特許 6443025 カップ式飲料自動販売機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6443025

(24)【登録日】2018年12月7日

(45)【発行日】2018年12月26日

(54)【発明の名称】カップ式飲料自動販売機

(51)【国際特許分類】

   G07F 13/10 20060101AFI20181217BHJP

【ＦＩ】

   G07F13/10 D

【請求項の数】1

【全頁数】12

(21)【出願番号】特願2014-253315(P2014-253315)

(22)【出願日】2014年12月15日

(65)【公開番号】特開2016-115136(P2016-115136A)

(43)【公開日】2016年6月23日

【審査請求日】2017年11月14日

(73)【特許権者】

【識別番号】000005234

【氏名又は名称】富士電機株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100161562

【弁理士】

【氏名又は名称】阪本 朗

(72)【発明者】

【氏名】西川 洋平

(72)【発明者】

【氏名】中島 一秀

【審査官】 望月 寛

(56)【参考文献】

【文献】 特開平０４−０７７９９１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｇ０７Ｆ １３／１０

Ｂ６７Ｄ １／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次カップシュータに落下させて供給するカップ供給装置と、前記カップシュータ直下のカップ受取位置に待機し、当該カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部と、前記カップ保持部を搬送するカップ搬送装置と、前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部を前記カップ搬送装置で搬送して順次移動させて調理した飲料を販売する制御手段と、を備えたカップ式飲料自動販売機において、前記カップシュータ直下のカップ受取位置の下方位置に前記カップ受取位置を通って落下するカップを所定数収容可能とする開放空間を設け、前記制御手段からのカップ供給信号により前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されて当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置に待機したカップ保持部に保持されたカップ若しくは当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置を通って前記開放空間に落下するカップを検知して前記制御手段にカップ検知信号を出力するカップ検知センサを設け、前記制御手段は、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信しない場合、前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置から当該カップシュータ直下を落下するカップの軌跡から外れた位置に搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してカップ供給装置からカップをカップシュータに供給することによって当該カップシュータに留まったカップの落下を促したうえで前記カップ検知センサからのカップ検知信号を監視し、前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信すると前記カップ供給信号の出力を停止するとともに前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置へ搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力し、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信すると前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を搬送して順次移動させて調理した飲料を販売することを特徴とするカップ式飲料自動販売機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次落下させて供給するカップ供給装置を備え、カップ供給装置から供給されたカップを受け取って保持しているカップ保持部をカップ搬送装置で順次移動させて調理したカップ飲料を販売口から販売するカップ式飲料自動販売機に関する。

【背景技術】

【0002】

カップ搬送装置、カップ供給装置、粉末原料供給装置、温水タンク、オーガ式製氷機、飲料攪拌装置などを備え、カップ供給装置から供給され、カップ保持部で受け取って保持しているカップを、粉末原料供給装置、温水タンクからの温水供給口やオーガ式製氷機からの氷供給口が設けられている飲料攪拌装置の各配設経路に沿ってカップ搬送装置で搬送して順次移動させ、カップ内で調理した飲料を販売口まで搬送して販売するカップ式飲料自動販売機が知られている。

【0003】

カップ供給装置は、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次落下させて供給するもので、カップを縦方向に複数積層して収容するカップ収容部と、このカップ収容部の底部に設けられ、飲料販売時にカップを１個ずつ下方に落下させるカップ払い出し部とを備えている。

【0004】

そして、カップ式飲料自動販売機の利用者により飲料選択ボタンが押されると、制御手段からカップ払い出し部に設けられているカップ払い出しモータに通電されて駆動されることで回転部材に生じる回転運動が偏心回転部で往復運動に変換されてレバーに伝達され、レバーと一体的に取り付けられたリングが左右方向に回転動作する。このリング内周部には、カップ払い出しコマの回転軸に取り付けられたギヤと係合するリングギヤを有し、リングが右方向に回転するとカップ払い出しコマを右方向に回転させ、リングが左方向に回転するとカップ払い出しコマを左方向に回転させるように構成されている。

【0005】

このようにしてカップ払い出しモータが駆動され、螺旋状の外周形状を有するカップ払い出しコマが右方向へ回転するとカップの積層体が螺旋部分の１段下部に落下し、左方向へ回転すると最下部にあるカップの縁部とその直上にあるカップの縁部の間に螺旋部分が挿入されることによって最下部のカップが積層体から分離されて下方に落下する（例えば、特許文献１参照）。

