(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許第4862900号において、電子部品を実装基板にはんだでリフロー実装する場合、金属端子と端子電極との接続に使用するはんだの融点が、金属端子と実装基板との接続に使用するはんだの融点よりも低くまたは同じであると、リフロー実装時に、金属端子と端子電極とを接続するはんだが溶けるおそれがある。これにより、金属端子が素体から大きくズレたり回転したりして、金属端子と端子電極との電気的な接続信頼性が低下したり、電子部品のサイズが所定の範囲に収まらなくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、金属端子のコアに対する位置ずれを防止したコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のコイル部品は、
巻芯部と前記巻芯部の両端に設けられ足部を含む鍔部とを有するコアと、
前記巻芯部に巻回されるワイヤと、
前記鍔部の前記足部の底面に設けられ前記ワイヤが接続される電極部と、
実装基板に実装はんだを介して接続されるための金属端子と、
前記金属端子を前記電極部に接続する接合部材と
を備え、
前記接合部材は、少なくとも前記実装はんだの融点で、前記電極部と前記金属端子との接続状態を保持する耐熱性を有することを特徴としている。
【0007】
本発明のコイル部品によれば、接合部材は、少なくとも実装はんだの融点で電極部と金属端子との接続状態を保持する耐熱性を有するので、接合部材は、例えば、実装はんだよりも高い融点を有する。このため、リフローにより金属端子を実装基板に接続する場合、実装はんだの融点で、実装はんだを溶かしても、接合部材は溶け難くなる。したがって、リフロー時に金属端子のコアに対する位置ずれを防止できる。
【0008】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記足部の側面に切り欠きが設けられ、前記切り欠きに前記接合部材が埋め込まれている。
【0009】
前記実施形態のコイル部品によれば、足部の側面に切り欠きが設けられ、切り欠きに接合部材が埋め込まれているので、接合部材は鍔部にも接続されることになり、熱衝撃サイクルに対する接合部材の耐性が高まる。
【0010】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記金属端子は、前記電極部に接続される第1接続部と、前記実装基板に接続されるための第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とが高低差を有するように前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部とを有する。
【0011】
前記実施形態のコイル部品によれば、電極部に接続される第1接続部と、実装基板に接続されるための第2接続部とは、高低差を有するように連結される。これにより、第2接続部を実装はんだにより実装基板に接続する場合、第1接続部と電極部とを接続する接合部材が、第2接続部と実装基板とを接続する実装はんだと混合することを低減し、接合部材の融点が下がることを防止する。
【0012】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記連結部の前記第1接続部側の端部は、前記足部の底面の直下に位置する。
【0013】
前記実施形態のコイル部品によれば、連結部の第1接続部側の端部は、足部の底面の直下に位置するので、連結部の端部が足部の底面に接続されることになり、コイル部品へ水平方向の荷重が加わったとき、この荷重に対しての第2接続部を中心とした力のモーメントが小さくなり、金属端子が曲がり難くなる。
【0014】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記第2接続部には、前記実装はんだが接続するための立ち上がり部が設けられている。
【0015】
前記実施形態のコイル部品によれば、第2接続部には、実装はんだが接続するための立ち上がり部が設けられているので、実装はんだのフィレットが立ち、AOI(Automatic Optical Inspection machine:基板外観検査装置)などで実装基板との接続を確認することができる。
【0016】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記金属端子は、前記ワイヤの前記巻芯部に巻回されている巻回部分の直下に、位置しない。
