(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料タンク(10)及び前記燃料タンク内の燃料蒸気を吸着するキャニスタ(12)の燃料蒸気漏れを検出する燃料蒸気漏れ検出装置(1、2、3、4、5、6)であって、
前記キャニスタ内に連通するキャニスタ通路(221)と、
前記キャニスタ通路と同じ断面積を有する第一大気通路(241)と、
前記第一大気通路と大気とを連通するオリフィス(251)と、
前記キャニスタ通路及び前記第一大気通路を加圧または減圧可能な加減圧手段(26)と、
前記キャニスタ通路を流れる流体の流速と前記第一大気通路を流れる流体の流速との大小関係を判定する第一判定手段(21、23、30、31、33、40、412、414、43、432、434、50、512、514、53、60)と、
前記第一判定手段の判定結果に基づいて前記燃料タンク及び前記キャニスタの燃料蒸気漏れの有無を判定する第二判定手段(15)と、
を備え、
前記第一判定手段は、前記キャニスタ通路を流れる流体の流速と前記第一大気通路を流れる流体の流速との関係に応じて変位する一つの変位部材(21、31)、及び、前記一つの変位部材の変位に基づいて前記キャニスタ通路を流れる流体の流速と前記第一大気通路を流れる流体の流速との大小関係を判定する大小判定部(30、40)を有することを特徴とする燃料蒸気漏れ検出装置。
前記第二判定手段は、前記加減圧手段の駆動が開始してから所定の時間経過した後に前記第一判定手段の判定結果に基づいて前記燃料タンク及び前記キャニスタの燃料蒸気漏れの有無を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料蒸気漏れ検出装置。
前記第二判定手段は、前記キャニスタ通路を流れる流体の流速が前記第一大気通路を流れる流体の流速に比べ大きいとき、前記キャニスタ通路を流れる流体の流速と前記第一大気通路を流れる流体の流速との差の大きさに基づいて前記燃料タンク及び前記キャニスタの燃料蒸気漏れの程度を判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料蒸気漏れ検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置1を
図1から
図3に基づいて説明する。
【0016】
最初に、燃料蒸気漏れ検出装置1を用いた蒸発燃料処理装置8の構成を
図1に基づいて説明する。
蒸発燃料処理装置8は、
図1に示すように、キャニスタ12、パージ弁14、燃料蒸気漏れ検出装置1、大気フィルタ18などを備える。蒸発燃料処理装置8では、エンジン9に供給される燃料を貯留する燃料タンク10内で発生する蒸発燃料をキャニスタ12が回収する。キャニスタ12に回収される燃料蒸気は、エンジン9に接続する吸気管16が形成する吸気通路161にパージされる。
【0017】
キャニスタ12は、燃料タンク10内で発生する蒸発燃料を回収する吸着材121を有する。キャニスタ12は、「タンク通路」としての第一パージ通路111を形成する「タンク通路形成部材」としての第一パージ管11を介して燃料タンク10と接続されている。また、キャニスタ12は、第二パージ通路131を形成する第二パージ管13を介して吸気管16と接続する。第二パージ管13には第二パージ通路131と吸気通路161とを連通または遮断可能なパージ弁14が設けられている。
【0018】
燃料タンク10内で発生する蒸発燃料は、第一パージ通路111を通り吸着材121に吸着されることによって回収される。パージ弁14は電磁弁であり、パージ弁14の開度を制御すると、キャニスタ12から第二パージ通路131を通り吸気通路161のスロットル弁17の下流側にパージされる蒸発燃料の量が調整される。
【0019】
燃料蒸気漏れ検出装置1は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、可動部材21、「磁気検出部」としてのホール素子23、オリフィス部25、「加減圧手段」としてのポンプ26、フィルタ配管28、大小判定部30、「第二判定手段」としてのECU15などを備える。可動部材21、ホール素子23、及び、大小判定部30は、特許請求の範囲に記載の「第一判定手段」に相当する。
【0020】
キャニスタ接続配管22は、キャニスタ12と共通配管27との間に設けられている。キャニスタ接続配管22は、キャニスタ12内に連通するキャニスタ通路221を有する。キャニスタ通路221は、ポンプ26が有する図示しないポンプ室に連通している。
【0021】
オリフィス配管24は、共通配管27を介してポンプ26に接続している。オリフィス配管24は、第一大気通路241を有する。第一大気通路241は、後述するフィルタ配管28が有するフィルタ通路281とポンプ26のポンプ室とを連通している。
【0022】
共通配管27は、キャニスタ接続配管22及びオリフィス配管24とポンプ26との間に設けられている。共通配管27は、キャニスタ通路221及び第一大気通路241を有する。第一実施形態では、共通配管27には、中間部材20、可動部材21、ホール素子23などが設けられている。
【0023】
中間部材20は、共通配管27内をキャニスタ通路221と第一大気通路241とを区画するよう設けられている。中間部材20は、共通配管27に対して固定されている。
【0024】
