特許第6443263号(P6443263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443263
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20181217BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20181217BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20181217BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20181217BHJP
   H04B 1/034 20060101ALI20181217BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20181217BHJP
   H04B 1/08 20060101ALI20181217BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20181217BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H05K9/00 R
   H05K1/02 P
   H04B1/38
   H04B1/40
   H04B1/034
   H04B1/04 Z
   H04B1/08 Z
   H04B1/18 A
   H01L23/12 E
   H01L23/12 301Z
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-158474(P2015-158474)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-37970(P2017-37970A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌志
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−107203(JP,A)
【文献】 特開2011−010185(JP,A)
【文献】 特開2005−064732(JP,A)
【文献】 特開昭58−157234(JP,A)
【文献】 特開2011−003584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 1/02
H05K 3/46
H04B 1/38 − 1/40
H04B 17/00
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装され、共通端子及び複数の選択端子を備えるスイッチICとを備え、
前記基板は、前記基板の平面視において、前記共通端子と前記複数の選択端子との間に配置された接地される電極である接地電極を備え、
前記接地電極は、前記基板の前記スイッチICが実装される主面において外部に露出しない
高周波モジュール。
【請求項2】
前記接地電極の少なくとも一部は、前記基板の内部に配置される
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記接地電極の少なくとも一部は、前記基板の厚さ方向に延在する
請求項1又は2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記接地電極は、前記基板の厚さ方向に延在するビア電極を含む
請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記接地電極は、前記基板の平面視において、前記複数の選択端子に沿って一列に並べられた複数のビア電極を含む
請求項4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記接地電極は、前記複数のビア電極のうちの少なくとも二つのビア電極を接続する配線パターンを含む
請求項5に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記基板は、複数の層が積層された積層基板であり、
前記ビア電極は、前記複数の層のうち、少なくとも一部の層を貫通する
請求項4〜6のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
方向性結合器をさらに備え、
前記複数の選択端子の少なくとも一つは、前記方向性結合器の結合ポートに接続される
請求項1〜7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記複数の選択端子のうちの一つの選択端子は、前記方向性結合器の一方の結合ポートに接続され、前記複数の選択端子のうちの他の一つの選択端子は、前記方向性結合器の他方の結合ポートに接続される
請求項8に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記接地電極は、前記基板の平面視において、前記共通端子が配置された前記基板の角部の領域と、前記複数の選択端子及び前記方向性結合器が配置された前記基板の領域とを区画する
請求項8又は9に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に実装され、共通端子及び複数の選択端子を備えるスイッチICと、
方向性結合器とを備え、
前記基板は、前記基板の平面視において、前記共通端子と前記複数の選択端子との間に配置された接地される電極である接地電極を備え、
前記複数の選択端子の少なくとも一つは、前記方向性結合器の結合ポートに接続され
前記接地電極は、前記基板の平面視において、前記共通端子が配置された前記基板の角部の領域と、前記複数の選択端子及び前記方向性結合器が配置された前記基板の領域とを区画する