【0017】
前記実施形態のコイル部品によれば、金属端子は、ワイヤの巻芯部に巻回されている巻回部分の直下に、位置しないので、コイル部品に樹脂コーティングをしたときに、ワイヤの巻回部分と金属端子との間に、樹脂が溜まらなくなる。つまり、樹脂は、ワイヤの巻回部分と金属端子とを一体に接続しない。これにより、樹脂は、金属端子の膨張や収縮に引きずられず、金属端子の膨張や収縮による応力を受けない。この結果、ワイヤは、樹脂を介して、金属端子の膨張や収縮による応力を受けない。したがって、熱衝撃サイクルによるワイヤの断線を防ぐことができる。
【0018】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記金属端子は、熱圧着によって、接合部材を介して電極部に接続される。
【0019】
前記実施形態のコイル部品によれば、金属端子は、熱圧着によって、接合部材を介して電極部に接続されるので、金属端子と電極部とを短時間で接合でき、接合部材のクラックの原因となる金属間化合物の生成を抑えることができる。
【0020】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記接合部材は、Sn−Sb系はんだである。
【0021】
前記実施形態のコイル部品によれば、接合部材は、Sn−Sb系はんだであるので、接合部材は、実装はんだよりも高融点となる。したがって、リフロー時に金属端子のコアに対する位置ずれを防止できる。
【0022】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記接合部材は、Bi系はんだである。
【0023】
前記実施形態のコイル部品によれば、接合部材は、Bi系はんだであるので、接合部材のヤング率および線膨張係数は、低い。このため、接合部材の耐熱衝撃性が向上する。
【0024】
好ましくは、一実施形態のコイル部品では、前記接合部材は、導電性接着剤である。
【0025】
前記実施形態のコイル部品によれば、接合部材は、導電性接着剤であるので、接合部材がリフローにより溶融することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のコイル部品によれば、接合部材は、少なくとも実装はんだの融点で電極部と金属端子との接続状態を保持する耐熱性を有するので、金属端子のコアに対する位置ずれを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のコイル部品を示す斜視図である。
図2は、コイル部品の分解斜視図である。
図1と
図2に示すように、コイル部品1は、コモンモードチョークコイルである。コイル部品1は、コア10と、コア10に巻回された第1と第2ワイヤ21,22と、コア10に設けられた電極部30と、実装基板Sに接続されるための第1と第2金属端子51,52と、第1と第2金属端子51,52を電極部30に接続する接合部材6と、コア10に設けられた板部材15とを有する。
【0030】
コア10は、巻芯部13と、巻芯部13の軸方向の一端に設けられた第1鍔部11と、巻芯部13の軸方向の他端に設けられた第2鍔部12とを有する。コア10の材料としては、例えば、アルミナ(非磁性体)や、Ni−Zn系フェライト(磁性体、絶縁体)や、樹脂などの誘電率が20以下の材料を用いる。
【0031】
コア10の底面を、実装基板Sに実装される面とし、コア10の天面を、コア10の底面と反対側の面とする。巻芯部13の一端と他端とを結ぶ方向(軸方向)をX方向とし、コア10の底面においてX方向と直交する方向をY方向とし、コア10の底面と天面とを結ぶ方向をZ方向とする。Z方向は、X方向およびY方向と直交する。X方向は、コイル部品1の長さ方向であり、Y方向は、コイル部品1の幅方向であり、Z方向は、コイル部品1の高さ方向である。
【0032】
巻芯部13は、その一端から他端に向かって軸方向に延在する。巻芯部13の形状は、直方体である。なお、巻芯部13の形状は、円柱などの他の形状であってもよい。
【0033】
第1鍔部11の端面11aは、巻芯部13の一端に接続される。第1鍔部11は、コア10の底面側に、2つの足部111を有する。2つの足部111は、Y方向に、空間をあけて配列されている。
【0034】
第2鍔部12の端面12aは、巻芯部13の他端に接続される。第2鍔部12は、コア10の底面側に、2つの足部121を有する。2つの足部121は、Y方向に、空間をあけて配列されている。
【0035】
