(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の構成では、搬送スクリューの一端から他端まで全体にわたって撹拌部材が設けられているため、撹拌部材が廃トナーから受ける抵抗によって、搬送スクリュー35に大きなトルクがかかってしまう。よって、より耐久性の高い搬送スクリューを採用しなくてはならず、コストが高くなるという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献1の構成では、搬送スクリューの全体にわたって撹拌部材が設けられているため、撹拌部材が通過するための空間を搬送スクリューの全体にわたって確保する必要がある。よって、例えば、廃トナー収容装置が廃トナーで満杯になったかどうかを検知するためのセンサーを、搬送スクリューの回転軸の近傍に配置することができないという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、単純な構成でコストを抑えつつ、廃トナーで満杯になったと誤検知しない廃トナー収容装置を提供することを技術的課題としている。
【0009】
請求項1の発明は、画像形成装置において回収された廃トナーを収容するための廃トナー収容装置であって、廃トナーを収容する廃トナー容器と、前記廃トナー容器内で廃トナーを搬送する搬送スクリューと、前記廃トナー容器が廃トナーで満杯になったことを検知するための満杯検知手段とを備え、前記搬送スクリューは、軸部と、前記軸部から螺旋状に突出した螺旋部と、前記螺旋部に接することなく前記螺旋部の一部を跨ぐよう
なコの字型で、前記軸部に固定されたパドル部とを含
み、前記パドル部の前記搬送スクリューの回転軸に平行な部分の外面には、前記搬送スクリューの回転方向に向かって傾斜する傾斜面が形成されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の廃トナー収容装置において、前記パドル部の内側は、対角線上に補強部材が架けられて、その他は開口部となっており、前記補強部材には、前記傾斜面が形成されているというものである。
【0010】
請求項
3の発明は、請求項1に記載の廃トナー収容装置において、前記搬送スクリューの搬送方向に関して、前記パドルは前記満杯検知手段の上流側に設けられているというものである。
【0011】
請求項
4の発明は、請求項
3に記載の廃トナー収容装置において、前記満杯検知手段は、前記廃トナー容器の内部に落下口を有し、当該落下口から落下した廃トナーを貯留する廃トナー検知部を備え、前記廃トナー検知部に貯留された廃トナーに基づいて、前記廃トナー容器が廃トナーで満杯になったことが検知されるというものである。
【0012】
請求項
5の発明は、請求項1に記載の廃トナー収容装置において、前記螺旋部は、均一なピッチを有しているというものである。
【0013】
請求項
6の発明は、請求項1に記載の廃トナー収容装置において、前記搬送スクリューには、複数の前記パドル部が互いに異なる位置に設けられているというものである。
【0014】
請求項
7の発明は、請求項
6に記載の廃トナー収容装置において、前記複数のパドル部は、前記軸部から互いに異なる方向に突出しているというものである。
【0017】
請求項
8の発明は画像形成装置に係り、請求項1〜
7のうちいずれかに記載の廃トナー収容装置を備えるというものである。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によると、搬送スクリューには、螺旋部に接することなく螺旋部の一部を跨ぐように軸部に固定されたパドル部が設けられており、このパドル部によって廃トナーの表面を均すことができる。よって、廃トナー容器がまだ廃トナーで満杯になっていないにも関わらず満杯になったと誤検知されてしまうことを防止することができる。
【0019】
また、パドル部は、螺旋部に接することなく軸部に固定されているので、螺旋部の搬送性能を低下させることなく、廃トナーの表面を均すことができる。
【0020】
また、パドル部は、螺旋部の一部を跨ぐように軸部に固定されているので、搬送スクリューにかかるトルクは、搬送スクリューの一端から他端まで全体にわたって撹拌部材を設ける場合よりも小さくなり、より低コストの搬送スクリューを採用することができる。さらに、搬送スクリュー全体のうち、パドル部を設けていない部分については、パドル部が通過するための空間を確保する必要がないため、廃トナー容器内の空間を有効に利用することができる。
