(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理装置は、前記スキャンデータに対して文字認識を行うことにより、前記スキャンデータに含まれる前記第1の工程の記録情報を特定する記録情報特定部をさらに備え、
前記比較部は、前記第1のデータベースに記録されている前記第1の工程の記録情報と、前記記録情報特定部により特定された前記第1の工程の記録情報とを比較する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記画像合成部は、前記比較部により前記第1の工程の記録情報が同一ではないことが確認された場合には、前記スキャンデータに含まれる前記第1の工程の記録情報を前記第1のデータベースに記録されている前記第1の工程の記録情報に差し替えた画像を、前記帳票の画像として生成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて複合機20aおよび複合機20bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、複合機20aおよび複合機20bを特に区別する必要が無い場合には、単に複合機20と称する。
【0023】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.情報処理システムの基本構成
2.実施形態の詳細な説明
2−1.構成
2−2.動作
2−3.効果
3.ハードウェア構成
4.変形例
【0024】
<<1.情報処理システムの基本構成>>
<1−1.基本構成>
本発明は、一例として「2.実施形態の詳細な説明」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。まず、本発明の実施形態による情報処理システムの基本構成について、
図1を参照して説明する。
図1に示したように、本実施形態による情報処理システムは、画像認識サーバ10、複合機20、および通信網22を含む。
【0025】
[1−1−1.画像認識サーバ10]
画像認識サーバ10は、本発明における情報処理装置の一例である。この画像認識サーバ10は、帳票がスキャンされた電子データをデータベースに登録し、管理するための装置である。なお、以下では、画像認識サーバ10が生産管理システムに適用され、そして、製造業における品質記録帳票の電子データを管理する例について説明を行う。
【0026】
また、画像認識サーバ10は、例えば、後述する通信網22を介して複合機20との間で情報の送受信を行うことが可能である。例えば、画像認識サーバ10は、複合機20から品質記録帳票のスキャンデータを受信する。
【0027】
(品質記録帳票)
品質記録帳票は、工場2における例えば資材の受け入れ、工程1、工程2、工程3、および最終工程といった全ての製造工程における作業実績が記録される帳票である。また、品質記録帳票は、例えば製品ごとに予め定められたフォーマットで作成される。ここで、
図2を参照して、品質記録帳票の構成例(品質記録帳票30)について説明する。
【0028】
図2に示したように、品質記録帳票30は、例えば帳票番号用バーコード300、版数用バーコード302、および工程1の記録欄304a、工程2の記録欄304bなどの各工程の記録欄304を含む。ここで、帳票番号用バーコード300は、発行済みの品質記録帳票30を一意に識別するための帳票識別IDがコード化されたバーコードである。なお、帳票識別IDは、本発明における帳票識別情報の一例である。また、版数用バーコード302は、該当の帳票識別IDの品質記録帳票30の版数がコード化されたバーコードである。なお、詳細については後述するが、版数は、該当の帳票識別IDの品質記録帳票30が改版(差し替え)された回数を示す数である。また、各工程の記録欄304は、各工程における例えば製品の品質の測定値などの作業実績を作業者が記録するための記録欄である。なお、例えば、記録欄304aが工程1の記録欄であり、記録欄304bが工程2の記録欄であるなど、いずれの記録欄304がいずれの工程に対応するかについては予め画像認識サーバ10が記憶しているものとする。また、
図2に示したように、各工程の記録欄304は、例えば「2」や「5」など一文字を記録するための文字記録欄を複数含む。この構成によれば、各工程の記録欄304に対してOCR(Optical Character Recognition)が行われる場合に、記録されている個々の文字を特定しやすいので、個々の文字の認識の精度を高めることが可能となる。
【0029】
また、工程1の記録欄304aに示したように、各工程の記録欄304は、例えば該当の工程における作業者や責任者の氏名記入欄をさらに含む。また、各工程の記録欄304は、補足情報を作業者が記入するためのコメント欄や備考欄をさらに含んでもよい。
【0030】
[1−1−2.複合機20]
複合機20は、本発明におけるスキャナの一例である。この複合機20は、紙媒体をスキャンする機能、および電子データを紙媒体に印刷する機能を有する。この複合機20は、例えば工場2内に設置され、品質記録帳票などの帳票をスキャンしたり、スキャンしたデータを画像認識サーバ10に登録するために利用される。なお、
