特許第6442991号(P6442991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6442991後処理装置、およびそれを備えた画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442991
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】後処理装置、およびそれを備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20181217BHJP
   B65H 31/34 20060101ALI20181217BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20181217BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20181217BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20181217BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B65H7/06
   B65H31/34
   B65H31/00 Z
   B65H9/00 A
   B65H9/00 B
   B65H37/04 D
   G03G15/00 440
【請求項の数】7
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-225023(P2014-225023)
(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公開番号】特開2016-88690(P2016-88690A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐史
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−316026(JP,A)
【文献】 特開2000−203743(JP,A)
【文献】 特開平10−181125(JP,A)
【文献】 特開2003−341912(JP,A)
【文献】 特開2011−256031(JP,A)
【文献】 特開2005−272083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/00−29/10
B65H 29/26−29/30
B65H 29/34−29/51
B65H 1/00− 3/68
B65H 7/00− 7/20
B65H 41/00−47/00
B65H 37/00−37/06
B65H 31/00−31/40
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排紙されたシートに対して後処理を行う後処理装置であり、
前記画像形成装置から排紙されたシートが収容されるトレイと、
前記トレイに収容されたシートを前記トレイの上で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシートの紙詰まりを検出する検出部と、
前記検出部が紙詰まりを検出したとき、前記搬送部に当該シートの搬送を通常時の態様とは別の態様でリトライさせるリトライ制御部と、
を備え、
前記搬送部は、
前記トレイに収容されたシートの搬送方向における先端に接触して当該シートを搬送方向へ先導する先端搬送部材と、
当該シートの搬送方向における後端に接触して当該シートを搬送方向へ押し進める後端搬送部材と
を含み、
前記通常時の態様では前記先端搬送部材と前記後端搬送部材との両方が協働してシートを搬送し、前記別の態様では前記先端搬送部材が利用されず、前記後端搬送部材のみがシートを搬送する
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記搬送部によって搬送されるシートが所定時間内に目標位置まで到達するか否かを監視し、到達しなかったことを紙詰まりとして検出することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記検出部が紙詰まりを検出したとき、前記リトライ制御部は前記搬送部に、前記後端搬送部材のみで当該シートを搬送させる前に前記先端搬送部材で当該シートを搬送方向とは逆方向に押し戻させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記先端搬送部材は、当該シートの先端を把持するための把持部を含む請求項1から請求項3までのいずれかに記載の後処理装置。
【請求項5】
前記先端搬送部材は、前記トレイに収容されたシートの整合にも利用されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の後処理装置。
【請求項6】
前記搬送部は、
前記後端搬送部材を駆動するためのモーター
を更に備え、
前記検出部が紙詰まりを検出したとき、前記リトライ制御部は前記搬送部に当該シートの搬送をリトライさせる際、前記モーターのトルクを増大させる
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを排紙する排紙部と、
を有する画像形成装置と、
前記排紙部から排紙されたシートに対して後処理を行う、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の後処理装置と、
を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成における後処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成システムでは後処理装置(「フィニッシャー」とも言う。)は画像形成装置の排紙部に外付けされており、その排紙部から排紙されたシートに対して後処理を行う。この後処理にはたとえば、シートの束を整合する処理、シートを仕分け(ソート)する処理、シートの束をステープラーで綴じる処理、シートに綴じ穴を開ける処理、シートを二つ折りにする処理、またはシートの束に別のシートを挿入する処理が含まれる。(たとえば特許文献1−4参照。)
後処理装置は一般に、シートの単体または束を自機の内部で複雑な経路に沿って搬送する。したがって、搬送中のシートには紙詰まりの危険性がある。「紙詰まり」(「ジャム(jam)」ともいう。)とは、シートが所定のタイミングでは搬送されないことを意味し、特にシートの搬送が不能なことも含む。
【0003】
紙詰まりが生じる度にユーザーに、搬送経路からのシートの除去等、後処理の再開に必要な復旧作業のすべてを行わせることは、ユーザーの負担を過大にするだけでなく、その復旧作業の迅速な遂行を困難にする。その結果、後処理時間の短縮による生産性の向上が難しい。
紙詰まりに起因する後処理の遅れを低減する工夫としては、たとえば特許文献1、2に開示された技術が知られている。特許文献2の技術は、紙詰まりが生じたシートのみをユーザーに除去させ、それ以外の搬送経路上のシートはそのままで残させる。それにより、後処理の速やかな再開が可能である。一方、特許文献1の技術は、シートの搬送中に紙詰まりが生じたとき後処理装置に、動作を中断させる前にまずそのシートの搬送をリトライさせる。紙詰まりの原因には、センサーがシートの位置または姿勢のずれを「紙詰まり」と誤認した場合があり、このずれにはリトライで直る可能性がある。したがって、リトライは一般に後処理の迅速な再開を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−269908号公報
【特許文献2】特開2005−335903号公報
【特許文献3】特開2005−043613号公報
【特許文献4】特開2001−010763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙詰まりに起因する後処理の遅れを低減するには、リトライにより紙詰まりが解消する可能性を高くすればよい。しかし、これは以下の理由により容易ではない。
まず、紙詰まりの原因は多様である。たとえば、シートの位置または姿勢のずれの他にも、シートの座屈(折れもしくは反り)またはシートの束の荷重超過が想定される。
したがって、シートの搬送を一定の態様(駆動力、速度、方向等)でリトライすることによっていずれの紙詰まりも解消可能である、とは考えにくい。実際、紙詰まりの原因がシートの座屈である場合、そのシートの搬送を単調に繰り返すだけではそのシートの座屈を助長する危険性がある。また、紙詰まりの原因がシートの束の荷重超過である場合、その束に一定の力を加え続けるだけではその束を動かすことはできない。
【0006】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、シートの搬送をリトライすることによって紙詰まりが解消する可能性を向上させて、その紙詰まりに起因する後処理の遅れを低減することが可能な後処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点における後処理装置は、画像形成装置から排紙されたシートに対して後処理を行う後処理装置であり、画像形成装置から排紙されたシートが収容されるトレイと、そのトレイに収容されたシートをそのトレイの上で搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されるシートの紙詰まりを検出する検出部と、検出部が紙詰まりを検出したとき、搬送部にそのシートの搬送を通常時の態様とは別の態様でリトライさせるリトライ制御部とを備えている。搬送部は、トレイに収容されたシートの搬送方向における先端に接触してそのシートを搬送方向へ先導する先端搬送部材と、そのシートの搬送方向における後端に接触してそのシートを搬送方向へ押し進める後端搬送部材とを含む。通常時の態様では先端搬送部材と後端搬送部材との両方が協働してシートを搬送し、リトライ時の別の態様では先端搬送部材が利用されず、後端搬送部材のみがシートを搬送する。
【0008】
検出部は、搬送部によって搬送されるシートが所定時間内に目標位置まで到達するか否かを監視し、到達しなかったことを紙詰まりとして検出してもよい。
検出部が紙詰まりを検出したとき、リトライ制御部は搬送部に、後端搬送部材のみでそのシートを搬送させる前に先端搬送部材でそのシートを搬送方向とは逆方向に押し戻させてもよい。先端搬送部材は、そのシートの先端を把持するための把持部を含んでいてもよい。先端搬送部材は、トレイに収容されたシートの整合にも利用されてもよい。
【0009】
搬送部は、後端搬送部材を駆動するためのモーターを更に備え、検出部が紙詰まりを検出したとき、リトライ制御部は搬送部にそのシートの搬送をリトライさせる際、モーターのトルクを増大させてもよい。
本発明の1つの観点における画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成部と、その画像形成部によって画像が形成されたシートを排紙する排紙部とを有する画像形成装置と、その排紙部から排紙されたシートに対して後処理を行う上記の後処理装置とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による後処理装置は上記のとおり、紙詰まりが生じたときにシートの搬送を通常時の態様とは別の態様でリトライする。それによりこの後処理装置は、紙詰まりが解消する可能性を向上させて、紙詰まりに起因する後処理の遅れを低減することができる。その結果、この後処理装置を備えた画像形成システムではその生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、本発明の実施形態による画像形成システムの外観を示す斜視図である。(b)は、(a)に示されている第2トレイの近傍の拡大図である。
図2図1に示されている画像形成装置の内部構造を模式的に示す正面図である。
図3図1に示されている画像形成装置の電子制御系統の構成を示すブロック図である。
図4図1に示されている後処理装置の外観を示す斜視図である。