高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の経路を切り替えるスイッチICを備える高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などに代表される無線通信端末のフロントエンド部において、高周波信号の経路を切り替えるスイッチICが用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された無線受信装置におけるスイッチICは、一つの共通端子と、複数の選択端子とを備える。また、当該スイッチICの共通端子に試験信号生成部が接続されている。これにより、特許文献1に開示された無線受信装置においては、スイッチICの複数の選択端子のうちの一つと、共通端子とを接続することによって、試験信号を選択された選択端子に送信できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−010185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された無線受信装置を備える無線通信端末においては、小型化の要求が厳しくなっている。この要求に伴い、スイッチICも小型化されている。
【0006】
しかしながら、高周波信号の経路を切り替えるためにスイッチICを用いる場合には、共通端子に接続されていない選択端子と、共通端子との間で信号が漏洩するという問題がある。つまり、選択端子と共通端子との間のアイソレーションが十分でないという問題がある。当該問題は、スイッチICの小型化が進むほど顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、スイッチICを備える高周波モジュールにおいて、スイッチICの共通端子と選択端子との間のアイソレーションを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る高周波モジュールは、基板と、前記基板上に実装され、共通端子及び複数の選択端子を備えるスイッチICとを備え、前記基板は、前記基板の平面視において、前記共通端子と前記複数の選択端子との間に配置された接地される電極である接地電極を備える。
【0009】
これにより、スイッチICの共通端子と複数の選択端子との間を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。すなわち、スイッチICの共通端子と複数の選択端子との間のアイソレーションを向上させることができる。
【0010】
また、前記接地電極の少なくとも一部は、前記基板の内部に配置されてもよい。
【0011】
これにより、接地電極は、基板の内部を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。
【0012】
また、前記接地電極の少なくとも一部は、前記基板の厚さ方向に延在してもよい。
【0013】
これにより、基板の内部を伝播する高周波を、接地電極によって、より確実に遮断することができる。
【0014】
また、前記接地電極は、前記基板の厚さ方向に延在するビア電極を含んでもよい。
【0015】
また、前記接地電極は、前記基板の平面視において、前記複数の選択端子に沿って一列に並べられた複数のビア電極を含んでもよい。
【0016】
このように、共通端子と選択端子との間に複数の柱状の接地電極を一列に並べることによりに、複数の接地電極が、高周波を遮断する面を形成することができる。このため、共通端子と複数の選択端子との間を伝播する高周波をより確実に遮断することができる。
【0017】
また、前記接地電極は、前記複数のビア電極のうちの少なくとも二つのビア電極を接続する配線パターンを含んでもよい。
【0018】
このように、接地電極は、基板の主面に平行な方向に延びる配線パターンを含む電極であるため、基板の厚さ方向に延在する複数の接地電極の間を伝播する高周波の遮断に寄与することができる。
【0019】
また、前記基板は、複数の層が積層された積層基板であり、前記ビア電極は、前記複数の層のうち、少なくとも一部の層を貫通するであってもよい。
【0020】
また、前記接地電極は、前記基板の前記スイッチICが実装される主面において外部に露出しなくてもよい。
【0021】
これにより、基板のスイッチICが実装される主面において、接地電極と、スイッチICの共通端子及び複数の選択端子との短絡を防ぐことができる。また、各接地電極が当該主面において外部に露出しないため、例えば、接地電極の直径を、スイッチICの共通端子と複数の選択端子との間の距離と同程度以上にすることができる。つまり、接地電極の寸法の自由度を向上させることができる。
【0022】
また、方向性結合器をさらに備え、前記複数の選択端子の少なくとも一つは、前記方向性結合器の結合ポートに接続されてもよい。
【0023】
このように、各選択端子が結合ポートに接続されている場合、各選択端子に入力される高周波信号は、方向性結合器の二つの入出力ポートの間を伝播する高周波信号より微弱である。しかしながら、本発明の一態様に係る高周波モジュールにおいては、スイッチICの共通端子と選択端子との間のアイソレーションが向上されていることから、共通端子から、高いS/N比で、微弱な高周波信号を出力することができる。
【0024】
また、前記複数の選択端子のうちの一つの選択端子は、前記方向性結合器の一方の結合ポートに接続され、前記複数の選択端子のうちの他の一つの選択端子は、前記方向性結合器の他方の結合ポートに接続されてもよい。
【0025】
このように、両結合ポートがともに選択端子に接続される場合、結合ポートを終端することによって、結合ポートからの高周波の放射を抑制することができない。本発明の一態様に係る高周波モジュールでは、このような場合でも、共通端子に接続されていない結合ポートから放射される高周波を接地電極によって遮断することができる。このため、スイッチICの共通端子から、高いS/N比で、方向性結合器からの微弱な高周波信号を出力することができる。
【0026】
また、前記接地電極は、前記基板の平面視において、前記共通端子が配置された前記基板の角部の領域と、前記複数の選択端子及び前記方向性結合器が配置された前記基板の領域とを区画してもよい。
