(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度推定手段は、前記接触状態が、前記筐体がユーザに直接接触している直接状態か前記筐体がユーザに間接的に接触している間接状態かを判定する直接間接判定手段(S3)と、前記直接状態のときの前記表面温度を推定する第1推定手段(S4)と、前記間接状態のときの前記表面温度を推定する第2推定手段(S5)とを有することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
前記直接間接判定手段は、所定期間にわたって前記熱流束検出手段が検出した熱流束が時間経過と共に上昇しているときの時間に対する熱流束の増加割合に基づいて、前記直接状態か前記間接状態かを判定することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
前記接触判定手段は、所定期間にわたって前記熱流束検出手段が検出した熱流束の時間経過に伴う変化傾向に基づいて、前記接触状態か否かを判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
前記推定温度が前記所定温度を超えた場合に、前記推定温度が前記所定温度を超えてから所定時間経過毎に、前記推定温度に応じた危険度を算出し、前記推定温度が前記所定温度を超えてから現在までに算出した全ての前記危険度を積算した積算値を算出する積算手段(S6−2)を備え、
前記警告発生手段は、前記推定温度が前記所定温度を超えた場合であって、前記積算値が所定の判定値を超えた場合に、ユーザへ警告を発することを特徴とする請求項1ないし6に記載の電子装置。
前記温度推定手段は、前記温度検出手段が検出した温度と、前記熱流束検出手段が検出した熱流束と、前記筐体の熱抵抗値と、前記布の熱抵抗値と、皮膚の熱抵抗値とに基づいて、前記筐体がユーザの皮膚に布を介して間接的に触れているときの前記表面温度を推定し、
前記布の熱抵抗値として、日時に応じて決定される熱抵抗値を用いることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態では、電子装置としての携帯電話について説明する。
【0014】
図1〜
図4に示すように、本実施形態の携帯電話1は、筐体2と、CPU3と、ディスプレイ4と、熱流束センサ5と、温度センサ6とを備えている。
【0015】
筐体2は、携帯電話1の外殻を構成するものである。筐体2は、主として樹脂で構成されている。筐体2は、正面部2aとその反対側の背面部2bを有している。
図1に示すように、正面部2aには、通話口21、受話口22、カメラレンズ23が設けられている。
図2に示すように、背面部2bには、カメラレンズ24が設けられている。
【0016】
CPU3は、
図1に示すように、筐体2の内部に収容されている。CPU3は、中央処理装置と呼ばれるものであり、制御部を構成する電子部品である。CPU3は、携帯電話の機能を実現するための制御を実行するとともに、後述する低温火傷警報制御を実行する。本実施形態では、CPU3が発熱する電子部品に相当する。
【0017】
ディスプレイ4は、液晶ディスプレイであり、液晶パネルを用いた表示部である。ディスプレイ4は、正面部2aに設けられており、正面部2aの一部を構成している。
【0018】
熱流束センサ5は、筐体2の内部に収容され、筐体2の内部から外部へ向かう熱流束を検出する熱流束検出手段である。熱流束センサ5は、平板形状である。熱流束センサ5は、熱流束センサ5を厚さ方向に通過する熱流束に応じたセンサ信号(例えば、電圧)を出力する。
【0019】
具体的には、熱流束センサ5は、
