特許第6443079号(P6443079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443079
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ウェザストリップの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/86 20160101AFI20181217BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B60J10/86
   B60R13/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-13283(P2015-13283)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-137786(P2016-137786A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和宜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 愛
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−012877(JP,A)
【文献】 特開2003−276448(JP,A)
【文献】 特開2006−315561(JP,A)
【文献】 特開2006−347325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/86
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントドアの窓枠の後側の辺に沿って延設されたドアフレームガーニッシュの後端と前記車両のリアドアの窓枠の前側の辺に沿って延設されたドアフレームガーニッシュの前端との間の隙間を塞ぐウェザストリップの取り付け構造であって、
前記フロントドアのドアフレームガーニッシュ及び前記リアドアのドアフレームガーニッシュのうちのいずれか一方のドアフレームガーニッシュの端面には、他方のドアフレームガーニッシュへ向かって突出した突出片が形成され、
前記ウェザストリップは、
前記一方のドアフレームガーニッシュの端面に沿って延設された基部であって、前記突出片が挿入される貫通孔が形成された基部と、
前記基部における前記貫通孔よりも車幅方向外側に位置する部分から前記他方のドアフレームガーニッシュへ向かって延設され、前記他方のドアフレームガーニッシュの端面に当接するリップ部と、を有し、
前記貫通孔に前記突出片が挿入された状態で、前記リップ部における前記基部側の端部が前記突出片に当接可能である、ウェザストリップの取り付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のウェザストリップの取り付け構造において、
前記一方のドアフレームガーニッシュの延設方向に間隔をおいて、複数の前記突出片が形成され、
前記ウェザストリップの延設方向に間隔をおいて、複数の前記突出片にそれぞれ対応した複数の前記貫通孔が形成されている、ウェザストリップの取り付け構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウェザストリップの取り付け構造において、
前記突出片は、前記貫通孔に挿入された状態で前記貫通孔の周縁部に当接して前記ウェザストリップを係止する係止部を有する、ウェザストリップの取り付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載のウェザストリップの取り付け構造において、
前記ウェザストリップは、前記基部の車室側の端部から延設され、前記一方のドアフレームガーニッシュと前記窓枠との間に挟み込まれて保持される保持部を有する、ウェザストリップの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントドアとリアドアの間の隙間を塞ぐウェザストリップの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1及び2に記載されているように、車両のフロントドアとリアドアの間の隙間を塞ぐウェザストリップは知られている。特許文献1においては、リアドアのドアフレームガーニッシュの内側面(車室側の面)に車両高さ方向に延びる突条部が形成されている。ウェザストリップの基部には、車両高さ方向に延びる溝部が形成されている。前記突条部と前記溝部とを嵌合させることにより、ウェザストリップがリアドアのドアフレームガーニッシュに取り付けられる。そして、リアドアのドアフレームガーニッシュがドアフレームに接着される。この状態では、ウェザストリップの基部は、リアドアのドアフレームガーニッシュとドアフレームとの間に挟み込まれている。フロントドアのドアフレームガーニッシュの後端部の内側面には、車室側へ突出するとともに、車両高さ方向に延びる突条部が形成されている。ウェザストリップがリアドアに取り付けられた状態では、ウェザストリップの基部から前方へ延びるリップ部の先端が、フロントドアのドアフレームガーニッシュの突条部の先端面(車室側の端面)に当接している。