図5図4に示されている後処理装置において、第1トレイの載置面が水平であるときの外観を示す斜視図である。
図6】(a)は、図4に示されている線分VI(a)−VI(a)に沿った断面図であり、(b)は、図5に示されている線分VI(b)−VI(b)に沿った断面図である。
図7図4に示されている後処理装置の電子制御系統の構成を示すブロック図である。
図8図4に示されている第1トレイにおいて、画像形成装置から排紙されたシートの束が整合されるときの外観を示す斜視図である。
図9図8に示されている線分IX−IXに沿った断面図である。
図10図4に示されている第1トレイにおいて、整合されたシートの束がステープラーの位置まで搬送されるときの外観を示す斜視図である。
図11図10に示されている線分XI−XIに沿った断面図であり、(a)は搬送開始時の状態を示し、(b)は搬送途中の状態を示す。
図12図4に示されている第1トレイにおいて、ステープラーによって綴じられた後のシートの束の全体が載置面に載せられたときの外観を示す斜視図である。
図13図4に示されている第1トレイがシートの束を載せたまま載置面を水平にしたときの外観を示す斜視図である。
図14図4に示されている第1トレイにおいて、押出部材がシートの束を第2トレイへ押し出すときの外観を示す斜視図である。
図15図4に示されている第1トレイにおいて、押出部材が退避するときの外観を示す斜視図である。
図16図4に示されている第1トレイが載置面を初期の傾斜姿勢に戻したときの外観を示す斜視図である。
図17】紙詰まり時におけるリトライの動作を段階順に示す第1トレイの模式的な部分断面図であり、(a)は、紙詰まりが検出された時点での状態を示し、(b)は、先端搬送部材が退避位置へ戻った時点での状態を示し、(c)は、先端搬送部材がシートの先端を押し戻した時点での状態を示し、(d)は、先端搬送部材が再び退避位置へ戻った時点での状態を示し、(e)は、先端搬送部材が退避位置に待機したまま、後端搬送部材のみがシートを搬送している時点での状態を示す。
図18図8図17に示されている後処理のフローチャートである。
図19図18に示されているステップS103のサブルーチン、すなわち後処理装置がシートの束を第1トレイの載置面へ搬送する動作に関する処理のフローチャートである。
図20図19に示されているステップS206のサブルーチン、すなわち後処理装置が搬送部にシートの搬送を、通常時の態様とは別の態様でリトライさせる動作に関する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成システムの外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成システムの外観を示す斜視図である。この画像形成システムは画像形成装置として複合機(multi-function peripheral:MFP)100を備えている。さらに、このMFP100の筐体内には後処理装置150が組み込まれ、MFP100と一体化されている。
【0013】
MFP100は、スキャナー、カラーコピー機、およびカラーレーザープリンターの機能を併せ持つ。図1の(a)を参照するに、このMFP100はデスクトップ型であり、筐体の背が机上に設置可能な程度に低い。その筐体の上面には自動原稿送り装置(auto document feeder:ADF)110が開閉可能に装着されている。ADF110の直下の筐体部分にはスキャナー120が内蔵されている。スキャナー120の直下には隙間130が開いており、その奥に排紙部140が設置されている。すなわち、MFP100は胴内排紙型であり、この隙間130を排紙空間として利用する。この排紙空間130の中に後処理装置150が装着されている。MFP100の前面のうち、排紙空間130の手前に位置する部分には排紙トレイ160が配置されており、その横には操作パネル170が埋め込まれている。後処理装置150、排紙トレイ160、および操作パネル170の直下の筐体部分にはプリンター180が内蔵されており、その底部には給紙カセット190が引き出し可能に取り付けられている。
【0014】
図1の(b)は排紙トレイ160の近傍の拡大図である。後処理装置150は、排紙部140から排紙空間130の中へ排紙されたシートの束STCに対して後処理を行い、その後、その束STCを排紙空間130の外へ押し出す。この束STCが、図1の(b)に示されているように排紙トレイ160に積載される。後処理にはたとえば、シートの束STCを整合する処理、その束STCをステープラーで綴じる処理、およびその束STCを1部ずつずらして排紙トレイ160へ排出して仕分けする処理が含まれる。
【0015】
[画像形成装置の内部構造]
図2は、MFP100の内部構造を模式的に示す正面図である。図2にはMFP100の内部の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。図2を参照するにMFP100は画像形成部を内蔵している。画像形成部は画像データに基づいてシートにトナー像を形成する要素であり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
【0016】
給送部10はローラー群12、13、14を利用して給紙カセット11からシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。給紙カセット11に収容可能なシートSHTの材質は紙または樹脂であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4等である。
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にトナー像を形成する。具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kのそれぞれがまず、露光部26からのレーザー光を利用して感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kの表面を画像データに基づいたパターンで露光し、その表面に静電潜像を作成する。各作像ユニット21Y、…は次にその静電潜像を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色のトナーで現像する。得られた4色のトナー像は1次転写ローラー22Y、22M、22C、22Kと感光体ドラム25Y、…との間の電界によって感光体ドラム25Y、…の表面から順番に、中間転写ベルト23の表面上の同じ位置へ転写される。こうしてその位置に1つのカラートナー像が構成され、さらに中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との間の電界により、給送部10から両者23、24の間のニップへ通紙されたシートSH2の表面へ転写される。その後、2次転写ローラー24はそのシートSH2を定着部30へ送り出す。
【0017】
定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH2の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着ローラー31と加圧ローラー32との間のニップにそのシートSH2が通紙されるとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面上に定着する。
【0018】
排紙部40は、トナー像が定着したシートを排紙空間130へ排紙する。図2を参照するに排紙部40は、切換板41、排紙口42、排紙ローラー43、反転口44、反転ローラー45、反転ガイド板46、および反転経路47を含む。
切換板41は、定着部30の上部から送り出されたシートを後処理装置150に収容するときは排紙口42への通路を形成し、そのシートを一旦待機させた後に反転させて作像部20へ戻すときには反転口44への通路を形成する。排紙口42と反転口44とはいずれも、排紙空間130に面したMFP100の筐体部分に開いている水平方向に細長いスリットである。排紙ローラー43は排紙口42の内側に配置され、回転しながらその周面で、切換板41に沿って移動してきたシートSH3を排紙口42から排紙空間130の下部へ送り出し、後処理装置150に収容する。反転ガイド板46は反転口44の外側から排紙空間130の天井131へ向けて延びて、その天井131から少し離れた位置に支持されており、その天井131との隙間に、両面印刷中のシートSH4を待機させる場所を確保する。
【0019】
反転ローラー45は反転口44の内側に配置され、回転しながらその周面で、切換板41に沿って移動してきたシートを反転口44から排紙空間130の上部へ送り出して反転ガイド板46の上へ載せる。反転ローラー45は更に、そのシートSH4の後端が自身を通過する直前に自身の回転を逆にしてそのシートSH4を反転ガイド板46から反転口44の中へ取り込み、反転経路47へ送る。反転経路47は、反転ローラー45によって送られるシートSH5を複数のローラー対の駆動力で裏返して給送部10内のローラー対14へ戻す。その後、そのシートSH5は給送部10により、給紙カセット11のシートSHTと同様に作像部20へ送られ、すでにトナー像が形成されている面の裏側に別のトナー像が形成される。そのシートは再び定着部30の処理を受けて、排紙部40によって後処理装置150に収容される。
【0020】
[画像形成装置の電子制御系統]
図3は、MFP100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図3を参照するに、この電子制御系統では画像形成部70に加え、操作部50、第1制御部60、および第1通信部80がバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
操作部50はユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通して印刷ジョブの要求と印刷対象の画像データとを受け付けて、それらを第1制御部60へ伝える。図3を参照するに操作部50は、操作パネル170、スキャナー120、および外部インタフェース(I/F)52を含む。操作パネル170は、図1の(a)に描かれているように、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。操作パネル170は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のGUI画面をディスプレイに表示する。操作パネル170はまた、ユーザーが操作した押しボタンまたはタッチパネルの位置を識別し、その識別に関する情報を操作情報として第1制御部60へ伝える。スキャナー120は、ADF110が自動的に取り込んだ原稿、またはユーザーがADF110の直下の原稿台に載せた原稿の表面に光を照射し、反射光の強度分布から、文字、図柄、または写真を読み取って画像データに変換する。外部I/F52は、USBポートもしくはメモリカードスロット等のメモリーインタフェース、または外部のネットワークに有線または無線で接続されるネットワークインタフェースを含み、それらを通して、USBメモリーもしくはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込み、またはネットワークに接続された他の電子機器と通信して、印刷対象の画像データをそれらの電子機器から受信する。
【0021】
第1制御部60は、MFP100の内部に設置された1枚の基板の上に実装された電子回路である。図3を参照するに第1制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61はファームウェアに従って、バス90に接続された他の要素50、70、80を制御する。RAM62は、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置またはHDDとを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
【0022】
