(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光電変換装置は、薄膜トランジスター400を形成した後にフォトダイオード500を形成するので、構造が複雑になり、製造工程も長く、歩留が低下しやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る光電変換装置は、第1導電型半導体膜と第2導電型半導体膜とが積層された光電変換素子と、第1導電型半導体膜を含むトランジスター素子と、を備え、前記光電変換素子の前記第1導電型半導体膜と前記トランジスター素子の前記第1導電型半導体膜とは、同一材料で同一層上に形成されており、前記光電変換素子の前記第2導電型半導体膜は、カルコパイライト型半導体膜であることを特徴とする。
【0008】
本適用例では、光電変換素子の第1導電型半導体膜とトランジスター素子の第1導電型半導体膜とが同一材料で同一層上に形成されているので、光電変換素子の第1導電型半導体膜とトランジスター素子の第1導電型半導体膜とが別の材料で別の層の上に形成されている場合と比べて、素子構造を簡略化し、製造工程を短縮化し、歩留を高めることができる。
さらに、光電変換素子の第2導電型半導体膜は、光吸収係数が大きいカルコパイライト型半導体膜であるので、光電変換素子は光電変換効率に優れ、高い光感度を有する。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記第1導電型半導体膜は、n型シリコン膜であることが好ましい。
【0010】
トランジスター素子の第1導電型半導体膜はn型シリコン膜である。すなわち、トランジスター素子はシリコントランジスターであるので、例えばゲルマニウムトランジスターと比べて、特性の安定性に優れ、安定して製造することができる。
【0011】
[適用例3]本適用例に係る光電変換装置は、カソードとアノードとが積層された光電変換素子と、ソースドレインを有するトランジスター素子と、を備え、前記カソードと前記ソースドレインとは、同一材料で同一層上に形成されており、前記光電変換素子の前記アノードは、カルコパイライト型半導体膜であることを特徴とする。
【0012】
本適用例によれば、光電変換素子のカソードとトランジスター素子のソースドレインとが同一材料で同一層上に形成されているので、光電変換素子のカソードとトランジスター素子のソースドレインとが別の材料で別の層に形成されている場合と比べて、素子構造を簡略化し、製造工程を短縮化し、歩留を高めることができる。
さらに、光電変換素子のアノードは、光吸収係数が大きいカルコパイライト型半導体膜であるので、光電変換素子は光電変換効率に優れ、高い光感度を有する。
【0013】
[適用例4]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記ソースドレインは、n型シリコン膜であることが好ましい。
【0014】
トランジスター素子のソースドレインはn型シリコン膜である。すなわち、トランジスター素子はシリコントランジスターであるので、例えばゲルマニウムトランジスターと比べて、特性の安定性に優れ、安定して製造することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記光電変換素子は、前記アノードに電気的に接続されたアノード電極を有し、前記トランジスター素子は、前記ソースに電気的に接続されたソース電極を有し、前記アノード電極と前記ソース電極とは同一材料で構成されていることが好ましい。
【0016】
光電変換素子のアノード電極とトランジスター素子のソース電極とが同一材料で構成されているので、光電変換素子のアノード電極とトランジスター素子のソース電極とが別の材料で構成されている場合と比べて、光電変換装置を構成する材料の数が少なくなり、光電変換装置を製造する工程を短縮化することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例に記載の光電変換装置において、前記カルコパイライト型半導体膜は、Cu(Inx,Ga(1−x))Se2(0≦x≦1)であることが好ましい。
【0018】
カルコパイライト型半導体膜は、CIGS系の膜(Cu(In、Ga)Se
2)またはCIS系の膜(CuInSe
2)であるので、光吸収係数が大きく、光電変換装置(光電変換素子)の光感度を高めることができる。
【0019】
[適用例7]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の光電変換装置と、発光装置とを含むことを特徴とする。
【0020】
本適用例によれば、発光装置から照射され生体などの対象物で反射された光を、光電変換装置で受光し、生体情報などの情報を高い感度で検出可能な電子機器を提供することができる。
【0021】
[適用例8]本適用例に係る光電変換装置の製造方法は、絶縁膜上に第1導電型半導体膜にて第1パターンと第2パターンとを形成する工程と、前記第1パターン及び前記第2パターンを覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜に前記第1パターンを露出させる開口を形成し、11族元素と13族元素とを配置する工程と、前記11族元素と前記13族元素とをセレン化する工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
第1導電型半導体膜で形成された第1パターンの上に、11族元素と13族元素とがセレン化された化合物を形成することで、光電変換素子が形成される。第1導電型半導体膜で形成された第2パターンをゲート絶縁膜で覆うことで、第2パターンをソースドレインとするトランジスター素子が形成される。
