(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明
3のコネクタは、前記ロック手段が、前記フード部の内面に形成した弾性係止片と、前記雌側ハウジングの外面に形成したロック用係止部とを備えて構成され、前記弾性係止片は、前記ロック解除治具により前記ロック用係止部から解離する方向へ弾性撓みさせられるようになっていてもよい。この構成によれば、ロック解除治具によって弾性係止片をロック用係止部から解離させれば、両ハウジングを離脱させることができる。
【0013】
本発明
3のコネクタは、
前記ロック解除治具
が、前記フード部に対する前記雌側ハウジングの挿入方向と同じ方向へ変位させることで、前記弾性係止片と前記ロック用係止部との係止を解除するようになっていてもよい。この構成によれば、ロック解除治具をフード部に挿入して弾性係止片とロック用係止部との係止を解除した後は、ロック解除治具と雌側ハウジングを一体的にフード部から離脱させることができる。したがって、ロック解除治具を雌側ハウジングとは別の作業でフード部から抜き取る場合に比べると、作業工数が少なくて済む。
【0015】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図7を参照して説明する。本実施例1のコネクタAは、自動車のワイヤーハーネス同士を接続する手段や、機器とワイヤーハーネスとを接続する手段等として用いられるものであり、互いに嵌合及び離脱が可能な雄側ハウジング10と雌側ハウジング30とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後の方向については、雄側ハウジング10を基準として前方、後方を定義する。上下の方向については、
図1,2,4〜7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0016】
雄側ハウジング10は、合成樹脂製であり、
図5,7に示すように、ブロック状の端子保持部11と、端子保持部11の前端外周縁から前方へ片持ち状に延出した形態の角筒状をなすフード部12とを一体形成したものである。
図5に示すように、端子保持部11には、前端部に細長いタブ14が形成された周知形態の複数の雄端子金具13が取り付けられている。タブ14は、端子保持部11の前面からフード部12内に突出している。
【0017】
図1に示すように、フード部12は、上面壁15と、左右両側面壁16と、下面壁17とによって左右対称な角筒状に成形されている。
図5,7に示すように、上面壁15の下面(フード部12の内面)には、フード部12の前端よりも少し
後方の位置から、フード部12の後端に至る領域を天井高が段差状に高くなるように切欠した形態の切欠部18が形成されている。そして、上面壁15の下面のうち切欠部18の前端面を構成する段差状の部位は、ロック受け部19(請求項に記載のロック手段)となっている。
【0018】
図1,7に示すように、上面壁15には、フード部12の外部と内部とを連通させる左右対称な一対の連通孔20が形成されている。連通孔20は、上面壁15を上下方向に貫通した形態である。左右方向において、一対の連通孔20は、切欠部18と対応する領域内に配されている。また、前後方向において、連通孔20は、切欠部18の前端部と対応する位置(つまり、ロック受け部19よりも少し
後方の位置)に配されている。
【0019】
図1,6に示すように、左右両側面壁16には、夫々、その内面と前端面に開放された形態の凹部21が形成されている。各凹部21内には、夫々、弾性押圧片22が一体に形成されている。弾性押圧片22は、凹部21の下面における前端位置から斜め上後方へ片持ち状に延出した形態である。弾性押圧片22の延出端(後端)は、ロック受け部19よりも後方に位置している。弾性押圧片22は、その前端部(基端部)を支点として上下方向(フード部12に対する雌側ハウジング30の進入方向と交差する方向)へ弾性撓みし得るようになっている。
【0020】
雌側ハウジング30は、合成樹脂製であり、その正面30Fを雄側ハウジング10の前面(フード部12の開口面)と対向させた向きで、雄側ハウジング10と嵌合されるようになっている。
図2〜4に示すように、雌側ハウジング30は、ブロック状をなすハウジング本体31と、ハウジング本体31に対し着脱可能なリテーナ36(請求項に記載の可動ロック部材、ロック手段)とを備えて構成されている。
図4,5に示すように、ハウジング本体31内に形成した複数の端子収容室32には、夫々、雄端子金具13のタブ14と接続するための複数の周知形態の雌端子金具33が挿入されている。端子収容室32内に収容された雌端子金具33は、周知形態のランス34の係止作用により抜止め状態に保持されている。ハウジング本体31には、その上面と左右両側面に開放されるとともに、全ての端子収容室32に連通する取付空間35が形成されている。
