(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向に所定の間隔で並ぶ巻芯拘束用の多数の係合体を有する巻軸を複数本備え、帯状シートをスリッターにより複数条に分割しながら該分割シートを前記巻軸へ振分けて供給し、該分割シートを前記巻軸に支持された個々の巻芯のまわりに巻取るシート分割巻取装置における前記スリッターと前記巻軸とのシート幅方向の最適ずれ量を算出する装置であって、前記巻軸をシート幅方向に所定範囲内で一定距離ずつ間欠的に移動させると仮定して、前記巻軸の停止毎に該巻軸の累積移動量を算出する移動量算出手段と、前記巻軸の停止毎に、該巻軸上の係合体に設定した巻芯端回避区域の現在の配置と、入力された前記スリッターによる帯状シートの所要分割幅又は所要分割位置に基づく前記巻芯の配置とを比べて前記多数の係合体の中から前記巻芯端回避区域内に巻芯の端が位置している係合体を休止係合体として検出する検出手段と、前記巻軸の停止毎に、前記検出した休止係合体の総数を算出し、該休止係合体の総数と前記巻軸の累積移動量とを関係付けて記憶し、前記巻軸の移動終了後に、前記巻軸の停止毎の休止係合体の総数が最小となるときの巻軸の累積移動量を最適ずれ量として出力する抽出手段とを備えることを特徴とする最適ずれ量算出装置。
前記検出手段は、前記巻軸の停止毎に前記休止係合体を見つけ出すと共に前記休止係合体となる係合体を特定する情報を出力し、前記抽出手段は、前記巻軸の停止毎に前記休止係合体となる係合体を特定する情報を記憶し、巻軸の移動終了後に、前記最適ずれ量と共に前記休止係合体となる係合体を特定する情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の最適ずれ量算出装置。
請求項1記載の最適ずれ量算出装置において、前記検出手段は、前記複数の巻軸を一緒に移動させると仮定して前記各巻軸について夫々前記多数の係合体の中から前記巻芯端回避区域内に巻芯の端が位置している係合体を休止係合体として見つけ出すこととし、前記抽出手段の代わりに、前記巻軸の停止毎に前記各巻軸について前記休止係合体の総数を合計して該合計値を記憶すると共に前記巻軸の累積移動量を関係付けて記憶し、前記巻軸の移動終了後に前記合計値が最小となるときの前記累積移動量を前記最適ずれ量として出力する抽出手段を備えることを特徴とする最適ずれ量算出装置。
前記巻芯端回避区域は、前記巻芯の一端に対して設定された第1の巻芯端回避区域と、前記巻芯の他の一端に対して設定された第2の巻芯端回避区域とからなり、前記巻芯の一端が第1の巻芯端回避区域内に位置するとき又は前記巻芯の他の一端が第2の巻芯端回避区域内に位置するとき、前記巻芯端回避区域に巻芯の端が位置することとする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の最適ずれ量算出装置。
前記巻芯の配置は、シート幅方向に直交する共通の基準線から各巻芯の一端までの距離と他の一端までの距離とによって把握することとし、前記係合体に対応する巻芯端回避区域の配置は、前記共通の基準線から各係合体に対応する巻芯端回避区域の開始位置までの距離と終了位置までの距離とによって把握することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の最適ずれ量算出装置。
前記検出手段は、設定部から入力された帯状シートの所要分割幅又は所要分割位置を含む各巻芯の配置に関する情報を記憶する第1の記憶部と、前記係合体と前記巻芯との不適正な係合を避けるために前記係合体毎に設定した巻芯端回避区域に関する情報、並びに前記係合体の相互間隔を含む前記係合体の配置に関する情報を記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部からの情報に基づき、前記スリッターから巻軸へ供給される分割シート毎の巻芯の配置を算出する第1の算出手段と、前記累積移動量及び前記第2の記憶部に記憶している係合体の配置に関する情報に基づき、前記巻軸上の各係合体に対応する巻芯端回避区域の現在の配置を算出する第2の算出手段と、前記巻軸の停止毎に、前記第2の算出手段で算出した係合体毎の巻芯端回避区域の現在の配置と、前記第1の算出手段で算出した分割シート毎の巻芯の配置とを比較して、前記係合体毎に、当該係合体に対応する前記巻芯端回避区域内に前記巻芯の端が位置するか否かを判定し、前記巻芯端回避区域内に巻芯の端が位置すると判定された場合は当該係合体を休止係合体とする判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の最適ずれ量算出装置。
前記係合体の相互間隔を含む前記係合体の配置に関する情報を前記第2の記憶部に入力して記憶させるための設定部と、前記係合体毎に設定した巻芯端回避区域に関する情報を前記第2の算出手段に入力して記憶させるための設定部とを備えることを特徴とする請求項6に記載の最適ずれ量算出装置。
請求項1若しくは請求項2又は請求項3に記載の最適ずれ量算出装置において、前記移動量算出手段は、前記巻軸の代わりに前記スリッターをシート幅方向に所定範囲内で一定距離ずつ間欠的に移動させると仮定して、前記巻軸の累積移動量を算出する代わりに前記スリッターの累積移動量を算出することとし、前記検出手段は、前記巻軸の停止毎に、該巻軸上の係合体に設定した巻芯端回避区域の現在の配置と、入力された前記スリッターによる帯状シートの所要分割幅又は所要分割位置に基づく前記巻芯の配置とを比べる代わりに、前記スリッターの停止毎に、前記巻軸上の係合体に設定した巻芯端回避区域の配置と、前記入力されたスリッターによる帯状シートの所要分割幅又は所要分割位置、並びに前記移動量算出手段からの累積移動量に基づく巻芯の現在の配置とを比べることとし、前記抽出手段は、前記巻軸の停止毎に、前記休止係合体の総数と又は前記巻軸毎の前記休止係合体の総数の合計値と、前記巻軸の累積移動量とを関係付けて記憶する代わりに、前記スリッターの停止毎に、前記休止係合体の総数と又は前記巻軸毎の前記休止係合体の総数の合計値と、前記スリッターの累積移動量とを関係付けて記憶し、更に、前記巻軸の移動終了後に前記巻軸の停止毎の休止係合体の総数又は前記合計値が最小となるときの巻軸の累積移動量を最適ずれ量とする代わりに、前記スリッターの移動終了後に、前記スリッターの停止毎の休止係合体の総数又は前記合計値が最小となるときのスリッターの累積移動量を最適ずれ量とすることとした最適ずれ量算出装置。