【0023】
つまり、本適用例に係る光電変換装置の製造方法では、光電変換素子の一方の半導体膜(第1パターン)とトランジスター素子のソースドレイン(第2パターン)とを、同一材料で同一層上に形成するので、光電変換素子の一方の半導体膜(第1パターン)とトランジスター素子のソースドレイン(第2パターン)とを、別の材料で別の層の上に形成する場合と比べて、素子構造を簡略化し、製造工程を短縮化し、歩留を高めることができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例に記載の光電変換装置の製造方法において、前記11族元素は、Cuを含み、前記13族元素は、Inを含む、またはIn及びGaを含むことが好ましい。
【0025】
11族元素と13族元素とをセレン化することで形成される化合物は、CuとInとセレン(Se)とを含むCIS系の膜(CuInSe
2)、またはCuとInとGaとセレン(Se)とを含むCIGS系の膜(Cu(In、Ga)Se
2)からなるカルコパイラト型半導体膜であり、光吸収係数が大きい。従って、光電変換素子は、光吸収係数が大きいカルコパイラト型半導体膜を備え、高い光感度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本願の一態様を示すものであり、本願を限定するものではなく、本願の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
【0028】
本実施形態では、光電変換装置の例としてイメージセンサーを挙げ、電子機器の例としてこのイメージセンサーを適用した生体情報取得装置を例に挙げて説明する。
【0029】
<電子機器>
図1は、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図である。
図2は、生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図である。
最初に、
図1及び
図2を参照し、本実施形態に係る生体情報取得装置について説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る生体情報取得装置200は、人体Mの手首(リスト)に装着する携帯型の情報端末装置である。生体情報取得装置200では、手首の内部における血管の画像情報から生体における血管の位置を特定することや、非侵襲で光学的に当該血管の血液中の特定成分、例えばグルコースなどの含有量を検出することで血糖値を特定することができる。
【0031】
生体情報取得装置200は、手首に装着可能な環状のベルト164と、ベルト164の外側に取り付けられた本体部160と、本体部160に対して対向する位置においてベルト164の内側に取り付けられたセンサー部150とを有している。
【0032】
本体部160は、本体ケース161と、本体ケース161に組み込まれた表示部162とを有している。本体ケース161には、表示部162だけでなく、操作ボタン163や、後述する制御部165などの回路系(
図2参照)、電源としての電池などが組み込まれている。
【0033】
センサー部150は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100を受光部として備えている(
図2参照)。センサー部150は、ベルト164に組み込まれた配線(
図1では図示を省略)により本体部160と電気的に接続されている。イメージセンサー100は、複数のフォトセンサー50を備え、各フォトセンサー50は受光素子であるフォトダイオード20を有している(
図4参照)。
【0034】
このような生体情報取得装置200は、手の甲と反対の手のひら側の手首にセンサー部150が接するように手首に装着して用いられる。このように装着することで、センサー部150が皮膚の色によって検出感度が変動することを避けることができる。
【0035】
なお、本実施形態に係る生体情報取得装置200では、ベルト164に対して本体部160とセンサー部150とを分けて組み込んだ構成となっているが、本体部160とセンサー部150とを一体としベルト164に組み込んだ構成としてもよい。
【0036】
図2に示すように、生体情報取得装置200は、制御部165と、制御部165に電気的に接続されたセンサー部150と、記憶部167と、出力部168と、通信部169とを有している。また、出力部168に電気的に接続された表示部162を有している。
【0037】
センサー部150は、発光装置130と、イメージセンサー100とを備えている。発光装置130とイメージセンサー100とは、それぞれ制御部165に電気的に接続されている。発光装置130は、波長が700nm〜2000nmの範囲の近赤外光ILを発する光源部を有している。制御部165は発光装置130を駆動して近赤外光ILを発光させる。近赤外光ILは人体Mの内部に伝搬して散乱する。人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部を反射光RLとしてイメージセンサー100で受光することができる構成となっている。
このように、生体情報取得装置200は、光電変換装置の一例であるイメージセンサー100と、発光装置130とを含む。
【0038】
制御部165は、イメージセンサー100により受光した反射光RLの情報を記憶部167に記憶させることができる。そして、制御部165は、当該反射光RLの情報を出力部168で処理させる。出力部168は、当該反射光RLの情報を血管の画像情報に変換して出力したり、血液中の特定成分の含有情報に変換して出力したりする。また、制御部165は、変換された血管の画像情報や血液中の特性成分の情報を表示部162に表示させることができる。そして、これらの情報を通信部169から他の情報処理装置に送信することができる。
