定の処理を施し、画像データを作成する。なお、画像読取装置10の詳細については後述する。
【0019】
画像形成部30Y,30M,30C,30Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部30Y、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部30M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部30C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成部30Kに対応している。
【0020】
画像形成部30Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成部30M,30C,30Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0021】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kは、帯電部2Y,2M,2C,2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y,3M,3C,3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色の画像(トナー画像)が形成される。感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された画像は、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0022】
中間転写ベルト6上に転写された画像は、2次転写ローラー9によって、後述する用紙搬送部40により所定のタイミングで搬送される用紙Pに転写される。この2次転写ローラー9は、中間転写ベルト6と圧接して配置されてニップ(転写ニップ)を形成し、用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像を転写する。
【0023】
用紙搬送部40は、搬送経路に従って用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ41に収容されており、当該給紙トレイ41に収容された用紙Pは、給紙部42により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。搬送経路には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、例えば互いに圧接された一対のローラーによって構成されており、駆動手段である電動モーターを通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動する。
【0024】
定着装置50は、画像が転写された用紙Pに対して、画像を定着させる定着処理を施す装置である。定着装置50は、互いに圧接して配置されることによりニップ(定着ニップ)を形成する一対の定着部材と、当該定着部材を加熱する加熱手段とで構成されている。一対の定着部材としては、例えば一対の定着ローラー51,52を用いることができる。個々の定着ローラー51,52は、回転可能に構成されており、駆動手段である駆動モーター(図示せず)を通じて、少なくとも一方のローラー(例えば定着ローラー52)が回転駆動する。加熱手段としては、例えばハロゲンランプ53を用いることができる。定着装置50は、一対の定着ローラー51,52による圧力定着、ハロゲンランプ53による熱定着を行うことで、画像を用紙Pに定着させる。
【0025】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラー43により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ44に排出される。用紙Pの両面に画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切替ゲート45により、下方にある反転ローラー46へと搬送される。反転ローラー46は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、再給紙用の複数の搬送手段によって搬送され、転写位置へと回帰する。
【0026】
制御部70は、画像形成装置1を統合的に制御する機能を担っており、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。制御部70は、画像形成部30Y,30M,30C,30Kなどを制御することにより、所定の画像を用紙Pに形成する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る画像読取装置10の構成を示すブロック図である。画像読取装置10は、光源ユニット15と、CPU16と、ROM17と、RAM18と、CCD制御部19と、画像処理部20と、画像メモリー21とを主体に構成されている。
【0028】
