(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歯部における、1つのギア歯の先端と前記欠け歯ギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端と前記欠け歯ギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度は、前記アジテータギアにおける、1つのギア歯の先端と前記アジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端と前記アジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度と同一であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のトナーカートリッジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記特許文献1に記載のトナーカートリッジでは、撹拌部材が、トナーを供給する方向とは反対方向に回転する場合がある。例えば、撹拌部材にトナーが乗った状態において、第1ギアと第2ギアとが噛み合わなくなると、トナーの重みで、撹拌部材が、回転すべき方向とは反対方向に回転する場合がある。そのため、撹拌部材が回転すべき方向に回転せずに、撹拌部材によるトナーの円滑な撹拌が阻害されるという不具合がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、アジテータを間欠的に一方向に回転させることができながら、アジテータが他方向に回転することを抑制できるトナーカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明のトナーカートリッジは、トナーを撹拌するように構成されるアジテータと、アジテータの端部に固定されるアジテータギアと、外部からの駆動力が付与されてアジテータギアに駆動力を伝達するように構成され、アジテータギアと噛み合うように構成される歯部と、アジテータギアと噛み合わない欠け歯部とを有する欠け歯ギアと、アジテータギアを規制するように構成される規制部材であって、アジテータギアが一方向に回転することを許容し、アジテータギアが一方向と反対方向の他方向に回転することを規制するように構成される規制部材と、を備える。
【0010】
このような構成によれば、駆動力が付与されることにより欠け歯ギアが回転すると、アジテータギアは、欠け歯ギアの歯部と噛み合うことにより一方向に回転し、欠け歯ギアの歯部と噛み合わなくなることにより停止する。また、アジテータギアは、アジテータの端部に固定される。
【0011】
そのため、アジテータを間欠的に一方向に回転させることができる。
【0012】
また、規制部材は、アジテータギアが一方向と反対方向の他方向に回転することを規制する。
【0013】
そのため、欠け歯ギアとアジテータギアとが噛み合っていない状態において、アジテータギアが他方向に回転することを規制部材によって規制できる。
【0014】
その結果、アジテータが、他方向に回転することを抑制できる。
(2)また、アジテータギアは、回転する欠け歯ギアの歯部と噛み合うことにより一方向に回転し、回転する欠け歯ギアの欠け歯部と向き合ったときに停止するように構成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、アジテータを確実に間欠的に回転させることができる。
(3)また、規制部材は、アジテータギアが停止したときに欠け歯ギアのギア歯と係合する係合部を備えてもよい。
【0016】
このような構成によれば、係合部がアジテータギアのギア歯に係合することで、アジテータギアにおける他方向への回転を規制できる。
【0017】
そのため、アジテータギアにおける他方向への回転を確実に規制できる。
(4)また、係合部は、アジテータギアのギア歯に対して、一方向の上流側から係合するように構成されていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、アジテータギアが他方向に回転したとき、つまり、アジテータギアが一方向の上流側に向かって回転したときには、係合部は、一方向の上流側からアジテータギアに係合する。
【0019】
そのため、係合部を、アジテータギアのギア歯に対して確実に係合させることができる。
【0020】
その結果、アジテータギアにおける他方向への回転を、一層確実に規制できる。
(5)また、規制部材は、揺動するように構成され、揺動中心を含む中心部と、中心部と係合部とを連結する連結部とを備えてもよい。係合部は、中心部よりも一方向の下流に配置されてもよい。
【0021】
このような構成によれば、係合部を、アジテータギアのギア歯に対して一層確実に係合させることができる。
(6)また、係合部は、アジテータギアが他方向に回転したときにアジテータギアのギア歯と当接する第1当接部と、アジテータギアが一方向に回転したときにアジテータギアのギア歯と当接する第2当接部と、を備えてもよい。
【0022】
このような構成によれば、アジテータギアが他方向に回転したときには、第1当接部とアジテータギアとが当接し、アジテータギアが一方向に回転したときには、第2当接部とアジテータギアとが当接する。
【0023】
そのため、簡易な構成でありながら、係合部を、アジテータギアに確実に係合させることができる。
(7)また、第2当接部は、弾性材料から構成されていてもよい。
【0024】
このような構成によれば、第2当接部とギア歯とが当接する際に発生する音を小さくできる。
(8)また、係合部は、アジテータギアの回転軸線よりも上方側に位置してもよい。
【0025】
このような構成によれば、簡易な構成でありながら、係合部がアジテータギアに当接することにより移動しても、自重によって、係合部をもとの位置に戻すことができる。
【0026】
そのため、係合部を、アジテータギアに対して容易に係合させることができる。
(9)また、トナーカートリッジは、現像ローラと、現像ローラが位置する現像室と、アジテータが位置するとともにトナーを収容するトナー収容室との間を連通する連通口を有する筐体と、をさらに備えてもよい。アジテータは、一方向において、連通口よりも上流側に位置する第1姿勢と、連通口よりも下流側に位置する第2姿勢との間を少なくとも移動するように構成され、かつ、歯部がアジテータギアに噛み合っている間に、第1姿勢から第2姿勢まで移動するように構成されてもよい。
【0027】
このような構成によれば、アジテータが、第1姿勢と第2姿勢との間に位置する状態において、アジテータギアの回転が停止すると、トナー収容室からトナーを円滑に送出できない場合がある。
【0028】
しかし、このような構成によれば、アジテータは、欠け歯ギアの歯部とアジテータギアとが噛み合っている間に、第1姿勢から第2姿勢まで移動する。
【0029】
その結果、アジテータによって、トナーをトナー収容室から確実に送出できる。
(10)また、アジテータは、アジテータ軸と、アジテータ軸に支持され、弾性変形可能な撹拌羽根と、を備えてもよい。筐体は、撹拌羽根が回転したときに、撹拌羽根と接触して、撹拌羽根を弾性変形させる接触部を有してもよい。
【0030】