【0021】
図3〜5に示すように、リテーナ36は、左右方向に長く延びた本体部37と、本体部37の下方へ延出する抜止め部38と、左右対称な一対の受圧ピン39とを一体に形成した形態である。リテーナ36は、ハウジング本体31の上方から抜止め部38を取付空間35内に収容するようにして取り付けられている。ハウジング本体31に取り付けられたリテーナ36は、仮係止位置(
図5,6を参照)と本係止位置(
図2,4,7を参照)との間で上下方向(フード部12に対する雌側ハウジング30の挿入及び抜取り方向と交差する方向)へ移動し得るようになっている。
【0022】
リテーナ36が仮係止位置にある状態では、本体部37がハウジング本体31の上面よりも上方(外方)へ突出している。そして、抜止め部38は、端子収容室32の外部(つまり、端子収容室32に対する雌端子金具33の挿入及び抜取り経路の外部)へ退避しているので、端子収容室32に雌端子金具33を挿入することができるとともに、端子収容室32から雌端子金具33を抜き取ることができる。リテーナ36が本係止位置にある状態では、本体部37と抜止め部38が取付空間35内に収容され、本体部37の上面(外面)は、ハウジング本体31の上面(外面)とほぼ面一、又はハウジング本体31の上面よりも僅かに低くなる。
【0023】
リテーナ36が本係止位置にある状態では、抜止め部38が端子収容室32内(雌端子金具33の挿入及び抜取り経路上)に進出する。したがって、端子収容室32内に挿入されている雌端子金具33は、抜止め部38への係止によって確実に抜止めされる。尚、ランス34の係止作用による抜止め機能は、両ハウジング10,30が嵌合した状態で電線Wを介して雌端子金具33に作用すると想定される抜け方向の外力に対しては、単独でも十分な信頼性を有している。但し、両ハウジング10,30を嵌合する際には、雌側ハウジング30を動かしたときに電線Wを介して雌端子金具33に大きな抜け方向の外力が作用する虞がある。したがって、嵌合の際には、リテーナ36を本係止位置に移動させておく。
【0024】
また、一対の受圧ピン39は、リテーナ36が仮係止位置と本係止位置のいずれの位置にあっても、ハウジング本体31の左右両側面から左右方向外方へ突出した形態を保つ。つまり、リテーナ36が仮係止位置と本係止位置との間で移動すると、一対の受圧ピン39は本体部37と一体となって上下方向へ変位する。そして、リテーナ36が本係止位置にある状態で受圧ピン39に上向きの外力が作用すると、リテーナ36は仮係止位置へ移動するようになっている。
【0025】
次に、本実施例1の作用を説明する。両ハウジング10,30を嵌合する際には、
図4に示すように、リテーナ36を本係止位置へ移動して雌端子金具33を確実に抜止めしておく。この状態で、雌側ハウジング30をフード部12内に挿入する。挿入の過程では、一対の受圧ピン39が、凹部21内に進入して弾性押圧片22の上面に当接する。この状態から更に雌側ハウジング30の挿入を進めると、弾性押圧片22が受圧ピン39に押されて下方へ弾性撓みし、弾性押圧片22には上向きの付勢力が蓄えられていく。したがって、この弾性押圧片22の付勢によってリテーナ36には上向きの力が作用するのであるが、リテーナ36の上面は、フード部12の上面壁15の下面に当接しているので、上方(仮係止位置側)へ変位することはない。
【0026】
そして、両ハウジング10,30が正規の嵌合状態に到達すると、リテーナ36の本体部37が、ロック受け部19を通過して切欠部18の前端に達する。すると、弾性押圧片22から受圧ピン39に付与されている上向きの付勢により、リテーナ36が本係止位置から仮係止位置へ押し上げられる。これにより、
図5に示すように、リテーナ36の本体部37が、ロック受け部19に対し後方から係止する状態となるため、雌側ハウジング30は、フード部12の前方側(つまり、離脱方向)への変位を規制される。つまり、両ハウジング10,30は、離脱を規制されて正規の嵌合状態にロックされる。
【0027】
両ハウジング10,30を嵌合状態にロックしているリテーナ36とロック受け部19は、フード部12の内部に収容されているため、リテーナ36とロック受け部19の係止状態は、雄側ハウジング10(フード部12)の外部から目視で確認することはできない。また、一般的なロック手段として用いられる弾性撓み可能なロックアームは、本実施例1のコネクタAには設けられていない。したがって、一般ユーザーは、嵌合状態にロックされている両ハウジング10,30を離脱させることはできない。
【0028】
整備士がメンテナンス等のために両ハウジング10,30を離脱させる際には、専用のロック解除治具40を用いる。
図1,7に示すように、ロック解除治具40は、左右方向に長く延びた基板部41と、基板部41の左右両端部の下面から突出する一対の押圧突起42とを一体に形成した形態である。一対の押圧突起42は、一対の連通孔20内に挿入可能となっている。また、押圧突起42の突出寸法は、フード部12の上面壁15の最大厚さと同じか、それよりも少し長い寸法とされている。
