特許第6443216号(P6443216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443216
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B62D25/08 L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-103623(P2015-103623)
(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公開番号】特開2016-215860(P2016-215860A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】川合 大介
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−011279(JP,U)
【文献】 特開2006−315558(JP,A)
【文献】 特開2006−182163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアフロアパネルの車幅方向外側部に、車両下部が接続されるリアホイールハウスインナパネルと、該リアホイールハウスインナパネルの車幅方向外側に配置されるリアホイールハウスアウタパネルと、該リアホイールハウスアウタパネルの車幅方向外側に配置され、車両の外側部を構成するサイドアウタパネルと、前記リアフロアパネルの車両後側に配置されるリアスカートパネルと、を備え、
前記リアスカートパネルの車幅方向外側部が、前記サイドアウタパネルの車両後部及び前記リアホイールハウスアウタパネルの車両後部のうちの少なくとも一方に接合されている車両後部構造において、
前記リアホイールハウスインナパネルの車両室内側面には、前記サイドアウタパネルから車幅方向内側に膨出している膨出部が形成され、該膨出部には、リアショックアブソーバが取り付けられるリアショック取付部が設けられており、
前記リアショック取付部より車両後側の前記膨出部は、車両後側に向かうにつれて車幅方向外側に延びており、
前記膨出部の車両後部は、前記リアスカートパネルと、前記リアホイールハウスアウタパネルとの接合部に沿って、車両上下方向に延びており、
前記膨出部の車両後部は、前記接合部に、または前記接合部に近接する位置に接続され、
前記膨出部の車両後部と、前記リアスカートパネルの車幅方向外側部と、前記リアホイールハウスアウタパネルの車両後部とは、3枚重ねの状態で接合されていることを特徴とする車両後部構造。
【請求項2】
前記リアフロアパネルの車幅方向外側部における車両下側には、車両前後方向に延びるリアサイドフレームが配置されており、
前記リアショック取付部の車両後側に位置する前記膨出部には、前記リアサイドフレームに向かって車両上下方向に延びる稜線が形成されており、
前記稜線よりも車両後側の前記膨出部は、車両後側に向かうにつれて車幅方向外側に延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記稜線よりも車両後側の前記膨出部は、車幅方向内側に膨らむように湾曲していることを特徴とする請求項2に記載の車両後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアホイールハウスパネルを有する車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部には、リアタイヤを車両上方から包囲するリアホイールハウスパネルが配置されている。該リアホイールハウスパネルは、車幅方向に隣接するリアホイールハウスインナパネル及びリアホイールハウスアウタパネル等を有している。リアホイールハウスインナパネルには、リアショックアブソーバが接続されている。該リアショックアブソーバは、リアホイールハウスインナパネルに設けられたリアショック取付部によって支持される。リアホイールハウスインナパネルは、リアショックアブソーバからの荷重や振動が伝わる部材である。リアホイールハウスインナパネルの振動を抑制する方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、リアホイールハウスインナパネルに補強部材が設けられているような構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−8915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記例のように、リアホイールハウスインナパネルに補強部材を取り付けることで、パネル全体の振動、すなわち、グローバルな振動は抑制することができる。しかし、ローカルな振動(面外振動)を抑制できない可能性がある。また、補強部材を追加することで、車体の重量増加につながり、さらには、コストの増加を招く。また、補強部材は、荷室スペースの確保等の観点から、形状が制限されてしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両後部のリアホイールハウスインナパネルの剛性を高め、振動を抑制することが可能な車両後部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明に係る車両後部構造は、リアフロアパネルの車幅方向外側部に、車両下部が接続されるリアホイールハウスインナパネルと、該リアホイールハウスインナパネルの車幅方向外側に配置されるリアホイールハウスアウタパネルと、該リアホイールハウスアウタパネルの車幅方向外側に配置され、車両の外側部を構成するサイドアウタパネルと、前記リアフロアパネルの車両後側に配置されるリアスカートパネルと、を備え、前記リアスカートパネルの車幅方向外側部が、前記サイドアウタパネルの車両後部及び前記リアホイールハウスアウタパネルの車両後部のうちの少なくとも一方に接合されている。