このような構成によれば、撹拌羽根を弾性変形させるように接触部に接触させながら、撹拌羽根を回転させることにより、アジテータの回転速度が速くなることを抑制できる。
(11)また、歯部における、1つのギア歯の先端と欠け歯ギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端と欠け歯ギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度は、アジテータギアにおける、1つのギア歯の先端とアジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端とアジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度と同一であってもよい。
【0031】
このような構成によれば、歯部におけるギア歯とアジテータギアのギア歯とを確実に噛み合わせることができる。
(12)また、欠け歯ギアは、歯部の弾性変形を許容する溝をさらに有してもよい。
【0032】
このような構成によれば、欠け歯ギアの位相とアジテータギアの位相とがずれることにより、欠け歯ギアとアジテータギアとが円滑に噛み合わない場合でも、欠け歯ギアを弾性変形させることにより、欠け歯ギアとアジテータギアとを噛み合わせることができる。
【0033】
そのため、欠け歯ギアとアジテータギアの歯部とを一層確実に噛み合わせることができる。
(13)また、本発明のトナーカートリッジは、トナーを撹拌するように構成されるアジテータと、アジテータの一端部に固定されるアジテータギアと、アジテータの他端部に固定される規制ギアと、外部からの駆動力が付与されてアジテータギアに駆動力を伝達するように構成され、アジテータギアと噛み合うように構成される歯部と、アジテータギアと噛み合わない欠け歯部とを有する欠け歯ギアと、規制ギアを規制するように構成される規制部材であって、規制ギアが一方向に回転することを許容し、規制ギアが一方向と反対方向の他方向に回転することを規制するように構成される規制部材と、を備える。
【0034】
このような構成によれば、駆動力が付与されることにより欠け歯ギアが回転すると、アジテータギアは、欠け歯ギアの歯部と噛み合うことにより一方向に回転し、欠け歯ギアの歯部と噛み合わなくなることにより停止する。また、アジテータギアは、アジテータの端部に固定される。
【0035】
そのため、アジテータを間欠的に一方向に回転させることができる。
【0036】
また、規制部材は、規制ギアが一方向と反対方向の他方向に回転することを規制する。そして、規制ギアは、アジテータの他端部に固定される。
【0037】
そのため、規制ギアが他方向に回転することを、規制部材によって規制できる。
【0038】
その結果、アジテータが、他方向に回転することを抑制できる。
(14)また、規制ギアの径は、アジテータギアの径よりも大きくてもよい。
【0039】
このような構成によれば、規制部材が規制ギアを規制することにより発生する、規制部材に加わる力を小さくできる。
(15)また、規制ギアにおける、1つのギア歯の先端と規制ギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端と規制ギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度は、アジテータギアにおける、1つのギア歯の先端とアジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分と、隣り合うギア歯の先端とアジテータギアの回転軸線とを結ぶ線分とのなす角度よりも小さくてもよい。
【0040】
このような構成によれば、規制ギアにおける1つのギア歯と隣り合うギア歯との間の角度を小さくできる。
【0041】
そのため、アジテータの他方向への回転を一層確実に規制できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明のトナーカートリッジでは、アジテータを間欠的に一方向に回転させることができながら、アジテータが他方向に回転することを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
1.現像カートリッジの概略説明
図1に示すように、トナーカートリッジの一例としての現像カートリッジ1は、筐体の一例としての現像フレーム2と、現像ローラ3と、供給ローラ4と、アジテータ5と、層厚規制ブレード6とを備えている。
【0045】
なお、以下の説明において、現像カートリッジ1の方向に言及するときは、現像カートリッジ1が水平面に載置されている状態を基準とし、現像ローラ3が配置されている方を、現像カートリッジ1の後方とし、その反対を現像カートリッジ1の前方とする。すなわち、
図1の紙面左方が現像カートリッジ1の後方であり、紙面右方が現像カートリッジ1の前方である。また、
図1の紙面上方が現像カートリッジ1の上方であり、紙面下方が現像カートリッジ1の下方である。また、現像カートリッジ1を前方から見たときを左右の基準とする。すなわち、
図1の紙面手前が現像カートリッジ1の左方であり、紙面奥が現像カートリッジ1の右方である。具体的には、各図に示した矢印方向を基準とする。
【0046】
現像フレーム2は、左右方向に延びる略ボックス形状を有しており、その後端部は、前後方向に開放されている。また、現像フレーム2は、トナーを収容している。
【0047】
現像ローラ3は、現像フレーム2の後端部に配置されている。現像ローラ3は、左右方向に延びる略円柱形状を有しており、現像フレーム2に回転可能に支持されている。また、現像ローラ3の上方部分および後方部分は、現像フレーム2から露出している。
【0048】
供給ローラ4は、現像フレーム2内において、現像ローラ3の前下方に配置されている。供給ローラ4は、左右方向に延びる略円柱形状を有しており、現像フレーム2に回転可能に支持されている。供給ローラ4の後上端部は、現像ローラ3の前下端部に接触している。
【0049】
アジテータ5は、現像フレーム2の前方部分に配置されており、供給ローラ4よりも前方に配置されている。アジテータ5は、現像フレーム2に回転可能に支持されている。
【0050】
層厚規制ブレード6は、現像ローラ3の前上方に配置されており、現像フレーム2に固定されている。層厚規制ブレード6の下端部は、現像ローラ3の前端部に接触している。
2.現像カートリッジの使用態様
図2に示すように、現像カートリッジ1は、プリンタ10に装着されて使用される。
【0051】
プリンタ10は、電子写真方式のモノクロプリンタである。プリンタ10は、本体ケーシング11と、プロセスカートリッジ12と、スキャナユニット13と、定着ユニット14とを備えている。
【0052】
本体ケーシング11は、開口部15と、フロントカバー16と、給紙トレイ17と、排紙トレイ18とを有している。
【0053】
開口部15は、本体ケーシング11の前壁に配置されている。開口部15は、プロセスカートリッジ12の通過を許容するように、本体ケーシング11の内外を前後方向に連通している。
【0054】
フロントカバー16は、本体ケーシング11の前端部に配置されている。フロントカバー16は、開口部15を開放または閉鎖するように構成されている。
