(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1または複数の設備を含む製造ラインに関連付けられた管理システムであって、前記1または複数の設備の各々は、製造対象の種別の指定および製造対象の個数の指定を含むオーダ情報に従って個々のワークを処理するように構成されており、
前記1または複数の設備の各々で生じる処理に関するイベント情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集されたイベント情報を、各イベント情報の発生元および内容に基づいて、同一のワークに起因して生じたイベント情報の集合に分類する分類手段と、
前記分類手段により分類された集合の各々に属するイベント情報に基づいて、ワーク毎の処理状況を示すデータを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されるデータに基づいて、前記オーダ情報に従って処理される各ワークに対する処理の進捗状況を視覚化する視覚化手段とを備える、管理システム。
前記分類手段は、同一の発生元から同一の内容のイベント情報を複数回受信すると、それぞれを異なるワークに起因したイベント情報に分類する、請求項1または2に記載の管理システム。
前記視覚化手段は、前記製造ラインにおける各ワークの処理進捗を、工程に対応付けられた軸と時間の軸とで定義される平面上に再現する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の管理システム。
前記生成手段は、前記オーダ情報に含まれる時刻の情報に基づいて、前記分類手段により分類された集合が属するオーダ番号および当該オーダ内のワーク番号を特定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の管理システム。
所定の設備における複数のワークにそれぞれ関連付けられたフィールド情報を比較することで、当該設備に生じ得る傾向を監視する監視手段をさらに備える、請求項7または8に記載の管理システム。
1または複数の設備を含む製造ラインに関連付けられた管理システムであって、前記1または複数の設備の各々は、製造対象の種別の指定および製造対象の個数の指定を含むオーダ情報に従って個々のワークを処理するように構成されており、
前記1または複数の設備の各々で生じたイベント情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記イベント情報に基づいて、前記1または複数の設備の各々で各ワークに対して実際に処理が実施された時間を算出する算出手段と、
前記オーダ情報に従う処理に要した時間と前記算出手段により算出された時間とに基づいて、KPI(Key Performance Indicators)として定義される負荷度(Allocation ratio)を決定する決定手段とを備える、管理システム。
前記算出手段は、同一のオーダ情報に従って処理される1または複数のワークの各々について、対象の設備にて処理が開始されてから処理が完了するまでの期間の積算値から、実際に処理が実施された時間を算出する、請求項10に記載の管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
<A.管理システムの構成例>
まず、本実施の形態に係る管理システムの構成例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る管理システムの構成例を示す模式図である。
図1を参照して、管理システム1は、複数の設備を含む製造ライン100に関連付けられており、製造ライン100における生産管理機能を提供する。
図1に示す製造ライン100は、一例として、ワークを運搬するためのコンベア110に沿って、設備101〜105が配置されている例を示す。
図1中において、設備101〜105を「設備1」〜「設備5」とも記す。設備101〜105は、制御装置の一例であるPLC(Programmable Logic Controller)111〜115によって、それぞれの動作が制御および監視される。
図1中には、PLC111〜115を「PLC1」〜「PLC5」とも記す。
【0027】
PLC111〜115は、ローカルネットワーク116を介してデータ通信可能に接続されており、ローカルネットワーク116上の中継サーバ装置200に対して、予め指定された条件に従って、イベント情報などの各種データを送信する。
【0028】
中継サーバ装置200は、PLC111〜115の各々から受信したイベント情報に所定の前処理を実施し、前処理後の情報を収集解析サーバ装置250へ送信する。
【0029】
収集解析サーバ装置250は、中継サーバ装置200から受信した情報を収集し、収集した情報を解析する。収集解析サーバ装置250は、端末装置300−1,300−2(以下、「端末装置300」と総称することもある。)からの要求に応答して、解析結果を出力する。
【0030】
図1には、典型例として、単一の製造ライン100に設置された複数の設備の各々にPLCが設けられ、それぞれのPLCが同一のローカルネットワーク116を介して中継サーバ装置200に接続されている構成について例示したがこれに限らない。例えば、中継サーバ装置200を配置することなく、複数のPLCが収集解析サーバ装置250と直接的に接続されている構成を採用してもよい。この場合には、それぞれのPLCが収集解析サーバ装置250に必要な情報をそれぞれ送信することになる。
【0031】
あるいは、複数の中継サーバ装置200を設けてもよい。この場合には、一部のPLCと収集解析サーバ装置250とのデータの遣り取りをある中継サーバ装置200が中継し、残りのPLCと収集解析サーバ装置250とのデータの遣り取りを別の中継サーバ装置200が中継するようにしてもよい。
【0032】
<B.PLCのハードウェア構成例>
次に、PLCのハードウェア構成例について説明する。
図1に示す製造ライン100に配置される複数のPLCは互いに同一の機種である必要はなく、むしろ、メーカおよび機種は統一されていないことが想定される。本実施の形態に係る管理システム1は、このようなPLCのメーカおよび機種の相違を吸収する機能を実装している。以下では、典型的なPLCのハードウェア構成について例示する。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る管理システム1で用いられるPLCのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2を参照して、PLCは、演算ユニット120と、1または複数の機能ユニット130とを含む。演算ユニット120は、予め格納されたユーザプログラムなどを実行する演算装置であり、機能ユニット130からフィールド情報(詳細については後述する)を取得し、機能ユニット130を通じて、必要な制御信号を出力する。
【0034】
演算ユニット120は、ユーザプログラムなどを実行するプロセッサ122と、ユーザプログラム、オペレーティングシステム(OS:Operating System)、各種データなどを格納するメモリ126と、内部バス136を介したデータの遣り取りを制御するバスコントローラ124と、通信インターフェイス128とを含む。メモリ126は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性記憶装置と、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置とを組み合わせて構成してもよい。
【0035】
通信インターフェイス128は、データを遣り取りする対象の装置に応じて、1つまたは複数の通信ポートが設けられてもよい。例えば、ローカルネットワーク116(
図1参照)に接続するためのイーサネット(登録商標)に従う通信ポート、パーソナルコンピュータなどと接続するためのUSB(Universal Serial Bus)に従う通信ポート、シリアル回線・パラレル回線をサポートする通信ポートなどが実装されてもよい。
【0036】
機能ユニット130は、制御対象の設備との間で各種情報を遣り取りするためのIO(Input Output)機能を提供してもよい。具体的には、デジタル信号を受け取るDI(Digital Input)、デジタル信号を出力するDO(Digital Output)、アナログ信号を受け取るAI(Analog Input)、アナログ信号を出力するAO(Analog Output)などの機能が実装されてもよい。さらに、PID(Proportional Integral Derivative)制御、モーション制御などの特殊機能が実装されてもよい。
【0037】
例えば、IO機能を提供する機能ユニット130の各々は、IOモジュール132と、内部バス136を介して演算ユニット120との間のデータの遣り取りを制御するためのバスコントローラ134とを含む。
【0038】
本実施の形態に係る管理システム1においては、何らかの通信手段を用いて、内部情報を外部装置へ出力するためのインターフェイスを有するPLCであれば、どのようなものを採用してもよい。PLCのハードウェア構成としては、
図2に示すものに限らず、任意の構成を採用できる。
【0039】
<C.中継サーバ装置200のハードウェア構成例>
次に、中継サーバ装置200のハードウェア構成例について説明する。中継サーバ装置200としては、典型的には、汎用のコンピュータで構成される。
【0040】
図3は、本実施の形態に係る管理システム1で用いられる中継サーバ装置200のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0041】