CPU61が各種ファームウェアを実行することにより、第1制御部60は操作部50からの操作情報に基づき、まずMFP100内の他の要素を制御する。具体的には、第1制御部60は操作部50に操作画面を表示させてユーザーによる操作を受け付けさせる。この操作に応じて第1制御部60は、稼動モード、待機モード、スリープモード等の動作モードを決定し、その動作モードを他の要素へ駆動信号で通知して、その動作モードに応じた処理を各要素に実行させる。
【0023】
第1制御部60はまた、CPU61の実行するファームウェアに従って操作部50に、後処理に関する指示をユーザーから受け付けさせて、その指示に基づいて後処理装置150へ後処理に関する制御情報を送信する。この制御情報は後処理の種類ごとに、要否、部数、処理対象のシートのサイズ、1部あたりのシートの枚数、および排紙時のシートの姿勢(縦置きと横置きとの別)等を規定する。第1制御部60は更に、排紙部40による排紙の予告、すなわちその排紙のタイミングを前もって通知するための信号を後処理装置150へ送る。
【0024】
たとえば操作部50がユーザーから印刷ジョブを受け付けたとき、第1制御部60はまず、操作部50に印刷対象の画像データをRAM62へ転送させる。第1制御部60は次に、そのジョブの示す印刷条件に従って、給送部10には給送すべきシートの種類とその給送のタイミングとを指定し、作像部20には形成すべきトナー像を表す画像データを提供し、定着部30には、維持すべき定着ローラー31の表面温度を指定し、排紙部40にはシートを、後処理装置150に収容させるべきか、反転ガイド板46の上で反転させるべきかを指示する。第1制御部60は更に後処理装置150へ、印刷ジョブの開始時には後処理に関する制御情報を送信し、そのジョブの実行中には排紙部40による排紙を後処理装置150へ予告し続ける。
【0025】
第1通信部80は後処理装置150の電子制御系統と有線または無線で通信する。第1通信部80は特に、第1制御部60と後処理装置150の制御部との間での情報交換を中継する。
[後処理装置の構造]
図4図5は、後処理装置150の外観を示す斜視図である。図6の(a)は、図4に示されている線分VI(a)−VI(a)に沿った断面図であり、(b)は、図5に示されている線分VI(b)−VI(b)に沿った断面図である。図4−6を参照するに後処理装置150は、第1トレイ200、第2トレイ210、整合部材221、222、先端搬送部材231、後端搬送部材232、保持部材241、243、加工部250、251、押出部材260、およびガイド部材280を含む。
【0026】
第1トレイ200は、MFP100の排紙口42から排紙されたシートが収容されるトレイであり、排紙方向(図4−6に示されているX軸方向であり、以下「FD方向」という。)に対する載置面の傾きを変更可能である。図4−6に示されているように、FD方向は水平方向に対して傾斜している。
第2トレイ210は、図1に描かれている排紙トレイ160であり、排紙方向(FD方向)に対して垂直な方向(図4−6に示されているY軸方向であり、以下「CD方向」という。)において第1トレイ200と立壁211を隔てて隣接する。図4−6に示されているように、CD方向は実質的に水平である。
【0027】
整合部材221、222は第1トレイ200の上でCD方向においてシートの束を両側から挟んで整合させる。
先端搬送部材231と後端搬送部材232とは第1トレイ200の上でFD方向においてシートの束を両側から挟んでFD方向へ搬送する。これらの部材231、232はその束を特に加工部250の直下まで搬送し、またはその束の全体を第1トレイ200の載置面に載せる。
【0028】
保持部材241、243は、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜しているときにその載置面から突出してシートの束を傾斜方向の下側から保持する。
加工部250、251は、第1トレイ200に収容されたシートを加工する。
押出部材260は第1トレイ200の上でCD方向に往復運動して、第1トレイ200に収容されたシートを第2トレイ210へ押し出す。
【0029】
ガイド部材280は上下に揺動可能であり、特にFD方向における上面の傾きを変更可能である。これによりガイド部材280は、排紙口42から排紙されるシートを、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜している間はその載置面へ移動させ、その載置面が水平である間はその載置面への移動を阻止する。
以下、これらの部材の詳細について説明する。
【0030】
−第1トレイ−
図4−6を参照するに、第1トレイ200は、FD方向の端部のうち、排紙口42から遠い方200A(以下、「第1トレイ200の上端部」という。)に支軸201を含む。この支軸201は第1トレイ200を揺動可能に後処理装置150の筐体202へ接続している。第1トレイ200はこの支軸201のまわりに揺動することにより、FD方向の端部のうち、排紙口42に近い方200B(以下、「第1トレイ200の下端部」という。)を上下に変位させてFD方向に対する載置面の傾きを変更する。具体的には、1部のシートの束がMFP100から第1トレイ200へ収容されるまでの期間では第1トレイ200は載置面を、図4図6の(a)に示されているように水平方向から傾斜させてFD方向と平行に保つ。この期間中、第1トレイ200は、MFP100から排紙されたシートに対して整合等の後処理を行うための作業空間として利用される。一方、1部のシートの束が第1トレイ200から第2トレイ210へ押し出される期間では第1トレイ200は載置面を、図5図6の(b)に示されているように水平に戻して保つ。これにより、第1トレイ200から排出されるシートは、その表面が実質的に水平な状態で第2トレイ210へ移動する。
【0031】
図4を参照するに、排紙口42のすぐ外側には排紙ガイド板203が設置されている。この排紙ガイド板203は、排紙口42から排紙されたシートを第1トレイ200の載置面へ移動させる。このシートの全体が排紙口42の外へ出切ったとき、第1トレイ200の載置面の傾斜により、その傾斜の下側に位置するシートの端が、同じ側に位置する後処理装置150の筐体202の側面207(以下、「筐体202の下端部の側面」という。)に接触する位置に揃う。こうして、第1トレイ200に収容されるシートはFD方向において整合される。
【0032】
図4−6には示されていないが、第1トレイ200の下端部200Bの近傍にはシート後端センサーが埋め込まれている。シート後端センサーはたとえば光学センサーであり、排紙口42から第1トレイ200の載置面へ移動するシートの後端を光学的に検出する。このセンサーは特に、そのシートの後端が第1トレイ200の下端部200Bまで到達したときに反応する。
【0033】
図5を参照するに、第1トレイ200の載置面は、第1トレイ200と第2トレイ210との間を仕切る立壁211の上端よりも高い。したがって、第1トレイ200に収容されたシートがCD方向に(Y軸の正方向へ)押し出されるだけで、そのシートが第2整合部材222等、いずれの部材にも阻まれることなく第2トレイ210へ移動する。
図6の(b)を参照するに、後処理装置150は第1トレイ200の下方の領域にリフトモーター204とカム機構205とを含む。リフトモーター204は後述の第2制御部からの駆動信号に応じてシャフトを回転させる。カム機構205はそのシャフトの回転力を第1トレイ200の揺動力に変換する。この揺動力により第1トレイ200は支軸201のまわりに揺動する。
【0034】
−第2トレイ−
図4図5を参照するに、第2トレイ210の載置面は、第1トレイ200との間を仕切る立壁211からCD方向(Y軸方向)に対して斜め上方へ傾いている。第2トレイ210の載置面のこの傾斜により、第1トレイ200から押し出されたシートはその傾斜方向の下端が立壁211に接触する位置に揃う。こうして、第2トレイ210に積載されるシートはCD方向において整合される。
【0035】
−整合部材−
図4を参照するに、第1整合部材221と第2整合部材222とは第1トレイ200の載置面のCD方向(Y軸方向)における両側の縁部に設置されている。いずれの整合部材221、222も、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜している間、その載置面の上をCD方向に往復運動可能である。
【0036】
第1整合部材221は引張バネ(図4には示されていない。)によって後処理装置150の筐体202へ連結されている。この引張バネの弾性力に引っ張られることにより第1整合部材221の背面が、隣接する押出部材260の延長部261(図5図6の(b)参照。)に接触する。第1整合部材221は、押出部材260が第2トレイ210へ向かって前進するときは押出部材260の延長部261に押されて同じ方向へ前進し、押出部材260が元の位置へ向かって後退するときは引張バネに引かれて同じ方向へ後退する。こうして、第1整合部材221は押出部材260と連動する。
【0037】
第2整合部材222に駆動力を与えるCD整合モーターとその駆動機構とは、後処理装置150のうち、図6に示されている第1トレイ200の下方の領域に設置されている。(ただし、これらの要素自体は図6には示されていない。)CD整合モーターは後述の第2制御部からの駆動信号に応じてシャフトを回転させ、駆動機構がそのシャフトの回転力を第2整合部材222の往復運動の駆動力に変換する。こうして、第2整合部材222は第1整合部材221とは独立に往復運動を行う。
【0038】
−先端搬送部材(先導部材)−
図4を参照するに、先端搬送部材231は第1トレイ200の上端部200Aに設置され、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜している間、その載置面の上端部に刻まれたFD方向(X軸方向)の溝208から突出し、その溝208に沿って往復運動可能である。先端搬送部材231は、第1トレイ200に収容されたシートのFD方向における先端に接触してそのシートをFD方向へ先導する。以下、表記の簡単化を目的として、「先端搬送部材」を「先導部材」と称する。先導部材231は、FD方向への搬送中にシートがFD方向から斜めに逸れた方向へ移動し、もしくは傾き、またはシートの束が崩れることを防止する。
【0039】
先導部材231は更に、図4図6の(a)に示されているように、その先端部に揺動可能に取り付けられた把持爪231Aを含む。この把持爪231Aを倒してシートの先端を上から自身の基端部231Bの上面へ押さえつけることにより、先導部材231はそのシートの先端を把持することができる。先導部材231はまた、図5図6の(b)に示されているように、第1トレイ200の上端部200Aに位置するとき、その基端部を軸としてその先端部を揺動させて第1トレイ200の載置面の溝208の中へ倒れ込ませる。これにより、先導部材231はその溝の中の位置HM1へ退避可能である。以下、この位置HM1を「先導部材231の退避位置」という。なお、「退避位置」は「ホーム位置」とも呼ばれる。
【0040】
先導部材231に駆動力を与えるFD整合モーターとその駆動機構とは、後処理装置150のうち、図6に示されている第1トレイ200の下方の領域に設置されている。(ただし、これらの要素自体は図6には示されていない。)FD整合モーターはたとえばステッピングモーターであり、後述の第2制御部からの駆動信号のパルスに合わせてシャフトを断続的に回転させる。駆動機構はそのシャフトの回転力を先導部材231の往復運動の駆動力、およびその本体の屈伸運動と把持爪231Aの揺動との駆動力に変換する。特に先導部材231をシートの搬送後に退避位置HM1へ戻す際、FD整合モーターのトルクは、先導部材231の速度が一定値に維持されるように設定される。
【0041】
−後端搬送部材(押進部材)−
図4を参照するに、後端搬送部材232は第1トレイ200の下端部200Bに設置され、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜している間、その載置面の下端部に刻まれたFD方向の溝209から突出し、その溝209に沿って往復運動可能である。後端搬送部材232は、第1トレイ200に収容されたシートのFD方向における後端に接触してそのシートをFD方向へ押し進める。以下、表記の簡単化を目的として、「後端搬送部材」を「押進部材」と称する。