【0039】
また、制御部165は、通信部169を介して他の情報処理装置からプログラムなどの情報を受け取って記憶部167に記憶させることができる。通信部169は有線によって他の情報処理装置と接続された有線通信手段でもよいし、ブルートゥース(Blue tooth(登録商標))などの無線通信手段であってもよい。なお、制御部165は、取得した血管や血液に纏わる情報を表示部162に表示させるだけでなく、記憶部167に予め記憶させたプログラムなどの情報や、現在時刻などの情報を表示部162に表示させてもよい。また、記憶部167は脱着可能なメモリーであってもよい。
【0040】
<センサー部>
図3は、センサー部の構成を示す概略斜視図である。
図4は、センサー部の構造を示す概略断面図である。
次に、
図3および
図4を参照し、本実施形態に係る生体情報取得装置200が有するセンサー部150について説明する。
【0041】
図3に示すように、センサー部150は、イメージセンサー100と遮光部110と可変分光部120と発光装置130と保護部140とを有している。これらの各部はそれぞれ板状であって、イメージセンサー100上に、遮光部110と、可変分光部120と、発光装置130と、保護部140とが順に積層されている。
【0042】
なお、センサー部150は、各部が積層された積層体を収容し、ベルト164に取り付け可能なケース(図示省略)を有している。以下の説明では、上記積層体の一辺部に沿った方向をX方向とし、一辺部と直交する他の辺部に沿った方向をY方向とし、上記積層体の厚み方向に沿った方向をZ方向とする。
【0043】
図4に示すように、発光装置130は、透光性の基板本体131と、基板本体131の一方の面131aに設けられた光源部133と、透光部132とを有している。光源部133としては、例えば、LED素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などを用いることができる。光源部133や透光部132と重なるように保護部140が設けられている。保護部140は、例えば、カバーガラスやプラスチックなどの透明な板である。
【0044】
保護部140の一方の面140aに接するように人体Mが配置される。光源部133は、保護部140側に近赤外光ILを射出する構成となっており、人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部である反射光RLは透光部132を透過して、下層の可変分光部120へ導かれる。
【0045】
可変分光部120は、固定基板121と、可動基板122とを含む。可変分光部120では、固定基板121と可動基板122との間の隙間(ギャップ)を電気的に制御することで、可変分光部120を透過する反射光RLの分光分布(分光特性)を変えることができる。可変分光部120を透過した反射光RLは下層の遮光部110に導かれる。
【0046】
遮光部110は、透光性の基板本体111と、基板本体111の可変分光部120側の面111aに対して反対側の面111bに設けられた遮光膜113とを有している。遮光膜113には、発光装置130の透光部132の配置に対応する位置に開口部(ピンホール)112が形成されている。遮光部110は、可変分光部120とイメージセンサー100との間に配置され、開口部112を透過した反射光RLだけがフォトダイオード20に導かれ、それ以外の反射光RLは遮光膜113によって遮光されるようなっている。
【0047】
イメージセンサー100は、近赤外光に対して高い光感度を有している。イメージセンサー100は、透光性の基板10やフォトセンサー50(フォトダイオード20)などを有している。複数のフォトセンサー50(フォトダイオード20)は、基板10の遮光部110側の面10bに対して反対側の面10aに設けられている。複数のフォトダイオード20のそれぞれは、遮光部110における開口部112の配置に対応した位置に配置される。開口部112を透過した反射光RLは、透光性の基板10を通過しフォトダイオード20に入射する。
なお、イメージセンサー100の詳細は後述する。
【0048】
上記の構成に加えて、フォトダイオード20に入射する反射光RLに可視光が混ざることを抑制するために、例えば可視光波長範囲(400nm〜700nm)の光をカットするフィルターが、発光装置130の透光部132や、遮光部110の開口部112に対応して配置されていてもよい。
【0049】
なお、センサー部150の構成は、これに限定されるものではない。例えば、発光装置130は、保護部140を含む構成としてもよく、保護部140によって光源部133を封止する構造としてもよい。また、透光部132を透過した光は、屈折率が異なる部材の界面で反射して減衰するおそれがあるので、例えば、発光装置130の基板本体131の面131bと、可変分光部120とが接するように、発光装置130と可変分光部120とを貼り合わせてもよい。また、可変分光部120と遮光部110の面111aとが接するように貼り合わせてもよい。このようにすれば互いの厚み方向(Z方向)における位置関係をより確実なものとすることができる。
さらに、基板10の面10aに対向する保護基板や保護フィルムを設け、フォトダイオード20を保護し、傷つきにくくしてもよい。
【0050】
<イメージセンサー>
図5(a)は光電変換装置としてのイメージセンサーの構成を示す概略配線図であり、同図(b)はフォトセンサーの構成を示す等価回路図である。
