(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基端部がピボット軸に固定され、当該基端部から前記ピボット軸の径方向外側へ延出されると共に、車両のリヤガラス側へ開口された凹状の断面を成す樹脂製のリテーナを有するワイパアームと、
前記リヤガラスを払拭するブレードラバーと、前記ブレードラバーをヨークレバーを介して保持し且つ前記リテーナの延出方向を長手方向とする長尺状を成す樹脂製の保持部材と、を含んで構成されたワイパブレードと、
を備え、
前記保持部材は、
前記保持部材の長手方向中間部を構成し、前記リテーナの先端部に連結された連結部と、
前記連結部から前記ワイパアームの基端側へ延出され、前記リテーナの内部に収容された状態で前記ブレードラバーの基端側の部分を前記ヨークレバーを介して保持する被収容部と、
前記被収容部に形成され、前記保持部材の幅方向外側へ突出されると共に、前記リテーナの各側壁に当接可能に構成された突起部と、
を有している車両用リヤワイパ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたワイパ装置では、連結部材が、アーム部材から幅方向外側へ延設されて、外部に露出された状態でブレード部材とアーム部材とを連結している。このため、ワイパ装置全体の意匠性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、意匠性を確保しつつ作動時におけるワイパブレードの振動を抑制できる車両用リヤワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両用リヤワイパ装置は、基端部がピボット軸に固定され、当該基端部から前記ピボット軸の径方向外側へ延出されると共に、車両のリヤガラス側へ開口された凹状の断面を成す樹脂製のリテーナを有するワイパアームと、前記リヤガラスを払拭するブレードラバーと、前記ブレードラバーをヨークレバーを介して保持し且つ前記リテーナの延出方向を長手方向とする長尺状を成す樹脂製の保持部材と、を含んで構成されたワイパブレードと、を備え、前記保持部材は、前記保持部材の長手方向中間部を構成し、前記リテーナの先端部に連結された連結部と、前記連結部から前記ワイパアームの基端側へ延出され、前記リテーナの内部に収容された状態で前記ブレードラバーの基端側の部分を前記ヨークレバーを介して保持する被収容部と、前記被収容部に形成され、前記保持部材の幅方向外側へ突出されると共に、前記リテーナの各側壁に当接可能に構成された突起部と、を有している。
【0008】
上記構成によれば、ワイパアームの基端部がピボット軸に固定されており、ワイパアームは、その基端部からピボット軸の径方向外側へ延出されている。また、ワイパアームは樹脂製のリテーナを有しており、リテーナは、車両のリヤガラス側へ開口された凹状の断面を成している。
【0009】
一方、ワイパブレードは、樹脂製の保持部材を有しており、保持部材は、リテーナの延出方向を長手方向とする長尺状に形成されている。そして、保持部材がブレードラバーをヨークレバーを介して保持している。また、保持部材は、保持部材の長手方向中間部を構成する連結部と、連結部から前記ワイパアームの基端側へ延出された被収容部と、を有している。そして、連結部がリテーナの先端部に連結されて、被収容部がリテーナの内部に収容された状態でブレードラバーの基端側の部分をヨークレバーを介して保持している。
【0010】
ここで、被収容部には、突起部が形成されており、突起部は、保持部材の幅方向外側へ突出されると共に、リテーナの各側壁に当接可能に構成されている。このため、リテーナに対する保持部材の基端側における幅方向の振れを突起部によって抑制することができる。これにより、車両用リヤワイパ装置の作動時におけるワイパブレードの振動を抑制できる。
【0011】
また、保持部材の被収容部に突起部が形成されているため、突起部の外部への露出をリテーナによって抑制することができる。そして、突起部がリテーナではなく保持部材に形成されていることで、外部に露出されるリテーナの成形性を阻害することなく、突起部を設けることができる。以上により、車両用リヤワイパ装置の意匠性を確保しつつ、作動時におけるワイパブレードの振動を抑制できる。
【0012】
また、本開示の車両用リヤワイパ装置は、前記保持部材は、前記保持部材の幅方向を軸方向として前記リテーナに対して相対回動可能に連結されており、前記突起部は、前記連結部の近傍に形成されている。
【0013】