【0055】
給紙トレイ17は、本体ケーシング11の底部に配置されている。給紙トレイ17は、用紙Pを収容するように構成されている。
【0056】
排紙トレイ18は、本体ケーシング11の上壁に配置されている。
【0057】
プロセスカートリッジ12は、ドラムカートリッジ20と、上記した現像カートリッジ1とを備えている。
【0058】
ドラムカートリッジ20は、ドラムフレーム30と、感光ドラム21と、スコロトロン型帯電器22と、転写ローラ23とを備えている。
【0059】
ドラムフレーム30は、平面視略矩形の有底枠形状を有している。
【0060】
感光ドラム21は、ドラムフレーム30の後端部に配置されている。感光ドラム21は、左右方向に延びる略円筒形状を有しており、ドラムフレーム30に回転可能に支持されている。
【0061】
スコロトロン型帯電器22は、ドラムフレーム30内において、感光ドラム21の上方に配置され、感光ドラム21と間隔を隔てて配置されている。
【0062】
転写ローラ23は、ドラムフレーム30内において、感光ドラム21の下方に配置されている。転写ローラ23は、左右方向に延びる略円柱形状を有しており、ドラムフレーム30に回転可能に支持されている。転写ローラ23の上端部は、感光ドラム21の下端部と接触している。
【0063】
現像カートリッジ1は、ドラムフレーム30に装着されている。現像カートリッジ1の現像ローラ3は、現像カートリッジ1がドラムフレーム30に装着された状態において、感光ドラム21の前端部に接触している。
【0064】
スキャナユニット13は、プロセスカートリッジ12の上方に配置されている。スキャナユニット13は、感光ドラム21に向けてレーザービームを出射するように構成されている。
【0065】
定着ユニット14は、プロセスカートリッジ12の後方に配置されている。定着ユニット14は、加熱ローラ24と、加熱ローラ24の後下端部に圧接される加圧ローラ25とを備えている。
【0066】
そして、プリンタ10において画像形成動作が開始されると、スコロトロン型帯電器22は、感光ドラム21の表面を一様に帯電する。その後、スキャナユニット13は、画像データに基づいて、感光ドラム21の表面を露光する。これにより、画像データに基づく静電潜像が、感光ドラム21の表面に形成される。
【0067】
また、アジテータ5は、現像フレーム2内のトナーを撹拌して、供給ローラ4に供給する。供給ローラ4は、アジテータ5によって供給されたトナーを現像ローラ3に供給する。このとき、トナーは、現像ローラ3と供給ローラ4との間で正極性に摩擦帯電され、現像ローラ3に担持される。層厚規制ブレード6は、現像ローラ3に担持されたトナーの層厚を一定厚さに規制する。
【0068】
そして、現像ローラ3に担持されたトナーは、感光ドラム21表面の静電潜像に供給される。これにより、トナー像が、感光ドラム21の表面に担持される。
【0069】
用紙Pは、給紙トレイ17から、各種ローラの回転により、所定のタイミングで1枚ずつ、感光ドラム21と転写ローラ23との間に給紙される。感光ドラム21表面のトナー像は、用紙Pが感光ドラム21と転写ローラ23との間を通過するときに、用紙Pに転写される。
【0070】
その後、用紙Pは、加熱ローラ24と加圧ローラ25との間を通過するときに加熱および加圧される。これにより、用紙P上のトナー像は、用紙Pに熱定着される。その後、用紙Pは、排紙トレイ18に排紙される。
3.現像カートリッジの詳細
図1および
図3に示すように、現像カートリッジ1は、上記した現像フレーム2と、上記したアジテータ5と、駆動ユニット36とを備えている。
(1)現像フレーム
現像フレーム2は、ベースフレーム37と、カバーフレーム38とを備えている。
【0071】
ベースフレーム37は、左側壁39と、右側壁40と、前壁41と、底壁42とを備えている。
【0072】
左側壁39は、現像フレーム2の左端部に配置されている。左側壁39は、前後方向に延びる側面視略矩形の略板状を有している。
図5に示すように、左側壁39は、カップリング支持軸69と、ギア支持軸79とを備えている。
【0073】
カップリング支持軸69は、左側壁39の左面における後方部に配置されており、左側壁39から左方に向かって突出する略円柱形状を有している。
【0074】
ギア支持軸79は、左側壁39の左面における中央部に配置されており、左側壁39から左方に向かって突出する略円柱形状を有している。
【0075】
図1に示すように、右側壁40は、現像フレーム2の右端部に配置されており、左側壁39に対して右方に間隔を隔てて配置されている。右側壁40は、前後方向に延びる側面視略矩形の略板状を有している。
【0076】
図1および
図3に示すように、前壁41は、現像フレーム2の前端部に配置されている。前壁41は、左側壁39および右側壁40の前端部間に架設されている。前壁41は、左右方向に延びる正面視略矩形の略板状を有している。
【0077】
底壁42は、現像フレーム2の下端部に配置されている。底壁42は、左側壁39および右側壁40の下端部間に架設されている。底壁42の前端部は、前壁41の下端部に連続している。底壁42は、前方部分の湾曲部分45と、中央部分の円弧部分46と、後方部分のリップ部分47とを有している。
【0078】
湾曲部分45は、前壁41の下端部から連続して円弧部分46まで後方に向かって延びている。湾曲部分45は、その前後方向略中央部が下方に凹むように湾曲している。
【0079】
円弧部分46は、上方に向かって開放される側面視略半円弧形状を有している。円弧部分46の前端部は、湾曲部分45の後端部と連続している。湾曲部分45と円弧部分46とが連続している連続部分48は、後上方に向かう頂部を有する側面視三角形状を有している。
【0080】
リップ部分47は、円弧部分46の後端部から連続して、後下方に向かって延びている。
【0081】
図1および
図3に示すように、カバーフレーム38は、ベースフレーム37の上端部に配置されている。カバーフレーム38は、上壁43と、複数のリブ44とを備えている。
【0082】
上壁43は、前後方向に延びる平面視略矩形の略板状を有している。
【0083】
複数のリブ44は、上壁43の下面において、左右方向に互いに間隔を隔てて配置されている。複数のリブ44のそれぞれは、上壁43の下面から下方に向かって突出しており、前後方向に延びる略板状を有している。複数のリブ44のそれぞれは、凹部44Aを有している。凹部44Aは、リブ44の下端縁であって、上方に向かって湾曲するように凹んでいる。
【0084】
上壁43の左右両端部および前端部のそれぞれは、左側壁39、右側壁40、および、前壁41のそれぞれの上面に溶着されている。また、上壁43の後端部は、底壁42の連続部分48に対して、後上方に間隔を空けて配置されている。なお、複数のリブ44、前壁41、および、底壁42の湾曲部分45が、接触部の一例を構成している。
【0085】
そして、現像フレーム2内において、左側壁39の後方部分と、右側壁40の後方部分と、底壁42の円弧部分46およびリップ部分47とにより現像室55が画定されている。また、現像フレーム2内において、左側壁39の前方部分と、右側壁40の前方部分と、上壁43と、底壁42の湾曲部分45と、前壁41とによりトナー収容室56が画定されている。
【0086】
