特許第6443301号(P6443301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443301
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】歩行訓練装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   A61H1/02 R
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-212686(P2015-212686)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-80133(P2017-80133A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】菅田 光留
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−205001(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/118143(WO,A1)
【文献】 特開2009−183657(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0101448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A61H 3/00
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練者の脚部に装着され、該訓練者の歩行動作を補助する歩行補助装置と、
前記脚部に直接的又は前記歩行補助装置を介して接続されたワイヤーを上方かつ前方に引張する引張手段と、
第1引張力で前記ワイヤーを引張するように前記引張手段を制御することで、前記歩行補助装置の重量を低減すると共に、
前記訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する直前のタイミングで、前記第1引張力に代えて、前記歩行補助装置からの後方への慣性力の負荷を軽減するように該第1引張力よりも大きく設定された第2引張力で前記ワイヤーを引張するように、前記引張手段を制御する引張制御手段と、
を備える歩行訓練装置であって、
前記訓練者の歩行補助装置が装着された側の足部に掛かる荷重に基づいて、該足部の抜重を検出する抜重検出手段を更に備え、
前記引張制御手段は、前記引張手段の引張力を前記第2引張力に制御している間、前記抜重検出手段により前記足部の抜重が検出されると、前記引張手段による引張力を前記第2引張力から前記第1引張力に戻す制御を行う、
ことを特徴とする歩行訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訓練者の歩行訓練を行う歩行訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
訓練者の脚部に、該訓練者の歩行動作を補助する歩行補助装置を装着して歩行訓練を行う歩行訓練装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−095793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行補助装置は、ある程度の重量を有するため、その歩行補助装置を装着した訓練者にはその重量が負担となる。さらに、訓練者が脚部に歩行補助装置を装着した状態で歩行動作を行う場合、脚部を前方へ振り出すタイミングで、その脚部は歩行補助装置から後方への慣性力を受けることとなる。このため、訓練者に過度の負担が掛かるという課題が生じている。そこで、そのような訓練者の負担を低減する歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施したいという要望がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、歩行補助装置の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減でき、さらに、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる歩行訓練装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
訓練者の脚部に装着され、該訓練者の歩行動作を補助する歩行補助装置と、
前記脚部に直接的又は前記歩行補助装置を介して接続されたワイヤーを上方かつ前方に引張する引張手段と、
第1引張力で前記ワイヤーを引張するように前記引張手段を制御することで、前記歩行補助装置の重量を低減すると共に、
前記訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する直前のタイミングで、前記第1引張力に代えて、該第1引張力よりも大きく設定された第2引張力で前記ワイヤーを引張するように、前記引張手段を制御する引張制御手段と、
を備える歩行訓練装置であって、
前記訓練者の歩行補助装置が装着された側の足部に掛かる荷重に基づいて、該足部の抜重を検出する抜重検出手段を更に備え、
前記引張制御手段は、前記引張手段の引張力を前記第2引張力に制御している間、前記抜重検出手段により前記足部の抜重が検出されると、前記引張手段による引張力を前記第2引張力から前記第1引張力に戻す制御を行う、
ことを特徴とする歩行訓練装置、である。
