特許第6443171号(P6443171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000002
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000003
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000004
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000005
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000006
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000007
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000008
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000009
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000010
  • 特許6443171-荷重検出装置及び異常検知装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443171
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】荷重検出装置及び異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G01L1/22 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-65166(P2015-65166)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183935(P2016-183935A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】倉知 秀哉
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−002587(JP,A)
【文献】 特開2007−139667(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0070463(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0050925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22
G01L 25/00
G01G 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪ゲージの抵抗変化に応じて出力電圧が変化するブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の出力電圧に基づき荷重検出を行う荷重検出部と、
前記ブリッジ回路の異常を検知する異常検知部と、
前記ブリッジ回路の出力線に交流電流を印加する変調回路と、を備え、
前記荷重検出部は、前記交流電流の印加により前記ブリッジ回路の出力電圧に基づく荷重検出信号に重畳された変調信号を除去する変調信号除去部を備えるとともに、
前記異常検知部は、前記荷重検出信号から前記変調信号を分離する変調信号分離部と、
前記荷重検出信号から分離された前記変調信号の振幅に基づいて前記ブリッジ回路の異常を判定する異常判定部と、を備える荷重検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷重検出装置において、
前記異常判定部は、前記変調信号の振幅が適正範囲を超えた大きさである場合には、断線故障が発生したものと判定すること、を特徴とする荷重検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の荷重検出装置において、
前記異常判定部は、前記変調信号の振幅が適正範囲に満たない大きさである場合には、短絡故障が発生したものと判定すること、を特徴とする荷重検出装置。
【請求項4】
検出回路の出力線に交流電流を印加する変調回路と、
前記交流電流の印加により前記検出回路の出力電圧に基づく検出信号に重畳された変調信号を除去する変調信号除去部と、
前記検出信号から前記変調信号を分離する変調信号分離部と、
