特許第6443096号(P6443096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許6443096-車車間通信装置 図000002
  • 特許6443096-車車間通信装置 図000003
  • 特許6443096-車車間通信装置 図000004
  • 特許6443096-車車間通信装置 図000005
  • 特許6443096-車車間通信装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443096
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車車間通信装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G08G1/09 H
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-20326(P2015-20326)
(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-143325(P2016-143325A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平野 敬浩
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−173930(JP,A)
【文献】 特開2010−262473(JP,A)
【文献】 特開平10−047975(JP,A)
【文献】 特開2007−147307(JP,A)
【文献】 特開2001−283381(JP,A)
【文献】 特表2005−515528(JP,A)
【文献】 センタレスプローブ情報システムの開発に関するフィージビリティスタディ報告書 (要旨),日本,財団法人 機械システム振興協会,2007年 3月
【文献】 寺内 隆志, 外4名,“渋滞緩和を目的とした車車間通信による混雑状況の伝播方式”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2005年 8月30日,Vol.105 No.260,p. 37-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G01C 21/00−21/34
G01C 23/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(33)に搭載され、他車両に情報を送信する車車間通信装置(1)であって、
複数のエリア(A)に分割された地図情報を保持する地図情報保持ユニット(3)と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得ユニット(5)と、
前記地図情報及び前記位置情報を用いて、前記エリアの通過に要した時間を含むエリア情報を取得するエリア情報取得ユニット(9)と、
前記エリア情報を、他の車両に送信するエリア情報送信ユニット(11)と、
を備え、
前記エリア情報送信ユニットは、前記エリアの通過に要した時間がそのエリアについて予め設定された閾値を越えることを条件として、前記エリアの通過に要した時間を送信することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の車車間通信装置であって、
前記エリア内でエンジンが停止した場合、前記エリア情報送信ユニットは、そのエリアの通過に要した時間の送信を中止することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車車間通信装置であって、
前記エリア情報取得ユニットは、前記エリアにおける天候の情報を取得し、
前記エリア情報は、前記エリアにおける天候の情報を含むことを特徴とする車車間通信装置。
【請求項4】
請求項に記載の車車間通信装置であって、
前記エリア情報送信ユニットは、前記エリアにおける天候が予め設定された特定の天候に該当することを条件として、前記エリアにおける天候の情報を送信することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の車車間通信装置であって、
前記エリア情報取得ユニットは、前記エリアにおける道路状況の情報を取得し、
前記エリア情報は、前記エリアにおける道路状況の情報を含むことを特徴とする車車間通信装置。
【請求項6】
請求項に記載の車車間通信装置であって、
前記エリア情報送信ユニットは、前記エリアにおける道路状況が予め設定された特定の道路状況に該当することを条件として、前記エリアにおける道路状況の情報を送信することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の車車間通信装置であって、