可動部材21は、共通配管27内をキャニスタ通路221と第一大気通路241とを区画するよう設けられている。可動部材21は、磁性材料から形成されている。可動部材21の一端211は、中間部材20に固定され、キャニスタ通路221及び第一大気通路241に対して相対移動不能に設けられている。可動部材21の他端212は、キャニスタ通路221及び第一大気通路241に対して相対移動可能に設けられている。これにより、可動部材21は、キャニスタ通路221側または第一大気通路241側に傾くことが可能である。共通配管27内において、可動部材21が設けられる箇所のキャニスタ通路221の断面積と第一大気通路241の断面積とは、同じ大きさとなっている。
【0025】
ホール素子23は、中間部材20の可動部材21の他端212側に設けられている。ホール素子23は、磁界強度を検出し、当該検出した磁界強度に応じた信号を外部に出力する。
【0026】
オリフィス部25は、オリフィス配管24に設けられている。より具体的には、オリフィス部25は、オリフィス配管24の可動部材21が設けられる部位より大気側に設けられている。オリフィス部25は、第一大気通路241と大気とを連通するオリフィス251を有する。オリフィス251の内径は、燃料蒸気が漏れるおそれがある燃料タンク10やキャニスタ12の漏れ穴の大きさの基準となる。
【0027】
ポンプ26は、共通配管27とフィルタ配管28との間に設けられている。ポンプ26は、共通配管27が有するキャニスタ通路221及び第一大気通路241に図示しない一方の開口が連通するよう設けられている。また、ポンプ26の図示しない他方の開口は、フィルタ通路281に連通するよう設けられている。ポンプ26は、ECU15の指令に基づいてキャニスタ通路221及び第一大気通路241の気体を同時に吸引し、フィルタ通路281に吸引した気体を吐出する。
【0028】
フィルタ配管28は、一方の端部に大気フィルタ18が設けられている。他方の端部は、二つに分かれており、他方の端部の一つは、ポンプ26に接続している。また、他方の端部のもう一つは、オリフィス部25に接続している。フィルタ配管28は、フィルタ通路281を有する。
【0029】
大小判定部30は、ホール素子23と電気的に接続している。大小判定部30は、ホール素子23が出力する信号に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。大小判定部30は、当該判定結果をECU15に出力する。大小判定部30における判定方法の詳細は後述する。
【0030】
ECU15は、CPU、ならびに、RAM及びROMなどを有するマイクロコンピュータなどから構成されている。ECU15は、大小判定部30、ポンプ26、及び、パージ弁14と電気的に接続する。ECU15は、ポンプ26及びパージ弁14の作動を制御するとともに、大小判定部30が出力する判定結果に基づいて燃料タンク10及びキャニスタ12の燃料蒸気漏れの有無を判定する。
【0031】
大気フィルタ18は、フィルタ配管28のポンプ26とは反対側の端部に設けられている。キャニスタ12によって燃料蒸気が吸着される場合、燃料蒸気漏れ検出装置1が燃料タンク10内を減圧する場合、または、燃料タンク10内に燃料が供給される場合、燃料タンク10内またはキャニスタ12内の空気が大気フィルタ18を通って大気に排出される。一方、キャニスタ12に吸着した燃料蒸気を吸気管16に供給する場合、大気から大気フィルタ18を通って燃料蒸気漏れ検出装置1に空気が導入される。このとき、大気フィルタ18は、導入される空気に含まれる異物を回収する。なお、
図1中の矢印F1は、大気フィルタ18から流出する気体の流れを示している。また、
図1中の矢印F2は、大気フィルタ18に流入する気体の流れを示している。
【0032】
次に、第一実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置1における燃料蒸気漏れ検出処理を
図3に基づいて説明する。
図3には、キャニスタ通路221及び第一大気通路241を流れる流体の流れを実線矢印F11で示す。実線矢印F11の長さは、それぞれの実線矢印F11が示されている箇所における流体の流速を模式的に示している。
【0033】
車両に搭載されたエンジン9の運転が停止してから所定の期間が経過すると、ECU15が図示しないソークタイマで起動される。
【0034】
起動したECU15は、ポンプ26の駆動信号をポンプ26に出力する。これにより、ポンプ26が駆動し、キャニスタ通路221及び第一大気通路241の気体を吸引する。ポンプ26が駆動した直後の可動部材21の動きを
図3(a)に示す。
ポンプ26の駆動直後、キャニスタ通路221及び第一大気通路241の気体を吸引すると、キャニスタ通路221に連通する燃料タンク10の内容積及びキャニスタ12の内容積と、第一大気通路241に連通するオリフィス251を介して吸引される大気の吸引量とのバランスから、キャニスタ通路221を流れる流体の流速は、第一大気通路241を流れる流体の流速に比べ速くなる。これにより、可動部材21の近傍におけるキャニスタ通路221側の圧力は第一大気通路241側の圧力より小さくなるため、可動部材21は、
図3(a)に示すように、キャニスタ通路221側に傾く。この可動部材21の傾き及び傾きの大きさは、ホール素子23によって磁界強度の変化として検出される。
【0035】
ポンプ26が駆動を開始してから一定時間が経過しポンプ26によって燃料タンク10内及びキャニスタ12内が十分に吸引されると、キャニスタ通路221を流れる流体の流れ及び第一大気通路241を流れる流体の流れが安定する。流体の流れが安定したときの可動部材21の傾きの方向は、