長手方向に所定の間隔で並ぶ多数の係合体を有する巻軸を複数本備え、帯状シートをスリッターにより複数条に分割しながら該分割シートを前記巻軸へ振分けて供給し、該分割シートを前記巻軸に支持された個々の巻芯のまわりに巻取るシート分割巻取装置において巻取幅を変更する方法であって、請求項1に記載の最適ずれ量算出装置を用いて巻取幅変更後の前記スリッターと前記巻軸毎の最適移動量を算出する工程と、前記スリッターが有する刃物を、前記入力される所要分割幅に基づく分割位置、又は前記入力される所要分割位置に対応する分割位置に配置する工程と、前記スリッターと前記巻軸とのずれ量が、前記算出した最適ずれ量になるように前記巻軸の位置を夫々変更する工程を含むことを特徴とする巻取幅変更方法。
請求項9に記載の巻取幅変更方法において、請求項1に記載の最適ずれ量算出装置を用いる代わりに、請求項2に記載の最適ずれ量算出装置を用いて、巻取幅変更後の前記スリッターと前記巻軸の最適移動量を算出すると共に、前記休止係合体となる係合体を特定する情報を出力することとし、前記休止係合体の総和が零でなかった場合、前記出力した休止係合体となる係合体を特定する情報に基づき、前記休止係合体となる係合体について該係合体が巻芯を拘束するための係合をすることができないようにする工程を加えたこと特徴とする巻取幅変更方法。
請求項9に記載の巻取幅変更方法において、請求項1記載の最適ずれ量算出装置を用いる代わりに、請求項3に記載の最適ずれ量算出装置を用いて、前記複数の巻軸を同時に移動する場合の巻取幅変更後のスリッターと巻軸の最適移動量を算出し、前記スリッターと前記巻軸とのずれ量が、前記算出した最適ずれ量になるように、前記巻軸の位置を個々に変更する代わりに、前記複数の巻軸を一緒に移動させて位置を変更するか、又は前記スリッターを移動させて位置を変更することを特徴とする巻取幅変更方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1において、シート分割巻取装置は、帯状シートS0をスリッター1により所要幅の複数条のシートSに分割しながら、その分割シートSを2本の巻軸2へ振分けて供給し、その分割シートSを巻軸2により貫通支持した個々の巻芯Cのまわりに巻取る。
【0029】
帯状シートS0は原反ロールR0から巻戻され、図示しない搬送用ローラによってスリッター1に供給される。原反ロールR0は原反支持台3に装着されており、原反支持台3は駆動装置4の駆動力によりシート幅方向に移動することができ、帯状シートS0のシート幅方向の中心がスリッター1のシート幅方向の略中心に位置するように原反ロールR0を支持することができるようになっている。
【0030】
スリッター1は、シート幅方向に平行に伸長した案内面5aを有する支持梁5と、帯状シートS0を切断する複数の刃物6と、刃物6を個々に保持すると共にシート幅方向に位置付け可能に案内支持梁5の案内面5aに装着した刃物毎のホルダー7とからなる。案内支持梁5の両端部は一対の機枠8に固定してある。
【0031】
巻軸2は、中心駆動軸10と、中心駆動軸10に長手方向に所定の間隔でかつ同心に個々に回転可能に装着した多数の巻取カラー11と、中心駆動軸10から巻取カラー11に回転力を伝達する公知の回転力伝達手段とからなる。回転力伝達手段は、中心駆動軸10が保持する摩擦部材12と巻取カラー11の内周面との摩擦力に応じた回転力を巻取カラー11に、中心駆動軸10に対する巻取カラー11の回転を許しつつ伝達することができる。各巻取カラー11は夫々その巻取カラー11に外挿した巻芯Cを空回りしないように拘束するための係合体9を有しているので、巻軸2はその長手方向に所定の間隔で並ぶ多数の巻芯拘束用の係合体9を有している。
【0032】
各巻軸2は、中心駆動軸10の一端に筒状の軸受部13を設け、この軸受部13を、片方の機枠8に設けた保持筒14に嵌め、中心駆動軸10の他の一端を、もう片方の機枠8に設けたセンタ装置15の回転センタ16に係合させることにより、
図1に示すように巻取位置で両端支持され、この状態で巻軸2の中心駆動軸10の一端には図示しない巻取駆動機構から回転駆動力が伝動装置を介して伝達されるようになっている。更に、各巻軸2は、軸受部13に連結した図示しない公知の抜取り復帰機構により、軸受部13側へ巻取位置からシート幅方向に抜取ることができ、しかも回転センタ16の進出量を変えることにより、巻取位置に復帰した状態で機枠8に対して個々にシート幅方向に位置をずらせて支持することができる。センタ装置15は、回転センタ16を保持した可動筒体17を、機枠8に固設した案内筒18の中空部にスライド可能に嵌め、案内筒18の後端部を貫通したネジ棒19を可動筒体17に螺合させ、ネジ棒19の後端にハンドル20を設けたものである。このセンタ装置15において回転センタ16の進出量を調節するには、ハンドル20を操作してネジ棒19を回転させればよい。したがって、各巻軸2は、ハンドル20を操作すして軸線方向に位置を変えることで、スリッター1に対して個々にシート幅方向のずれ量を調節することができるようになっている。なお、この例では、上下の巻軸2は巻取時にはシート幅方向において同じ位置に支持され、各巻取カラー11は夫々同じ構造並びに同じ大きさ及び同じ機能を有しており、中心駆動軸10上に同じ相互間隔で並んでおり、巻芯Cの幅は分割シートSの幅と等しいこととする。
【0033】
図2において、スリッター1による帯状シートS0の各分割位置とスリッター1から巻軸2に供給される分割シート毎の巻芯Cの配置とについて説明する。線Lsは、スリッター1による帯状シートS0の分割位置の配置を示す座標軸、線Luは、
図1の上側の巻軸2によって支持する巻芯Cの配置を示す座標軸、線Lvは、
図1の下側の巻軸2によって支持する巻芯Cの配置を示す座標軸である。
【0034】