【0042】
押進部材232は、図6の(a)に示されているように、第1トレイ200の下端部200Bからその傾斜の延長方向に更に下降し続けることにより、筐体202の下端部の側面207よりも下側の位置HM2(以下、「押進部材232の退避位置」という。)へ退避可能である。
押進部材232に駆動力を与えるFD搬送モーターとその駆動機構とは、後処理装置150のうち、図6に示されている第1トレイ200の下端部200Bの下方から排紙口42の下方にわたる領域に設置されている。(ただし、これらの要素自体は図6には示されていない。)FD搬送モーターはたとえばステッピングモーターであり、後述の第2制御部からの駆動信号のパルスに合わせてシャフトを断続的に回転させる。駆動機構はそのシャフトの回転力を押進部材232の往復運動の駆動力に変換する。こうして、押進部材232の移動は先導部材231の移動とは独立に行われる。特に押進部材232をシートの搬送後に退避位置HM2へ戻す際、FD搬送モーターのトルクは、押進部材232の速度が一定値に維持されるように設定される。
【0043】
先導部材231と押進部材232とがシートを搬送する際、FD整合モーターとFD搬送モーターとのトルクは、そのシートの速度が一定の目標値に達するようにそのシートの束の標準的な重さに応じて調整される。この目標の速度は、後処理装置150がMFP100の生産性を損なわない値に設定されている。このように調整されたトルクによって得られる搬送力、すなわち先導部材231と押進部材232とがシートに加える駆動力を「通常時の搬送力」または「先導部材231と押進部材232との通常時における駆動力」と呼ぶ。通常時の搬送力は標準的な重さのシートの束を、第1トレイ200との摩擦力に抗して目標の速度まで加速可能な程度に大きい。
【0044】
−保持部材−
図4図5を参照するに、第1保持部材241、242と第2保持部材243、244とは2つずつ第1トレイ200の下端部200Bに設置されている。いずれの保持部材も第1トレイ200の載置面の中に埋め込まれており、その先端部が載置面から突出可能である。図4−6は、保持部材241−244のすべてが載置面から突出したときの状態を示す。
【0045】
第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜しているとき、第1保持部材241、242と第2保持部材243、244とのいずれかが載置面から突出して、第1トレイ200に収容されたシートの束を傾斜方向の下側から保持する。これにより、その束が傾斜方向の下側へ、すなわちFD方向とは逆方向(X軸の負方向)へ移動することが防止される。また、第1保持部材241、242の位置が第1トレイ200の下端200Bである一方、その位置よりも第2保持部材243、244の位置はFD方向における載置面の中央に近い。したがって、第2保持部材243、244によって保持されるシートは、第1保持部材241、242によって保持されるものよりも傾斜方向の上側に位置する。
【0046】
第1保持部材241、242は、図6に示されている第1トレイ200の下部に設置された第1ソレノイドと引張バネとに接続されている。(ただし、これらの要素自体は図6には示されていない。)第2保持部材243、244も同様に、第1トレイ200の下部に設置された第2ソレノイドと引張バネとに接続されている。(これらの要素自体も図6には示されていない。)各保持部材241、…、244は、接続されたソレノイドから駆動力を受けている間は載置面から突出し、その駆動力が停止している間は引張バネの弾性力によって載置面の中へ退避する。こうして、一対の第1保持部材241、242は同時に突出し、または退避し、一対の第2保持部材243、244は同時に突出し、または退避する。一方、第1保持部材241、242と第2保持部材243、244との間では突出と退避とが互いに独立である。
【0047】
−加工部−
図4図5を参照するに、加工部250、251は第1トレイ200の支軸201の近傍に設置され、第1トレイ200の載置面の上方にクリンチャー(clincher)250を含み、それと対向する載置面の領域にステープラー251を含む。加工部はこれらの要素250、251を以下に示すとおりに利用する。クリンチャー250は載置面の法線方向に往復運動可能であり、対向するステープラー251に接触可能である。クリンチャー250は後述の第2制御部からの駆動信号に応じて、その下方に配置されたシートの束の角をステープラー251に押し付ける。それに応じてステープラー251はその角にステープルを打ち込む。クリンチャー250は、その角から突き出たステープルの先端を曲げて平坦にする。こうして、そのシートの束が綴じられる。
【0048】
−押出部材−
図4を参照するに、第1トレイ200の載置面が水平方向に対して傾斜している間、押出部材260はこの載置面のCD方向(Y軸方向)における縁部の一方に位置して、第1整合部材221に接触している。押出部材260は更にこの状態を保ったまま、この載置面の上をCD方向に往復運動可能である。
【0049】
図5を参照するに、第1トレイ200の載置面には、押出部材260を案内するためのCD方向(Y軸方向)の溝200C、200D、200Eが刻まれている。第1トレイ200の載置面が水平に保たれている間、押出部材260はこれらの溝200C−Eに沿って載置面の上をCD方向の一方の縁から反対側の縁まで往復運動可能である。押出部材260は更に、この載置面が水平方向に対して傾斜しているときの位置からCD方向に(Y軸の負方向へ)移動して載置面の外へ退避可能である。
【0050】
押出部材260に駆動力を与えるCD搬送モーターとその駆動機構とは、図6に示されている第1トレイ200の下部に設置されている。(ただし、これらの要素自体は図6には示されていない。)CD搬送モーターは後述の第2制御部からの駆動信号に応じてシャフトを回転させる。駆動機構は複数のプーリーと、それらに張り渡されたワイヤーとを含む。それらのプーリーの1つはCD搬送モーターのシャフトに接続されて、そのシャフトと共に回転する。ワイヤーはプーリーと共に回転することで、そのシャフトの回転力を押出部材260の往復運動の駆動力に変換する。こうして、押出部材260は第1トレイ200の載置面の上でCD方向に往復運動を行う。
【0051】
−ガイド部材−
図4図6を参照するに、ガイド部材280は、後処理装置150のうち、第1トレイ200の下端部200Bよりも下側(X軸の負側)の領域に設置されている。ガイド部材280は、排紙口42に近い方の端部を軸として上面を揺動させることが可能である。図4図6の(a)に示されているように、第1トレイ200が載置面を水平方向に対して傾斜させている間、ガイド部材280は上面をFD方向と平行にして第1トレイ200の載置面の延長部分と一致させる。これにより、排紙口42から排紙されたシートはガイド部材280の上面に沿って第1トレイ200の載置面へ移動する。一方、図5図6の(b)に示されているように、第1トレイ200が載置面を水平に保つ間、ガイド部材280は上面をFD方向に対して傾斜させる。これにより、ガイド部材280は、排紙口42から排紙されたシートが第1トレイ200の下部へ侵入することを阻止する。
【0052】
ガイド部材280は、その下部に設置されたカム機構により、押進部材232の駆動機構に接続されている。(ただし、これらの要素は図6には示されていない。)このカム機構は、図6の(b)に示されているように、押進部材232の位置が退避位置HM2から所定距離以上の範囲PRVに維持されている間、押進部材232の駆動機構を通してFD搬送モーターのシャフトの回転力をガイド部材280の揺動力に変換する。この揺動力によりガイド部材280は上面の傾きを、押進部材232と連動して変化させる。
【0053】
[後処理装置の電子制御系統]
図7は、後処理装置150の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図7を参照するに、この電子制御系統では第2制御部300がバス390を通して、駆動部310−360、シート後端センサー370、および第2通信部380へ通信可能に接続されている。
【0054】
−駆動部−
図7を参照するに駆動部は、整合部310、搬送部320、保持部330、加工部340、収容部350、および押出部360から成る。これらの駆動部はいずれも可動部材の動力源に対するドライバーであり、可動部材を動作させる際、第2制御部300からの駆動信号に応じてその可動部材の動力源を制御する。
【0055】
整合部310は、整合部材221、222、先導部材231、および押出部材260にシートを整合させる際に、CD整合モーター、FD整合モーター、およびCD搬送モーターを制御する。搬送部320は先導部材231と押進部材232とにシートをFD方向へ搬送させる際にFD整合モーターとFD搬送モーターとを制御する。保持部330は、保持部材241−244を突出させ、または退避させる際に第1ソレノイドと第2ソレノイドとを制御する。加工部340はクリンチャー250とステープラー251とによるシートの束ね加工を制御する。収容部350は、第1トレイ200を支軸201まわりに揺動させる際にリフトモーター204を制御する。押出部360は、押出部材260にシートを押し出させる際にCD搬送モーターを制御する。
【0056】
各駆動部310−360はまた、可動部材の位置または姿勢を検出するための位置センサーを含み、これらの位置センサーで検出された可動部材の位置または姿勢を第2制御部300へ通知する。これらの位置センサーとしてはたとえば次のような光学センサーが利用される。この光学センサーは発光部と受光部とを含み、発光部は赤外線等、所定波長の光を出射し、受光部はその波長の光を検出する。検出対象の可動部材が特定の位置または姿勢にあるときに発光部の出射光を受光部の手前で遮るように、発光部と受光部とはその可動部材の可動域を間に挟んで配置されている。その出射光が遮られたことを受光部の出力が示すことから各駆動部は、可動部材が特定の位置または姿勢にあることを検出する。その他に、検出対象の可動部材が特定の位置または姿勢にあるときに発光部の出射光を受光部に向けて反射するように、発光部と受光部とはその可動部材の可動域に対して同じ側に配置されていてもよい。この場合、その出射光が届くことを受光部の出力が示すことから各駆動部は、可動部材が特定の位置または姿勢にあることを検出する。
【0057】
特に搬送部320は、先導部材231と押進部材232との各退避位置HM1、HM2に設置された位置センサーを利用して、先導部材231と押進部材232とが各退避位置HM1、HM2にあることを検出する。
−第2制御部−
第2制御部300は、後処理装置150の内部に設置された1枚の基板の上に実装された電子回路である。図7を参照するに、第2制御部300は、CPU301、RAM302、およびROM303を含む。CPU301はファームウェアに従って駆動部310−360を制御する。RAM302は、CPU301がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU301に提供する。ROM303は書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置またはHDDとを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU301に環境変数等の保存領域を提供する。
【0058】
CPU301が各種ファームウェアを実行することにより、第2制御部300は、MFP100の第1制御部60からの排紙予告と制御情報、および駆動部310−360からの通知に基づいて駆動部310−360を制御する。具体的には、第2制御部300は第1制御部60からの制御情報を解釈して、実行すべき後処理の種類、ならびに後処理対象のシートの種類、サイズ、1部あたりの枚数、および部数等の情報を読み取る。第2制御部300は更に、読み取ったこれらの情報と排紙予告とに基づいて駆動部310−360に動作タイミングを指示する。すなわち、整合部310にはシートを整合すべきタイミングが指示され、搬送部320にはFD方向へシートを搬送すべきタイミングと距離とが指示され、保持部330には、シートを保持すべきタイミングと位置とが指示され、加工部340には実行すべき加工の種類とそのタイミングとが指示され、収容部350には第1トレイ200の傾きを変化させるべきタイミングが指示され、押出部360には第1トレイ200からシートを押し出すべきタイミングが指示される。