図3を参照して、中継サーバ装置200は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)212および処理プログラム214を含む各種プログラムを実行するプロセッサ202と、プロセッサ202でのプログラム実行に必要なデータを格納するための作業領域を提供するメモリ204と、プロセッサ202で実行されるプログラムなどを不揮発的に格納するハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)210とを含む。
【0042】
中継サーバ装置200は、光学ドライブ216を有しており、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に格納する光学記録媒体
218(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)など)から、格納されているプログラムを読取ってハードディスクドライブ210などにインストールする。
【0043】
中継サーバ装置200は、さらに、ユーザからの操作を受付ける入力部220と、処理結果などをユーザなどへ出力するための出力部222とを含む。入力部220は、典型的には、キーボード、マウス、タッチパネルなどで構成され、出力部222は、典型的には、ディスプレイ、各種インジケータ、プリンタなどで構成される。
【0044】
中継サーバ装置200は、さらに、収集解析サーバ装置250などとのデータを遣り取りするためのグローバル通信インターフェイス206と、ローカルネットワーク116を介して通信するためのローカル通信インターフェイス208とを含む。これらのインターフェイスは、対象となるネットワークに応じたハードウェアが採用される。
【0045】
上述のそれぞれのコンポーネントは、内部バス224を介して相互に接続される。典型的な実装例において、中継サーバ装置200は、汎用アーキテクチャに従うハードウェアを用いて実現できるので、ここではこれ以上の詳細な説明は行わない。
【0046】
なお、中継サーバ装置200の機能をPLCにて代替してもよいし、あるいは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いて、専用装置として実装してもよい。
【0047】
<D.収集解析サーバ装置250のハードウェア構成例>
収集解析サーバ装置250のハードウェア構成例としては、上述の中継サーバ装置200のハードウェア構成例(
図3参照)と同様に、汎用のコンピュータで構成されてもよい。具体的なハードウェア構成例は、上述したので、ここでは詳細な説明は繰返さない。
【0048】
<E.個体管理処理の概要>
本実施の形態に係る管理システム1は、同一種類のワークを所定数ずつまとめた、「オーダ」と称される単位で生産管理が行われる製造ライン100に対して、比較的少ない改造で、ワーク毎の生産管理を実現する。なお、「オーダ」に類似する用語として「ロット」と称されることもあるが、本明細書においては、「オーダ」という用語を用いることとする。このようなワーク毎の生産管理を、以下「個体管理」とも称する。
【0049】
オーダ情報は、製造対象の種別の指定および製造対象の個数の指定を含む。
図4は、
図1に示す製造ライン100で用いられるオーダ情報400の一例を示す模式図である。
図4を参照して、オーダ情報は、製造に係る指令がオーダ毎に定義されている。なお、説明の便宜上、
図4には、複数のオーダの指令が1つのオーダ情報400に含まれる例を示すが、単一のオーダ毎にオーダ情報400が生成されるようにしてもよい。
【0050】
具体的には、オーダ情報400は、オーダ番号フィールド402と、品種コードフィールド404と、オプションコードフィールド406と、数量フィールド408とを含む。品種コードフィールド404およびオプションコードフィールド406に格納される値が製造対象の種別を指定する情報に相当し、数量フィールド408に格納される値が製造対象の個数を指定する情報に相当する。
【0051】
オーダ番号フィールド402には、各オーダを特定するための識別情報が格納される。品種コードフィールド404には、製造すべき製品を特定するための情報が格納される。オプションコードフィールド406には、品種コードフィールド404に格納される情報に付加して指定される情報(例えば、至急製造すべきといった情報など)が格納される。数量フィールド408には、各オーダについて製造すべき製品の数量が格納される。
【0052】
図4に示すようなオーダ情報400は、図示しない生産管理サーバ装置などから、製造ライン100を構成するそれぞれの設備を制御するPLC111〜115(または、PLCとは別に各設備を制御するコントローラ)のそれぞれへ与えられる(
図1参照)。
【0053】
PLCの各々は、与えられたオーダ情報400に従って制御対象の設備を制御する。このように、製造ライン100を構成する1または複数の設備の各々は、オーダ情報400に従って個々のワークを処理するように構成されている。
【0054】
図5は、
図1に示す製造ライン100の各設備での処理を説明するための模式図である。
図5を参照して、製造ライン100の上流側から順次ワークが流されて、各設備で指定された処理が実施される。
図5には、2つのオーダ(オーダ1およびオーダ2)が順次処理される例を示す。
【0055】
図5に示すように、設備1〜設備3に対して、それぞれオーダ1およびオーダ2に従う処理を実施するためのオーダ情報が与えられる。設備1〜設備3の各々は、与えられたオーダ情報に従って、設定変更を行った上で、指定された処理を実施する。
【0056】
設備1についてみれば、オーダ1に向けた設定変更411が実行された後、オーダ1の処理412が実行される。続いて、オーダ2に向けた設定変更413が実行された後、オーダ2の処理414が実行される。なお、オーダ1とオーダ2との間には、ある程度の間隔が設けられることもある。
【0057】
同様に、設備2についてみれば、オーダ1に向けた設定変更421が実行された後、オーダ1の処理422が実行される。続いて、オーダ2に向けた設定変更423が実行された後、オーダ2の処理424が実行される。また同様に、設備3についてみれば、オーダ1に向けた設定変更431が実行された後、オーダ1の処理432が実行される。続いて、オーダ2に向けた設定変更433が実行された後、オーダ2の処理434が実行される。
【0058】
図5に示すように、同一のオーダに従う一連の処理が各設備にて実施されるタイミングは、製造ライン100および各設備の処理能力などに応じて異なったものとなる。
【0059】
製造ライン100におけるオーダ情報を生成する生産管理サーバ装置は、それぞれの設備における各オーダの処理開始および処理完了などの情報を収集および管理しているが、各オーダに含まれるワークの単位で情報を収集および管理してはいない。
【0060】
これに対して、本実施の形態に係る管理システム1は、
図5に示すようなオーダ管理の製造ライン100であっても、各オーダに含まれるワーク毎の個体管理を可能にする。
図6は、本実施の形態に係る管理システム1が提供する個体管理処理を説明するための模式図である。
【0061】
図6を参照して、例えば、オーダ1に含まれる複数のワークのうち、N番目のワークの情報を選択的に抽出することで、当該N番目のワークが複数の設備1〜3を経てどのように製造されたのかを容易に把握および分析することができる。このように、生産管理サーバ装置がオーダ単位でのみ製造を管理している場合であっても、本実施の形態に係る管理システム1を採用することで、各オーダに含まれるワーク単位で製造を管理することができる。
【0062】
図7は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理の概要を説明するための模式図である。
図7を参照して、製造ライン100を構成する設備1〜設備5の各々は、ワークに関するイベント情報を通知する。本実施の形態において、「イベント情報」は、任意のオーダに含まれる任意のワーク(個体)に対する工程の進行状況を示す情報、および、工程の進行を推認可能な情報の少なくとも一方を含む。
【0063】
具体的には、イベント情報としては、あるワークに対して対象の設備が処理を開始したこと、あるワークに対して対象の設備が処理を完了したこと、あるワークが処理のために到着したこと、あるワークを排出したこと、などを含む。イベント情報は、各設備を制御する制御装置(典型的にはPLC)および各設備に固有の装置などから通知される。
【0064】
中継サーバ装置200は、各設備から通知されるイベント情報に日時、識別情報などを付加する処理((1)前処理)を実施し、収集解析サーバ装置250へ送信する(
図1も参照)。
【0065】
収集解析サーバ装置250は、それぞれの設備からのイベント情報に対して、(2)収集処理、(3)解析処理、(4)視覚化処理を実施する。端末装置300では、視覚化処理された解析結果が表示される((5)表示処理)。これらの一連の処理により個体管理を実現する(
図1も参照)。以下、これらの処理について概要を説明する。
【0066】
(2)収集処理において、収集解析サーバ装置250は、1または複数の設備の各々で生じる処理に関するイベント情報を収集する。このとき、各イベント情報は、発生した日時を示す日時情報および発生した設備を示す識別情報と、直接的または間接的に関連付けられる。
【0067】
(3)解析処理において、収集解析サーバ装置250は、収集したイベント情報を解析して、任意のオーダに含まれる同一のワークに起因して生じたイベント情報を抽出する。このとき、オーダ情報を参照することで、イベント情報を抽出したワークが属するオーダ番号なども特定することができる。