前記エリア情報送信ユニットは、前記他車両から送信要求を受信したとき、前記エリア情報を送信することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の車車間通信装置であって、
対向車である前記他車両を検出する対向車検出ユニット(15)を備え、
前記エリア情報送信ユニットは、前記対向車を検出したとき、前記エリア情報を送信することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の車車間通信装置であって、
前記他車両が送信した前記エリア情報を受信するエリア情報受信ユニット(17)を備
えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項10】
請求項に記載の車車間通信装置であって、
前記エリアの境界を通過したとき、前記エリア情報の送信要求を送信する送信要求送信ユニット(19)を備えることを特徴とする車車間通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車車間通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渋滞等の判断に用いる情報を車車間通信により車両間で送受信する技術が知られている。特許文献1記載の技術では、車両が減速又は停止するごとに、位置情報及び時刻情報を蓄積し、蓄積した情報を他車両に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−173930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術では、車両が減速又は停止するごとに情報を蓄積するので、送受信する情報のデータ量が膨大になってしまう。本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、送受信する情報のデータ量を抑制できる車車間通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車車間通信装置は、車両に搭載され、他車両に情報を送信する車車間通信装置であって、複数のエリアに分割された地図情報を保持する地図情報保持ユニットと、車両の位置情報を取得する位置情報取得ユニットと、地図情報及び位置情報を用いて、エリアの通過に要した時間を含むエリア情報を取得するエリア情報取得ユニットと、エリア情報を、他の車両に送信するエリア情報送信ユニットとを備える。
【0006】
本発明の車車間通信装置は、エリアの通過に要した時間を計測し、その時間を含むエリア情報を送信する。そのため、自車両が減速又は停止するたびに情報を蓄積する方法に比べ、送信するエリア情報のデータ量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】車車間通信装置1の構成を表すブロック図である。
図2】地図情報におけるエリアA、及び境界Bを表す説明図である。
図3】車車間通信装置1が実行する情報蓄積処理を表すフローチャートである。
図4】車車間通信装置1が実行するエリア情報送信処理を表すフローチャートである。
図5】車車間通信装置1が実行するエリア情報受信処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.車車間通信装置1の構成
車車間通信装置1の構成を図1図2に基づき説明する。車車間通信装置1は車両に搭載される車載装置である。以下では、車車間通信装置1を搭載する車両を自車両とする。車車間通信装置1はCPU、RAM、ROM等を備えるコンピュータである。車車間通信装置1は、ROMに記憶されたプログラムにより、後述する処理を実行する。
【0009】
車車間通信装置1は、機能的に、地図情報保持ユニット3、位置情報取得ユニット5、エリア情報取得ユニット9、エリア情報送信ユニット11、送信要求受信ユニット13、対向車検出ユニット15、エリア情報受信ユニット17、及び送信要求送信ユニット19を備える。
【0010】
地図情報保持ユニット3は地図情報を記憶している。その地図情報は、図2に示すように、複数のエリアAに分割されている。各エリアAは、境界Bにより区切られている。境界Bには、東西方向(図2における左右方向)の境界B1と、南北方向(図2における上下方向)の境界B2とがある。各エリアAは矩形の形状を有する。車車間通信装置1が備えるその他のユニットの機能は後述する。
【0011】
自車両は、車車間通信装置1に加えて、GPS21、ワイパーセンサ23、カメラ25、ナビゲーション装置27、通信機29、及びエンジンECU31を備えている。GPS21は自車両の位置を特定する。ワイパーセンサ23は、自車両のワイパーにおける動作の有無を検出する。カメラ25は自車両の前方を撮影し、画像データを作成する。ナビゲーション装置27は、車車間通信装置1からの信号に応じて警告を行う。詳しくは後述する。