この一態様によれば、歩行補助装置の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減できる。さらに、第2引張力によるアシスト力を増加させる期間が、訓練者の歩行補助装置が装着された側の足部の抜重が検出されるまで継続される。したがって、必要なアシスト力を十分に確保できる。さらに、訓練者の歩行補助装置が装着された側の足部の抜重の検出を持って第2引張力から第1引張力に戻し、アシスト力の増加が終了する。このため、アシスト力を過度にかけ過ぎるのを抑制できる。よって、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる。すなわち、歩行補助装置の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減でき、さらに、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歩行補助装置の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減でき、さらに、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる歩行訓練装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る歩行訓練装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図2】歩行補助装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る制御装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図4】抜重タイミングが遅くなった場合のアシスト増加分の一例を示す図である。
図5】抜重タイミングが早くなった場合のアシスト増加分の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコンピュータの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図7】振出開始タイミング及び抜重タイミングの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る歩行訓練方法のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る歩行訓練装置の概略的な構成を示す斜視図である。本実施形態に係る歩行訓練装置1は、例えば、脳卒中片麻痺患者などの訓練者の歩行訓練を行うための装置である。歩行訓練装置1は、訓練者の脚部に装着された歩行補助装置2と、訓練者の歩行訓練を行う訓練装置3と、を備えている。
【0010】
歩行補助装置2は、例えば、歩行訓練を行う訓練者の患脚に装着され、訓練者の歩行を補助する(図2)。歩行補助装置2は、上腿フレーム21と、上腿フレーム21に膝関節部22を介して連結された下腿フレーム23と、下腿フレーム23に足首関節部24を介して連結された足平フレーム25と、膝関節部22を回転駆動するモータユニット26と、足首関節部24の可動範囲を調整する調整機構27と、を有している。なお、上記歩行補助装置2の構成は一例であり、これに限られない。例えば、歩行補助装置2は、足首関節部24を回転駆動するモータユニットを備えていてもよい。
【0011】
足平フレーム25には、訓練者の足部の足裏に掛かる荷重を検出する足裏荷重センサユニットが設けられている。足裏荷重センサユニットは、訓練者の足部の足裏に掛かる垂直荷重を検出する複数の(例えば、4つの)垂直荷重センサを有している。
【0012】
上腿フレーム21は、訓練者の脚部の上腿部に取り付けられ、下腿フレーム23は訓練者の脚部の下腿部に取り付けられる。上腿フレーム21には、例えば、上腿部を固定するための上腿装具212が設けられている。上腿装具212は、例えば、マジックテープ(登録商標)などを用いて、上腿部に固定される。これにより、歩行補助装置2が訓練者の脚部から左右方向あるいは上下方向にずれるのを防止できる。上腿フレーム21には、後述の第1引張部33のワイヤー36を接続するための、左右方向に延在する横長の第1フレーム211が設けられている。
【0013】
なお、上記第1引張部33の接続部は一例であり、これに限らない。例えば、第1引張部33のワイヤー36を上腿装具212に接続してもよく、第1引張部33の引張点を歩行補助装置2の任意の位置に設けることができる。
【0014】
モータユニット26は、訓練者の歩行動作に応じて膝関節部22を回転駆動することで訓練者の歩行を補助する。なお、上記歩行補助装置2の構成は一例であり、これに限られない。訓練者の脚部に装着され、その歩行を補助できる任意の歩行補助装置が適用可能である。
【0015】
訓練装置3は、トレッドミル31と、フレーム本体32と、第1及び第2引張部33、34と、制御装置35と、を有している。トレッドミル31は、リング状のベルト311を回転させる。訓練者は、ベルト311上に乗り該ベルト311の移動に応じて歩行を行い、その歩行訓練を行う。
【0016】
フレーム本体32は、トレッドミル31上に立設された2対の柱フレーム321と、各柱フレーム321に接続され前後方向に延在する一対の前後フレーム322と、各前後フレーム322に接続され左右方向に延在する3つの左右フレーム323と、を有している。なお、上記フレーム本体32の構成は、これに限られない。後述の第1及び第2引張部33、34が適切に固定できれば、フレーム本体32は任意のフレーム構成であってもよい。
【0017】