【0006】

粉末原料供給装置は、カップ飲料の基となる粉末原料を収容し、カップ飲料調理の都度、収容している粉末原料をカップに供給するものである。温水タンクは粉末原料供給装置からカップに供給された粉末原料を希釈するための温水を収容し、飲料調理の都度、粉末原料が供給されているカップに温水を供給するものである。オーガ式製氷機は、カップ飲料に添加してアイス飲料とするための氷を作って貯蔵するものである。飲料攪拌装置は、カップ内の飲料に浸水して攪拌するための攪拌羽根、攪拌羽根を駆動するための飲料攪拌モータを有している。カップ保持部は、カップ供給装置から供給されたカップを受け取って保持する。カップ搬送装置は、カップ供給装置から供給されたカップを受け取って保持しているカップ保持部を搬送して順次移動させるためのカップ搬送モータを有している。

【0007】

これにより、カップ供給装置から供給されたカップを受け取って保持したカップ保持部は、カップ搬送装置により各種粉末原料供給装置、飲料攪拌装置、販売口の配設経路を、調理する飲料の種類に応じた順序で移動し、調理された飲料入りカップを販売口に搬送し、販売口からカップ式飲料自動販売機の利用者に販売する（例えば、特許文献２参照）。

【0008】

このように、カップ供給装置から供給されたカップを受け取って保持しているカップ保持部をカップ搬送装置で搬送して順次移動させ、カップ内で調理した飲料を販売口まで搬送して販売するカップ式飲料自動販売機には、カップ供給装置からカップ保持部にカップが供給されたことを検知するカップ検知センサを設け、カップ検知センサがカップ保持部にカップが供給されたことを検知するとカップ検知信号を制御手段に出力することで、制御手段は、カップ搬送装置でカップ保持部を搬送して順次移動させて飲料を調理して販売するようにしている（例えば、特許文献３参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0009】

【特許文献1】特開２００１−１５５２４５号公報

【特許文献2】特開２００３−１０９１０８号公報

【特許文献3】特開２０１１−１６４８２８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0010】

カップ式飲料自動販売機の利用者により飲料選択ボタンが押され、制御手段がカップ供給装置のカップ払い出しモータに通電して駆動することで回転部材に生じる回転運動が偏心回転部で往復運動に変換されてレバーに伝達され、レバーと一体的に取り付けられたリングが回転動作し、螺旋状の外周形状を有するカップ払い出しコマを右方向へ回転させてカップの積層体を螺旋部分の１段下部に落下させ、次に、左方向へ回転させて最下部にあるカップの縁部とその直上にあるカップの縁部の間に螺旋部分を挿入することによって最下部のカップをカップ積層体から分離して下方に落下させる動作を行うことで、カップ供給装置のカップ収容部に収容されているカップ積層体から分離されたカップはカップシュータ（カップガイド）内を落下してカップ保持部に保持される。

【0011】

しかしながら、カップシュータに帯電している静電気の影響で、カップ積層体から分離されたカップがカップシュータ内に留まって宙吊り状態となり、カップシュータからカップ保持部へと落下しないことがある。そして、カップシュータからカップ保持部へカップが落下しないと、カップ保持部にカップが供給されたことを検知してカップ検知信号を出力するカップ検知センサは、カップ検知信号を制御手段に出力することができないため、制御手段はカップ検知信号を受信することができない。

【0012】

制御手段からカップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過してもカップ検知センサからカップ検知信号を受信できない場合、制御手段はカップ供給装置にカップ供給信号を再度出力し、カップ供給装置のカップ収容部に収容されているカップ積層体からカップを再度落下させ、静電気の影響でカップシュータ内に留まって宙吊り状態となっているカップ上にカップを落下させ、落下させたカップの衝撃および２個のカップの自重により、２個のカップをカップ保持部に同時に落下させるようにしている。

【0013】

そして、制御手段がカップ供給装置にカップ供給信号を再度出力することでカップを再度落下させ、カップシュータ内に宙吊り状態となっているカップ上に落下させたカップの衝撃およびカップ２個の自重によりカップ保持部に同時に２個のカップを落下させ、積層状態の２個のカップを保持しているカップ保持部をカップ搬送装置でカップ廃棄位置まで搬送し、カップ保持部に保持しているカップの廃棄動作を行い、カップ式飲料自動販売機の利用者に返金動作を行った後、販売待機状態に戻るようにしている。