図1では、複合機20が工場2内に1台だけ設置される例を図示しているが、かかる例に限定されず、工場2内に複数台設置されてもよい。
【0031】
ここで、
図3を参照して、複合機20の構成についてより詳細に説明する。
図3は、複合機20の構成を示した機能ブロック図である。
図3に示したように、複合機20は、制御部200、通信部220、スキャン部222、および印刷部224を有する。
【0032】
(1−1−2−1.制御部200)
制御部200は、複合機20に内蔵される、例えばCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェアを用いて、複合機20の動作を全般的に制御する。
【0033】
(1−1−2−2.通信部220)
通信部220は、例えば通信網22などを介して、他の装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部220は、制御部200の制御に従って、後述するスキャン部222によりスキャンされた品質記録帳票のデータを画像認識サーバ10へ送信する。
【0034】
(1−1−2−3.スキャン部222)
スキャン部222は、各種の帳票を光学的に読み取り、デジタル静止画像として記録する。例えば、スキャン部222は、配置された帳票に光を当て、その反射光を撮像素子で電気信号に変換することにより、帳票をデジタル画像として記録する。
【0035】
(1−1−2−4.印刷部224)
印刷部224は、制御部200による制御に従って、文字や画像などの情報を例えばインクやトナーなどを用いて紙媒体に対して印刷する。
【0036】
[1−1−3.通信網22]
通信網22は、通信網22に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網22は、電話回線網、インターネット、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網22は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0037】
なお、本実施形態による情報処理システムは、上述した構成に限定されない。例えば、複合機20の代わりに、スキャナおよびプリンタが(それぞれ独立した装置として)工場2内に設置されてもよい。
【0038】
<1−2.課題の整理>
ところで、品質記録帳票は、各工程における製品の品質を記録するための帳票であるので、品質記録帳票に記録済みの情報を改竄することは許されない。しかしながら、品質記録帳票に対する記録は手書きで行われるという事情もあり、品質記録帳票の改竄を完全に防止することは難しい。例えば、前の工程における記録情報が後の工程において作業者により改竄される恐れがある。
【0039】
図4は、
図2に示した品質記録帳票30が、工程1と工程2との間の時期において工程1の記録情報が改竄された例を示した説明図である。具体的には、
図4に示した文字記録欄3040では、
図2に示したように工程1の完了時には「1」が記録されていたが、
図4に示したように工程2の完了時には「2」に書き換えられている。この改竄は、例えば、作業者が修正液で「1」を塗りつぶし、そして、「2」を上書きすることにより行われる。
【0040】
このような品質記録帳票の改竄の検出や防止のために、従来、各種対策が講じられている。例えば、各工程が完了する度に、各工程の実績が追記された品質記録帳票を作業員に複合機でスキャンさせ、その時点の完了報告内容を生産管理システムへ記録する方法が採用されている。より具体的には、この方法では、工場の作業者は、工程1が完了し、品質記録帳票に工程1の実績を記録したら品質記録帳票をスキャンし、スキャンが終了したら工程2を開始し、その後、工程2が完了し、品質記録帳票に工程2の実績を記録したら品質記録帳票をスキャンする、といった作業を繰り返す。そして、生産管理システムは、一連の製造工程のうちの途中の工程において記録情報に不備を検出した場合には、次の工程の作業を行わせないように制限を行う。また、この際、生産管理システムは、品質記録帳票に記録されている前工程の記録情報を再度検査し、そして、前工程完了時にスキャンされた状態から記録内容が変化している場合には、改竄がなされたと判断する。
【0041】
しかしながら、公知の技術では、改竄された記録情報を改竄前の内容に自動的に復元することができない。
【0042】
なお、改竄された箇所に対して取り消し線を作業員が追記するなどにより、同じ品質記録帳票を使い続ける方法も考えられる。しかしながら、この方法では、改竄前の記録情報を作業員が品質記録帳票に記録し直さなければならず、記録誤りが生じ得る。また、例えば取り消し線が複数記載されると、正しい記録情報がどれであるのかを作業員が認識し辛くなり、品質記録帳票としての機能が損なわれる恐れがある。
【0043】