前記検出信号から分離された前記変調信号の振幅に基づいて前記検出回路の異常を判定する異常判定部と、を備える異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重検出装置及び異常検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用のシート等に搭載される荷重検出装置の多くは、歪ゲージの抵抗変化に応じて出力電圧が変化するブリッジ回路を備えている。そして、そのブリッジ回路の出力電圧に基づいて、その荷重検出を実行する構成になっている。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、そのブリッジ回路(及び接続ケーブル等)に発生した異常を検知することが可能な異常検知装置が開示されている。具体的には、この異常検知装置は、回路接続の切り替えによりブリッジ回路に対して定電流を通電し、これにより測定される電圧値を予め記憶された電圧値に照合する。そして、この照合結果に基づいて、そのブリッジ回路に生じた断線故障及び短絡故障を検知することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4405242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、回路接続の切り替えを伴うものであることから、その荷重(物理量)の検出と異常検知とを同時に行うことができない。このため、例えば、その荷重検出を停止する、或いは荷重検出が開始される前の電源投入時に行う等、自由に異常検知を行うことができないという問題があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より自由に異常検知を行うことのできる荷重検出装置及び異常検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する荷重検出装置は、歪ゲージの抵抗変化に応じて出力電圧が変化するブリッジ回路と、前記ブリッジ回路の出力電圧に基づき荷重検出を行う荷重検出部と、前記ブリッジ回路の異常を検知する異常検知部と、前記ブリッジ回路の出力線に交流電流を印加する変調回路と、を備え、前記荷重検出部は、前記交流電流の印加により前記ブリッジ回路の出力電圧に基づく荷重検出信号に重畳された変調信号を除去する変調信号除去部を備えるとともに、前記異常検知部は、前記荷重検出信号から前記変調信号を分離する変調信号分離部と、前記荷重検出信号から分離された前記変調信号の振幅に基づいて前記ブリッジ回路の異常を判定する異常判定部と、を備えることが好ましい。
【0008】
即ち、ブリッジ回路の出力電圧に基づく荷重検出信号に重畳された変調信号の振幅は、その出力線に対して交流電流が印加されるブリッジ回路のインピーダンスに依存する。従って、この変調信号の振幅が適正範囲を逸脱した場合には、そのブリッジ回路に異常が発生したものと判定することができる。そして、その荷重検出信号から変調信号を除去することにより、精度よく、荷重検出を行うことができる。その結果、荷重検出の実行中においても、自由に、そのブリッジ回路の異常検知を行うことができる。そして、これにより、例えば、そのブリッジ回路の常時監視ができるようになる。
【0009】
上記課題を解決する荷重検出装置は、前記異常判定部は、前記変調信号の振幅が適正範囲を超えた大きさである場合には、断線故障が発生したものと判定することが好ましい。
即ち、ブリッジ回路に断線故障が発生した場合には、そのインピーダンスが増大することにより変調信号の振幅が大きくなる。そして、これにより、その断線故障を検知することができる。
【0010】
上記課題を解決する荷重検出装置は、前記異常判定部は、前記変調信号の振幅が適正範囲に満たない大きさである場合には、短絡故障が発生したものと判定することが好ましい。
【0011】
即ち、ブリッジ回路に短絡故障が発生した場合には、そのインピーダンスが低下することにより変調信号の振幅が小さくなる(略ゼロ)。そして、これにより、その短絡故障を検知することができる。
【0012】
上記課題を解決する異常検知装置は、検出回路の出力線に交流電流を印加する変調回路と、前記交流電流の印加により前記検出回路の出力電圧に基づく検出信号に重畳された変調信号を除去する変調信号除去部と、前記検出信号から前記変調信号を分離する変調信号分離部と、前記検出信号から分離された前記変調信号の振幅に基づいて前記検出回路の異常を判定する異常判定部と、を備えることが好ましい。
【0013】
即ち、検出回路の出力電圧に基づく検出信号に重畳された変調信号の振幅は、その出力線に対して交流電流が印加される検出回路のインピーダンスに依存する。従って、この変調信号の振幅が適正範囲を逸脱した場合には、その検出回路に異常が発生したものと判定することができる。そして、検出信号から変調信号を除去することにより、その復調された検出信号に基づいて状態検出を行うことが可能になる。その結果、検出回路を用いた状態検出の実行中においても、自由に、その検出回路の異常検知を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より自由に異常検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】荷重検出装置の概略構成を示すブロック図。
図2】検出回路部を構成するブリッジ回路の出力電圧波形を示す図。
図3】ブリッジ回路の出力線に印加される交流電流を示す図。
図4】交流電流の印加により変調されたブリッジ回路の出力電圧波形を示す図(正弦波重畳)。
図5】荷重検出部及び異常検知部の構成を示すブロック図。