スリッター1において使用する刃物6の数を(m+1)個とすると、スリッター1から送り出される分割シート数はm条となる。帯状シートS0の幅をW0、各分割シートの所要幅をW1、W2、・・・、Wir2、Wir1、Wi、Wia1、・・・、Wmとし、各分割シートの所要幅を合計した幅をWaとすると、シート幅方向に直交する共通の基準線L0に最も近い分割位置Ps1と最も遠い分割位置Psma1との間隔がWaとなる。左から1番目と(m+1)番目の刃物6によって化粧裁ちされる両側の耳Stの幅を等しくするために、分割位置Ps1とPsma1との中間点が、スリッター1のシート幅方向の中心を通る中心線Lc上に位置するように分割位置を決めることとし、基準線L0から中心線Lcまでの距離をLscとすると、左から1番目の分割位置Ps1までの距離L1は(Lsc−Wa/2)となる。
【0035】
左からi番目の刃物6による切断位置つまり分割位置をPsi、左からi番目の分割シートをSi、この分割シートSiの幅をWiとし、左から奇数番目の分割シートS1、・・・は上側の巻軸2に、左から偶数番目の分割シートS2、・・・は下側の巻軸2に振分けることとすると、分割シート数mが奇数のとき、上側の巻軸2に支持される巻芯の個数rは{(m+1)/2}となり、下側の巻軸2に支持される巻芯Cの個数rは{(m−1)/2}となる。また分割シート数mが偶数のときは、上側の巻芯の個数r並びに下側の巻芯の個数rは夫々(m/2)となる。
【0036】
分割シートSiを上側の巻軸2に支持された左からp番目の巻芯Cpに巻取り、左から(i+1)番目の分割シートSia1を、下側の巻軸2に支持され左からp番目の巻芯Cpに巻取ることとすると、iが奇数のとき、上側の巻軸2ではp=(i+1)/2、下側の巻軸ではp=(i−1)/2となり、またiが偶数のとき上側及び下側の巻軸2では夫々p=i/2となる。
図2では分割シートSiは上側の巻軸2に供給されているのでiは奇数である。そして上側の巻軸2上の左からp番目の巻芯Cpの一端は、左からi番目の分割位置Psiに、上側の巻軸2上の巻芯Cpの他の一端は、左から(i+1)番目の分割位置Psia1に対応し、下側の巻軸2上の左から(p−1)番目の巻芯Cpr1の他の一端が分割位置Psiに対応し、下側の巻軸2上の巻芯Cpの一端は、左から(i+1)番目つまり偶数番目の分割位置Psia1に対応し、下側の巻軸2上の巻芯Cpの他の一端は、左から(i+2)番目の分割位置Psia2に対応することになる。
【0037】
ここで、上側の巻軸2上の、左からp番目の巻芯Cpの配置は、左から巻芯Cpの一端までの距離Lu1pと他の一端までの距離Lu2pとによって把握し、また下側の巻軸2上の左からp番目の巻芯Cpの配置は、左から巻芯Cpの一端までの距離Lv1pと他の一端までの距離Lv2pとによって把握する。
【0038】
図3は、係合体9と巻芯Cとの不適正な係合を避けるために係合体9毎に設定される巻芯端回避区域の説明図である。
図3において線Laは、
図2に示す上側の巻軸2について係合体、巻芯及び巻芯端回避区域の配置を示す座標軸である。巻芯端回避区域は、
図3(A)に示すように、巻芯Cの一端に対して設定された第1の巻芯端回避区域Ar1と、
図3(B)に示すように、巻芯Cの他の一端に対して設定された第2の巻芯端回避区域Ar2とからなり、巻芯Cの一端が第1の巻芯端回避区域Ar1内に位置するとき、又は巻芯Cの他の一端が第2の巻芯端回避区域Ar2内に位置するとき、巻芯端回避区域に巻芯Cの端が位置することとする。この巻芯端回避区域Ar1、Ar2の位置や広さは係合体9の形状や巻芯Cの機械的強度等に応じて変わり得る。
【0039】
図1に示す巻軸2では、係合体9が球体であるので、巻芯Cにシート幅方向の移動力が生じないようにするには、
図3(A)に示す理論的な巻芯端回避区域Ar0内に巻芯Cの一端が位置しなければよいが、巻芯Cの長さや位置等の誤差を考慮して、Ar0より範囲が広くなるようにAr1、Ar2を設定している。ここで、巻軸2には巻取カラー11がn個あり、各巻取カラー11には係合体9に対する第1の巻芯端回避区域Ar1及び第2の巻芯端回避区域Ar2が1箇所ずつあり、左からj番目にある係合体9の配置は、基準線L0(
図2に示す基準線L0と同じもの)から係合体9の中心までの距離Lbjにより把握し、この係合体9に対応する第1の巻芯端回避区域Ar1の配置は、基準線L0から第1の巻芯端回避区域の開始位置Pa1jまでの距離La1jと、終了位置Pa2jまでの距離La2jとによって把握し、第2の巻芯端回避区域Ar2の配置は、基準線L0から各係合体9に対応する第2の巻芯端回避区域の開始位置Pa3jまでの距離La3jと、終了位置Pa4jまでの距離La4jとによって把握することとする。
【0040】
図4は、本発明による最適ずれ量算出装置の第1実施例について、その構成を示すブロック図であり、
図5は同じく動作を示すフローチャートである。この最適ずれ量算出装置は、
図1に示すシート分割巻取装置でのスリッター1と巻軸2とのシート幅方向の最適ずれ量を算出するものであり、コンピュータを用いて構成したものである。そして巻軸2をシート幅方向に所定範囲内で一定距離ΔLずつ間欠的に移動させると仮定して、巻軸2の停止毎に該巻軸2の累積移動量Lkを算出する移動量算出手段21と、巻軸2の停止毎に、該巻軸2上の係合体9に設定した巻芯端回避区域Ar1、Ar2の現在の配置と、入力されたスリッター1による帯状シートSの所要分割幅又は所要分割位置に基づく巻芯Cの配置とを比べて、多数の係合体9の中から当該係合体9に設定した巻芯端回避区域内Ar1、Ar2に巻芯Cの端が位置している係合体9を休止係合体として検出する検出手段22と、巻軸2の停止毎に、検出手段22で検出した休止係合体の総数Nkを算出して該休止係合体の総数Nkと巻軸2の累積移動量Lkとを関係付けて記憶し、巻軸2の移動終了後に、巻軸2の停止毎の休止係合体の総数Nkが最小となるときの巻軸2の累積移動量Lkを最適ずれ量Dとして出力する抽出手段23とを備えている。
【0041】
移動量算出手段21は、巻軸2の累積移動量Lkを記憶する記憶部Lを備えており、巻軸2が初期位置から一定距離ΔLずつk回移動したとすると、その移動が停止する度に、kとΔLとの積を求めて記憶部Lに記憶することで、巻軸2の累積移動量を算出する。
【0042】