図6はフォトセンサーの構成を示す概略断面図である。
なお、
図6はフォトセンサー50のX方向に沿った断面図であり、
図6における手前から奥へ向かう方向がY方向であり、上方に向かう方向がZ方向である。
図6において、フォトセンサー50をフォトダイオード20の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
以下に、
図5及び
図6を参照し、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100の詳細を説明する。
【0051】
図5(a)に示すように、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100は、素子領域Fにおいて互いに交差して延在する複数の走査線13及び複数のデータ線15と、複数の走査線13が電気的に接続された走査線駆動回路102と、複数のデータ線15が電気的に接続されたデータ線駆動回路101とを有している。さらに、イメージセンサー100は、走査線13とデータ線15との交差点付近に対応して設けられ、素子領域Fにおいてマトリックス状に配置された複数のフォトセンサー50を有している。
【0052】
図5(b)に示すように、フォトセンサー50は、薄膜トランジスター(以降、TFTと称す)11と、フォトダイオード20と、保持容量30とを含んで構成されている。TFT11のゲート電極は走査線13に接続され、TFT11のソース電極はデータ線15に接続されている。フォトダイオード20のアノードはTFT11のドレイン電極に接続され、フォトダイオード20のカソードはデータ線15と並行して設けられた定電位線16に接続されている。保持容量30の一方の電極はTFT11のドレイン電極に接続され、他方の電極は走査線13と並行して設けられた定電位線14に接続されている。
TFT11は、「トランジスター素子」の一例である。フォトダイオード20は、「光電変換素子」の一例である。
【0053】
定電位線14,16によってフォトダイオード20に逆方向バイアスを印加した状態で、フォトダイオード20に光が入射すると、フォトダイオード20に光電流が流れ、それに応じた電荷が保持容量30に蓄積される。さらに、複数の走査線13のそれぞれによって複数のTFT11をON(選択)させることで、データ線15には、各フォトセンサー50が備える保持容量30に蓄積された電荷に対応する信号が順次出力される。
かかる構成によって、イメージセンサー100では、素子領域Fにおいてそれぞれのフォトセンサー50が受光した光の強度を検出することができる。
【0054】
図6に示すように、フォトセンサー50は、基板10の面10aの側に設けられたフォトダイオード20やTFT11などを備えている。
基板10には、例えばガラス基板や石英基板などの透明基板が使用されている。基板10の面10aの上には、遮光膜1が形成されている。遮光膜1は、例えばモリブデン(Mo)で構成される。遮光膜1は、遮光性を有する導電材料で構成されていればよく、Moの他に、例えばチタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)などの高融点金属や、これら高融点金属のシリサイドなどを使用することができる。遮光膜1は、絶縁膜2で覆われている。絶縁膜2は、例えば酸化シリコン(SiO
2)で構成される。
【0055】
絶縁膜2の上には、遮光膜1と平面的に重なるように半導体膜3が形成されている。遮光膜1は、基板10の側から光が半導体膜3に入射しないように光を遮る。さらに、絶縁膜2の上には、遮光膜1と平面的に重ならないようにn型半導体膜21が形成されている。つまり、n型半導体膜21は、基板10の側から光が入射するように形成されている。
【0056】
半導体膜3は、例えば多結晶シリコンで構成され、n型不純物がドープされたソース領域3sと、n型不純物がドープされたドレイン領域3dと、ドレイン領域3dとソース領域3sとで挟まれたチャネル領域3cとを有している。半導体膜3のソース領域3sはTFT11のソースであり、半導体膜3のドレイン領域3dはTFT11のドレインである。
換言すれば、半導体膜3のソース領域3s及びドレイン領域3d(TFT11のソースドレイン)は、n型不純物がドープされキャリアが電子であるn型シリコン膜である。TFT11は、n型不純物がドープされキャリアが電子であるn型シリコン膜を備える。
なお、半導体膜3のドレイン領域3d及びソース領域3sは、「第1導電型半導体膜」及び「n型シリコン膜」の一例である。
【0057】
n型半導体膜21は、半導体膜3のドレイン領域3d及びソース領域3sと同じ材料(n型不純物がドープされた多結晶シリコン)で構成される。n型半導体膜21は、フォトダイオード20のカソードである。
換言すれば、n型半導体膜21(フォトダイオード20のカソード)は、n型不純物がドープされキャリアが電子であるn型シリコン膜である。フォトダイオード20は、n型不純物がドープされキャリアが電子であるn型シリコン膜を備える。
なお、n型半導体膜21は、「第1導電型半導体膜」及び「n型シリコン膜」の一例である。
【0058】
半導体膜3のソース領域3sと、半導体膜3のドレイン領域3dと、n型半導体膜21とは、同じ材料で構成されたキャリアが電子のn型シリコン膜であり、絶縁膜2の上に形成されている。換言すれば、半導体膜3のソース領域3s及びドレイン領域3d(TFT11のソースドレイン)と、n型半導体膜21(フォトダイオード20のカソード)とは、同一材料で同一層上に形成されている。
【0059】