【0068】
図7に示す例では、オーダ番号1に含まれる1番目のワーク(ワーク_01)についての設備1〜設備5の各々における処理開始および処理完了の日時が抽出されている例を示す。
【0069】
(4)視覚化処理において、収集解析サーバ装置250は、(3)解析処理によって抽出されたイベント情報に基づいて、特定のワークについての工程の進捗実績などを視覚的に再現する。
図7に示す例では、製造ライン100での工程(各設備)の進捗状況を横軸にとり、各工程での処理が開始および完了した日時を縦軸にとった2次元グラフが解析結果として出力される例を示す。このような解析結果は、端末装置300(
図1参照)などへ提供されてもよい。
【0070】
以上のような処理によって、オーダ単位で生産管理がなされる製造ラインであっても、各オーダに含まれる各ワークについての個体管理を実現できる。
【0071】
<F.個体管理処理の詳細>
次に、
図7に示す個体管理を実現するための各処理の詳細について説明する。
【0072】
(f1:(1)前処理)
中継サーバ装置200は、前処置として、それぞれの設備(PLCまたは各設備に固有の装置)から受信したイベント情報のフォーマットを統一する。
【0073】
図8は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理を実現するための前処理を説明するための模式図である。
図8を参照して、複数の設備のそれぞれにてイベント情報451,452,453,454,…が通知されるとする。イベント情報451,452,453,454,…の各々は、日時フィールド4501およびイベント内容フィールド4502を含む。いずれかの設備で何らかのイベントが発生するたびに、このようなイベント情報が中継サーバ装置200に入力される。
【0074】
中継サーバ装置200は、入力されたイベント情報に対して、当該イベント情報を発した設備を特定し、その設備を示す識別情報を当該イベント情報に付加する。より具体的には、中継サーバ装置200は、イベント情報を格納するパケットに含まれるヘッダ情報(より具体的には、送信元アドレスなど)などからイベントを発した設備を特定する。
【0075】
また、中継サーバ装置200は、イベント内容フィールド4502に格納されている文字列などに基づいて、入力されたイベント情報の種別を判断し、判断した種別を当該イベント情報に付加する。付加される種別としては、一般的なイベントである場合には、通常を意味する「NORMAL」を付加し、何らかの異常によって生じたイベントである場合には、警告を意味する「WARNING」を付加する。
【0076】
イベント情報451,452,453,454,…には、このような情報が付加されて、イベント情報451A,452A,453A,454A,…として、収集解析サーバ装置250へ送信される。イベント情報451A,452A,453A,454A,…において、設備を示す識別情報は送信元フィールド4503に格納され、種別を示す情報は種別情報フィールド4504に格納される。
【0077】
中継サーバ装置200では、以上のような処理が前処理として実施される。
上述したような情報に加えて、あるいは、上述したような情報に代えて、別の情報が付加されてもよい。すなわち、収集解析サーバ装置250での収集処理および解析処理を効率的に実施するために必要十分な情報が付加されればよい。イベント情報に付加されてもよい情報としては、各イベント情報を発した装置の固有識別情報、同一種類のイベント情報の間で連番に付与される番号、同一種類のイベント情報が直近に発生してからの経過時間、などが挙げられる。
【0078】
図8には説明の便宜上、イベント内容フィールド4502に比較的簡単な内容が格納される構成例を示すが、各設備での処理結果の詳細な情報などを含めるようにしてもよい。なお、
図8に示す例では、ヘッダ情報として必要な情報を付加する構成について例示したが、これに限らず、例えば、メタ情報などを用いてもよい。
【0079】
また、
図8には、イベント情報451,452,453,454,…の各々には、日時が予め付与されている例を示すが、この構成を実現するためには、各設備または各設備を制御するPLCがそれぞれタイマを保持していなければならない。より装置構成を簡略化するために、各設備と中継サーバ装置200との間の伝搬遅延が無視できるような構成であれば、中継サーバ装置200がイベント情報を受信したタイミングに応じて、日時情報をイベント情報に付加してもよい。このような構成を採用することで、設備間で同期したタイマを保持しておく必要がない。
【0080】
中継サーバ装置200から収集解析サーバ装置250へのイベント情報451A,452A,453A,454A,…の送信は、任意のタイミングで行うようにしてもよい。例えば、リアルタイム処理(イベント情報を受信すると即座に前処理を実施し、前処理の実施後すぐにイベント情報を収集解析サーバ装置250へ送信する方法)、逐次処理(イベント情報を受信すると即座に前処理を実施し、前処理実施後のイベント情報が所定数に達すると、それらを収集解析サーバ装置250へ送信する方法)、バッチ処理(処理周期毎にそれぞれの設備からイベント情報を収集し、収集したイベント情報に対して前処理を一括して実施し、収集解析サーバ装置250へ送信する方法)などを採用できる。さらに異なるタイミングで実施するようにしてもよい。
【0081】
(f2:(2)収集処理および(3)解析処理)
次に、収集解析サーバ装置250にて実施される(2)収集処理および(3)解析処理について説明する。なお、便宜上、収集処理と解析処理との2つの処理に分けて説明するが、両処理を明確に区分する必要はなく、状況に応じて適宜実装すればよい。
【0082】
図9は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理を実現するための収集処理および解析処理を説明するための模式図である。
図9を参照して、収集解析サーバ装置250は、1または複数の設備の各々で生じる処理に関するイベント情報を収集するためのイベント情報格納部260を含む。イベント情報格納部260では、中継サーバ装置200から送信されるイベント情報が順次格納されるとともに、各イベント情報に対して、いずれのワークに起因するものであるかを特定するためのワーク識別情報が関連付けられる。イベント情報格納部260は、イベント情報を格納するためのイベント情報フィールド2601と、ワーク識別情報を格納するためのワーク識別情報フィールド2602とを含む。なお、説明の便宜上、
図9には簡略化されたテーブル構造を示すが、現実の実装形態としてはこれに限られることなく、任意のデータ構造を採用してもよい。
【0083】
収集解析サーバ装置250は、さらに、ワーク識別モジュール270を有している。ワーク識別モジュール270は、収集されたイベント情報を、各イベント情報の発生元および内容に基づいて、同一のワークに起因して生じたイベント情報の集合に分類するための処理を実行する。すなわち、ワーク識別モジュール270は、各イベント情報に対して、いずれのワークに起因するものであるかを特定するためのワーク識別情報を決定する。具体的には、ワーク識別モジュール270は、複数のルール2711,2721,…と、対応するカウンタ2712,2722,…とを含む。
【0084】
複数のルール2711,2721,…は、入力されたイベント情報がいずれの設備から生じたものであるかを判断するためのものであり、イベント情報に含まれる各設備固有の特徴を定義している。
図8に示すようなイベント情報451A,452A,453A,454A,…が入力される場合には、送信元フィールド4503に格納されるそれぞれの識別情報、および、イベント内容フィールド4502に格納される内容が指定されている。
図9に示すルール2711は、例えば、設備1の処理開始のイベント情報を検出するためのものであり、例えば、送信元フィールド4503に「[From_Facility_01]」を含み、かつ、イベント内容フィールド4502に「加工サイクルが始まりました。」を含む、といった条件が定義される。
【0085】
入力されたイベント情報がいずれかのルールに合致すると、対応するカウンタがインクリメントされるとともに、当該入力されたイベント情報にインクリメント後のカウント値が関連付けられる。例えば、
図9のイベント情報格納部260に第1列に格納されているイベント情報461(設備1の処理開始を示すイベント情報)には、ワーク識別情報として「0002」が関連付けられており、その後に、イベント情報462(イベント情報461と同様に、設備1の処理開始を示すイベント情報である)が入力されると、当該入力されたイベント情報462は、イベント情報461を生じさせたワークに後続する別のワークによって生じたものと判断できる。そのため、ワーク識別情報「0002」が関連付けられたワークとは別のワーク識別情報「0003」がイベント情報462に関連付けられる。このように、収集解析サーバ装置250(ワーク識別モジュール270)は、同一の発生元から同一の内容のイベント情報を複数回受信すると、それぞれを異なるワークに起因したイベント情報に分類する。
【0086】
以上のようなワーク識別情報を付与する処理が実施されて、発生する時間の異なる複数種類のイベント情報が、いずれのワークによって生じたものであるかが特定される。このように、収集解析サーバ装置250(ワーク識別モジュール270)は、1または複数の設備の製造ライン100における構成に応じた複数のルール2711,2721,…を予め用意しておき、これらのルールを適用することで、収集されたイベント情報を分類する。
【0087】
説明の便宜上、