光源ユニット15は、それぞれが異なる色の光を照射する複数の光源から構成され、複数の光源の中から選択される所定の色の光を原稿Dに照射する。本実施形態において、光源ユニット15は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色に対応する3つの光源15R,15G,15Bで構成されている。個々の光源15R,15G,15Bには、例えばLEDを用いることができる。各光源15R,15G,15Bからの光は、図示しない導光体により導光され、主走査方向に対応するライン状の光として原稿Dに照射される。
【0029】
CPU16は、画像読取装置10全体の制御をつかさどるものである。CPU16は、ROM17に格納されたプログラム及びデータを読み出すとRAM18上に展開し、これを実行することで各種の処理を行う。
【0030】
図3は、光源ユニット15の点灯制御を示す説明図である。本実施形態との関係において、CPU16は、光源ユニット15についての点灯制御を行う。具体的には、CPU16は、3つの光源15R,15G,15Bに対して点灯信号を順次出力し(R点灯信号、G点灯信号、B点灯信号)、3つの光源15R,15G,15Bを順次点灯する点灯動作を行う。この点灯動作により、搬送ドラム26により搬送されて副走査方向(主走査方向と交差する方向)に相対移動する原稿D(読取画像)に対してRGBの光が順次照射される。この点灯動作は、主走査方向の1ライン分の読取動作に対応して1回行われ、CPU16は、原稿Dの読取期間に対応して点灯動作を繰り返し行う(点灯制御)。なお、3つの光源15R,15G,15Bの点灯順序は任意であるが、本実施形態では、Rに対応する光源15R、Gに対応する光源15G、Bに対応する光源15Bの順序で点灯を行うものとする。
【0031】
ROM17は、CPU16が実行する各種プログラムを、当該CPU16が読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROM17は、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。
【0032】
RAM18は、作業用の記憶領域となるメモリーである。
【0033】
CCD制御部19は、イメージセンサCCD及びアナログ処理回路(図示せず)等から構成されている。イメージセンサCCDは、複数の光電変換素子を画素毎にライン状に並べて主走査方向と略平行に配置したものであり、RGBの各色で共用されるモノクロイメージセンサである。イメージセンサCCDにおける各素子の読取動作は主走査同期信号(
図3参照)に基づいて同期される。
【0034】
上述したように、原稿Dに作用した光(反射光)は、イメージセンサCCDに入射される。イメージセンサCCDは、光源ユニット15からの光の照射に対応して読取動作を行うことで、原稿Dからの反射光の強度に応じた電気信号を画像(輝度)信号として生成する。生成された画像信号はアナログ処理回路においてデジタル信号に変換され、変換された画像データは画像処理部20に出力される。
【0035】
ここで、画像データは、各画素の画素値の集合であり、光源ユニット15から照射された光による原稿D上の読取位置(主走査ライン)における濃度データである。各画素値は、例えば256階調によりその濃度(濃淡)が表現される。
【0036】
上述したように、1ライン分の読取動作では、1回の点灯動作に伴いRGBの各色の光源15R,15G,15Bが順次点灯する。
図3に示すように、CCD制御部19は、Rの画像データ、Gの画像データ、Bの画像データを線順次で生成する。そして、点灯動作を繰り返し行うことで、その点灯動作毎に、RGBの3つ画像データが順次生成される。
【0037】
ここで、
図3において、R0,R1,R2のそれぞれは、Rの光源15Rによる読取動作に応じた画像データ(Rの画像データ)を示す。同様に、G0,G1,G2のそれぞれは、Gの光源15Gによる読取動作に応じた画像データ(Gの画像データ)を示し、B0,B1,B2のそれぞれは、Bの光源15Bによる読取動作に応じた画像データ(Bの画像データ)を示す。
【0038】
画像処理部20は、CCD制御部19から画像データを入力し、当該画像データに必要な処理を行い、その画像データを画像メモリー21に保存する。具体的には、画像処理部20は、1ライン分の読取動作に対応するRGBの画像データを入力し、これらの3つの画像データに基づいて1ライン分の画像データを生成する。例えば、RGBの各色について1800dpi単位で読み取りを行うことで、1ライン分の画像データの解像度は、600dpiに相当する。
【0039】
画像処理部20は、これを機能的に捉えた場合、ライン間補正部20a、エッジ判定部20b、条件切替部20c、色黒判定部20d及び濃度補正部20eを備えている。
【0040】
ライン間補正部20aは、1ライン分のRGBの画像データを入力し、ライン間補正を行う。ここで、ライン間補正は、RGBそれぞれの読取位置(主走査ライン)のずれに起因するRGBの画像信号の位相ずれを補正する処理である。ライン間補正部20aにより処理された1ライン分のRGBの画像データは、エッジ判定部20b、色黒判定部20d及び濃度補正部20eにそれぞれ出力される。