前方の左右フレーム323には、ワイヤー36を上方かつ前方に引張する第1引張部33が設けられている。第1引張部33は、引張手段の一具体例である。第1引張部33は、例えば、ワイヤー36を巻取り及び巻き戻す機構、該機構を駆動するモータ、などから構成されている。第1引張部33が引張するワイヤー36の一端は、歩行補助装置2に接続されている。第1引張部33は、ワイヤー36を介して歩行補助装置2を上方かつ前方に引張する。
【0018】
第1引張部33による引張力の鉛直上方成分が歩行補助装置2の重さを支える。第1引張部33による引張力の水平前方成分により、脚部の振出しを補助する。これにより、歩行訓練時における訓練者の歩行負荷を軽減できる。
【0019】
第2引張部34は、後方の左右フレーム323に設けられ、ワイヤー37を上方に引張する。ワイヤー37の一端は、例えば、訓練者の腰部付近に装着されたベルトに接続されている。第2引張部34は、例えば、ワイヤー37を巻取り及び巻き戻す機構、該機構を駆動するモータ、などから構成されている。第2引張部34は、ワイヤー37を介して訓練者の腰部を上方に引張する。これにより、訓練者の自重による負荷を軽減できる。第1及び第2引張部33、34は、配線などを介して制御装置35に夫々接続されている。なお、訓練装置3は、第2引張部34を有しない構成であってもよい。
【0020】
制御装置35は、引張制御手段の一具体例である。制御装置35は、第1及び第2引張部33、34の引張力と、トレッドミル31の駆動と、歩行補助装置2と、を夫々制御する。制御装置35は、例えば、演算処理、制御処理等と行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される演算プログラム、制御プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、各種のデータなどを記憶するRAM(Random Access Memory)、外部と信号の入出力を行うインターフェイス部(I/F)、などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。CPU、ROM、RAM及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0021】
図3は、本実施形態に係る制御装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。 制御装置35は、例えば、第1引張部33を制御する脚部免荷制御ユニット351と、第2引張部34を制御する人免荷制御ユニット352と、歩行補助装置2を制御する脚部制御ユニット353と、トレッドミル31を制御するトレッドミル制御ユニット354と、これらユニットを制御するコンピュータ(PersonalComputer)355と、コンピュータ355を操作するための操作パネル356と、から構成されている。操作パネル356は、訓練指示、訓練メニュー、訓練情報(歩行速度、生体情報等)などの情報を表示する。操作パネル356は、例えば、タッチパネルとして構成されており、訓練者は操作パネル356を介して各種の情報(第1及び第2引張部33、34の引張力など)を入力できる。
【0022】
ところで、訓練者の歩行における脚部の振出し開始は、後方移動している脚部を前方移動に反転させる(訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する)タイミングでもある。このため、歩行補助装置が装着された脚部は、この反転のタイミングで、歩行補助装置から後方への慣性力を受けることとなる。しかしながら、従来の歩行訓練装置は、訓練者の歩行に対する歩行補助装置の重力の負荷を軽減するものであるが、上記慣性力の負荷までも軽減するものではない。このため、歩行における脚部の振出し開始時において訓練者の脚部に過剰な負担が掛かる。
【0023】
これに対し、本実施形態に係る制御装置35は、第1引張力でワイヤー36を引張するように第1引張部33を制御することで、歩行補助装置2の重量を低減すると共に、訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する直前のタイミングで、第1引張力に代えて、該第1引張力よりも大きく設定された第2引張力でワイヤー36を引張するように、第1引張部33を制御する。これにより、歩行補助装置2の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減できる。
【0024】
さらに、例えば、訓練者の歩行補助装置を装着した脚部が上記歩行アシストを行った結果、その脚部が容易に持ち上がり、脚部の立脚から遊脚に変化するタイミング(抜重のタイミング)が通常より早くなった場合、通常のタイミングと同様の歩行アシストを行ったのでは、そのアシスト力が過度となる。一方、上記歩行アシストを行っても脚部がなかなか持ち上がらす、そのタイミングが通常より遅くなった場合、通常のタイミングと同様の歩行アシストを行ったのでは、逆に、アシスト力不足となる。そこで、上記のような訓練者の負担を低減する歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施したいという要望がある。
【0025】
これに対し、本実施形態に係る制御装置35は、第1引張部33の引張力を第2引張力に制御している間、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重が検出されると、第1引張部33による引張力を第2引張力から第1引張力に戻す制御を行う。