図3(b)〜(d)のいずれかに分類される。
【0036】
図3(b)に示すように、可動部材21がキャニスタ通路221側に傾く場合、大小判定部30は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ速くなっていると判定する。この大小判定部30の判定結果は、漏れ穴を通る気体の量がオリフィス251を通る気体の量より多いことを示している。すなわち、燃料タンク10及びキャニスタ12にはオリフィス251の断面積より大きい断面積を有する漏れ穴が形成されていることがわかる。そこで、ECU15は、大小判定部30の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0037】
また、
図3(b)の場合、ECU15は、可動部材21のキャニスタ通路221側への傾きの大きさによって燃料蒸気漏れの程度を判定することが可能である。具体的には、可動部材21のキャニスタ通路221側への傾きが比較的大きい場合、ECU15は、比較的多くの燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。また、可動部材21のキャニスタ通路221側への傾きが比較的小さい場合、ECU15は、比較的少ない燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。
【0038】
また、
図3(c)に示すように、可動部材21が第一大気通路241側に傾く場合、大小判定部30は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ遅くなっていると判定する。この大小判定部30の判定結果は、漏れ穴を通る気体の量がオリフィス251を通る気体の量より少ないことを示している。すなわち、燃料タンク10及びキャニスタ12には、漏れ穴は形成されていないか、または、オリフィス251の断面積より小さい断面積を有する漏れ穴が形成されていることがわかる。そこで、ECU15は、大小判定部30の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れはないと判定する。
【0039】
また、
図3(d)に示すように、可動部材21がキャニスタ通路221側と第一大気通路241側との間を揺れ動く場合(点線矢印F10)、または、可動部材21がキャニスタ通路221側及び第一大気通路241側のいずれにも傾かない場合、大小判定部30は、キャニスタ通路221の流体の流速と第一大気通路241の流体の流速とに差がないと判定する。この大小判定部30の判定結果は、漏れ穴を通る気体の量がオリフィス251を通る気体の量と同じ程度であることを示している。この場合、第一実施形態では、燃料蒸気漏れの判定を保留する。その後、再び燃料蒸気漏れ検出処理を行い、可動部材21の挙動に変化がない、すなわち、キャニスタ通路221側と第一大気通路241側との間を揺れ動いたり、キャニスタ通路221側及び第一大気通路241側のいずれにも傾いたりしない場合、ECU15は、大小判定部30の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0040】
第一実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置1では、キャニスタ通路221の断面積と第一大気通路241の断面積とが同じ大きさとなるようキャニスタ通路221及び第一大気通路241が形成されている。これにより、キャニスタ通路221及び第一大気通路241をポンプ26の気体を吸引するときキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係は、漏れ穴を通る気体の量とオリフィスを通る気体の量との大小関係と相関性がある。
【0041】
燃料蒸気漏れ検出装置1では、大小判定部30において可動部材21が傾く方向によってキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。ECU15は、この大小判定部30の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12の漏れ穴の大きさをオリフィス251の大きさと比較し、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れの有無を判定することができる。したがって、第一実施形態では、ポンプ性能の変動に影響されることなく燃料蒸気漏れの検出精度を向上することができる。
【0042】
また、燃料蒸気漏れ検出装置1では、キャニスタ12に吸着されている燃料蒸気をパージするとき、ポンプ26及びキャニスタ通路221を介してキャニスタ12内に十分な量の大気を供給することができる。これにより、燃料蒸気漏れ検出装置1では、燃料蒸気を確実にパージすることができる。
【0043】
燃料蒸気漏れ検出装置1では、燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサや一つの圧力センサによって基準圧力と燃料タンク内の圧力とを検出可能なよう流体の流路を切り替える切替弁を備える燃料蒸気漏れ検出装置に比べ、圧力センサや切替弁が不要となる。これにより、燃料蒸気漏れ検出装置1の体格を小さくすることができる。また、圧力センサや切替弁が不要となるため、燃料蒸気漏れ検出装置1の製造コストを低減することができる。
