特許第6443313号(P6443313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443313
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】樹脂製歯車の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/12 20060101AFI20181217BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B23F5/12
   F16H55/06
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-236692(P2015-236692)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-100257(P2017-100257A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】張 帥
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−112723(JP,A)
【文献】 実開昭54−71292(JP,U)
【文献】 実開昭51−73782(JP,U)
【文献】 特許第145990(JP,C2)
【文献】 実公昭16−18832(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00 − 23/12
F16H 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の樹脂粗形材の両端面を、製造する樹脂製歯車の断面形状に対応した外形を有する歯形治具で挟み込む工程と、
前記歯形治具で挟み込まれた前記樹脂粗形材の周面を歯切り加工する工程と、
を備える、樹脂製歯車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製歯車の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に樹脂製歯車を製造する際には、図3及び図4に示すように、円柱状の樹脂粗形材101の軸方向に刃具102を移動させることで、樹脂粗形材101の周面に歯切り加工を行う。
【0003】
ところで、特許文献1には、一次加工にて、二次加工時に弾性変形して切削できない刃先部を予め切削し、二次加工にて、ばらつき誤差の改善を実施することで、歯車精度を向上させる樹脂製歯車の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−216650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3に示すように、樹脂粗形材101の軸方向に刃具102を移動させることで、樹脂粗形材101の周面に歯切り加工を行う場合、図4に示すように、樹脂粗形材101に押込力I及び押込力IIが発生する。樹脂粗形材101はヤング率が低いため、押込力I及び押込力IIによって、図5及び図6に示すように、樹脂粗形材101が変形してしまう。ここで、図5及び図6では、実線で予め設定された歯車形状を示し、破線で変形した歯車形状を示している。そのため、一般的な樹脂製歯車の製造方法は、歯車の加工精度が低い課題を有する。
【0006】
ちなみに、特許文献1の樹脂製歯車の製造方法は、歯切り加工時の樹脂粗形材の変形による影響を抑制し得るが、歯切り加工時の樹脂粗形材の変形自体を抑制することはできず、やはり歯車の加工精度が低い課題を有する。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、高い加工精度で樹脂製歯車を製造する方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂製歯車の製造方法は、
円柱状の樹脂粗形材の両端面を、製造する樹脂製歯車の断面形状に対応した外形を有する歯形治具で挟み込む工程と、
前記歯形治具で挟み込まれた前記樹脂粗形材の周面を歯切り加工する工程と、
を備える。
このように樹脂粗形材を歯形治具で挟み込んで歯切り加工を行うので、歯切り加工時に樹脂粗形材の変形が抑制される。そのため、高い加工精度で樹脂製歯車を製造することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高い加工精度で樹脂製歯車を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、実施の形態の製造方法を適用して樹脂製歯車を製造する様子を模式的に示す図である。(b)は、実施の形態の製造方法に適用する第1の歯形治具を模式的に示す平面図である。(c)は、実施の形態の製造方法に適用する第2の歯形治具を模式的に示す下面図である。(d)は、実施の形態の製造方法に適用する樹脂粗形材を模式的に示す斜視図である。