また、パドル部が廃トナーから受ける抵抗が減り、搬送スクリューの耐久性を向上させることができる。
また特に、第2の発明によれば、パドル部の耐久性を向上させることができる。
【0021】
また特に、第
3の発明によれば、廃トナーが満杯検知手段に到達するよりも前に廃トナーの表面を均すことができるので、誤検知を効果的に防止することができる。
【0022】
また特に、第
4の発明によれば、満杯検知手段を低コストで実現することができる
。
【0023】
また特に、第
5の発明によれば、安定した搬送性能が得られる。
【0024】
また特に、第
6の発明によれば、複数のパドル部によって廃トナーの表面を効果的に均すことができる。
【0025】
また特に、第
7の発明によれば、複数のパドル部が廃トナーに同時に潜り込むのを防ぎ、廃トナーによって搬送スクリューに大きなトルクがかかるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本願発明を具現化した実施形態として、画像形成装置の一例であるモノクロプリンター(以下、プリンターと称する)について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
まず、
図1及び
図2を参照しながら、プリンター1の概要を説明する。プリンター1は、電子写真方式によるモノクロプリンタであって、黒色の画像を形成する。該プリンター1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、トナー画像を用紙(被転写体)に形成する機能を有し、
図2に示すように、本体2、給紙部3、タイミングローラー対6、光走査装置9、転写ローラー14、定着装置20、排紙ローラー対21、排紙トレイ22、感光体ユニットU1、現像器ユニットU2及びトナーボトル23を備えている。
【0031】
本体2は、給紙部3、タイミングローラー対6、光走査装置9、転写ローラー14、定着装置20、排紙ローラー対21、感光体ユニットU1、現像器ユニットU2及びトナーボトル23を収容している。
【0032】
給紙部3は、用紙を1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ4及び給紙ローラー5を含んでいる。用紙トレイ4には、印刷前の状態の用紙が複数枚重ねて載置される。給紙ローラー5は、用紙トレイ4に載置された用紙を1枚ずつ取り出す。タイミングローラー対6は、転写ローラー14においてトナー画像が用紙に2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙を搬送する。
【0033】
感光体ユニットU1は、感光体ドラム7、帯電器8及びクリーナー15を含んでいる。感光体ドラム7は、円筒状をなしており、
図2における反時計回りに回転している。感光体ドラム7は、静電潜像を周面において担持する静電潜像担持体として機能する。帯電器8は、感光体ドラム7の周面を負に帯電させる。これにより、感光体ドラム7の周面の電位は、−500V〜−400Vに保たれる。
【0034】
光走査装置9は、制御部(図示せず)の制御により、感光体ドラム7の周面に対してビームを走査する。ビームが照射された部分の電位は、0Vに近づく。これにより、感光体ドラム7の周面には静電潜像が形成される。
【0035】
現像器ユニットU2は、トリクル現像方式により感光体ドラム7にトナー画像を形成する。具体的には、現像器ユニットU2は、感光体ドラム7にトナーを付与することによって、静電潜像を現像してトナー画像を形成する。そして、現像器ユニットU2は、非磁性トナー及び磁性キャリアからなる2成分現像剤を収容していると共に、トナーボトル23から現像剤の補給を受けて、収容している現像剤の一部を排出する。
【0036】
現像器ユニットU2は、現像ローラー10、供給スクリュー11、撹拌スクリュー12及び本体13を含んでいる。本体13は、現像剤、現像ローラー10、供給スクリュー11及び撹拌スクリュー12を収容している筐体である。
【0037】
攪拌スクリュー12の端部には、図示しない開口が設けられており、この開口を介して、現像剤がトナーボトル23から現像器ユニットU2に供給される。撹拌スクリュー12は、回転させられることにより、現像剤を撹拌しながら搬送する。これにより、トナーが負に帯電し、キャリアが正に帯電する。