【0059】
第2制御部300は特に先導部材231と押進部材232とにシートを搬送させる際、そのシートの速度が一定の目標値に達するようにFD整合モーターとFD搬送モーターとのトルクを搬送対象のシートの束の重さに応じて調整し、それらのトルクを搬送部320に指示する。このとき、第2制御部300はシートの束の重さを、たとえば制御情報の示すシートの種類、サイズ、および1部当たりの枚数から推定する。
【0060】
第2制御部300はまた駆動部310−360からの通知を利用して可動部材、すなわち、第1トレイ200、整合部材221、222、先導部材231、押進部材232、保持部材241−244、押出部材260、およびガイド部材280の位置または姿勢を監視する。たとえば退避位置HM1に待機中の先導部材231を移動させる場合、第2制御部300は、その退避位置HM1に設けられた位置センサーの出力が先導部材231の退避位置HM1からの離脱を示すことを搬送部320から通知された時点から経過時間を計測する。この計測にはたとえば、FD整合モーターがステッピングモーターである場合にはその駆動信号のパルス数が利用され、FD整合モーターがエンコーダーを含む場合にはそのモーターの回転数が利用される。第2制御部300は更に経過時間と先導部材231の標準的な運動パターンとから先導部材231の移動距離を推定する。他の可動部材についても同様に、駆動部の通知が位置センサーの特定の反応を示す時点から経過時間が計測され、この経過時間に基づいて、その特定の反応の示す位置からの移動距離、またはその反応の示す姿勢からの変形量が推定される。
【0061】
第2制御部300はシート後端センサー370の反応を利用して第1トレイ200上のシートの後端の位置を監視する。これらの監視を通して第2制御部300は後処理装置150の内部におけるシートの紙詰まりを検出する。ここで、「紙詰まり」とは、シートが所定のタイミングでは目標の位置まで移動しない現象全般をいう。
第2制御部300は特にシート後端センサー370の反応から、先導部材231と押進部材232とが第1トレイ200の上でシートをFD方向に搬送する際の紙詰まり、すなわちその搬送のタイミングの遅れを検出する。紙詰まりの検出時、第2制御部300は搬送部320にシートの搬送を中断させて、そのシートの搬送をリトライさせる。このリトライに関する制御の詳細については後述する。
【0062】
−シート後端センサー−
シート後端センサー370は、図4−6に示されている第1トレイ200の下端部200Bの近傍に埋め込まれた光学センサーである。このセンサー370は、各駆動部310−360の含む位置センサーと同様に発光部と受光部とを含み、発光部から出射した光を受光部で検出する。その発光部と受光部とは、第1トレイ200の下端部200Bを通過するシートが発光部の出射光を受光部に向けて反射するように(または、受光部の手前で遮るように)配置されている。シート後端センサー370は、発光部の出射光が一旦検出された後に途絶えたことを(または、一旦途絶えた後に再検出されたことを)受光部の出力が示すことから、シートの後端が第1トレイ200の下端部200Bを通過したことを検出する。このセンサー370の反応は第2制御部300へ通知される。
【0063】
−第2通信部−
第2通信部380はMFP100の第1通信部80(図3参照)と有線または無線で通信する。第2通信部380は第1通信部80と協働して、特に第1制御部60と第2制御部300との間での情報交換を中継する。
[シートの搬送のリトライ制御]
図7を更に参照するに、CPU301は検出部304とリトライ制御部306とを含む。これらの機能部304、306は、CPU301がROM303から特定のファームウェアを読み出して実行することにより実現する。検出部304は、先導部材231と押進部材232とによって搬送されるシートを監視して紙詰まりを検出する。リトライ制御部306は搬送部320にシートの搬送を、通常時の態様とは別の態様でリトライさせる。
【0064】
−検出部−
検出部304はまず紙詰まり検出用の閾値を設定する。この閾値は、先導部材231と押進部材232とが標準的な重さのシートの束を目標の速度まで加速して、筐体202の下端部の側面207から第1トレイ200の下端部200Bまで搬送するのに必要な時間を表す。
【0065】
検出部304は次に、押進部材232が退避位置HM2から移動し始めた時点からシート後端センサー370の出力を監視すると共に、その時点からの経過時間を計測する。この経過時間が上記の閾値に達してもシート後端センサー370が反応しないとき、検出部304は「搬送中のシートに紙詰まりが生じた」と見なしてリトライ制御部306を起動する。
【0066】
−リトライ制御部−
リトライ制御部306は起動したとき、まず搬送部320に先導部材231と押進部材232とを紙詰まり検出時の位置から退避位置HM1、HM2へ移動させる。リトライ制御部306は次に搬送部320に先導部材231でシートを押し戻させる。リトライ制御部306は続いて搬送部320にFD搬送モーターのトルクを増大させ、さらに先導部材231を退避位置HM1に待機させたまま、押進部材232のみでシートを搬送させる。
【0067】
特にFD搬送モーターがステッピングモーターである場合、リトライ制御部306は、それに印加すべき駆動信号のパルス幅を拡げることでそのトルクを増大させる。これに伴い、パルス間隔が拡がってFD搬送モーターの回転速度が低減するので、シートの目標の速度が低減する。しかし、この低減はシートの搬送をリトライする際に限られる。通常時における目標の速度は十分に高く設定されてもよいので、後処理時間が十分に短く維持される。
【0068】
[後処理装置の通常時における動作]
図8図16は、後処理装置150が、MFP100から排紙されたシートに対して後処理を行う動作を工程順に示す図である。以下、これらの図面の順に後処理装置150の動作を説明する。
−整合動作−
MFP100から後処理装置150へ1部のシートの束が排紙されるとき、その排紙の予告がMFP100の第1制御部60から後処理装置150の第2制御部300へ通知される。その予告に応じて第2制御部300はまず整合部310に整合部材221、222と押出部材260とを、その束の最初のシートが排紙され始めるよりも前に所定の位置(以下、「初期位置」という。)へ移動させて、そこで待機させる。
【0069】
具体的には、第2制御部300はまず、その束に対して行うべき後処理に関する制御情報を第1制御部60から取得し、その制御情報からその束のシートのサイズと姿勢とを読み取る。シートの「姿勢」とは、その短辺がFD方向に対して平行(横置き)であるか垂直(縦置き)であるかを表す。第2制御部300は次に、読み取った情報に基づいて、先導部材231、整合部材221、222、および押出部材260の初期位置を算定して整合部310に指示する。先導部材231の初期位置は、その初期位置から筐体202の下端部の側面207までの距離がシートのFD方向におけるサイズと一致するように決定される。一方、整合部材221、222と押出部材260との初期位置は、それらの間の距離がシートのCD方向におけるサイズと一致し、かつCD方向においてシートの角が加工部250、251と同じ位置に揃えられるように決定される。それらの初期位置に基づいて整合部310はFD整合モーターとCD整合モーターとの駆動時間(具体的には駆動信号のパルス数または回転数等)を設定する。その設定に従って各整合モーターが駆動した結果、整合部材221、222と押出部材260とは、予告された排紙が始まる前に初期位置へ移動して待機する。
【0070】
MFP100からシートが排紙されるタイミングはシートごとに第1制御部60から第2制御部300へ予告される。その予告を受ける度に、第2制御部300は整合部310に整合部材221、222と押出部材260とを以下のように、予告されたタイミングに合わせて小刻みに移動させて、排紙されたシートの束を整合させる。
図8は、第1トレイ200において、MFP100から排紙されたシートの束が整合されるときの外観を示す斜視図である。図8を参照するに、MFP100の排紙口42から排紙されたシートSHTは、排紙口42のすぐ外側で排紙ガイド板203によって下方へ移動し、更に第1トレイ200の載置面に沿って移動する。このシートSHTの移動は排紙ローラー43(図2参照)の回転力による。このシートSHTの後端が通過するまで排紙ローラー43は回転を継続してシートSHTを移動させ続ける。
【0071】
このとき、第2制御部300は整合部310に、整合部材221、222と押出部材260とを初期位置から第1トレイ200の載置面のCD方向(Y軸方向)の縁へ向けて少し移動させる一方、先導部材231を初期位置から載置面のFD方向(X軸方向)の端へ向けて少し移動させる。これにより、整合部材221、222、押出部材260、および先導部材231で囲まれた載置面の領域はシートSHTの面積よりも少し大きく拡げられる。この拡げられた領域へシートSHTは進入する。
【0072】
図9は、図8に示されている線分IX−IXに沿った断面図である。第2制御部300は整合部310にまず先導部材231を、シートSHTの全体が排紙口42の外へ出切るタイミングに合わせて第1トレイ200の載置面の内側へ向けて初期位置INTまで移動させる。これにより、シートSHTは先導部材231に衝突し、その衝撃と載置面の傾斜とによってその傾斜方向の下側へ移動する。その後、シートSHTは、傾斜方向の上側の端を初期位置INTの先導部材231に抑えられ、かつ下側の端を筐体202の下端部の側面207に接触させた状態で静止する。こうして、シートSHTはFD方向において整合される。
【0073】
次に、第2制御部300は整合部310に整合部材221、222と押出部材260とを載置面の内側へ向けて初期位置まで移動させる。これにより、シートSHTは図8に示されているように、CD方向の両側から初期位置の整合部材221、222と押出部材260との間に挟まれる。こうして、シートSHTはFD方向に加えてCD方向においても整合される。
【0074】
整合部材221、222と押出部材260との以上の移動は、新たなシートが排紙される度に繰り返される。こうして、第1トレイ200に収容されたシートの束の全体がFD方向とCD方向との両方で整合される。
−FD方向への搬送動作−
第1制御部60からの制御情報には、後処理を行うべきシートの1部あたりの枚数が規定されている。この枚数のシートが第1トレイ200に収容されたことを検知したとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231と押進部材232との移動を開始させる。
【0075】
図10は、第1トレイ200において、整合されたシートの束がFD方向に搬送されるときの外観を示す斜視図である。図11は、図10に示されている線分XI−XIに沿った断面図である。特に図11の(a)は搬送開始時の状態を示し、(b)は搬送途中の状態を示す。
図10図11の(a)を参照するに、第2制御部300は整合部310には、整合部材221、222と押出部材260とでシートの束STKを、CD方向の両側から保持された状態に維持させる。その一方で第2制御部300は搬送部320には、先導部材231でその束STKの先端を抑えさせたまま、押進部材232を退避位置HM2からFD方向(X軸の正方向)へ前進させる。これに連動して先導部材231の把持爪231Aが倒れて束STKの先端部を上から第1トレイ200の載置面に向けて押さえつける。押進部材232が筐体202の下端部の側面207へ到着したとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231をFD方向(X軸の正方向)へ、押進部材232と同じ速度で移動させる。
【0076】
図10図11の(b)を参照するにシートの束STKは、FD方向の上側からは先導部材231によって引き上げられ、下側からは押進部材232によって押し上げられる。こうして、シートの束STKは、先導部材231と押進部材232とに挟まれた状態で第1トレイ200の載置面の上を、その傾斜方向の上側へ向かって搬送される。