【0044】
また、燃料蒸気漏れ検出装置1では、ECU15は、ポンプ26が駆動を開始してから一定時間が経過した後に可動部材21が傾く方向によって燃料蒸気の漏れを検出する。これにより、ポンプ26が作動した直後の燃料タンク10内の圧力が安定していないときに燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気の漏れ量を検出する場合の誤判定を防止し、燃料蒸気漏れの検出精度をさらに向上することができる。
【0045】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置を
図4、5に基づいて説明する。第二実施形態は、「第一判定手段」の構成が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0046】
第二実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置2の一部の模式図を
図4に示す。燃料蒸気漏れ検出装置2は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、ダイアフラム31、「変形量検出部」としてのひずみゲージ33、オリフィス部25、ポンプ26、フィルタ配管28、大小判定部40、ECU15などを備える。ダイアフラム31、ひずみゲージ33、及び、大小判定部40は、特許請求の範囲に記載の「第一判定手段」に相当する。
【0047】
ダイアフラム31は、中間部材20が有する孔201を塞ぐよう設けられている。ダイアフラム31は、キャニスタ通路221の圧力と第一大気通路241の圧力とのバランスによってキャニスタ通路221側または第一大気通路241側に変形可能である。共通配管27内において、ダイアフラム31が設けられる箇所のキャニスタ通路221の断面積と第一大気通路241の断面積とは同じ大きさとなっている。
【0048】
ひずみゲージ33は、ダイアフラム31の略中央に設けられている。ひずみゲージ33は、ダイアフラム31の変形量を検出し、当該検出した変形量に応じた信号を外部に出力する。
【0049】
大小判定部40は、ひずみゲージ33及びECU15と電気的に接続している。大小判定部40は、ひずみゲージ33が出力する信号に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。大小判定部40は、当該判定結果をECU15に出力する。
【0050】
次に、第二実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置2における燃料蒸気漏れ検出処理について
図5に基づいて説明する。
図5には、キャニスタ通路221及び第一大気通路241を流れる流体の流れを実線矢印F21で示す。実線矢印F21の長さは、それぞれの実線矢印F21が示されている箇所における流体の流速を模式的に示している。
【0051】
ソークタイマで起動されたECU15がポンプ26を駆動すると、ダイアフラム31の近傍におけるキャニスタ通路221側の圧力は第一大気通路241側の圧力より小さくなるため、ダイアフラム31は、
図5(a)に示すように、キャニスタ通路221側に凹む。このダイアフラム31が凹む方向及び凹みの大きさは、ダイアフラム31上のひずみゲージ33によってダイアフラム31の変形量として検出される。
【0052】
ポンプ26が駆動を開始してから一定程度時間が経過しキャニスタ通路221及び第一大気通路241を流れる流体の流れが安定したときのダイアフラム31の形状は、
図5(b)〜(d)のいずれかに分類される。
【0053】
図5(b)に示すように、ダイアフラム31がキャニスタ通路221側に凹む場合、大小判定部40は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ速くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部40の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0054】
また、
図5(b)の場合、ECU15は、ダイアフラム31のキャニスタ通路221側への変位量の大きさによって燃料蒸気漏れの程度を判定することが可能である。具体的には、ダイアフラム31のキャニスタ通路221側への変位量が比較的大きい場合、ECU15は、比較的多くの燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。また、ダイアフラム31のキャニスタ通路221側への変位量が比較的小さい場合、ECU15は、比較的少ない燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。
【0055】
また、
図5(c)に示すように、ダイアフラム31が第一大気通路241側に凹む場合、大小判定部40は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ遅くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部40の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れはないと判定する。
【0056】
また、