【0038】
供給スクリュー11は、回転させられることにより、撹拌スクリュー12により搬送された現像剤を搬送する。現像ローラー10は、本体13から露出しており、感光体ドラム7と対向している。現像ローラー10は、磁石を内蔵しており、磁力により磁性キャリアを非磁性トナーと共に吸着して、供給スクリュー11により搬送されてきた現像剤を担持する。
【0039】
また、現像ローラー10は、感光体ドラム7に対して圧接しており、トナーを感光体ドラム7に付与して静電潜像を現像する。具体的には、現像ローラー10の周面の電位が負となるように現像バイアスが現像ローラー10に印加されている。現像ローラー10の周面の電位は、−400V〜−350Vである。これにより、現像ローラー10の周面の電位は、感光体ドラム7の周面のビームが照射された部分の電位(略0V)よりも低く、かつ、感光体ドラム7の周面のビームが照射されていない部分の電位(−500V〜−400V)よりも高くなる。現像ローラー10が担持している現像剤の内の非磁性トナーは、負に帯電しているので、感光体ドラム7の周面のビームが照射された部分に付着する。これにより、感光体ドラム7の周面には負に帯電したトナー画像が形成される。
【0040】
現像器ユニットU2に収容されている現像剤の一部は、供給スクリュー11の端部の近傍に設けられた開口を通じて、現像器ユニットU2外へと排出され、後述する廃トナー収容装置30に流入する。
【0041】
転写ローラー14は、トナー画像を感光体ドラム7から用紙に転写する転写手段として機能する。具体的には、転写ローラー14は、感光体ドラム7に接触し、ドラム形状をなしている。転写ローラー14には、正のバイアス電圧が印加される。これにより、転写ローラー14は、感光体ドラム7と転写ローラー14との間を通過する用紙に対して、感光体ドラム7が担持しているトナー画像を転写する。より詳細には、感光体ドラム7は負の電位(−500V〜−400V)に保たれている。転写ローラー14には、転写ローラー14の電位が感光体ドラム7の電位よりも高くなるように、正のバイアス電圧が印加されている。トナー画像は、負に帯電しているので、感光体ドラム7と転写ローラー14との間に発生している電界によって、感光体ドラム7から用紙に対して転写される。
【0042】
クリーナー15は、トナー画像の転写後に感光体ドラム7に残存しているトナーを回収する回収手段であって、
図2に示すように、ブレード16、清掃部材17及び搬送スクリュー18を含んでいる。
【0043】
ブレード16は、感光体ドラム7の周面に接触しており、トナー画像の転写後に残存しているトナーを感光体ドラム7の周面からかき取る。かき取られたトナーは、ブレード16上に付着する。清掃部材17は、ブレード16に付着したトナーを拭き取って、搬送スクリュー18へと搬送する。清掃部材17は、シャフトにフィルムが張り付けられて構成されている。そして、シャフトが回転させられて、フィルムがブレード16に摺接することにより、ブレード16に付着したトナーが、拭き取られると共に、搬送スクリュー18へと送られる。
【0044】
搬送スクリュー18は、回転させられることにより、トナーを搬送する。搬送スクリュー18により搬送されたトナーは、感光体ユニットU1外へと排出され、後述する廃トナー収容装置30に流入する。
【0045】
トナー画像の転写後に、図示しないイレーサーによって感光体ドラム7は除電される。より詳細には、イレーサーは、感光体ドラム7の周面に対して光を照射する。これにより、感光体ドラム7の周面の電位は略0Vとなる。
【0046】
トナー画像が転写された用紙は、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる。排紙ローラー対21は、用紙を排紙トレイ22に出力する。排紙トレイ22には、印刷済みの用紙が載置される。
【0047】
以上にように構成されたプリンター1では、感光体ユニットU1、現像器ユニットU2及びトナーボトル23は、本体2に対して着脱可能である。また、
図2では図示を省略しているが、感光体ユニットU1から排出されたトナーと現像器ユニットU2から排出された現像剤を廃トナーとして収容するための廃トナー収容装置30も、本体2に対して着脱可能である。以下では、廃トナー収容装置30について詳細に説明する。