第1鍔部11の一方の足部111と第2鍔部12の一方の足部121とは、X方向において、対向している。第1鍔部11の他方の足部111と第2鍔部12の他方の足部121とは、X方向において、対向している。
【0036】
板部材15は、第1鍔部11の天面11bと第2鍔部12の天面12bとに取り付けられる。板部材15は、コア10の材料と同じである。コア10と板部材15は、閉磁路を構成している。
【0037】
電極部30は、第1鍔部11の2つの足部111および第2鍔部12の2つの足部121に、設けられている。電極部30の材料としては、例えば、Ag等を用いる。
【0038】
第1と第2ワイヤ21,22は、巻芯部13にコイル状に巻回されている。第1と第2ワイヤ21,22は、例えば、ペア線として同時に巻回されており、これを、バイファイラ巻きという。第1と第2ワイヤ21,22は、例えば、Cu、Ag、Au等の導体と導体を被覆する被膜とを有する。
【0039】
第1ワイヤ21の一端は、第1鍔部11の一方の足部111の電極部30に電気的に接続され、第1ワイヤ21の他端は、第2鍔部12の一方の足部121の電極部30に電気的に接続される。
【0040】
第2ワイヤ22の一端は、第1鍔部11の他方の足部111の電極部30に電気的に接続され、第2ワイヤ22の他端は、第2鍔部12の他方の足部121の電極部30に電気的に接続される。
【0041】
第1、第2金属端子51,52は、電極部30と実装基板Sとに電気的に接続され、電極部30と実装基板Sとを導通する。第1、第2金属端子51,52は、例えば、Cu、Ag、Au等の金属板を折り曲げて構成される。第1金属端子51と第2金属端子52は、左右対称に形成される。
【0042】
第1金属端子51は、第1鍔部11の一方の足部111、および、第2鍔部12の他方の足部121のそれぞれに、接続される。第2金属端子52は、第1鍔部11の他方の足部111、および、第2鍔部12の一方の足部121のそれぞれに、接続される。
【0043】
第1、第2金属端子51,52は、実装はんだ7を介して、実装基板Sの電極に電気的に接続される。実装はんだ7は、低温はんだであり、例えば、Sn−Pb系はんだである。実装はんだ7の融点は、220℃よりも低い。
【0044】
第1、第2金属端子51,52は、接合部材6を介して、電極部30に電気的に接続される。接合部材6は、高温はんだであり、実装はんだ7の融点よりも高い融点を有する。接合部材6の融点は、220℃よりも高い。
【0045】
要するに、コイル部品1の特徴として、接合部材6は、少なくとも実装はんだ7の融点で、電極部30と第1、第2金属端子51,52との接続状態を保持する耐熱性を有する。接続状態を保持するとは、電極部30と第1、第2金属端子51,52との相対的な位置を保持することをいう。
【0046】
前記コイル部品1によれば、リフローにより第1、第2金属端子51,52を実装基板Sに接続する場合、実装はんだ7の融点で、実装はんだ7を溶かしても、接合部材6は溶け難くなる。したがって、リフロー時に第1、第2金属端子51,52のコア10に対する位置ずれを防止できる。
【0047】
接合部材6は、例えば、Sn−Sb系はんだである。これにより、接合部材6は、実装はんだ7よりも高融点となる。したがって、第1、第2金属端子51,52の位置ずれを一層確実に防止できる。
【0048】
接合部材6は、Bi系はんだであってもよい。これにより、接合部材6のヤング率および線膨張係数は、低い。このため、接合部材6の耐熱衝撃性が向上する。
【0049】
接合部材6は、導電性接着剤であってもよい。導電性接着剤は、例えば、Ag,Au,Cu等の金属フィラーを含む熱硬化性樹脂である。導電性接着剤の昇華点は、実装はんだ7の融点よりも高い。これにより、接合部材6がリフローにより溶融することを防止できる。
【0050】
図3は、コイル部品1のX方向からみた側面図である。
図4は、コイル部品1のY方向からみた側面図である。
【0051】
図2と
図3と
図4に示すように、第1鍔部11において、足部111は、底面111aとY方向外側の側面111bとを有する。底面111aには、電極部30が設けられている。側面111bには、底面111a側に切り欠かれた切り欠き5が設けられている。切り欠き5には、接合部材6が埋め込まれている。
【0052】
同様に、第2鍔部12において、足部121は、底面121aと側面121bとを有し、底面121aに電極部30が設けられ、側面121bに切り欠き5が設けられている。切り欠き5には、接合部材6が埋め込まれている。
【0053】
