特許第6443064号(P6443064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443064
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/34 20060101AFI20181217BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20181217BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B60R19/34
   B60R19/48 W
   B62D25/20 L
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-6056(P2015-6056)
(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公開番号】特開2016-132269(P2016-132269A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年3月27日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋輔
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−002136(JP,A)
【文献】 特開2001−171560(JP,A)
【文献】 特開2011−168077(JP,A)
【文献】 特開2012−035691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14−29/04
B60R 19/34
B60R 19/48
B60D 1/04
B60S 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部において車幅方向に延設されたバンパリインフォースメントと、
角筒状の本体部と、該本体部の前端に被せられ、該本体部の開口を塞ぐリインフォースメントとを有し、前記バンパリインフォースメントの車両後側に結合されたクラッシュボックスと、
円筒部と、該円筒部の車両前方側の端部に設けられたフランジとを有し、該フランジが前記リインフォースメントの前面に係止された状態で前記バンパリインフォースメントと前記クラッシュボックスとの結合部分に固定された固縛ナットと、
前記クラッシュボックス内に設けられ、前記固縛ナットが車両前後方向に相対移動可能に挿通されると共に、前記固縛ナットを支持する隔壁と、
を有し、
前記隔壁には、前記固縛ナットの外径に対応した内径の貫通孔が形成されており、前記貫通孔の内周は、前記固縛ナットの外周面に当接している車両前部構造。
【請求項2】
前記隔壁の車両上下方向の両端には折曲げ部が設けられ、
前記折曲げ部は、前記クラッシュボックスの天井部と底部に夫々接合されている請求項1に記載の車両前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部におけるバンパリインフォースメントとクラッシュボックスとの結合部分に、牽引フックを固定するためのナットが取り付けられた構造が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−99999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の船舶等への積載時に、ロープを用いて車両を船舶等の床部に固縛することが行われる。この際、上記した従来例に記載の牽引フックにロープを掛けて固縛すると、該牽引フック及びナットを介して、クラッシュボックスに車両下方側への荷重が入力される。この荷重によりクラッシュボックスが局所変形することを抑制するためには、ナット周辺部の補強が必要となる。
【0005】
一方、ナット周辺部を単に補強したのでは、車両前部の衝突時にクラッシュボックスが変形し難くなると考えられる。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、車両前部の衝突時におけるクラッシュボックスの変形による衝撃吸収性を確保しつつ、車両の固縛時におけるクラッシュボックスの局所変形を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る車両前部構造は、車両前部において車幅方向に延設されたバンパリインフォースメントと、角筒状の本体部と、該本体部の前端に被せられ、該本体部の開口を塞ぐリインフォースメントとを有し、前記バンパリインフォースメントの車両後側に結合されたクラッシュボックスと、円筒部と、該円筒部の車両前方側の端部に設けられたフランジとを有し、該フランジが前記リインフォースメントの前面に係止された状態で前記バンパリインフォースメントと前記クラッシュボックスとの結合部分に固定された固縛ナットと、前記クラッシュボックス内に設けられ、前記固縛ナットが車両前後方向に相対移動可能に挿通されると共に、前記固縛ナットを支持する隔壁と、を有し、前記隔壁には、前記固縛ナットの外径に対応した内径の貫通孔が形成されており、前記貫通孔の内周は、前記固縛ナットの外周面に当接している。
【0008】
この車両前部構造では、固縛ナットが隔壁に支持されているので、車両の固縛時に固縛ナットに入力された荷重は、バンパリインフォースメントとクラッシュボックスとの結合部分における固縛ナットの固定部だけでなく、隔壁にも伝達される。一方、隔壁がクラッシュボックス内に設けられており、該隔壁に対して固縛ナットが車両前後方向に相対移動可能とされているので、車両前部の衝突時に、クラッシュボックスの軸圧縮変形に伴う固縛ナットの後退を隔壁が妨げることがない。換言すれば、隔壁によりクラッシュボックスの軸圧縮変形が妨げられることがない。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る車両前部構造において、前記隔壁の車両上下方向の両端には、折曲げ部が設けられ、前記折曲げ部が、前記クラッシュボックスの天井部と底部に夫々接合されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両前部の衝突時におけるクラッシュボックスの変形による衝撃吸収性を確保しつつ、車両の固縛時におけるクラッシュボックスの局所変形を抑制できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る車両前部構造を有する車両前部の一部を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る車両前部構造を示す、図1における2−2矢視断面図である。