第1制御部60からの制御情報が、シートの束STKをステープラーで綴じる束ね加工の要求を示している場合、第2制御部300は、その束STKの角がクリンチャー250とステープラー251との間の領域に到達するまで、搬送部320に先導部材231と押進部材232とを移動させ続ける。具体的には、まず第2制御部300がその制御情報から、その束STKの含むシートのサイズと横置き/縦置きの別とを読み取り、それらに基づいて、その束STKの角を目標の領域に到達させるのに必要な先導部材231と押進部材232との移動距離を算定して搬送部320に指示する。搬送部320はその移動距離に基づいてFD整合モーターとFD搬送モーターとの駆動時間(具体的には駆動信号のパルス数または回転数等)を決める。図10に示されているようにシートの束STKの角がクリンチャー250とステープラー251との間の領域に到達したとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231と押進部材232とでその束STKを一旦、その領域に保持させる。その上で第2制御部300は加工部340にクリンチャー250とステープラー251とを駆動させて、その束STKを綴じさせる。
【0077】
その後、第2制御部300は搬送部320に先導部材231と押進部材232との移動を再開させる。図11の(b)に示されているように、先導部材231は第1トレイ200の上端部200Aに到着したとき、まず把持爪231Aを起こし、次に第1トレイ200の溝208の中、すなわち退避位置HM1へ移動する。一方、押進部材232はシートの束STKをFD方向(X軸の正方向)へ押し続ける。こうして、その束STKは、その先端が先導部材231の退避位置HM1を越え、その後端が第1トレイ200の下端部200Bを越えてその載置面に載る位置まで搬送される。
【0078】
図12は、ステープラー251によって綴じられた後のシートの束STKの全体が第1トレイ200の載置面に載せられたときの外観を示す斜視図である。図12を参照するに、シートの束STKの全体が載置面に載せられたとき、第2制御部300は保持部330に第1保持部材241、242、または第2保持部材243、244(図4−6参照)を載置面から突出させる。その結果、シートの束STKが載置面の上に、その傾斜にかかわらず安定に保持される。第1制御部60からの制御情報が仕分けの要求を示す場合、第2制御部300は更に突出対象の保持部材をシートの束STKごとに交互に切り換える。これにより、傾斜方向におけるシートの束STKの位置が束ごとに上下に切り換わる。
【0079】
−第1トレイから第2トレイへの押出動作−
シートの束STKの全体が図12に示されているように第1トレイ200の載置面に載ったとき、押進部材232は図6の(b)に示されている範囲PRVに進入している。したがって、ガイド部材280の上面が揺動してFD方向に対して傾斜する。このとき、第2制御部300は保持部330に第1保持部材241、242、または第2保持部材243、244を突出させたまま、収容部350に第1トレイ200を支軸201まわりに揺動させてその載置面を水平にさせる。
【0080】
図13は、第1トレイ200がシートの束STKを載せたまま、載置面を水平にしたときの外観を示す斜視図である。図13を参照するに、ガイド部材280の上面がFD方向(X軸方向)に対して傾斜している。第2制御部300は収容部350に第1トレイ200の載置面を水平に維持させる間、搬送部320に押進部材232を、図6の(b)に示されている範囲PRVに維持させる。これによりガイド部材280の上面がその傾斜を維持する。仮に排紙口42から新たなシートが排紙されても、そのシートによる第1トレイ200の下部への侵入をガイド部材280の上面が阻止する。
【0081】
図14は、押出部材260がシートの束STKを第1トレイ200から第2トレイ210へ押し出すときの外観を示す斜視図である。図14を参照するに、第2制御部300は保持部330には第1保持部材241、242、または第2保持部材243、244を突出させたまま、かつ収容部350には第1トレイ200の載置面を水平に保たせたまま、押出部360に押出部材260をシートの束STKと共に第2トレイ210へ向けて前進させる。このとき載置面が立壁211の上端よりも高いので、押出部材260に押されたシートの束STKは立壁211を乗り越えて第2トレイ210へ移動する。
【0082】
図15は、第1トレイ200の載置面から押出部材260が退避するときの外観を示す斜視図である。図15を参照するに、第2制御部300は押出部360に押出部材260を、立壁211に面した第1トレイ200の載置面の縁まで前進させた後に、反対側の縁まで後退させる。
図15を更に参照するに、第2トレイ210へ押し出されたシートの束STKは第2トレイ210の載置面の傾斜により、その傾斜方向の下端が立壁211に接触する位置に揃う。ここで、第1トレイ200の上では、第1保持部材241、242によって保持されていたシートの束と、第2保持部材243、244によって保持されていた束とはFD方向の位置が異なっていた。これにより、第2トレイ210の上では、これらの束の積載される位置が立壁211と平行な方向において異なる。こうして、シートが束ごとに仕分けられる。
【0083】
−第1トレイの初期位置への復帰動作−
図16は、第1トレイ200が載置面を初期の傾斜姿勢に戻したときの外観を示す斜視図である。図16を参照するに、押出部材260が第1トレイ200の載置面の縁まで後退した後、第2制御部300は収容部350に第1トレイ200を支軸201まわりに揺動させてその載置面を水平方向から、図8に示されている初期位置へ復帰させる。その動作と並行して第2制御部300は搬送部320に押進部材232を、図6の(b)に示されているように退避位置HM2へ移動させる。これにより押進部材232が図6の(b)に示されている範囲PRVから離脱するので、ガイド部材280の上面が揺動してFD方向と平行になり、第1トレイ200の載置面の延長部分と一致する。第2制御部300はその後、MFP100の第1制御部60から新たなシートSHTの排紙の予告を受け付けて、その予告に応じて、図8に示されている動作を整合部310に繰り返させる。
【0084】
第2制御部300は、第1制御部60から指示された印刷ジョブの対象部数と同じ回数、図8図16に示されている動作を各駆動部310−360に繰り返させる。こうして、後処理装置150は、MFP100から排紙されて第1トレイ200に収容されたシートに対して束ごとに後処理を行い、それらの束を第1トレイ200から押し出して第2トレイ210に積載する。
【0085】
[FD方向へ搬送されるシートに生じる紙詰まりの原因]
先導部材231と押進部材232とが第1トレイ200の上のシートをFD方向へ搬送する際にそのシートに生じ得る紙詰まりの原因は次の2種類に大別される:(1)シートの座屈、(2)搬送力不足。
「シートの座屈」とは、シートのFD方向における先端が何らかの構造物に引っ掛かった状態のまま移動し続けることによってシートに折れまたは反りが生じた状態をいう。その他に、先端の引っ掛かりに伴うシートのCD方向における位置のずれ、FD方向に対する姿勢のずれ、またはシートの束の歪みも含まれる。シートの先端が引っ掛かり得る構造物にはたとえば、図5図9に示されている押出部材260を案内するための溝200C、200D、200E等、第1トレイ200の載置面に刻まれた溝と凹凸、第1トレイ200とステープラー251との隙間、および第1トレイ200と筐体202との隙間が含まれる。シートに座屈が生じた場合、先導部材231と押進部材232とからシートの束に加えられる力の一部がシートの単体もしくは束の変形に費やされ、またはその変形に伴って第1トレイ200の載置面以外の構造物との接触による摩擦力が増大する。その結果、先導部材231と押進部材232とがシートの束全体をFD方向へ移動させる力、すなわちその束に対する搬送力が損なわれるので、その束の移動が遅れて紙詰まりが生じる。
【0086】
「搬送力不足」とは、第1トレイ200へ積載されたシートの束の荷重超過により、その束に対する搬送力として通常時の搬送力では不足である状態をいう。シートの束の「荷重超過」とは、その束の実際の重さが、シートの種類、サイズ、および1部あたりの枚数から推定される標準的な値を超えた状態をいう。荷重超過はたとえば、1部あたりのシートの枚数が多く設定され、かつ各シートの実際の重さが標準値を超えた値に過剰に偏っている場合に生じる。この場合、シートの束と第1トレイ200との間の摩擦力がその束に対する搬送力を大幅に弱める。その結果、通常時の搬送力、すなわち先導部材231と押進部材232との通常時の駆動力ではシートの束を目標の速度まで加速することができないので、その束の移動が遅れて紙詰まりが生じる。
【0087】
[紙詰まり検出時における動作]
第1トレイ200の上をシートの束STKが、図10図11に示されているようにFD方向(X軸方向)に搬送されている間、第2制御部300の検出部304がシート後端センサー370(図7参照。図10図11には示されていない。)の出力を監視する。シート後端センサー370は、その束STKの後端REEが第1トレイ200の載置面の下端LEGを通過したときに反応する。押進部材232が退避位置HM2を出発した時点からの経過時間が閾値に達してもシート後端センサー370が反応しない場合、すなわちシートの束STKの後端REEが載置面の下端LEGに到達しない場合、検出部304は「紙詰まりが生じた」と見なしてリトライ制御部306を起動する。
【0088】
図17は、シートの座屈に起因する紙詰まり時におけるリトライの動作を段階順に示す第1トレイ200の模式的な部分断面図である。
図17の(a)は、紙詰まりが検出された時点での状態を示す。図17の(a)を参照するに、シートSHTの先端FREが第1トレイ200の載置面の溝等に引っ掛かったことに起因して、シートSHTの先端部に折れFLDが生じている。この場合は一般に、先導部材231がそのシートSHTの先端FREを把持爪231Aと基端部231Bの上面との間に上手く挟めないので、先導部材231はシートSHTの先端FREを十分な力で引っ張ることができない。一方、シートSHTの後端REEをFD方向(X軸方向)に押す力PSFがシートSHTの折れFLDに緩衝され、すなわちその折れFLDを元の形へ戻そうとするシートSHTの応力に妨げられるので、押進部材232はシートSHTの後端REEを十分な力で押すことができない。それらの結果、シートSHTに対する搬送力が損なわれるので、シートSHTの速度が目標値には到達しない。これにより、押進部材232が退避位置HM2を出発した時点からの経過時間が閾値に達しても束STKの後端REEが載置面の下端LEGには到達しない。
【0089】
紙詰まりはその他に、シートSHTの束の荷重超過によってその束に対する搬送力、すなわち先導部材231がその束を引っ張る力と押進部材232がその束を押す力との合力が不足した場合にも生じる。この場合、時間をいくらかけようとも、先導部材231と押進部材232とはその束STKを移動させることができない。
押進部材232が退避位置HM2を出発した時点からの経過時間が閾値に達してもシートの束STKの後端REEが載置面の下端LEGに到達しないとき、検出部304はリトライ制御部306を起動する。リトライ制御部306はまず搬送部320に、先導部材231と押進部材232とを紙詰まり検出時の位置JM1、JM2から退避位置HM1、HM2へ移動させる。
【0090】
図17の(b)は、先導部材231と押進部材232とが退避位置HM1、HM2へ戻った時点での状態を示す。搬送部320はリトライ制御部306に、先導部材231と押進部材232とが紙詰まり検出時の位置JM1、JM2から移動し始めた時点と、それらが退避位置HM1、HM2へ到着した時点とを通知する。搬送部320は前者の時点を、たとえば紙詰まり検出後にFD整合モーターとFD搬送モーターとを再起動した時点と見なし、後者の時点を、たとえば退避位置HM1、HM2に設置された位置センサーが先導部材231と押進部材232とを検出した時点と見なす。搬送部320からの通知に基づいてリトライ制御部306はまず、先導部材231と押進部材232とのそれぞれが紙詰まり検出時の位置JM1、JM2から退避位置HM1、HM2まで移動するのに要した時間を、たとえばFD整合モーターとFD搬送モーターとのそれぞれの駆動信号のパルス数または回転数から算定する。リトライ制御部306は次に、搬送部320に先導部材231でシートSHTを押し戻させ、その先端FREの引っ掛かりを解除させる。