当該車両後部構造において、前記リアホイールハウスインナパネルの車両室内側面には、前記サイドアウタパネルから車幅方向内側に膨出している膨出部が形成され、該膨出部には、リアショックアブソーバが取り付けられるリアショック取付部が設けられており、前記リアショック取付部より車両後側の前記膨出部は、車両後側に向かうにつれて車幅方向外側に延びており、前記膨出部の車両後部は、前記リアスカートパネルと、前記リアホイールハウスアウタパネルとの接合部に沿って、車両上下方向に延びており、前記膨出部の車両後部は、前記接合部に、または前記接合部に近接する位置に接続され、前記膨出部の車両後部と、前記リアスカートパネルの車幅方向外側部と、前記リアホイールハウスアウタパネルの車両後部とは、3枚重ねの状態で接合されている。
【0007】
また、本発明に係る車両後部構造の一態様では、前記リアフロアパネルの車幅方向外側部における車両下側には、車両前後方向に延びるリアサイドフレームが配置されており、前記リアショック取付部の車両後側に位置する前記膨出部には、前記リアサイドフレームに向かって車両上下方向に延びる稜線が形成されており、前記稜線よりも車両後側の前記膨出部は、車両後側に向かうにつれて車幅方向外側に延びている。
【0009】
また、本発明に係る車両後部構造の一態様では、前記稜線よりも車両後側の前記膨出部は、車幅方向内側に膨らむように湾曲している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リアホイールハウスインナパネルの車両後部を、剛性の高い部分に接続させることで、リアショックアブソーバからの荷重の分散を促すと共に、リアホイールハウスインナパネルの振動を低減させることが可能である。また、リアホイールハウスインナパネルの接合部を3枚重ねにすることにより、該接合部の剛性を向上させることが可能となる。
【0011】
本発明の一態様によれば、リアショック取付部の車両後部に形成される稜線を、剛性の高いリアサイドフレームに接続させることで、リアショックアブソーバからの荷重を効果的に分散させることが可能となる。
【0013】
本発明の一態様によれば、リアホイールハウスインナパネルの膨出部は、リアショック取付部の車両後部の稜線から、リアホイールハウスインナパネルの車両後部にかけて、車両室内側に膨らむ曲面を形成しているので、リアショックアブソーバからの振動を、吸収しやすくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る車両後部構造を車両室内側から見た斜視図である。
図2図1のA−A断面を概略的に示す平断面図である。
図3図1のB−B断面を概略的に示す縦断面図である。
図4図1のリアショック取付部等を車幅方向内側から見た斜視図である。
図5図4のC−C断面を概略的に示す断面図である。
図6図4のD−D断面を概略的に示す断面図である。
図7図1のリアホイールハウスインナパネルの車両後部の接続状態を模式的に示している平断面図である。
図8】リアショックアブソーバを加振源とするリアホイールハウスインナパネルの車幅方向の振動特性を示すグラフであり、横軸に周波数、縦軸には振動レベルを示している。
図9図7の変形例を示す概略平断面図である。
図10図7の変形例を示す概略平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車両後部構造の一実施形態について、図面(図1図10)を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の車両後部構造は、リアフロアパネル1と、リアサイドフレーム2と、リアホイールハウスパネル10を有している。さらに、当該車両後部構造は、車体の外側部を構成するサイドアウタパネル3に接続されるリアスカートパネル4を備えている。リアフロアパネル1は、図1及び図2に示すように、車両後部に配置され、荷室の床部を構成する部材である。リアサイドフレーム2は、図3及び図7に示すように、リアフロアパネル1の車両下面に接続される部材であり、リアフロアパネル1の車幅方向外側部の両側のそれぞれに配置されている。図では、一方のみを示している。各リアサイドフレーム2は、車両前後方向に延びており、車体の骨格を構成する剛性の高い部材である。
【0017】
リアスカートパネル4は、図1図2図4及び図7に示すように、リアフロアパネル1の車両後部に配置され、車両上方に立設するパネル材であり、車幅方向外側部が、サイドアウタパネル3の車両後部に接続されている。該リアスカートパネル4は、車両室内と車両室外を区分けするパネルである。リアスカートパネル4の車両上部には、バックパネル9等が配置されている。
【0018】
リアホイールハウスパネル10は、図1に示すように、リアホイールハウスインナパネル20及びリアホイールハウスアウタパネル15を有している。リアホイールハウスインナパネル20及びリアホイールハウスアウタパネル15は、車幅方向に隣接するように配置される部材で、これらは、車両のリアタイヤ(図示せず)を車両上方から包囲するアーチ状に形成されている部材である。
【0019】
リアホイールハウスインナパネル20の車両室内側面には、サイドアウタパネル3の車両室内側に対して、車幅方向内側に膨出する膨出部20aを形成しており、上述のように車両上方に凸のアーチ状に形成されている。リアホイールハウスインナパネル20の形状等の詳細については後で説明する。
【0020】