【0003】
また、特許文献2においては、リアドアのドアフレームガーニッシュの前端部における内側面(車室側の面)に、車両高さ方向に延びる第1の壁部及び第2の壁部が形成されている。第1の壁部は、リアドアのドアフレームガーニッシュの前端縁に沿って形成されており、第2の壁部は、第1の壁部から見て後方に形成されている。すなわち、第1の壁部及び第2の壁部は車両前後方向に離間している。第1の壁部及び第2の壁部の間に車両高さ方向に延びる溝部が形成されている。ウェザストリップの後端部には、車両高さ方向に延びる第3の壁部及び第4の壁部が形成されている。第3の壁部は、ウェザストリップの後端に形成されており、第4の壁部は、第3の壁部から見て前方に形成されている。すなわち、第3の壁部及び第4の壁部は車両前後方向に離間している。第3の壁部及び第4の壁部の間に車両高さ方向に延びる溝部が形成されている。また、ウェザストリップは、第4の壁部の外側の端部(車室とは反対側の端部)から前方へ延びるとともに内側(車室側)へ湾曲したリップ部を有する。第3の壁部が第1の壁部と第2の壁部との間の溝部に挿入されるとともに、第1の壁部が第3の壁部と第4の壁部との間の溝部に挿入されて、ウェザストリップの後端部がリアドアのドアフレームガーニッシュの前端部に嵌合する。これにより、ウェザストリップがリアドアのドアフレームガーニッシュに取り付けられる。そして、リアドアのドアフレームガーニッシュがリアドアのドアフレームに接着される。ウェザストリップがリアドアに取り付けられた状態では、リップ部の湾曲した部分がフロントドアのドアフレームガーニッシュの後端面に当接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−120564号公報
【特許文献2】特開2005−47447号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1のウェザストリップの取り付け構造が適用された車両の側面部には、フロントドアのドアフレームガーニッシュの後端面、リアドアのドアフレームガーニッシュの前端面、及びウェザストリップの外側面(車室側とは反対側の面)によって囲まれた凹部であって、車両高さ方向に延びる凹部が形成されている。したがって、この車両の走行時に、前記凹部の近傍にて渦流が発生して異音が生じる虞がある。また、車両の側面部に車両高さ方向に延びる凹部が形成されることは、車両の外観上好ましくない。また、リップ部の後端面は基部に接続されているが、リップ部のその他の部分は支持されていない。したがって、車両の走行時の振動、車両の側面に沿って流れる空気の影響などにより、リップ部の全体が振動して異音が生じる虞がある。
【0006】
また、特許文献2のウェザストリップのリップ部の後端面は第4の壁部に接続されているが、リップ部のその他の部分は支持されていない。したがって、車両の走行時の振動、車両の側面に沿って流れる空気の影響などにより、リップ部の全体が振動して異音が生じる虞がある。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、異音の発生を抑制できるウェザストリップの取り付け構造を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】

上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両のフロントドア(VD)の窓枠の後側の辺に沿って延設されたドアフレームガーニッシュ(20)の後端と前記車両のリアドア(VD)の窓枠の前側の辺に沿って延設されたドアフレームガーニッシュ(30)の前端との間の隙間を塞ぐウェザストリップ(10)の取り付け構造であって、前記フロントドアのドアフレームガーニッシュ及び前記リアドアのドアフレームガーニッシュのうちのいずれか一方のドアフレームガーニッシュの端面には、他方のドアフレームガーニッシュへ向かって突出した突出片(P)が形成され、前記ウェザストリップは、前記一方のドアフレームガーニッシュの端面に沿って延設された基部(11)であって、前記突出片が挿入される貫通孔(H)が形成された基部と、前記基部における前記貫通孔よりも車幅方向外側に位置する部分から前記他方のドアフレームガーニッシュへ向かって延設され、前記他方のドアフレームガーニッシュの端面に当接するリップ部(12)と、を有し、前記貫通孔に前記突出片が挿入された状態で、前記リップ部における前記基部側の端部が前記突出片に当接可能である、ウェザストリップの取り付け構造としたことにある。
【0009】
この場合、前記一方のドアフレームガーニッシュの延設方向に間隔をおいて、複数の前記突出片が形成され、前記ウェザストリップの延設方向に間隔をおいて、複数の前記突出片にそれぞれ対応した複数の前記貫通孔が形成されているとよい。
【0010】