したがって、切り欠き5に接合部材6が埋め込まれているので、接合部材6は第1、第2鍔部11,12にも接続されることになり、熱衝撃サイクルに対する接合部材6の耐性が高まる。熱衝撃サイクルとは、高温と低温とを所定時間ごと往復することをいう。
【0054】
第1金属端子51は、電極部30に接続される第1接続部511と、実装基板Sに接続されるための第2接続部512と、第1接続部511と第2接続部512とが高低差を有するように第1接続部511と第2接続部512とを連結する連結部513とを有する。
【0055】
第1接続部511は、Z方向において、第2接続部512よりも高い位置にある。第2接続部512は、Y方向において、第1接続部511よりも内側に位置する。内側とは、コイル部品1の中心側をいい、以下同様とする。連結部513は、Y方向に延在し、第1接続部511の第2接続部512側のY方向端部と、第2接続部512の第1接続部511側のY方向端部とを連結する。
【0056】
同様に、第2金属端子52は、第1接続部521と第2接続部522と連結部523とを有する。第1接続部521は、電極部30に接続される。第2接続部522は、実装基板Sに接続される。連結部523は、第1接続部521と第2接続部522とが高低差を有するように第1接続部521と第2接続部522とを連結する。
【0057】
したがって、第1接続部511,521と第2接続部512,522とは、高低差を有するように連結されるので、第2接続部512,522を実装はんだ7により実装基板Sに接続する場合、第1接続部511,521と電極部30とを接続する接合部材6が、第2接続部512,522と実装基板Sとを接続する実装はんだ7と混合することを低減し、接合部材6の融点が下がることを防止する。
【0058】
第1、第2金属端子51,52は、熱圧着によって、接合部材6を介して電極部30に接続される。例えば、第1金属端子51において、第1接続部511の上面に接合部材6を予め塗布しておき、第1接続部511の上面の接合部材6を電極部30に接触させて、第1接続部511の下面に熱せられたヒータチップを当てる。これにより、接合部材6が溶融して、第1接続部511は接合部材6を介して電極部30と接続される。なお、第2金属端子52においても同様の方法で接続される。
【0059】
したがって、第1、第2金属端子51,52は、熱圧着によって、接合部材6を介して電極部30に接続されるので、第1、第2金属端子51,52と電極部30とを短時間で接合でき、接合部材6のクラックの原因となる金属間化合物の生成を抑えることができる。これに対して、リフローにより金属端子と電極部とを接合する場合、加熱時間が長くなるため、金属間化合物が多く生成され、接合部材にクラックが発生するおそれがある。
【0060】
図3に示すように、第1鍔部11側において、第1金属端子51の連結部513の第1接続部511側の端部は、足部111の底面111aの直下に位置する。また、第2金属端子52の連結部523の第1接続部521側の端部は、足部111の底面111aの直下に位置する。なお、第2鍔部12側においても同様の構成であるため、説明を省略する。
【0061】
したがって、第1金属端子51において、連結部513の端部が足部111の底面111aに接続されることになり、コイル部品1へ水平方向の荷重が加わったとき、この荷重に対しての第2接続部512を中心とした力のモーメントが小さくなり、第1金属端子51が曲がり難くなる。第2金属端子52においても同様の効果を有する。
【0062】
図4に示すように、第1金属端子51において、第2接続部512には、実装はんだ7が接続するための立ち上がり部514が設けられている。立ち上がり部514は、X方向の外側に向かって、起立している。同様に、第2金属端子52において、第2接続部522には、立ち上がり部524が設けられている。
【0063】
したがって、実装はんだ7が立ち上がり部514,524に接続することで、実装はんだ7のフィレットが立ち、AOI(Automatic Optical Inspection machine:基板外観検査装置)などで実装基板Sとの接続を確認することができる。
【0064】
図5は、コイル部品1の底面図である。
図5に示すように、第1金属端子51は、第1ワイヤ21の巻芯部13に巻回されている巻回部分21a、および、第2ワイヤ22の巻芯部13に巻回されている巻回部分22aの直下に位置しない。
図5では、巻回部分21a,22aを二点鎖線の囲みにて示す。同様に、第2金属端子52は、第1ワイヤ21の巻回部分21a、および、第2ワイヤ22の巻回部分22aの直下に位置しない。
【0065】