【0029】
両ハウジング10,30を離脱させる際には、フード部12の上方から一対の押圧突起42を一対の連通孔20内に挿入する。挿入の過程では、押圧突起42の下端が、仮係止位置へ押し上げられているリテーナ36の本体部37の上面に当接する。この状態から、更に押圧突起42の挿入作業を進めると、リテーナ36が押圧突起42(ロック解除治具40)によって押し下げられる。そして、リテーナ36が本係止位置に達したところで、リテーナ36の本体部37の上面が、上面壁15の下面と同じかそれよりも低いまで下がる。これにより、リテーナ36とロック受け部19との係止によるロックが解除され、両ハウジング10,30が離脱可能な状態となる。この後は、ロック解除治具40によってリテーナ36を本係止位置へ移動させたままで、雌側ハウジング30をフード部12の前方へ引き抜けば、両ハウジング10,30が離脱する。
【0030】
上述のように本実施例1のコネクタAは、フード部12を有する雄側ハウジング10と、フード部12内に進入することで雄側ハウジング10と嵌合した状態となる雌側ハウジング30と、雄側ハウジング10と雌側ハウジング30に設けられ、フード部12の内部で係止することで、両ハウジング10,30を嵌合状態にロックするロック手段としてのリテーナ36とロック受け部19とを備える。そして、リテーナ36とロック受け部19との係止は、フード部12内に挿入したロック解除治具40により解除されるようになっている。
【0031】
本実施例1のコネクタAは、雄側ハウジング10と雌側ハウジング30を嵌合状態にロックするロック手段(リテーナ36とロック受け部19)が、フード部12の内部に収容されていて、そのロック構造を目視で確認することはできない。したがって、ロック解除治具40の必要性を認知していない一般ユーザーや、ロック解除治具40を所持していない一般ユーザーは、両ハウジング10,30を離脱させることができない。
【0032】
また、雌側ハウジング30は、雌端子金具33を収容するハウジング本体31と、ハウジング本体31に対して相対移動可能であってロック手段を構成するリテーナ36とを備えて構成されている。リテーナ36は、ロック解除治具40により雄側ハウジング10のロック受け部19から解離する位置へ変位させられるようになっている。この構成によれば、ロック解除治具40によってリテーナ36をロック受け部19から解離させれば、両ハウジング10,30を離脱させることができる。
【0033】
また、ハウジング本体31には、収容されている雌端子金具33に対し抜止め状態に係止するランス34が形成されており、リテーナ36は、雌側ハウジング30に収容された雌端子金具33を抜止めする機能も兼ね備えている。したがって、両ハウジング10,30を嵌合状態にロックする手段とは別に、雌端子金具33を抜止めするための専用部材を設ける場合に比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0034】
また、フード部12内には、両ハウジング10,30が嵌合したときにリテーナ36をロック受け部19と係止する位置へ変位させる弾性押圧片22が設けられている。これにより、両ハウジング10,30が嵌合すると、リテーナ36は、弾性押圧片22の弾性復元力により自動的にロック受け部19に係止する。したがって、作業者は、リテーナ36をロック受け部19と係止する位置へ変位させるための作業を行わずに済む。
【0035】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を
図8〜
図12を参照して説明する。本実施例2のコネクタBは、自動車のワイヤーハーネス同士を接続する手段や、機器とワイヤーハーネスとを接続する手段等として用いられるものであり、互いに嵌合及び離脱が可能な雄側ハウジング50と雌側ハウジング60とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後の方向については、雄側ハウジング50を基準として前方、後方を定義する。上下の方向については、
図9にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0036】
雄側ハウジング50は、合成樹脂製であり、
図8〜12に示すように、端子保持部51と、端子保持部51の前端外周縁から前方へ片持ち状に延出した形態の角筒状をなすフード部52とを一体形成したものである。
図10〜12に示すように、端子保持部51には、前端部に細長いタブ54が形成された周知形態の複数の雄端子金具53が取り付けられている。タブ54は、端子保持部51の前面からフード部52内に突出している。
【0037】
図8〜10に示すように、フード部52は、上面壁55と、左右両側面壁56と、下面壁57とによって左右対称な角筒状に成形されている。