【0041】
エッジ判定部20bは、1ライン分のRGBの画素(副走査方向の3つの画素)を対象とし、当該対象画素が、副走査方向の上流側のエッジ部に相当するか、副走査方向の下流側のエッジ部に相当するか、エッジを含まない非エッジ部に相当するかを判定する。ここで、エッジは隣接画素間の画素値の変化量が大きい箇所をいい、その変化量と予め設定された判定値とを比較することにより判断される。副走査方向の上流側のエッジ部は、副走査方向の上流側の画素が白で下流側の画素が黒となるエッジを含むものをいい、副走査方向の下流側のエッジ部は、副走査方向の上流側の画素が黒で下流側の画素値が白となるエッジを含むものをいう。
【0042】
条件切替部20cは、複数の色黒判定条件を保持している。色黒判定条件は、対象画素がカラーかそれとも黒かを区別する色黒判定を行うためのものであり、後述する色判定部20dにより用いられる。この条件切替部20cは、エッジ判定部20bの判定結果に基づいて色黒判定条件の設定を行うことで、色判定部20dによって黒と判定される判定幅を切り替えることができる。
【0043】
色黒判定部20dは、対象画素に関するRGBの画素と、条件切替部20cにより設定される色黒判定条件とに基づいて、対象画素が黒であるか否かの色黒判定を行う。本実施形態において、色黒判定部20dは、対象画素に係るRGBの各画素値を所定の色空間に変換することで色黒判定を行う。具体的には、色黒判定部20dは、対象画素に係るRGBの各画素値を、例えばCbCr色空間に変換したCbCr色空間データを生成する。ここで、上述の色黒判定条件は、CbCr色空間においてカラーと黒とを区別する境界条件となる。そこで、色黒判定部20dは、CbCr色空間データと、色黒判定条件と比較し、対象画素が黒であるか、それともカラーであるかを判定する。
【0044】
濃度補正部20eは、色黒判定部20dにより黒と判定された対象画素を、読取画像の濃度に応じた黒に置換する補正を行う。この補正は、1回の点灯動作に係るRGBの点灯順序のなかで2番目(真ん中)に点灯する色の画素値を基準に行われる。本実施形態では、R、G、Bの順序で点灯を行うため、Gの画素値の濃度に応じて対象画素が黒に置換される(濃度補正処理)。点灯順序が真ん中の色の画素値に注目する理由は、光学系のぼけ等を考慮した場合、黒画素については、点灯順序が真ん中の色、すなわち、副走査方向の重心位置の色がもっとも濃度を正しく表現していると考えられるためである。なお、対象画素がエッジ部であれば、エッジ強調処理をRGBの各画素にそれぞれ同量実施することも可能である。
【0045】
画像メモリー21は、画像処理部20により順次生成された1ライン分の画像データを格納する。この画像メモリー21は、読取可能な最大サイズの原稿Dに対応する複数ライン分の画像データを格納可能な容量を備えている。原稿Dに相当する1ライン分の画像データ群(1ライン分の画像データの集合)は、CPU16により読み出され、制御部70へと出力される。
【0046】
以下、画像処理部20により実行される画像処理の説明に先立ち、副走査方向の色ずれの発生メカニズムについて説明する。ここで、
図4は、副走査方向の色ずれの発生メカニズムを示す説明図である。同図において、(a)は読取画像を含む原稿Dを模式的に示す説明図であり、黒塗りの矩形にて読取画像(例えば黒線)を示している。また、同図において、(b)は、原稿Dの読取結果に相当する1ライン分の画像データ群を模式的に示す説明図である。
【0047】
原稿Dについて1ライン毎に副走査方向の上から下に沿って読取動作を行う。1ライン分の読取動作では、RGBの各色について1800dpi単位で読み取りを行う。1ライン分の読取動作に応じてRGBの画像データが得られ、これらの画像データに基づいて600dpi相当の1ライン分の画像データが得られる。
【0048】
図4(a)に示すように、原稿Dには、読取画像である黒線(黒塗りの矩形)が合計で3つ配置されている。具体的には、副走査方向の長さが2ドット(600dpi)に相当する黒線が、副走査方向の異なる位置に3つ配置されている。
【0049】
まずは、左から1番目に位置する黒線(読取画像)に着目する。n番目の読取動作に対応する1ラインでは、Rの主走査ラインで白、G及びBの各主走査ラインで黒となっている。n+1番目の読取動作に対応する1ラインでは、R、G及びBの各主走査ラインで黒となっている。n+2番目の読取動作に対応する1ラインでは、Rの主走査ラインで黒、G及びBの各主走査ラインで白となっている。このケースでは、n番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の上流側のエッジ部に相当し、n+1番目の1ラインに係る対象画素は、非エッジ部に相当し、n+2番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の下流側のエッジ部に相当する。
【0050】