【0027】
これにより、基板上の共通端子が配置される領域の周辺に方向性結合器以外の高周波機器が配置される場合においても、当該領域を区画する接地電極によって、当該領域に向かう高周波が遮断されるため、共通端子が配置される領域における高周波ノイズが抑制される。このため、スイッチICの共通端子から出力される高周波信号のS/N比の劣化を抑制できる。
【0028】
また、共通端子が配置される領域が基板の角部に配置されているため、共通端子から出力される信号の基板外部の検出器などへの入力を容易化することができる。さらに、区画するために要する接地電極の数量を抑制することができる。これにより、接地電極を配置するために要する領域も低減できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る高周波モジュールによれば、スイッチICを備える高周波モジュールにおいて、スイッチICの共通端子と選択端子との間のアイソレーションを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施の形態1に係る高周波モジュールの回路構成を示す回路図である。
図2図2は、実施の形態1に係る高周波モジュールの外観を示す上面図である。
図3図3は、実施の形態1に係る高周波モジュールの構造を示す断面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る高周波モジュールの構造を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態2に係る高周波モジュールの回路構成を示す回路図である。
図6図6は、実施の形態2に係る高周波モジュールの使用形態の一例を示す回路図である。
図7図7は、実施の形態3に係る高周波モジュールの回路構成及び使用態様の一例を示す回路図である。
図8図8は、実施の形態4に係る高周波モジュールの構成の概要を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、実施の形態及びその図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ又は大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
【0032】
(実施の形態1)
[1−1.全体構成]
まず、実施の形態1に係る高周波モジュールの全体構成について、図面を用いて説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の回路構成を示す回路図である。
【0034】
図2は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の外観を示す上面図である。
【0035】
図3は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の構造を示す断面図である。図3では、図2におけるIII−III断面が示される。
【0036】
図4は、本実施の形態に係る高周波モジュール1の構造を示す断面図である。図4では、図2におけるIV−IV断面が示される。
【0037】
図1に示されるように、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、基板30と、基板30上に実装され、共通端子220及び複数の選択端子221及び222を備えるスイッチIC20とを備える。以下、スイッチIC20及び基板30について詳細に説明する。
【0038】
[1−1−1.スイッチIC]
図1に示されるように、スイッチIC20は、共通端子220と、選択端子221及び222のうちのいずれか一つの選択端子とを選択的に接続するスイッチ回路である。スイッチICは、例えば、FET(Field−Effect Transistor)などのトランジスタにより実現される公知のスイッチ回路であり、スイッチIC20を駆動するための信号に基づいて、選択された選択端子と共通端子とを接続する。
【0039】
本実施の形態では、スイッチIC20は、略直方体状の形状を有するパッケージ化された回路部品である。スイッチIC20の共通端子220並びに選択端子221及び222は、スイッチIC20の基板30に対向する外面に設けられる(共通端子220については、図3を、選択端子221及び222については、図4をそれぞれ参照されたい。)。
【0040】
選択端子221及び222は、図2のx軸方向に配列される。共通端子220は、選択端子221及び222が配列される方向(図2のx軸方向)と交差する方向(つまりy軸方向)に、選択端子221及び222から離間した位置に配置される。
【0041】
スイッチIC20の共通端子220と選択端子221又は222との間の距離(図2におけるy軸方向の距離)は、特に限定されないが、本実施の形態では、当該距離は、50μm以上、150μm以下程度である。高周波信号用のスイッチ素子では、当該距離が小さいほど共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションの確保が難しくなる。そのため、本実施の形態に係るスイッチIC20のように、当該距離が小さい場合には、アイソレーションを確保するための対策が必要となる。
【0042】
図2〜4に示されるように、スイッチIC20は、基板30のz軸方向正側の主面30a上に実装される。本実施の形態では、共通端子220、選択端子221及び222は、それぞれ、ハンダバンプを備えている。図3に示されるように、共通端子220及び選択端子221のハンダバンプが、基板30の接続端子320及び321に接続される。なお、図示されないが、選択端子222のハンダバンプも同様に、接続端子322に接続される。接続端子322は、図3に示される接続端子321と同様の構成を有する。
【0043】
なお、スイッチIC20の各端子の構成は、上記構成に限定されない。例えば、各端子は、スイッチIC20の側面(基板30の主面30aに略垂直な外面)に設けられてもよい。
【0044】
[1−1−2.基板]