現像室55とトナー収容室56とは、連通口58を介して前後方向に連通している。すなわち、連通口58は、現像室55とトナー収容室56との境界である。具体的には、連通口58は、連続部分48と、上壁43の後端部と、左側壁39および右側壁40の内面とにより画定されている。
【0087】
現像室55では、現像ローラ3が、左側壁39および右側壁40に回転可能に支持されている。現像ローラ3の左端部は、現像カートリッジ1の左側壁39よりも左方まで延びている。現像ローラ3は、底壁42のリップ部分47の上方に間隔を隔てて配置されている。
【0088】
また、現像室55では、現像ローラ3に対して前下方に供給ローラ4が配置されている。供給ローラ4は、底壁42の円弧部分46に収容され、左側壁39および右側壁40に回転可能に支持されている。供給ローラ4の左端部は、現像カートリッジ1の左側壁39よりも左方まで延びている。
【0089】
トナー収容室56の中央部では、アジテータ5が、左側壁39および右側壁40に回転可能に支持されている。
(2)アジテータ
図1に示すように、アジテータ5は、アジテータ軸61と、羽根固定部62と、撹拌羽根63とを備えている。
【0090】
アジテータ軸61は、左右方向に延びる略円柱形状を有している。左側壁39には、図示しない挿通穴が配置されており、アジテータ軸61の左端部は、
図3に示すように、その挿通穴を介して、左側壁39よりも左方まで延びている。
【0091】
図1に示すように、羽根固定部62は、複数の板状部62Aと、連結部62Bとを備えている。
【0092】
複数の板状部62Aのそれぞれは、アジテータ軸61の周面の一部分から、径方向外方に向かって延びる略板形状を有している。複数の板状部62Aは、左右方向に間隔を隔てて配置されている。
【0093】
連結部62Bは、複数の板状部62Aのアジテータ軸61に連結されている端部とは反対側の端部を連結するように、左右方向に延びる略板状を有している。
【0094】
撹拌羽根63は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの可撓性を有するフィルム材料からなる。撹拌羽根63は、左右方向に延びる略矩形状を有している。そして、撹拌羽根63は、その一端部が、連結部62Bにおけるアジテータ軸61の径方向外面に固定されることにより、羽根固定部62を介してアジテータ軸61に支持されている。
(3)駆動ユニット
図3に示すように、駆動ユニット36は、現像カートリッジ1において左端部に配置されている。駆動ユニット36は、ギア列65と、ギアカバー73と、規制部材66とを備えている。
【0095】
ギア列65は、左側壁39の左面に配置されており、現像カップリング70と、現像ギア67と、供給ギア68と、欠け歯ギア71と、アジテータギア72とを備えている。
【0096】
現像カップリング70は、左側壁39の後端部に配置されている。現像カップリング70は、左右方向に延びる略円柱形状を有している。
【0097】
現像カップリング70は、カップリングギア部74と、カップリング部75とを一体に備えている。
【0098】
カップリングギア部74は、現像カップリング70の右方部分である。カップリングギア部74は、左右方向に延びる略円柱形状を有している。カップリングギア部74は、その周面すべてにわたって、ギア歯を有している。
【0099】
カップリング部75は、現像カップリング70の左方部分である。カップリング部75は、カップリングギア部74と中心軸線を共有する略円柱形状を有している。カップリング部75の外径は、カップリングギア部74の外径よりも小さい。カップリング部75の左端面は、右方に向かって窪んでおり、その内面には凸部75Aが設けられている。これにより、カップリング部75は、プリンタ10の図示しない駆動部と結合するように構成されている。
【0100】
そして、現像カップリング70は、
図5に示すように、左側壁39のカップリング支持軸69に回転可能に支持されている。これにより、現像カップリング70は、
図3に示すように、左右方向に延びる回転軸線A1について回転するように構成されている。
【0101】
現像ギア67は、現像カップリング70の後下方に配置されている。現像ギア67は、左右方向に延びる略円筒形状を有しており、その周面すべてにわたってギア歯を有している。現像ギア67の前上端部は、現像カップリング70のカップリングギア部74の後下端部に噛み合っている。そして、現像ギア67は、現像ローラ3の左端部を相対回転不能に受け入れるようにして組み付けられており、現像フレーム2の左方に配置されている。これにより、現像ギア67は、現像ローラ3と一体となって、左右方向に延びる回転軸線A4について回転するように構成されている。
【0102】
供給ギア68は、現像カップリング70の下方に配置されている。供給ギア68は、左右方向に延びる略円筒形状を有しており、その周面すべてにわたってギア歯を有している。供給ギア68の上端部は、現像カップリング70のカップリングギア部74の下端部に噛み合っている。そして、供給ギア68は、供給ローラ4の左端部を相対回転不能に受け入れるようにして組み付けられており、現像フレーム2の左方に配置されている。これにより、供給ギア68は、供給ローラ4と一体となって、左右方向に延びる回転軸線A5について回転するように構成されている。
【0103】
欠け歯ギア71は、現像カップリング70の前方に配置されている。欠け歯ギア71は、例えば、樹脂材料からなり、
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1ギア部76と、第2ギア部77と、軸受部78とを一体に備えている。
【0104】
第1ギア部76は、欠け歯ギア71において左端部に配置されている。第1ギア部76は、左右方向に厚みを有する略円板形状を有している。第1ギア部76は、その周面のすべてにわたってギア歯(図示せず)を備えている。第1ギア部76の後端部は、
図3に示すように、現像カップリング70のカップリングギア部74の前端部に噛み合っている。
【0105】
図4Aおよび
図4Bに示すように、第2ギア部77は、第1ギア部76と中心軸線が一致する略円筒形状を有しており、第1ギア部76の右面から右方に向かって突出している。第2ギア部77の外径は、第1ギア部76の外径よりも小さい。第2ギア部77は、溝の一例としてのスリット80と、歯部81と、欠け歯部82とを有している。
【0106】
スリット80は、第2ギア部77のうち、中心角が略15°の部分であって、第2ギア部77の左右方向全体にわたって延びている。
【0107】
歯部81は、
図1に示すように、第2ギア部77のうち、中心角が略55°の部分であて、スリット80に対して左側面視反時計回り方向の上流に隣接配置されている。歯部81は、その周面にギア歯を備えている。歯部81のギア歯は、インボリュート歯形を有している。
図5に示すように、歯部81におけるギア歯のピッチ、すなわち、歯部81において、1つのギア歯における噛み合い状態のときに力が加わる接触点(噛み合い位置)から、隣りのギア歯における噛み合い状態のときに力が加わる接触点(噛み合い位置)までのピッチ円に沿う距離は、B1である。なお、ピッチ円は、ギア歯の接触点(噛み合い位置)を通り、第2ギア部77の周方向に沿う仮想円である。