上記のように、上記特許文献1及び特許文献2のウェザストリップの取り付け構造によれば、リップ部の全体が振動する可能性がある。これに対し、本発明に係るウェザストリップの取り付け構造によれば、リップ部における前記基部側の端部が突出片に当接して支持され、リップ部が前記他方のドアフレームガーニッシュに当接したとき、リップ部の先端部分のみが撓むように構成されている。すなわち、リップ部の先端部分のみが、車両の走行時の振動の影響、車両の側面に沿って流れる空気の影響などを受ける。したがって、従来のウェザストリップの取り付け構造が適用された車両に比べて、異音が生じる可能性が低い。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記突出片は、前記貫通孔に挿入された状態で前記貫通孔の周縁部に当接して前記ウェザストリップを係止する係止部を有することにある。
【0012】
これによれば、突出片が、リップ部を支持する支持部及びウェザストリップを係止する係止部として機能する。したがって、リップ部を支持するための支持部とウェザストリップを係止する係止部とを別々に設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、組み立て工数を削減することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記ウェザストリップは、前記基部の車室側の端部から延設され、前記一方のドアフレームガーニッシュと前記窓枠との間に挟み込まれて保持される保持部を有する、ウェザストリップの取り付け構造としたことにある。
【0014】
これによれば、ウェザストリップが係止部のみによって係止される場合に比べて、ウェザストリップを、より確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るウェザストリップの取り付け構造が適用された車両の左側のドアの側面図である。
図2図1のA‐A断面図である。
図3】ウェザストリップ及びドアフレームガーニッシュの長手方向中間部分を示す斜視図である。
図4】突出片の周辺部を拡大した拡大斜視図である。
図5】突出片の周辺部を拡大した拡大側面図である。
図6】貫通孔の周辺部を拡大した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1に示すように、本発明に係るウェザストリップ10の取り付け構造が適用された車両の左側のドアVDの概略について説明しておく。なお、本実施形態においては、一例として、本発明が左側のドアVDに適用された例について説明するが、本発明は、左側のドアVDに限られず、他のドアにも適用可能である。
【0017】
ドアVDは、フロントドアVDとリアドアVDからなる。フロントドアVDは、ドアパネルDPとドアサッシュDSを備える。ドアパネルDPは、インナパネルとアウタパネルとが重ね合わされて袋状に形成されている。ドアパネルDP内には図示しないウィンドレギュレータ装置が組み込まれる。ウィンドレギュレータ装置には、ドアパネルDPの上方に進退可能なドアガラスDGが組付けられる。ウィンドレギュレータ装置が駆動することによりドアガラスDGが上下動する。ドアサッシュDSは、ドアパネルDPの上方に進出したドアガラスDGの外縁部(上縁部、前縁部及び後縁部)を囲う窓枠である。ドアサッシュDSには、ドアガラスDGの上下移動をガイドするためのガラスランが取付けられる。
【0018】
ドアサッシュDSは、第1立柱部VFf1、第2立柱部VFf2及び上縁部UFを備える。第1立柱部VFf1は、ドアサッシュDSの前側の辺を構成している。第1立柱部VFf1は、ドアパネルDPの前端部から上方且つやや後方へ延設されている。第1立柱部VFf1の下端部は、ドアパネルDPのインナパネルとアウタパネルの間に挿入されてドアパネルDPに接合されている。
【0019】
第2立柱部VFf2は、ドアサッシュDSの後側の辺を構成している。第2立柱部VFf2は、ドアパネルDPの後端部から上方且つやや後方へ延設されている。第2立柱部VFf2の下端部は、ドアパネルDPのインナパネルとアウタパネルの間に挿入されてドアパネルDPに接合されている。第2立柱部VFf2は、車両外方を向く面を有する板状部を備え、この板状部に、ドアフレームガーニッシュ20が接着されている。
【0020】
上縁部UFは、ドアサッシュDSの上側の辺を構成している。第1立柱部VFf1の上端と第2立柱部VFf2の上端とが上縁部UFによって接続されている。上縁部UFは、上方に凸状(弓状)に湾曲形成されている。
【0021】
リアドアVDもフロントドアVDと同様に構成されている。すなわち、リアドアVDは、ドアパネルDP、ドアサッシュDS及びドアガラスDGを備える。ドアサッシュDSは、第1立柱部VFr1、第2立柱部VFr2及び上縁部UFを備える。
【0022】
第1立柱部VFr1は、ドアサッシュDSの後側の辺を構成している。第1立柱部VFr1は、ドアパネルDPの後端部から上方且つ前方へ延設されている。第1立柱部VFr1の下端部は、ドアパネルDPのインナパネルとアウタパネルの間に挿入されてドアパネルDPに接合されている。
【0023】
第2立柱部VFr2は、ドアサッシュDSの前側の辺を構成している。第2立柱部VFr2は、ドアパネルDPの前端部から上方且つやや後方へ延設されている。第2立柱部VFr2の下端部は、ドアパネルDPのインナパネルとアウタパネルの間に挿入されてドアパネルDPに接合されている。第2立柱部VFr2は、車両外方を向く面を有する板状部を備え、この板状部に、ドアフレームガーニッシュ30が接着されている。このドアフレームガーニッシュ30に、後述するウェザストリップ10が取り付けられている。