図5に示すように、絶縁基材100、表面保護部材110、裏面保護部材120が一体化され、この一体化されたものの内部で第1、第2層間接続部材130、140が交互に直列に接続された構造を有するものである。絶縁基材100、表面保護部材110、裏面保護部材120は、フィルム状であって、熱可塑性樹脂等の可撓性を有する樹脂材料で構成されている。絶縁基材100は、その厚さ方向に貫通する複数の第1、第2ビアホール101、102が形成されている。第1、第2ビアホールに互いに異なる金属や半導体等の熱電材料で構成された第1、第2層間接続部材130、140が埋め込まれている。絶縁基材100の表面100aに配置された表面導体パターン111によって第1、第2層間接続部材130、140の一方の接続部が構成されている。絶縁基材100の裏面100bに配置された裏面導体パターン121によって第1、第2層間接続部材130、140の他方の接続部が構成されている。熱が熱流束センサ5を通過すると、第1、第2層間接続部材130、140の一方の接続部と他方の接続部に温度差が生じ、ゼーベック効果によって第1、第2層間接続部材130、140に熱起電力が発生する。熱流束センサ5は、この熱起電力(例えば、電圧)をセンサ信号として出力する。
【0020】
本実施形態では、熱流束センサ5として、
図1に示す正面側熱流束センサ5aと、
図2に示す背面側熱流束センサ5bとが用いられている。
図1では、正面側熱流束センサ5aと背面側熱流束センサ5bのうち正面側熱流束センサ5aのみを図示している。
図2では、正面側熱流束センサ5aと背面側熱流束センサ5bのうち背面側熱流束センサ5bのみを図示している。正面側熱流束センサ5aおよび背面側熱流束センサ5bは、
図5に示す構造を有している。
【0021】
正面側熱流束センサ5aは、
図3に示すように、筐体2の内部のうち正面部2a側の位置に配置されている。正面部2a側の位置とは、対向する正面部2aと背面部2bの中心よりも正面部2aに近い側の位置を意味する。正面側熱流束センサ5aは、正面部2aを介して筐体2の内部から外部へ向かう熱流束を検出するためのものである。
【0022】
背面側熱流束センサ5bは、
図4に示すように、筐体2の内部のうち背面部2b側の位置に配置されている。背面部2b側の位置とは、対向する正面部2aと背面部2bの中心よりも背面部2bに近い側の位置を意味する。背面側熱流束センサ5bは、背面部2bを介して筐体2の内部から外部へ向かう熱流束を検出するためのものである。背面側熱流束センサ5bは、発熱するCPU3と背面部2bとの間の位置に配置されている。背面側熱流束センサ5bは、背面側熱流束センサ5bは、CPU3の表面全域と対向する大きさを有している。本実施形態では、背面側熱流束センサ5bの面方向での大きさは、CPU3と同等の大きさである。
【0023】
温度センサ6は、筐体2の内部に収容され、筐体2の内部の温度を検出する温度検出手段である。本実施形態では、温度センサ6として、
図1に示す正面側温度センサ6aと、
図2に示す背面側温度センサ6bとが用いられている。
図1では、正面側温度センサ6aと背面側温度センサ6bのうち正面側温度センサ6aのみを図示している。
図2では、正面側温度センサ6aと背面側温度センサ6bのうち背面側温度センサ6bのみを図示している。
【0024】
正面側温度センサ6aは、
図3に示すように、正面側熱流束センサ5aと同様に、筐体2の内部のうち正面部2a側の位置に配置されている。正面側温度センサ6aは、筐体2の内部の正面部2a側の温度を検出する。
【0025】
背面側温度センサ6bは、
図4に示すように、背面側熱流束センサ5bと同様に、筐体2の内部のうち背面部2b側の位置に配置されている。背面側温度センサ6bは、筐体2の内部の背面部2b側の温度を検出する。
【0026】
図1に示すように、正面側熱流束センサ5aおよび正面側温度センサ6aは、正面部2aのうち受話口22の周辺部に配置されている。換言すると、正面側熱流束センサ5aおよび正面側温度センサ6aは、正面部2aのうち携帯電話1の使用時にユーザの耳に触れる部位に配置されている。
【0027】