【0108】
図4Aおよび
図4Bに示すように、欠け歯部82は、第2ギア部77のうち、歯部81およびスリット80以外の部分であって、中心角が略290°の部分である。欠け歯部82の周面は、ギア歯が配置されておらず、凹凸のない曲面を有している。
【0109】
軸受部78は、第1ギア部76と中心軸線が一致する略円筒形状を有しており、第1ギア部76の右面から右方に向かって突出している。軸受部78の外径は、第2ギア部77の内径よりも小さい。軸受部78の左右方向の長さは、第2ギア部77の左右方向の長さと略同一である。
【0110】
そして、
図5に示すように、欠け歯ギア71は、軸受部78が左側壁33のギア支持軸79を相対回転可能に受け入れることにより、左側壁33に回転可能に支持されている。これにより、欠け歯ギア71は、左右方向に延びる回転軸線A2について回転するように構成されている。
【0111】
また、歯部81において、1つのギア歯の先端G1と回転軸線A2とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G2と回転軸線A2とを結ぶ線分とのなす角度θ1は、略15°である。
【0112】
図3に示すように、アジテータギア72は、欠け歯ギア71に対して前方に配置され、左右方向に延びる略円筒形状を有している。アジテータギア72は、ギア部85と、軸受部86とを一体に備えている。
【0113】
ギア部85は、アジテータギア72の左方部分であって、その周面すべてにわたって、ギア歯を有している。ギア部85のギア歯は、インボリュート歯形を有している。ギア部85の外径は、第2ギア部77の外径と略同じである。
図5に示すように、ギア部85におけるギア歯の数は、第2ギア部77の歯部81におけるギア歯の数の整数倍である。具体的には、ギア部85は、28個のギア歯を有しており、歯部81は、4個のギア歯を有している。すなわち、ギア部85におけるギア歯の数は、歯部81におけるギア歯の数の7倍である。
【0114】
また、ギア部85におけるギア歯のピッチ、すなわち、ギア部85において、1つのギア歯における噛み合い状態のときに力が加わる接触点から、隣りのギア歯における噛み合い状態のときに力が加わる接触点までの円ピッチに沿う距離は、B2である。ギア部85におけるギア歯のピッチB2は、欠け歯ギア71の歯部81におけるギア歯のピッチB1と同一である。
【0115】
図3に示すように、軸受部86は、アジテータギア72の右方部分であって、ギア部85と中心軸線が一致している。
【0116】
そして、アジテータギア72は、アジテータ軸61の左端部を相対回転不能に受け入れるようにして取り付けられており、現像フレーム2の左方に配置されている。これにより、アジテータギア72は、アジテータ5と一体となって、左右方向に延びる回転軸線A3について回転するように構成されている。
【0117】
また、ギア部85において、1つのギア歯の先端G3と回転軸線A3とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G4と回転軸線A3とを結ぶ線分とのなす角度θ2は、略15°である。角度θ2は、角度θ1と、同一である。
【0118】
図3および
図5に示すように、ギアカバー73は、右方に向かって開放される略ボックス形状を有しており、ギア列65、すなわち、現像カップリング70、現像ギア67、供給ギア68、欠け歯ギア71およびアジテータギア72を被覆している。ギアカバー73は、カバープレート95と、支持軸88と、周側壁96とを備えている。
【0119】
カバープレート95は、前後方向に延びる略板状を有している。カバープレート95は、開口部87を有している。
【0120】
開口部87は、カバープレート95の後方部分に配置されている。開口部87は、カバープレート95を左右方向に貫通する側面視略円形状を有している。
【0121】
支持軸88は、カバープレート95の上方部分であって、前後方向中央部分から右方に向かって延びており、略円柱形状を有している。支持軸88は、アジテータギア72よりも上方に配置されている。すなわち、支持軸88は、回転軸線A3よりも上方側に配置されている。
【0122】
周側壁96は、カバープレート95の全周端縁から右方に向かって延びている。周側壁96は、側面視略円環形状を有している。
【0123】
そして、ギアカバー73は、カバープレート95がギア列65の左方を覆い、周側壁96がギア列65の上方、下方、前方および後方を覆うようにして、ギア列65を覆っている。ギアカバー73が、ギア列65を覆う状態において、開口部87は、その内部に現像カップリング70を受け入れている。
【0124】
図5に示すように、規制部材66は、揺動部89と、第2当接部92とを備えている。
【0125】
揺動部89は、例えば、樹脂からなり、中心部90と、連結部の一例としての突出部91とを備えている。
【0126】
中心部90は、左右方向に延びる略円筒形状を有している。中心部90の内径は、支持軸88の外径と略同一である。
【0127】
突出部91は、中心部90の周面から、中心部90の径方向外方に向かって突出する略棒状、具体的には、略角柱形状を有している。
【0128】
そして、揺動部89は、中心部90が支持軸88を回転可能に受け入れ、突出部91が前下方に延びるように配置されている。
【0129】
これにより、揺動部89は、支持軸88を中心として、揺動可能である。また、突出部91の下端部は、アジテータギア72に対して、前上方に配置されている。また、第1当接部の一例としての突出部91の縁91Aは、揺動部89よりも後述する回転方向R1の下流に配置されており、アジテータギア72のギア部85のギア歯に上方から接触している。
【0130】
第2当接部92は、突出部91の下端部における後面に固定されている。そして、第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85のギア歯に前方から接触している。すなわち、第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85のギア歯と突出部91との間に配置されている。また、第2当接部92は、揺動部89よりも後述する回転方向R1の下流に配置されている。なお、第2当接部92および突出部91の縁91Aが、係合部の一例を構成している。
4.駆動ユニットの動作
図3に示すように、現像カップリング70のカップリング部75の凸部75Aに、プリンタ10の図示しない駆動部が結合して駆動力が付与されると、現像カップリング70は、左側面視時計周り方向に回転する。
【0131】
現像カップリング70が回転することにより、現像カップリング70から現像ギア67、供給ギア68および欠け歯ギア71に駆動力が付与されると、現像ギア67、供給ギア68および欠け歯ギア71のそれぞれは、左側面視反時計回り方向に回転する。
【0132】
欠け歯ギア71が回転すると、
図1に示すように、欠け歯ギア71の歯部81がアジテータギア72のギア部85の前端部に対して、左側面視時計回り方向の上流から噛み合い始める。
【0133】