図9には、それぞれのルールについて、ワーク識別情報がそれぞれインクリメントされる構成を例示したが、このようなインクリメントの方式に限らず、ワーク識別情報としては、複数のワーク同士をそれぞれ識別でき、かつ、同一のワークによって生じた一連のイベント情報を特定できる方法であれば、どのような手法を採用してもよい。
【0088】
上述したワーク識別情報を付与する処理は、逐次的またはバッチ的に実施されてもよい。例えば、イベント情報を受信するたびに処理を実施してもよいし、所定数のイベント情報が蓄積されたことを条件に処理を開始してもよい。
【0089】
図10は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理を実現するための解析処理の一部を説明するための模式図である。収集解析サーバ装置250は、分類されたイベント情報のグループの各々に属するイベント情報に基づいて、ワーク毎の処理状況を示すデータを生成する。
【0090】
より具体的には、収集解析サーバ装置250は、
図9に示すイベント情報格納部260に格納された情報を、ワーク識別情報フィールド2602に格納されたワーク識別情報をキーにしてグルーピングする。すると、
図10に示すような、ワーク毎の処理状況を示すデータの一例として、ワーク識別情報毎のイベント情報セット280が生成される。すなわち、収集解析サーバ装置250は、同一のワーク識別情報が関連付けられたイベント情報のセットを生成する。
図10に示すようなイベント情報セット280をワーク識別情報毎に生成することで、ワーク毎の工程の進捗実績などを特定することができる。
【0091】
図10には、イベント情報セット280がグルーピングされた状態を図示するが、現実の実装形態としては、任意の手法を採用できる。例えば、イベント情報に付与される何らかの識別情報を用いて、互いに関連付けるイベント情報を暗示的に指定してもよい。
【0092】
図11は、
図10に示すワーク識別情報毎のイベント情報セット280に対する処理を説明するための模式図である。イベント情報セット280を展開することで、例えば、
図11に示すようなトラッキングデータベース290を生成できる。トラッキングデータベース290には、ワーク毎に、製造ライン100に設置された複数の設備の各々における処理開始および処理完了の日時が格納される。
【0093】
図10および
図11には、説明の便宜上、トラッキングデータベース290として単純化されたテーブル構造の例を示すが、現実の実装形態としては、任意のデータ構造を採用できる。
【0094】
収集解析サーバ装置250は、オーダ情報400に含まれる時刻の情報に基づいて、分類された集合が属するオーダ番号および当該オーダ内のワーク番号を特定する。より具体的には、収集解析サーバ装置250は、トラッキングデータベース290とオーダ情報400とを比較することで、トラッキングデータベース290の各ワークがいずれのオーダ番号に属し、当該オーダ番号の何番目のワークであるかを特定する。
図11に示すように、例えば、オーダ情報400は、各オーダの内容に加えて、各オーダの開始時刻および完了時刻を実績値として含み得る。なお、開始時刻および完了時刻は、自動または手動にて、生産管理サーバ装置に入力される。
【0095】
より具体的には、収集解析サーバ装置250は、イベント情報セット280に含まれるいずれかのワークについての設備1の処理開始時刻とオーダ情報400に含まれる開始時刻とを比較することで、あるオーダについての処理が開始された後に、設備1での処理が開始されたワークを特定する(
図11の(1)比較および(2)オーダ番号決定)。
図11に示す例では、オーダ番号「A0001」についての処理が開始された直後に、ワーク識別番号「0002」が付与されたワークに対する設備1での処理が開始されているので、ワーク識別番号「0002」のワークがオーダ番号「A0001」の先頭のワークであることが特定される。収集解析サーバ装置250は、特定したオーダ番号「A0001」を対象のワークに関連付けるとともに、先頭のワークから順にワーク番号を付与する(
図11の(3)先頭ワーク決定および(4)ワーク番号付与)。このワーク番号の付与は、オーダ情報400を参照して、対応するワーク番号について指示されている数量(
図11に示す例では、「50」)に到達するまで連続的に行われる。
【0096】
以上のような一連の処理によって、オーダ単位で生産管理がなされる製造現場であっても、より細かい生産管理を実現可能な管理システム1を実現できる。
【0097】
(f3:(4)視覚化処理)
次に、
図10に示すイベント情報セット280および
図11に示すトラッキングデータベース290などを用いて、任意のオーダに含まれる任意のワーク(個体)に対する工程の進行状況を示す情報などを視覚化する処理について説明する。
【0098】
図12は、本実施の形態に係る管理システム1によって提供される解析結果を視覚化した一例を示す模式図である。収集解析サーバ装置250は、生成されるトラッキングデータベース290に基づいて、オーダ情報400に従って処理される各ワークに対する処理の進捗状況を視覚化する。
【0099】
一例として、収集解析サーバ装置250は、
図12に示すようなタイムチャート500を端末装置300(
図1参照)へ提供する。タイムチャート500では、製造ライン100での工程(各設備)の進捗状況が横軸に設定されており、各工程での処理が開始および完了した日時(または、時刻)が縦軸に設定されている。すなわち、収集解析サーバ装置250は、製造ライン100における各ワークの処理進捗を、工程に対応付けられた軸と時間の軸とで定義される平面上に再現する。製造ライン100の管理者などは、このようなタイムチャート500を参照することで、製造ライン100におけるオーダに基づく製造の進捗状況をより詳細に把握することができ、また、製造ライン100における問題部位(すなわち、ボトルネック)などを容易に特定することもできる。
【0100】
図12に示すタイムチャート500には、表示されている各ワークのワーク番号502、および、各ワークが属するオーダ番号504が併せて表示されてもよい。なお、
図12に示すタイムチャート500は、リアルタイムに表示されてもよい。すなわち、いずれかの設備からイベント情報が通知されるたびに、
図8〜
図11に示すような収集処理および解析処理を実行し、タイムチャート500の表示内容を都度更新するようにしてもよい。このようなリアルタイム表示を実現することで、製造ライン100の現在の状況を容易に把握することができる。
【0101】
図13は、
図12に示されるタイムチャート500から展開して表示されるログ情報の一例を示す図である。
図12においてカーソル506を操作して、いずれかのワークのタイムチャートが選択されると、
図13に示すように、当該選択されたワークに関連付けられたイベント情報が一覧表示されてもよい。
図13に示される一覧表示は、
図10に示される複数のイベント情報セット280のうち、選択されたワークに対応するものが抽出されることで提供される。すなわち、収集解析サーバ装置250は、選択されたワークに対応する集合に分類されたイベント情報を一覧表示する。
【0102】
図12および
図13に示す視覚化例に限られず、収集処理および解析処理により得られた情報を管理者などのユーザへ提示するための任意の表示態様を採用することができる。
【0103】
(f4:補間処理)
上述の説明においては、製造ライン100に設置された複数の設備の各々が処理開始および処理完了のイベント情報を通知する構成について例示した。但し、現実問題として、すべての設備が常に処理開始および処理完了のイベント情報を通知できるとは限らない。このような場合には、生成されたトラッキングデータベース290に含まれる情報を用いて、不足しているイベント情報が発生したであろう時刻などを補間(あるいは、推定)するようにしてもよい。
【0104】
図14は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理を実現するための補間処理を説明するための模式図である。
図14には、一例として、設備2の処理完了がイベント情報として通知されない場合に生成されるトラッキングデータベース290Aを示す。
【0105】
例えば、設備2の処理完了は、設備2の処理開始後であって、設備3の処理開始前に行われるので、トラッキングデータベース290Aにおいて、設備2の処理開始の時刻と、設備3の処理開始の時刻とから、設備2の処理完了の時刻を補間あるいは推定するようにしてもよい。このとき、製造ライン100における設備2と設備3との位置関係、および、コンベア110の運搬速度などの情報も参照しつつ、設備2の処理完了の時刻を補間することが好ましい。
【0106】
(f5:関連情報の利用)
製造ライン100での工程(各設備)における状況をより詳細に把握するために、
図11に示すトラッキングデータベース290(または、
図12に示すタイムチャート500)を利用して、各ワークの工程進捗に対応する関連情報を対応付けてもよい。
【0107】
図15は、本実施の形態に係る管理システム1における関連情報を利用する処理を説明するための模式図である。
図15を参照して、例えば、
図12に示すタイムチャート500と設備1の温度実績チャート510とは、同一の時間軸上に配置されている。タイムチャート500によれば、ワーク番号が「01」のワークは、時刻t1〜時刻t2の間に設備1内に存在していることがわかる。そこで、温度実績チャート510において、時刻t1〜時刻t2の区間の温度実績を当該ワークに関連付けて格納してもよい。このような対応する各種情報を関連付けることで、各ワークについての生産管理をより詳細に行うことができる。
【0108】