半導体膜3及びn型半導体膜21の上には、ゲート絶縁膜4が形成されている。ゲート絶縁膜4は、例えば酸化シリコンで構成される。ゲート絶縁膜4は、n型半導体膜21を露出させる開口23を有している。
【0060】
ゲート絶縁膜4の上には、半導体膜3のチャネル領域3cに対向配置されたゲート電極4gが形成されている。ゲート電極4gは、例えばアルミニウム(Al)で構成される。TFT11は、半導体膜3とゲート絶縁膜4とゲート電極4gとを含んで構成される。
【0061】
ゲート絶縁膜4の開口23で露出したn型半導体膜21の上には、p型半導体膜22が積層されている。p型半導体膜22は、開口23を覆うように形成されている。p型半導体膜22は、平面視でn型半導体膜21に重なり、平面視でn型半導体膜21の内側に形成されている。
換言すれば、n型半導体膜21は、p型半導体膜22よりも広く、平面視でp型半導体膜22から張り出している。
【0062】
p型半導体膜22は、フォトダイオード20のアノードである。p型半導体膜22は、第11族元素である銅(Cu)と第13族元素であるインジウム(In,Ga)と第16族元素であるセレン(Se)とを含むカルコパイライト構造のCIGS系(Cu(In、Ga)Se
2)の膜、または第11族元素である銅(Cu)と第13族元素であるインジウム(In)と第16族元素であるセレン(Se)とを含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe
2)の膜である。すなわち、p型半導体膜22は、Cu(Inx,Ga(1−x))Se2(0≦x≦1)で構成されるカルコパイライト型半導体膜である。p型半導体膜22は、光吸収係数が大きく、可視光から近赤外光までの波長域の光を効率よく吸収することができる。
なお、p型半導体膜22は、「第2導電型半導体膜」の一例である。
【0063】
フォトダイオード20は、n型半導体膜21とp型半導体膜22とで構成される。n型半導体膜21はフォトダイオード20のカソードであり、p型半導体膜22はフォトダイオード20のアノードである。開口23の内側の領域(n型半導体膜21とp型半導体膜22とが接した領域)が、フォトダイオード20の受光領域となる。
【0064】
フォトダイオード20は、光吸収係数が大きいp型半導体膜22を備えているので、光電変換効率が高く、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する。従って、フォトダイオード20をイメージセンサー100に適用することで、上述した生体情報取得装置200において、近赤外光ILの一部である反射光RLを高感度で検出することができる。
【0065】
ゲート絶縁膜4の上には、層間絶縁膜5が形成されている。層間絶縁膜5は、例えば酸化シリコンで構成され、p型半導体膜22とn型半導体膜21のp型半導体膜22から張り出した部分とゲート電極4gとを覆う。層間絶縁膜5は、p型半導体膜22を露出させる開口24を有している。
【0066】
ゲート絶縁膜4及び層間絶縁膜5には、半導体膜3のソース領域3sに至るコンタクトホールCNT1と、半導体膜3のドレイン領域3dに至るコンタクトホールCNT2と、p型半導体膜22から張り出したn型半導体膜21に至るコンタクトホールCNT3とが形成されている。
【0067】
層間絶縁膜5の上には、ソース電極6と、アノード電極7と、定電位線16とが形成されている。ソース電極6とアノード電極7と定電位線16とは、Alで構成される。つまり、ソース電極6とアノード電極7と定電位線16とは、同一材料で構成されている。
ソース電極6は、コンタクトホールCNT1を介して半導体膜3のソース領域3sに電気的に接続されている。つまり、ソース電極6は、TFT11のソースに電気的に接続されたソース電極である。
【0068】
アノード電極7は、開口24で露出されたp型半導体膜22と、コンタクトホールCNT2を介して半導体膜3のドレイン領域3dとに電気的に接続されている。アノード電極7は、フォトダイオード20のアノード(p型半導体膜22)に電気的に接続されたアノード電極と、TFT11のドレイン(半導体膜3のドレイン領域3d)に電気的に接続されたドレイン電極とを兼ねる。
【0069】
定電位線16は、コンタクトホールCNT3を介してn型半導体膜21に電気的に接続されている。定電位線16は、フォトダイオード20のカソード(n型半導体膜21)に電気的に接続されたカソード電極を兼ねる。
【0070】
このように、TFT11のソース電極6と、フォトダイオード20のアノード電極7とは、同一材料で構成されている。さらに、層間絶縁膜5の上には、ソース電極6とアノード電極7と定電位線16とを覆う層間絶縁膜8が形成されている。層間絶縁膜8は、例えば酸化シリコンで構成される。
【0071】
<イメージセンサーの製造方法>
図7は、本実施形態に係るイメージセンサーの製造方法を示す工程フローである。
図8及び
図9は、
図6に対応する図であり、
図7に示す主要な工程を経た後のイメージセンサーの状態を示す概略断面図である。
以下、
図7乃至
図9を参照し、本実施形態に係るイメージセンサー100の製造方法を説明する。
【0072】
図7に示すように、本実施形態に係るイメージセンサー100の製造方法は、前駆体膜3Aを形成する工程(ステップS1)と、半導体膜3を形成する工程(ステップS2)と、ゲート絶縁膜4を形成する工程(ステップS3)と、第11族元素を含む金属膜22aと第13族元素を含む金属膜22bとを形成する工程(ステップS4)と、第11族元素を含む金属膜22aと第13族元素を含む金属膜22bとをセレン化する工程(ステップS5)と、ゲート電極4gを形成する工程(ステップS6)と、層間絶縁膜5を形成する工程(ステップS7)と、ソース電極6及びアノード電極7を形成する工程(ステップS8)と、層間絶縁膜8を形成する工程(ステップS9)と、を含む。