同図(b)に示す読取結果をみると、n番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで赤になる。n+1番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで黒になる。n+2番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで略シアンとなる。このように、n番目及びn+2番目の1ラインにおいてそれぞれ色ずれを起こしている。
【0051】
つぎに、左から2番目に位置する黒線に着目する。n番目の読取動作に対応する1ラインでは、R及びGの各主走査ラインで白、Bの主走査ラインで黒となっている。n+1番目の読取動作に対応する1ラインでは、R、G及びBの各主走査ラインで黒となっている。n+2番目の読取動作に対応する1ラインでは、R及びGの各主走査ラインで黒、Bの主走査ラインで白となっている。このケースでは、n番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の上流側のエッジ部に相当し、n+1番目の1ラインに係る対象画素は、非エッジ部に相当し、n+2番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の下流側のエッジ部に相当する。
【0052】
同図(b)に示す読取結果をみると、n番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで略黄になる。n+1番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで黒になる。n+2番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで略青となる。このように、n番目及びn+2番目の1ラインにおいてそれぞれ色ずれを起こしている。
【0053】
また、左から3番目に位置する黒線に着目する。n+1番目の読取動作に対応する1ラインでは、R、G及びBの各主走査ラインで黒となっている。n+2番目の読取動作に対応する1ラインでは、R、G及びBの各主走査ラインで黒となっている。このケースでは、n+1番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の上流側のエッジ部、副走査方向の下流側のエッジ部のいずれにも該当せず、非エッジ部に相当する。同様に、n+2番目の1ラインに係る対象画素は、非エッジ部に相当する。
【0054】
同図(b)に示す読取結果をみると、n+1番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで黒になる。また、n+2番目の1ラインに係る対象画素では、RGBの画素を集約することで黒になる。このように、n+1番目、n+2番目の各1ラインにおいて色ずれは発生していない。
【0055】
このように、副走査方向の上流側のエッジ部に起因して、対象画素では赤〜黄方向に色ずれが発生し、副走査方向の下流側のエッジ部に起因して、対象画素では青〜シアン方向に色ずれが発生する。もっとも、エッジ部に起因する色ずれの色の傾向は、RGBの点灯順序に起因するものであり、その点灯順序が相違する場合は異なる色ずれの傾向を示すこととなる。
【0056】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置1に適用される画像読取装置10における画像処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、1ライン分の読取動作に対応するRGBの画像データの入力に対応して、画像処理部20により実行される。また、本処理は、主走査方向の各画素について各々実行される。
【0057】
まず、ステップ1(S1)において、ライン間補正部20aは、1ライン分のRGBの画素(副走査方向の3つの画素)を対象とし、対象画素についてライン間補正を行う。具体的には、ライン間補正部20aは、以下の手法により、RGBの画素値を補正する。
【数1】
【0058】
同数式において、nは補正対象となる副走査方向のライン位置を示す。
【0059】
ステップ2(S2)において、エッジ判定部20bは、エッジ判定を行う。具体的には、エッジ判定部20bは、対象画素が、副走査方向の上流側のエッジ部に相当するか、副走査方向の下流側のエッジ部に相当するか、エッジ部を含まない非エッジ部に相当するかを判定する。
【0060】
例えば、
図4(a)の左から1番目の黒線(読取画像)を例に挙げると、n番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の上流側のエッジ部に相当し、n+2番目の1ラインに係る対象画素は、副走査方向の下流側のエッジ部に相当する。また、n+1番目のラインに係る対象画素は、非エッジ部に相当する。
【0061】
ステップ3(S3)において、条件切替部20cは、判定条件を切り替える。条件切替部20cは、色黒判定部20dが色黒判定を行うための色黒判定条件を保持している。条件切替部20cは、標準の色黒判定条件、上流側のエッジ部に適用する色黒判定条件、下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件を保持している。