基板30は、スイッチIC20が実装される基板である。本実施の形態では、基板30は、図3及び図4に示されるように、複数の層が積層された積層基板である。本実施の形態では、基板30を形成する複数の層は、それぞれ、10μm以上、20μm以下程度の厚さを有する誘電体層である。基板30を形成する複数の誘電体層の少なくとも一部には、導電性部材からなり、誘電体層の表面に配置される配線パターン、及び、導電性部材からなり、誘電体層を貫通するビア電極が設けられている。これらの配線及びビア電極により、各端子間が電気的に接続される。
【0045】
図2に示されるように、基板30のスイッチIC20が実装される側の主面30aには、スイッチIC20の共通端子220、選択端子221及び222に対応する位置に、接続端子320、321及び322が設けられている。接続端子320、321及び322は、それぞれ、基板30内部の配線パターン330、331及び332を介して、接続端子340、341及び342に接続されている。本実施の形態では、接続端子320〜322及び340〜342は、それぞれ、ビア電極からなる。
【0046】
接続端子340〜342の配置及び形状は、特に限定されない。本実施の形態では、図3に示されるように、接続端子340は、主面30bにおいて外部に露出するビア電極からなる。一方、接続端子341は、図3に示されるように基板30のスイッチIC20が実装される主面30aにおいて外部に露出するビア電極からなる。なお、図示されないが、接続端子342も接続端子341と同様に主面30aにおいて外部に露出するビア電極からなる。
【0047】
接続端子340〜342は、それぞれ、スイッチIC20の入出力ポートとして用いられる。例えば、各接続端子には、高周波回路を構成する各素子に接続された配線、端子などが接続される。
【0048】
また、図2に示されるように、基板30は、基板30の平面視において、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間に配置された接地される電極である接地電極350及び351を備える。これにより、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。すなわち、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションを向上させることができる。
【0049】
高周波モジュール1のように、スイッチIC20の共通端子220に接続された接続端子340が、主面30bに配置される場合には、共通端子220に接続される接続端子340などの導電性部材が、基板の主面30aから主面30bまで敷設されることになる。この場合、共通端子220から接続端子340までの導電性部材が、基板30内部を伝播する高周波信号を受信し易い。そのため、接続端子340が、主面30bに配置される場合には、基板30に接地電極350及び351を設けることによる、基板30内を伝播する高周波の遮断によるアイソレーション向上効果がより一層顕著となる。
【0050】
本実施の形態では、複数の接地電極350及び351の少なくとも一部は、基板30の内部に配置される。これにより、接地電極350及び351は、基板30の内部を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。
【0051】
また、複数の接地電極350の各々は、積層基板の複数の層のうち、少なくとも一部の層を貫通するビア電極である。このように、本実施の形態では、複数の接地電極350の少なくとも一部は、基板30の内部において、基板30の厚さ方向(図3及び図4のz軸方向)に設けられる。つまり、基板30を形成する誘電体層の表面に沿って設けられる配線パターンと異なり、誘電体層を貫通する方向に接地電極350が設けられる。このように、接地電極350が、基板30の厚さ方向に延在することにより、基板30の内部を伝播する高周波を、接地電極350によってより確実に遮断することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、基板30は、複数の選択端子221及び222に沿って一列に並べられた複数の接地電極350を備える。このように、共通端子220と選択端子221及び222との間に複数の柱状の接地電極350を一列に並べることによりに、複数の接地電極350が、高周波を遮断する面を形成することができる。このため、共通端子220と選択端子221及び222との間を伝播する高周波をより確実に遮断することができる。なお、ここで、複数の接地電極350は、基板30の平面視において、直線状に一列に並べられる構成に限定されない。例えば、複数の接地電極350は、基板30の平面視において、曲線状に一列に並べられる構成であってもよい。
【0053】
なお、本実施の形態では、接地電極350は、複数の誘電体層のそれぞれにビア電極を形成し、当該複数の誘電体層を積層することにより、接地電極350を形成しているが、接地電極350の形成方法はこれに限定されない。例えば、接地電極350は、基板30に凹部又は貫通孔を形成した後に、当該凹部に導電性部材を挿入することによって形成されてもよい。
【0054】
複数の接地電極350の形状及び寸法は特に限定されない。本実施の形態では、接地電極350は、直径100μm程度の円柱状の形状を有する。接地電極350の形状は、例えば、板状、直方体状などでもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態では、複数の接地電極350を接続する配線パターンからなる接地電極351を備える。接地電極351は、基板30の主面30aに平行な方向に延びる電極であるため、基板30の厚さ方向に延在する複数の接地電極350の間を伝播する高周波の遮断に寄与することができる。
【0056】
複数の接地電極350及び351の個数は、特に限定されないが、短い間隔で多数設けた方が、高周波を遮断する効果は向上する。例えば、隣り合う接地電極350の間隔は、高周波モジュール1において使用される高周波の波長の1/4程度以下とすれば、複数の接地電極350における高周波遮断効果を向上させることができる。