また、別の方法として、改竄されたことが検出された場合に、生産管理システムに既に登録されている前工程の記録情報を白紙に印刷し、そして、印刷された帳票に対して作業員が現工程の記録情報を再度記入し直す方法も考えられる。しかしながら、この方法では、現工程の記録情報を作業員が記録するので、やはり記録誤りが生じ得る。また、作業効率も悪い。
【0044】
そこで、上記事情を一着眼点にして、本実施形態による画像認識サーバ10を創作するに至った。本実施形態による画像認識サーバ10は、品質記録帳票における前工程の記録情報が改竄されていると判断された際に、前工程の記録情報が改竄前の内容に復元され、かつ、現工程の記録情報を含む帳票を自動的に生成することが可能である。以下、本発明の実施形態について順次詳細に説明する。
【0045】
<<2.実施形態の詳細な説明>>
<2−1.構成>
まず、本実施形態による画像認識サーバ10の構成について詳細に説明する。
図5は、画像認識サーバ10の構成を示した機能ブロック図である。
図5に示したように、画像認識サーバ10は、制御部100、通信部120、および記憶部122を有する。
【0046】
[2−1−1.制御部100]
制御部100は、画像認識サーバ10に内蔵される、後述するCPU150、RAM154などのハードウェアを用いて、画像認識サーバ10の動作を全般的に制御する。また、
図5に示したように、制御部100は、帳票識別情報特定部102、工程データ特定部104、実績データ取得部106、比較部108、画像合成部110、送信制御部112、および、工程データ記録部114を有する。
【0047】
[2−1−2.帳票識別情報特定部102]
帳票識別情報特定部102は、複合機20から受信された品質記録帳票のスキャンデータから帳票識別IDを特定する。例えば、品質記録帳票において帳票識別IDがバーコード(以下、帳票識別ID用バーコードと称する)で記録されている場合には、帳票識別情報特定部102は、受信されたスキャンデータに含まれる帳票識別ID用バーコードを画像解析することにより、帳票識別IDを特定する。または、品質記録帳票において帳票識別IDが文字列で記録されている場合には、帳票識別情報特定部102は、受信されたスキャンデータに含まれる帳票識別IDの印刷箇所に対して文字認識を行うことにより、帳票識別IDを特定する。
【0048】
[2−1−3.工程データ特定部104]
工程データ特定部104は、本発明における記録情報特定部の一例である。工程データ特定部104は、受信された品質記録帳票のスキャンデータから現工程に関するデータ、および前工程に関するデータを特定する。なお、現工程は、本発明における第2の工程の一例であり、また、前工程は、本発明における第1の工程および第3の工程の一例である。また、前工程は、現工程よりも前の工程のうちの一つである。
【0049】
(2−1−3−1.現工程に関するデータの特定)
例えば、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータから現工程の記録領域の画像を特定する。より具体的には、工程データ特定部104は、まず、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別IDに対応づけて実績データDB124に記録されている工程番号のうち最も後ろの工程の工程番号を実績データDB124から取得する。そして、工程データ特定部104は、取得した工程番号よりも一つ後の工程の工程番号を現工程の工程番号として特定する。そして、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータにおける、特定した現工程の工程番号に対応する記録領域の画像を抽出する。
【0050】
なお、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータにおける現工程の記録領域に対して文字認識を行い、そして、認識結果を現工程の記録情報として特定することも可能である。
【0051】
(2−1−3−2.前工程に関するデータの特定)
また、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータから直前の工程の記録領域の画像を特定する。より具体的には、工程データ特定部104は、実績データDB124から取得した、最も後ろの工程の工程番号を直前の工程の工程番号として特定する。そして、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータにおける、特定した直前の工程の工程番号に対応する記録領域の画像を抽出する。
【0052】
なお、工程データ特定部104は、受信されたスキャンデータにおける直前の工程の記録領域に対して文字認識を行い、そして、認識結果を直前の工程の記録情報として特定することも可能である。
【0053】
‐実績データDB124
実績データDB124は、本発明における第1のデータベースの一例である。実績データDB124は、複合機20から受信されたスキャンデータに含まれる各工程の記録領域の画像が格納されるデータベースである。ここで、
図6を参照して、実績データDB124の構成例について説明する。