図5(d)に示すように、ダイアフラム31がキャニスタ通路221側への変形と第一大気通路241側への変形を繰り返す場合(点線矢印F20)、または、ダイアフラム31がキャニスタ通路221側及び第一大気通路241側のいずれにも凹まない場合、大小判定部40は、キャニスタ通路221の流体の流速と第一大気通路241の流体の流速とに差がないと判定する。この場合、第二実施形態では、漏れ穴の大きさに関する判定を保留する。その後、同様の燃料蒸気漏れ検出処理を行い、ダイアフラム31の挙動に変化がない、すなわち、キャニスタ通路221側への変形と第一大気通路241側への変形を繰り返したり、キャニスタ通路221側及び第一大気通路241側のいずれにも凹んだりしない場合、ECU15は、大小判定部40の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0057】
第二実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置2では、キャニスタ通路221と第一大気通路241とを区画するよう設けられるダイアフラム31が凹む方向によって燃料タンク10及びキャニスタ12の燃料蒸気漏れの有無を判定する。これにより、第二実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0058】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置を
図6に基づいて説明する。第三実施形態は、「第一判定手段」の構成が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
第三実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置3の一部の模式図を
図6に示す。燃料蒸気漏れ検出装置3は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、キャニスタ側熱線412、大気側熱線414、「キャニスタ側電源」及び「大気側電源」としての電源43、「キャニスタ側電流検出部」としての電流計432、「大気側電流検出部」としての電流計434、オリフィス部25、ポンプ26、フィルタ配管28、大小判定部50、ECU15などを備える。キャニスタ側熱線412、大気側熱線414、電源43、電流計432、434、及び、大小判定部50は、特許請求の範囲に記載の「第一判定手段」に相当する。
【0060】
キャニスタ側熱線412は、共通配管27が有するキャニスタ通路221に設けられている。キャニスタ側熱線412は、抵抗を有する材料から形成されている。
大気側熱線414は、共通配管27が有する第一大気通路241に設けられている。大気側熱線414は、キャニスタ側熱線412を形成する材料と同じ材料から形成されており、同じ温度条件下では同じ抵抗を有する。
共通配管27において、キャニスタ側熱線412が設けられている箇所のキャニスタ通路221の断面積と大気側熱線414が設けられている箇所の第一大気通路241の断面積とは同じ大きさとなっている。
【0061】
電源43は、キャニスタ側熱線412及び大気側熱線414と電気的に接続している。電源43は、キャニスタ側熱線412及び大気側熱線414に電力を供給する。
【0062】
電流計432は、キャニスタ側熱線412と電源43との間に設けられている。電流計432は、キャニスタ側熱線412を流れる電流の値を検出し、後述する大小判定部50に出力する。
電流計434は、大気側熱線414と電源43との間に設けられている。電流計434は、大気側熱線414を流れる電流の値を検出し、大小判定部50に出力する。
【0063】
大小判定部50は、電源43、電流計432、434及びECU15と電気的に接続している。大小判定部50は、電源43がキャニスタ側熱線412及び大気側熱線414に同じ電圧の電力を供給しているとき電流計432、434が出力する電流の値に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。大小判定部50は、当該判定結果をECU15に出力する。
【0064】
次に、第三実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置3における燃料蒸気漏れ検出処理について説明する。
【0065】
ソークタイマで起動されたECU15がポンプ26を駆動する。ポンプ26が駆動した直後、キャニスタ通路221を流れる流体の流速は、第一大気通路241を流れる流体の流速に比べ速くなる。これにより、キャニスタ側熱線412は大気側熱線414に比べ冷却されるため、キャニスタ側熱線412の電気抵抗は、大気側熱線414の電気抵抗に比べ小さくなる。電源43によってキャニスタ側熱線412及び大気側熱線414に同じ電圧が印加されているため、キャニスタ側熱線412を流れる電流は、大気側熱線414を流れる電流より大きくなる。大小判定部50は、電流計432、434が出力する電流の値からキャニスタ通路221を流れる流体の流速が第一大気通路241を流れる流体の流速に比べ速くなっていると判定する。
【0066】
ポンプ26が駆動を開始してから一定程度時間が経過しキャニスタ通路221及び第一大気通路241を流れる流体の流れが安定すると、大小判定部50は、電流計432、434が出力する電流の値に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。
【0067】