【0057】
図3及び図4に示されるように、本実施の形態では、接地電極350及び351は、基板30のスイッチIC20が実装される主面30aにおいて外部に露出しない。これにより、主面30aにおいて、接地電極350及び351と、スイッチIC20の共通端子220、選択端子221及び222などとの短絡を防ぐことができる。また、各接地電極が主面30aにおいて外部に露出しないため、例えば、接地電極350の直径を、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間の距離と同程度以上にすることができる。つまり、接地電極350及び351の寸法の自由度を向上させることができる。
【0058】
接地電極350を接地する構成は、特に限定されない。例えば、本実施の形態では、接地電極350は、基板30の図2〜4のz軸方向負側の主面30bにおいて外部に露出しており、当該露出部が外部の接地された配線、端子などに接続される。また、本実施の形態では、接地電極350は、基板30を形成する誘電体層上に形成された配線パターンからなる接地電極351によって互いに接続されている。なお、複数の接地電極350のすべてが主面30bにおいて外部に露出しなくてもよい。例えば、複数の接地電極350の一部が主面30bにおいて外部に露出して、接地されてもよい。この場合、外部に露出しない接地電極350は、接地された接地電極350などと配線パターンによって接続されることによって、接地されてもよい。
【0059】
基板30を形成する材料は特に限定されない。本実施の形態では、基板30の各誘電体層は、セラミックスなどで形成される。セラミックスとしては、例えば、非磁性フェライトセラミックスやアルミナを主成分とするアルミナセラミックスが用いられ得る。また、各接地電極、各接続端子及び配線パターンを形成する材料も特に限定されない。本実施の形態では、例えば、銅を主成分とする金属又は合金が用いられる。
【0060】
[1−2.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、基板30と、基板30上に実装され、共通端子220及び選択端子221及び222を備えるスイッチIC20とを備える。基板30は、基板30の平面視において、共通端子220と選択端子221及び222との間に配置された接地される電極である接地電極350及び351を備える。
【0061】
これにより、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。すなわち、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションを向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極350及び351の少なくとも一部は、基板30の内部に配置されてもよい。
【0063】
これにより、接地電極350及び351は、基板30の内部を伝播する高周波の少なくとも一部を遮断することができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極350の少なくとも一部は、基板30の厚さ方向に延在してもよい。
【0065】
これにより、基板30の内部を伝播する高周波を、接地電極350によって、より確実に遮断することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極350は、基板30の厚さ方向に延在するビア電極を含んでもよい。
【0067】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極350は、基板30の平面視において、複数の選択端子221及び222に沿って一列に並べられた複数のビア電極を含んでもよい。
【0068】
このように、共通端子220と選択端子221及び222との間に複数の柱状の接地電極350を一列に並べることによりに、複数の接地電極350が、高周波を遮断する面を形成することができる。このため、共通端子220と選択端子221及び222との間を伝播する高周波をより確実に遮断することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極351は、複数のビア電極のうちの少なくとも二つのビア電極を接続する配線パターンを含んでもよい。
【0070】
このように、接地電極351は、基板30の主面30aに平行な方向に延びる配線パターンを含む電極であるため、基板30の厚さ方向に延在する複数の接地電極350の間を伝播する高周波の遮断に寄与することができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、基板30は、複数の層が積層された積層基板であり、ビア電極は、基板30を形成する複数の層のうち、少なくとも一部の層を貫通してもよい。
【0072】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、接地電極350及び351は、基板30のスイッチIC20が実装される主面30aにおいて外部に露出しなくてもよい。
【0073】
これにより、主面30aにおいて、接地電極350及び351と、スイッチIC20の共通端子220、選択端子221及び222との短絡を防ぐことができる。また、各接地電極が主面30aにおいて外部に露出しないため、例えば、接地電極350の直径を、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間の距離と同程度以上にすることができる。つまり、接地電極350及び351の寸法の自由度を向上させることができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1において、基板30は、共通端子220に接続された接続端子340を備え、接続端子340は、基板30のスイッチIC20が実装される主面30aの裏側の主面30bに配置されてもよい。
【0075】