【0062】
図6は色黒判定条件を模式的に示す説明図であり、(a)は標準の色黒判定条件Csを示し、(b)は上流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cueを示し、(c)は下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cleを示す。各色黒判定条件Cs,Cue,Cleは、CbCr色空間においてカラーと黒との境界を画定するための境界条件として設定されている。具体的には、対象画素(RGBの各画素)をCbCr空間に変換したCbCr空間データが色黒判定条件Cs,Cue,Cleよりも内側に位置付けられる場合、当該CbCr空間データ(対象画素)は黒と判定される。一方、このCbCr空間データが色黒判定条件Cs,Cue,Cleよりも外側に位置付けられる場合、当該CbCr空間データ(対象画素)はカラーと判定される。
【0063】
同図(a)に示すように、標準の色黒判定条件Csは、例えばCbCr色空間においてその座標の原点を中心とする円形状に設定されている。
【0064】
一方、同図(b)に示すように、上流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cueは、標準の色黒判定条件Csを基本としつつ、黒判定となる範囲を赤〜黄の色相にまで広げたものである。上述したように、副走査方向の上流側のエッジ部については赤〜黄方向に色ずれを起こす傾向がある。この色黒判定条件Cueによれば、副走査方向の上流側のエッジ部について黒と判定され易くなる。
【0065】
また、同図(c)に示すように、下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cleは、標準の色黒判定条件Csを基本としつつ、黒判定となる範囲を青〜シアンの色相にまで広げたものである。上述したように、副走査方向の下流側のエッジ部については青〜シアン方向に色ずれを起こす傾向がある。この色黒判定条件Cleによれば、副走査方向の下流側のエッジ部について黒と判定され易くなる。
【0066】
本ステップ3では、条件切替部20cは、ステップ2におけるエッジ判定の判定結果に基づいて、色黒判定条件の設定を行う。具体的には、条件切替部20cは、当該対象画素が副走査方向の上流側のエッジ部に相当する場合には、色黒判定条件を上流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cueに設定する。また、条件切替部20cは、対象画素が副走査方向の下流側のエッジ部に相当する場合には、色黒判定条件を下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cleに設定する。さらに、条件切替部20cは、対象画素が非エッジ部に相当する場合には、色黒判定条件を標準の色黒判定条件Csに設定する。この条件切替部20cの色黒判定条件の設定により、色黒判定部20dによって黒と判定される判定幅が切り替えられる。
【0067】
ステップ4(S4)において、色黒判定部20dは、対象画素に係る3つの画素値をCbCr色空間データに変換し、変換したCbCr色空間データと、ステップ3で設定した色黒判定条件とを比較する。そして、色黒判定部20dは、CbCr色空間データ(対象画素)がカラーか、それとも黒かを判定する。この処理では、CbCr色空間データが、ステップ3で設定した色黒判定条件の内側に含まれていれば、そのデータを黒と判定する。一方、CbCr色空間データが、ステップ3で設定した色黒判定条件の外側に含まれていれば、そのデータをカラーと判定する。
【0068】
ステップ5(S5)において、色黒判定部20dは、ステップ4の判定結果が黒であるか否かを判定する。判定結果が黒である場合には、ステップ5で肯定判定されるため、ステップ6(S6)に進む。一方、判定結果がカラーである場合には、ステップ5で否定判定されるため、ステップ7(S7)に進む。
【0069】
ステップ6において、濃度補正部20eは、黒と判定された対象画素について、濃度補正処理を行う。具体的には、濃度補正部20eは、点灯順序が2番目(真ん中)のGの画素値の濃度に応じて、対象画素を黒へと置換する。このモノクロ情報は対象画素に対応付けられ、これにより、1ライン分の画像データが生成される。そして、本処理を終了する(END)。
【0070】
一方、ステップ7において、画像処理部20は、対象画素に係るRGBの画素値を集約し、当該対象画素のカラー情報を特定する。このカラー情報は対象画素に対応付けられ、これにより、1ライン分の画像データが生成される。そして、本処理を終了する(END)。
【0071】
このように本実施形態において、画像形成装置1における画像読取装置10は、光源ユニット15と、CCD制御部19と、画像処理部20とを有している。ここで、光源ユニット15は、1ライン分の読取動作に対応して、それぞれが異なる色からなるRGBの光源15R,15G,15Bを順次点灯し、副走査方向に相対移動する原稿D(読取画像)に各色の光を順次照射する。CCD制御部19は、読取画像に作用した各色の光をイメージセンサCCDで順次読み取り、各色の画像データを出力する(センサ制御部)。画像処理部20は、CCD制御部から1ライン分の読取動作に対応する3つの画像データ(RGBの画像データ)を入力し、これらの画像データに基づいて1ライン分の画像データを生成する。