【0024】
上縁部UFは、ドアサッシュDSの上側の辺を構成している。第1立柱部VFr1の上端と第2立柱部VFr2の上端とが上縁部UFによって接続されている。上縁部UFは、ほぼ直線状に形成されている。
【0025】
フロントドアVD及びリアドアVDが閉じられた状態において、フロントドアVDの後端とリアドアVDの前端との間には、車両高さ方向に延びる隙間Gが形成されている。この隙間Gが次に説明するウェザストリップ10によって塞がれている。
【0026】
つぎに、ウェザストリップ10の取り付け構造について説明する。まず、ウェザストリップ10の構成について説明する。ウェザストリップ10は、合成ゴム製である。ウェザストリップ10は、車両高さ方向に延設されている。ウェザストリップ10は、図2に示すように、基部11、リップ部12、及び保持部13を有する。基部11は、車両高さ方向(図2における紙面に垂直な方向)に延び、且つ車両前後方向に垂直な板状に形成されている。基部11には、図3に示すように、車両前後方向に貫通する複数の貫通孔Hが形成されている。各貫通孔Hは、車両高さ方向に互いに間隔をおいて形成されている。各貫通孔Hは、車両高さ方向に延びるスリット状に形成されている。リップ部12は、基部11における左端部(車室とは反対側の端部)から前方へ延びるとともに右側(車室側)へ湾曲している。保持部13は、第1壁部131乃至第3壁部133を有する。第1壁部131は、車両高さ方向に延び、且つ車幅方向に垂直な板状に形成されている。第1壁部131の前端が基部11の右端に接続されている。また、第2壁部132は、第1壁部131の後端から左方且つ後方へ延設されている。第3壁部133は、第2壁部132の後端から後方へ延設されている。ウェザストリップ10の車両前後方向中央部には、基部11、第1壁部131及び第2壁部132によって囲まれていて、車両高さ方向に延びる溝部Cが形成されている。
【0027】
ウェザストリップ10は、次のようにして製造される。まず、基部11、リップ部12及び保持部13の断面外形と同様の断面外形を有する中間成形体を押出成形法を用いて製造する。そして、前記中間成形体のうちの基部11に相当する部分に前記複数の貫通孔Hを形成する。このようにして、ウェザストリップ10が製造される。
【0028】
つぎに、ドアフレームガーニッシュ20の構成について説明する(図2参照)。ドアフレームガーニッシュ20は、合成樹脂製である。ドアフレームガーニッシュ20は、射出成型法を用いて一体的に製造される。ドアフレームガーニッシュ20は、第2立柱部VFf2に沿って車両高さ方向に延び且つ第2立柱部VFf2の板状部に平行な板状に形成された本体部21を有する。本体部21の右面(車室側の面)には、右方へ突出するとともに車両高さ方向に延びる突条部22が形成されている。突条部22は、本体部21の後端縁に沿って形成されている。
【0029】
つぎに、ドアフレームガーニッシュ30の構成について説明する。ドアフレームガーニッシュ30は合成樹脂製である。ドアフレームガーニッシュ30は、射出成型法を用いて一体的に製造される。ドアフレームガーニッシュ30は、第2立柱部VFr2に沿って車両高さ方向に延び且つ第2立柱部VFr2の板状部に平行な板状に形成された本体部31を有する。本体部31の右面には、右方へ突出するとともに車両高さ方向に延びる突条部32が形成されている。突条部32は、本体部31の前端縁に沿って形成されている。
【0030】
また、図3に示すように、本体部31の前端面には、複数の貫通穴Hにそれぞれ対応した複数の突出片Pが形成されている。各突出片Pは、本体部31の前端面から前方へ突出している。各突出片Pは、車両高さ方向に互いに間隔をおいて形成されている。各突出片Pは、図4及び図5に示すように、本体部31の前端面から前方へ突出した板状の基端部P1を有する。基端部P1の左面は、本体部31の左面よりも少し右方に位置している。基端部P1は、車両高さ方向に延び且つ車幅方向に垂直な板状に形成されている。基端部P1の車両高さ方向の寸法LP1は、貫通孔Hの車両高さ方向の寸法Lと同等である(図4乃至図6参照)。また、基端部P1の車両前後方向の寸法DP1は、基部11の肉厚T11と同等である。また、基端部P1の肉厚TP1は、貫通孔Hの車幅方向の寸法Wと同等である。基端部P1の前端には、係止部P2が形成されている。係止部P2は、基端部P1と平行な板状に形成されている。係止部P2の車両高さ方向の寸法LP2は、基端部P1の車両高さ方向の寸法LP1よりも少し大きい。すなわち、係止部P2の車両高さ方向の寸法LP2は、貫通孔Hの車両高さ方向の寸法Lよりも少し大きい。係止部P2の上端は、基端部P1の上端よりも少し上方に位置し、係止部P2の下端は、基端部P1の下端よりも少し下方に位置している。係止部P2の車両前後方向の寸法DP2は基端部P1の車両前後方向の寸法DP1よりも少し大きい。係止部P2の肉厚TP2は、基端部P1の肉厚TP1よりも少し大きい。すなわち、係止部P2の肉厚TP2は、貫通孔Hの車幅方向の寸法Wよりも少し大きい。係止部P2の右面は、基端部P1の右面よりも少し右方に位置し、係止部P2の左面は、基端部P1の左面よりも少し左方に位置している。
【0031】