図6】交流電流の印加によりブリッジ回路の出力電圧に基づく荷重検出信号に重畳された変調信号(正弦波)及びその振幅に基づく異常検知を説明する図。
図7】変調信号が除去された荷重検出信号を示す図。
図8】交流電流の印加により変調されたブリッジ回路の出力電圧波形を示す図(矩形波重畳)。
図9】交流電流の印加によりブリッジ回路の出力電圧に基づく荷重検出信号に重畳された変調信号(矩形波)及びその振幅に基づく異常検知を説明する図。
図10】別例の荷重検出部及び異常検知部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、異常検知機能を備えた荷重検出装置に関する一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の荷重検出装置1は、歪ゲージ2の抵抗変化に応じて出力電圧Vp,Vnが変化するブリッジ回路3を有した検出回路部5と、この検出回路部5のブリッジ回路3に駆動電圧Vdrを出力し、及びそのブリッジ回路3の出力電圧Vp,Vnに基づく荷重検出を行う制御回路部6と、を備えている。
【0017】
詳述すると、本実施形態の検出回路部5は、例えば、図示しない車両シートのフレームやブラケット等、荷重検出対象に設けられた起歪体7に歪ゲージ2が固定される態様で設定される。即ち、歪ゲージ2は、荷重の印加により生じた起歪体7の撓みに応じて、その抵抗値が変化する。更に、本実施形態のブリッジ回路3は、その2つの出力端子3p,3nの電圧が歪ゲージ2の抵抗値に応じた値となるように構成されている。そして、本実施形態の検出回路部5は、これら各出力端子3p,3nに接続されたブリッジ回路3の出力線8p,8nを介して、そのブリッジ回路3の出力電圧Vp,Vnを制御回路部6に出力する構成になっている。
【0018】
一方、本実施形態の制御回路部6は、図示しない車載電源の電源電圧Vigに基づきブリッジ回路3に駆動電圧Vdrを出力する定電圧駆動回路11を備えている。また、本実施形態の制御回路部6において、上記ブリッジ回路3の出力電圧Vp,Vnは、差動増幅回路12に入力される。そして、本実施形態の制御回路部6は、この差動増幅回路12の差動出力を上記ブリッジ回路3の出力電圧Vp,Vnに基づく荷重検出信号VLaとして、その上記検出回路部5が設置された検出対象に作用する荷重を検出する構成になっている。
【0019】
即ち、図2に示すように、本実施形態の荷重検出装置1において、ブリッジ回路3の各出力電圧Vp,Vnは、互いに異なる符号を有したものとなっている。また、これらの各出力電圧Vp,Vnは、歪ゲージ2が固定された起歪体7の撓み、つまり検出回路部5が設置された荷重検出対象に作用する荷重が大きいほど、その絶対値が大きくなる。尚、図2は、荷重印加時におけるブリッジ回路3の各出力電圧Vp,Vnを示している。更に、荷重検出信号VLaとなる差動増幅回路12の差動出力は、これら各出力電圧Vp,Vnの差分を所定の差動利得で増幅した電圧値を有するものとなっている。そして、本実施形態の制御回路部6は、この検出対象の荷重変化を示す荷重検出信号VLaを処理することにより、その規格化された荷重検出値Fを生成する構成になっている。
【0020】
具体的には、図1に示すように、本実施形態の制御回路部6において、差動増幅回路12から出力された荷重検出信号VLaは、AD変換器14によりデジタル化された荷重検出信号VLdとして信号処理回路15に入力される。そして、本実施形態の制御回路部6は、この信号処理回路15において規格化された荷重検出値Fを、その出力回路16から出力信号Sとして外部装置に出力する構成になっている。
【0021】
また、本実施形態の制御回路部6には、上記ブリッジ回路3の各出力線8p,8nに対して交流電流を印加する変調回路20が設けられている。具体的には、図3に示すように、この変調回路20は、互いの位相が180°ずれた正弦波形を有する二相の交流電流Ip,Inを、上記ブリッジ回路3の各出力線8p,8nに印加する。そして、本実施形態の制御回路部6は、図4に示すように、この交流電流Ip,Inの印加により変調されたブリッジ回路3の各出力電圧Vp´,Vn´が、その差動増幅回路12に入力される構成になっている。
【0022】
即ち、本実施形態では、差動増幅回路12から出力される荷重検出信号VLa(及びAD変換後の荷重検出信号VLd)もまた、当該差動増幅回路12に入力されるブリッジ回路3の各出力電圧Vp´,Vn´と同様、変調された波形を有するものとなっている。そして、図5に示すように、本実施形態の信号処理回路15は、この荷重検出信号VLdに基づいて、その荷重検出を実行する荷重検出部21と、ブリッジ回路3の異常を検知する異常検知部22と、を備えている。
【0023】
詳述すると、本実施形態の荷重検出部21において、荷重検出信号VLdは、先ず、復調回路31に入力される。即ち、本実施形態の制御回路部6において、信号処理回路15に入力される荷重検出信号VLdには、図6に示すように、その各出力線8p,8nに交流電流Ip,Inが印加されることにより変調されたブリッジ回路3の出力電圧Vp´,Vn´(図4参照)に由来する正弦波状の変調信号Vmが重畳されている。本実施形態の復調回路31は、ローパスフィルタ(LPF)によって、この荷重検出信号VLdに重畳された変調信号Vmを除去する。そして、変調信号除去部としての復調回路31は、これにより、図7に示すような復調された荷重検出信号VLddを出力する構成になっている。