【0014】

このように、カップ供給装置からカップ保持部に供給される途中でカップがカップシュータ内に宙吊り状態となった状態からカップ飲料販売可能状態に復帰させるためには、カップ式飲料自動販売機に、カップ廃棄動作を行うための構造やシステムが必要となり、また、積層状態の２個のカップを保持しているカップ保持部をカップ廃棄位置まで搬送可能な高さ寸法を確保する必要があるという問題があった。

【0015】

本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、カップ廃棄動作を行うための構造やシステム、また、積層状態の２個のカップを保持しているカップ保持部をカップ廃棄位置まで搬送可能な高さ寸法を確保する必要をなくしても、カップ供給装置に収容されているカップ積層体から分離されて落下途中でカップシュータ内に宙吊り状態となっているカップの廃棄動作を容易に行え、販売停止を回避することができるカップ式飲料自動販売機を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0016】

上記の目的を達成するために、本発明の請求項１に係るカップ式飲料自動販売機は、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次カップシュータに落下させて供給するカップ供給装置と、前記カップシュータ直下のカップ受取位置に待機し、当該カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部と、前記カップ保持部を搬送するカップ搬送装置と、前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部を前記カップ搬送装置で搬送して順次移動させて調理した飲料を販売する制御手段と、を備えたカップ式飲料自動販売機において、前記カップシュータ直下のカップ受取位置の下方位置に前記カップ受取位置を通って落下するカップを所定数収容可能とする開放空間を設け、前記制御手段からのカップ供給信号により前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されて当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置に待機したカップ保持部に保持されたカップ若しくは当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置を通って前記開放空間に落下するカップを検知して前記制御手段にカップ検知信号を出力するカップ検知センサを設け、前記制御手段は、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信しない場合、前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置から当該カップシュータ直下を落下するカップの軌跡から外れた位置に搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してカップ供給装置からカップをカップシュータに供給することによって当該カップシュータに留まったカップの落下を促したうえで前記カップ検知センサからのカップ検知信号を監視し、前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信すると前記カップ供給信号の出力を停止するとともに前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置へ搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力し、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信すると前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を搬送して順次移動させて調理した飲料を販売することを特徴とする。

【発明の効果】

【0020】

請求項１の発明によれば、複数の同一形状のカップを縦方向に積層して収容し、最下部のカップから順次カップシュータに落下させて供給するカップ供給装置と、前記カップシュータ直下のカップ受取位置に待機し、当該カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部と、前記カップ保持部を搬送するカップ搬送装置と、前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されたカップを受け取って保持するカップ保持部を前記カップ搬送装置で搬送して順次移動させて調理した飲料を販売する制御手段と、を備えたカップ式飲料自動販売機において、前記カップシュータ直下のカップ受取位置の下方位置に前記カップ受取位置を通って落下するカップを所定数収容可能とする開放空間を設け、前記制御手段からのカップ供給信号により前記カップ供給装置からカップシュータを介して供給されて当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置に待機したカップ保持部に保持されたカップ若しくは当該カップシュータ直下におけるカップ受取位置を通って前記開放空間に落下するカップを検知して前記制御手段にカップ検知信号を出力するカップ検知センサを設け、前記制御手段は、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信しない場合、前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置から当該カップシュータ直下を落下するカップの軌跡から外れた位置に搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してカップ供給装置からカップをカップシュータに供給することによって当該カップシュータに留まったカップの落下を促したうえで前記カップ検知センサからカップ検知信号を監視し、前記カップ検知センサからのカップ検知信号を受信すると前記カップ供給信号の出力を停止するとともに前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を前記カップシュータ直下のカップ受取位置へ搬送して移動させた後、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力し、前記カップ供給装置にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサからカップ検知信号を受信すると前記カップ搬送装置で前記カップ保持部を搬送して順次移動させて調理した飲料を販売することにより、カップ廃棄動作を行うための構造やシステム、また、積層状態の２個のカップを保持しているカップ保持部をカップ廃棄位置まで搬送可能な高さ寸法を確保する必要をなくしても、カップ供給装置に収容されているカップ積層体から分離されて落下途中でカップシュータ内に宙吊り状態となっているカップの廃棄動作を容易に行え、販売停止を回避することができるカップ式飲料自動販売機を提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0024】