【0073】
なお、ステップS2は、「第1パターンと第2パターンとを形成する工程」の一例である。ステップS3は、「ゲート絶縁膜を形成する工程」の一例である。ステップS3及びステップS4は、「第1パターンを露出させる開口を形成し、11族元素と13族元素とを配置する工程」の一例である。ステップS5は、「セレン化する工程」の一例である。
【0074】
図8(a)に示すように、ステップS1では、遮光膜1と絶縁膜2とが積層された基板10の上に、アモルファスシリコン膜で構成される前駆体膜3Aを形成する。詳しくは、例えばモノシラン(SiH
4)を反応ガスとしたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、アモルファスシリコン膜を絶縁膜2の上に堆積し、前駆体膜3Aを形成する。
【0075】
図8(b)に示すように、ステップS2では、前駆体膜3Aを結晶化し多結晶シリコン膜を形成した後、n型不純物をドーピングし、半導体膜3及びn型半導体膜21を形成する。
【0076】
詳しくは、例えば波長308nmのエキシマレーザーを前駆体膜3Aに照射し、前駆体膜3Aを結晶化し、多結晶シリコン膜を形成する。続いて、フォトリソプロセスを用いて多結晶シリコン膜の上にレジストを形成し、半導体膜3のチャネル領域3cとなる部分をレジストで覆う。続いて、イオンドーピング法を用いて、n型不純物(例えば、リン(P))をレジストで覆われていない部分の多結晶シリコン膜に注入する。レジストを除去した後、概略450〜500℃の熱処理を施し、n型不純物を活性化する。続いて、ドライエッチング法を用いて多結晶シリコン膜をパターニングし、半導体膜3とn型半導体膜21とを形成する。
【0077】
レジストで覆われていない部分の多結晶シリコンは、n型不純物がドープされ、キャリアが電子であるn型シリコン膜となる。キャリアが電子であるn型シリコン膜によって、半導体膜3のソース領域3sと、半導体膜3のドレイン領域3dと、n型半導体膜21とを形成する。
【0078】
レジストで覆われた部分の多結晶シリコン膜は、n型不純物がドーピングされていないシリコン膜(真性半導体膜)となる。n型不純物がドーピングされていないシリコン膜によって、半導体膜3のチャネル領域3cを形成する。
なお、n型半導体膜21は、「第1パターン」の一例である。半導体膜3のソース領域3s及び半導体膜3のドレイン領域3dは、「第2パターン」の一例である。換言すれば、ステップS2は、キャリアが電子のn型シリコン膜によって、第1パターン(n型半導体膜21)と第2パターン(半導体膜3のソース領域3s及びドレイン領域3d)とを、絶縁膜2の上に形成する工程である。
【0079】
図8(c)に示すように、ステップS3では、開口23を有するゲート絶縁膜4を形成する。詳しくは、例えばモノシラン及び亜酸化窒素(N
2O)などを反応ガスとしたプラズマCVD法を用いて、酸化シリコンを半導体膜3及びn型半導体膜21の上に堆積し、ゲート絶縁膜4を形成する。続いて、ドライエッチング法を用いて、ゲート絶縁膜4にn型半導体膜21を露出させる開口23を形成する。
【0080】
換言すれば、ステップS3は、第1パターン(n型半導体膜21)と第2パターン(半導体膜3のソース領域3s及びドレイン領域3d)とを覆うゲート絶縁膜4を形成する工程であり、第1パターン(n型半導体膜21)を露出させる開口23を形成する工程である。
【0081】
図8(d)に示すように、ステップS4では、ゲート絶縁膜4と開口23で露出されたn型半導体膜21との上に、11族元素及び13族元素を含む金属膜を形成(配置)する。
ステップS4では、スパッタ法を用いて、ゲート絶縁膜4と開口23で露出されたn型半導体膜21との上に、Cu(11族元素)とGa(13族元素)との合金からなる金属膜22aと、Inからなる金属膜22b(13族元素)とを順に堆積する。換言すれば、ステップS4では、ゲート絶縁膜4と開口23で露出されたn型半導体膜21との上に、1種類の11族元素(Cu)と2種類の13族元素(In、Ga)とを含む金属膜を配置する。
【0082】
または、ステップS4では、ゲート絶縁膜4と開口23で露出されたn型半導体膜21との上に、Cu(11族元素)からなる金属膜22aと、Inからなる金属膜22b(13族元素)とを順に成膜する。換言すれば、ステップS4では、ゲート絶縁膜4と開口23で露出されたn型半導体膜21との上に、1種類の11族元素(Cu)と1種類の13族元素(In)とを含む金属膜を配置する。
【0083】
このように、ステップS3及びステップS4は、ゲート絶縁膜4に第1パターン(n型半導体膜21)を露出させる開口23を形成し、11族元素と13族元素とを配置する工程である。
【0084】
図8(e)に示すように、ステップS5では、金属膜22a及び金属膜22bを第16族元素と反応させて、カルコパイライト型半導体膜(p型半導体膜22)を形成する。詳しくは、金属膜22aおよび金属膜22bに対して、第16族元素を含む気体の雰囲気中で熱処理を施す。第16族元素としては、例えば、セレン(Se)、硫黄(S)、テルル(Te)などを用いることができる。熱処理の温度は、例えば400℃〜550℃である。
【0085】
本実施形態では、第16族元素を含む気体としてセレン化水素(H
2Se)を用い、セレン化水素雰囲気中で概略450℃の温度で熱処理を施す。なお、第16族元素を含む気体として硫化水素(H
2S)を用いてもよいし、セレン化水素雰囲気中で熱処理を施した後に硫化水素雰囲気中でさらに熱処理を施すこととしてもよい。