検出手段22は、設定部24から入力された帯状シートの所要分割幅を含む各巻芯Cの配置に関する情報を記憶する第1の記憶部25と、第1の記憶部25からの情報に基づき、スリッター1から巻軸2へ供給される分割シート毎の巻芯Cの配置を算出する第1の算出手段26と、係合体9と巻芯Cとの不適正な係合を避けるために係合体9毎に設定した巻芯端回避区域Ar1、Ar2に関する情報、並びに係合体9の相互間隔bを含む係合体9の配置に関する情報を記憶する第2の記憶部27と、移動量算出手段21で算出した巻軸2の累積移動量Lk、及び第2の記憶部27に記憶している係合体9の配置に関する情報に基づき、巻軸2上の各係合体9に対応する巻芯端回避区域Ar1、Ar2の現在の配置を算出する第2の算出手段28と、巻軸2の停止毎に、第2の算出手段28で算出した係合体9毎の巻芯端回避区域Ar1、Ar2の現在の配置と、第1の算出手段26で算出した分割シート毎の巻芯Cの配置とを比較して、係合体9毎に、当該係合体9に対応する巻芯端回避区域Ar1、Ar2内に巻芯Cの端が位置するか否かを判定し、巻芯端回避区域Ar1、Ar2内に巻芯Cの端が位置すると判定された場合は当該係合体9を休止係合体とする判定手段29とを備えている。
【0043】
この第1実施例では、検出手段22は、巻軸2上の係合体9の配置や係合体9の大きさや形状等が変更されても、それに応じて最適ずれ量を簡単に算出することができるようにするために、係合体9の中心から巻芯端回避区域の開始位置までの距離a1(
図3に示す)並びに終了位置ま出の距離a2を第2の記憶部27に入力して記憶させるための設定部31、32と、
図1に示す係合体9の相互間隔bと、巻軸2のシート幅方向の中心と1番目の係合体9との距離Lb0(
図1に示す)を第2の記憶部27に入力して記憶させるための設定部33、34を備えている。また巻軸2の移動ピッチを必要に応じて容易に変更することができるようにするために、巻軸2が移動する毎に進む距離ΔLを第2の記憶部27に入力して記憶させるための設定部35を備えている。そして設定部24、30、32、33、34、35は、GUIを用いた入力画面に夫々テキストボックスやコンボボックス等として表示されるようになっている。設定部35には必要に応じて例えば0.1mm、1mm等の値がΔLとして設定される。
【0044】
第1の記憶部25は、設定部24から入力された分割シートS1からSmまでの各々の所要分割幅W1、・・・、Wmを記憶することができる。そして
図2の基準線L0から中心線Lcまでの距離Lscを予め記憶している。また第2の記憶部27も予めLscを記憶している。なお各分割シートの所要分割幅が分割シート間で互いに同じである場合は、一つの分割シートの所要分割幅のみを代表で入力して記憶させてもよい。また中心線Lcを基準線L0とする場合はLsc=0となる。
【0045】
第1の算出手段26は、上側の巻軸2に関して各巻芯の配置を算出するためのものであり、巻芯の配置を
図2において左から順に算出することができるようにするために、巻芯の配置を記憶する記憶部Lu1とLu2を備えている。そしてLu1並びにLu2が左から(p−1)番目の巻芯Cpr1の配置を記憶しているとき、そのLu1の現在の記憶値に、
図2の左から{2×(p−1)−1}番目の分割位置Psir2と(2×p−1)番目の分割位置Psiとの間隔{つまり左から(i−2)番目の分割シートSir2の幅Wir2と(i−1)番目の分割シートSir1の幅Wir1との和}を加算して再びLu1に記憶すると共に、Lu2の現在の記憶値に、左から{2×(p−1)}番目の分割位置Psir1と(2×p)番目の分割位置Psia1との間隔{つまり左から(i−1)番目の分割シートの幅Wir1とi番目の分割シートSiの幅Wiとの和}を加算してに再びLu2に記憶することで、左からp番目の巻芯Cpの配置Lu1p、Lu2pを算出するように構成してある。
【0046】
図1の下側の巻軸2に関して各巻芯Cの配置を算出するための第1の算出手段(
図4では省略)は、巻芯の配置を記憶する記憶部Lv1とLv2とを備えており、Lv1並びにLv2が、
図2の下側の巻軸2上の左から(p−1)番目の巻芯Cpr1の配置を記憶しているとき、そのLv1の記憶値に、左から{2×(p−1)}番目の分割位置Psir1と(2×p)番目の分割位置Psia1との間隔{つまり左から(i−1)番目の分割シートSir1の幅Wir1とi番目の分割シートSiの幅Wiの和}を加算してLv1に記憶し、またLv2の記憶値に、左から(2×p−1)番目の分割位置Psiと(2×p+1)番目の分割位置Psia2との間隔{つまり左からi番目の分割シートSiの幅Wiと(i+1)番目の分割シートSia1の幅Wia1の和}を加算してLu2に再び記憶することで、左からp番目の巻芯Cpの配置Lv1p、Lv2pを算出するように構成する。この最適ずれ量算出装置では、検出手段22が備える上側の巻軸2についての第1の算出手段26と、下側の巻軸2についての第2の算出手段とは、GUIを利用した画面に設けたオプションボタンにより切替え可能になっている。
【0047】
図1に示すように、スリッター1のシート幅方向の中心と各巻軸2のシート幅方向の中心とが中心線Lc上にあるとき各巻軸2は初期位置にある。このとき、
図3において基準線L0からj番目にある係合体9についての第1の巻芯端回避区域Ar1の配置をLa10j、La20j、第2の巻芯端回避区域Ar2の配置をLa30j、La40jとし、基準線L0からj番目の係合体9までの距離をLbjとすると、La10j=Lbj−a1、La20j=Lbj+a2、La30j=Lbj−a2、La40j=Lbj+a1となる。そして、この状態から巻軸2が長手方向つまりシート幅方向に、かつ基準線L0から遠ざかる方向に一定距離ΔLずつk回移動したとすると、このときの巻軸2の累積移動量Lkは、kとΔLとの積に等しいものとなり、その巻軸2の上の基準線L0からj番目にある係合体9jに対応する第1の巻芯端回避区域Ar1の現在の配置La1j、La2jは、La10j+Lk、La20j+Lkとなり、第2の巻芯端回避区域Ar2の現在の配置La3j、La4jは、La30j+Lk、La40j+Lkとなる。
【0048】
図4において第2の算出手段28は、第1の巻芯端回避区域Ar1の現在の配置を記憶するための記憶部La1、La2と、第2の巻芯端回避区域Ar2の現在配置を記憶するための記憶部La3、La4とを備えている。そして記憶部La1、La2並びにLa3、La4が、
図3において鎖線で示す、左から(j−1)番目の係合体9jr1についての第1の巻芯端回避区域Ar1の現在の配置、第2の巻芯端回避区域Ar2の現在の配置を記憶しているとき、そのLa1、La2並びにLa3、La4の現在の記憶値に夫々係合体9の相互間隔bを加算して再びLa1、La2並びにLa3、La4に記憶することで、左からj番目の係合体9についての第1の巻芯端回避区域の配置La1j、La2j、第1の巻芯端回避区域の配置をLa3j、La4jを算出するように構成してある。