このとき、欠け歯ギア71の歯部81とアジテータギア72のギア部85とが、円滑に噛み合わない場合、具体的には、欠け歯ギア71の歯部81のギア歯の先端と、アジテータギア72のギア部85のギア歯の先端とが、向き合うように接触する場合には、欠け歯ギア71の第2ギア部77が弾性変形する。そして、欠け歯ギア71の歯部81のギア歯が、アジテータギア72のギア部85におけるギア歯とギア歯との間に入り込み、欠け歯ギア71の歯部81とアジテータギア72のギア部85とが噛み合う。
【0134】
そして、さらに欠け歯ギア71が回転して、欠け歯ギア71からアジテータギア72に駆動力が付与されると、アジテータギア72は、左側面視時計回り方向である一方向の一例としての回転方向R1に回転する。これにより、詳しくは後述するが、アジテータ5に駆動力が伝達される。
【0135】
次いで、欠け歯ギア71がさらに回転すると、
図5に示すように、欠け歯ギア71の歯部81とアジテータギア72のギア部85との噛み合い状態が終了する。すると、アジテータギア72のギア部85が欠け歯ギア71の欠け歯部82に対して、前方に離間した状態で向き合い、アジテータギア72の回転が停止する。
【0136】
ここで、上記したように、ギア部85におけるギア歯の数は、欠け歯ギア71の歯部81におけるギア歯の数の整数倍、すなわち、7倍である。そして、アジテータギア72は、欠け歯ギア71との噛み合い状態が開始してから終了するまでの間に、各ギア歯の幅分も移動するため、7分の1回転よりも多く回転し、具体的には、4分の1回転する。
【0137】
その後、さらに欠け歯ギア71が回転すると、欠け歯ギア71の歯部81は、アジテータギア72のギア部85から離間するように移動した後、再度、
図1に示すように、アジテータギア72のギア部85に噛み合う。
【0138】
すなわち、欠け歯ギア71の歯部81と、アジテータギア72のギア部85との噛み合い状態が終了した後、さらに、欠け歯ギア71に駆動力が付与されると、欠け歯ギア71は、さらに回転する一方、アジテータギア72は、停止した状態を保つ。そして、欠け歯ギア71の歯部81と、アジテータギア72のギア部85とが、再度噛み合うと、アジテータギア72が再度回転する。
【0139】
このように、アジテータギア72は、間欠的に回転する。そして、欠け歯ギア71が1回転すると、アジテータギア72は、4分の1回転する。換言すれば、欠け歯ギア71が4回転すると、アジテータギア72は、1回転する。
5.アジテータの動作
また、アジテータ5は、アジテータギア72と一体に回転する。そのため、アジテータ5は、回転方向R1に間欠的に回転する。換言すれば、アジテータ5は、回転方向R1に4分の1回転する回転状態と、停止状態とを順次繰り返す。アジテータ5は、停止状態では、複数、すなわち、4個の位置のいずれかの位置で停止する。
【0140】
具体的には、
図1に示すように、アジテータ5は、撹拌羽根63が回転方向R1において連通口58よりも上流側であって、連通口58に最も近づく位置Aにおいて停止する。また、
図6に示すように、アジテータ5は、撹拌羽根63が回転方向R1において連通口58よりも下流側であって、連通口58に最も近い位置Bに位置する。そして、アジテータ5は、位置Bの次に停止する位置である位置Cと、位置Cの次に停止する位置である位置Dとにおいて、停止する。
【0141】
図1に示すように、位置Aで停止するアジテータ5の姿勢が第1姿勢である。また、
図6に示すように、位置Bで停止するアジテータ5の姿勢が第2姿勢である。すなわち、アジテータ5は、位置Aから位置Bまでの間では、換言すれば、第1姿勢をとる状態から第2姿勢を採る状態までの間では、停止することなく回転方向R1に回転する。つまり、欠け歯ギア71の歯部81は、少なくともアジテータ5を第1姿勢から第2姿勢まで回転させるのに必要な中心角を有している。
【0142】
同様に、
図6に示すように、アジテータ5は、位置Bから位置Cまでの間と、位置Cから位置Dまでの間とでは、停止することなく回転方向R1に回転する。
【0143】
アジテータ5が、位置Bから位置Aまで移動するときに、撹拌羽根63は、弾性変形した状態を維持して、複数のリブ44、前壁41、および、湾曲部分45と順次摺接する。具体的には、アジテータ5が、位置Bから位置Cまでの間で回転方向R1に回転するときは、撹拌羽根63は、複数のリブ44の中央部分および前方部分に摺接する。また、アジテータ5が、位置Cから位置Dまでの間で回転方向R1に回転するときは、前壁41、および、底壁42の湾曲部分45の前方部分に摺接する。また、アジテータ5が、位置Dから位置Aまでの間で回転方向R1に回転するときは、撹拌羽根63は、底壁42の湾曲部分45の中央部分および後方部分に摺接する。そして、アジテータ5が、位置Aから位置Bまでの間で回転方向R1に回転するときに、撹拌羽根63は、連通口58を通過して、その弾性変形が開放される。
【0144】
これにより、トナー収容室56内のトナーが、連通口58を通過して現像室55内に円滑に送り出される。
6.規制部材によるアジテータギアの規制
図5に示すように、アジテータギア72が回転方向R1に回転すると、アジテータギア72のギア部85のギア歯のうち、1つのギア歯M1は、揺動部89の第2当接部92に後方から当接する。
【0145】
そして、アジテータギア72のギア部85の1つのギア歯M1が揺動部89の第2当接部92に当接した状態から、アジテータギア72が回転方向R1にさらに回転すると、揺動部89の突出部91は、第2当接部92を介して、アジテータギア72のギア部85の1つのギア歯M1によって、前方側に押圧される。
【0146】
すると、揺動部89の突出部91は、支持軸88を中心として前方側に向かって揺動する。
【0147】
次いで、アジテータギア72がさらに回転して、揺動部89の第2当接部92と当接していたギア部85の1つのギア歯M1が、揺動部89の第2当接部92から離間すると、揺動部89の突出部91は、自重により、支持軸88を中心として後方側に向かって揺動する。
【0148】
このとき、突出部91の縁91Aは、ギア部85の1つのギア歯M1に対して回転方向R1の上流側に配置される。
【0149】
そして、揺動部89の第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85における1つのギア歯M1の次のギア歯M2に当接する。具体的には、揺動部89の第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85の次のギア歯M2に対して、前方側から、すなわち、回転方向R1の下流側から当接する。
【0150】
このように、アジテータギア72が回転方向R1に回転する状態においては、揺動部89の第2当接部92が、アジテータギア72のギア部85との当接および離間を繰り返すことにより、揺動部89の突出部91は、支持軸88を中心として、前後方向への揺動を繰り返す。すなわち、揺動部89は、アジテータギア72の回転方向R1への回転を許容している。
【0151】
また、アジテータギア72が停止している状態では、突出部91の縁91Aは、ギア部85のギア歯に対して回転方向R1の上流側に配置され、第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85に対して、回転方向R1の下流側から当接する。
【0152】