【0048】
図3及び
図4は、プリンター1のカバーの一部を取り外した状態で、プリンター1を正面から見た図である。そして、
図3は、廃トナー収容装置30を本体2に装着していない状態を示しており、
図4は、廃トナー収容装置30を本体2に装着した状態を示している。
【0049】
図3に示すように、廃トナー収容装置30を本体2に装着していない状態では、感光体ユニットU1の搬送スクリュー18の端部と、現像器ユニットU2の供給スクリュー11の端部が見えているが、廃トナー収容装置30を本体2に装着すると、これらの端部は廃トナー収容装置30に接続され、これらの端部を通じて廃トナーが廃トナー収容装置30に流入することが可能となる。また、透過型フォトセンサー24は、廃トナー収容装置30が廃トナーで満杯になったか否かを検出するために用いられるセンサーであって、その詳細については後述する。
【0050】
図5に示すように、廃トナー収容装置30は、廃トナーを収容するための廃トナー容器31やギア32等で構成されている。以下の説明では、
図5に示すように廃トナー収容装置30の「上下方向」、「左右方向」及び「奥行方向」を定義して用いる。
【0051】
図6は、廃トナー収容装置30の内部を手前側から見た図である。廃トナー収容装置30は、廃トナー容器31、ギア32、搬送スクリュー35及び満杯検知部43を備えている。廃トナー容器31は、廃トナーを収容するための収容空間SP1を形成する中空略箱状の容器である。
【0052】
廃トナー容器31の奥面の右側には、
図6のように、第1回収口33及び第2回収口34が設けられている。第1回収口33は、廃トナー収容装置30が本体2に装着されたときに、感光体ユニットU1の搬送スクリュー18の端部と接続されるような位置に設けられている。よって、感光体ユニットU1が排出したトナーは、第1回収口33を通じて廃トナー容器31に進入し、収容空間SP1へと落下する。同様に、第2回収口34は、廃トナー収容装置30が本体2に装着されたときに、現像器ユニットU2の供給スクリュー11の端部と接続されるような位置に設けられている。よって、現像器ユニットU2が排出した現像剤は、第2回収口34を通じて廃トナー容器31に進入し、収容空間SP1へと落下する。
【0053】
廃トナー容器31の内部には、収容空間SP1に収容された廃トナーを左右方向に搬送するための搬送スクリュー35が設けられている。搬送スクリュー35の右側端部にはギア32が装着されており、このギア32を介して、本体2に設けられた駆動モーターによって搬送スクリュー35は回転させられる。搬送スクリュー35は、搬送方向の異なる2つのスクリュー(第1スクリュー36及び第2スクリュー37)で構成されており、第1スクリュー36は廃トナーを左方向へ搬送し、第2スクリュー37は廃トナーを右方向へ搬送する。
【0054】
第1スクリュー36には、廃トナーの表面(粉面50)を均すための2つのパドル(パドル39a及びパドル39b)が設けられている。なお以下の説明において、これらの2つのパドルを区別する必要がない場合には「パドル39」と称する。各パドル39が回転することによって、廃トナー容器31内の廃トナーが撹拌されて、粉面50が可及的に平滑に均される。
【0055】
各パドル39は、第1スクリュー36のねじ山(螺旋状に突出した部分)を跨ぐようなコの字型となっており、その内側は、対角線上に補強板40が架けられており、その他は開口部41となっている。よって、搬送スクリュー35が回転するときに廃トナーが各パドル29の開口部41を通り抜けることができるので、廃トナーによって搬送スクリュー35に大きなトルクがかかることがなく、搬送スクリュー35の耐久性を向上させる(もしくは、低コストの搬送スクリュー35を採用する)ことができる。また、パドル39a及びパドル39bは、第1スクリュー36の回転軸から互いに反対方向に突出しているので、2つのパドル39が同時に廃トナーに潜るのを避けることができ、その結果として、廃トナーによって搬送スクリュー35に大きなトルクがかかることがなく、搬送スクリュー35の耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、