【0049】
判定手段29は、上側の巻軸2のn個の巻取カラー11の係合体9についての第1の巻芯端回避区域Ar1内に巻芯の一端が位置するか否か、又は第2の巻芯端回避区域Ar2に巻芯の他の一端が位置するか否かの判定結果を係合体9毎に記憶する記憶部B1、・・・、Bj、・・・、Bnを備えている。そして、これらの記憶部は、この実施例では係合体9が休止係合体であると判定した場合には、「1」を記憶し、巻軸2が初期位置あるとき又は巻軸2が停止位置を変える度に、夫々初期化され「0」が記憶されようになっている。
【0050】
抽出手段23は、検出手段22による検出結果に基づき休止係合体となった係合体9を計数して休止係合体の総数Nkを算出することができる総和算出手段36を有する。この実施例の場合、総和算出手段36では、判定手段29の記憶部B1・・・Bj・・・Bnに記憶された判定結果「1」を計数することで、巻軸2の累積移動量Lkにおける休止係合体の総数Nkを算出する。また抽出手段23は、巻軸2の停止毎の休止係合体の総数Nkと、巻軸2の停止毎の巻軸2の累積移動量Lkとを関係付けて記憶する記憶部(D,N)を備えている。
【0051】
図4に示す最適ずれ量算出装置において、設定部24に分割シートS1からSmについて各々の所要分割幅を設定すると共に、設定部31、32、33、34、35に夫々の必要な値を設定し、入力画面に設けた計算実行ボタンをクリックして最適ずれ量の算出を開始すると、最適ずれ量算出装置は、まず総和算出手段36の記憶部Nに初期値(例えば係合体9の総数n)を記憶にすると共に、抽出手段23の記憶部(D,N)の記憶をリセットして零にする(
図5の工程S01)。
【0052】
次に、移動量算出手段21に巻軸2が初期位置にあるときの巻軸2の移動量の算出を指示し(
図5の工程S02)、それを受けて移動量算出手段21は巻軸2の累積移動量Lk=0を算出する(
図5の工程S03)。
【0053】
次に、検出手段22は、移動量算出手段21から累積移動量Lkを受けて休止係合体を検出する(
図5の工程S04)。
【0054】
次に、抽出手段23では検出手段22からの検出結果に基づき総和算出手段35が休止係合体の総数Nkを算出し(
図5の工程S05)、その算出した休止係合体の総数Nkと記憶部Nに記憶しているNmとを比較する(
図5の工程S06)。その結果Nm>Nkである場合は、移動量算出手段21の記憶部Lからの累積移動量Lkと休止係合体の総数Nkとを記憶部(D,N)に関係付けて記憶する(
図5の工程S07)。
【0055】
次に、累積移動量Lkと係合体の相互間隔bとを比較し(
図5の工程S08)、その結果、Lk<bであるの場合は、巻軸2がΔLだけ移動して次に停止位置についたときの累積移動量の算出を移動量算出手段21に指示する(
図5の工程S09)。そして
図5における工程S03から工程S08を繰り返す。
【0056】
図5の工程S06においてNmとNkとを比較した結果、Nm>Nkでない場合は、
図5の工程S08に進み、Lkとbとを比較する。またLkとbとを比較した結果、Lk<bでない場合は、抽出手段23の記憶部(D,N)に記憶した累積移動量Daを出力部37に出力する(
図5の工程S010)。これで最適ずれ量の算出が終了する。この実施例では出力部37はGUIを用いた出力画面を備えており、この画面に最適ずれ量Dが表示されるようになっている。
【0057】
図6は、検出手段22の動作を説明するためのフローチャートである。検出手段22では、判定手段29によって第1の巻芯端回避区域Ar1に巻芯Cpの一端があるか否かを判定する工程と、第2の巻芯端回避区域Ar2に巻芯Cpの他の一端があるか否かを判定する工程があるが、
図6には前者の工程のみを示し、後者の工程については前者と同様の考え方に基づいて判定するので説明を省略する。
【0058】
図7は、
図6に示す判定手段の29の動作を説明するための説明図である。
図7において線Laは巻芯の配置を示す座標軸、線Luは第1
巻芯端回避区域の配置を示す座標軸であり、判定手段29は、第1の巻芯端回避区域Ar1に巻芯Cpの一端があるか否かを判定するものとし、次のように動作するように構成してある。
【0059】
即ち、現在、巻軸2がΔLずつk回移動して、巻軸2の累積移動量がLkであり、第1の算出手段26の記憶部Lu1に、左からp番目の巻芯Cpの一端の位置Lu1pを記憶し、第2の算出手段28の記憶部La1、La2に、左からj番目の係合体9jの第1の巻芯端回避区域Ar1jの現在の配置La1j、La2jを記憶しているとすると、このとき
図4の判定手段29は、第1の算出手段26からLu1pを受けると共に、第2の算出手段28から、
図7に示すLa1j、La2jを受けて、Lu1pとLa1jとを比較する(
図6の工程S7)。その結果、Lu1pの方が大きい場合は、更にLu1pとLa2jとを比較する(
図6の工程S8)。
【0060】
Lu1pとLa2jを比較した結果、Lu1pの方が小さい場合、つまり巻芯Cpと第1の巻芯端回避区域Ar1jが
図7に示すような位置関係にある場合、判定手段29は、巻芯Cpの一端が係合体9jの第1の巻芯端回避区域Ar1j内にあると判定し、即ち係合体9jが休止係合体であると判定して記憶部Bjに「1」を記憶し(
図6の工程S9)、巻芯Cpの一端と係合体9jの第1の巻芯端回避区域Ar1jとの比較判定を終了する。その後、検出手段22は、左から(j+1)番目の係合体9ja1の第1の巻芯端回避区域Ar1ja1の現在の配置La1ja1、La2ja1を算出するよう第2の算出手段28に指令し(
図6の工程S10)、更にjがnを超えているか否かを判断し(
図6の工程S11)、j>nでなければ、第2の算出手段28は、次の第1の巻芯端回避区域Ar1ja1の現在の配置を算出する(
図6の工程S3)。
【0061】
Lu1pとLa2jとを比較した結果、Lu1pがLa2jより小さくない場合は、判定手段29は、巻芯Cpの一端と係合体9jの第1の巻芯端回避区域Ar1jとの比較判定を終了する。その後、検出手段22は
図6の工程S10に進む。
【0062】