【0012】
通信機29は他車両との間で車車間通信を行う。車車間通信の方式は、他車両の通信装置と直接通信する方式であってもよいし、路側上のDSRC(Dedicated Short Range Communications)方式の通信路を経由して他車両の通信装置と通信する方式であってもよいし、無線LANを用い、複数の通信器を中継して通信する方式であってもよい。エンジンEDU31は自車両のエンジンを制御する。また、エンジンECU31は、自車両のエンジンの状態(停止しているか否かを含む)を表す信号を出力する。
【0013】
2.車車間通信装置1が実行する情報蓄積処理
車車間通信装置1が所定時間ごとに繰り返し実行する情報蓄積処理を図3に基づき説明する。図3のステップ1では、位置情報取得ユニット5が、GPS21を用いて、自車両の位置(緯度、経度により表される位置)を表す情報(以下では、位置情報とする)を取得するとともに、その位置情報を取得したときの時刻(以下では、位置情報に対応する時刻とする)を取得する。
【0014】
ステップ2では、前回の情報蓄積処理の実行時以降、自車両が境界Bを通過した否かを、エリア情報取得ユニット9が判断する。
具体的には、以下の(i)、(ii)のうちのいずれかに該当する場合は、前回の情報蓄積処理の実行時以降、自車両が境界Bを通過したと判断する。
【0015】
(i)自車両の現時点での位置(直前の前記ステップ1で取得した位置情報により特定される位置)が、境界B上にある。
(ii)図2に示すように、自車両33の現時点での位置が1つのエリアA内にあり、前回の情報蓄積処理の実行時における位置が、エリアAの1つ手前のエリアAp−1内にあった。なお、自車両33は、Ap−3、Ap−2、Ap−1、Aの順に走行するものとする。
【0016】
前回の情報蓄積処理の実行時以降、自車両が境界Bを通過したと判断した場合はステップ3に進み、それ以外の場合はステップ4に進む。
ステップ3では、地図情報保持ユニット3に保持された地図情報及び前記ステップ1で取得した位置情報を用いて、直前に通過したエリアAの通過に要した時間Tを、エリア情報取得ユニット9が算出する。例えば、図2に示すように、自車両33が、エリアAp−3、Ap−2、Ap−1を順次通過し、その時点でエリアA内にある場合、エリアAp−1が、直前に通過したエリアに該当する。
【0017】
図2に示す事例の場合、時間Tは、エリアAp−2とエリアAp−1との境界Bを通過した時刻tp−1から、エリアAp−1とエリアAとの境界Bを通過した時刻tまでの時間として算出できる。時刻tは、直前の前記ステップ2において、エリアAp−1とエリアAとの境界Bを通過したと判断したときの位置情報に対応する時刻である。また、時刻tp−1は、過去の情報蓄積処理において、エリアAp−2とエリアAp−1との境界Bを通過したと判断したときの位置情報に対応する時刻である。エリア情報取得ユニット9は、上記のように算出した時間Tを、対応するエリアA(図2に示す事例の場合はエリアAp−1)と関連付けて記憶する。
【0018】
ステップ4では、エリア情報取得ユニット9が、天候の情報を取得する。天候の情報の内容としては、雨が降っているという内容と、雨が降っていないという内容との2種類がある。エリア情報取得ユニット9は、ワイパーセンサ23の検出結果を取得し、ワイパーが動いている場合は、雨が降っているという内容の天候の情報を取得する。一方、ワイパーが動いていない場合は、雨が降っていないという内容の天候の情報を取得する。エリア情報取得ユニット9は、上記のように取得した天候の情報を、その情報を取得したときに自車両が存在したエリアAと関連付けて記憶する。
【0019】
ステップ5では、エリア情報取得ユニット9が、道路状況の情報を取得する。道路状況の情報の内容としては、交通事故の発生、対向車線の渋滞、通行止め等がある。エリア情報取得ユニット9は、カメラ25を用いて自車両の前方の風景を撮影し、画像を取得する。そして、その画像に対し、公知の画像認識を行い、交通事故、対向車線の渋滞、通行止め等に対応するパターンが認識できるか否かを判断する。いずれかのパターンが認識できれば、そのパターンに対応する内容の、道路状況の情報を取得する。また、いずれのパターンも認識できなければ、交通事故の発生、対向車線の渋滞、及び通行止め等は発生していないという内容の、道路状況の情報を取得する。エリア情報取得ユニット9は、上記のように取得した道路状況の情報を、その情報を取得したときに自車両が存在したエリアAと関連付けて記憶する。
【0020】