キャニスタ側熱線412を流れる電流が大気側熱線414を流れる電流より大きい場合、大小判定部50は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ速くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部50の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの所定量以上の燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0068】
また、キャニスタ側熱線412を流れる電流が大気側熱線414を流れる電流より大きい場合、大小判定部50は、キャニスタ側熱線412を流れる電流と大気側熱線414を流れる電流との差の大きさによって漏れ穴の大きさを判定することが可能である。具体的には、キャニスタ側熱線412を流れる電流が大気側熱線414を流れる電流より大きく、かつ、キャニスタ側熱線412を流れる電流と大気側熱線414を流れる電流との差が比較的大きい場合、ECU15は、比較的多くの燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。また、キャニスタ側熱線412を流れる電流が大気側熱線414を流れる電流より大きく、かつ、キャニスタ側熱線412を流れる電流と大気側熱線414を流れる電流との差が比較的小さい場合、ECU15は、比較的少ない燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。
【0069】
大気側熱線414を流れる電流がキャニスタ側熱線412を流れる電流に比べ大きい場合、大小判定部50は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ遅くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部50の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れはないと判定する。
【0070】
また、大気側熱線414を流れる電流とキャニスタ側熱線412を流れる電流とが同じ程度の大きさの場合、大小判定部50は、キャニスタ通路221の流体の流速と第一大気通路241の流体の流速とに差がないと判定する。この場合、第三実施形態では、燃料蒸気漏れの判定を保留する。その後、同様の燃料蒸気漏れ検出処理を行い、大気側熱線414を流れる電流とキャニスタ側熱線412を流れる電流とが同じ程度の大きさの場合、ECU15は、大小判定部50の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0071】
第三実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置3では、キャニスタ側熱線412を流れる電流と大気側熱線414を流れる電流との大小関係によって燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れの有無を判定する。これにより、第三実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0072】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置を
図7に基づいて説明する。第四実施形態は、「第一判定手段」の構成が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
第四実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置4の一部の模式図を
図7に示す。燃料蒸気漏れ検出装置4は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、キャニスタ側風車512、大気側風車514、「キャニスタ側回転検出部」及び「大気側回転検出部」としての回転数検出部53、オリフィス部25、ポンプ26、フィルタ配管28、大小判定部60、ECU15などを備える。キャニスタ側風車512、大気側風車514、回転数検出部53、及び、大小判定部60は、特許請求の範囲に記載の「第一判定手段」に相当する。
【0074】
キャニスタ側風車512は、共通配管27が有するキャニスタ通路221に設けられている。キャニスタ側風車512は、キャニスタ通路221を流れる流体の流速に応じて回転可能に設けられている。
大気側風車514は、共通配管27が有する第一大気通路241に設けられている。大気側風車514は、第一大気通路241を流れる流体の流速に応じて回転可能に設けられている。
共通配管27において、キャニスタ側風車512が設けられている箇所のキャニスタ通路221の断面積と大気側風車514が設けられている箇所の第一大気通路241の断面積と同じ大きさとなっている。
【0075】
回転数検出部53は、キャニスタ側風車512及び大気側風車514と連結している。回転数検出部53は、キャニスタ側風車512の回転数及び大気側風車514の回転数を検出し、キャニスタ側風車512の回転数及び大気側風車514の回転数のそれぞれに応じた信号を大小判定部60に出力する。
【0076】
大小判定部60は、回転数検出部53及びECU15と電気的に接続している。大小判定部60は、回転数検出部53が出力するキャニスタ側風車512の回転数及び大気側風車514の回転数に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。大小判定部60は、当該判定結果をECU15に出力する。