Lu1pとLa1jとを比較した結果、La1jよりLu1pの方が小さい場合は、判定手段29は、巻芯Cpの一端と係合体9jの第1の巻芯端回避区域Ar1jとの比較判定を終了する。その後、検出手段22は、左から(p+1)番目の巻芯Cpa1の配置を算出するように要求する(
図6の工程S12)。そして検出手段22は、pがrに達してるか否かを判断し(
図6の工程S13)、その結果、p>rでなければ、第1の算出手段26は次の巻芯Cpa1の配置を算出する(
図6の工程S6)。
【0063】
第2の巻芯端回避区域Ar2に巻芯Cpの他の一端があるか否かを判定する判定手段29も、上述の判定手段29と同様に作動するように構成されているので説明は省略する。
【0064】
検出手段22は、検出を開始すると、先ず、第1の算出手段26の記憶部Lu1、第2の算出手段28の記憶部La1、La2、判定手段29の記憶部Biの記憶をリセットして零にすると共に、
図1の左から1番目の係合体9に対応する第1の巻芯端回避区域の配置の初期値La11=Lk+Lsc−Lb0−a1、La12=Lk+Lsc−Lb0+a2を準備し(
図6の工程S1)、左から1番目の第1の巻芯端回避区域を算出するよう第2の算出手段28に指令する(
図6の工程S2)。
【0065】
次に、第2の算出手段28は、
図1の左から1番目の係合体9に対応する第1の巻芯端回避区域の配置の初期値La11、La12を記憶部La1、La2に記憶する(
図6の工程S3)。それによって左から1番目の係合体9に対応する第1の巻芯端回避区域の配置が算出される。
【0066】
次に、
図2の左から1番目の巻芯Cの配置の初期値L1=(Lsc−wa/2)を準備し(
図6の工程S4)、第1の算出手段26に
図2の左から1番目の巻芯C1の一端の配置を算出するよう指令する(
図6の工程S5)。
【0067】
次に第1の算出手段26は初期値L1を、その初期値を記憶部Lu1に記憶する(
図6の工程S6)。それによって左から1番目の巻芯C1の一端の位置Lu11が算出される。
【0068】
次に、判定手段29が、1番目の巻芯C1の一端の位置Lu11と1番目の係合体9の第1の巻芯端回避区域の現在の配置La11、La21とを比較して1番目の係合体9が休止係合体か否かを判定する(
図6の工程S7)。
【0069】
図1に示す上側の巻軸2では、左から1番目の巻芯Cの一端は左から2番目の係合体9より右側にあるので、
図6の工程S7の判定結果はLu11>La11となって、
図6の工程S8に進み、その判定結果はLu11>La21となり、
図6の工程S10、工程S11、工程S3へと進む。そして第2の算出手段28が左から2番目の係合体の第1の巻芯端回避区域の配置を算出し、判定手段29は、その2番目の第1の巻芯端回避区域の配置と1番目の巻芯の一端の配置とを比較する。そして左から2番目の係合体9の第1の巻芯端回避区域についても1番目と同様の判定結果となり、第2の算出手段28は、更に次の係合体9の第1の巻芯端回避区域を算出する。
図7において比較するp番目の巻芯Cpの一端Lu1pより、j番目の係合体9の第1の巻芯端回避区域La1j、La2jが右側に位置するとすると、その場合は、判定手段29はLu1p>La1jでないと判断し、
図6の工程S12、工程S13、工程S6へと進み第1の算出手段26は次の巻芯の一端を算出する。このようにして検出手段22は、係合体9の並ぶ順に左から右へと第1の巻芯端回避区域の現在の配置を算出すると共に、巻芯Cの並ぶ順に左から右へと巻芯Cの配置を算出し、両者を比較して、多数の係合体9の中から巻芯端回避区域内に巻芯Cの端が位置している係合体9を休止係合体として見つけ出す。そして全ての係合体9又は全ての巻芯Cについて比較判定が行われると、検出手段22は、累積移動量Lkにおける休止係合体の検出を終了する。
【0070】
次に本発明に係る巻取幅変更方法の第1実施例について説明する。この巻取幅変更方法は、
図1に示すシート分割巻取装置において巻取幅を変更する場合に実施するもので、先ず、スリッター1による帯状シートSの所要分割幅を、
図4に示す最適ずれ量算出装置の設定部24に入力し、その最適ずれ量算出装置によって巻取幅変更後のスリッター1と巻軸2毎の最適移動量Dを夫々算出する。次に、スリッター2が有する刃物6を、入力される所要分割幅に基づく分割位置に配置する。またスリッター1と巻軸2とのシート幅方向のずれ量が、算出した巻軸2毎の最適ずれ量Dになるように
図1に示す2本の巻軸2の位置を個々に変更する。この巻軸2の変更は、センタ装置15のハンドル20を必要な方向に必要な量だけ回して行う。
【0071】
図8は、本発明による最適ずれ量算出装置の第2実施例について、その構成を示すブロック図であり、この最適ずれ量算出装置は、次の点で
図4に示す第1実施例の最適ずれ量算出装置と相違している。
【0072】
即ち、判定手段29が上側の巻軸2上のr個の各巻芯について、その巻芯の一端に対する判定結果を記憶する記憶部A11、・・・、A1p、・・・、A1r、及びその巻芯の他の一端に対する判定結果を記憶する記憶部A21、・・・、A2p、・・・、A2rを備えており、
図6の工程S7において、係合体9jが休止係合体であると判定して記憶部Bjに「1」を記憶するとき、記憶部A1p(A2p)にも「1」を記憶する。そして検出手段22は、判定手段29の記憶部B1、・・・、Bj、・・・、Bnに記憶している休止係合体の検出結果だけでなく、記憶部A11、・・・、A1p、・・・、A1r、並びに記憶部記憶部A21、・・・、A2p、・・・、A2rに記憶している休止係合体となる係合体9を特定する情報Aakを抽出手段23へ出力する。
【0073】
また、抽出手段23は、休止係合体の総数Nkと巻軸2の累積移動量Lkとを関係付けて記憶するだけでなく、記憶部A11、・・・、A1p、・・・、A1r並びに記憶部A21、・・・、A2p、・・・、A2rに記憶している休止係合体となる係合体9を特定する情報Akも累積移動量Lkに関係付けて記憶し、巻軸2の移動終了後に、最適ずれ量Dを出力部37に出力すると共に、休止係合体となる係合体9を特定する情報Aを出力部38に出力する。
【0074】
図9は上側の巻軸2について最適ずれ量を算出した場合に、出力部38に表示される休止係合体となる係合体9を特定する情報Aの一例を示す。1行目は巻芯の番号を表し、2行目、3行目は、その巻芯の一端又は他の一端が巻芯体回避区域に位置する場合は「1」で表し、そうでない場合は「0」で表している。この場合、