【0072】
画像処理部20は、エッジ判定部20bと、色黒判定部20dと、条件切替部20cとを主体に構成されている。エッジ判定部20bは、1ライン分のRGBの画素を対象として、当該対象画素が、副走査方向の上流側のエッジ部に相当するか、副走査方向の下流側のエッジ部に相当するか、非エッジ部に相当するかを判定する。色黒判定部20dは、対象画素に関する各色の画素値と、対象画素がカラーかそれとも黒かを区別する色黒判定条件とに基づいて、対象画素が黒であるか否かの色黒判定を行う。条件切替部20cは、エッジ判定部20bの判定結果に基づいて色黒判定条件の設定を行うことで、色黒判定部20dによって黒と判定される判定幅を切り替える。
【0073】
この構成によれば、対象画素に対するエッジ部の判定結果に基づいて、色黒判定条件が適宜の条件に設定される。この設定により、色黒判定部20dによって黒と判定される判定幅が切り替えられることとなるので、エッジ部に相当する対象画素が黒と判定されるように調整される。これにより、エッジ部に生じる色ずれを抑制することができるので、画質低下を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態において、条件切替部20cは、非エッジ部に相当すると判定された場合に用いる標準の色黒判定条件Csと、副走査方向の上流側のエッジ部に相当すると判定された場合に用いる色黒判定条件(第1の色黒判定条件)Cueと、副走査方向の下流側のエッジ部に相当すると判定された場合に用いる色黒判定条件(第2の色黒判定条件)Cleとを有している。
【0075】
ここで、第1の色黒判定条件Cueは、3つの光源のうち点灯順序の早い光源(1番目の光源又は1番目・2番目の光源)の色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりも黒と判定するように設定されている。すなわち、第1の色黒判定条件Cueは、RGBのうち点灯順序の早いRの光源15R、Gの光源15Gの色に起因する赤〜黄の色相を、標準の色黒判定条件Csよりも黒と判定するように設定されている。一方、第2の色黒判定条件Cleは、3つの光源のうち点灯順序の遅い光源(2・3番目の光源又は3番目の光源)の色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりも黒と判定するように設定されている。すなわち、第2の色黒判定条件Cleは、RGBのうち点灯順序の遅いBの光源15B、Gの光源15Gの色に起因する青〜シアンの色相を、標準の色黒判定条件Csよりも黒と判定するように設定されている。
【0076】
副走査方向の上流側のエッジ部については赤〜黄方向に色ずれを起こす傾向があるが、第1の色黒判定条件Cueは、副走査方向の上流側のエッジ部に相当する対象画素を黒と判定し易い傾向を有している。このため、上流側のエッジ部に相当する対象画素については色黒判定部20dにより黒と判定されるため、赤〜黄方向に色ずれを起こすといったことを抑制することができる。また、副走査方向の下流側のエッジ部については青〜シアン方向に色ずれを起こす傾向があるが、第2の色黒判定条件Cleは、副走査方向の下流側のエッジ部に相当する対象画素を黒と判定し易い傾向を有している。このため、下流側のエッジ部に相当する対象画素については色黒判定部20dにより黒と判定されるため、青〜シアン方向に色ずれを起こすといったことを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態において、画像処理部20は、色黒判定部20dにより黒と判定された対象画素について、3つの光源のうち点灯順序が真ん中の光源(2番目の光源)の色に対応する画素の画素値に基づいて濃度補正を行う濃度補正部20eをさらに有している。すなわち、濃度補正部20eは、RGBのうち点灯順序が真ん中のGの光源15Gの色に対応する画素の画素値に基づいて濃度補正を行う。
【0078】
この構成によれば、対象画素における重心位置の画素値に基づいて、黒判定された対象画素の濃度が補正される。これにより、色黒判定により黒に置換された画素についても、読取画像に応じた画素値に補正される。その結果、読取画像の画素値の濃度に応じた黒(モノクロ)に補正される。その結果、画像の線幅が太く感じられたり、画像の重心位置がずれたりするといった見た目上の違和感を低減することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。この画像形成装置1が第1の実施形態のそれと相違する点は、画像読取装置10に適用される画像処理部20による画像処理の方法である。なお、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、以下、相違点を中心に説明を行う。