図2に示すように、背面側熱流束センサ5bと背面側温度センサ6bは、背面部2bのうち中央部付近に配置されている。一般的に、背面部2bの中央部付近は、携帯電話1の使用時にユーザの手に触れる部位である。したがって、背面側熱流束センサ5bと背面側温度センサ6bは、背面部2bのうち携帯電話1の使用時にユーザの手に触れる部位に配置されている。
【0028】
なお、本実施形態では、正面部2aと背面部2bが、互いに異なる位置に配置された第1面部と第2面部を構成している。正面側熱流束センサ5aと背面側熱流束センサ5bが、それぞれ、第1熱流束検出手段と第2熱流束検出手段を構成している。正面側温度センサ6aと背面側温度センサ6bが、それぞれ、第1温度検出手段と第2温度検出手段を構成している。
【0029】
次に、
図6を用いて、CPU3が実行する低温火傷警報制御について説明する。なお、
図6中の各ステップは、CPU3が有する各種の機能実現手段を構成している。
【0030】
まず、ステップS1で、熱流束センサ5、温度センサ6のそれぞれのセンサ信号を読み込む。これにより、熱流束センサ5、温度センサ6のそれぞれの検出結果を取得する。なお、
図6に示す制御フローは、熱流束センサ5、温度センサ6が配置された場所毎に行われる。すなわち、正面側熱流束センサ5aと正面側温度センサ6aを一組として、この一組の各センサの検出結果を用いて
図6に示す制御フローを行い、背面側熱流束センサ5bと背面側温度センサ6bとを他の一組として、この他の一組の各センサの検出結果を用いて
図6に示す制御フローを行う。
【0031】
続いて、ステップS2で、筐体2がユーザに触れている接触状態か否かを判定する。本実施形態では、この判定を熱流束センサ5の検出結果に基づいて行う。
【0032】
ここで、
図7に、筐体2が人の肌に直接接触している接触状態、筐体2が人の肌に布を介して間接的に接触している接触状態、筐体2が物の上に置かれている状態のそれぞれの状態で、筐体2のCPU3が発熱したときの発熱開始からの熱流束の経時変化を示す。なお、
図7に示す熱流束の経時変化は、筐体2の内部のCPU3の最大発熱量が0.1Wであって、筐体2の内部温度が75℃以上にならないように、CPU3の作動を制御したときのものである。
【0033】
図7に示すように、筐体2が物の上に置かれた場合、筐体2の内部から外部へ向かう熱流束は、発熱開始から減少した後、一定となる。一方、直接、間接の接触状態の場合、どちらも、筐体2の内部から外部へ向かう熱流束は、発熱開始から増加した後、減少する。
【0034】
そこで、ステップS2では、所定期間にわたって熱流束センサ5が検出した熱流束の時間経過に伴う変化傾向に基づいて、接触状態か否かを判定する。その変化傾向が時間経過に伴って熱流束が増加した後に熱流束が減少する変化傾向である場合に、接触状態であると判定する。
【0035】
接触状態であると判定(YES判定)した場合、ステップS3に進む。接触状態でないと判定(NO判定)した場合、今回の制御フローを終了し、次回の制御フローを行う。
【0036】
ステップS3では、接触状態が、筐体2がユーザの皮膚に直接触れている直接状態か否かを判定する。すなわち、接触状態が、直接状態か、布を介して間接的に触れている間接状態のどちらであるかを判定する。本実施形態では、この判定を、熱流束センサ5の検出結果に基づいて行う。
【0037】
ここで、
図8Aに、直接接触の直接状態と、筐体2が人の肌に布を介して間接的に接触している間接状態についての
図7の測定開始から100秒までの期間の拡大図を示す。また、
図8Bに、
図8Aから算出した熱流束の増加割合と時間との関係を示す。
【0038】
図8Bに示すように、間接状態では、熱流束が増加(上昇)しているときの熱流束の増加割合が2mW/(m
2・sec)を超えるときがあるのに対して、直接状態では、熱流束の増加割合は常に2mW/(m
2・sec)よりも小さい。
【0039】
そこで、ステップS3では、所定期間にわたって熱流束センサ5が検出した熱流束が時間経過と共に上昇しているときの時間に対する熱流束の増加割合に基づいて、直接状態か間接状態かを判定する。熱流束の増加割合が所定値(例えば、2mW/(m