これにより、第2引張力によるアシスト力を増加させる期間が、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重が検出されるまで継続される。したがって、上記慣性力の負荷に対する必要なアシスト力を十分に確保できる。さらに、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重の検出を持って第2引張力から第1引張力に戻し、アシスト力の増加が終了する。このため、アシスト力を過度にかけ過ぎるのを抑制できる。すなわち、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる。
【0026】
例えば、訓練者の歩行補助装置2を装着した脚部の抜重タイミングが通常より遅くなった場合、図4に示す如く、第2引張力によるアシスト力を増加させる期間が、その抜重タイミングが検出されるまで継続され、必要なアシスト力を十分に確保できる。一方で、訓練者の歩行補助装置2を装着した脚部の抜重タイミングが通常より早くなった場合、図5に示す如く、その抜重タイミングの検出を持って第2引張力から第1引張力に戻し、アシスト力の増加が直ちに終了し、アシスト力を過度にかけ過ぎるのを抑制できる。このように、訓練者の歩行アシストを過不足無いアシスト力で実施できる。
【0027】
図6は、本実施形態に係るコンピュータの概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態に係るコンピュータ355は、訓練者の歩行補助装置2が装着された脚部の振出し開始のタイミングを検出する動作検出部357と、第1引張部33に対する引張力指令値を計算する引張力計算部358と、訓練者の足部の抜重を検出する抜重検出部359と、を有している。
【0028】
動作検出部357は、訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する直前の振出し開始のタイミング(以下、振出開始タイミング)を検出する(図7)。
動作検出部357は、例えば、ユーザの歩容動作中の足裏の荷重中心(COP:Center of Pressure)の位置(以下、COP位置と称す)に基づいて、振出開始タイミングを検出する。動作検出部357は、歩行補助装置2の足平フレーム25の足裏荷重センサユニットの垂直荷重センサにより検出された足平フレーム25の足裏の荷重に基づいて、COP位置を連続的に算出する。
【0029】
例えば、動作検出部357は、垂直荷重センサの位置を(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)、(x4、y4)として、下記式を用いて、COP位置(xCOP、yCOP)を算出する。
【数1】
【0030】
足平フレーム25の足裏の中心を原点としたXY座標系が設定されている。そして、XY座標系の足裏において、爪先領域、中間領域、及び踵領域が夫々設定されている。足裏において、X座標の値が爪先領域判定閾値以上となる領域が、爪先領域となる。X座標の値が踵領域判定閾値以下となる領域が、踵領域となる。X座標の値が踵領域判定閾値より大きく、かつ爪先領域判定閾値よりも小さい領域(爪先領域と踵領域との間の領域)が、中間領域となる。なお、上記爪先領域判定閾値及び踵領域判定閾値は、予め実験的に求められ、上記ROMやRAMなどに設定されている。また、上記爪先領域判定閾値及び踵領域判定閾値は、操作パネル356などを介して、ユーザが任意に設定変更できる。動作検出部357は、上記XY座標系において、算出したCOP位置が足裏の踵領域内に位置した状態から爪先領域内へ推移したとき、振出開始タイミングを検出する。
【0031】
動作検出部357は、第1引張部33のワイヤー収納量が、第1引張部33のワイヤー36が引出し状態から巻取り状態へ変化する前後のタイミングにおける所定収納量(以下、振出しタイミング判定閾値)以下となるとき、脚部の前方への振出開始タイミングを検出してもよい。第1引張部33のワイヤー36が引出し状態から巻取り状態へ変化するタイミングを予め実験的に求めることができる。そして、この変化の前後のタイミングにおけるワイヤー収納量を求め、振出しタイミング判定閾値として上記ROMやRAMなどに設定する。
【0032】
動作検出部357は、歩行補助装置2が装着された脚部側の足部が離地状態から接地状態に遷移してから所定の時間が経過したとき、振出開始タイミングを検出してもよい。動作検出部357は、例えば、歩行補助装置2の足平フレーム25の足裏荷重センサユニットの各垂直荷重センサにより検出された足平フレーム25の足裏の荷重値を加算して、足裏に掛かる足裏総荷重量を算出する。動作検出部357は、算出した足裏総荷重量が接地判定閾値より大きい場合に接地状態と判定し、足裏総荷重量が接地判定閾値より大きくない場合に離地状態と判定する。
【0033】
動作検出部357は、歩行補助装置2が装着された脚部の前方への振出開始タイミングを検出すると、検出信号を引張力計算部358に出力する。
【0034】
引張力計算部358は、第1引張部33に対する第1引張力指令値を計算し、計算した第1引張力指令値を第1引張部33に出力する。第1引張部33は、引張力計算部358からの出力される第1引張力指令値に従って、歩行補助装置2のワイヤー36を第1引張力fで引張する。このときの第1引張部33による第1引張力fの鉛直上方成分f2が歩行補助装置2の重さを支える。第1引張部33による第1引張力fの水平前方成分f1により、脚部の振出しを補助する。すなわち、第1引張力指令値は、ユーザの通常の歩行動作に対して、その第1引張力fの鉛直上方成分f2が歩行補助装置2の重さを支え、同時に、その第1引張力fの水平前方成分f1により、脚部の振出しを最適に補助するように設定されている。