次に、リアホイールハウスアウタパネル15について説明する。図1に示すように、リアホイールハウスアウタパネル15の車両上部は、クォータパネル5に接続され、リアホイールハウスインナパネル20と同様に、車両上方に凸のアーチ状に形成されている。また、この例におけるリアホイールハウスアウタパネル15は、図7に示すように、車両前後方向のほぼ中央から車両後部にかけて、車幅方向内側に向かって湾曲しながら延びている。ここで、車両上方視における湾曲部16の曲率の中心は、リアホイールハウスアウタパネル15の車幅方向内側に配置されている。詳細な図示は省略しているが、当該湾曲部16の車両後部にはフランジが形成され、当該フランジは、サイドアウタパネル3の車両後部に接合されている。
【0021】
ここで、リアホイールハウスインナパネル20の形状や取り付けられている部材等について説明する。この例におけるリアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aには、図1に示すように、リアショックアブソーバ6が取り付けられるリアショック取付部24が設けられている。リアショックアブソーバ6は、車両上下方向に延びる部材であり、走行する車両の振動などを減衰させるものである。なお、図1におけるリアショックアブソーバ6は、二点鎖線により仮想的に示している。リアショック取付部24には、図2に示すように、貫通孔26が形成されている。貫通孔26の周囲に取付座面25が形成されている。リアショックアブソーバ6は、車両上部が貫通孔26を貫通した状態で、取付座面25に固定されている(図1)。
【0022】
リアショック取付部24の周辺には、リアショックリンフォースメント31が配置されている。リアショックリンフォースメント31は、リアショック取付部24の取付座面25を取り囲んだ状態で配置されている。さらに、リアショックリンフォースメント31を車両上方から覆うように、リアショックアッパリンフォースメント32が配置されている。リアショックアッパリンフォースメント32は、車両上下方向に延びる部材であり、リアショックアッパリンフォースメント32の車両下部は、リアホイールハウスインナパネル20に接続されており、車両上部は、クォータパネル5に接続されている。
【0023】
リアショック取付部24の車両前側の膨出部20aには、図1及び図4に示すように、ホイールハウスリンフォースメント33が配置されている。ホイールハウスリンフォースメント33は、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aに沿った状態で車両上下方向に延びている部材であり、リアショック取付部24よりも車両前側に位置する膨出部20aの振動等を抑制している。
【0024】
ここで、リアホイールハウスインナパネル20の形状について説明する。リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aは、図1及び図2に示すように、リアショック取付部24の車両後側から、膨出部20aの車両後端部21にかけて、車幅方向外側に延びている。当該車両後端部21は、リアスカートパネル4の車幅方向外側部とサイドアウタパネル3の車両後部との接合部4aの形状に沿って、車両上下方向に延びている。なお、図2では、当該車両後端部21の付近については省略している。
【0025】
車両後端部21は、図7に示すように、後述する湾曲部22の後部から車両後方に延び、車幅方向内側に屈曲し、車幅方向に延びている部分である。当該車両後端部21は、接合部4aに対して車幅方向内側に隣接する位置に接合されている。この例では、接合部4aに隣接する位置に、リアホイールハウスアウタパネル15の車両後部が接合され、さらに、リアホイールハウスアウタパネル15にリアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21が接合されている。
【0026】
すなわち、膨出部20aの車両後端部21は、上述のような部材が互いに接合されることで剛性が高くなっている領域に接合されることになる。このような接合状態は、リアホイールハウスインナパネル20の車両後端部21がリアスカートパネル4の面内に接合されるような場合に比べて、接合強度や剛性を向上させることが可能となる。
【0027】
さらに、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aは、リアショック取付部24よりも車両後側から、リアホイールハウスインナパネル20の車両後端部21にかけて、車幅方向外側に延びているため、外側に広がっている分だけ、荷室のスペースが増えることになる。図1及び図2に示すように、リアホイールハウスインナパネル20の外側に延びている部分に対向する部分には、エクステンション1aが配置されている。この例のエクステンション1aは、図3に示すように、リアフロアパネル1とは別の部材として構成されている。なお、リアフロアパネル1を拡張することによって、エクステンション1aを形成してもよい。すなわち、エクステンション1aを、リアフロアパネル1の一部としてもよい。
【0028】
エクステンション1aは、車両上方視で略三角形であり、リアホイールハウスインナパネル20の車両下部、リアスカートパネル4の車両前面、リアサイドフレーム2の車両上部、サイドアウタパネル3の車両後部等が接合されている。略三角形における車幅方向に延びる辺の車幅方向外側の頂点には、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21が配置される。
【0029】