上記構成によれば、保持部材が、保持部材の幅方向を軸方向としてリテーナに対して相対回動可能に連結されている。すなわち、保持部材がリテーナに対して相対回動するときには、保持部材の被収容部がリテーナに対して接近又は離間するようになる。ここで、突起部が連結部の近傍に形成されている。このため、保持部材がリテーナに対して相対回動するときの突起部の回動量を小さくすることができると共に、突起部のリテーナからの露出量を小さくすることができる。
【0014】
また、本開示の車両用リヤワイパ装置は、前記保持部材には、前記連結部と前記被収容部との境界部において、前記被収容部の幅寸法を前記連結部の幅寸法に比べて小さくする段差部が形成されており、前記突起部が前記段差部の段差面に近接して配置されている。
【0015】
上記構成によれば、突起部が段差部の段差面に近接して配置されているため、保持部材の被収容部以外の部分における幅寸法を確保しつつ、被収容部に突起部を形成することができる。これにより、例えば、リテーナの幅寸法に対応して、保持部材における被収容部以外の部分の幅寸法を確保することができる。したがって、車両用リヤワイパ装置の意匠性を一層向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本実施の形態に係る車両用リヤワイパ装置10について説明する。
図2に示されるように、車両用リヤワイパ装置10は、略長尺状のワイパアーム12と、ワイパアーム12の先端部に連結されたワイパブレード40と、を備えている。そして、ワイパアーム12の基端部がピボット軸PAに固定されて、ワイパアーム12がピボット軸PAの軸回りに往復回動することで、ワイパブレード40が車両後部のリヤガラスRGの払拭面を払拭するようになっている。なお、以下の説明では、ピボット軸PAの軸方向を上下方向と称し、ピボット軸PAの先端側(
図2の矢印A方向側)を上側とし、ピボット軸PAの基端側(
図2の矢印B方向側)を下側とする。
【0018】
(ワイパアーム12について)
ワイパアーム12は、ワイパアーム12の基端部分を構成するアームヘッド14と、アームヘッド14から延出されたリテーナ20と、を含んで構成されている。アームヘッド14は、略矩形柱状に形成されており、例えばピボット軸PAに挿通されて締結固定される後述の固定部16に金属製のリング部材を一体に埋設固定した樹脂製とされている。
図3に示されるように、アームヘッド14の基端部(
図3の矢印D方向側の端部)には、固定部16が形成されており、固定部16は、下側へ開放された略有底円筒状に形成されている。また、固定部16の頂壁には、固定孔16Aが上下方向に貫通形成されている。そして、ピボット軸PA(
図2参照)の先端部が固定部16の固定孔16A内に下側から挿入されており、ピボット軸PAの先端部にナット(図示省略)が螺合されて、固定部16がピボット軸PAに締結固定されている。これにより、アームヘッド14(ワイパアーム12)がピボット軸PAと一体に回転されるようになっている。なお、ピボット軸PAは、車両のインナパネル等に固定されたリヤワイパモータ(図示省略)の出力軸である。そして、アームヘッド14は、側面視で固定部16から車両用リヤワイパ装置10の長手方向一方側(
図3の矢印C方向側)へ延出されている。
【0019】
図2及び
図3に示されるように、リテーナ20は、樹脂製とされると共に、略長尺状に形成されている。そして、リテーナ20の基端部(
図2及び
図3の矢印D方向側の端部)が、アームヘッド14の幅方向(
図3の矢印E方向及び矢印F方向)を軸方向としてアームヘッド14の先端部に回転可能に連結されて、リテーナ20がアームヘッド14の先端部から延出されている。また、リテーナ20とアームヘッド14との間には、付勢部材(図示省略)が設けられており、付勢部材によってリテーナ20が車両のリヤガラスRGの払拭面側(
図2の矢印B方向側)へ付勢されている。
【0020】
図3及び
図6に示されるように、リテーナ20は、その先端部を除く部分において、長手方向から見た断面で、下側(リヤガラスRG側)へ開放された略凹状に形成されている。具体的には、リテーナ20は、一対の側壁22と、一対の側壁22の上端を連結する上壁24と、を含んで構成されている。また、リテーナ20の厚み寸法(上下方向の寸法)は、先端側へ向かうに従い若干小さくなるように設定されており、リテーナ20の上面20Aが側面視で上側へ若干凸となるように湾曲されている(