図8に示すように、各パドル39において、第1スクリュー36の回転軸から最も遠い面(すなわち、第1スクリュー36の回転軸に平行に延びている部分の外面)は、平坦ではなく、回転方向に向かって傾斜した傾斜面42が設けられている。さらに、補強板40にも同様の傾斜面42が設けられている。これにより、パドル39が廃トナーから受ける抵抗が減り、搬送スクリュー35の耐久性を向上させることができる。
【0057】
また、パドル39は、第1スクリュー36のねじ山を跨ぐようなコの字型となっている、すなわち第1スクリュー36にはパドル39の設置位置にもねじ山が存在するため、各パドル39の設置位置においても第1スクリュー36の搬送力(左方向への搬送力)が失われることがない。
【0058】
廃トナー容器31の左右方向の中央付近には、廃トナー容器31が廃トナーで満杯になったことを検知するための満杯検知部43が設けられている。満杯検知部43は、第1スクリュー36と第2スクリュー37の境界である切り替え位置38よりも右側に設けられている。
【0059】
満杯検知部43は、
図7に示すように、廃トナー容器31を貫く筒形状となっており、その上部は廃トナー容器31の内部に上向きに突出しており、その下部は廃トナー容器31の外部に下向きに突出している。満杯検知部43の上端には落下口44が設けられており、満杯検知部43の近傍の粉面50の高さが落下口44の高さを超えると、溢れた廃トナーが落下口44から落下する。落下口44から落下した廃トナーは、満杯検知部43によって形成される検知空間SP2に貯留される。
【0060】
廃トナー収容装置30が本体2に装着されると、満杯検知部43の下部は、本体2に設けられている透過型フォトセンサー24(
図3参照)の発光部と受光部の間に挿入される。満杯検知部43の下部は、透明部材で構成されており、透過型フォトセンサー24を用いて、検知空間SP2に廃トナーが貯留されているか否かを検知することができる。透過型フォトセンサー24によって検知空間SP2に廃トナーが貯留されていることが検知されると、本体2に設けられた制御部は、廃トナー収容装置30が満杯になった旨を本体2に設けられた操作パネルに表示し、ユーザーに廃トナー収容装置30の交換を促す。
【0061】
なお、第1回収口33及び第2回収口34から廃トナー容器31内に進入した廃トナーは第1スクリュー36によって左方向へ搬送されるので、廃トナー容器31の左端まで廃トナーを行き渡らせることができる。また、満杯検知部43の落下口44は、搬送スクリュー35の中心軸よりも上側に位置しているので、廃トナー容器31の左端まで廃トナーが行き渡るよりも先に廃トナーが検知空間SP2に進入してしまうのを回避することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、第1スクリュー36の近傍に落下口44が位置しているが、もし仮に第1スクリュー36にパドル39を設けていない場合には、第1スクリュー36の近傍の粉面50が盛り上がることで、廃トナー容器31の左端まで廃トナーが行き渡るよりも先に廃トナーが検知空間SP2に進入してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1スクリュー36において、満杯検知部43よりも右側(すなわち、満杯検知部43よりも上流側)に2つのパドル39を設けることで、第1スクリュー36の近傍の粉面50を均すことができ、そのような問題を回避することができる。
【0063】
廃トナー容器31の左端まで廃トナーが行き渡り、切り替え位置38よりも左側の粉面50の高さが第2スクリュー37の高さに達するようになると、切り替え位置38よりも左側に収容されている廃トナーは第2スクリュー37によって右方向へ搬送される。その結果、切り替え位置38に向かって廃トナーが集り、
図6に示すように、切り替え位置38の周辺の粉面50が盛り上がっていく。切り替え位置38における粉面50の高さが廃トナー容器31の上面にまで達すると、盛り上がった廃トナーは廃トナー容器31の上面に沿って左右方向に広がっていく。すると、満杯検知部43の落下口44の高さは、切り替え位置38における廃トナー容器31の上面の高さよりも低いため、盛り上がった廃トナーは最終的に満杯検知部43の落下口44にまで広がって、廃トナーが落下口44から検知空間SP2へと落下する。
【0064】