ステップ6では、エリア情報取得ユニット9が、エンジンECU31からの信号を取得し、エンジンが停止しているか否かを判断する。そして、その判断結果を、判断を行ったときに自車両が存在したエリアAと関連付けて記憶する。
【0021】
3.車車間通信装置1が実行するエリア情報送信処理
車車間通信装置1が所定時間ごとに繰り返し実行するエリア情報送信処理を図4に基づき説明する。図4のステップ11では、対向車検出ユニット15が、対向車を検出できるか否かを判断する。対向車検出ユニット15は、他車両が送信する電波を、通信機29を用いて取得し、その電波のドップラーシフトから、自車両を基準とする他車両の相対速度を算出する。そして、その相対速度が対向車に対応するもの(十分大きい相対速度)であれば、対向車を検出したと判断し、ステップ12に進む。一方、相対速度が対向車に対応しないものであれば、対向車を検出しなかったと判断し、本処理を終了する。
【0022】
ステップ12では、送信要求受信ユニット13が、送信要求を受信したか否かを判断する。送信要求とは、他車両が後述するエリア情報の送信を要求する信号である。他車両が送信要求を送信した場合、送信要求受信ユニット13は、通信機29を用いて、送信要求を受信できる。送信要求を受信した場合はステップ13に進み、受信しなかった場合は本処理を終了する。
【0023】
ステップ13では、エリア情報送信ユニット11が、直前に通過したエリアAの通過に要した時間Tを読み出す。なお、この時間Tは、前記ステップ3において、直前に通過したエリアAと関連付けて記憶されていたものである。
【0024】
ステップ14では、前記ステップ13で読み出した時間Tが閾値以上であるか否かを、エリア情報送信ユニット11が判断する。前記閾値は、エリアごとに予め設定されており、エリア情報送信ユニット11はその閾値を予め記憶している。時間Tが閾値以上である場合はステップ15に進み、閾値未満である場合はステップ17に進む。
【0025】
ステップ15では、直前に通過したエリアAにおいてエンジンの停止を検出したか否かを、エリア情報送信ユニット11が判断する。この判断は、前記ステップ6で記憶した、エンジン停止の判断結果を用いて行う。直前に通過したエリアAにおいてエンジンの停止を検出しなかった場合はステップ16に進み、エンジンの停止を検出した場合はステップ17に進む。
【0026】
ステップ16では、エリア情報送信ユニット11が、前記ステップ13で読み出した時間Tを、エリア情報に含める。
ステップ17では、エリア情報送信ユニット11が、直前に通過したエリアAと関連付けられた天候の情報を読み出す。なお、この天候の情報は、前記ステップ4において、直前に通過したエリアAと関連付けて記憶されていたものである。
【0027】
ステップ18では、前記ステップ17で読み出した天候の情報が、特定の天候(例えば雨)に該当するか否かを、エリア情報送信ユニット11が判断する。特定の天候に該当する場合はステップ19に進み、特定の天候に該当しない場合はステップ20に進む。
【0028】
ステップ19では、エリア情報送信ユニット11が、前記ステップ17で読み出した天候の情報を、エリア情報に含める。
ステップ20では、エリア情報送信ユニット11が、直前に通過したエリアAと関連付けられた道路状況の情報を読み出す。なお、この道路状況の情報は、前記ステップ5において、直前に通過したエリアAと関連付けて記憶されていたものである。
【0029】
ステップ21では、前記ステップ20で読み出した道路状況の情報が、特定の道路状況(例えば交通事故、対向車線の渋滞、通行止め等)に該当するか否かを、エリア情報送信ユニット11が判断する。特定の道路状況に該当する場合はステップ22に進み、特定の道路状況に該当しない場合はステップ23に進む。
【0030】
ステップ22では、エリア情報送信ユニット11が、前記ステップ20で読み出した道路状況の情報を、エリア情報に含める。
ステップ23では、エリア情報送信ユニット11が、通信機29を用いて、エリア情報を送信する。前記ステップ16の処理を実行した場合、エリア情報には、時間Tが含まれる。また、前記ステップ19の処理を実行した場合、エリア情報には、天候の情報が含まれる。また、前記ステップ22の処理を実行した場合、エリア情報には、道路状況の情報が含まれる。
【0031】
なお、他車両は、送信されたエリア情報を車車間通信により受信し、利用することができる。例えば、他車両は、エリア情報に基づき、他車両のドライバに対し、各種の警告を行うことができる。また、他車両は、エリア情報に基づき、時間Tが長いエリアA、天候が雨のエリアA、道路状況が望ましくない(例えば、交通事故、渋滞、通行止め等が発生している)エリアA等を避け、適切な経路を選択することができる。
【0032】
4.車車間通信装置1が実行するエリア情報受信処理