また、上述の
図14に示す補間処理において、例えば、ワークを運搬するコンベア110の速度実績のうち、対応する区間の速度実績を用いて、所定の設備へのワークの到達時刻を推定してもよい。
【0109】
(f6:処理手順)
次に、上述した個体管理処理を実現するための処理手順について説明する。
図16は、本実施の形態に係る管理システム1における個体管理処理に係る処理手順を示すフローチャートである。
図16に示す各ステップは、典型的には、中継サーバ装置200および収集解析サーバ装置250の各々において、プロセッサが処理プログラムを実行することで実現される。
【0110】
図16を参照して、中継サーバ装置200は、いずれかの設備を制御するPLCまたはいずれかの設備に固有の装置からイベント情報を受信したか否かを判断する(ステップS100)。何らのイベント情報も受信していなければ(ステップS100においてNO)、ステップS100以下の処理が繰返される。
【0111】
一方、何らかのイベント情報を受信していれば(ステップS100においてYES)、中継サーバ装置200は、受信したイベント情報に必要な情報を付加して、収集解析サーバ装置250へ送信する(ステップS102)。すなわち、中継サーバ装置200は、受信したイベント情報に対して前処理を実施する。そして、ステップS100以下の処理が繰返される。
【0112】
収集解析サーバ装置250は、中継サーバ装置200からイベント情報を受信したか否かを判断する(ステップS200)。何らのイベント情報も受信していなければ(ステップS200においてNO)、ステップS200以下の処理が繰返される。
【0113】
一方、何らかのイベント情報を受信していれば(ステップS200においてYES)、収集解析サーバ装置250は、受信したイベント情報を格納し(ステップS202)、格納したイベント情報の発生元およびその内容に基づいて、ワーク識別情報を決定し、決定したワーク識別情報を当該イベント情報に関連付ける(ステップS204)。
【0114】
続いて、収集解析サーバ装置250は、解析処理を進める条件が満たされているか否かを判断する(ステップS206)。イベント情報を受信毎に解析処理を実行する場合には、この解析処理を進める条件としては、新たなイベント情報を受信したか否かという条件を用いることができる。あるいは、所定数のイベント情報が収集された上で解析処理を進める場合には、この解析処理を進める条件としては、未処理のイベント情報が所定数だけ収集されたか否かという条件を用いることができる。すなわち、解析処理を進める条件を適切に設定することで、解析処理の実行頻度を調整することができる。
【0115】
解析処理を進める条件が満たされていなければ(ステップS206においてNO)、処理はステップS212へ進む。
【0116】
解析処理を進める条件が満たされていれば(ステップS206においてYES)、収集解析サーバ装置250は、同一のワーク識別情報が付与されたイベント情報を抽出し、ワーク識別情報毎にイベント情報セット(
図10参照)を生成または更新する(ステップS208)。そして、収集解析サーバ装置250は、イベント情報セット280を展開して、トラッキングデータベース(
図11参照)を生成または更新する(ステップS210)。
【0117】
さらに、収集解析サーバ装置250は、いずれかの端末装置300から解析結果の要求を受信したか否かを判断する(ステップS212)。いずれの端末装置300からも解析結果の要求を受信していなければ(ステップS212においてNO)、ステップS200以下の処理が繰返される。
【0118】
いずれかの端末装置300から解析結果の要求を受信していれば(ステップS212においてYES)、収集解析サーバ装置250は、ステップS210において生成したトラッキングデータベースに基づいて、解析結果を視覚化して要求元の端末装置300へ送信する(ステップS214)。ステップS214において提供される視覚化された解析結果は都度更新されるようにしてもよい。そして、ステップS200以下の処理が繰返される。
【0119】
<G.フィールド情報の収集処理>
上述の説明においては、任意のオーダに含まれる任意のワーク(個体)に対する工程の進行状況を示す情報、および、工程の進行を推認可能な情報の少なくとも一方を含む「イベント情報」に基づく個体管理処理について説明した。本実施の形態に係る管理システム1では、それぞれの設備に配置されているPLCまたは各設備に固有の装置から、イベント情報以外の情報も収集することが可能である。以下では、PLCまたは各設備に固有の装置によって取得または管理される情報(以下、「フィールド情報」とも称す。)を収集して、各種解析処理に利用する形態について説明する。
【0120】
(g1:PLCの構成例)
本実施の形態において、「フィールド情報」は、各設備でのワークの処理に直接的または間接的に関連する情報の総称を意味し、「イベント情報」を含む場合もある。「フィールド情報」としては、例えば、各設備に配置されている任意のセンサの検出結果(入力信号)、任意のアクチュエータへの出力指令(出力信号)、任意の装置のステータス、ユーザ操作の履歴などを含み得る。本実施の形態に従う管理システム1は、1または複数の設備で取得されるフィールド情報を収集する。
【0121】
図17は、本実施の形態に係る管理システム1で用いられるフィールド情報の収集に係るPLCのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図17を参照して、例えば、設備1を制御するPLC111は、演算ユニット120と並列に接続される1または複数の機能ユニット130に加えて、フィールドバス150を介して接続される1または複数のリモートIO装置121を含み得る。リモートIO装置121は、通信ユニット140および1または複数の機能ユニット130からなる。
【0122】
機能ユニット130の各々は、典型的には、デジタル信号を受け取るDI、または、アナログ信号を受け取るAIといった機能を有しており、制御対象の設備からのフィールド情報を収集する。例えば、機能ユニット130には、ワークの位置・高さなどを計測する変位センサ、ワークの到着などを検知する光電センサなどが接続される。リモートIO装置121の機能ユニット130によって収集されたフィールド情報は、フィールドバス150を介して、周期的またはイベント的に演算ユニット120へ伝送される。
【0123】
リモートIO装置121は、演算ユニット120からの指令に応答して、接続されている機能ユニット130自体の型式情報、機能ユニット130に接続されているセンサの型式情報、センサの現在の設定値、センサの自己診断情報や計測データ(例えば、光電センサの受光量など)、機能ユニット130の現在の設定値(レンジ幅、しきい値など)を演算ユニット120へ送出することもできる。
【0124】
設備2を制御するPLC112および図示しない他のPLCについても同様の構成を採用してもよい。但し、すべてのPLCにリモートIO装置を設ける必要はなく、収集対象となったフィールド情報の数および種類などに応じて、リモートIO装置が配置される。
【0125】
PLC(本体部)に接続された機能ユニット130およびリモートIO装置に接続された機能ユニット130により収集されたフィールド情報は、上述のイベント情報と同様に、ローカルネットワーク116を介して中継サーバ装置200(
図1参照)へ送信される。フィールド情報は、PLCから中継サーバ装置200へ周期的に送信されてもよいし、中継サーバ装置200からのイベントに応答して中継サーバ装置200へ送信されてもよい。
【0126】
また、所定期間分のフィールド情報をPLCにて一旦蓄えた上で、それらをまとめて送信するようにしてもよいし、フィールド情報を収集するたびに送信するようにしてもよい。あるいは、フィールド情報をイベント的に送信する場合には、中継サーバ装置200にて指定されたフィールド情報のみを選択的に送信するようにしてもよい。
【0127】
(g2:データ収集処理)
PLCまたは各設備に固有の装置により収集されたフィールド情報は、中継サーバ装置200を経て、収集解析サーバ装置250にて収集される。以下、収集解析サーバ装置250でのデータ収集処理について説明する。
【0128】
収集解析サーバ装置250では、フィールド情報の各値を収集時刻に関連付けて順次格納する。
図18は、本実施の形態に係る管理システムにおいて収集されるフィールド情報の一例を示す模式図である。
図18を参照して、例えば、収集解析サーバ装置250に収集されるフィールド情報データベース700は、フィールド情報の各々に付与されたタグ名710の別に、収集された時刻に関連付けて、それぞれの値712が順次格納される。なお、フィールド情報の種類、センサの種類、PLCの性能などに応じて、フィールド情報のサンプリング周期(収集周期)が同一とは限らない。そのため、フィールド情報データベース700には、フィールド情報を収集できない期間が存在し得る。そのような場合であっても、後述するような各種解析処理は実行可能である。なお、フィールド情報が欠落している期間については、その前後のフィールド情報を用いて補間することで、一連のフィールド情報を形成するようにしてもよい。
【0129】
フィールド情報データベース700に格納されるフィールド情報701(タグ:001−0001)は、例えば、ワークの到着などを検出する光電センサの検出結果に相当し、ワークを検出すると「ON」を示し、それ以外の状況において「OFF」を示す。
【0130】
フィールド情報データベース700に格納されるフィールド情報702および703(タグ:001−0002および001−0003)は、例えば、ワークの大きさなどを検出する変位センサの検出結果に相当し、検出対象のワークがその検出視野に入ると、検出結果(アナログ値)を出力する。