図3】車両の前部が衝突した際のクラッシュボックスの変形状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1図2において、本実施形態に係る車両前部構造Sは、バンパリインフォースメント10と、クラッシュボックス12と、牽引部材の一例たる固縛ナット14と、隔壁16とを有している。
【0012】
バンパリインフォースメント10は、車両前部18において車幅方向に延設され、例えば断面ハット形に形成されている。クラッシュボックス12は、バンパリインフォースメント10の車両後側に結合され、車両前部18の衝突時に軸圧縮変形して衝撃を吸収する部材である。図2において、このクラッシュボックス12は、角筒状の本体部20と、該本体部20の前端に被せられ、該本体部20の開口を塞ぐリインフォースメント22とを有している。リインフォースメント22は、本体部20の前端に溶接により結合されている(溶接部W1)。
【0013】
図1において、バンパリインフォースメント10におけるクラッシュボックス12との結合部分には、固縛フック24を挿通するための貫通孔10Aと、ボルト28を通すための貫通孔(図示せず)が形成されている。クラッシュボックス12の前端のリインフォースメント22には、ボルト28と螺合するナット(図示せず)が設けられており、該ボルト28及びナットにより、バンパリインフォースメント10がクラッシュボックス12に締結されている。なお、図示は省略するが、クラッシュボックス12の後端は、サイドメンバの前端に結合される。サイドメンバは、車両前部18の車幅方向両側に一対設けられる車両骨格である。
【0014】
図2において、固縛ナット14は、バンパリインフォースメント10とクラッシュボックス12との結合部分に固定されている。具体的には、固縛ナット14は、円筒部14Aと、該円筒部14Aの車両前方側の端部に設けられたフランジ14Bとを有し、内周には固縛フック24と螺合する雌ねじ14C(図3)が形成されている。固縛ナット14の円筒部14Aは、クラッシュボックス12のリインフォースメント22に形成された貫通孔22Aに対して、車両前方側から挿通されている。フランジ14Bは、リインフォースメント22の前面に係止されている。そして、フランジ14Bをリインフォースメント22の前面に溶接することにより(溶接部W2)、固縛ナット14がクラッシュボックス12に固定されている。
【0015】
図2において、隔壁16は、クラッシュボックス12内に設けられ、固縛ナット14が車両前後方向に相対移動可能に挿通されると共に、固縛ナット14を支持する部材である。具体的には、隔壁16には、固縛ナット14の円筒部14Aの外径に対応した内径の貫通孔16Aが形成されており、該貫通孔16Aに円筒部14Aが挿通されている。貫通孔16Aの内周は、円筒部14A外周面に当接している。これにより、固縛ナット14が隔壁16に支持されている。図示の例では、隔壁16は、リインフォースメント22の車両後方側に離間して1箇所設けられ、固縛ナット14の後端部を支持している。隔壁16の車両上下方向の両端には、折曲げ部16Bが設けられている。この折曲げ部16Bは、クラッシュボックス12の本体部20の天井部と底部に夫々接合されている。
【0016】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。車両の船舶等への積載時に、図2に示されるように、固縛フック24を固縛ナット14に取り付け、固縛フック24にロープ(図示せず)を掛けて車両を船舶等の床部へ固縛すると、固縛ナット14に車両下方向きの荷重F1が作用する。本実施形態に係る車両前部構造Sでは、固縛ナット14の後端部が、クラッシュボックス12内に設けられた隔壁16に支持されているので、荷重F1は、固縛ナット14の固定部であるリインフォースメント22だけでなく、隔壁16にも伝達される。これにより、クラッシュボックス12の局所変形が抑制される。
【0017】
一方、図3に示されるように、バリア34が車両前部18に衝突した時には、バリア34からの荷重F2が、バンパリインフォースメント10を介してクラッシュボックス12に入力される。そして、クラッシュボックス12が軸圧縮変形することにより、衝撃吸収が行われる。クラッシュボックス12の軸圧縮変形に伴い、固縛ナット14が後退するが、本実施形態では、固縛ナット14が隔壁16に対して車両前後方向に相対移動可能とされているので、固縛ナット14の後退を隔壁16が妨げることがない。換言すれば、隔壁16によりクラッシュボックス12の軸圧縮変形が妨げられることがない。
【0018】
このように、本実施形態によれば、車両前部18の衝突時におけるクラッシュボックス12の変形による衝撃吸収性を確保しつつ、車両の固縛時におけるクラッシュボックス12の局所変形を抑制できる。
【0019】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0020】
牽引部材の一例として固縛ナット14を挙げ、該固縛ナット14に対して固縛フック24が取り付けられる構成としたが、牽引部材はこれに限られない。例えば固縛ナットを用いずに、固縛フックがバンパリインフォースメント10とクラッシュボックス12との結合部分に直接固定されている構成であってもよい。
【符号の説明】
【0021】
10 バンパリインフォースメント
12 クラッシュボックス
14 固縛ナット(牽引部材)
16 隔壁
18 車両前部
S 車両前部構造
図1
図2
図3