しかるに、アジテータギア72に、回転方向R1の逆方向に力が加わる場合がある。例えば、羽根固定部62が、アジテータ軸61よりも上方かつ後方に配置される状態で、アジテータ5が停止するとき、具体的には、アジテータ5が位置Bで停止すると、羽根固定部62および撹拌羽根63の自重により、アジテータ5、ひいては、アジテータギア72に回転方向R1の逆方向に力が加わる。
【0153】
このとき、揺動部89の突出部91が、アジテータギア72のギア部85と係合して、アジテータギア72の左側面視反時計回り方向への回転、すなわち、他方向の一例である回転方向R2への回転を規制する。具体的には、揺動部89の突出部91の縁91Aは、アジテータギア72のギア部85のギア歯に対して、後上方側から、すなわち、アジテータギア72の回転方向の上流側から係合して、アジテータギア72の回転方向R2への回転を規制する。
【0154】
これにより、アジテータ5の回転方向R2への回転が規制される。
【0155】
このように、規制部材66は、アジテータ5の回転方向R1への回転を許容しながら、アジテータ5の回転方向R2への回転を規制する。
7.作用効果
(1)この現像カートリッジ1によれば、
図1に示すように、駆動力が付与されることにより欠け歯ギア71が左側面視反時計回り方向に回転すると、アジテータギア72は、欠け歯ギア71の歯部81と噛み合うことにより左側面視時計回り方向に回転し、欠け歯ギア71の歯部81と噛み合わなくなること、すなわち、欠け歯ギア71の欠け歯部82と向き合うことにより停止する。また、アジテータギア72は、アジテータ5と一体となって回転する。
【0156】
そのため、アジテータ5を確実に間欠的に回転方向R1に回転させることができる。
【0157】
また、揺動部89は、アジテータギア72が回転方向R2に回転することを規制する。
【0158】
そのため、自重により、アジテータ5に対して回転方向R2に回転する力が加わった場合でも、揺動部89によって、アジテータギア72が回転方向R2に回転することを規制できる。
【0159】
その結果、アジテータ5が、回転方向R2に回転することを抑制できる。
(2)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、揺動部89は、突出部91がアジテータギア72のギア部85のギア歯に係合することで、アジテータギア72における回転方向R2への回転を規制する。
【0160】
そのため、アジテータギア72における回転方向R2への回転を確実に規制できる。
(3)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、揺動部89の突出部91は、アジテータギア72が回転方向R2に回転したとき、つまり、アジテータギア72が回転方向R1の上流側に向かって回転したときには、回転方向R1の上流側からアジテータギア72に係合する。
【0161】
そのため、揺動部89の突出部91を、アジテータギア72のギア部85のギア歯に対して確実に係合させることができる。
【0162】
その結果、アジテータギア72における回転方向R2への回転を、一層確実に規制できる。
(4)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、規制部材66において、突出部91の縁91A、および、第2当接部92は、中心部90よりも回転方向R1の下流に配置されている。
【0163】
そのため、突出部91の縁91A、および、第2当接部92を、アジテータギア72のギア部85に対して一層確実に係合させることができる。
(5)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、アジテータギア72が回転方向R2に回転したときには、突出部91の縁91Aがアジテータギア72のギア部85と当接し、アジテータギア72が回転方向R1に回転したときには、第2当接部92とアジテータギア72のギア部85とが当接する。
【0164】
そのため、簡易な構成でありながら、突出部91の縁91A、および、第2当接部92を、アジテータギア72のギア部85に確実に係合させることができる。
(6)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、規制部材66は、弾性材料から構成される第2当接部92を備える。第2当接部92は、アジテータギア72のギア部85のギア歯に対して回転方向R1の下流側から当接する。
【0165】
そのため、第2当接部92と、アジテータギア72のギア部85のギア歯とが当接する際に発生する音を小さくできる。
(7)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、揺動部89は、回転軸線A3よりも上方側に配置されている。
【0166】
そのため、揺動部89の突出部91がアジテータギア72に当接することで、中心部90を中心として前方側に向かって回転しても、自重によって、もとの状態、すなわち、中心部90を中心として後方側に向かって回転させることができる。
【0167】
そして、突出部91は、回転軸線A3よりも上方側に配置されるため、揺動部89が中心部90を中心として後方側に回転すると、突出部91は、アジテータギア72に係合する。
【0168】
そのため、突出部91を、アジテータギア72に対して係合しやすい構成にできる。
(8)また、この現像カートリッジ1によれば、
図6に示すように、アジテータ5は、欠け歯ギア71の歯部81がアジテータギア72のギア部85に噛み合っている間に、回転方向R1において連通口58の上流側に位置する第1姿勢から、回転方向R1において連通口58の下流側に位置する第2姿勢まで移動する。
【0169】
ここで、アジテータ5が、第1姿勢と第2姿勢との間に位置する状態において、その回転が停止すると、トナー収容室56からトナーを円滑に送出できない場合がある。
【0170】
しかし、上記したように、アジテータ5は、欠け歯ギア71の歯部81がアジテータギア72のギア部85に噛み合っている間に、第1姿勢から第2姿勢まで移動する。
【0171】
その結果、アジテータ5によって、トナーをトナー収容室56から確実に送出できる。
(9)また、この現像カートリッジ1によれば、
図6に示すように、アジテータ5が左側面視時計回り方向に回転する状態において、アジテータ5の撹拌羽根63は、弾性変形しながら、カバーフレーム38、前壁41、および、底壁42のリップ部分47に順次摺接する。
【0172】
そのため、アジテータ5の回転速度が速くなることを抑制できる。
(10)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、欠け歯ギア71の歯部81における、1つのギア歯の先端G1と回転軸線A2とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G2と回転軸線A2とを結ぶ線分とのなす角度θ1は、欠け歯ギア71のギア部85における、1つのギア歯の先端G3と回転軸線A3とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G4と回転軸線A3とを結ぶ線分とのなす角度θ2と、同一である。
【0173】
そのため、欠け歯ギア71の歯部81と、アジテータギア72のギア部85とを確実に噛み合わせることができる。