【0131】
(g3:関連付け処理)
収集解析サーバ装置250は、
図18に示すようなフィールド情報データベース700を収集するとともに、解析処理を実行する。この解析処理の一例として、収集解析サーバ装置250は、収集されたフィールド情報を対応するワークに関連付ける処理を実行する。
【0132】
図19は、本実施の形態に係る管理システムにおけるフィールド情報に対する関連付け処理の一例を説明するための模式図である。
図19を参照して、収集解析サーバ装置250は、先にまたは並列的に実行する個体管理処理の結果を用いて、フィールド情報データベース700に含まれるフィールド情報を対応するワークに関連付ける処理を実行する。
図19に示す例では、フィールド情報データベース700に含まれる各フィールド情報が設備1からのものであるとする。このようなフィールド情報に対して、上述の
図11に示すような各ワークについての設備毎の処理開始および処理完了の日時を適用することで、
図19に示すように、時系列に並んだ1または複数のフィールド情報のうち、いずれの範囲が特定のワークに起因するのかを特定することができる。
図11に示す例では、オーダ番号「A0001」のワーク識別番号「0002」のワークに対する設備1での処理が「2015/09/01 09:00:15」から開始されたとの個体管理処理での結果に基づいて、「2015/09/01 09:00:15」以降のフィールド情報を当該ワークに関連付ける処理が実行される。他のワークおよび他の設備についても、
図19に示すのと同様の手順によって、各ワークに関連付けられるフィールド情報が特定される。
【0133】
(g4:表示処理)
上述の関連付け処理によって、各ワークに関連付けられるフィールド情報の範囲が特定される。この特定されたフィールド情報を、よりユーザフレンドリな態様で表示することが好ましい。
【0134】
図20は、本実施の形態に係る管理システムにおけるフィールド情報の表示処理の一例を示す模式図である。
図20(A)には、製造ライン100での工程(各設備)の進捗状況が横軸に設定され、各工程での処理が開始および完了した日時(または、時刻)が縦軸に設定されているタイムチャート500の一例を示す。
図20(A)に示すタイムチャート500上で、ユーザがカーソル506を操作して、いずれかのワークの目的の設備での処理を示す区間(
図20(A)に示す例では、「ワーク_02」が設備1で処理されている区間)を選択すると、
図20(B)に示すように、選択された区間において取得されたフィールド情報のタイムチャート520が表示される。すなわち、収集解析サーバ装置250は、視覚化処理において、ワークの選択に応答して、関連付けられているフィールド情報を表示する。
【0135】
タイムチャート520では、
収集されている1または複数のフィールド情報が時間軸上を共通にして比較可能な態様で表示される。なお、
図20(B)に示すような表示態様に限らず、複数のフィールド情報を重ねて表示するようにしてもよい。
【0136】
タイムチャート520には、表示されるフィールド情報に付与されるタグ名522、および、予め設定されているセンサ名などの付帯情報524が、対応するフィールド情報の時間波形に加えて表示されてもよい。
【0137】
図20に示すように、各ワークのマクロ的な挙動とミクロ的な挙動との関連付けられた切り替えを採用することで、製造ライン100の管理者などは、製造ライン100におけるオーダに基づく製造の進捗状況をより詳細に把握することができるとともに、製造ライン100における問題部位(すなわち、ボトルネック)などを詳細に検討することもできる。
【0138】
(g5:傾向監視処理)
上述の関連付け処理によって、各ワークに関連付けられるフィールド情報の範囲が特定される。その結果、例えば、各ワークに対して処理開始から所定期間内に生じる局所的なフィールド情報の変化などを、ワーク毎に収集することができる。例えば、ある設備での処理開始から数秒間だけ動作するような装置から収集されるフィールド情報を、複数のワークにわたって比較することで、当該設備の劣化傾向などを予測することができる。
【0139】
図21は、本実施の形態に係る管理システムにおけるフィールド情報を用いた傾向監視処理の一例を説明するための模式図である。
図21には、例えば、ある設備においてワークを吸着する装置の吸着圧(動作時の平均値)を処理されたワークの順に並べて表示したものである。すなわち、ワーク番号が横軸に設定され、吸着圧が縦軸に設定されている。
【0140】
図21に示すようなワーク毎の吸着圧のプロット値から吸着圧についての劣化傾向特性を算出することができる。算出した劣化傾向特性に基づいて、予め定められた劣化レベル(caution値、damage値など)に到達するまでのワーク数などを推定することができる。すなわち、何らかの保守作業が必要になるまでに処理可能なワーク数などを推定することができる。なお、caution値は、取得されたフィールド情報に対応する装置またはプロセスが劣化傾向を示す第一段階のレベルを示し、このcaution値に到達すると、即座の対応は必ずしも必要ではないが、継続的な監視または近い将来での修理・交換が必要なことを意味する。damage値は、取得されたフィールド情報に対応する装置またはプロセスが劣化していることを示す第二段階のレベルを示し、このdamage値に到達すると、当該装置またはプロセスに対する修理・交換が必要なことを意味する。
【0141】
このように、収集解析サーバ装置250は、所定の設備における複数のワークにそれぞれ関連付けられたフィールド情報を比較することで、当該設備に生じ得る傾向を監視する監視機能を実装するようにしてもよい。このような機能を実装することで、設備故障が生じる前に各種処置を行なうことができ、不意に生じる設備故障の確率を低減できる。
【0142】
なお、傾向監視の機能に限らず、予め定められた劣化レベルに到達していることを監視および通知する機能を実装してもよい。
【0143】
<H.KPIの算出処理>
上述したように、本実施の形態に係る管理システム1は、オーダ管理の製造ライン100であっても、各オーダに含まれるワーク毎の個体管理を可能にする。このような個体管理によって、KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)を正確に算出することができる。以下、KPIの算出処理について説明する。
【0144】
本実施の形態に係る管理システム1は、ISO(International Organization for Standardization)−22400にて規定されているKPIを算出することができる。ISO−22400ではKPIとして34種類の指標が定義されており、管理システム1はいずれの指標も算出可能であるが、以下の説明では、製造ラインでの生産管理に用いられる以下の5種類の指標について説明する。
【0145】
(1)負荷度(Allocation ratio)
負荷度は、装置が適切に配置され最低限の時間内で効率的な生産を行えているかを測るための指標であり、実オーダ実行時間(AOET:Actual order execution time)に対する設備の実稼働時間(AUBT:Actual unit busy time)の比率を意味する。
【0146】
負荷度=装置の実稼働時間/実オーダ実行時間
(2)生産量(Throughput rate)
生産量は、装置が時間当たりに生産できる能力量を測る指標であり、実オーダ実行時間に対する設備の生産数を意味する。
【0147】
生産量=生産数/実オーダ実行時間
(3)品質率(あるいは、良品率)(Quality ratio)
品質率は、装置がよい製品をつくれているかの性能を測る指標であり、設備の良品生産量を意味する。
【0148】
品質率=良品数/生産数
(4)廃棄率(あるいは、不良品率)(Scrap ratio)
廃棄率は、装置がよい製品をつくれているかの性能を測る指標であり、設備の不良品生産量を意味する。
【0149】
廃棄率=不良品数/生産数
(5)手直し率(Rework ratio)
手直し率は、最終的には良品に回復できたとしても、後作業の追加による損失量を測る指標であり、設備の生産数に対する手直し数を意味する。
【0150】
手直し率=手直し数/生産数
なお、上述のISO−22400にて規定されているKPIに加えて、設備の生産数に対する廃棄率(Scrap ratio after rework)を算出するようにしてもよい。設備の生産数に対する廃棄率は、生産に失敗した生産ラインの損失量を測る指標である。
【0151】
設備の生産数に対する廃棄率=手直し後廃棄数/生産数
以下、図を参照しつつ、それぞれの指標の算出手順について説明する。
図22は、本実施の形態に係る管理システム1におけるKPIの算出処理を説明するための模式図である。
図22に示す製造ライン100は、ワークに対する各種処理工程を実行する設備1〜設備4が配置されており、これらの設備1〜設備4での処理工程後に、自動検査装置での検査および担当者による目視検査が実行されるものとする。
【0152】
(h1:負荷度の算出手順)
負荷度の算出には、実オーダ実行時間および装置の実稼働時間が必要となる。
【0153】
実オーダ実行時間は、あるオーダに従う生産に要した時間を意味するので、例えば、あるオーダに従って1番目のワークに対する製造ライン100での処理が開始された時刻から、当該オーダに従うすべてのワークに対する処理が完了した時刻までの期間とみなすことができる。すなわち、収集解析サーバ装置250は、収集されたイベント情報に基づいて、1または複数の設備の各々で各ワークに対して実際に処理が実施された時間に相当する設備の実稼働時間(AUBT)を算出する。