【0080】
2番目(真ん中)に点灯する色(本実施形態で「G」)の画素が上流側及び下流側のそれぞれにエッジを有し、マゼンダ方向又は緑色方向に色ずれを起こすケースを考える。
図7において、(a)は、主走査ライン(例えば1800dpi)に相当する線幅の黒線を示し、Gの画素が上流側及び下流側のそれぞれにエッジを有している。すなわち、対象画素は、副走査方向の上流側のエッジ部及び副走査方向の下流側のエッジ部に相当する。一方、(b)は、主走査ライン(例えば1800dpi)に相当する線幅の白抜き線を示し、Gの画素が上流側及び下流側のそれぞれにエッジを有している。すなわち、対象画素は、副走査方向の下流側のエッジ部及び副走査方向の上流側のエッジ部に相当する。このような黒線又は白抜き線が、真ん中で点灯するGの読取位置(主走査ライン)と重なる場合、前者のケースでは、マゼンダ方向に色ずれを起こし、後者のケースでは、緑方向に色ずれを起こす。
【0081】
原理的にはこのようなケースにおいて色ずれが発生するが、通常、このような条件が満たされることは非常に少ないと考えられる。よって、本実施形態では、2番目(真ん中)に点灯する色(本実施形態で「G」)の画素が上流側及び下流側のそれぞれにエッジを有するシーン、すなわち、対象画素が副走査方向の上流側のエッジ部及び副走査方向の下流側のエッジ部に相当するシーンでは、標準の色黒判定条件Csと比較して、緑及びマゼンダの色相をカラーと判定し易くすることとしている。
【0082】
そこで、本実施形態の特徴の一つとして、条件切替部20cは、上流側及び下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Caをさらに保持している。この色黒判定条件Caは、
図8に示すように、標準の色黒判定条件Csを基本としつつ、緑(G)とマゼンダ(M)の色相についてカラー判定となる範囲を広げたものである。上述したように、2番目(真ん中)に点灯するGの画素が上流側及び下流側にエッジを有する場合には、この色黒判定条件Caを用いることで、対象画素はカラーと判定され易くなる。
【0083】
このように本実施形態において、条件切替部20cは、非エッジ部に相当すると判定された場合に用いる標準の色黒判定条件Csと、副走査方向の上流側のエッジ部及び副走査方向の下流側のエッジ部に相当すると判定された場合に用いる色黒判定条件(第3の色黒判定条件)Caとを有している。
【0084】
ここで、第3の色黒判定条件Caは、3つの光源のうち点灯順序の真ん中の光源(2番目の光源)の色に起因する色相、及び、3つの光源のうち点灯順序の早い光源(1番目の光源)と点灯順序の遅い光源(3番目の光源)との色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。すなわち、第3の色黒判定条件Caは、RGBのうち点灯順序の真ん中のGの光源15G(2番目の光源)の色に起因する色相、及び、RGBのうち点灯順序の早いRの光源15Rと点灯順序の遅いBの光源15Bとの色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。
【0085】
線幅が細い画像については、線幅が太く強調されたり、白抜き線が黒で塗りつぶされたりするといった事態も想定される。また、Gの画素の上流側及び下流側のそれぞれにエッジが発生するケースは稀である。そこで、本実施形態の構成によれば、上述のようなシーンにおいては、第1の実施形態と比較して黒と判定され難く構成されている。このように、色ずれを許容することで、対象画素全体での再現性を優先させることができる。これにより、画質低下を抑制することができる。
【0086】
なお、本実施形態に示す色黒判定条件Caと、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cue,Cleとを組み合わせて利用することも可能である。すなわち、条件切替部20cは、対象画素が副走査方向の上流側のエッジ部に相当すると判定された場合には、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cueと、本実施形態に示す色黒判定条件Caとを組み合わせ、それぞれの特徴的な判定特性を兼ね備える色黒判定条件を設定してもよい。同様に、条件切替部20cは、対象画素が副走査方向の下流側のエッジ部に相当すると判定された場合には、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cleと、本実施形態に示す色黒判定条件Caとを組み合わせ、それぞれの特徴的な判定特性を併せ持つ色黒判定条件を設定してもよい。
【0087】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。この画像形成装置1が第1の実施形態のそれと相違する点は、画像読取装置10に適用される画像処理部20による画像処理の方法である。なお、第1の実施形態と共通する点については説明を省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
【0088】