図10〜12に示すように、左右両側面壁56の内側面には、後方へ片持ち状に延出した形態の左右対称な一対の弾性係止片58(請求項に記載のロック手段)が形成されている。各弾性係止片58の延出端部(後端部)には、夫々、その内側面を突出させた形態の係止突起59が形成されている。弾性係止片58は、その前端部(基端部)を支点として左右方向(フード部52に対する雌側ハウジング60の挿入及び抜取り方向と交差する方向)へ弾性撓みし得るようになっている。
【0038】
雌側ハウジング60は、合成樹脂製であり、その正面60Fを雄側ハウジング50の前面(フード部52の開口面)と対向させた向きで、雄側ハウジング50と嵌合されるようになっている。
図10〜12に示すように、雌側ハウジング60内に形成した複数の端子収容室61には、夫々、雄端子金具53のタブ54と接続するための複数の周知形態の雌端子金具62が挿入されている。端子収容室61内に収容された雌端子金具62は、周知形態のランス(図示省略)の係止作用により抜止め状態に保持されている。雌側ハウジング60の背面60Rには、その左右両側縁から左右方向外方へ張り出した左右対称な一対の指掛け部63が形成されている。
【0039】
図10〜12に示すように、雌側ハウジング60には、その左右両外側面を凹ませた形態の左右対称な一対の溝部64が形成されている。溝部64は前後方向(フード部52に対する雌側ハウジング60の挿入及び抜取り方向と平行な方向)に延びている。前後方向における溝部64の形成範囲は、雌側ハウジング60の正面60Fよりも後方の位置から、雌側ハウジング60の背面60Rに達する領域である。雌側ハウジング60の背面60Rには、溝部64の背面60R側の端部を開放させる挿入口65が開口している。雌側ハウジング60の左右両外側面のうち溝部64の正面60F側の端面を構成する段差状の部位は、ロック用係止部66(請求項に記載のロック手段)となっている。
【0040】
また、
図8,9に示すように、雌側ハウジング60には、ダミーロックアーム67が形成されている。ダミーロックアーム67は、雌側ハウジング60の上面における正面60F側の端部から、後方へ片持ち状に延出した形態である。ダミーロックアーム67は、その基端部を支点として上下方向(フード部52に対する雌側ハウジング60の挿入方向と交差する方向)へ弾性撓みし得るようになっている。ダミーロックアーム67の延出端部(背面60R側の端部)には、疑似ロック解除操作部68が形成されている。疑似ロック解除操作部68は、作業者が指で押し操作し易い形状となっている。疑似ロック解除操作部68を押し操作すると、ダミーロックアーム67は下方へ弾性撓みし得るようになっている。
【0041】
次に、本実施例2の作用を説明する。両ハウジング50,60を嵌合する際には、雌側ハウジング60をフード部52内に挿入する。挿入の過程では、雌側ハウジング60の左右両外側面が係止突起59と干渉することにより、弾性係止片58が雌側ハウジング60から遠ざかるように左右方向へ弾性撓みする。そして、両ハウジング50,60が正規の嵌合状態に到達すると、ロック用係止部66が係止突起59を通過するので、弾性係止片58が左右方向内側へ弾性復帰する。これに伴い、係止突起59が、溝部64内に進出して、ロック用係止部66に対し前方から係止するので、雌側ハウジング60は、フード部52の前方側(つまり、離脱方向)への変位を規制される。つまり、両ハウジング50,60は、離脱を規制されて正規の嵌合状態にロックされる。
【0042】
両ハウジング50,60を嵌合状態にロックしている弾性係止片58(係止突起59)とロック用係止部66は、フード部52の内部に収容されているため、弾性係止片58とロック用係止部66の係止状態は、雄側ハウジング50(フード部52)の外部から目視で確認することはできない。したがって、弾性係止片58とロック用係止部66とによる係止構造を認知していない一般ユーザーは、ロックを解除することができない。
【0043】
尚、両ハウジング50,60が正規嵌合した状態では、ダミーロックアーム67の疑似ロック解除操作部68が、フード部52の前端近傍において容易に目視し得るように露出している。しかし、ダミーロックアーム67は、雄側ハウジング50(フード部52)とは係止していないため、両ハウジング50,60を離脱規制するためのロック機能は発揮しないものである。したがって、疑似ロック解除操作部68を押し操作しても、嵌合状態にロックされている両ハウジング50,60を離脱させることはできない。
【0044】
整備士がメンテナンス等のために両ハウジング50,60を離脱させる際には、専用のロック解除治具70を用いる。ロック解除治具70は、左右方向に長く延びた基板部71と、基板部71の左右両端部の下面から下方へ延出した左右対称な指当て部72と、指当て部72から片持ち状に延出した形態の左右対称な一対のロック解除突起73とを一体に形成した形態である。ロック解除突起73の突出方向は、フード部52に対する雌側ハウジング60の挿入方向と同じ方向である。