【図1】本発明に係るカップ式飲料自動販売機の前扉を開いた一例を示す正面図である。

【図2】図１に示したカップシュータ直下のカップ受取位置にカップ保持部が配置された状態を示す鳥瞰図である。

【図3】図１に示したカップ保持部を搬送するカップ搬送装置を示す鳥瞰図である。

【図4】図１に示したカップ式飲料自動販売機の制御ブロック図である。

【図5】図１に示したカップ供給装置から供給されたカップを検知してカップ検知信号を出力するカップ検知センサの配設位置を示す図である。

【図6】図１に示したカップ供給装置、カップシュータ、カップ保持部、粉末原料供給装置、飲料攪拌装置、販売口を示す鳥瞰図である。

【図7】カップ式飲料自動販売機のタイミングチャート図である。

【図8】本発明に係るカップ式飲料自動販売機のタイミングチャート図である。

【発明を実施するための形態】

【0025】

以下、図面を参照しながら、本発明に係るカップ式飲料自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

【0026】

図１は、本発明に係るカップ式飲料自動販売機の前扉を開いた一例を示す正面図である。カップ式飲料自動販売機１は、前面が開放される筐体２と、筐体２の前面の一端に蝶番で取り付けられる前扉３とを備え、前扉３の外表面には、図示しない、硬貨を投入するための硬貨投入口、投入した硬貨を返却するための硬貨返却レバー、硬貨を返却するための硬貨返却口、利用者が所望する飲料を選択する飲料選択ボタンなどが設けられている。

【0027】

筐体２の内部には、複数の同一形状のカップＣを縦方向に積層して収容し、最下部のカップＣから順次落下させて供給するカップ供給装置４、カップ供給装置４に収容されているカップ積層体から分離されて落下するカップＣをカップ保持部６へと案内するカップシュータ５、カップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って保持するカップ保持部６、カップ供給装置４（カップシュータ５）直下のカップ受取位置でカップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って保持しているカップ保持部６を搬送するカップ搬送装置７、砂糖、クリーム、ココアなどの粉末原料を収容している粉末原料供給装置８、カップＣに供給された砂糖、クリーム、コーヒー液などに攪拌羽根を挿入、回転させて攪拌してカップ飲料とする飲料攪拌装置９、カップ供給装置４直下にはカップ供給装置４に収容されているカップ積層体から分離されて落下途中でカップシュータ５内に宙吊り状態となっているカップＣの廃棄動作で廃棄された廃棄カップを所定数収容可能な容量（例えば、５０個）を有する廃棄カップ容器（開放空間）１０、粉末原料供給装置８からカップＣへ粉末原料を供給しているときの飛沫粉や飲料攪拌装置９の攪拌羽根をカップＣへ投入して回転、攪拌しているときの飲料飛沫などを受け止めて筐体２内部の汚れを防ぐパウダートレイ１１などが備えられている。

【0028】

なお、廃棄カップを所定数収容可能な容量を有する廃棄カップ容器（開放空間）は、パウダートレイや後述する滓入れ容器と兼用するようにしてもよく、またはシュータを介して廃棄カップ容器に廃棄する、さらには、未使用のカップのため、庫内に留めるようにしてもよい。

【0029】

さらに、筐体２の内部には、飲料の調理に使用する温水を貯留している温水タンク、飲料原料のコーヒー豆を収容しているコーヒー豆キャニスタ、コーヒー豆キャニスタから供給されたコーヒー豆をミルで挽いた挽き豆に温水タンクから供給される温水でコーヒー液を抽出するコーヒー液抽出機、アイス飲料を販売するときに使用する氷を製造して貯蔵しているオーガ式製氷機などが備えられている。

【0030】

また、前扉３には、販売扉１６を開いて調理されたカップ飲料を取り出す販売口１５、利用者が投入した硬貨を処理する金銭処理機１７などが備えられている。

【0031】

次に、図２、図３を参照しながら、カップシュータ５（カップ供給装置４）直下のカップ受取位置でカップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って保持するカップ保持部６と、カップ保持部６を搬送するカップ搬送装置７について説明する。図２は、カップシュータ５直下のカップ受取位置にカップ保持部６が配置（搬送）された状態を示す鳥瞰図、図３は、カップ保持部６を搬送するカップ搬送装置７を示す鳥瞰図である。