図9において巻芯Crの巻芯の一端のデータが「1」となっているので、
図2に示す上側の巻軸2上の巻芯Crの一端に対応する係合体9が休止係合体となる。
【0075】
次に、本発明の巻取幅変更方法の第2実施例について説明する。この巻取幅変更方法は、
図1に示すシート分割巻取装置において実施し、巻取幅変更後のスリッター1と各巻軸2の最適移動量Da、Dbを、夫々
図8に示す第2実施例の最適ずれ量算出装置によって算出すると共に、休止係合体となる係合体9を特定する情報Aa、Abを出力する点、及び、休止係合体の総数が零でなかった場合、出力した休止係合体となる係合体9を特定する情報Aa、Abに基づき、休止係合体となる係合体9について該係合体9が巻芯Cを拘束するための係合をすることができないようにする工程を加えた点が、前述の巻取幅変更方法の第1実施例と相違する。
【0076】
この場合に使用する巻軸2は、巻芯への回転力伝達機能の停止復活の切替を簡単な操作により行うことができる巻取カラー11を備えるものが望ましい。例えば、
図3(A)に示す係合体9は、巻取カラー11に形成した、底面が円周方向に傾斜している溝に配置すると共に、巻取カラー11に回転可能に装着した保持環39により脱落不能に保持されており、この係合体9が溝の深い部分に後退した状態で、巻取カラー11に設けたネジ穴に止めネジ40を螺着して保持環39を巻取カラー11に対し回転不能にすることで、巻芯Cpへの回転力伝達機能を停止することができるようになっている。
【0077】
図10はシート分割巻取装置の別の一例を示す。このシート分割巻取装置では、上下の巻軸2はシート幅方向に巻取位置を変えることができず、スリッター1はシート幅方向に位置を変更することができる。そのために、このスリッター1では、支持梁5の両端部を一対の機枠8にスライド可能に装着し、支持梁5の右側の端部に、シート幅方向に移動不能かつ回動可能に保持されたネジ棒41を螺合させ、このネジ棒41をブラケット8aで回動可能に軸線方向に移動不能に保持し、ネジ棒41の後端に傘歯車42を取付け、この傘歯車42に噛み合う傘歯車43を、回動可能に設けた伝道軸44の先端に取付けると共に、伝道軸44の後端にインジケータ付きのノブ45を取付け、そのノブ45を回転させることにより、支持梁5上の各ホルダー7に保持した刃物6が支持梁5と一緒にシート幅方向に移動するようにしてある。
【0078】
図11はシート分割巻取装置の更に別の一例を示す。このシート分割巻取装置では、スリッター1を設けた一対の機枠8、8とベース46とを共通の床上に固定し、ベース46上にシート幅方向に平行に設けたレール47に一対の機枠48の基部48aをスライド可能に装着し、ベース46上に固設したブラケット49でネジ棒50を回転可能かつ軸線方向に移動不能に保持し、そのネジ棒50の一端を、一対の機枠47の基部48aの端部に螺合させ、ネジ棒50の他の一端にハンドル51を取付け、そのハンドル51を操作してネジ棒50を回動させることにより、一対の機枠47をシート幅方向に移動可能にしており、2本の巻軸2を一対の機枠48間に取付けている。したがって2本の巻軸2は、一対の機枠48と共にスリッター1に対して同時に同量ずつシート幅方向に移動することができ、シート幅方向に位置を変更することができる。
【0079】
図12は、本発明による最適ずれ量算出装置の第3実施例の構成を示すブロック図であり、検出手段22は、2本の巻軸2を一緒に移動させると仮定して、各巻軸2について、多数の係合体9の中から巻芯端回避区域内に巻芯Cの端が位置している係合体9を休止係合体として検出するものである点、そして検出手段22が巻軸2の停止毎に各巻軸2について検出した休止係合体の総数Nak、Nbkを合計して、その合計値(Nak+Nbk)と、巻軸2の累積移動量Lkを関係付けて記憶し、巻軸2の移動終了後に合計値(Nak+Nbk)が最小となるときの巻軸2の累積移動量Lkを最適ずれ量Dとして出力する抽出手段23を備える点で、
図4に示す第1実施例の最適ずれ量算出装置と相違している。
【0080】
図12において検出手段22は、上側及び下側の各巻軸2について、夫々巻芯の配置を算出する第1の算出手段26A、26Bと、この第1の算出手段26A、26Bが算出した巻芯の配置と、巻芯端回避区域の現在の配置を算出する第2の算出手段28とを比較して、係合体9毎に休止係合体とする判定手段29A、29Bを備える。
【0081】
抽出手段23は、上側及び下側の各巻軸2について、夫々検出手段22による検出結果に基づき、巻軸2の停止毎に休止係合体となった係合体9を計数して休止係合体の総数Nak、Nbkを算出することができる総和算出手段36A、36Bを有する。これらは、
図4に示した最適ずれ量算出装置における第1の算出手段26、第2の算出手段28、判定手段29及び総和算出手段36と同様に構成されている。各巻軸2は夫々同じ構造であり、夫々の係合体9の配置も同じであるため、第2の算出手段28は各巻軸2に対して共通になっている。なお各巻軸2の中心と最初の係合体9との距離Lb0が等しくない場合は、各巻軸2について第2の算出手段28を備えておく。
【0082】
更に抽出手段23は、各巻軸2の停止毎の休止係合体の総数Nak、Nbkを記憶する記憶部Na、Nbと、記憶部Na、Nbに記憶に基づき休止係合体の総数の合計値(Nak+Nbk)を記憶する記憶部Nと、巻軸2の停止毎の巻軸2の累積移動量Lkを記憶する記憶部Dとを備えている。また
図8に示す実施例と同様に、巻軸2の停止毎に休止係合体となる係合体9を特定する情報Aak、Abkを、累積移動量Lk及び休止係合体の総数の合計値(Nak+Nbk)とを関係付けて記憶し、巻軸2の移動終了後に、最適ずれ量Dを出力部37に出力すると共に、2本の巻軸2について休止係合体となる係合体9を特定する情報Aa、Abを出力部38に同時に表示することができるようになっている。
【0083】
次に、本発明の巻取幅変更方法の第3実施例について説明する。この実施例の巻取幅変更方法は、
図10又は
図11に示すシート分割巻取装置において実施し、前述の巻取幅変更方法の第1実施例とは、