【0024】
また、図5に示すように、本実施形態の荷重検出部21において、この復調回路31により復調された荷重検出信号VLddは、荷重検出信号補正回路32に入力される。更に、この荷重検出信号補正回路32は、その入力された荷重検出信号VLddに対してオフセット・ゲイン等の補正処理を実行する。そして、本実施形態の荷重検出部21は、これにより、その規格化された荷重検出値Fを生成する構成になっている。
【0025】
一方、本実施形態の異常検知部22において、荷重検出信号VLdは、先ず、ハイパスフィルタ(HPF)41に入力される。即ち、本実施形態では、このハイパスフィルタ41によって、その荷重検出信号VLdに重畳された変調信号Vmを分離する変調信号分離部が構成されている。尚、本実施形態では、変調信号Vmの周波数は、上記復調回路31を構成するローパスフィルタの通過帯域よりも十分に高く、AD変換器14におけるサンプリング周波数の1/2(ナイキスト周波数)よりも低い帯域に設定されている。そして、図6に示すように、本実施形態の異常検知部22は、この荷重検出信号VLdから分離された変調信号Vmの振幅νに基づいて、そのブリッジ回路3の異常検知を実行する構成になっている。
【0026】
さらに詳述すると、本実施形態の異常検知部22は、荷重検出信号VLdから分離された変調信号Vmの振幅νが、予め設定された適正範囲α内にある場合に、ブリッジ回路3は正常であると判定する。そして、その変調信号Vmの振幅νが、この適正範囲αから逸脱した場合には、そのブリッジ回路3に異常が発生したものと判定する。
【0027】
具体的には、本実施形態の異常検知部22は、変調信号Vmの振幅νが、ブリッジ回路3が正常であることを示す適正範囲αを超えた大きさである場合には、そのブリッジ回路3に断線故障が発生したものと判定する。そして、変調信号Vmの振幅νが、その適正範囲αに満たない大きさである場合には、そのブリッジ回路3に短絡故障が発生したものと判定する。
【0028】
即ち、変調回路20が安定電源である場合、ブリッジ回路3の出力電圧Vp´,Vn´に基づく荷重検出信号VLdに重畳された変調信号Vmの振幅νは、各出力線8p,8nに対して交流電流Ip,Inが印加されるブリッジ回路3のインピーダンスに依存する。
【0029】
つまり、各出力線8p,8nを構成する接続ケーブルや歪ゲージ2を含め、検出回路部5を構成するブリッジ回路3に断線故障が発生した場合には、そのインピーダンスの増大によって、変調信号Vmの振幅νが大きくなる。また、ブリッジ回路3に短絡故障が発生した場合には、そのインピーダンスの低下によって、変調信号Vmの振幅νが小さくなる(略ゼロ)。そして、本実施形態の異常検知部22は、このような変調信号Vmの振幅変化を監視することにより、そのブリッジ回路3に生じた異常を検知する構成になっている。
【0030】
具体的には、図5に示すように、本実施形態の異常検知部22において、ハイパスフィルタ41を通過することにより荷重検出信号VLdから分離された変調信号Vmは、振幅測定回路42に入力される。また、本実施形態の振幅測定回路42は、その入力された変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを測定する(図6参照)。そして、本実施形態の異常検知部22は、この変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを、その変調信号Vmの振幅νを示す値として異常判定回路43に出力する構成になっている。
【0031】
即ち、図6に示すように、本実施形態の異常判定回路43は、変調信号Vmの最大値Vmaxを所定の閾値V1,V2に比較する。そして、その最大値Vmaxが、閾値V1以上である場合には、ブリッジ回路3に断線故障が発生したものと判定し、閾値V2以下である場合には、ブリッジ回路3に短絡故障が発生したものと判定する。
【0032】
また、本実施形態の異常判定回路43は、変調信号Vmの最小値Vminを所定の閾値V3,V4に比較する。そして、その最小値Vminが閾値V3以下である場合には、ブリッジ回路3に断線故障が発生したものと判定し、閾値V4以上である場合には、ブリッジ回路3に短絡故障が発生したものと判定する。
【0033】
つまり、本実施形態の異常判定回路43において、所定の閾値V1,V3は、そのブリッジ回路3が正常であることを示す適正範囲αの上限に合わせて設定され、所定の閾値V2,V4は、その適正範囲αの下限に合わせて設定されている。尚、この適正範囲αを規定する上記各閾値V1〜V4は、図示しない記憶領域(メモリ)に保持されている。そして、本実施形態の異常検知部22は、この異常判定回路43の判定結果を、異常判定値Xとして出力する構成になっている。
【0034】
尚、本実施形態の信号処理回路15は、この異常検知部22の出力する異常判定値Xが、上記荷重検出部21の出力する荷重検出値Fとともに、デジタルデータとして、出力回路16に入力されるようになっている。そして、本実施形態の荷重検出装置1は、これにより、これら荷重検出値F及び異常判定値Xを含む出力信号Sを外部装置に出力する構成になっている。