【0032】

図に示すように、カップ搬送装置７は、カップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って保持しているカップ保持部６を搬送して順次移動させるためのカップ搬送モータ７ａを有し、制御手段９０によりカップ搬送モータ７ａが駆動されると、カップ保持部６は図３に示す矢印方向に搬送されて移動する。カップ保持部６は、カップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って載置するためのカップ載置台６ａと、受け取ったカップＣの側壁を把持するためのカップ把持部６ｂとを備えている。また、パウダートレイ１１は、粉末原料供給装置８からカップＣへ粉末原料を供給しているときの飛沫粉や飲料攪拌装置９の攪拌羽根をカップＣへ投入して回転、攪拌しているときの飲料飛沫などを受け止めて筐体２内部の汚れを防ぐための粉末原料飛沫粉や飲料飛沫の受け容器である。さらに、コーヒー液抽出機から排出された抽出滓などが投入される滓入れ容器１２が設けられている。

【0033】

図４は、カップ式飲料自動販売機１の制御ブロック図を示し、カップ式飲料自動販売機１での飲料の調理などを制御する制御手段９０は、中央処理装置としてのＣＰＵ９１、ＣＰＵ９１の制御プログラムを格納するＲＯＭ（リード・オンリー・メモリ）９２、ＣＰＵ９１の制御に必要な各種のプログラムやデータを随時記憶するＲＡＭ（ランダム・アクセス・メモリ）９３、基準クロック発生部（図示せず）で発生するクロックをカウントして各種時刻（例えば、カップ供給装置４（カップ払い出しモータ４ａ）にカップ供給信号を出力してからカップ検知センサ９７が出力したカップ検知信号を制御手段９０が受信するまでの時間）を計時するタイマー９４、カップ式飲料自動販売機１に備えられている各機器に通電する電力回路を有する通電部９５から構成されている。

【0034】

また、制御手段９０には、カップ式飲料自動販売機１の各種設定データを入力するキーボード９６、カップ供給装置４からカップ保持部６にカップＣが供給されたことを検知してカップ検知信号を制御手段９０に出力するカップ検知センサ９７、カップ式飲料自動販売機１の利用者により飲料選択ボタン（図示せず）が押されることで出力されるカップ供給信号によりカップ払い出しコマ（図示せず）を左右方向に回転させてカップＣを払い出すカップ払い出しモータ４ａ、カップ搬送装置７に備えられ、カップ供給装置４から供給されたカップＣを受け取って保持しているカップ保持部６を搬送して順次移動させるためのカップ搬送モータ７ａなどが接続されている。

【0035】

図５は、カップ供給装置４からカップ保持部６に供給されたカップＣを検知してカップ検知信号を制御手段９０に出力する一対のカップ検知センサ９７の配設位置を示す図である。図に示しているように、カップ検知センサ９７は発光部９７ａと受光部９７ｂとから構成される光電検知センサであり、カップ供給装置４から供給されてカップシュータ５から落下したカップＣで発光部９７ａからの放出光が遮られると、カップＣがカップ保持部６に供給されたことを制御手段９０が知ることができる。

【0036】

そして、カップ保持部６にカップＣが供給されたことを検知するカップ検知センサ９７の発光部９７ａから受光部９７ｂに放出される放出光の光軸位置は、カップ保持部６に供給されてカップ載置台６ａに載置されているカップＣを検知可能な位置、さらに、カップ保持部６をカップ搬送装置７でカップ供給装置４（カップシュータ５）直下のカップ受取位置からカップ供給装置４から落下するカップＣの軌跡から外れた位置（例えば、粉末原料受取位置）に搬送して移動させたときにカップ供給装置４から供給されてカップシュータ５から廃棄カップ容器１０に落下したカップＣを検知可能な位置に配設されている。例えば、発光部９７ａは筐体２の左側壁内面に取り付けられ、受光部９７ｂは筐体２の右側壁内面に取り付けられ、カップ保持部６に供給されてカップ載置台６ａに載置されているカップＣがカップ搬送装置７で搬送されて順次移動する各位置におけるカップＣ、および、カップ供給装置４から供給されてカップシュータ５から廃棄カップ容器１０に落下したカップＣを検知可能な位置に配設されている。

【0037】

係る構成で、制御手段９０によるカップ式飲料自動販売機１のカップ供給制御を図６のカップ供給装置４、カップシュータ５、カップ保持部６、粉末原料供給装置８、飲料攪拌装置９、販売口１５（販売扉１６）を示す鳥瞰図、および、図７のタイミングチャート図を用いて説明する。