図6に示したように、実績データDB124では、例えば、帳票識別ID1240、工程番号1242、および画像1244が対応づけられている。ここで、帳票識別ID1240には、品質記録帳票の帳票識別IDが記録される。また、工程番号1242には、該当の帳票識別IDの品質記録帳票に関して、格納済みの個々の記録領域の画像に対応する工程番号が記録される。また、画像1244には、該当の帳票識別IDの品質記録帳票における、該当の工程番号の工程の記録領域の画像が格納される。
【0054】
例えば、
図6に示した例では、帳票識別IDが「0001」である品質記録帳票に関して、記録領域の画像が格納済みの工程(つまり前工程)の工程番号は「1」であることを示している。
【0055】
[2−1−4.実績データ取得部106]
実績データ取得部106は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別IDの品質記録帳票における前工程の記録領域の画像を実績データDB124から取得する。例えば、実績データ取得部106は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別IDに対応づけて実績データDB124に格納されている記録領域の画像のうち、直前の工程の工程番号に対応する画像を取得する。
【0056】
なお、変形例として、各工程の記録領域の画像が文字認識された結果が帳票識別IDと対応付けて格納されるデータベースである文字認識結果DB(図示省略)が設けられている場合には、実績データ取得部106は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別ID、および工程データ特定部104により取得された直前の工程の工程番号に対応する文字認識の結果を、直前の工程の記録情報として文字認識結果DBから取得することも可能である。
【0057】
[2−1−5.比較部108]
(2−1−5−1.比較例1)
比較部108は、工程データ特定部104により特定された前工程に関するデータと、実績データ取得部106により取得された前工程に関するデータとを比較することにより、前工程の記録情報の同一性を確認する。例えば、比較部108は、工程データ特定部104により特定された前工程の記録領域の画像と、実績データ取得部106により取得された前工程の記録領域の画像とをマッチングすることにより、前工程の記録情報の同一性を確認する。または、比較部108は、工程データ特定部104により特定された前工程の記録領域の文字認識の結果と、実績データ取得部106により取得された前工程の記録領域の文字認識の結果とをマッチングすることにより、前工程の記録情報の同一性を確認する。
【0058】
または、比較部108は、まず、工程データ特定部104により特定された前工程の記録欄における複数の文字記録欄に対する文字認識の結果と、実績データ取得部106により取得された前工程の記録欄における複数の文字記録欄の文字認識の結果とをマッチングする。そして、比較部108は、工程データ特定部104により特定された前工程の記録欄における例えば氏名記入欄、コメント欄、および備考欄などの文字記録欄以外の領域の画像と、実績データ取得部106により取得された前工程の記録欄における文字記録欄以外の領域の画像とをマッチングする。そして、二つのマッチングの結果がそれぞれ同一であることを示す場合には、前工程の記録情報が同一であると判定する。
【0059】
ここで、
図2および
図4を参照して、上記の機能についてさらに詳細に説明する。なお、ここでは、
図2に示した品質記録帳票30aにおける工程1の記録欄304aの画像が実績データDB124に格納されていること、および、
図4に示した品質記録帳票30bのスキャンデータが複合機20から受信されていることを前提とする。
【0060】
上述したように、品質記録帳票30aと品質記録帳票30bとでは、
図4に示した文字記録欄3040に記録されている文字が異なる。このため、この例では、比較部108は、工程データ特定部104により特定された工程1の記録欄304aの画像と、実績データ取得部106により取得された工程1の記録欄304aの画像とをマッチングし、そして、工程1の記録情報が同一ではないと判定する。
【0061】
(2−1−5−2.比較例2)
なお、前工程が複数存在する場合には、比較部108は、複数の前工程の各々に関して、工程データ特定部104により特定された当該工程に関するデータと、実績データ取得部106により取得された当該工程に関するデータとを比較することにより、各工程の記録情報の同一性を確認する。
【0062】
(2−1−5−3.比較例3)
また、比較部108は、帳票識別情報特定部102により帳票識別IDが特定された際に、特定された帳票識別IDに対応づけて版数DB126に記録されている版数と、受信されたスキャンデータに含まれる版数情報が示す版数とを比較することにより、版数の同一性を確認する。例えば、比較部108は、まず、受信されたスキャンデータに含まれる版数情報を画像解析または文字認識することにより版数を特定する。そして、比較部108は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別IDに対応づけて版数DB126に記録されている版数を抽出する。そして、比較部108は、スキャンデータから特定した版数と、版数DB126から抽出した版数とを比較することにより、版数の同一性を確認する。なお、版数情報は、バーコード(以下、版数用バーコードと称する)、または例えば「1.0」などの数字である。