本実施の形態のように、スイッチIC20の共通端子220に接続された接続端子340が、主面30bに配置される場合には、共通端子220に接続される接続端子340などの導電性部材が、基板の主面30aから主面30bまで敷設されることになる。この場合、共通端子220から接続端子340までの導電性部材が、基板30内部を伝播する高周波信号を受信し易い。そのため、接続端子340が、主面30bに配置される場合には、基板30に接地電極350及び351を設けることによる、基板30内を伝播する高周波の遮断によるアイソレーション向上効果がより一層顕著となる。
【0076】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る高周波モジュールについて説明する。本実施の形態に係る高周波モジュールは、基板上に、方向性結合器をさらに備える。以下、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態1に係る高周波モジュールとの相違点を中心に、説明する。
【0077】
[2−1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る高周波モジュールの全体構成について図5を用いて説明する。
【0078】
図5は、本実施の形態に係る高周波モジュール2の回路構成を示す回路図である。
【0079】
図5に示されるように、本実施の形態に係る高周波モジュール2は、実施の形態1に係る高周波モジュール1と同様に、基板31及びスイッチIC20を備える。本実施の形態に係る高周波モジュール2は、方向性結合器60及びスイッチIC70をさらに備える。
【0080】
基板31は、スイッチIC20が実装される主面に、方向性結合器60などを実装する領域を有する点において、実施の形態1に係る基板30と相違し、その他の点において一致する。
【0081】
方向性結合器60は、入出力ポート661及び662の間を伝播する高周波信号の一部を結合ポート663及び664に出力する結合器である。方向性結合器60においては、高周波信号の一部が、高周波信号の伝播方向に応じて異なる結合ポートに出力される。本実施の形態では、入出力ポート661から入出力ポート662に伝播する高周波信号の一部が結合ポート663に出力される。一方、入出力ポート662から入出力ポート661に伝播する高周波信号の一部が結合ポート664に出力される。
【0082】
本実施の形態では、方向性結合器60の入出力ポート661及び662は、それぞれ、スイッチIC70及び接続端子362に接続される。また、方向性結合器60の結合ポート663及び664は、それぞれ、スイッチIC20の選択端子221及び222に接続される。
【0083】
スイッチIC70は、共通端子710と、複数の選択端子711〜713のうちのいずれか一つの選択端子とを選択的に接続するスイッチ回路である。共通端子710は、方向性結合器60の入出力ポート661に接続される。選択端子711〜713は、それぞれ、基板31に設けられた接続端子311〜313に接続される。
【0084】
本実施の形態に係る高周波モジュール2においても、実施の形態1に係る高周波モジュール1と同様に、基板31は、基板31の平面視において、スイッチIC20の共通端子220と複数の選択端子221及び222との間に配置された接地電極350及び351を備える。
【0085】
本実施の形態においては、上述のとおり、スイッチIC20の選択端子221及び222にそれぞれ方向性結合器60の結合ポート663及び664が接続されている。このため、各選択端子に入力される高周波信号は、方向性結合器60の入出力ポート661及び662の間を伝播する高周波信号より微弱である。しかしながら、本実施の形態に係るスイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションが向上されていることから、共通端子220から、高いS/N比で、方向性結合器60からの微弱な高周波信号を出力することができる。
【0086】
なお、図5に示される例では、スイッチIC20の選択端子221及び222は、それぞれ、方向性結合器60の結合ポート663及び664に接続されているが、選択端子221及び222の少なくとも一方が接続されていればよい。ただし、例えば、選択端子221だけが、結合ポート663に接続されている場合、結合ポート664をスイッチIC20の外で終端することができるため、結合ポート664からスイッチIC20に伝播する高周波ノイズは、無視できるレベルとなる。一方、結合ポート663及び664がそれぞれ選択端子221及び222に接続される場合、結合ポート663又は664を終端することによって、結合ポート663又は664からの高周波ノイズの放射を抑制することができない。本実施の形態に係る高周波モジュール2では、このような場合でも、共通端子220に接続されていない結合ポートから放射される高周波を接地電極350及び351によって遮断することができる。そのため、高周波モジュール2における接地電極350及び351による高周波遮断効果は、選択端子221及び222が、それぞれ結合ポート663及び664に接続されている場合において、より顕著となる。
【0087】
また、スイッチIC70においても、共通端子710と選択端子711〜713との間のアイソレーションを向上させるために、基板31が、基板31の平面視において、共通端子710と選択端子711〜713との間に接地電極を備えてもよい。
【0088】
[2−2.使用形態]
ここで、本実施の形態に係る高周波モジュール2の使用形態の一例について図6を用いて説明する。
【0089】
図6は、本実施の形態に係る高周波モジュール2の使用形態の一例を示す回路図である。
【0090】
図6に示されるように、高周波モジュール2は、例えば、送信波生成器82、アンテナ80及び検出器84などが接続された状態で使用される。
【0091】
アンテナ80は、高周波信号を電磁波として空間に放射する機器である。また、アンテナ80は、空間を伝播する電磁波を受信する機器でもある。本使用態様では、アンテナ80は、方向性結合器60の入出力ポート662に接続された接続端子362に接続される。