したがって、コイル部品1に図示しない樹脂コーティングをしたときに、第1、第2ワイヤ21,22の巻回部分21a,22aと第1、第2金属端子51,52との間に、樹脂が溜まらなくなる。つまり、樹脂は、第1、第2ワイヤ21,22の巻回部分21a,22aと第1、第2金属端子51,52とを一体に接続しない。これにより、樹脂は、第1、第2金属端子51,52の膨張や収縮に引きずられず、第1、第2金属端子51,52の膨張や収縮による応力を受けない。この結果、第1、第2ワイヤ21,22(特に、第1、第2ワイヤ21,22の電極部30との接続部分)は、樹脂を介して、第1、第2金属端子51,52の膨張や収縮による応力を受けない。したがって、熱衝撃サイクルによる第1、第2ワイヤ21,22の断線を防ぐことができる。
【0066】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態のコイル部品を示す底面側からみた斜視図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、第1、第2金属端子の構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。
【0067】
図6に示すように、第1金属端子51Aは、電極部30に接続される第1接続部511と、実装基板Sに接続されるための第2接続部512と、第1接続部511と第2接続部512とが高低差を有するように第1接続部511と第2接続部512とを連結する連結部513とを有する。第2接続部512には、立ち上がり部514が設けられている。
【0068】
第1接続部511、第2接続部512および立ち上がり部514は、第1実施形態の第1接続部、第2接続部および立ち上がり部と同様の構成である。連結部513は、X方向に折り曲げられ、第1接続部511のY方向内側端部と、第2接続部512のX方向内側端部とを連結する。連結部513の湾曲部513aは、X方向内側に位置する。
【0069】
同様に、第2金属端子52Aは、第1接続部521と、第2接続部522と、湾曲部523aを含む連結部523と、立ち上がり部524とを有する。
【0070】
したがって、第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を有する。
【0071】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態のコイル部品を示す底面側からみた斜視図である。第3実施形態は、第1実施形態とは、第1、第2金属端子の構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。
【0072】
図7に示すように、第1金属端子51Bは、電極部30に接続される第1接続部511と、実装基板Sに接続されるための第2接続部512と、第1接続部511と第2接続部512とが高低差を有するように第1接続部511と第2接続部512とを連結する連結部513とを有する。
【0073】
第1接続部511および第2接続部512は、第1実施形態の第1接続部および第2接続部と同様の構成である。連結部513は、X方向に折り曲げられ、第1接続部511のY方向内側端部と、第2接続部512のX方向外側端部とを連結する。連結部513の湾曲部513aは、X方向外側に位置する。湾曲部513aは、第1実施形態の立ち上がり部の機能も有する。
【0074】
同様に、第2金属端子52Bは、第1接続部521と、第2接続部522と、湾曲部523aを含む連結部523とを有する。
【0075】
したがって、第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果を有する。また、第1実施形態の第1、第2金属端子に比べて、立ち上がり部を省くことができ、部材のコストを低減できる。
【0076】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第3実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0077】
前記実施形態では、コイル部品を、コモンモードチョークコイルとしているが、コアにワイヤを巻回しているコイル部品であれば、パルストランスなどの如何なるコイル部品であってもよい。
【0078】
前記実施形態では、板部材を設けているが、板部材を省くようにしてもよい。前記実施形態では、ワイヤを2本設けているが、1本または3本以上としてもよい。
【0079】
前記実施形態では、1つの鍔部に、足部を2つ設けているが、1つまたは3つ以上としてもよい。
【0080】