【0063】
なお、比較部108は、版数の同一性の確認結果を、後述する送信制御部112に伝達する。
【0064】
‐版数DB126
版数DB126は、本発明における第2のデータベースの一例である。版数DB126は、帳票識別IDと対応づけて最新の版数が格納されるデータベースである。ここで、
図7を参照して、版数DB126の構成例について説明する。
図7に示したように、版数DB126では、例えば、帳票識別ID1260、および版数1262が対応づけられている。ここで、帳票識別ID1260には、品質記録帳票の帳票識別IDが記録される。また、版数1262には、該当の帳票識別IDの品質記録帳票の最も新しい版数が記録される。なお、版数情報が版数用バーコードである場合には、版数1262には、版数用バーコードの画像が格納されてもよい。
【0065】
[2−1−6.画像合成部110]
(2−1−6−1.合成例1)
画像合成部110は、比較部108により前工程の記録情報が同一ではないことが確認された場合に、実績データ取得部106により取得された前工程の記録領域の画像と、工程データ特定部104により特定された現工程の記録領域の画像とを合成することにより、改版後の帳票の画像を生成する。例えば、画像合成部110は、上記の場合には、受信されたスキャンデータのうち工程データ特定部104により特定された前工程の記録領域の画像を、実績データ取得部106により取得された前工程の記録領域の画像に差し替えた画像を、改版後の帳票の画像として生成する。
【0066】
なお、前工程が複数存在する場合には、画像合成部110は、複数の前工程のうち比較部108により記録情報が同一ではないと判定された全ての前工程の各々に関して、工程データ特定部104により特定された当該工程の記録領域の画像を、実績データ取得部106により取得された当該工程の記録領域の画像に差し替えた画像を、改版後の帳票の画像として生成する。
【0067】
ここで、
図8および
図9を参照して、上記の機能についてさらに詳細に説明する。なお、
図8に示したスキャンデータ40は、
図4に示した品質記録帳票30bがスキャンされたデータである。また、
図8に示した工程1の実績データ42は、品質記録帳票30bの帳票識別IDに対応づけて実績データDB124に格納されている工程1の記録欄304aの画像である。
【0068】
上述したように、
図8に示したスキャンデータ40が受信された場合には、比較部108は、工程1の記録情報が同一でないと判定する。このため、画像合成部110は、スキャンデータ40に含まれる工程1の記録欄404aを工程1の実績データ42により差し替えることにより、
図9に示したような改版後の帳票の画像44を生成する。
【0069】
この合成例によれば、品質記録帳票における前工程の記録情報が改竄されている場合に、当該工程の記録情報が改竄前の記録情報に復元され、かつ、現工程の記録情報を含む帳票を自動的に生成することができる。
【0070】
(2−1−6−2.合成例2)
また、画像合成部110は、比較部108により前工程の記録情報が同一ではないことが確認された場合には、受信されたスキャンデータに含まれる版数情報が示す値に所定の値を加算した値を含む新たな版数情報をさらに合成することにより、改版後の帳票の画像を生成する。例えば、版数情報が版数用バーコードであり、かつ、上記の場合には、画像合成部110は、まず、受信されたスキャンデータに含まれる版数用バーコードから解析された版数に所定の値を加算し、そして、算出後の値がコード化された版数用バーコードを生成する。そして、画像合成部110は、受信されたスキャンデータに含まれる版数用バーコードを、生成した版数用バーコードにさらに差し替えることにより、改版後の帳票の画像を生成する。
【0071】
または、版数情報が数字である場合で、かつ、上記の場合には、画像合成部110は、まず、受信されたスキャンデータに含まれる版数情報を文字認識し、そして、認識結果に所定の値を加算することにより新たな版数情報を算出する。そして、画像合成部110は、受信されたスキャンデータに含まれる版数情報を、算出した版数情報にさらに差し替えることにより、改版後の帳票の画像を生成する。
【0072】
(2−1−6−3.版数情報の記録)
さらに、画像合成部110は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別IDと対応づけて改版後の版数情報が示す値を版数DB126に記録する。
【0073】
[2−1−7.送信制御部112]