さらに、膨出部20aにおける車幅方向外側に延びている部分は、図1図4及び図7に示すように、リアショック取付部24の車両後側の稜線23から、車両後端部21にかけて、車幅方向内側に膨らむように湾曲する湾曲部22を構成している。稜線23については、後で説明する。車両上方視における湾曲部22の曲率の中心は、図7に示すように、リアホイールハウスインナパネル20の車幅方向外側に配置されている。湾曲部22を構成することで、リアショックアブソーバ6からの振動を、吸収しやすくできる。
【0030】
また、図6に示すように、膨出部20aは、車両上部に比べて、リアホイールハウスインナパネル20の車両室内側面の車両上下方向の中央部から下部にかけて膨出している。リアホイールハウスインナパネル20の縦断面は、図6に示すように、車両上部から下方に延び、車幅方向内側に湾曲し、車幅方向内側に延び、さらに、車両下方に湾曲している。図6では、リアホイールハウスインナパネル20等の車両上部は省略している。
【0031】
一方、リアショック取付部24の車両後部は、リアショックアッパリンフォースメント32の車両後部に、車幅方向に重なるように構成されている。図1図4及び図5に示すように、リアショック取付部24の車両後部には、リアサイドフレーム2に向かって車両上下方向に延びる稜線23が形成されている。この例では、当該稜線23は、リアショックアッパリンフォースメント32の車両後側に位置する膨出部20aに形成されている。
【0032】
図7を用いて先に説明したように、膨出部20aは、当該稜線23から、車両後端部21にかけて湾曲している。一方、稜線23の車両前後方向の領域を含む平断面の形状は、図5に示すように、車幅方向内側に凸となるように、折れ曲げられた角部を形成している。当該角部は、稜線23の一部である。なお、図5では、リアホイールハウスインナパネル20の車両後端部21の付近については省略している。当該稜線23は、リアサイドフレーム2まで延びている。稜線23を剛性の高いリアサイドフレーム2に接続させることで、リアショックアブソーバ6からの荷重を効果的に分散させることが可能となる。その結果、リアホイールハウスインナパネル20の剛性が向上する。
【0033】
続いて、本実施形態の車両後部構造の振動抑制効果について説明する。図8は、リアショックアブソーバ6を加振源とするリアホイールハウスインナパネル20の車幅方向の振動特性を示すグラフであり、横軸に周波数、縦軸には振動レベルを示している。グラフ中の一点鎖線bは、従来の構造で、リアスカートパネル4の面内に、リアホイールハウスインナパネル20の車両後端部21が接続されている構造の振動特性である。実線aは、本実施形態の構造である。このグラフからわかるように、従来構造において、120Hz付近に現れるピークが、本実施形態の構造では、認められていない。すなわち、本実施形態の構造の120Hz付近における振動レベルは、従来構造に比べて約6dB小さくなり、本実施形態の構造は、従来構造に比べて、リアホイールハウスインナパネル20の車幅方向の振動を抑制する効果がある。
【0034】
以上の説明からわかるように本実施形態の車両後部構造によれば、車両後部のリアホイールハウスインナパネル20の剛性を高め、振動を抑制することが可能である。
【0035】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0036】
上記例では、図7に示しているように、リアスカートパネル4の車幅方向外側部は、サイドアウタパネル3の車両後部に接合されている。リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21は、当該接合部4aに隣接する位置に接合されている。これに対して、図9に示すように、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21と、リアスカートパネル4の車幅方向外側部と、サイドアウタパネル3の車両後部を、3枚重ねの状態で接合してもよい。3枚重ねで接合することで、接合強度や剛性を向上させることができる。
【0037】
また、上記例では、図7に示しているように、リアスカートパネル4の車幅方向外側部は、サイドアウタパネル3の車両後部に接続されている。これに対して、図10に示すように、リアスカートパネル4の車幅方向外側部は、リアホイールハウスアウタパネル15に接合されてもよい。図10の例では、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21と、リアスカートパネル4の車幅方向外側部と、リアホイールハウスアウタパネル15の車両後部を、3枚重ねの状態で接合している。これにより、接合強度や剛性が向上する。
【0038】
一方、リアホイールハウスインナパネル20の膨出部20aの車両後端部21を、リアスカートパネル4の車幅方向外側部とリアホイールハウスアウタパネル15の車両後部との接合部4aの形状に沿って、車両上下方向に延びるように形成し、当該接合部4aに隣接する位置に接合してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 リアフロアパネル
1a エクステンション
2 リアサイドフレーム
3 サイドアウタパネル
4 リアスカートパネル
4a 接合部
5 クォータパネル
6 リアショックアブソーバ
9 バックパネル
10 リアホイールハウスパネル
15 リアホイールハウスアウタパネル
16 湾曲部
20 リアホイールハウスインナパネル
20a 膨出部
21 車両後端部
22 湾曲部
23 稜線
24 リアショック取付部
25 取付座面
26 貫通孔
31 リアショックリンフォースメント
32 リアショックアッパリンフォースメント
33 ホイールハウスリンフォースメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10