なお、第1スクリュー36及び第2スクリュー37は、それぞれにおいて均一なピッチ(ねじ山の間隔)を有するスクリューであるが、第2スクリュー37のピッチは、第1スクリュー36のピッチよりも大きくなっている。これにより、第2スクリュー37の搬送量(右方向への単位時間あたりの廃トナーの搬送量)が第1スクリュー36の搬送量(左方向への単位時間あたりの廃トナーの搬送量)よりも大きくなるので、切り替え位置38の周辺において盛り上がった廃トナーを効果的に落下口44に(すなわち右方向へ)導くことができる。
【0065】
廃トナー収容装置30は、廃トナーで満杯になると、新しいものと交換されるために本体2から取り外されるが、これに限らず、まだ廃トナーで満杯になっていない状態であっても、プリンター1のメンテナンス作業(例えば、現像器ユニットU2の交換等)の際などに本体2から一時的に取り外されてから再装着されることもある。
【0066】
上記のように、まだ廃トナーで満杯になっていない状態で、廃トナー収容装置30が本体2から一時的に取り外された場合には、ユーザーが廃トナー収容装置30を揺すったり傾けたりすることで、廃トナー容器31に収容されている廃トナーが移動して、廃トナーが検知空間SP2に入ってしまうおそれがある。もし廃トナーが検知空間SP2に入ってしまうと、廃トナー容器31を本体2に再装着したときに、廃トナー収容装置30が廃トナーで満杯になったと誤検知されてしまうことになる。
【0067】
しかしながら、本実施形態では、満杯検知部43の落下口44が、廃トナー容器31の左右方向の中央付近、かつ、廃トナー容器31の奥行方向の中央付近に位置している。すなわち、満杯検知部43の落下口44が、満杯検知部43の左右方向の両端面及び奥行方向の両端面のいずれからも離れているため、廃トナー収容装置30がいずれの方向に傾けられたとしても廃トナーは検知空間SP2に入りにくい。
【0068】
また、廃トナー容器31の左端部は、
図6に示すように、上方向に突出した形状になっており、これによって退避空間SP3が形成されている。よって、万が一ユーザーが
図9に示すように廃トナー収容装置30の左端部が鉛直下向きになるように廃トナー収容装置30を大きく傾けてしまったとしても、収容空間SP1に収容されていた廃トナーの一部が退避空間SP3に移動するため、廃トナーの粉面50は満杯検知部43の落下口44よりも鉛直下側となる。よって、このような場合でも、廃トナーが検知空間SP2に入ってしまうことはない。
【0069】
なお、上記のような効果を最大限に得るためには、廃トナー収容装置30の満杯容量(すなわち、
図6のように本体2に装着した状態において、廃トナーが落下口44に入る寸前の状態の廃トナーの体積)と等しい体積の廃トナーを収容している状態でも、
図9において廃トナーが落下口44に入らないように、十分な容量の退避空間SP3を設けておくことが好ましい。
【0070】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてプリンター1を例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等でもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0071】
例えば、プリンター1は、モノクロのトナー画像を形成しているが、カラーのトナー画像を形成してもよい。
【0072】
また、前述の実施形態では、廃トナー収容装置30に2つのパドル39を設けているが、パドル39の数は1つだけであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、例えば3つのパドル39を設ける場合には、
図10に示すように、各パドル39の突出方向が120度ずつ異なるようにするのが好ましい。そうすることで、3つのパドル39が廃トナーに同時に潜り込むのを防ぎ、廃トナーによって搬送スクリュー35に大きなトルクがかかるのを防ぐことができる。
【0073】
また、前述の実施形態では、搬送スクリュー35が、搬送方向の異なる2つのスクリュー(第1スクリュー36及び第2スクリュー37)で構成されているが、
図11に示すように、搬送スクリュー35が、廃トナーを左方向へのみ搬送する、全体的に均一なピッチを有するスクリューであってもよい。
【0074】
また、前述の実施形態では、廃トナー容器31の左端部に退避空間SP3が形成されているが、退避空間SP3が廃トナー容器31の他の端部(例えば、右端部、手前端部、または奥端部)に形成されていてもよい。また、廃トナー容器31の複数の端部に退避空間SP3がそれぞれ設けられていてもよい。