車車間通信装置1が所定時間ごとに繰り返し実行するエリア情報受信処理を図5に基づき説明する。図5のステップ31では、位置情報取得ユニット5が、GPS21を用いて、自車両の位置情報を取得する。
【0033】
ステップ32では、前回のエリア情報受信処理の実行時以降、自車両が境界Bを通過した否かを、送信要求送信ユニット19が判断する。その判断方法は前記ステップ2と同様である。
【0034】
ステップ33では、送信要求送信ユニット19が、通信機29を用いて、送信要求を送信する。この送信要求は、他車両に対し、エリア情報の送信を要求する信号である。なお、他車両は、この送信要求を車車間通信により受信し、エリア情報を送信することができる。
【0035】
ステップ34では、他車両が送信したエリア情報を受信したか否かを、エリア情報受信ユニット17が判断する。なお、他車両がエリア情報を送信した場合、エリア情報受信ユニット17は、通信機29を用いて、そのエリア情報を受信することができる。エリア情報を受信した場合はステップ36に進み、エリア情報を受信していない場合はステップ35に進む。
【0036】
なお、エリア情報を受信した場合、そのエリア情報の内容は、前記エリア情報送信処理において車車間通信装置1が送信するものと同様である。また、受信したエリア情報は、自車両が境界Bを越え、新たに進入したエリアAに関する情報である。
【0037】
ステップ35では、前記ステップ33で送信要求を送信した時点から、一定時間が経過したか否かを、エリア情報受信ユニット17が判断し、一定時間が経過した場合は本処理を終了し、一定時間が未経過の場合はステップ34に進む。
【0038】
ステップ36では、前記ステップ34で受信したと判断したエリア情報に含まれる時間Tが閾値以上であるか否かを、エリア情報受信ユニット17が判断する。前記閾値は、エリアごとに予め設定されており、エリア情報受信ユニット17はその閾値を予め記憶している。時間Tが閾値以上である場合はステップ37に進み、閾値未満である場合はステップ38に進む。
【0039】
ステップ37では、エリア情報受信ユニット17が、ナビゲーション装置27を用いて、自車両のドライバに対し、渋滞警告を行う。渋滞警告は画像による警告であってもよいし、音声による警告であってもよい。
【0040】
ステップ38では、前記ステップ34で受信したと判断したエリア情報に含まれる天候の情報が、特定の天候(例えば雨)に該当するか否かを、エリア情報受信ユニット17が判断する。特定の天候に該当する場合はステップ39に進み、特定の天候に該当しない場合はステップ40に進む。
【0041】
ステップ39では、エリア情報受信ユニット17が、ナビゲーション装置27を用いて、自車両のドライバに対し、天候に関する警告を行う。天候に関する警告は画像による警告であってもよいし、音声による警告であってもよい。
【0042】
ステップ40では、前記ステップ34で受信したと判断したエリア情報に含まれる道路状況の情報が、特定の道路状況(例えば交通事故、対向車線の渋滞、通行止め等)に該当するか否かを、エリア情報受信ユニット17が判断する。特定の道路状況に該当する場合はステップ41に進み、特定の道路状況に該当しない場合は本処理を終了する。
【0043】
ステップ41では、エリア情報受信ユニット17が、ナビゲーション装置27を用いて、自車両のドライバに対し、道路状況に関する警告を行う。道路状況に関する警告は画像による警告であってもよいし、音声による警告であってもよい。
【0044】
5.車車間通信装置1が奏する効果
(1A)車車間通信装置1は、エリアAの通過に要した時間Tを計測し、その時間Tを含むエリア情報を送信する。そのため、自車両が減速又は停止するたびに情報を蓄積する方法に比べ、送信するエリア情報のデータ量を抑制できる。
【0045】
(1B)車車間通信装置1は、エリア情報を車車間通信により送受信する。そのため、エリア情報をリアルタイムに送受信することができる。
(1C)車車間通信装置1は、時間Tが予め設定された閾値を越えることを条件として、その時間Tを送信する。そのことにより、無条件で時間Tを送信する場合に比べ、エリア情報のデータ量を抑制することができる。
【0046】
(1D)車車間通信装置1は、エリアA内でエンジンが停止した場合、そのエリアAの通過に要した時間Tの送信を中止する。そのことにより、エリアAにおける渋滞の程度を反映していない時間T(例えば、エリアA内で自車両が駐車していたため、エリアAにおける渋滞の程度には関係なく、著しく長くなった時間T等)の送信を抑制することができる。その結果、他車両は、エリア情報に基づき、エリアAにおける渋滞の程度を正確に予測することができる。
【0047】
(1E)車車間通信装置1は、エリアAにおける天候の情報を取得し、その天候の情報をエリア情報に含めることができる。そのことにより、他車両は、エリアAにおける天候を知ることができる。