【0092】
送信波生成器82は、アンテナ80を介して送信するための高周波信号を生成する機器である。送信波生成器82の出力端子は、スイッチIC70の選択端子712に接続された接続端子312に接続される。
【0093】
検出器84は、スイッチIC20の共通端子220から出力される高周波信号を検出するための機器である。
【0094】
図6に示される使用態様では、スイッチIC20の共通端子220が選択端子221に接続される場合には、共通端子220には、方向性結合器60の結合ポート663から出力される高周波信号が入力される。すなわち、共通端子220には、送信波生成器82から方向性結合器60に入力される高周波信号(つまり、アンテナ80に入力される高周波信号)の一部が、結合ポート663から選択端子221を介して入力される。
【0095】
一方、スイッチIC20の共通端子220が選択端子222に接続される場合には、共通端子220には、方向性結合器60の結合ポート664から出力される高周波信号が入力される。すなわち、共通端子220には、方向性結合器60からアンテナ80に入力されて、アンテナ80で反射した高周波信号の一部が、結合ポート664から選択端子222を介して入力される。
【0096】
以上のように、本使用形態においては、検出器84によって、アンテナ80に入力される高周波信号の一部を検出することができる。これにより、検出器84において、送信波生成器82の出力信号強度を検出できる。また、本使用形態においては、検出器84によって、アンテナ80において反射された高周波信号の一部も検出することができる。これにより、本使用形態によればアンテナ80における定在波比も検出することができる。
【0097】
また、本使用形態においては、アンテナ80によって反射された高周波信号が微弱となり得るが、スイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションが向上されていることから、高いS/N比で信号を検出することができる。
【0098】
[2−3.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール2は、実施の形態1に係る高周波モジュール1において、方向性結合器60をさらに備え、選択端子221及び222は、の少なくとも一つは、方向性結合器60の結合ポートに接続される。
【0099】
このように、選択端子の少なくとも一方が結合ポート663及び664に接続されている場合、各選択端子に入力される高周波信号は、方向性結合器60の入出力ポート661及び662の間を伝播する高周波信号より微弱である。しかしながら、本実施の形態に係るスイッチIC20の共通端子220と選択端子221及び222との間のアイソレーションが向上されていることから、共通端子220において、高いS/N比で、方向性結合器60からの微弱な高周波信号を受信することができる。
【0100】
また、高周波モジュール2において、スイッチIC20の選択端子221は、方向性結合器60の一方の結合ポート663に接続され、他の選択端子222は、方向性結合器60の他方の結合ポート664に接続されてもよい。
【0101】
このように、結合ポート663及び664が終端されず、それぞれ、選択端子221及び222に接続される場合でも、高周波モジュール2では、高いS/N比で、方向性結合器60からの微弱な高周波信号を受信することができる。
【0102】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る高周波モジュールについて説明する。本実施の形態では、実施の形態2に係る高周波モジュール2に加えて、さらに方向性結合器が追加され、各スイッチICの選択端子が増加された例を示す。以下、本実施の形態に係る高周波モジュールの構成、及び、使用態様の一例について、図7を用いて説明する。
【0103】
図7は、本実施の形態に係る高周波モジュール3の回路構成及び使用態様の一例を示す回路図である。
【0104】
図7に示されるように、本実施の形態に係る高周波モジュール3は、実施の形態2に係る高周波モジュール2と同様に、基板32、スイッチIC21、71、及び、方向性結合器60を備える。本実施の形態に係る高周波モジュール3は、方向性結合器61をさらに備える。
【0105】
また、スイッチIC21は、選択端子の個数において、スイッチIC20と相違する。スイッチIC21は、選択端子221及び222に加えて、選択端子223及び224を備える。
【0106】
スイッチIC71は、二つの共通端子710及び770と、六つの選択端子711〜713及び771〜773を備える。共通端子710及び共通端子770は、それぞれ選択端子711〜713及び771〜773のいずれか一つと接続される。
【0107】
方向性結合器61は、方向性結合器60と同様の構成を有する。本実施の形態では、方向性結合器61の入出力ポート665及び666は、それぞれ、スイッチIC71の共通端子770及び接続端子366に接続される。また、方向性結合器61の結合ポート667及び668は、それぞれ、スイッチIC20の選択端子222及び223に接続される。
【0108】
また、本実施の形態では、方向性結合器60の結合ポート663及び664は、それぞれ、スイッチIC20の選択端子221及び224に接続される。
【0109】
基板32は、スイッチIC21が実装される主面に、方向性結合器61などを実装する領域を有する点において、実施の形態2に係る基板31と相違する。また、基板32は、スイッチIC21の構成に応じて、接地電極350及び351の個数が増加されている点においても、基板31と相違する。
【0110】
本実施の形態に係る高周波モジュール3においても、実施の形態2に係る高周波モジュール2と同様の効果を奏する。
【0111】
続いて、本実施の形態に係る高周波モジュール3の使用態様の一例について図7を用いて説明する。
【0112】
図7に示されるように、高周波モジュール3は、例えば、送信波生成器82、受信器83、アンテナ80、81及び検出器84などが接続された状態で使用される。