【0154】
図22に示す例では、例えば、あるオーダに従う1番目のワークが設備1の投入口を通過した時刻を実オーダ実行時間の起算点(
図22の「オーダ開始」)とし、当該オーダに従う最終のワークが設備4の排出口を通過した時刻を実オーダ実行時間の終了点(
図22の「オーダ完了」)とすることができる。
【0155】
本実施の形態に係る管理システム1は、ワーク毎の
個体管理を行っているので、装置の実稼働時間としては、各装置でのワーク単位の処理時間を算出することができる。
【0156】
図23は、本実施の形態に係る管理システム1における装置の実稼働時間の算出方法を説明するための模式図である。
【0157】
図23(A)を参照して、対象の装置が一度の1つのワークしか処理できない(すなわち、複数のワークを同時に処理できない)場合には、各ワークについて処理開始時刻から処理終了時刻までの期間を、当該ワークについての実稼働時間(AUBT_n)とみなすことができる。そのため、各装置の実稼働時間は、各ワークについての実稼働時間の総和(すなわち、ΣAUBT_n)として算出できる。
【0158】
このように、収集解析サーバ装置250は、同一のオーダ情報400に従って処理される1または複数のワークの各々について、対象の設備にて処理が開始されてから処理が完了するまでの期間の積算値から、実際に処理が実施された時間に相当する設備の実稼働時間を算出する。
【0159】
一方、
図23(B)を参照して、複数のワークを同時に処理できる装置については、各ワークについての実稼働時間を単純合計してしまうと、重複期間の分だけ誤った値が算出されてしまう。そのため、各装置の実稼働時間は、各ワークについての実稼働時間の総和(すなわち、ΣAUBT_n)から重複期間の総和(すなわち、Σ重複期間)を除いた値として算出してもよい。
【0160】
実際の装置の実稼働時間としては、装置が何らかの理由(部材供給待ち、段取り替え、何らかのトラブルの対処など)によって待機または停止している時間は除外される。通常、
図11に示すようなトラッキングデータベース290が生成できれば、このような停止時間はおのずから除外されるため、特段考慮する必要はない。但し、いずれかのワークの処理が開始されてから完了するまでの間に、何らかの理由で装置が停止した場合には、その停止期間は、トラッキングデータベース290に記録されないので、当該装置を制御するPLCからの情報、生産管理サーバ装置からの情報、処理開始時間と処理完了時間との差などに基づいて、待機または停止している時間を算出し、その算出した時間を用いて補正するようにしてもよい。
【0161】
以上のような手順によって、実オーダ実行時間および装置の実稼働時間が算出できるので、これらの値から負荷度を算出できる。すなわち、収集解析サーバ装置250は、オーダ情報400に従う処理に要した時間と、各ワークに対して実際に処理が実施された時間に相当する設備の実稼働時間とに基づいて、KPIとして定義される負荷度を決定する。
【0162】
なお、装置の実稼働時間は、製造ライン100に配置された装置毎にも算出できるし、製造ライン100全体としても算出できる。すなわち、本実施の形態に係る管理システム1を用いることで、製造ライン100に配置された装置毎の負荷度、および、製造ライン100全体についての負荷度のいずれについても算出することができ、管理者のニーズに応じて、選択的または両方を算出および提示するようにしてもよい。
【0163】
(h2:生産量)
生産量の算出には、実オーダ実行時間および生産数が必要となる。実オーダ実行時間の算出方法については、上述したので、ここでは説明は繰返さない。
【0164】
生産数については、複数の観点で定義することができるが、
図22に示す製造ライン100においては、設備1〜設備4での処理が完了したワークの数を(検査前の)生産数(PQ:Products Quantity)とする。すなわち、あるオーダに対して、設備4から排出されるワークの総数を生産数として算出することができる。
【0165】
以上のような手順によって、実オーダ実行時間および生産数が算出できるので、これらの値から生産量を算出できる。
【0166】
(h3:品質率/良品率)
品質率/良品率の算出には、生産数および良品数が必要となる。生産数の算出方法については、上述したので、ここでは説明は繰返さない。
【0167】
良品数については、複数の観点で定義することができるが、
図22に示す製造ライン100においては、自動検査装置にて「良品」と判断されたワークの数を(検査後であって、手直し前の)良品数(GQ:Good Quantity)とする。すなわち、あるオーダに対して、設備4から排出されるワークのうち、自動検査装置によって良品と判定された総数を良品数として算出することができる。
【0168】
以上のような手順によって、生産数および良品数が算出できるので、これらの値から品質率/良品率を算出できる。
【0169】
(h4:廃棄率/不良品率)
廃棄率/不良品率の算出には、生産数および不良品数が必要となる。生産数の算出方法については、上述したので、ここでは説明は繰返さない。
【0170】
不良品数については、複数の観点で定義することができるが、
図22に示す製造ライン100においては、自動検査装置にて「不良品」と判断されたワークの数を(検査後であって、手直し前の)不良品数(SQ:Scrap Quantity)とする。すなわち、あるオーダに対して、設備4から排出されるワークのうち、自動検査装置によって不良品と判定された総数を不良品数として算出することができる。
【0171】
以上のような手順によって、生産数および不良品数が算出できるので、これらの値から廃棄率/不良品率を算出できる。
【0172】
(h5:手直し率)
手直し率の算出には、生産数および手直し数が必要となる。生産数の算出方法については、上述したので、ここでは説明は繰返さない。
【0173】
手直し数については、複数の観点で定義することができるが、
図22に示す製造ライン100においては、自動検査装置にて「不良品」と判断されたワークのうち、担当者による目視検査の結果、軽微な不具合と判断されて手直しされたワークの数を手直し数(RQ:Rework Quantity)とする。すなわち、あるオーダに対して、自動検査装置によって不良品と判定されたワークのうち、手直しされたワークの数を手直し数として算出することができる。
【0174】
以上のような手順によって、生産数および手直し数が算出できるので、これらの値から手直し率を算出できる。
【0175】
(h6:設備の生産数に対する廃棄率)
設備の生産数に対する廃棄率の算出には、生産数および手直し後廃棄数が必要となる。生産数の算出方法については、上述したので、ここでは説明は繰返さない。
【0176】
手直し後廃棄数については、複数の観点で定義することができるが、
図22に示す製造ライン100においては、自動検査装置にて「不良品」と判断されたワークのうち、担当者による目視検査の結果、軽微な不具合と判断されて手直ししたものの、不具合を解消することができず、最終的に廃棄されたワークの数を手直し後廃棄数とする。すなわち、あるオーダに対して、自動検査装置によって不良品と判定されたワークのうち、手直しを試みたものの、良品にすることができなかったワークの数を手直し後廃棄数として算出することができる。
【0177】
以上のような手順によって、生産数および手直し後廃棄数が算出できるので、これらの値から設備の生産数に対する廃棄率を算出できる。
【0178】
<I.製造ライン間の比較>
上述の説明では、1つの製造ラインに関して、各オーダに含まれるワーク毎の個体管理の方法、および、KPIを算出する方法などについて説明したが、管理システム1が複数の製造ラインを管理するようにしてもよい。特に、KPIは、国際的な標準規格に従って算出される指標であり、製造ラインの間、および、1または複数の製造ラインを含む工場(製造拠点)間で比較することで、各製造ラインの問題点などの追求を容易化できる。
【0179】
図24は、本実施の形態に係る管理システム1Aの構成例を示す模式図である。
図24を参照して、管理システム1Aにおいて、収集解析サーバ装置250は、複数の製造ライン100A〜100Cに関連付けられており、複数の製造ライン100A〜100Cの各々からのイベント情報を収集および解析し、製造ライン毎の解析結果を端末装置300へ提供する。
【0180】
製造ライン100A〜100Cにそれぞれ配置された中継サーバ装置200A〜200Cが担当するPLCからのイベント情報に必要な情報を付加して、収集解析サーバ装置250へ送信する。
【0181】
収集解析サーバ装置250は、製造ライン100A〜100Cの各々について解析結果を生成し、それらを比較可能な態様で端末装置300へ提供してもよい。
【0182】
なお、
図24に示す複数の製造ライン100A〜100Cは、同一の工場内に配置されている場合もあるし、複数の異なる製造拠点にそれぞれ配置されている場合もある。また、ネットワークを介して必要な情報が遣り取りされるので、複数の製造拠点は複数の国や地域に跨っていてもよい。
【0183】
さらに、データ匿名化手法を組み合わせることで、異なる会社・組織がそれぞれ保有する製造ライン・工場間でのKPIなどの比較を行うようにしてもよい。
【0184】
<J.ユーザインターフェイス>
次に、収集解析サーバ装置250が端末装置300に対して提供する解析結果のユーザインターフェイスの一例について説明する。以下に例示するユーザインターフェイスは、
図1に示すような単一の製造ラインを管理する場合も適用可能であるし、
図24に示すような複数の製造ラインを管理する場合も適用可能である。
【0185】
図25〜