図2参照)。そして、リテーナ20の一対の側壁22及び上壁24で囲まれたリテーナ20の内部が、後述するプライマリレバー44の第2レバー部50を収容するレバー収容部26(広義には、「保持部材収容部」として把握される要素である)とされている。
【0021】
リテーナ20の先端部では、リテーナ20の上壁24が側壁22に対して先端側に延びている。そして、
図3及び
図4に示されるように、リテーナ20の先端部には、後述するプライマリレバー44を連結するためのアーム側連結部30が一体に形成されている。アーム側連結部30は、リテーナ20の上壁24の下面に立設されて、上壁24から下側(リヤガラスRG側)へ突出されている。また、アーム側連結部30は略ブロック状に形成されており、アーム側連結部30には、リテーナ20の成形時におけるヒケなどを抑制するための肉逃げ部が所定の位置に形成されている。
【0022】
アーム側連結部30の先端部には、リテーナ20の幅方向に貫通された支持孔32が形成されている。この支持孔32は、側面視でリテーナ20の先端側且つ下側(リヤガラスRG側)へ開放された略C字形状に形成されている。また、支持孔32の開口部には、ガイド面34が形成されており、ガイド面34は、側面視でリテーナ20の先端側且つ下側(リヤガラスRG側)へ傾斜されている。これにより、ガイド面34を含めた支持孔32の開口部の開口寸法W(
図4参照)が、支持孔32の内径寸法d(
図4参照)に比べて小さく設定されている。また、アーム側連結部30におけるリテーナ20の基端側の端部には、係合部36が一体に形成されており、係合部36はリテーナ20の基端側へ突出されると共に、リテーナ20の幅方向に延在されている。
【0023】
(ワイパブレード40について)
図2に示されるように、ワイパブレード40は、リテーナ20に連結されたレバーアッセンブリ42と、レバーアッセンブリ42によって保持されたブレードラバー70と、を含んで構成されている。また、レバーアッセンブリ42は、「保持部材」としてのプライマリレバー44と、一対のヨークレバー60と、を有すると共に、プライマリレバー44及びヨークレバー60によってトーナメント状(階層状)に構成されている。
【0024】
プライマリレバー44は、樹脂製とされており、ワイパアーム12の長手方向に沿った略長尺状に形成されている。このプライマリレバー44は、プライマリレバー44の長手方向中間部を含み且つ先端側(
図2の矢印C方側)の部分を構成する第1レバー部46と、プライマリレバー44の長手方向中間部よりも基端側(
図2の矢印D方側)の部分を構成する「被収容部」としての第2レバー部50と、を含んで構成されている。そして、プライマリレバー44が、その長手方向中間部においてリテーナ20のアーム側連結部30に連結されている。また、この状態では、
図1に示されるように、第2レバー部50がリテーナ20の内部に収容されてプライマリレバー44がワイパアーム12と同一直線状に配置されるようになっており、第1レバー部46がリテーナ20の先端側において外部に露出されている。以下、具体的に説明する。
【0025】
第1レバー部46は、略矩形柱状に形成されており、第1レバー部46の厚み寸法がプライマリレバー44の先端側へ向かうに従い小さくなるように設定されている。具体的には、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態では、第1レバー部46の上面46Aがリテーナ20の上面20Aと面一になるように(同一の面を形成するように)僅かに湾曲して配置されており(
図2参照)、第1レバー部46の一対の側面46Bがリテーナ20の側面20Bと面一になるように(同一の面を形成するように)配置されている。
【0026】
また、
図3〜
図5に示されるように、第1レバー部46の基端部(プライマリレバー44の長手方向中間部)は、「連結部」としてのレバー側連結部48として構成されている。このレバー側連結部48には、前述したアーム側連結部30を収容するための連結収容部48Aが形成されており、連結収容部48Aは、第1レバー部46の厚み方向に貫通形成されると共に、上側から見た平面視で略矩形状に形成されている。さらに、レバー側連結部48の基端側(
図3〜
図5の矢印D方向側であり、後述する第2レバー部50側)における上面46Aには、抉り部48Bが形成されており、抉り部48Bの上面が第1レバー部46の上面46Aよりも一段下側に配置されている。これにより、レバー側連結部48の先端側の厚み寸法に比べて、レバー側連結部48の基端側の厚み寸法が小さく設定されている。そして、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態では、抉り部48Bの上側にリテーナ20の先端部における上壁24が配置されるようになっている。