【0091】
図17の(c)は、先導部材231がシートSHTの先端FREを押し戻した時点での状態を示す。図17の(c)を参照するに、搬送部320は先導部材231を退避位置HM1から移動させ、紙詰まり検出時の位置JM1を所定の距離α(以下、「押し戻し距離」という。)だけ越えた位置まで前進させる。このとき、FD整合モーターの駆動時間(具体的には駆動信号のパルス数または回転数)は、先導部材231が紙詰まり検出時の位置JM1から退避位置HM1まで戻るのに要した時間と、先導部材231が押し戻し距離αを移動するのに必要な時間とに基づいてリトライ制御部306によって設定され、搬送部320に指示される。押し戻し距離αは、シートSHTに折れFLD等の座屈が生じたときにおけるその先端FREと後端REEとの間の平均的な距離(たとえば予め実験によって求められる。)に基づいて、退避位置HM1から前進してきた先導部材231がその先端FREに接触し、さらにその先端FREをある程度の力で押し戻せるように設定される。シートSHTの先端FREの引っ掛かりは一般にシートSHTのFD方向への移動に起因するので、その先端FREが先導部材231によって逆方向に押し戻されれば、その引っ掛かりの多くは解除される。
【0092】
リトライ制御部306は次に搬送部320に先導部材231を、紙詰まり検出時の位置JM1+押し戻し距離αから再び退避位置HM1へ戻させる。具体的には、搬送部320はたとえば退避位置HM1に設置された位置センサーが先導部材231を検出するまで、先導部材231を後退させ続ける。
図17の(d)は、先導部材231が再び退避位置HM1へ戻った時点での状態を示す。図17の(d)を参照するに、シートSHTは紙詰まり検出時の位置からFD方向とは逆方向(X軸の負方向)に移動している。このとき、一般的には、そのシートSHTの先端FREの引っ掛かりは解除されており、そのシートSHTの折れFL2は、図17の(a)に示されている紙詰まり検出時での折れFLDよりも緩和されている。しかし、この折れFL2により、先導部材231はもはやそのシートSHTの先端FREを把持爪231Aと基端部231Bの上面との間に上手く挟めない可能性が高い。また、シートSHTの先端FREの位置は、そのシートSHTのサイズから推測される位置から外れている可能性が高い。それ故、リトライ制御部306は続いて搬送部320に、先導部材231を退避位置HM1に待機させたまま、押進部材232のみでシートSHTを搬送させる。
【0093】
リトライ制御部306は続いて搬送部320にFD搬送モーターのトルクを増大させ、先導部材231を退避位置HM1に待機させたまま、押進部材232のみでシートSHTを搬送させる。図17の(e)は、先導部材231が退避位置HM1に待機したまま、押進部材232のみがシートSHTを搬送している時点での状態を示す。図17の(e)を参照するに、押進部材232は再び退避位置HM2から前進し、シートSHTの後端REEに接触した後、その後端REEを押す。このとき、FD搬送モーターのトルクが通常時よりも増大しているので、押進部材232がその後端REEを押す力RTFは通常時の力NMFよりも強い。
【0094】
こうして、紙詰まりの原因が「シートの座屈」であれば、先導部材231の押し戻しによってシートSHTの先端FREの引っ掛かりが解除された場合にシートSHTはFD方向へ移動し、「搬送力不足」であれば、押進部材232の力RTFがシートSHTの束の荷重超過によって増大した抗力を上回った場合にシートSHTはFD方向へ移動する。
シートSHTが移動する間、検出部304は、シートSHTの後端REEが第1トレイ200の載置面の下端LEGまで到達したか否かを監視する。押進部材232が退避位置HM2を出発した時点からの経過時間が閾値に達するまでにシートSHTの後端REEが載置面の下端LEGに到達すれば、検出部304は「シートSHTの搬送のリトライに成功した」と判断する。ただし、FD搬送モーターがステッピングモーターである場合、そのトルクを増大させることは、シートの速度の目標値を通常時よりも低減することに等しいので、閾値は通常時よりも大きく設定される。なお、この目標の速度の低減はシートの搬送をリトライする際に限られるので、後処理時間は十分に短く維持される。リトライに成功した場合、後処理装置150の制御は通常の動作に戻り、図13に示されているように第1トレイ200を水平にする動作から再開される。
【0095】
−後処理装置の動作のフローチャート−
図18は、図8図17に示されている後処理のフローチャートである。この処理は、後処理装置150の第2制御部300がMFP100の第1制御部60から印刷ジョブの開始を通知されたときに開始される。
ステップS101では、第2制御部300はまず、第1制御部60から後処理に関する制御情報を取得し、その制御情報からその束のシートのサイズと姿勢とを読み取る。第2制御部300は次に、読み取った情報に基づいて、整合部材221、222、先導部材231、および押出部材260の初期位置を算定し、整合部310にそれらの部材221、222、231、260を、最初のシートが排紙され始めるよりも前に初期位置で待機させる。その後、動作はステップS102へ進む。
【0096】
ステップS102では、図8図9に示されているシートの整合動作に関する処理が行われる。具体的には第2制御部300は第1制御部60からの排紙予告に応じて、MFP100の排紙口42からシートが排紙され始める前に整合部310に、整合部材221、222、先導部材231、および押出部材260を初期位置から第1トレイ200の載置面の縁および端へ近づけさせる。シートの全体が排紙口42の外へ出切ったとき、第2制御部300は整合部310に、まず先導部材231を載置面の内側へ向けて移動させ、次に整合部材221、222と押出部材260とを載置面の内側へ向けて移動させる。これにより、シートがそれらの部材の間に挟まれて整合される。その後、整合部310は各部材221、222、231、260を元の位置へ戻す。これらの部材221、…、260による以上の動作は、新たなシートが排紙される度に繰り返される。こうして、第1トレイ200に収容された1部のシートの束がFD方向とCD方向との両方で整合される。その後、処理はステップS103へ進む。
【0097】
ステップS103では、図10−12、図17に示されているシートのFD方向への搬送に関する処理が行われる。具体的には、1部のシートの束が第1トレイ200へ収容されたとき、第2制御部300は整合部310に整合部材221、222と押出部材260とでその束を保持させたまま、搬送部320に先導部材231と押進部材232とを移動させてその束を搬送させる。この搬送中、第2制御部300は更にシート後端センサー370を通して紙詰まりを検出して、搬送部320にシートの搬送をリトライさせる。この搬送に関する処理の詳細なフローについては後述する。
【0098】
ステップS101で取得された制御情報が、シートの束をステープラーで綴じる束ね処理の要求を示す場合、第2制御部300は、その束の角がクリンチャー250とステープラー251との間の領域に到達するまで、搬送部320に先導部材231と押進部材232とを移動させ続ける。その束の角がその領域に到達したとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231と押進部材232とでその束を保持させた上で加工部340にクリンチャー250とステープラー251とを駆動させてその束を綴じさせる。その後、第2制御部300は搬送部320にシートの搬送を再開させる。
【0099】
シートの束の全体が第1トレイ200の載置面に載せられたとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231を載置面から退避させると共に、保持部330に第1保持部材241、242、または第2保持部材243、244を突出させてシートの束を保持させる。その後、処理はステップS104へ進む。
ステップS104では、図13図15に示されている第1トレイ200から第2トレイ210へのシートの押出動作に関する処理と、図16に示されている第1トレイ200の初期位置への復帰動作に関する処理とが行われる。その後、処理はステップS105へ進む。
【0100】
ステップS105では、第2制御部300はステップS102−104の反復回数を、制御情報の示す印刷ジョブの対象部数と比較する。その反復回数がその対象部数にはまだ達していなければ印刷ジョブは終了していないので、処理はステップS102から繰り返され、すでに達していれば処理は終了する。
−搬送に関する処理のフローチャート−
図19は、図18に示されているステップS103のサブルーチン、すなわち後処理装置150がシートの束STKを第1トレイ200の載置面へ搬送する動作に関する処理のフローチャートである。
【0101】
ステップS201では、第2制御部300は搬送部320に、図10図11の(a)に示されているように、先導部材231でシートの束STKの先端を抑えさせたまま、押進部材232を退避位置HM2からFD方向へ前進させる。これに連動して先導部材231の把持爪231Aが束STKの先端部を先導部材231の基端部231Bの上面との間に挟む。その後、処理はステップS202へ進む。
【0102】
ステップS202では、押進部材232が後処理装置150の筐体202の下端部の側面207へ到着したか否かを第2制御部300が確認する。具体的には、第2制御部300はまず搬送部320からの通知を利用して、退避位置HM2に設けられた位置センサーの出力が押進部材232の退避位置HM2からの離脱を示した時点を起点とする経過時間(具体的にはFD搬送モーターの駆動信号のパルス数またはその回転数)を計測する。第2制御部300は次にこの経過時間と押進部材232の標準的な運動パターンとから押進部材232の移動距離を推定する。その移動距離が退避位置HM2と筐体202の下端部の側面207との間の距離に達したことを検出したとき、第2制御部300は「筐体202の下端部の側面207へ押進部材232が到着した」と見なす。この到着が検出された場合、処理はステップS203へ進み、検出されない場合、処理はステップS202を繰り返す。
【0103】
ステップS203では、押進部材232が筐体202の下端部の側面207へ到着しているので、シートの束STKの後端に接しているはずである。このとき、第2制御部300は搬送部320に先導部材231を押進部材232と同じ速度で後退させ、すなわちFD方向へ移動させる。その後、動作はステップS204へ進む。
ステップS204では、押進部材232が退避位置HM2を出発した時点からの経過時間を検出部304が計測して閾値、すなわち先導部材231と押進部材232とがシートの束STKの後端REEを第1トレイ200の載置面の下端LEGまで搬送するのに必要な時間と比較する。その経過時間が閾値に達していなければ処理がステップS205へ進み、閾値以上に達していれば処理がステップS206へ進む。
【0104】
ステップS205では、経過時間がまだ閾値に達していないので、検出部340はシート後端センサー370の出力を通して、シートの束STKの後端REEが第1トレイ200の載置面の下端LEGまで到達しているか否かを確認する。その束STKの後端REEが載置面の下端LEGに到達していれば処理が図18に示されているフローへ戻ってステップS104へ進み、到達していなければ処理がステップS204から繰り返される。
【0105】
ステップS206では、経過時間がすでに閾値に達しているので、検出部304は「シートの束STKに紙詰まりが生じた」と見なしてリトライ制御部306を起動する。これにより、その束STKの搬送のリトライが行われる。その後、処理はステップS204から繰り返される。
−搬送のリトライに関する処理のフローチャート−