図28は、本実施の形態に係る管理システム1が提供するユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。一例として、本実施の形態に係る管理システム1は、
図25〜
図28に示すようなユーザインターフェイス画面600A〜600Cを端末装置300などへ提供する。ユーザインターフェイス画面600A〜600Cは、画面下部のタブ601〜603を選択することで、表示を自在に切り替えることができるようになっていてもよい。
【0186】
図25を参照して、タブ601を選択することで表示されるユーザインターフェイス画面600Aは、管理対象の製造拠点(あるいは、製造ラインまたは工場)の各々におけるKPIを表示する。なお、ユーザインターフェイス画面600A〜600Cには、A工場およびB工場が管理対象である例を示す。
【0187】
より具体的には、ユーザインターフェイス画面600Aは、A工場についてのKPIの各々を円グラフおよび数値を用いて表示するKPI表示領域611と、B工場についてのKPIの各々を円グラフおよび数値を用いて表示するKPI表示領域612とを含む。
【0188】
KPIとしては上述した5つの指標が、A工場とB工場との間でそれぞれ対比可能な態様で表示されている。
図25に示すように、KPIの各指標を製造拠点間で対比することで、管理者は、設備改善の対象とすべき製造拠点および装置などを容易に特定することができる。補足情報として、マップ画面608内にA工場およびB工場の位置がマークされている。
【0189】
このように、収集解析サーバ装置250は、KPIにて定義される複数の指標を表示する表示機能を有している。この表示機能では、典型的には、複数の指標が並べてまたは重ねて表示される。また、この表示機能は、複数の製造ラインの各々に関して算出されるKPIにて定義される指標を並べてまたは重ねて表示することも可能になっている。
【0190】
図26を参照して、タブ602を選択することで表示されるユーザインターフェイス画面600Bは、管理対象の製造拠点のうち選択された製造拠点におけるKPIの詳細を表示する。より具体的には、ユーザインターフェイス画面600Bにおいては、
図25のKPI表示領域611と同様にKPIの各指標の現在値(あるいは、いずれかの期間について算出された値)が表示されるとともに、KPIの各指標のトレンド値(過去の実績値)621がグラフ表示される。このグラフ表示では、共通の時間軸が設定されており、KPIの各指標の時間的変化を互いに比較することができる。
【0191】
ユーザインターフェイス画面600Bは、製造拠点を選択するためのチェックボックス群605を含み、ユーザが選択した1または複数の製造拠点についてのKPIの各指標を並べて表示することも可能になっている。
【0192】
図27に示すように、ユーザインターフェイス画面600Bに含まれるチェックボックス群605において、複数のチェックボックスが選択されると、複数の製造拠点についてのKPIの各指標を重ねて表示することも可能になっている。より具体的には、それぞれの製造拠点について、KPIの各指標のトレンド値(過去の実績値)621が指標毎に同一座標上にグラフ表示される。このグラフ表示では、共通の時間軸が設定されており、KPIの各指標の時間的変化を製造拠点間で互いに比較することができる。
【0193】
また、KPI表示領域611には、KPIの各指標の現在値(あるいは、いずれかの期間について算出された値)が製造拠点間で対比できるように並べて表示される。KPI表示領域611に表示されるKPIの各指標の値は、実質的に同一のタイミングで算出または取得された値とすることが好ましい。
【0194】
図28を参照して、タブ603を選択することで表示されるユーザインターフェイス画面600Cは、何らかの不具合などが生じた場合に、その原因分析を支援するための情報を提供する。具体的には、ユーザインターフェイス画面600Cは、各種条件を指定するためのチェックボックス群630を含み、チェックボックス群630のうちユーザが選択した条件に合致するイベント情報がログ表示エリア640に一覧表示される。
【0195】
管理者は、ログ表示エリア640に一覧表示されるイベント情報を参照して、対象の不具合が生じた理由を特定することができる。
【0196】
以上のようなユーザインターフェイス画面600A〜600Cを管理者などに提供することで、製造現場で何が起きているのかをリアルタイムでの把握することができるともに、共通の指標であるKPIを用いて他の製造拠点との間で生産性などを比較することで、将来的な設備投資の計画立案などを効率的に行うことができる。
【0197】
<K.まとめ>
以下、本発明に含まれ得るいくつかの局面についてまとめる。
【0198】
(1)個体管理
同一種類のワークを所定数ずつまとめた「オーダ」と称される単位での生産管理が行われる場合には、あるオーダ単位中に何らかの不具合が生じたとしても、そのオーダに含まれる複数のワークのうち、いずれのワークに不具合が生じたのかを容易に把握することができない。
【0199】
そのため、オーダ単位で生産管理がなされる製造現場であっても、より細かい生産管理を実現可能な管理システムが要望されている。
【0200】
このような要望に対して、1または複数の設備を含む製造ラインに関連付けられた管理システムが提供される。この管理システムにおいて、1または複数の設備の各々は、製造対象の種別の指定および製造対象の個数の指定を含むオーダ情報に従って個々のワークを処理するように構成されている。この管理システムは、1または複数の設備の各々で生じる処理に関するイベント情報を収集する収集機能と、収集機能により収集されたイベント情報を、各イベント情報の発生元および内容に基づいて、同一のワークに起因して生じたイベント情報の集合に分類する分類機能と、分類機能により分類された集合の各々に属するイベント情報に基づいて、ワーク毎の処理状況を示すデータを生成する生成機能と、生成機能により生成されるデータに基づいて、オーダ情報に従って処理される各ワークに対する処理の進捗状況を視覚化する視覚化機能とを有する。
【0201】
上述の管理システムを採用することで、オーダ単位に含まれるワーク単位での生産管理を容易化することができる。
【0202】
(2)KPI算出
従来から、製造ラインの生産性を評価する手法および指標として様々なものが提案されているが、製造ラインまたは企業に独自のものであることが多く、他の製造ラインに対する相対的な評価、例えば、他の製造ラインに対して生産性が高いまたは低いといった評価を行うことは容易ではなかった。そのため、そもそも異なる会社同士で、類似した生産ラインの生産性を比較するようなことはこれまで不可能であった。そのため、各製造現場を客観的に評価および管理できる管理システムが要望されている。
【0203】
このような要望に対して、1または複数の設備を含む製造ラインに関連付けられた管理システムが提供される。この管理システムにおいて、1または複数の設備の各々は、製造対象の種別の指定および製造対象の個数の指定を含むオーダ情報に従って個々のワークを処理するように構成されている。この管理システムは、1または複数の設備の各々で生じたイベント情報を収集する収集機能と、収集手段により収集されたイベント情報に基づいて、1または複数の設備の各々で各ワークに対して実際に処理が実施された時間を算出する算出機能と、オーダ情報に従う処理に要した時間と算出手段により算出された時間とに基づいて、KPI(Key Performance Indicators)として定義される負荷度(Allocation ratio)を決定する決定機能とを含む。
【0204】
上述の管理システムを採用することで、国際的な標準規格に従って算出される指標であるKPIを用いて、各製造現場を客観的に評価および管理できる。
【0205】
(3)製造拠点間比較・製造ライン間比較・工場間比較
従来から製造現場では様々な改善活動が行われている。このような改善活動を行うにあたって、何らかの比較参考になる情報があると、いずれの設備に対して改善を行うことが有益であるかといった判断を助けになる。しかしながら、そのようなシステムはこれまでに存在していなかった。そのため、改善活動は、熟練者の経験に基づいて行われるようなことも多かった。
【0206】
このような要望に対して、1または複数の設備を含む製造ラインの複数に関連付けられた管理システムが提供される。この管理システムは、複数の製造ラインの各々で生じたイベント情報を収集する収集機能と、収集機能により収集されたイベント情報に基づいて、複数の製造ラインの各々についての指標(典型的には、KPIとして定義される指標)を算出する算出機能と、算出された複数の製造ラインの各々についての指標を並べて表示する表示機能とを有する。
【0207】
(4)収集処理および解析処理の応用
上述の説明では、オーダ単位で生産管理がなされる製造現場において、各オーダに含まれるワーク毎の生産管理を行う場合について例示したが、既に個体管理が行われている製造現場であっても、上述した収集処理および解析処理を適用することができる。すなわち、本実施の形態に係る管理システムでは、その発生元および内容が特定できるイベント情報を収集できれば、各ワークについての個体管理が可能であり、収集するイベント情報の一部または全部にオーダおよび各オーダ内のワークを特定する情報が含まれていても、上述した処理を実施可能である。
【0208】
本発明の他の局面については、当業者が本願明細書の全体を参酌すれば、容易に理解できるであろう。
【0209】
上述の管理システムを採用することで、改善活動を支援するための情報を提供できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。