つぎに、ウェザストリップ10の取り付け手順について説明する。まず、ウェザストリップ10の基部11の後面側から各貫通孔Hにドアフレームガーニッシュ30の各突出片Pを挿入する。上記のように、係止部P2の各寸法は、貫通孔Hの各寸法よりも少し大きいが、ウェザストリップ10は合成ゴム製であるので、貫通孔Hに係止部P2を押し当てることにより、各貫通孔Hが押し広げられて、突出片Pが貫通孔Hに挿入される。係止部P2が貫通孔Hに挿入され、基部11の前面側に突出した状態では、各係止部P2が貫通孔Hの周縁部に当接する。これにより、ウェザストリップ10が係止される。また、各係止部P2の左面は、リップ部12の後端部(基端部11側の端部)における内側面(車室側の面)に当接している。また、基部11の後面は、ドアフレームガーニッシュ30の本体部31の前端面に当接している。
【0032】
そして、ドアフレームガーニッシュ30の突条部32をウェザストリップ10の溝部Cに挿入した状態で、両面テープTPを用いて、本体部31を第2立柱部VFr2に接着する(図2参照)。ドアフレームガーニッシュ30が第2立柱部VFr2に接着された状態では、保持部13の第3壁部133の後端部がドアフレームガーニッシュ30と第2立柱部VFr2との間に挟み込まれている。フロントドアVD及びリアドアVDが車両本体に取り付けられ、両ドアが閉じられた状態では、リップ部12の先端部分(湾曲した部分)の外側面(車室とは反対側の面)が、ドアフレームガーニッシュ20の後端面(本体部21の後端面及び突条部22の後端面のうちのいずれか一方又は両方)に当接して、リップ部12の先端部分が多少撓んでいる。また、基部11の左端面及びリップ部12の後端部における外側面(車室とは反対側の面)は、ドアフレームガーニッシュ20の本体部21及びドアフレームガーニッシュ30の本体部31の左面と略同一面内に位置する。
【0033】
上記特許文献1及び特許文献2のウェザストリップの取り付け構造によれば、車両の走行時にリップ部全体が振動する可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、リップ部12における後端部の右面が突出片Pに当接して支持されているので、リップ部12の先端部分のみが、車両の走行時の振動の影響、車両の側面に沿って流れる空気の影響などを受ける。したがって、特許文献1及び特許文献2のウェザストリップの取り付け構造が適用された車両に比べて、リップ部12が振動して異音が生じる可能性が低い。また、ウェザストリップ10を係止するための係止部P2が、リップ部12を支持する支持部としても機能する。したがって、ウェザストリップ10を係止する係止部と、リップ部12を支持するための支持部とを、別々に設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、組み立て工数を削減することができる。
【0034】
また、ウェザストリップ10の基部11の左端面及びリップ部12の後端部における左面が、ドアフレームガーニッシュ20の本体部21及びドアフレームガーニッシュ30の本体部31の左面と略同一面内に位置している。したがって、本実施形態に係るウェザストリップ10の取り付け構造が適用された車両のフロントドアVDとリアドアVDの境界部には、上記特許文献1の車両のような、車両高さ方向に延びる凹部が形成されない。したがって、車両の走行時に、フロントドアVDとリアドアVDの境界部付近にて渦流が発生して、異音が生じることを抑制できる。また、特許文献1のウェザストリップの取り付け構造が適用された車両の外観に比べて、本実施形態に係るウェザストリップ10の取り付け構造が適用された車両の外観は良好である。
【0035】
また、保持部13の第3壁部133がドアフレームガーニッシュ30と第2立柱部VFr2との間に挟み込まれて保持される。これによれば、ウェザストリップ10が係止部P2のみによって係止される場合に比べて、ウェザストリップ10を、リアドアVDに、より確実に固定することができる。
【0036】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、ウェザストリップ10をドアフレームガーニッシュ30に取り付けた状態において、リップ部12と係止部P2との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、車両本体にフロントドアVD及びリアドアVDが取り付けられ、両ドアが閉じていて、リップ部12がフロントドアのドアフレームガーニッシュ20の後端面に当接して、リップ部12が撓んだ状態において、リップ部12と係止部P2とが当接するように構成すればよい。
【符号の説明】
【0038】
G・・・隙間、H・・・貫通孔、P・・・突出片、P2・・・係止部、VD・・・フロントドア、VD・・・リアドア、10・・・ウェザストリップ、11・・・基部、12・・・リップ部、13・・・保持部、20・・・ドアフレームガーニッシュ、21・・・本体部、22・・・突条部、30・・・ドアフレームガーニッシュ、31・・・本体部、32・・・突条部、131・・・第1壁部、132・・・第2壁部、133・・・第3壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6