2・sec))よりも低い場合に、直接状態であると判定し、ステップS4に進む。熱流束の増加割合が所定値を超えるときがある場合に、間接状態であると判定し、ステップS5に進む。
【0040】
ステップS4では、熱流束センサ5が検出した熱流束と温度センサ6が検出した温度とに基づいて、直接状態のときユーザの皮膚の表面温度を推定する。ステップS5では、熱流束センサ5が検出した熱流束と温度センサ6が検出した温度とに基づいて、間接状態のときユーザの皮膚の表面温度を推定する。
【0041】
ここで、筐体2の内部温度と人体の表面温度の差は、次の式1で表される。
【0042】
Tx−Ty=q×S×(R1+R2+R3)・・・式1
Tx、Ty、q、S、R1、R2、R3は次の通りである。
Tx:筐体2の内部温度(K)
Ty:人体の表面温度(K)
q:熱流束センサ5が検出した熱流束(W/m
2)
S:熱流束センサ5の検出部の断面積(m
2)
R1:筐体2の熱抵抗[K/W]
R2:人体の熱抵抗[K/W]
R3:布の熱抵抗[K/W]
このため、式1より、人体の表面温度は式2で表される。
【0043】
Ty=Tx−q×S×(R1+R2+R3)・・・式2
そこで、ステップS4では、式2を用いて、直接状態のときのユーザの皮膚の表面温度Tyを算出する。温度センサ6が検出した温度が筐体2の内部温度である。このとき、式2中のR3を0とする。このように、温度センサ6が検出した温度と、熱流束センサ5が検出した熱流束と、筐体2の熱抵抗値と、皮膚の熱抵抗値とに基づいて、直接状態のときのユーザの皮膚の表面温度を推定する。このとき、筐体2の熱抵抗値および皮膚の熱抵抗値として、携帯電話1が備える図示しない記憶装置に予め記憶されたものを用いる。
【0044】
一方、ステップS5では、式2を用いて、間接状態のときのユーザの皮膚の表面温度を算出する。このように、温度センサ6が検出した温度と、熱流束センサ5が検出した熱流束と、筐体2の熱抵抗値と、布の熱抵抗値と、皮膚の熱抵抗値とに基づいて、直接状態のときのユーザの皮膚の表面温度を推定する。このとき、筐体2の熱抵抗値、布の熱抵抗値および皮膚の熱抵抗値として、記憶装置に予め記憶されたものを用いる。
【0045】
ただし、布の熱抵抗値については、季節によって服を構成する布の厚さが異なるため、季節によって布の熱抵抗値が異なる。そこで、記憶装置に日時と関連づけられた布の熱抵抗値を予め記憶しておく。そして、CPU3は、携帯電話1に内蔵されたカレンダー機能と時計機能から特定される日時と、日時と関連づけられた布の熱抵抗値とに基づいて、布の熱抵抗値を決定する。このように日時に応じて決定された布の熱抵抗値を、ステップS5で用いるようにすることが好ましい。
【0046】
また、布の熱抵抗値として、日時に応じて決定されるものを用いる代わりに、筐体2の外部の空気温度に応じて決定されるものを用いてもよい。この場合、携帯電話1は、図示しない外気温度センサを備える。外気温度センサは、筐体2の外部の空気温度を検出する外気温度検出手段である。また、記憶装置に、外気温度センサが検出する温度と関連づけられた布の熱抵抗値を予め記憶しておく。そして、CPU3は、外気温度センサが検出した温度と、この温度と関連づけられた布の熱抵抗値とに基づいて、布の熱抵抗値を決定する。
【0047】
なお、本実施形態では、ステップS3が、接触状態が直接状態か間接状態かを判定する直接間接判定手段を構成し、ステップS4が、直接状態のときの表面温度を推定する第1推定手段を構成し、ステップS5が、間接状態のときの表面温度を推定する第2推定手段を構成している。また、ステップS3、S4、S5が、接触状態の場合に、筐体2がユーザの皮膚に直接または布を介して間接的に触れているときのユーザの皮膚の表面温度を推定する温度推定手段を構成している。
【0048】