【0027】
また、連結収容部48Aの内部には、プライマリレバー44の幅方向を軸方向とする支持軸48Cが設けられており、支持軸48Cは連結収容部48Aの一対の側壁に架け渡されている。この支持軸48Cは、断面D字形状に形成されている。すなわち、支持軸48Cの外周面は、円弧面状に形成された円弧部48C1と、所謂Dカットされた平面状の小径部48C2と、を含んで構成されている。また、
図4に示されるように、支持軸48Cの円弧部48C1の部位における直径寸法D1は、アーム側連結部30の支持孔32の内径寸法dよりも僅かに小さく設定されると共に、支持孔32の開口部の開口寸法Wよりも大きく設定されている。さらに、支持軸48Cの小径部48C2の部位における直径寸法D2は、支持孔32の開口部の開口寸法Wよりも小さく設定されている。
【0028】
そして、支持軸48Cがリテーナ20の支持孔32内に挿入され且つ支持孔32によって回動可能に支持されることで、プライマリレバー44のレバー側連結部48がリテーナ20のアーム側連結部30に連結されている。以下、レバー側連結部48のアーム側連結部30への連結(組付け)を簡単に説明する。レバー側連結部48をアーム側連結部30に連結する際には、リテーナ20に対してプライマリレバー44を下側に配置し、且つプライマリレバー44をリテーナ20に対して
図4の矢印H方向側に傾けて、支持軸48Cの小径部48C2をアーム側連結部30のガイド面34と平行になるように配置させる。そして、プライマリレバー44を
図4の矢印I方向にスライドさせてアーム側連結部30を連結収容部48A内に挿入させつつ、支持軸48Cを支持孔32の開口部に隣接配置する。この状態から
図4の矢印I方向にプライマリレバー44をさらにスライドさせて支持孔32の内部に支持軸48Cを挿入させる。さらに、この状態からプライマリレバー44を
図4の矢印J方向に回動させて、支持軸48Cを支持孔32内に組付ける(
図4に示される状態であり、以下この状態を組付状態という)。そして、組付状態では、支持軸48Cの円弧部48C1の部位における直径寸法D1が、支持孔32の開口部の開口寸法Wよりも大きく設定されているため、支持軸48Cの支持孔32の開口部からの抜けが規制される。
【0029】
また、連結収容部48Aの基端側における開口端部には、プライマリレバー44の先端側へ突出された被係合部48Dが一体に形成されており、被係合部48Dがプライマリレバー44の幅方向に延在されている。そして、プライマリレバー44が組付状態から支持軸48Cの軸回りに
図4の矢印H方向に回動されたときには、被係合部48Dがリテーナ20の係合部36に係合して、プライマリレバー44のリテーナ20に対する所定角度以上の回動が制限されるようになっている。以下、プライマリレバー44におけるこの位置を最大回動位置という。
【0030】
一方、
図5に示されるように、第2レバー部50は、レバー側連結部48からプライマリレバー44の基端側へ延出されると共に、略矩形柱状に形成されている。また、第2レバー部50の上面50Aは、レバー側連結部48の抉り部48Bの上面と面一に配置されており、第2レバー部50の厚み寸法がプライマリレバー44の基端側へ向かうに従い小さく設定されている。すなわち、第2レバー部50の厚み寸法が第1レバー部46の厚み寸法に比べて小さく設定されている。
【0031】
また、第2レバー部50の幅寸法は、第1レバー部46の幅寸法よりも小さく設定されており、第2レバー部50の幅方向中心線と第1レバー部46の幅方向中心線とが一致するように配置されている。これにより、第1レバー部46と第2レバー部50との境界部には、平面視で一対の段差部52が形成されており、段差部52の段差面52Aが平面視でプライマリレバー44の基端側へ向かうに従いプライマリレバー44の幅方向内側へ傾斜して配置されている。そして、
図1及び
図2に示されるように、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態では、第2レバー部50がリテーナ20のレバー収容部26内に収容されており、第2レバー部50が外部に露出されることが抑制されるようになっている。具体的には、リテーナ20における側壁22の先端面22Aが、ワイパアーム12の長手方向において段差面52Aと対向するように配置されて、リテーナ20の側壁22が第2レバー部50を幅方向外側から覆っている。また、この状態では、第2レバー部50の側面50Bとリテーナ20の側壁22との間には隙間G(