(11)また、この現像カートリッジ1によれば、
図5に示すように、欠け歯ギア71の第2ギア部77には、スリット80が位置している。
【0174】
そのため、欠け歯ギア71の歯部81の位相と、アジテータギア72のギア部85の位相とがずれて、これらが円滑に噛み合わない場合には、欠け歯ギア71の第2ギア部77が弾性変形する。そして、欠け歯ギア71の歯部81のギア歯が、アジテータギア72のギア部85におけるギア歯とギア歯との間に入り込み、欠け歯ギア71の歯部81とアジテータギア72のギア部85とが噛み合う。
【0175】
その結果、欠け歯ギア71の歯部81とアジテータギア72のギア部85とを一層確実に噛み合わせることができる。
8.第2実施形態
図7を参照して、現像カートリッジの第2実施形態を説明する。なお、以下において、上記第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
(1)第2実施形態
(1−1)第2実施形態の現像カートリッジの詳細
上記した第1実施形態では、揺動部89は、アジテータギア72のギア部85に係合する。
【0176】
対して、第2実施形態では、現像カートリッジ111が、規制ギア100を備えており、揺動部189は、規制ギア100に係合する。
【0177】
詳しくは、第2実施形態では、アジテータ115のアジテータ軸161の右端部は、右側壁140よりも右方まで延びている。そして、規制ギア100は、アジテータ軸161の右端部に取り付けられている。
【0178】
規制ギア100は、左右方向に厚みを有する略円板形状を有しており、その周面すべてにわたって、ギア歯を有している。規制ギア100の径は、アジテータギア72のギア部85の径よりも大きい。
【0179】
また、規制ギア100におけるギア歯のピッチは、B3である。規制ギア100におけるギア歯のピッチB3は、
図5に示すアジテータギア72のギア部85におけるギア歯のピッチB2よりも短い。
【0180】
規制ギア100は、アジテータ軸161の右端部に相対回転不能に取り付けられており、現像フレーム112の右方に配置されている。つまり、規制ギア100は、現像フレーム112に対して、駆動ユニット36の反対側に配置されている。これにより、規制ギア100は、アジテータギア72およびアジテータ115と一体となって、回転軸線A6について回転するように構成されている。
【0181】
規制ギア100において、1つのギア歯の先端G5と回転軸線A6とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G6と回転軸線A6とを結ぶ線分とのなす角度θ3は、略10°である。角度θ3は、角度θ2よりも小さい。
【0182】
また、右側壁140には、支持軸188が配置されている。
【0183】
支持軸188は、右側壁140の右面の前後方向中央部分から右方に向かって延びており、略円柱形状を有している。支持軸188は、回転軸線A6よりも上方側に配置されている。
【0184】
また、規制部材166は、右側壁140の右面において、規制ギア100の後方に配置されている。
【0185】
規制部材166は、揺動部189と、第2当接部192とを備えている。
【0186】
揺動部189は、例えば、樹脂からなり、中心部190と、突出部191とを備えている。
【0187】
中心部190は、左右方向に延びる略円筒形状を有している。中心部190の内径は、支持軸188の外径と略同一である。
【0188】
突出部191は、中心部190の周面から、中心部190の径方向外方、具体的には、前上方に向かって突出する略棒状、具体的には、略角柱形状を有している。
【0189】
そして、揺動部189は、中心部190が支持軸188を回転可能に受け入れ、突出部191が前下方に延びるように配置されている。
【0190】
これにより、揺動部189は、支持軸188を中心として、揺動可能である。
【0191】
第2当接部192は、突出部191の前端部における下面に固定されている。そして、第2当接部192は、規制ギアのギア歯に上方から接触している。
【0192】
そして、アジテータ115が回転方向R1に回転して、規制ギア100が回転方向R1に回転すると、揺動部189の第2当接部192は、規制ギア100のギア歯との当接および離間を繰り返す。すなわち、揺動部189は、規制ギア100の回転方向R1への回転を許容する。
【0193】
また、規制ギア100が停止している状態では、突出部191の縁191Aは、規制ギア100のギア歯に対して回転方向R1の上流側に配置され、第2当接部192は、規制ギア100のギア歯に対して、回転方向R1の下流側から当接する。
【0194】
図1に示す羽根固定部62および撹拌羽根63の自重により、アジテータ115に回転方向R1の逆方向に力が加わる場合には、揺動部189の突出部191が、規制ギア100と係合して、規制ギア100の回転方向R2への回転を規制する。
(1−2)第2実施形態の作用効果
第2実施形態の現像カートリッジ111によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0195】
また、第2実施形態の現像カートリッジ111によれば、
図7に示すように、揺動部189は、アジテータギア72のギア部85よりも大径な規制ギア100に係合する。
【0196】
そのため、揺動部189がアジテータギア72のギア部85に係合する場合に比べて、揺動部189に加わる力よりも小さくできる。
【0197】
また、この現像カートリッジ111によれば、
図7に示すように、規制ギア100において、1つのギア歯の先端G5と回転軸線A6とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G6と回転軸線A6とを結ぶ線分とのなす角度θ3は、欠け歯ギア71のギア部85における、1つのギア歯の先端G3と回転軸線A6とを結ぶ線分と、そのギア歯に対して隣り合うギア歯の先端G4と回転軸線A6とを結ぶ線分とのなす角度θ2よりも小さい。
【0198】
そのため、規制ギア100における1つのギア歯と隣り合うギア歯との間の角度を小さくできる。
【0199】
その結果、規制ギア100のギア歯と、突出部191とが係合してから、次に規制ギア100のギア歯とが係合するまでの間に、規制ギア100が回転する角度を小さくできる。
【0200】
よって、アジテータ115の回転方向R2の回転を一層確実に規制できる。
9.変形例
上記実施形態においては、ギア部85におけるギア歯の数は、歯部81におけるギア歯の数の7倍であるとしたが、ギア部85におけるギア歯の数は、歯部81におけるギア歯の数の整数倍であればよく、特に制限されない。すなわち、ギア部85におけるギア歯の数は、アジテータ5の停止回数によって、適宜変更される。
【0201】
また、上記実施形態においては、支持軸88は、ギアカバー73から突出するとしたが、左側壁39から突出する構成であってもよい。
【0202】
また、上記実施形態においては、現像ローラ3を備える現像カートリッジ1に規制部材66が備えられるが、例えば、内部にトナー収容室56のみを有するトナーカートリッジや、ドラムカートリッジ20と現像カートリッジ1とが一体となったプロセスカートリッジに規制部材66が備えられてもよい。