図2】第1の歯形治具の外形と樹脂製歯車の外形との関係を示す図である。
図3】一般的な製造方法で樹脂製歯車を製造する様子を模式的に示す斜視図である。
図4図3のIV矢視図であり、一般的な製造方法で樹脂製歯車を製造する際の押込力を示す図である。
図5図3のV矢視図である。
図6図3のVI矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
図1(a)は、本実施の形態の製造方法を適用して樹脂製歯車を製造する様子を模式的に示す図である。図1(b)は、本実施の形態の製造方法で適用する第1の歯形治具を模式的に示す平面図である。図1(c)は、本実施の形態の製造方法に適用する第2の歯形治具を模式的に示す下面図である。図1(d)は、本実施の形態の製造方法に適用する樹脂粗形材を模式的に示す斜視図である。図2は、第1の歯形治具の外形と樹脂製歯車の外形との関係を示す図である。
【0013】
本実施の形態の製造方法では、図1(a)に示すように、歯切り加工装置1を用いる。先ず、歯切り加工装置1の構成を説明する。歯切り加工装置1は、第1の歯形治具2、第2の歯形治具3及び刃具4を備えている。
【0014】
第1の歯形治具2は、図1(b)に示すように、製造される樹脂製歯車の断面形状(即ち、樹脂製歯車の回転軸に対して直交する断面の形状)に対応する外形を有する板状部材である。例えば、第1の歯形治具2は、図2に示すように、製造される樹脂製歯車5の断面形状より1mm程度小さい外形を有する。このような第1の歯形治具2は、例えば、上下方向に移動可能であり、上面の中央に回転軸6の下端部が連結されている。
【0015】
第2の歯形治具3は、第1の歯形治具2と等しい。即ち、第2の歯形治具3も、図1(c)に示すように、製造される樹脂製歯車の断面形状に対応する外形を有する板状部材である。例えば、第2の歯形治具3は、製造される樹脂製歯車5の断面形状より1mm程度小さい外形を有する。このような第2の歯形治具3は、例えば、上下方向に移動可能であり、下面の中央に回転軸7の上端部が連結されている。
【0016】
刃具4は、樹脂粗形材8を切削して樹脂製歯車を切り出す切削部材である。刃具4は、上下方向及び樹脂粗形材8に接近並びに離間する方向に移動可能である。
【0017】
次に、歯切り加工装置1を用いて樹脂製歯車を製造する方法を説明する。先ず、樹脂粗形材8を当該樹脂粗形材8の軸方向から第1の歯形治具2と第2の歯形治具3とで挟み込む。即ち、第1の歯形治具2を下方に移動させて樹脂粗形材8の上面に接触させると共に、第2の歯形治具3を上方に移動させて樹脂粗形材8の下面に接触させる。
【0018】
ここで、樹脂粗形材8は、図1(d)に示すように、円柱形を基本形態としており、例えば、内部に回転軸が通される貫通孔8aが形成されている。なお、貫通孔8aが貫通する方向が樹脂粗形材8の軸方向である。
【0019】
次に、刃具4を樹脂粗形材8に接近させて下方に移動させることで歯切り加工を行う。このとき、樹脂粗形材8は第1の歯形治具2と第2の歯形治具3とで挟み込まれている。ここで、第1の歯形治具2及び第2の歯形治具3は、樹脂粗形材8を刃具4で歯切り加工した際に、樹脂粗形材8が略変形しない厚さとされている。そのため、刃具4による歯切り加工時に樹脂粗形材8の変形が抑制され、高い加工精度で樹脂製歯車5を製造することができる。また、第1の歯形治具2及び第2の歯形治具3は、樹脂製歯車5の断面形状に対応する外形に形成されているので、樹脂粗形材8を刃具4で歯切り加工する際に当該刃具4との干渉を抑制することができる。
【0020】
上述の歯切り加工が終了すると、次の歯切り加工を行うために、樹脂粗形材8を第1の歯形治具2と第2の歯形治具3とで挟み込んだ状態で回転軸6及び7を回転させて、次の歯切り加工を行い、樹脂粗形材8の周面全域で歯切り加工を繰り返すことで、樹脂製歯車5を製造する。
【0021】
このように本実施の形態の樹脂製歯車5の製造方法は、樹脂粗形材8を第1の歯形治具2と第2の歯形治具3とで挟み込んで歯切り加工を行うので、刃具4による歯切り加工時に樹脂粗形材8の変形が抑制される。そのため、高い加工精度で樹脂製歯車5を製造することができる。
【0022】
ここで、樹脂粗形材8を歯切り加工する前に、樹脂粗形材8を冷凍し、予めヤング率が高い状態とすることが好ましい。これにより、刃具4による歯切り加工時の樹脂粗形材8の変形をより抑制することができ、高い加工精度で樹脂製歯車5を製造することができる。
【0023】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、第1の歯形治具2及び第2の歯形治具3を上下動可能な構成としたが、少なくともいずれか一方の歯形治具が上下動可能な構成であればよい。
【符号の説明】
【0024】
1 加工装置
2 第1の歯形治具
3 第2の歯形治具
4 刃具
5 樹脂製歯車
6、7 回転軸
8 樹脂粗形材、8a 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6