図12に示す第3実施例の最適ずれ量算出装置を用いて、2本の複数の巻軸2を同時に移動する場合の巻取幅変更後のスリッター1と巻軸2の最適移動量を算出する点、及びスリッター1と巻軸2とのずれ量が、算出した最適ずれ量Dになるように、スリッター1を、又は2本の巻軸2を同時に移動させる点が相違している。
【0084】
図10に示すシート分割巻取装置で巻取幅を変更する場合には、ノブ45を操作することによりスリッター1の位置を変更する。なお、スリッター1の位置を変更する場合のスリッター1の移動方向は、巻軸2を移動させる場合とは逆方向となる。またスリッター1を移動させる前の刃物2を必要な分割位置に配置する作業は、スリッター1の中心が中心線CL上に位置する状態で行う。また
図11に示すシート分割巻取装置で巻取幅を変更する場合には、ハンドル51を操作することにより、機枠48と共に2本の巻軸2の位置を同時に変更する。
【0085】
上述の本発明による最適ずれ量算出装置の第1実施例から第3実施例では、最適ずれ量を算出するために、巻軸2をシート幅方向に所定範囲内で一定距離ずつ間欠的に移動させると仮定しているが、巻軸2に替えてスリッター1を移動させると仮定しても最適ずれ量を算出することができる。
【0086】
図13は、本発明による最適ずれ量算出装置の第4実施例の構成を示すブロック線図である。この最適ずれ量算出装置は、
図1に示すシート分割巻取装置に適用するものであり、
図8に示す第2実施例とは、
図8に示す移動量算出手段21の代わりに、スリッター1をシート幅方向に所定範囲内で一定距離ずつ間欠的に移動させると仮定して、スリッター1の停止毎に該スリッター1の累積移動量Lkを算出する移動量算出手段21を備える点、
図8に示す検出手段22の代わりに、スリッター1の停止毎に、巻軸2上の係合体9に設定した巻芯端回避区域の配置と、入力されたスリッター1による帯状シートの所要分割幅及び移動量算出手段21からの累積移動量Lkに基づく巻芯Cの現在の配置とを比べて、多数の係合体9の中から巻芯端回避区域内に巻芯Cの端が位置している係合体9を休止係合体として検出すると共に、休止係合体となる係合体を特定する情報を出力する検出手段22を備える点、及び
図8に示す抽出手段23の代わりに、スリッター1の停止毎に、検出手段22が検出した休止係合体の総数Nkを算出して該休止係合体の総数Nkと移動量算出手段21からの累積移動量Lkと検出手段22からの休止係合体となる係合体9を特定する情報Aaとを関係付けて記憶し、スリッター1の移動終了後に、スリッター1の停止毎の休止係合体の総数Nkが最小となるときの累積移動量Lkを最適ずれ量Dとして出力すると共に、休止係合体となる係合体9を特定する情報を出力する抽出手段23とを備える点が相違している。
【0087】
本発明による最適ずれ量算出装置は、
図13に示す検出手段22を、単に多数の係合体9の中から巻芯端回避区域内に巻芯Cの端が位置している係合体9を休止係合体として検出するものに替え、
図13に示す抽出手段23を、単に、検出手段22が検出した休止係合体の総数Nkを算出して該休止係合体の総数Nkと移動量算出手段21からの累積移動量Lkとを関係付けて記憶し、スリッター1の移動終了後に、スリッター1の停止毎の休止係合体の総数Nkが最小となるときの累積移動量Lkを最適ずれ量Daとして出力するものに替えたものでもよい。
【0088】
更に、本発明による最適ずれ量算出装置は、
図11に示す最適ずれ量算出装置において、移動量算出手段21は、巻軸2の代わりにスリッター1が移動すると仮定して、巻軸2の累積移動量の代わりに、スリッター1の累積移動量Lkを算出することとし、検出手段22は、巻軸2の停止毎に該巻軸2上の係合体9に設定した巻芯端回避区域の現在の配置と、入力されたスリッター1による帯状シートの所要分割幅に基づく巻芯Cの配置とを比べる代わりに、巻軸2上の係合体9に設定した巻芯端回避区域の配置と、スリッター1の停止毎に、該スリッター1による帯状シートの所要分割幅、並びに移動量算出手段21からの累積移動量Lkとに基づく巻芯Cの現在の配置とを比べることとし、抽出手段23は、巻軸2の停止毎に該巻軸2毎の休止係合体の総数の合計値(Nak+Nbk)と巻軸2の累積移動量とを関係付けて記憶する代わりに、スリッター1の停止毎に、各巻軸2の休止係合体の総数の合計値とスリッター1の累積移動量Lkとを関係付けて記憶し、更に、巻軸2の移動終了後に各巻軸2の休止係合体の総数の合計値が最小となるときの巻軸2の累積移動量Lkを最適ずれ量とする代わりに、スリッター1の移動終了後に、スリッター1の停止毎の各巻軸2の休止係合体の総数の合計値が最小となるときのスリッター1の累積移動量Lkを最適ずれ量Dとすることとしたものでもよい。
【0089】
以上、少数の実施例により本発明を説明したが、本発明の実施例は発明の要旨を変えることなく多様に変わり得る。本発明では、シート分割巻取装置において、巻軸2が有する係合体9は球体とは限らず、例えば
図14に示すような爪であってもよい。この爪9は、巻取カラー11に設けた軸線方向の可動片52に形成した傾斜面52a上に配置してあり、可動片52の移動により巻取カラー11の外周へ突出して巻芯Cの内周面に係合することができるようになっている。
図14においてAr1は、この爪9に設定した巻芯Cの一端に対する第1の巻芯端回避区域、Ar2は同じく巻芯Cの他の一端に対する第2の巻芯端回避区域である。また
図3に示す巻軸が有する係合体9は、巻取カラー11上のシート幅方向における1箇所に配置した球体であるが、
図15に示すように巻取カラー11上のシート幅方向における2箇所に巻芯拘束用の球体9a、9bを配置した場合は、2箇所の球体9a、9bを一つの係合体と見做すことができる。
図15においてAr1は、2箇所の球体9a、9bからなる係合体に設定した、巻芯Cの一端に対する第1の巻芯端回避区域、Ar2は同じく巻芯Cの他の一端に対する第2の巻芯端回避区域である。また最適ずれ量算出装置は、検出手段に巻芯の配置に関する情報としてスリッターによる帯状シートの所要分割幅を入力するの代わりに所要分割位置を入力するようにしたものでもよい。また各分割シートの幅が等しい場合には分割シート幅の範囲内で巻軸又はスリッターがシート幅方向に移動すると仮定して最適ずれ量を算出するようにしてもよい。更に第1の巻芯端回避区域と第2の巻芯端回避区域を係合体に対して同じ区域に設定する場合もあり得る。この場合は巻芯の配置と巻芯の両端に対して共通の巻芯端回避区域の配置とを比べて休止係合体を検出する。