【0045】
両ハウジング50,60を離脱させる際には、ロック解除治具70を雌側ハウジング60の背面60R側から接近させて、一対のロック解除突起73を挿入口65から溝部64内に挿入する。指当て部72が雌側ハウジング60の指掛け部63に当接すると、ロック解除突起73が係止突起59と干渉して弾性係止片58を左右方向外方へ弾性撓みさせる。これにより、弾性係止片58(係止突起59)とロック用係止部66とが解離して、弾性係止片58とロック用係止部66との係止によるロック状態が解除される。これにより、両ハウジング50,60が離脱可能となる。この後は、作業者が、当接状態の指当て部72と指掛け部63の両方に指を引っ掛けて、ロック解除治具70と雌側ハウジング60を一体的に背面60R側へ引っ張れば、両ハウジング50,60が離脱される。
【0046】
上述のように本実施例2のコネクタBは、フード部52を有する雄側ハウジング50と、フード部52内に進入することで雄側ハウジング50と嵌合した状態となる雌側ハウジング60と、雄側ハウジング50と雌側ハウジング60に設けられ、フード部52の内部で係止することで、両ハウジング50,60を嵌合状態にロックするロック手段を備える。ロック手段は、フード部52の内面に形成した弾性係止片58と、雌側ハウジング60の外面に形成したロック用係止部66とを備えて構成されている。弾性係止片58とロック用係止部66との係止は、フード部52内に挿入したロック解除治具70により解除されるようになっている。つまり、弾性係止片58は、ロック解除治具70によりロック用係止部66から解離する方向へ弾性撓みさせられる。
【0047】
本実施例2のコネクタBは、雄側ハウジング50と雌側ハウジング60を嵌合状態にロックするロック手段(弾性係止片58とロック用係止部66)が、フード部52の内部に収容されていて、そのロック構造を目視で確認することはできない。したがって、ロック解除治具70の必要性を認知していない一般ユーザーや、ロック解除治具70を所持していない一般ユーザーは、両ハウジング50,60を離脱させることができない。
【0048】
また、ロック解除治具70は、フード部52に対する雌側ハウジング60の挿入方向と同じ方向へ変位させることで、弾性係止片58とロック用係止部66との係止を解除するようになっている。この構成によれば、ロック解除治具70をフード部52に挿入して弾性係止片58とロック用係止部66との係止を解除した後は、ロック解除治具70と雌側ハウジング60を一体的にフード部52から離脱させることができる。したがって、ロック解除治具70を雌側ハウジング60とは別の作業でフード部52から抜き取る場合に比べると、作業工数が少なくて済む。
【0049】
また、雌側ハウジング60の外面には、雄側ハウジング50とは非係止のダミーロックアーム67が形成され、雄側ハウジング50と雌側ハウジング60が嵌合した状態では、ダミーロックアーム67に形成されている疑似ロック解除操作部68が露出している。ダミーロックアーム67は雄側ハウジング50と非係止なので、一般ユーザーが両ハウジング50,60の離脱を目的として疑似ロック解除操作部68を操作しても、両ハウジング50,60を離脱させることはできない。
【0050】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、可動ロック部材として、雌端子金具を抜止めする機能を兼ね備えるリテーナを用いたが、可動ロック部材とは別に、雌端子金具を抜止めするための専用の抜止め部材(リテーナ)を設けてもよい。
(2)上記実施例1では、両ハウジングが嵌合すると、リテーナ(可動ロック部材)が弾性押圧片によってロック受け部(雄側ハウジング側のロック手段)に係止するようにしたが、弾性押圧片を設けず、作業者が、可動ロック部材をロック受け部と係止する位置へ変位させる作業を行うようにしてもよい。
(3)上記実施例1において、実施例2と同様のダミーロックアームを設けてもよい。
(4)上記実施例2では、ロック解除時におけるロック解除治具の移動方向が、フード部に対する雌側ハウジングの挿入方向と同じ方向であるが、ロック解除時におけるロック解除治具の移動方向は、フード部に対する雌側ハウジングの挿入方向と交差する方向であってもよい。
(5)上記実施例2では、疑似ロック解除操作部を操作したときにダミーロックアームが弾性撓みするようにしたが、ダミーロックアームは、疑似ロック解除操作部を操作しても弾性撓みしない形態であってもよい。
(6)上記実施例2では、疑似ロック解除操作部をダミーロックアームに形成したが、ダミーロックアームを設けずに、疑似ロック解除操作部をフード部に一体形成してもよい。
(7)上記実施例2では、ダミーロックアームを設けたが、ダミーロックアームを設けない形態としてもよい。