【0077】
次に、第四実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置4における燃料蒸気漏れ検出処理について説明する。
【0078】
ソークタイマで起動されたECU15がポンプ26を駆動する。ポンプ26が駆動した直後、キャニスタ通路221を流れる流体の流速は、第一大気通路241を流れる流体の流速に比べ速くなる。これにより、キャニスタ側風車512の回転数は、大気側風車514の回転数より大きくなる。大小判定部60は、回転数検出部53が出力する回転数の値からキャニスタ通路221を流れる流体の流速が第一大気通路241を流れる流体の流速に比べ速くなっていることを判定する。
【0079】
ポンプ26が駆動を開始してから一定程度時間が経過しキャニスタ通路221及び第一大気通路241を流れる流体の流れが安定すると、大小判定部60は、回転数検出部53が出力する回転数に基づいてキャニスタ通路221を流れる流体の流速と第一大気通路241を流れる流体の流速との大小関係を判定する。
【0080】
キャニスタ側風車512の回転数が大気側風車514の回転数より大きい場合、大小判定部60は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ速くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部60の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの所定量以上の燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0081】
また、キャニスタ側風車512の回転数が大気側風車514の回転数より大きい場合、大小判定部60は、キャニスタ側風車512の回転数と大気側風車514の回転数との差の大きさによって漏れ穴の大きさを判定することが可能である。具体的には、キャニスタ側風車512の回転数が大気側風車514の回転数より大きく、かつ、キャニスタ側風車512の回転数と大気側風車514の回転数との差が比較的大きい場合、ECU15は、比較的多くの燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。また、キャニスタ側風車512の回転数が大気側風車514の回転数より大きく、かつ、キャニスタ側風車512の回転数と大気側風車514の回転数との差が比較的小さい場合、ECU15は、比較的少ない燃料蒸気が燃料タンク10及びキャニスタ12から漏れていると判定する。
【0082】
大気側風車514の回転数がキャニスタ側風車512の回転数に比べ大きい場合、大小判定部60は、キャニスタ通路221の流体の流速が第一大気通路241の流体の流速に比べ遅くなっていると判定する。ECU15は、大小判定部60の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れはないと判定する。
【0083】
また、大気側風車514の回転数とキャニスタ側風車512の回転数とが同じ程度の回転数である場合、大小判定部60は、キャニスタ通路221の流体の流速と第一大気通路241の流体の流速とに差がないと判定する。この場合、第四実施形態では、燃料蒸気漏れの判定を保留する。その後、同様の燃料蒸気漏れ検出処理を行い、大気側風車514の回転数とキャニスタ側風車512の回転数とが同じ程度の回転数である場合、ECU15は、大小判定部60の判定結果に基づいて、燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れがあると判定する。
【0084】
第四実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置4では、大気側風車514の回転数とキャニスタ側風車512との回転数の大小関係によって燃料タンク10及びキャニスタ12からの燃料蒸気漏れの有無を判定する。これにより、第四実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0085】
(第五実施形態)
次に、本発明の五実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置を
図8に基づいて説明する。第五実施形態は、第二大気通路を有する点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
第五実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置5は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、可動部材21、ホール素子23、オリフィス部25、ポンプ26、フィルタ配管28、「第二大気通路形成部材」としてのバイパス配管67、大気弁69、大小判定部30、「大気弁制御部」としてのECU15などを備える。
【0087】
バイパス配管67は、一方の端部をキャニスタ接続配管22に接続している。他方の端部は、フィルタ配管28に接続している。バイパス配管67は、第二大気通路671を有する。第二大気通路671は、ポンプ26を迂回してキャニスタ通路221とフィルタ通路281とを連通可能である。
【0088】