【0038】

カップ式飲料自動販売機１の利用者により飲料選択ボタンが押され、制御手段９０がカップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給信号を出力)すると、カップ払い出しモータ４ａが駆動されてカップ払い出しコマ（図示せず）が左右方向に回転することでカップ供給装置４からカップＣが供給される。制御手段９０からカップ払い出しモータ４ａに通電してカップ払い出しコマが左右方向に回転してカップ供給装置４から供給されたカップＣはカップシュータ５内を案内されてカップ保持部６に落下するとカップ検知センサ９７がカップＣを検知してカップ検知信号を制御手段９０に出力する。

【0039】

制御手段９０は、カップ供給装置４にカップ供給信号を出力してから所定時間（Ｔ１）以内にカップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信すると、カップ供給装置４から供給されてカップシュータ５内を落下したカップＣがカップ保持部６に確実に保持されたとして、カップ搬送装置７に備えられているカップ搬送モータ７ａに通電してカップＣを保持しているカップ保持部６を、粉末原料供給装置８、飲料攪拌装置９の各配設位置に搬送して順次移動させてカップ内で飲料を調理し、販売口１５まで搬送する。飲料入りカップが販売口１５まで搬送され、利用者が販売口１５の販売扉１６を開いて調理された飲料入りカップＣを取り出し、カップ検知センサ９７から出力されているカップ検知信号が停止すると、カップ保持部６はカップ搬送装置７によって待機位置（カップ受取位置）に搬送されて停止し、カップ式飲料自動販売機１は販売待機状態になる。

【0040】

しかしながら、カップシュータ５に帯電している静電気の影響で、制御手段９０からカップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給信号を出力)してカップ払い出しコマが左右方向に回転してカップ供給装置４に収容されているカップ積層体から分離されたカップＣがカップシュータ５内に留まって宙吊り状態となり、カップシュータ５からカップ保持部６へと落下しないことがある。そして、カップシュータ５からカップ保持部６へカップＣが落下しないと、カップ保持部６にカップＣが供給されたことを検知してカップ検知信号を出力するカップ検知センサ９７はカップ検知信号を制御手段９０に出力しないため、制御手段９０は所定時間（Ｔ１）経過するまでにカップ検知信号を受信することができないこととなる。

【0041】

上述した課題を解決するため、図８のタイミングチャート図を参照しながら、本発明に係るカップ式飲料自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。

【0042】

カップ式飲料自動販売機１の利用者により飲料選択ボタンが押され、制御手段９０がカップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給装置４にカップ供給信号を出力)すると、カップ払い出しモータ４ａが駆動されてカップ払い出しコマ（図示せず）が左右方向に回転することでカップ供給装置４からカップＣが供給される。制御手段９０からカップ払い出しモータ４ａに通電してカップ払い出しコマが左右方向に回転してカップ供給装置４に収容されているカップ積層体から分離されたカップＣが、カップシュータ５に帯電している静電気の影響で、カップシュータ５内に留まって宙吊り状態となり、カップシュータ５からカップ保持部６へと落下しないと、カップ検知信号を出力するカップ検知センサ９７はカップ検知信号を制御手段９０に出力しないため、制御手段９０は所定時間（Ｔ１）経過するまでにカップ検知信号を受信することができないこととなる。

【0043】

制御手段９０は、カップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給装置４にカップ供給信号を出力)してから所定時間（Ｔ１、例えば、２秒間）経過するまでにカップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信しない場合、カップ搬送装置７でカップ保持部６をカップ供給装置４（カップシュータ５）直下のカップ受取位置からカップ供給装置４から落下するカップＣの軌跡から外れた位置（例えば、粉末原料受取位置）に搬送して移動させた後、カップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信するまでカップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給装置４にカップ供給信号を出力)する。

【0044】

そして、制御手段９０がカップ供給装置４にカップ供給信号を再度出力し、カップ供給装置４のカップ収容部に収容されているカップ積層体から再度カップＣを落下させ、静電気の影響でカップシュータ５内に留まって宙吊り状態となっているカップＣ上に落下させたカップＣの衝撃および２個（複数）のカップＣの自重により、２個（複数）のカップＣをカップシュータ５から廃棄カップ容器１０に同時に落下させることで、制御手段９０がカップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信すると、制御手段９０はカップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａへの通電(カップ供給装置４にカップ供給信号を出力)を停止し、カップ保持部６をカップ搬送装置７でカップ供給装置４（カップシュータ５）直下のカップ受取位置へ移動させた後、カップ供給装置４のカップ払い出しモータ４ａに通電(カップ供給装置４にカップ供給信号を出力)してカップ保持部６にカップＣを供給する。カップ供給装置４から供給されたカップＣはカップシュータ５内を案内されてカップ保持部６に落下するとカップ検知センサ９７がカップＣを検知してカップ検知信号を制御手段９０に出力する。