図9は、第3の実施形態に係る上流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cb1の説明図である。上述したように、副走査方向の上流側のエッジ部では、赤から黄方向に色ずれを起こす傾向があり、青からシアン方向への色ずれは起こりにくい。そこで、
図9に示す色黒判定条件Cb1では、標準の色黒判定条件Csを基本としつつ、青(B)とシアン(C)の色相についてカラーと判定される範囲を広げたものである。
【0089】
図10は、第3の実施形態に係る下流側のエッジ部に適用する色黒判定条件Cb2の説明図である。上述したように、副走査方向の下流側のエッジ部では、青からシアン方向に色ずれを起こす傾向があり、赤から黄方向への色ずれは起こりにくい。そこで、
図10に示す色黒判定条件Cb2では、標準の色黒判定条件Csを基本としつつ、赤(R)と黄(Y)の色相についてカラーと判定される範囲を広げたものである。
【0090】
このように本実施形態において、条件切替部20cは、標準の色黒判定条件Csに加え、副走査方向の上流側のエッジ部に相当すると判定された場合に用いる色黒判定条件(第4の色黒判定条件)Cb1と、副走査方向の下流側のエッジ部に相当すると判定された場合に用いる色黒判定条件(第5の色黒判定条件)Cb2と、を有している。
【0091】
ここで、第4の色黒判定条件Cb1は、3つの光源のうち点灯順序の遅い光源(3番目の光源)の色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。すなわち、第4の色黒判定条件は、RGBのうち点灯順序の遅いBの光源15Bの色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。一方、第5の色黒判定条件Cb2は、3つの光源のうち点灯順序の早い光源(1番目の光源)の色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。すなわち、第4の色黒判定条件は、RGBのうち点灯順序の早いRの光源15Rの色に起因する色相を、標準の色黒判定条件Csよりもカラーと判定するように設定されている。
【0092】
この構成によれば、色ずれの傾向に合わせて色黒判定条件Cb1,Cb2が最適化されている。これより、色黒判定部20dによる判定を適切に行うことができる。
【0093】
なお、本実施形態に示す色黒判定条件Cb1,Cb2と、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cue,Cleとを組み合わせて利用することも可能である。すなわち、条件切替部20cは、対象画素が副走査方向の上流側のエッジ部に相当すると判定された場合には、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cueと、本実施形態に示す色黒判定条件Cb1とを組み合わせ、それぞれの特徴的な判定特性を兼ね備える色黒判定条件を設定してもよい。同様に、条件切替部20cは、対象画素が副走査方向の下流側のエッジ部に相当すると判定された場合には、第1の実施形態に示す色黒判定条件Cleと、本実施形態に示す色黒判定条件Cb2とを組み合わせ、それぞれの特徴的な判定特性を併せ持つ色黒判定条件を設定してもよい。同様に、第2の実施形態に示す手法に、本実施形態に示す色黒判定条件Caをさらに組み合わせてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施形態に画像形成装置及び画像読取装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、上述した画像処理(エッジ判定部、色黒判定部、条件切替部に関する処理)を行う画像処理装置それ自体も本発明の一部として機能する。
【0095】
さらに、上述した各実施形態では、光源ユニットにRGBの3つの光源を用いるとともに、RGBの順番で点灯を行っている。しかしながら、光源の種類、光源の数、その点灯順序が異なるものであってもよい。ここで、上述した色ずれは光源の色の種類やその点灯順序に起因するものであり、光源の種類、光源の数、その点灯順序が異なる場合であっても、同様な原理にて本発明を利用することができる。
【0096】
また、本実施形態では、RGBの各画素値をCbCr色空間に変換している。しかしながら、CbCr色空間以外の別の色空間であってもよいし、RGBのままで色黒判定を行ってもよい。
【0097】
また、色黒判定の誤判定を抑制するために、本実施形態に示す手法に加え、以下の処理を追加してもよい。
【0098】
例えば、対象画素について本実施形態に示す色黒判定条件を行う場合に、その上流側の対象画素が標準の色黒判定条件Csにて黒と判定されていることを条件に、本実施形態に示す条件切替部20c及び色黒判定部20dの処理を行うとしてもよい。
【0099】
また、読取画像の線幅が細い場合には、上流側のエッジ部に関する色ずれ方向と、下流側のエッジ部に関する色ずれ方向とが同じであった場合には、本実施形態に示す条件切替部20c及び色黒判定部20dの処理をキャンセルするとしてもよい。