図6参照)が形成されている。
【0032】
さらに、
図1に示されるように、プライマリレバー44の長手方向の両端部には、ヨークレバー60を連結するためのレバー連結部54が形成されている。レバー連結部54は、略矩形ブロック状に形成されて、プライマリレバー44から下側へ突出されている。このレバー連結部54には、プライマリレバー44の幅方向外側へ開放され且つ上下方向に延在された一対の溝部54Aが形成されている。そして、溝部54Aの下端部は下側へ開放されており、溝部54Aの上端部には、プライマリレバー44の幅方向外側へ開放された凹部54A1(
図1の拡大図を参照)が形成されている。
【0033】
図5に示されるように、一対のヨークレバー60は、プライマリレバー44の長手方向に沿って延在されている。また、一対のヨークレバー60は、プライマリレバー44の長手方向両端部に回動可能に連結されると共に、プライマリレバー44の長手方向中間部に対して左右対称に構成されている。このため、以下の説明では、プライマリレバー44の先端側に連結されたヨークレバー60を用いて説明する。
【0034】
ヨークレバー60は、その先端側の部分を構成する第1ヨークレバー部62と、その基端側の部分を構成する第2ヨークレバー部64と、を含んで構成されている。そして、第2ヨークレバー部64の上面が第1ヨークレバー部62の上面よりも低く設定されており、第2ヨークレバー部64の厚み寸法が第1ヨークレバー部62の厚み寸法よりも小さく設定されている。
【0035】
また、図示は省略するが、第2ヨークレバー部64には、前述したプライマリレバー44のレバー連結部54を収容するための収容部が形成されており、当該収容部は、プライマリレバー44の連結収容部48Aと同様に上下方向に貫通されている。さらに、当該収容部の側壁には、幅方向内側へ突出された一対の軸部が形成されており、当該軸部の先端部が、レバー連結部54の凹部54A1内に回動可能に挿入されている。これにより、ヨークレバー60がプライマリレバー44に連結されている。
【0036】
さらに、ヨークレバー60がプライマリレバー44に連結された状態では、第2ヨークレバー部64の上側にプライマリレバー44の長手方向の両側部が配置されて、第1ヨークレバー部62がプライマリレバー44の長手方向外側へ延出されている。また、この状態では、第1ヨークレバー部62の上面62Aがプライマリレバー44の上面46Aと面一を成すように(同一の面を形成するように)配置されており、第1ヨークレバー部62の側面62Bがプライマリレバー44の側面46Bと面一を成すように(同一の面を形成するように)配置されている。
【0037】
また、ヨークレバー60の長手方向両端部には、保持爪部66が一体に形成されている。そして、保持爪部66は、長尺状を成すゴム製のブレードラバー70(
図2参照)を保持している。なお、図示は省略するが、ブレードラバー70には、バッキングが装着されており、当該バッキングによってリヤガラスRG側への押圧力をブレードラバー70の長手方向に分散させるようになっている。
【0038】
次に、本発明の要部である、プライマリレバー44の振動を抑制するための突起部56について説明する。
図1〜
図6に示されるように、突起部56は、プライマリレバー44における第2レバー部50の側面50Bにそれぞれ一体に形成されている。すなわち、突起部56は、プライマリレバー44におけるリテーナ20に収容される部分に形成されている。この突起部56は、第2レバー部50の厚み方向(上下方向)に延びる略半円柱状に形成されて、第2レバー部50の側面50Bからプライマリレバー44の幅方向外側へ突出されている。具体的には、突起部56の下面が第2レバー部50の下面と面一に配置されており、突起部56の上面がプライマリレバー44の厚み方向の中間部に配置されている。したがって、第2レバー部50の側面50Bとリテーナ20の側壁22との間の隙間Gが突起部56によって詰められている(
図6参照)。これにより、プライマリレバー44がリテーナ20に対して幅方向に振れると、突起部56の外周部がリテーナ20の側壁22に当接するように構成されている。なお、
図6では、便宜上、突起部56の外周面とリテーナ20の側壁22とが当接して図示されているが、突起部56の外周面とリテーナ20の側壁22との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0039】