送信制御部112は、比較部108により版数情報が同一ではないことが確認された場合には、版数情報の不一致の通知を複合機20へ通信部120に送信させる。この制御例によれば、複合機20は、画像認識サーバ10から受信された通知に従って、例えばスキャンされた品質記録帳票が古い版の品質記録帳票(つまり、改竄された品質記録帳票)であることを示す警告表示を表示したり、ブザーを出力することができる。そして、改竄された品質記録帳票の使用を中止したり、廃棄するように作業者に警告することができる。
【0074】
また、送信制御部112は、画像合成部110により改版後の帳票の画像が生成された場合には、生成された画像を複合機20へ通信部120に送信させる。
【0075】
[2−1−8.工程データ記録部114]
工程データ記録部114は、本発明における記録情報記録部の一例である。工程データ記録部114は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別ID、および工程データ特定部104により特定された現工程の工程番号と対応づけて、工程データ特定部104により特定された現工程の記録領域の画像を実績データDB124に格納する。
【0076】
なお、変形例として、上述した文字認識結果DBが設けられる場合には、工程データ記録部114は、帳票識別情報特定部102により特定された帳票識別ID、および工程データ特定部104により特定された現工程の工程番号と対応づけて、工程データ特定部104により特定された現工程の記録領域の文字認識の結果を文字認識結果DBに格納することも可能である。
【0077】
[2−1−9.通信部120]
通信部120は、例えば通信網22などを介して、他の装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部120は、送信制御部112の制御に従って、改版後の帳票の画像を複合機20へ送信する。また、通信部120は、品質記録帳票のスキャンデータを複合機20から受信する。
【0078】
[2−1−10.記憶部122]
記憶部122は、例えば、実績データDB124、および版数DB126など、各種のデータを記憶する。なお、記憶部122は、上述した文字認識結果DBをさらに記憶することも可能である。
【0079】
なお、本実施形態による画像認識サーバ10の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、実績データDB124、または版数DB126のうちいずれか1以上は、記憶部122に記憶される代わりに、画像認識サーバ10と通信可能な他の装置(図示省略)に記憶されることも可能である。また、実績データDB124および版数DB126は、別々のデータベースとして構成される代わりに、一体のデータベースとして構成されてもよい。
【0080】
<2−2.動作>
以上、本実施形態による構成について説明した。続いて、本実施形態による動作について説明する。なお、以下では、工場2の作業員がある製品に関する一つの工程(現工程)の作業を完了し、そして、品質記録帳票に現工程の実績を記録した場面における動作例について説明する。
【0081】
[2−2−1.全体的な動作]
図10は、本実施形態による動作を示したシーケンス図である。
図10に示したように、まず、作業員は、現工程の実績が記録された品質記録帳票を複合機20にスキャンさせる(S101)。そして、複合機20の通信部220は、制御部200の制御に従って、S101でスキャンされたデータを画像認識サーバ10へ送信する(S103)。
【0082】
その後、画像認識サーバ10の帳票識別情報特定部102は、S103で受信されたスキャンデータに含まれる帳票識別ID用バーコードを画像解析することにより帳票識別IDを特定する。そして、比較部108は、当該スキャンデータに含まれる版数用バーコードを画像解析することにより版数を特定する(S105)。
【0083】
続いて、比較部108は、S105で特定された帳票識別IDに対応づけて版数DB126に記録されている版数を抽出する(S107)。
【0084】
そして、比較部108は、S105で特定した版数と、S107で抽出した版数とが同一であるか否かを確認する(S109)。版数が同一ではないことが確認された場合には(S109:No)、送信制御部112は、版数情報の不一致の通知を複合機20へ通信部120に送信させる(S111)。そして、複合機20は、例えばS111で受信された通知の内容を表示したり、ブザーを出力する。その後、複合機20は、動作を終了する。
【0085】
一方、版数が同一であることが確認された場合には(S109:Yes)、画像認識サーバ10は、後述する「差替要否判定処理」を行う(S113)。
【0086】
その後、S113において前工程の記録情報の差し替えが行われなかった場合には(S115:No)、画像認識サーバ10は、処理を終了する。
【0087】
一方、前工程の記録情報の差し替えが行われた場合には(S115:Yes)、送信制御部112は、S113で生成された改版後の品質記録帳票の画像を複合機20へ通信部120に送信させる(S117)。
【0088】
その後、複合機20の印刷部224は、S117で受信された画像を紙媒体に印刷し、出力する(S119)。