【0035】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)制御回路部6は、検出回路部5を構成するブリッジ回路3の出力電圧Vp,Vnに基づいた荷重検出信号VLdが入力される信号処理回路15と、ブリッジ回路3の各出力線8p,8nに交流電流Ip,Inを印加する変調回路20と、を備える。また、信号処理回路15は、荷重検出信号VLdを用いて荷重検出を実行する荷重検出部21と、ブリッジ回路3の異常を検知する異常検知部22と、を備える。更に、荷重検出部21は、上記交流電流Ip,Inの印加により荷重検出信号VLdに重畳された変調信号Vmを除去する変調信号除去部としての復調回路31を備える。そして、異常検知部22は、その荷重検出信号VLdから変調信号Vmを分離する変調信号分離部としてのハイパスフィルタ41と、その変調信号Vmの振幅νに基づいてブリッジ回路3の異常を判定する異常判定部と、を備える。
【0036】
即ち、ブリッジ回路3の出力電圧Vp´,Vn´に基づく荷重検出信号VLdに重畳された変調信号Vmの振幅νは、その出力線8p,8nに対して交流電流Ip,Inが印加されるブリッジ回路3のインピーダンスに依存する。従って、この変調信号Vmの振幅νが適正範囲αを逸脱した場合には、そのブリッジ回路3に異常が発生したものと判定することができる。そして、荷重検出信号VLdから変調信号Vmを除去することにより、精度よく、その検出回路部が設置された対象部位の荷重検出を行うことができる。その結果、荷重検出の実行中においても、自由に、そのブリッジ回路3の異常検知を行うことができる。そして、これにより、例えば、そのブリッジ回路3の常時監視ができるようになる。
【0037】
(2)異常検知部22は、異常判定部を構成する振幅測定回路42及び異常判定回路43を備える。振幅測定回路42は、変調信号Vmの振幅νを示す値として当該変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを測定する。また、異常判定回路43は、ブリッジ回路3が正常であることを示す適正範囲αの上限に合わせて設定された所定の閾値V1,V3に対し、その変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを比較する。そして、異常判定回路43は、その変調信号Vmの振幅νが適正範囲αを超えた大きさであることを示す場合、即ち、その最大値Vmaxが閾値V1以上である場合(Vmax≧V1)又は最小値Vminが閾値V3以下である場合(Vmin≦V3)には、ブリッジ回路3に断線故障が発生したものと判定する。
【0038】
即ち、ブリッジ回路3に断線故障が発生した場合には、そのインピーダンスが増大することにより変調信号Vmの振幅νが大きくなる。そして、これにより、その断線故障を検知することができる。
【0039】
(3)更に、異常判定回路43は、ブリッジ回路3が正常であることを示す適正範囲αの下限に合わせて設定された所定の閾値V2,V4に対し、その変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを比較する。そして、異常判定回路43は、その変調信号Vmの振幅νが適正範囲αに満たない大きさであることを示す場合、即ち、その最大値Vmaxが閾値V2以下である場合(Vmax≦V2)又は最小値Vminが閾値V4以上である場合(Vmin≧V4)には、ブリッジ回路3に短絡故障が発生したものと判定する。
【0040】
即ち、ブリッジ回路3に短絡故障が発生した場合には、そのインピーダンスが低下することにより変調信号Vmの振幅νが小さくなる(略ゼロ)。そして、これにより、その短絡故障を検知することができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、変調回路20は、正弦波形を有する二相の交流電流Ip,Inをブリッジ回路3の各出力線8p,8nに印加することとした。しかし、これに限らず、図8に示すように、変調回路20が、矩形波状の交流電流をブリッジ回路3の各出力線8p,8nに印加する構成としてもよい。これにより、その変調回路20の構成を簡素化することができる。更に、この場合、その荷重検出信号VLdから分離された変調信号Vmもまた、図9に示すように、奇数倍高調波を多く含む矩形波形状を有するものとなる。そして、これにより、その振幅測定(最大値Vmax及び最小値Vminの測定)を容易に行うことができる。
【0042】
・上記実施形態では、振幅測定回路42は、変調信号Vmの振幅νを示す値として当該変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを測定する。そして、異常判定回路43は、これら変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminを、それぞれ、所定の閾値V1〜V4に比較することで、その異常検知判定を実行することとした。しかし、これに限らず、変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminから当該変調信号Vmの振幅νを求めた上で、その振幅νを閾値に比較する構成であってもよい。そして、その異常検知判定に用いる変調信号Vmの最大値Vmax及び最小値Vminは、周期毎に測定したものであってもよく、所定期間内に測定された値の平均値であってもよい。