【0035】
しかし、上述の如く、歩行における脚部の振出開始タイミングで、歩行補助装置2から後方への慣性力を受けることとなり、この振出開始タイミングには通常の歩行動作以上の負荷が脚部にかかる。これに対し、本実施形態1に係る引張力計算部358は、動作検出部357から検出信号を受けると、引張力指令値を、通常の第1引張力指令値から第2引張力指令値に所定時間、増加させる。第1引張部33は、引張力計算部358からの出力される第2引張力指令値に従って、歩行補助装置2のワイヤー36を第2引張力で引張する。
【0036】
これにより、脚部の振出開始タイミングの慣性力を受けるときだけ、第1引張部33の引張力を第1引張力から第2引張力へ増加させる。これにより、脚部の振出開始タイミングにおける慣性力の負荷を軽減できる。
【0037】
抜重検出部359は、抜重検出手段の一具体例である。抜重検出部359は、訓練者の足部に掛かる荷重に基づいて訓練者の足部の抜重(抜重タイミング)を検出する(図7)。抜重検出部359は、例えば、歩行補助装置2の足平フレーム25の足裏荷重センサユニットの各垂直荷重センサにより検出された荷重値を加算した足裏総荷重量が閾値以下となるとき、訓練者の足部の抜重を検出する。なお、閾値は、例えば、足部が抜重状態となるときの値が予め実験的に求められ、上記ROMやRAMなどに設定されている。抜重検出部359は、訓練者の足部の抜重を検出すると、検出信号を引張力計算部358に出力する。引張力計算部358は、抜重検出部359から検出信号を受けると、引張力指令値を、第2引張力指令値から第1引張力指令値に変更し、変更した第1引張力指令値を第1引張部33に出力する。
【0038】
図8は、本実施形態に係る歩行訓練方法のフローを示すフローチャートである。
動作検出部357は、歩行補助装置2が装着された脚部の前方への振出開始タイミングを検出する(ステップS101)。動作検出部357は、歩行補助装置2が装着された脚部の前方への振出開始タイミングを検出すると(ステップS101のYES)、引張力計算部358は、引張力指令値を第1引張力指令値から第2引張力指令値に増加させ、増加させた第2引張力指令値を第1引張部33に出力する(ステップS102)。一方、動作検出部357は、歩行補助装置2が装着された脚部の前方への振出し開始を検出しないとき(ステップS101のNO)、引張力計算部358は、通常の第1引張力指令値を第1引張部33に出力し(ステップS103)。上記(ステップS101)の処理に戻る。
【0039】
抜重検出部359は、訓練者の足部に掛かる荷重に基づいて訓練者の足部の抜重を検出する(ステップS104)。抜重検出部359は、訓練者の足部の抜重を検出すると(ステップS104のYES)、引張力計算部358は、引張力指令値を、第2引張力指令値から第1引張力指令値に変更し、変更した第1引張力指令値を第1引張部33に出力する(ステップS105)。一方、抜重検出部359は、訓練者の足部の抜重を検出しないとき(ステップS104のNO)、引張力計算部358は、引張力指令値を第2引張力指令値に維持し、その第2引張力指令値を第1引張部33に出力する(ステップS106)。
【0040】
以上、本実施形態において、第1引張力でワイヤー36を引張するように第1引張部33を制御することで、歩行補助装置2の重量を低減すると共に、訓練者の歩容状態が立脚から遊脚に変化する直前のタイミングで、第1引張力に代えて、該第1引張力よりも大きく設定された第2引張力でワイヤー36を引張するように、第1引張部33を制御する。
これにより、歩行補助装置2の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減できる。
さらに、本実施形態において、第1引張部33の引張力を第2引張力に制御している間、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重が検出されると、第1引張部33による引張力を第2引張力から第1引張力に戻す制御を行う。
これにより、第2引張力によるアシスト力を増加させる期間が、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重が検出されるまで継続される。したがって、上記慣性力の負荷に対する必要なアシスト力を十分に確保できる。さらに、訓練者の歩行補助装置2が装着された側の足部の抜重の検出を持って第2引張力から第1引張力に戻し、アシスト力の増加が終了する。このため、アシスト力を過度にかけ過ぎるのを抑制できる。よって、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる。すなわち、歩行補助装置2の重量を免荷しつつ、振出開始のタイミングにおける訓練者の負担を軽減でき、さらに、訓練者の歩行アシストを、過不足無いアシスト力で実施できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 歩行訓練装置、2 歩行補助装置、3 訓練装置、21 上腿フレーム、22 膝関節部、23 下腿フレーム、24 足首関節部、25 足平フレーム、26 モータユニット、27 調整機構、31 トレッドミル、32 フレーム本体、33 第1引張部、34 第2引張部、35 制御装置、36 ワイヤー、37 ワイヤー、357 動作検出部、358 引張力計算部、359 抜重検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8