図20は、図19に示されているステップS206のサブルーチン、すなわち後処理装置150が先導部材231と押進部材232とにシートの搬送を、通常時の態様とは別の態様でリトライさせる動作に関する処理のフローチャートである。
【0106】
ステップS301では、リトライ制御部306が搬送部320に先導部材231と押進部材232とを、図17の(b)に示されているように、紙詰まり検出時の位置JM1、JM2から退避位置HM1、HM2へ移動させる。その後、処理はステップS302へ進む。
ステップS302では、リトライ制御部306は搬送部320に先導部材231を、図17の(c)に示されているように紙詰まり検出時の位置JM1を押し戻し距離αだけ越えた位置まで前進させる。その後、処理がステップS303へ進む。
【0107】
ステップS303では、リトライ制御部306は搬送部320に先導部材231を、図17の(d)に示されているように紙詰まり検出時の位置JM1+押し戻し距離αから退避位置HM1へ戻させる。その後、処理はステップS304へ進む。
ステップS304では、リトライ制御部306は搬送部320にFD搬送モーターのトルクを増大させる。その後、動作がステップS305へ進む。
【0108】
ステップS305では、リトライ制御部306は搬送部320に、図17の(e)に示されているように先導部材231を退避位置HM1に待機させたまま、押進部材232のみでシートSHTを搬送させる。このとき、FD搬送モーターのトルクが通常時よりも増大しているので、押進部材232がそのシートSHTの後端REEを押す力RTFは通常時の力NMFよりも強い。押進部材232が退避位置HM2を出発した時点以降、検出部304は、その時点からの経過時間が閾値に達するまでにシートSHTの後端REEが載置面の下端LEGに到達するか否かを監視する。その後、処理は図19に示されているフローへ戻り、ステップS204から繰り返される。
【0109】
[実施形態の利点]
本発明の実施形態による後処理装置150では上記のとおり、FD方向に搬送されるシートSHTに生じた紙詰まりを検出部304が検出したとき、リトライ制御部306が搬送部320にそのシートSHTの搬送を、通常時の態様とは別の態様でリトライさせる。
この別の態様では、図17に示されているように、先導部材231がシートSHTの先端FREを距離αだけ押し戻した後、押進部材232のみが通常時の力NMFよりも強い力RTFでそのシートSHTの後端REEを押す。これにより、紙詰まりの原因が「シートの座屈」と「搬送力不足」とのいずれであってもリトライがその紙詰まりを解消させる可能性が増えるので、後処理装置150が処理を中断してユーザーに紙詰まりを解除させねばならない頻度が抑えられる。こうして、後処理装置150は紙詰まりに起因する処理の遅れを低減することができる。その結果、画像形成システムの生産性を向上させることができる。
【0110】
[変形例]
(A)図1に示されている画像形成装置100はMFPである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、レーザープリンター、インクジェットプリンター、ファクシミリ、またはコピー機等のいずれであってもよい。
(B)後処理装置150の各可動部材に対する駆動源として、リフトモーター204、CD整合モーター、FD整合モーター、CD搬送モーター、およびFD搬送モーターは互いに独立である。しかし、これらの一部またはすべてが共通であってもよい。
【0111】
(C)第1トレイ200の揺動にはリフトモーター204とカム機構205とが利用される。これらの他にも、第1トレイ200の載置面を上下方向に移動させることが可能な機構であれば、その載置面を、MFP100から排紙されたシートを収容する期間と、収容されたシートを第2トレイ210へ押し出す期間とで変位させる機構として利用可能である。
【0112】
(D)押進部材232は第1トレイ200の下端部200Bに設置され、シートの後端をFD方向へ押すことにより、そのシートを押し進める。押進部材はその他に、第1トレイ200のCD方向における縁部の一方または両方に設置され、シートをCD方向における片側または両側から保持した状態でFD方向に移動することにより、そのシートをFD方向へ移動させてもよい。押進部材はまた、第1トレイ200の上面をFD方向に延びる搬送ベルトであってもよい。このベルトは、その上にシートを載せた状態でFD方向に回転することにより、そのシートをFD方向へ搬送可能である。
【0113】
(E)先導部材231の把持爪231Aは、押進部材232が退避位置HM2から前進するのに連動して倒れる。その他に、把持爪231Aの揺動が押進部材232の移動とは独立に行われてもよい。この場合、先導部材231はシートの搬送時、まずそのシートの先端よりも上方で、押進部材232によってそのシートの先端が自身の位置まで押し上げられるのを待ち、その先端が自身に接触したときに初めて把持爪231Aでその先端を把持して引き上げ始めてもよい。また、押進部材232が搬送対象のシートを押す力NMFが十分に強い場合、先導部材231の把持爪231Aは省略されてもよい。
【0114】
(F)後処理装置150の行う後処理には、第1トレイ200の上でシートを整合する処理、シートの束をステープラー251で綴じる処理、および第2トレイ210の上にシートを束ごとにずらして積載してそれらのシートを仕分けする処理が含まれる。しかし、後処理の種類はこれらに限られず、周知の種類の後処理機能が実装可能である。たとえば、加工部250、251、またはそれに隣接する別の器具に、直下のシートに対して綴じ穴を開ける処理、接着剤を塗布する処理、または二つ折り等に加工する処理を実行させてもよい。後処理装置150はこれらのいずれの後処理を行う場合でも、その前に加工部の位置まで、またはその後に第2トレイ210への押し出し位置までシートをFD方向へ搬送する際に紙詰まりが生じれば、上記の実施形態と同様にそのシートの搬送を通常時の態様とは別の態様でリトライする。これにより、リトライが紙詰まりを解消させる可能性が増えるので、後処理装置150は紙詰まりに起因する処理の遅れを低減することができる。
【0115】
(G)駆動部310−360は位置センサーとして光学センサーを利用することで、可動部材200、221、222、231、232、241−244、260が特定の位置にいること、または特定の姿勢であることを検出する。しかし、この位置センサーとしてはその他の方式のセンサーが利用されてもよい。同様に、シート後端センサー370も光学センサー以外の方式であってもよい。また、位置センサーは、たとえば可動部材の軌道に沿って細かい間隔で設置された多数の検出器を利用して、可動部材が任意の位置または任意の姿勢であることを検出可能であってもよい。この場合、特に搬送部320は先導部材231と押進部材232との紙詰まり検出時の位置JM1、JM2を位置センサーの出力から直に決定可能である。
【0116】
(H)上記の実施形態では、図19に示されているようにシートの搬送がリトライされるときに再び紙詰まりが検出された場合、リトライが更に繰り返される。このように紙詰まりの検出とリトライとが繰り返される場合、その繰り返しの回数に上限が設けられ、その回数が上限を超えた場合、またはFD搬送モーターのトルクが上限に達した場合、リトライ制御部306は後処理装置150を停止させ、メッセージを操作パネル170に表示する等によって紙詰まりの発生をユーザーに通知してもよい。
【0117】
(I)上記の実施形態ではリトライ制御部306は搬送部320に先導部材231で、紙詰まりの生じたシートSHTの先端FREを距離αだけ押し戻させる。この距離αは、シートSHTの後端REEが後処理装置150の筐体202の下端部の側面207に接触するように設定されてもよい。
また、先導部材231によるシートSHTの押し戻しは必須ではない。すなわち、先導部材231の接触または把持爪231Aでの把持が解除されるだけでも、シートSHTの先端FREの引っ掛かりには解除される可能性がある。したがって、この押し戻しは省略されてもよい。逆に、この押し戻しがリトライ1回あたりに複数回繰り返されてもよい。
【0118】
(J)FD搬送モーターがステッピングモーターである場合、リトライ制御部306はその駆動信号のパルス幅を拡げることでそのトルクを増大する。しかし、トルクを増大する方法はこれには限られない。リトライ制御部306は、直流モーターの電流を増やす等、FD搬送モーターが他の種類であればそれに適した方法でそのトルクを増大すればよい。その他にFD搬送モーターから押進部材232への駆動機構のギア比が可変である場合、リトライ制御部306はそのギア比を上げることで、FD搬送モーターから押進部材232へ伝達されるトルクを増大してもよい。
【0119】
(K)上記の実施形態では紙詰まりの原因として「シートの座屈」と「搬送力不足」との2種類を想定した上で、シートの搬送をリトライするときの通常時とは別の態様として、それら2種類の両方に対応可能なものを採用する。しかし、「別の態様」としてはその他のものも採用可能である。
たとえば、紙詰まりの原因として上記2種類とは別のものを想定した上で、その別の原因にも対応可能なように「別の態様」を修正してもよい。具体的には、シートの反り等によってその後端が第1トレイ200の載置面から押進部材232よりも高く浮き上がる状態を、紙詰まりの別の原因として想定してもよい。実際、この状態では押進部材232がシートの後端に接触できないので搬送力が不足し、そのシートの搬送が遅れて紙詰まりが生じ得る。この場合、「別の態様」を次のように修正してもよい。まず、第1トレイ200に収容されたシートの後端部を上から押さえて平坦に戻すための部材(仮に「押さえ部材」という。)を後処理装置150に実装する。次に、シートの搬送をリトライする際にのみ、押進部材232がシートの後端を押すことができるように、搬送部320にその押さえ部材でシートの後端部を平坦に戻させる。
【0120】
逆に、紙詰まりの原因を上記2種類の一方に絞り、その一方にのみ対応可能なように「別の態様」を修正してもよい。これは、上記2種類の一方を原因とする紙詰まりが他方を原因とするものよりも頻度が極端に高い場合には有利である。具体的には、紙詰まりの原因を「シートの座屈」に絞った場合であれば、図17に示されているように押進部材のみでシートを搬送する一方、FD搬送モーターのトルクを通常時のままに保ってもよい。紙詰まりの原因を「搬送力不足」に絞った場合であれば、図11に示されているように先導部材と押進部材との両方でシートを搬送する一方、FD整合モーターとFD搬送モーターとの両方のトルクを通常時よりも増大させてもよい。
【0121】
(L)上記の実施形態では、図18図19に示されているように、シートの束の搬送がリトライされ、そのリトライに成功したとき、次の束の搬送は通常時の態様に戻る。その他に、リトライに成功したシートの束以降、少なくとも1部の搬送がそのリトライと同じ態様で行われてもよい。特に紙詰まりの原因が「搬送力不足」である場合、印刷ジョブが切り換えられない限りシートの種類等は共通であるので、同じ原因の紙詰まりが繰り返し生じる危険性が高い。したがって、FD搬送モーターのトルクは通常時よりも大きい値に維持しておく方が、紙詰まりを回避する可能性が高い。このように、リトライで一旦採用された条件での搬送は、新たな紙詰まりを検出することなく印刷ジョブを終えるまで等、所定の部数を連続して紙詰まりなしで搬送し終えるまで繰り返されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は画像形成における後処理に関し、上記のとおり、搬送中のシートに紙詰まりが生じたとき、そのシートの搬送を通常時の態様とは別の態様でリトライする。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
100 MFP
42 排紙口
150 後処理装置
200 第1トレイ
210 第2トレイ
221 第1整合部材
222 第2整合部材
231 先導部材
232 押進部材
241、242 第1保持部材
243、244 第2保持部材
250 加工部
260 押出部材
280 ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
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図20