続いて、ステップS6では、ステップS4またはステップS5で推定した推定温度Tyと所定温度Tthとを比較し、推定温度Tyが所定温度Tthを超えたか(Ty>Tth)否かを判定する。推定温度が所定温度を超えていないと判定した場合、今回の制御フローを終了し、次回の制御フローを行う。一方、推定温度が所定温度を超えたと判定した場合、ステップS7に進む。
【0049】
ステップS7では、報知手段を作動させて、ユーザへ警告を発する。具体的には、ディスプレイ4に警告の文字等を表示する。なお、警告音を発生させる手段等の他の報知手段を作動させてもよい。ステップS7が、ユーザへ警告を発する警告発生手段を構成している。
【0050】
以上の説明の通り、本実施形態の携帯電話1は、温度センサ6と熱流束センサ5とを備えている。筐体2の内部温度と筐体2の内部から外部へ向かう熱流束とに基づくことで、筐体2がユーザの皮膚に直接触れているときのユーザの皮膚の表面温度を推定できるとともに、筐体2がユーザの皮膚に布を介して間接的に触れているときのユーザの皮膚の表面温度も推定できる。
【0051】
そして、本実施形態の携帯電話1では、ステップS3、S4、S5、S6にて、筐体2がユーザの皮膚に直接触れているときの推定温度だけでなく、筐体2がユーザの皮膚に間接的に触れているときの推定温度に基づいて、ユーザに低温火傷が生じる危険性を判定している。これにより、ユーザに低温火傷が生じる危険性を高精度に判定できる。
【0052】
また、本実施形態の携帯電話1は、熱流束センサ5として、正面側熱流束センサ5aと背面側熱流束センサ5bとを有するとともに、温度センサ6として、正面側温度センサ6aと背面側温度センサ6bとを有している。そして、
図6に示す制御フローを、熱流束センサ5、温度センサ6が配置された場所毎に行うこととしている。したがって、ステップS2では、正面部2aがユーザに接触している接触状態か否かを判定するとともに、背面部2bがユーザに接触している接触状態か否かを判定する。ステップS3、S4、S5では、正面側温度センサ6aが検出した温度と正面側熱流束センサ5aが検出した熱流束とに基づいて、正面部2aに直接または間接的に接触するユーザの皮膚の表面温度を推定するとともに、背面側温度センサ6bが検出した温度と背面側熱流束センサ5bが検出した熱流束とに基づいて、背面部2bに直接または間接的に接触するユーザの皮膚の表面温度を推定する。
【0053】
これにより、通話中のときのように、正面部2aと背面部2bの両方がユーザに直接接触する状態でも、筐体2が接触するユーザの表面温度を推定することができる。また、携帯電話1がポケットに入れられているときに、正面部2aと背面部2bのどちらがユーザの皮膚側を向いているかに関わらず、筐体2が接触するユーザの表面温度を推定することができる。
【0054】
(第2実施形態)
本実施形態の携帯電話1は、
図6に示す低温火傷警報制御の内容の一部が第1実施形態と異なるものであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0055】
本実施形態では、CPU3は、
図9に示すように、ステップS6−1で、推定温度Tyが所定温度Tthを超えたと判定した場合、ステップS6−2を行う。なお、ステップS6−1は、
図6に示すステップS6と同じである。
【0056】
そして、ステップS6−2では、推定温度Tyに応じた危険度を積算する。ここで、低温火傷が生じる危険性は、ユーザの皮膚の温度によって異なる。この温度が高いほど、低温火傷が生じるまでの時間が短く、危険度が高い。そこで、
図10に示すように、推定温度Tyに関連づけられた危険度Aを予め記憶装置に記憶しておく。すなわち、推定温度Tyと危険度Aとの関係を予め記憶装置に記憶しておく。そして、この関係と、ステップS4、S5で推定した推定温度Tyとに基づいて、推定温度Tyに応じた危険度Aを算出する。さらに、この危険度Aの算出を推定温度Tyが所定温度Tthを超えてから所定時間経過毎に行う。そして、