前記実施形態では、1つの鍔部に、金属端子を2つ設けているが、1つまたは3つ以上としてもよい。
【0081】
前記実施形態では、電極部と接合部材とを別部材としているが、電極部と接合部材とを同一部材としてもよい。
【0082】
前記実施形態では、足部の切り欠きを、足部のY方向外側の側面に設けているが、足部のY方向内側の側面や、足部のX方向外側の側面や、足部のX方向内側の側面などに、設けてもよい。
【0083】
前記第1実施形態では、接合部材の融点が実装はんだの融点よりも高い第1構成と、足部に切り欠きが設けられている第2構成と、金属端子が第1接続部、第2接続部および連結部を有する第3構成と、連結部の端部が足部の底面の直下に位置する第4構成と、第2接続部に立ち上がり部が設けられている第5構成と、金属端子がワイヤの巻回部分の直下に位置しない第6構成との全ての構成を有しているが、少なくとも第1構成のみを有していればよく、例えば、第1構成と、第2〜第6構成の少なくとも1つの構成とを組み合わせてもよい。
【実施例】
【0084】
次に、本発明の第1実施形態のコイル部品の実施例について説明する。
【0085】
(材料および製法)
コイル部品としてのコモンモードチョークコイルを次のようにして作製した。まず、比透磁率1000のNi−Zn系フェライトのH型コアの足部に、ガラス入りAg厚膜をディップによって塗布し、900℃程度で焼成した後、Ag厚膜上にNiめっき、Snめっきの順で電解めっきを施し、電極部を形成した。そして、銅線と銅線を覆うエナメルからなる絶縁膜とを有するワイヤを、コアの巻芯部に2本所定回数巻回し、各々のワイヤの端末を電極部に熱圧着する。
【0086】
その後、コアの電極部と反対側の鍔部に、エポキシ系接着剤をディップで塗布し、コアと同じ比透磁率1000のNiZn系フェライトの板部材を閉磁路になるように貼り付け、板部材をプレスしながら接着剤を熱硬化する。
【0087】
その後、金属端子の電極部と接合する位置に、Sn−10Sbはんだからなる接合部材をディスペンスで塗布し、金属端子の接合部材が塗布された面に、巻線済みのコアを搭載する。そして、金属端子の電極部と接している面とは反対面から、350℃程度に熱せられたヒータチップを1秒程度当て、接合部材を溶かして、コアと金属端子を接続する。このようにして、コモンドチョークコイルを作製した。
【0088】
(第1実験結果)
本発明の実施例と、実施例の構成要件のうち金属端子を省いた従来例とについて、−55℃と150℃の熱衝撃を各30分与えた時の実装はんだの寿命のシミュレーション結果を
図8に示す。本発明の実施例を四角のプロットで示し、従来例を菱形のプロットで示す。縦軸に、はんだ接続要素率を示し、数値が高いほど実装はんだの状態が良好となり、5%が実装はんだが破断する閾値となる。横軸に、熱衝撃サイクル数を示し、−55℃と150℃との1往復を1サイクルとする。
【0089】
図8からわかるように、従来例では、1695サイクルで実装はんだが破断した。これに対して、本発明の実施例では、6619サイクルで実装はんだが破断した。したがって、本発明の実施例のように金属端子をSn−10Sbはんだで接続することで、耐熱衝撃性が大幅に向上した。
【0090】
(第2実験結果)
本発明の実施例と、実施例の構成要件のうちコアの切り欠きを省いた従来例とについて、前述の熱衝撃の試験を実施した。この結果、従来例では、80個中4個について、500サイクルで接合部材が破断した。これに対して、本発明の実施例では、130個について、2000サイクルで実施しても、接合部材は破断しなかった。したがって、本発明の実施例のようにコアに切り欠きを設けることで、耐熱衝撃性が大幅に向上した。
【0091】
(第3実験結果)
本発明の実施例と、金属端子の連結部の端部がコアの足部の底面の下から離隔した位置にある従来例とについて、横から10Nの荷重をかけた試験を実施した。この結果、従来例では、荷重によりコイル部品が回転した。これに対して、本発明の実施例では、金属端子の連結部の力のモーメントが小さくなるため、荷重をかけてもコイル部品が回転しなかった。
【0092】
(第4実験結果)
本発明の実施例と、金属端子の一部がワイヤの巻芯部に巻回されている巻回部分の直下に位置する従来例とについて、コイル部品に樹脂コーティングをして前述の熱衝撃の試験を実施した。この結果、従来例では、樹脂がワイヤの巻回部分と金属端子との間に溜まり、250サイクルでワイヤの断線が見られた。これに対して、本発明の実施例では、樹脂がワイヤの巻回部分と金属端子との間に溜まらないため、1000サイクルまで実施しても、ワイヤは断線しなかった。