また、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態では、突起部56がリテーナ20の側壁22の下面よりも僅かにリヤガラスRG側へ突出されている(
図6参照)。すなわち、突起部56の大半の部分が、リテーナ20の側壁22によって露出されないようになっている。
【0040】
さらに、突起部56は、第1レバー部46の側面46Bと第2レバー部50の側面50Bとの境界部分に形成された段差部52の段差面52Aに近接して配置されている。換言すると、突起部56は、第2レバー部50におけるレバー側連結部48(の支持軸48C)の近傍に配置されている。具体的には、ワイパアーム12の幅方向において、リテーナ20における側壁22の先端部と対向する位置に突起部56が形成されて、突起部56が側壁22によって露出されないようになっている。さらに詳しく説明すると、
図2の部分拡大図に示されるように、側面視で、側壁22の先端面22Aと下面との境界部分に形成された角Rの下面側の起点Pに対してワイパアーム12の基端側に隣接するように突起部56が配置されている。そして、プライマリレバー44が組付状態から支持軸48Cの軸回りに
図4の矢印H方向に回動して最大回動位置に回動されたときでも、突起部56の全体が、リテーナ20の側壁22から露出しないように設定されている。これにより、本発明における「突起部56が段差面52Aに近接して配置された」、或いは「突起部56がレバー側連結部48(の支持軸48C)の近傍に配置された」とは、プライマリレバー44がリテーナ20に対して最大回動位置に回動されたときにでも、突起部56の全体がリテーナ20の側壁22から露出しない位置に突起部56の配置されていることをいう。
【0041】
次に本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
上記のように構成された車両用リヤワイパ装置10では、ワイパアーム12のリテーナ20が、長手方向から見た断面で、下側(リヤガラスRG側)へ開放された凹状に形成されており、リテーナ20の先端部にワイパブレード40のプライマリレバー44が連結されている。そして、プライマリレバー44の第1レバー部46がリテーナ20の先端側へ延出されており、プライマリレバー44の第2レバー部50がリテーナ20のレバー収容部26に収容されている。そして、車両用リヤワイパ装置10の作動時では、ピボット軸PAが回転することで、ワイパアーム12がピボット軸PAの軸回りに往復回動される。これにより、ワイパブレード40のブレードラバー70よってリヤガラスRGの払拭面が払拭される。
【0043】
ところで、車両用リヤワイパ装置10のようなリヤガラスRGを払拭するワイパ装置では、ワイパブレード40における基端側の端部と、ピボット軸PAとの間の距離L(
図2参照)がフロントガラスを払拭するワイパ装置よりも比較的短く設定されている。このため、車両用リヤワイパ装置10の作動時では、ワイパブレード40における基端側の端部の回動速度が比較的遅くなる。これにより、リヤガラスRGとブレードラバー70との間に生じる摩擦力によって、車両用リヤワイパ装置10の作動時にワイパブレード40が幅方向に振動する(振れる)虞がある。
【0044】
ここで、プライマリレバー44における第2レバー部50の側面50Bには、プライマリレバー44の幅方向外側へ突出された一対の突起部56が形成されており、突起部56は、リテーナ20の各側壁22の内面に当接可能に構成されている。このため、リテーナ20に対するプライマリレバー44の基端側における幅方向の振れを突起部56によって抑制することができる。これにより、車両用リヤワイパ装置10の作動時におけるワイパブレード40の振動を抑制できる。
【0045】
また、突起部56は、リテーナ20のレバー収容部26に収容される第2レバー部50に形成されている。このため、突起部56の外部への露出をリテーナ20(の側壁22)によって抑制することができる。そして、突起部56がリテーナ20ではなくプライマリレバー44に形成されているため、外部に露出されるリテーナ20の成形性を阻害することなく、突起部56を設けることができる。より詳しくは、仮に、突起部56をプライマリレバー44の側壁22の内面に形成して、突起部56をプライマリレバー44に当接可能に構成した場合には、突起部56が形成されたリテーナ20の側壁22の部位の肉厚が厚くなる。このため、リテーナ20の側面20Bにヒケ等が生じ、リテーナ20の外部への露出面(意匠面)が形状変化して外観を損ねる虞がある。これに対して、上述したように、突起部56をプライマリレバー44に形成することで、外部に露出されるリテーナ20の意匠性を阻害することなく、突起部56を設けワイパブレード40の振れ(払拭方向へのビビリ振動)を防止することができる。以上により、車両用リヤワイパ装置10の意匠性を確保しつつ、作動時におけるワイパブレード40の振動を抑制できる。