【0045】

制御手段９０は、カップ供給装置４にカップ供給信号を出力してから所定時間（Ｔ１）以内にカップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信すると、カップ供給装置４から供給されてカップシュータ５内を落下したカップＣがカップ保持部６に確実に保持されたとして、カップ搬送装置７に備えられているカップ搬送モータ７ａに通電してカップＣを保持しているカップ保持部６を、粉末原料供給装置８、飲料攪拌装置９の各配設位置に搬送して順次移動させてカップ内で飲料を調理し、販売口１５まで搬送する。飲料入りカップが販売口１５まで搬送され、利用者が販売口１５の販売扉１６を開いて調理された飲料入りカップＣを取り出すと、カップ検知センサ９７から出力されているカップ検知信号が停止することで、カップ保持部６はカップ搬送装置７によって待機位置（カップ受取位置）に搬送されて停止し、カップ式飲料自動販売機１は販売待機状態になる。

【0046】

以上説明したように本発明によれば、複数の同一形状のカップＣを縦方向に積層して収容し、最下部のカップＣから順次カップシュータ５に落下させて供給するカップ供給装置４と、前記カップシュータ５直下のカップ受取位置に待機し、当該カップ供給装置４からカップシュータ５を介して供給されたカップＣを受け取って保持するカップ保持部６と、前記カップ保持部６を搬送するカップ搬送装置７と、前記カップ供給装置４からカップシュータ５を介して供給されたカップＣを受け取って保持するカップ保持部６をカップ搬送装置７で順次移動させて調理した飲料を販売する制御手段９０と、を備えたカップ式飲料自動販売機１において、前記カップシュータ５直下のカップ受取位置の下方位置に前記カップ受取位置を通って落下するカップＣを所定数収容可能とする開放空間（廃棄カップ容器１０）を設け、前記制御手段９０からのカップ供給信号により前記カップ供給装置４からカップシュータ５を介して供給されて当該カップシュータ５直下におけるカップ受取位置に待機したカップ保持部６に保持されたカップＣ若しくは当該カップシュータ５直下におけるカップ受取位置を通って前記開放空間（廃棄カップ容器１０）に落下するカップＣを検知して前記制御手段９０にカップ検知信号を出力するカップ検知センサ９７を設け、制御手段９０は、カップ供給装置４にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでにカップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信しない場合、前記カップ搬送装置７で前記カップ保持部６を前記カップシュータ５直下のカップ受取位置から当該カップシュータ５直下を落下するカップＣの軌跡から外れた位置に搬送して移動させた後、前記カップ供給装置４にカップ供給信号を出力してカップ供給装置４からカップＣをカップシュータ５に供給することによって当該カップシュータ５に留まったカップＣの落下を促したうえで前記カップ検知センサ９７からのカップ検知信号を監視し、前記カップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信すると前記カップ供給信号の出力を停止するとともに前記カップ搬送装置７で前記カップ保持部６を前記カップシュータ５直下のカップ受取位置へ搬送して移動させた後、前記カップ供給装置４にカップ供給信号を出力し、前記カップ供給装置４にカップ供給信号を出力してから所定時間経過するまでに前記カップ検知センサ９７からカップ検知信号を受信すると前記カップ搬送装置７で前記カップ保持部６を搬送して順次移動させて調理した飲料を販売することにより、カップ供給装置４に収容されているカップ積層体から分離されて落下途中でカップシュータ５内に宙吊り状態となっているカップＣの廃棄動作を容易に行え、販売停止を回避することができるカップ式飲料自動販売機１を提供することが可能となる。

【符号の説明】

【0050】

１ カップ式飲料自動販売機
４ カップ供給装置
５ カップシュータ
６ カップ保持部
６ａ カップ載置台
６ｂ カップ把持部
７ カップ搬送装置
８ 粉末原料供給装置
９ 飲料攪拌装置
１０ 廃棄カップ容器（開放空間）
１１ パウダートレイ
１５ 販売口
９０ 制御手段
９７ カップ検知センサ
Ｃ カップ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】