大気弁69は、バイパス配管67に設けられている。大気弁69は、ECU15と電気的に接続している。大気弁69は、ECU15が出力する信号に基づいて開閉し、キャニスタ通路221とフィルタ通路281とを連通または遮断する。
【0089】
第五実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置5では、キャニスタ12に吸着されている燃料蒸気をパージするとき、ECU15は大気弁69を開く。これにより、十分な量の大気が第二大気通路671を通ってキャニスタ12に流入するため、キャニスタ12の吸着材121に吸着されている燃料蒸気を確実にパージすることができる。したがって、第五実施形態では、第一実施形態の効果を奏するとともに、キャニスタ12の燃料蒸気をより確実に吸気管16に供給することができる。
【0090】
(第六実施形態)
次に、本発明の第六実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置を
図9に基づいて説明する。第六実施形態は、燃料タンク内の圧力を検出可能な圧力検出部及び燃料タンク内とキャニスタ内とを連通または遮断するタンク弁を備える点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0091】
第六実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置6は、キャニスタ接続配管22、オリフィス配管24、共通配管27、可動部材21、ホール素子23、オリフィス部25、ポンプ26、フィルタ配管28、大小判定部30、「圧力検出部」としての圧力センサ72、タンク弁74、「タンク弁制御部」としてのECU15などを備える。
【0092】
圧力センサ72は、燃料タンク10に設けられる。圧力センサ72は、ECU15と電気的に接続している。圧力センサ72は、燃料タンク10内の圧力を検出し、検出した圧力に応じた信号をECU15に出力する。
【0093】
タンク弁74は、第一パージ管11に設けられている。タンク弁74は、ECU15と電気的に接続している。タンク弁74は、ECU15が出力する信号に基づいて開閉し、燃料タンク10内とキャニスタ12内とを連通または遮断する。
【0094】
第六実施形態による燃料蒸気漏れ検出装置6では、圧力センサ72によって燃料タンク10内の圧力を検出している。燃料タンク10内の圧力が所定の圧力以上になると、ECU15はタンク弁74を開き、燃料タンク10内の燃料蒸気をキャニスタ12内に流入させる。これにより、常時、燃料タンク10内とキャニスタ12内とが連通している場合に比べ、キャニスタ12が吸着する燃料蒸気の量を少なくすることができる。したがって、第六実施形態は、第一実施形態の効果を奏するとともに、第五実施形態のようにポンプ26を迂回しキャニスタ通路221とフィルタ通路281とを連通する通路を設けることなく、キャニスタ12内の燃料蒸気を確実にパージすることができる。
【0095】
(他の実施形態)
第一実施形態では、二つの通路を流れる流体の流速の差によっていずれかの通路側に傾く可動部材を備えるとした。第二実施形態では、二つの通路を流れる流体の流速の差によっていずれかの通路側に凹むダイアフラムを備えるとした。第三実施形態では、二つの通路を流れる流体の流速の差によって抵抗の変化する度合が異なる二つの熱線を備えるとした。第四実施形態では、二つの通路を流れる流体の流速の差によって回転数が異なる二つの風車を備えるとした。しかしながら、本発明の燃料蒸気漏れ検出装置が備える第一判定手段の構成はこれに限定されない。キャニスタ通路を流れる流体の流速と第一大気通路を流れる流体の流速との大小関係を判定可能な構成であればよい。
【0096】
上述の実施形態では、ECUは、ポンプが駆動を開始してから一定時間が経過した後、燃料蒸気漏れの有無を判定するとした。しかしながら、ECUによる燃料蒸気漏れの有無を判定は、一定時間経過した後でなくてもよい。
【0097】
上述の実施形態では、キャニスタ接続配管とオリフィス配管とは共通配管を介してポンプに接続するとした。しかしながら、キャニスタ接続配管及びオリフィス配管とポンプとの接続関係はこれに限定されない。ポンプが駆動しキャニスタ通路を吸引するとき第一大気通路も同時に吸引することが可能であればキャニスタ接続配管とオリフィス配管とは別々にポンプに接続していてもよい。
【0098】
上述の実施形態では、可動部材の傾きの大きさ、ダイアフラムの変位量、電流値の大きさ、及び、回転数の大きさによって、燃料蒸気漏れの有無だけでなく、燃料蒸気の漏れ量の大きさを判定するとした。しかしながら、これらの大きさや変位量によって燃料蒸気の漏れ量の大きさを判定しなくてもよい。
【0099】
上述の実施形態では、ポンプは、キャニスタ通路及び第一大気通路の気体を吸引するとした。しかしながら、燃料蒸気漏れを検出するとき、ポンプは、キャニスタ通路及び第一大気通路を加圧してもよい。
【0100】
また、ポンプによってキャニスタ通路及び第一大気通路を加圧可能にすると、エンジンの負圧不足によってパージ流量が不足する場合、ポンプを駆動しキャニスタ内の燃料蒸気を確実にパージすることができる。
【0101】
第三実施形態では、一つの電源がキャニスタ側熱線及び大気側熱線に電力を供給するとした。しかしながら、キャニスタ側熱線及び大気側熱線のそれぞれに電力を供給する電源を備えていてもよい。
【0102】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲の種々の形態で実施可能である。