【0048】
(1F)車車間通信装置1は、エリアAにおける天候が予め設定された特定の天候に該当することを条件として、そのエリアAにおける天候の情報を送信する。そのことにより、無条件に天候の情報を送信する場合に比べ、エリア情報のデータ量を抑制することができる。
【0049】
(1G)車車間通信装置1は、エリアAにおける道路状況の情報を取得し、その道路状況の情報をエリア情報に含めることができる。そのことにより、他車両は、エリアAにおける道路状況を知ることができる。
【0050】
(1H)車車間通信装置1は、エリアAにおける道路状況が予め設定された特定の道路状況に該当することを条件として、そのエリアAにおける道路状況の情報を送信する。そのことにより、無条件に道路状況の情報を送信する場合に比べ、エリア情報のデータ量を抑制することができる。
【0051】
(1I)車車間通信装置1は、他車両から送信要求を受信したとき、エリア情報を送信する。そのことにより、適切なタイミングでエリア情報を送信することができる。
(1J)車車間通信装置1は、対向車である他車両を検出したとき、エリア情報を送信する。そのことにより、適切なタイミングでエリア情報を送信することができる。
【0052】
(1K)車車間通信装置1は、他車両が送信したエリア情報を受信することができる。そのため、受信したエリア情報を用いて、自車両のドライバに対し各種警告を行うことができる。
【0053】
(1L)車車間通信装置1は、エリアAの境界Bを通過したとき、送信要求を送信し、他車両からエリア情報を受信する。そのため、常時エリア情報を受信する方法に比べ、受信するエリア情報のデータ量を抑制できる。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0054】
(1)地図情報におけるエリアAの大きさは場所によって異なっていてもよい。例えば、道路が密な部分ではエリアAを小さくし、道路が疎な部分ではエリアAを大きくすることができる。
【0055】
(2)前記エリア情報送信処理において、時間Tの大きさによらず、時間Tをエリア情報に含め、送信してもよい。
(3)前記エリア情報送信処理において、エリアA内でエンジンが停止した場合でも、そのエリアAの通過に要した時間Tをエリア情報に含め、送信してもよい。
【0056】
(4)前記エリア情報送信処理において、天候の種類によらず、天候の情報をエリア情報に含め、送信してもよい。
(5)前記エリア情報送信処理において、道路状況の内容によらず、道路状況の情報をエリア情報に含め、送信してもよい。
【0057】
(6)前記エリア情報送信処理において、自車両が境界を通過したとき、エリア情報を送信してもよい。
(7)車車間通信装置1は、ワイパーセンサ23以外の手段により天候を推定してもよい。例えば、降雨計を用いて天候(降雨の有無)を推定してもよい。
【0058】
(8)前記エリア情報送信処理において、対向車を検出した場合、送信要求の受信の有無によらず、エリア情報を送信してもよい。あるいは、送信要求を受信した場合、対向車を検出したか否かによらず、エリア情報を送信してもよい。
【0059】
(9)前記エリア情報送信処理において、対向車を検出する方法は他の方法であってもよい。例えば、車車間通信の電波を利用してやり取りされるハローパケットのような仕組みを利用して対向車を検出してもよい。
【0060】
(10)天候の情報は、降雨の有無以外の内容を含んでいてよい。例えば、積雪の有無、気温の高低、霧の有無等の内容を含んでいてもよい。
(11)他車両が搭載する車載装置は、自車両が搭載する車車間通信装置1と同一であってもよいし、異なっていてもよい。自車両及び他車両の種類は特に限定されず、例えば、経路が一定の車両(例えば、バス、通勤車両)であってもよいし、その他の車両であってもよい。
【0061】
(12)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0062】
(13)上述した車車間通信装置1の他、複数の当該車車間通信装置1を構成要素とするシステム、当該車車間通信装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、車車間通信方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1…車車間通信装置、3…地図情報保持ユニット、5…位置情報取得ユニット、9…エリア情報取得ユニット、11…エリア情報送信ユニット、13…送信要求受信ユニット、15…対向車検出ユニット、17…エリア情報受信ユニット、19…送信要求送信ユニット、21…GPS、23…ワイパーセンサ、25…カメラ、27…ナビゲーション装置、29…通信機、31…エンジンECU、33…自車両、A…エリア、B…境界
図1
図2
図3
図4
図5