【0046】
さらに、突起部56は、プライマリレバー44のレバー側連結部48(の支持軸48C)の近傍に形成されている。このため、プライマリレバー44がリテーナ20に対して支持軸48Cの軸回りに回動するときの突起部56の回動量を小さくすることができると共に、突起部56のリテーナ20(の側壁22)からの露出量を小さくすることができる。すなわち、プライマリレバー44の振れを抑制するという観点からすると、突起部56をプライマリレバー44の基端側の端部に配置することが望ましい。しかしながら、突起部56をプライマリレバー44の基端側の端部に配置すると、突起部56と支持軸48Cとの距離が長くなる。このため、プライマリレバー44がリテーナ20に対して支持軸48Cの軸回りに回動するときの突起部56の回動量が大きくなり、突起部56の全体がリテーナ20(の側壁22)からの露出される虞がある。この場合には、突起部56によってプライマリレバー44の振動を抑制することができなくなると共に、車両用リヤワイパ装置10の意匠性が低下する。これに対して、上述したように、突起部56をプライマリレバー44のレバー側連結部48(の支持軸48C)の近傍に形成することで、プライマリレバー44がリテーナ20に対して支持軸48Cの軸回りに回動するときの突起部56の回動量を小さくすることができると共に、突起部56のリテーナ20(の側壁22)からの露出量を小さくすることができる。したがって、突起部56によってプライマリレバー44の振動を抑制することができると共に、車両用リヤワイパ装置10の意匠性を確保することができる。
【0047】
また、プライマリレバー44では、第1レバー部46と第2レバー部50との境界部に、第1レバー部46よりも第2レバー部50の幅寸法を小さくするための段差部52が形成されており、突起部56が段差部52の段差面52Aに近接して配置されている。このため、第1レバー部46の幅寸法を確保しつつ、第2レバー部50に突起部56を形成することができる。これにより、リテーナ20の幅寸法に対応して、第1レバー部46の幅寸法を確保することができる。よって、車両用リヤワイパ装置10の意匠性を一層向上することができる。
【0048】
さらに、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態では、第1レバー部46の一対の側面46Bがリテーナ20の側面20Bと面一になるように(同一の面を形成するように)配置されており、第1レバー部46の上面46Aがリテーナ20の上面20Aと面一になるように(同一の面を形成するように)僅かに湾曲して配置されている。これにより、プライマリレバー44がリテーナ20に連結された状態において、プライマリレバー44とリテーナ20とを一体化するような意匠を実現できる。したがって、車両用リヤワイパ装置10の意匠性を効果的に向上することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、突起部56が第2レバー部50の側壁22の下面から側壁22の厚み方向(上下方向)中間部まで延在されているが、突起部56を第2レバー部50の側壁22の下面から第2レバー部50の上面50Aに亘って延在させてもよい。また、この場合には、突起部56の上面を、プライマリレバー44の長手方向から見て上側へ向かうに従いプライマリレバー44の幅方向内側へ傾斜させるように配置してもよい。これにより、プライマリレバー44をレバー収容部26に収容するときに突起部56がリテーナ20の側壁22の下端に引っ掛かることを抑制することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、突起部56が、上下方向に延びる略半円柱に形成されて、第2レバー部50の側面50Bから幅方向外側へ突出されている。すなわち、リヤガラスRGから見て突起部56が略半円状に形成されているが、突起部56の形状はこれに限らない。例えば、リヤガラスRGから見て、突起部56を略三角形状に形成してもよいし、矩形状に形成してもよい。