【0043】
・上記実施形態では、AD変換器14によりデジタル化された荷重検出信号VLdに基づいて、その荷重検出信号VLdから変調信号Vmを除去することにより荷重検出を実行し、その荷重検出信号VLdを分離することによりブリッジ回路3の異常検知を実行することとした。しかし、これに限らず、デジタル化される前の荷重検出信号VLaに基づいて、その荷重検出及び異常検知を実行する構成としてもよい。
【0044】
例えば、図10に示す制御回路部6Bは、独立した荷重検出部21B及び異常検知部22Bを備えている。そして、この制御回路部6Bにおいては、これらの荷重検出部21B及び異常検知部22Bに対し、その差動増幅回路12の出力する荷重検出信号VLaが入力されるようになっている。
【0045】
具体的には、この制御回路部6Bにおいて、荷重検出部21Bは、復調器71において荷重検出信号VLaから変調信号Vmaを除去した後、その復調された荷重検出信号VLdaをAD変換器72においてデジタル化する。尚、この荷重検出部21Bの復調器71もまた、ローパスフィルタを用いて構成される。そして、この荷重検出部21Bもまた、荷重検出信号補正回路73において、その荷重検出信号VLddに対してオフセット・ゲイン等の補正処理を実行することにより、規格化された荷重検出値Fを生成する構成になっている。
【0046】
また、異常検知部22Bは、ハイパスフィルタ(HPF)81により荷重検出信号VLaから変調信号Vmaを分離した後、その変調信号VmaをAC−DC変換回路82に入力する。即ち、アナログ信号としての変調信号Vmaを整流することで、その信号レベルが求められる。そして、この異常検知部22Bは、これにより得られる変調信号Vmaの振幅νに基づいて、その異常判定回路83が異常検知を実行する構成となっている。
【0047】
このような構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、アナログ信号としての荷重検出信号VLdaから変調信号Vmaを分離することで、AD変換に伴う帯域制約を受けなくなる。そして、これにより、より柔軟に、その変調信号Vmaの周波数を設定することができる。
【0048】
・また、アナログ信号ベースで異常検知を実行する構成において、その荷重検出信号の復調、即ち変調信号の除去をデジタル化後に行う構成であってもよい。そして、デジタル信号ベースで異常検知を行う構成において、その変調信号の除去を荷重検出信号のデジタル化前に行ってもよい。
【0049】
・出力信号Sは、デジタル信号でもアナログ信号でもよい。そして、その荷重検出値Fと異常判定値Xとが、それぞれ独立した信号により外部装置に出力される構成であってもよい。
【0050】
・上記実施形態は、歪ゲージ2の抵抗変化に応じて出力電圧Vp,Vnが変化するブリッジ回路3を検出回路として、その異常検知機能を備えた荷重検出装置1に具体化した。しかし、これに限らず、荷重検出以外のセンサ装置に適用される検出回路の異常検知装置に具体化してもよい。即ち、その検出回路の出力電圧に基づく検出信号は、必ずしも荷重検出信号でなくともよい。また、その検出回路が歪ゲージ2を有しないものであってもよい。そして、この検出回路がブリッジ回路を用いることなく構成されたものについても、これを排除しない。
【0051】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を記載する。
(イ)前記検出回路の出力線は、ブリッジ回路の出力線であること、を特徴とする異常検知装置。
【0052】
(ロ)前記ブリッジ回路は、歪ゲージの抵抗変化に応じて出力レベルが変化するものであること、を特徴とする異常検知装置。
【符号の説明】
【0053】
1…荷重検出装置、2…歪ゲージ、3…ブリッジ回路、3n,3p…出力端子、5…検出回路部、6,6B…制御回路部、7…起歪体、8n,8p…出力線、11…定電圧駆動回路、12…差動増幅回路、14,72…AD変換器、15…信号処理回路、16…出力回路、20…変調回路、21,21B…荷重検出部、22,22B…異常検知部、31…復調回路(LPF、変調信号除去部)、32,73…荷重検出信号補正回路(異常判定部)、41,81…ハイパスフィルタ(HPF、変調信号分離部)、42…振幅測定回路(異常判定部)、43,83…異常判定回路(異常判定部)、71…復調器(LPF、変調信号除去部)、82…AC−DC変換回路(異常判定部)、Vp,Vn,Vp´,Vn´…出力電圧、VLa,VLd,VLda,VLdd…荷重検出信号、Ip,In…交流電流、Vm,Vma…変調信号、ν…振幅、Vmax…最大値、Vmin…最小値、V1〜V4…閾値、α…適正範囲、X…判定値、F…荷重検出値、S…出力信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10