【0089】
[2−2−2.差替要否判定処理]
ここで、
図11および
図12を参照して、S113における「差替要否判定処理」の動作について詳細に説明する。
図11に示したように、まず、画像認識サーバ10の制御部100は、S103で受信されたスキャンデータに対応する差し替え回数に「0」を設定し、そして、設定後の差し替え回数を保持する(S201)。
【0090】
続いて、工程データ特定部104は、S105で特定された帳票識別IDに対応づけて実績データDB124に記録されている工程番号のうち最も後ろの工程の工程番号を実績データDB124から取得し、そして、取得した工程番号を前工程の工程番号として保持する。そして、工程データ特定部104は、取得した工程番号よりも一つ後の工程の工程番号を現工程の工程番号として特定する(S203)。
【0091】
続いて、工程データ特定部104は、前工程の工程番号が「0」であるか否か、つまり前工程が存在しないか否かを判定する(S205)。前工程の工程番号が「0」である場合には(S205:Yes)、画像認識サーバ10は、後述するS251の動作を行う。
【0092】
一方、前工程の工程番号が「0」ではない場合には(S205:No)、まず、工程データ特定部104は、S103で受信されたスキャンデータにおける、前工程の工程番号に対応する記録領域の画像を特定する(S207)。
【0093】
続いて、実績データ取得部106は、S105で特定された帳票識別ID、および前工程の工程番号に対応づけて実績データDB124に格納されている記録領域の画像を実績データDB124から取得する(S209)。
【0094】
続いて、比較部108は、S207で特定された前工程の記録領域の画像と、S209で取得された前工程の記録領域の画像とをマッチングすることにより、前工程の記録情報の同一性を確認する(S211)。前工程の記録情報が同一であることが確認された場合には(S213:Yes)、制御部100は、後述するS219の動作を行う。
【0095】
一方、前工程の記録情報が同一ではないことが確認された場合には(S213:No)、画像合成部110は、S103で受信されたスキャンデータのうちS207で特定された前工程の記録領域の画像を、S209で取得された前工程の記録領域の画像に差し替えることにより、品質記録帳票の画像を生成する(S215)。
【0096】
続いて、画像合成部110は、保持されている差し替え回数に「1」を加算する(S217)。
【0097】
続いて、制御部100は、保持されている前工程の工程番号を「1」減らす(S219)。そして、制御部100は、再びS205の動作を繰り返す。
【0098】
ここで、
図12を参照して、S205において前工程の工程番号が「0」であると判定された場合(S205:Yes)の動作について説明する。
図12に示したように、まず、画像合成部110は、保持されている差し替え回数が「0」と等しいか否かを判定する(S251)。差し替え回数が「0」と等しい場合には(S251:Yes)、画像認識サーバ10は、後述するS257の動作を行う。なお、差し替え回数が「0」と等しい場合は、該当の品質記録帳票において改竄が検出されなかった場合である。
【0099】
一方、差し替え回数が「0」と等しくない場合には(S251:No)、画像合成部110は、S105で特定された版数に1を加算した値がコード化された版数用バーコードを生成する(S253)。
【0100】
続いて、画像合成部110は、S215で生成された(最終的な)画像に含まれる版数用バーコードを、S253で生成した版数用バーコードに差し替えることにより、改版後の品質記録帳票の画像を生成する(S255)。なお、この改版後の品質記録帳票の画像が上記のS117において複合機20へ送信されることになる。
【0101】
その後、工程データ特定部104は、S103で受信されたスキャンデータから、S203で特定された現工程の工程番号に対応する記録領域の画像を抽出する(S257)。
【0102】
そして、工程データ記録部114は、S257で抽出された現工程の記録領域の画像を、S105で特定された帳票識別IDおよびS203で特定された現工程の工程番号と対応付けて実績データDB124に格納する(S259)。
【0103】
<2−3.効果>
以上、例えば
図5、
図10〜
図12などを参照して説明したように、本実施形態による画像認識サーバ10は、複合機20から受信される品質記録帳票のスキャンデータから帳票識別IDを特定し、特定された帳票識別IDに対応づけて実績データDB124に格納されている前工程の記録領域の画像と、当該スキャンデータに含まれる前工程の記録領域の画像とを比較し、そして、前工程の記録情報が同一ではないことが確認された場合に、実績データDB124に格納されている前工程の記録領域の画像と、当該スキャンデータに含まれる現工程の記録領域の画像とを合成することにより改版後の品質記録帳票の画像を生成する。
【0104】
このため、画像認識サーバ10は、受信されたスキャンデータに含まれる前工程の記録情報が改竄されていると判断される場合には、当該工程の記録情報が改竄前の内容に復元され、かつ、現工程の記録情報を含む品質記録帳票を自動的に生成することが可能になる。