【0086】
この熱処理は、金属膜22aおよび金属膜22bを第16族元素と反応させてカルコパイライト型半導体膜(p型半導体膜22)とするための処理である。熱処理の温度が400℃以上であると、金属膜22aおよび金属膜22bが第16族元素と良好に反応する。一方、熱処理の温度が550℃以下であると、高温に晒されることによる基板10の変形や金属の析出などの弊害が生じにくくなる。
換言すれば、ステップS5は、11族元素と13族元素とをセレン化する工程である。
【0087】
ステップS4において、Cu(11族元素)とGa(13族元素)との合金からなる金属膜22aと、Inからなる金属膜22b(13族元素)とが積層されている場合、ステップS5のセレン化水素雰囲気中の熱処理によって、カルコパイライト構造のCIGS系の膜(Cu(In、Ga)Se
2)を形成することができる。
【0088】
ステップS4において、Cu(11族元素)からなる金属膜22aと、Inからなる金属膜22b(13族元素)とが積層されている場合、ステップS5のセレン化水素雰囲気中の熱処理によって、カルコパイライト構造のCIS系の膜(CuInSe
2)を形成することができる。
さらに、カルコパイライト構造のCIGS系の膜またはカルコパイライト構造のCIS系の膜を、平面視でn型半導体膜21に重なり平面視でn型半導体膜21よりも狭くなるようにパターニングし、p型半導体膜22を形成する。
【0089】
p型半導体膜22の組成をCu(Inx,Ga(1−x))Se2(0≦x≦1)とし、p型半導体膜22の組成をCu(In、Ga)Se
2からCuInSe
2まで変化させることにより、高感度で受光可能な光の波長域を近赤外光の波長域(概略1300nm)まで拡張することができる。従って、p型半導体膜22は、Cu(Inx,Ga(1−x))Se2(0≦x≦1)であることが好ましい。
【0090】
ステップS5では、n型半導体膜21とp型半導体膜22とを積層してフォトダイオード20を形成する。フォトダイオード20では、n型半導体膜21がカソードとなり、p型半導体膜22がアノードとなる。
【0091】
図9(a)に示すように、ステップS6では、スパッタ法を用いて、ゲート絶縁膜4及びp型半導体膜22の上にAlを堆積し、Alが半導体膜3のチャネル領域3cに対向配置されるようにパターニング(エッチング)し、ゲート電極4gを形成する。
【0092】
図9(b)に示すように、ステップS7では、コンタクトホールCNT1,CNT2,CNT3及び開口24を有する層間絶縁膜5を形成する。
詳しくは、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を用いたプラズマCVD法によって、酸化シリコン膜をゲート電極4gとゲート絶縁膜4とp型半導体膜22との上に堆積し、層間絶縁膜5を形成する。さらに、ドライエッチング法によって、層間絶縁膜5及びゲート絶縁膜4をエッチングし、半導体膜3のソース領域3sに至るコンタクトホールCNT1と、半導体膜3のドレイン領域3dに至るコンタクトホールCNT2と、n型半導体膜21に至るコンタクトホールCNT3とを形成する。同時に、層間絶縁膜5をエッチングし、p型半導体膜22を露出させる開口24を形成する。
【0093】
図9(c)に示すように、ステップS8では、スパッタ法を用いてAlを堆積し、続いてAlをパターニング(エッチング)し、半導体膜3のソース領域3sに電気的に接続されたソース電極6と、半導体膜3のドレイン領域3d及びp型半導体膜22に電気的に接続されたアノード電極7と、n型半導体膜21に電気的に接続された定電位線16とを形成する。
【0094】
図9(d)に示すように、ステップS9では、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を用いたプラズマCVD法によって、酸化シリコン膜を堆積し、ソース電極6とアノード電極7と定電位線16とを覆う層間絶縁膜8を形成する。
【0095】
なお、データ線15及び定電位線14(
図5参照)は、ステップS6またはステップS8によって形成される。すなわち、データ線15及び定電位線14(
図5参照)の構成材料はAlであり、低抵抗化が図られている。
【0096】
<イメージセンサー及びイメージセンサーの製造方法が奏する効果>
以上述べたように、本実施形態に係るイメージセンサー100、及びイメージセンサー100の製造方法は、以下に示す効果を奏することができる。
【0097】
1)本実施形態に係るイメージセンサー100では、基板10の上に4層の絶縁膜(絶縁膜2、ゲート絶縁膜4、層間絶縁膜5、層間絶縁膜8)が積層されているので、基板300の上に6層の絶縁膜(絶縁膜301、絶縁膜302、絶縁膜303、絶縁膜304、絶縁膜305、絶縁膜306)が積層された公知技術のイメージセンサー(光電変換装置、
図12参照)と比べて、絶縁膜の数及び絶縁膜形成工程の数を削減することができる。
【0098】
2)本実施形態に係るイメージセンサー100では、TFT11のソース電極6とフォトダイオード20のアノード電極とが同一材料で形成されているので、TFT400のソース電極403とフォトダイオード500のアノード電極(第1電極501)とが別々に形成された公知技術のイメージセンサー(光電変換装置)と比べて、ソース電極及びアノード電極の構成材料の数と形成工程の数を削減することができる。
【0099】
3)本実施形態に係るイメージセンサー100では、定電位線16がフォトダイオード20のカソード電極を兼ねるので、公知技術のフォトダイオード500のカソード電極である第2電極503(