【0113】
アンテナ81は、アンテナ80と同様の構成を有する。アンテナ81は、例えば、アンテナ80と異なる共振周波数を有していてもよい。本使用態様では、アンテナ81は、方向性結合器61の入出力ポート666に接続された接続端子366に接続される。
【0114】
受信器83は、アンテナ81で受信された高周波信号を受信する機器である。本使用態様では、受信器83には、選択端子772に接続された接続端子372から高周波信号が入力される。
【0115】
本使用態様においても、スイッチIC21の各選択端子には、微弱な高周波信号が入力される。このため、本使用態様においても、高周波モジュール3は、高周波モジュール2と同様の効果を奏する。
【0116】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る高周波モジュールについて説明する。本実施の形態では、高周波モジュールにおいて、基板の領域が接地電極によって区画される。以下、本実施の形態に係る高周波モジュールについて、図8を用いて説明する。
【0117】
図8は、本実施の形態に係る高周波モジュール4の構成の概要を示す回路図である。
【0118】
図8に示されるように、本実施の形態に係る高周波モジュール4は、実施の形態1に係る高周波モジュール1と同様に、基板33と、スイッチIC20を備える。高周波モジュール4は、接地電極350及び351によって、基板33の領域が区画されている点において、高周波モジュール1と相違する。なお、ここで、接地電極350及び351によって、基板33上の二つの領域を区画するとは、二つの領域の境界線の全体に沿って、接地電極350及び351の少なくとも一方が配置され、一方の領域から他方の領域に伝播する高周波信号が抑制される状態であることを言う。
【0119】
本実施の形態の高周波モジュール4においては、接地電極350及び351は、基板33の平面視において、共通端子220が配置された基板33の角部の領域38bと、選択端子221及び222及び方向性結合器60が配置された基板33の領域38aとを区画する。
【0120】
これにより、領域38aのスイッチIC20の周辺に方向性結合器60以外の高周波を放射する高周波機器が配置される場合においても、領域38aと領域38bとを区画する接地電極350及び351によって、高周波が遮断される。このため、領域38bにおける高周波ノイズが抑制される。これにより、共通端子220から出力される高周波信号のS/N比の劣化を抑制できる。
【0121】
また、領域38bが基板33の角部に配置されているため、共通端子220から出力される信号の接続端子340から高周波モジュール4の外部に配置された検出器などへの入力を容易化することができる。また、区画するために要する接地電極350及び351の数量を抑制することができる。これにより、接地電極350及び351を配置するために要する領域も低減できる。なお、ここで、基板33の角部とは、基板33の互いに交差する方向に延びる二つの端縁に接する領域をいう。また、二つの端縁とは、直線状の端縁に限定されず、曲線状でもよい。
【0122】
また、領域38bには、共通端子220以外に、高周波を放射する素子などを配置しないことが好ましい。これにより、領域38bにおける高周波ノイズを抑制することができる。
【0123】
(その他の変形例など)
以上、本発明の実施の形態に係る高周波モジュールついて、実施の形態を挙げて説明したが、本発明の高周波モジュールは、上記各実施の形態に限定されるものではない。上記各実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記各実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本開示の高周波モジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0124】
例えば、上記各実施の形態では、接地電極として、ビア電極からなる接地電極350及び配線パターンからなる接地電極351を用いたが、接地電極の構成はこれに限定されない。例えば、ビア電極からなる接地電極350だけを用いてもよいし、配線パターンからなる接地電極351だけを用いてもよい。
【0125】
また、上記実施の形態1では、共通端子220に接続された接続端子340が、基板30のスイッチIC20が実装される主面30aの裏側の主面30bに露出する構成を有するが、本発明の高周波モジュールは当該構成を有さなくてもよい。例えば、共通端子220以外の選択端子221及び222の各々に接続された接続端子が、主面30bに露出してもよい。また、共通端子220、選択端子221及び222の各々に接続されたすべての接続端子が、主面30bに露出してもよいし、当該すべての接続端子が、主面30aに露出してもよい。
【0126】
また、上記各実施の形態に係る高周波モジュールにおいて、図面に開示された各回路素子及び信号経路を接続する経路の間に別の高周波回路素子及び配線などが挿入されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、例えば、高周波信号を送信するアンテナに接続される高周波モジュールとして携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0128】
1、2、3、4 高周波モジュール
20、21、70、71 スイッチIC
30、31、32、33 基板
38a、38b 領域
60、61 方向性結合器
80、81 アンテナ
82 送信波生成器
83 受信器
84 検出器
220、710、770 共通端子
221〜224、711〜713、771〜773 選択端子
311〜313、320〜323、340〜342、362、372 接続端子
330、331、332 配線パターン
350、351 接地電極
661、662、665、666 入出力ポート
663、664、667、668 結合ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8