【0105】
従って、改竄された記録情報を改竄前の内容に復元するために、例えば、工場2の作業員が改竄された品質記録帳票に対して取り消し線を追記して、改竄前の記録情報を転記したり、または、実績データDB124に格納されている前工程の記録領域の画像が印刷された紙媒体に対して現工程の記録情報を転記するなどの人的作業が一切不要となる。このため、記録情報の記録誤りの発生を防止することができる。また、品質記録帳票に対して例えば取り消し線などの余分な記載が追加されることがなく、品質記録帳票の視認性が損なわれることがない。また、作業員の作業負荷を減少させることができ、工場2における作業効率を向上させることができる。
【0106】
<<3.ハードウェア構成>>
次に、本実施形態による画像認識サーバ10のハードウェア構成について、
図13を参照して説明する。
図13に示したように、画像認識サーバ10は、CPU150、ROM(Read Only Memory)152、RAM154、内部バス156、入出力インターフェース158、HDD(Hard Disk Drive)160、およびネットワークインターフェース162を備える。
【0107】
<3−1.CPU150>
CPU150は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って画像認識サーバ10内の動作全般を制御する。また、CPU150は、画像認識サーバ10において制御部100の機能を実現する。なお、CPU150は、マイクロプロセッサなどのプロセッサにより構成される。
【0108】
<3−2.ROM152>
ROM152は、CPU150が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。
【0109】
<3−3.RAM154>
RAM154は、CPU150の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一時記憶する。
【0110】
<3−4.内部バス156>
内部バス156は、CPUバスなどから構成される。この内部バス156は、CPU150、ROM152、およびRAM154を相互に接続する。
【0111】
<3−5.入出力インターフェース158>
入出力インターフェース158は、HDD160、およびネットワークインターフェース162を、内部バス156と接続する。例えばHDD160は、この入出力インターフェース158および内部バス156を介して、RAM154などとの間でデータをやり取りする。
【0112】
<3−6.HDD160>
HDD160は、記憶部122として機能する、データ格納用の装置である。このHDD160は、例えば、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含む。また、HDD160は、CPU150が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0113】
<3−7.ネットワークインターフェース162>
ネットワークインターフェース162は、例えばインターネットなどの通信網に接続するための通信デバイスなどで構成された通信インターフェースである。このネットワークインターフェース162は、通信部120として機能する。なお、ネットワークインターフェース162は、無線LAN対応通信装置、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置、または有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0114】
<<4.変形例>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0115】
例えば、画像認識サーバ10は、改竄された記録情報をログとして記憶してもよい。より具体的には、工程データ記録部114は、前工程のうち比較部108により記録情報が同一ではないことが確認された全ての前工程の各々に関して、工程データ特定部104により特定された当該工程の記録領域の画像を、帳票識別ID、当該工程の工程番号、および現工程の工程番号と対応づけてログとして記憶部122に記録してもよい。
【0116】
この変形例によれば、改竄がなされた品質記録帳票に関して、どの工程において、どの工程の記録情報が改竄されたかを記録しておくことが可能となる。そして、工場2の責任者は、例えば所定期間におけるログの集計結果を、工場2の運営の問題点の判断材料として利用することができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、CPU150、ROM152、およびRAM154などのハードウェアを、上述した画像認識サーバ10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも提供可能である。また、該コンピュータプログラムが記録された記録媒体も提供される。