図12参照)が省略される。すなわち、カソード電極の形成工程を短縮することができる。
【0100】
4)本実施形態に係るイメージセンサー100では、ステップS2におけるn型不純物の熱処理、及びステップS5のセレン化水素雰囲気中での熱処理を経た後に、ゲート電極4gとソース電極6とアノード電極7とデータ線15と定電位線14,16とを形成するので、ゲート電極4gとソース電極6とアノード電極7とデータ線15と定電位線14,16とを、低融点金属のAlで形成することができる。Alは、例えばMoなどの高融点金属と比べて安価で低抵抗であるので、ゲート電極4gとソース電極6とアノード電極7とデータ線15と定電位線14,16との低コスト化及び低抵抗化を図ることができる。
【0101】
5)上述した1)〜3)によって、本実施形態に係るイメージセンサー100は、公知技術のイメージセンサー(光電変換装置)と比べて構造が大幅に簡略化されているので、高い製造歩留を実現することができる。
【0102】
6)上述した1)〜3)によって、本実施形態に係るイメージセンサー100は、公知技術のイメージセンサー(光電変換装置)と比べて製造工程が大幅に短縮されるので、高い生産性を実現することができる。
【0103】
7)本実施形態に係るイメージセンサー100は、公知技術のイメージセンサー(光電変換装置)と比べて高い製造歩留及び高い生産性が実現され、且つ安価な材料(Al)を使用することができるので、イメージセンサー100の低コスト化を図ることができる。
【0104】
8)本実施形態に係るイメージセンサー100では、光吸収係数が大きいカルコパイライト構造のp型半導体膜22を含むフォトダイオード20を備えているので、光電変換効率が高く、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する。
従って、イメージセンサー100を生体情報取得装置200に適用することによって、生体情報取得装置200は、近赤外光ILの一部である反射光RLを高感度で検出することができる。
【0105】
本願は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光電変換装置及び光電変換装置の製造方法、並びに当該光電変換装置を含む電子機器もまた本願の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0106】
(変形例1)
図10は、
図6に対応する図であり、変形例1に係るイメージセンサーの構成を示す概略断面図である。
図11は、
図9(a)に対応する図であり、ステップS6を経た後のイメージセンサーの状態を示す概略断面図である。
【0107】
図10に示すように、本変形例に係るイメージセンサーに配置されたフォトセンサー51は、p型半導体膜22とアノード電極7との間に保護電極9を有している。この点が、本変形例に係るイメージセンサーと上記実施形態に係るイメージセンサー100との相違点であり、他の構成は同じである。
【0108】
図11に示すように、ステップS6では、スパッタ法を用いてゲート絶縁膜4及びp型半導体膜22の上にAlを堆積し、半導体膜3のチャネル領域3cに対向配置されるようにパターニング(エッチング)してゲート電極4gを形成し、さらにp型半導体膜22を覆うようにパターニング(エッチング)して保護電極9を形成する。
【0109】
ステップS6では、ドライエッチング法またはウエットエッチング法のいずれかでAlをエッチングする。p型半導体膜22は、保護電極9で覆われているので、Alをエッチングする反応種の雰囲気に曝されない。従って、p型半導体膜22が当該反応種の雰囲気に曝され、p型半導体膜22が劣化するおそれがなくなるので、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有するフォトダイオード20を安定して製造することができる。
【0110】
(変形例2)
上記実施形態では、p型半導体膜22が、第11族元素、第13族元素、および第16族元素を含むカルコパイライト構造のCIS系やCIGS系の膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体膜22を、第11族元素、第12族元素、第14族元素、および第16族元素を含むCZTS(Cu
2ZnSnS
4)系の膜で構成してもよい。例えば、ステップS4において、第11族元素である銅(Cu)と第12族元素である亜鉛(Zn)と第14族元素であるスズ(Sn)とならなる金属膜を形成し、ステップS5において第16族元素であるイオウ(S)を含む雰囲気中で熱処理を施すことにより、p型半導体膜22をCZTS系の膜で構成できる。
【0111】
(変形例3)
上記実施形態では、光電変換装置として、カルコパイライト型半導体膜を有するフォトダイオード20を備えたイメージセンサー100を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。光電変換装置は、カルコパイライト型半導体膜を有するフォトダイオード20を備えた太陽電池であってもよい。
【0112】
(変形例4)
上記実施形態では、電子機器として、血管の画像情報や血液中の特定成分などの情報を入手可能な携帯型の情報端末装置である生体情報取得装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。電子機器は、据置型など異なる形態の情報端末装置であってもよいし、指の静脈の画像情報を取得し予め登録された静脈の画像情報と比較することで個人を特定する生体認証装置であってもよい。また、電子機器は、指紋や眼球の虹彩などを撮像する固体撮像装置であってもよい。