図11に示すように、推定温度Tyが所定温度Tthを超えてから現在までに算出した全ての危険度Aを積算して積算値SAを求める。例えば、1秒後、2秒後のときの推定温度TyがどちらもT1のとき、T1に応じた危険度AはA1であるので、推定温度Tyが所定温度Tthを超えてから2秒後の積算値SAは、2×A1となる。本実施形態のステップS6−2が危険度の積算値を算出する積算手段を構成している。
【0057】
続いて、ステップS6−3で、積算値SAと所定の判定値SAthとを比較し、積算値SAが判定値SAthを超えたか否か(SA>SAth)を判定する。積算値SAが判定値SAthを超えていないと判定した場合、今回の制御フローを終了し、次回の制御フローを行う。一方、積算値SAが判定値SAthを超えたと判定した場合、ステップS7に進み、ユーザへ警告を発する。
【0058】
以上の説明の通り、本実施形態の携帯電話1では、ステップS6−2で、推定温度Tyに応じた危険度を積算した積算値SAを算出している。これにより、推定温度Tyと所定温度とを比較して危険性を判定する第1実施形態と比較して、ユーザに低温火傷が生じる危険性をより高精度に判定できる。
【0059】
(第3実施形態)
図12に示すように、本実施形態の携帯電話1は、筐体2の内部に配置された加速度センサ7を備えている。
図12は、
図4に対応している。
【0060】
加速度センサ7は、筐体2の加速度を検出する加速度検出手段である。加速度センサ7は、筐体2の加速度に応じたセンサ信号を出力する。なお、加速度センサ7は、筐体2の振動を検出する振動検出手段でもある。
【0061】
本実施形態の携帯電話1においても、第1、第2実施形態と同様に、CPU3は低温火傷警報制御を実行する。ただし、本実施形態では、
図6、9中のステップS2の判定を、加速度センサ7の検出結果に基づいて行う。
【0062】
ここで、ユーザが携帯電話1を手に持っている場合、すなわち、筐体2がユーザに直接接触している場合、筐体2に振動が与えられたり、筐体2の姿勢が変化したりするため、筐体2の加速度が変化する。ユーザが携帯電話1を服のポケットに入れている場合、すなわち、筐体2がユーザに布を介して間接的に接触している場合も、筐体2に振動が与えられたり、筐体2の姿勢が変化したりするため、筐体2の加速度が変化する。一方、携帯電話1が物の上に置かれて静止している場合、筐体2の加速度は変化しない。
【0063】
したがって、加速度センサ7の検出結果において、その検出結果が、加速度変化が発生したものである場合に、接触状態であると判定する。その検出結果が、加速度変化が無いものである場合に、接触状態ではないと判定する。
【0064】
本実施形態のように、ステップS2を行っても、第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。なお、本実施形態では、加速度センサ7の検出結果に基づいて、ステップS2の判定を行ったが、他の振動センサの検出結果に基づいて、ステップS2の判定を行ってもよい。筐体2が直接または間接的にユーザに接触している状態では、筐体2が振動し、筐体2が物の上に置かれた状態では、筐体2が振動しないからである。
【0065】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0066】
(1)上述の各実施形態では、携帯電話に本発明を適用した例を説明したが、携帯電話以外の他の電子装置に本発明を適用することができる。他の電子装置としては、タブレット端末、携帯型のゲーム機等が挙げられる。
【0067】
(2)上述の各実施形態では、熱流束センサ5として、
図5に示す構造のものを用いたが、他の構造のものを用いてもよい。
【0068】
(3)上述の各実施形態では、接触判定手段、温度推定手段等をCPU3の機能により実現させていたが、これらの各手段の少なくとも一部をCPU3とは別の制御部(ハードウェア等)で実現させても良い。
【0069】
(4)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。