【文献】
"Resolving issues related to Radio Link Monitoring on SCells",3GPP TSG-RAN2 Meeting #72 R2-106573,2010年11月19日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_72/Docs/R2-106573.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線リンクの問題に関する情報は、トリガ情報、端末識別子、セル識別子、ベアラ識別子、データ送受信状況、無線品質の測定情報、端末移動速度情報、及び端末位置情報のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の無線通信システム。
前記問題は、前記無線リンクの切断、呼切断、同期外れ、受信品質の低下、及びスループットの低下のうち少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の無線通信システム。
前記無線リンクの問題に関する情報は、前記問題が起こりそうであること、又は前記問題が起こっていたが回復したことを示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
前記問題に対処するための前記第1の無線局による制御は、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの回復制御、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの解放制御、及び前記第2のセルとは異なるセルでの前記無線端末の無線リンクの確立制御、のうち少なくとも1つを含む、請求項8に記載の無線通信システム。
前記無線リンクの問題に関する情報は、トリガ情報、端末識別子、セル識別子、ベアラ識別子、データ送受信状況、無線品質の測定情報、端末移動速度情報、及び端末位置情報のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載の第1の無線局。
前記問題に対処するための前記第1の無線局による制御は、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの回復制御、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの解放制御、及び前記第2のセルとは異なるセルでの前記無線端末の無線リンクの確立制御、のうち少なくとも1つを含む、請求項15に記載の第1の無線局。
前記無線リンクの問題に関する情報は、トリガ情報、端末識別子、セル識別子、ベアラ識別子、データ送受信状況、無線品質の測定情報、端末移動速度情報、及び端末位置情報のうち少なくとも1つを含む、請求項17に記載の第2の無線局。
前記問題に対処するための前記第1の無線局による制御は、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの回復制御、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの解放制御、及び前記第2のセルとは異なるセルでの前記無線端末の無線リンクの確立制御、のうち少なくとも1つを含む、請求項23に記載の第2の無線局。
前記無線リンクの問題に関する情報は、トリガ情報、端末識別子、セル識別子、ベアラ識別子、データ送受信状況、無線品質の測定情報、端末移動速度情報、及び端末位置情報のうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載の通信制御方法。
前記問題に対処するための前記第1の無線局による制御は、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの回復制御、前記第2のセルでの前記無線端末の無線リンクの解放制御、及び前記第2のセルとは異なるセルでの前記無線端末の無線リンクの確立制御、のうち少なくとも1つを含む、請求項29に記載の通信制御方法。
前記無線リンクの問題に関する情報は、トリガ情報、端末識別子、セル識別子、ベアラ識別子、データ送受信状況、無線品質の測定情報、端末移動速度情報、及び端末位置情報のうち少なくとも1つを含む、請求項31に記載の通信制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。本実施形態に係る無線通信システムは、第1の無線局1、第2の無線局2、及び無線端末3を含む。無線局1及び2は、コアネットワーク4に接続され、第1のセル10及び第2のセル20をそれぞれ運用する。無線局1及び2は、例えば、無線基地局、基地局制御局、又は無線基地局の一部の機能(プロトコルレイヤ)のみを有する簡易無線基地局である。無線端末3は、1つの無線局のセルを使用している間に他の無線局のセルも使用する機能を有する。言い換えると、無線端末3は、異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーション(またはセルアグリゲーション)をサポートする。尚、異なる無線局とは、独立した異なる無線局でもよいし、ある無線局とそれに従属する別の無線局でもよい。さらに、異なる無線局のそれぞれが、機能が異なる種類の無線局であってもよい。
【0026】
例えば、無線端末3は、第1のセル10における第1の無線接続を維持したまま、第2のセル20における第2の無線接続を確立することができる。「無線接続の確立」とは、例えば、無線端末3と無線局(例えば、無線局1又は2)が通信可能な状態になること、又は無線端末3と無線局(例えば、無線局1又は2)が通信に必要な情報を共有している状態になること、に相当する。これにより、無線端末3は、信号(例えば、ユーザーデータ又は制御情報)の送信又は受信のために複数のセル(例えば、セル10及び20)を同時に使用することができる。「複数のセルを同時に使用する」とは、実際に複数のセルで信号を同時に受信又は送信することに限定はされず、複数のセルの両方において信号を受信又は送信することが可能な状態になっているが実際にはいずれかのセルで信号を受信又は送信すること、複数のセルそれぞれで種類の異なる信号を受信又は送信すること、或いは、複数のセルそれぞれを信号の受信又は送信のいずれかに使用すること、などを含む。
【0027】
異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーションという観点から、異なる無線局によって運用される複数のセルを使用する機能は、無線局間キャリアアグリゲーションと呼ぶことができる。また、上述のような複数のセルの同時使用の観点から、異なる無線局によって運用される複数のセルを使用する機能は、デュアル接続(Dual Connection)、デュアル接続性(Dual Connectivity)、マルチ接続(Multi Connection)、マルチ接続性(Multi Connectivity)、などと呼ぶこともできる。
【0028】
無線端末3は、無線局1又は2に対して無線局間キャリアアグリゲーションを行う能力を有すること(つまり、無線局間キャリアアグリゲーションをサポートすること)を示す端末能力報告を行ってもよい。これに代えて、無線端末3は、無線端末3のカテゴリ又は装置リリース番号などにより無線局間キャリアアグリゲーションをサポートすることを暗に示してもよい。無線局間キャリアアグリゲーションの能力は、デュアル接続の能力、又はマルチ接続の能力、と呼ぶこともできる。
【0029】
図1は、ヘテロジーニアス・ネットワーク(Heterogeneous Network: HetNet)環境を示している。具体的に述べると、
図1に示された第1のセル10は、第2のセル20に比べて広いカバレッジを有する。また、
図1は、第1のセル10内に第2のセル20が配置された階層化セル構成を示している。しかしながら、
図1に示されたセル構成は一例に過ぎない。例えば、第1及び第2のセル10及び20は、同程度のカバレッジを有してもよい。言い換えると、本実施形態に係る無線通信システムは、ホモジーニアス・ネットワーク(Homogeneous Network)環境に適用されてもよい。
【0030】
続いて以下では、本実施形態の無線通信システムの動作についてさらに詳しく説明する。本実施形態の無線通信システムでは、第1の無線局1は、第1のセル10及び第2のセル20の無線局間キャリアアグリゲーションを行うための第1のセル10及び第2のセル20の制御系管理機能(例えば、RRC Layer)を有する。具体的には、第1の無線局1は、セル10及び20のキャリアアグリゲーションを行うために、セル10及び20の無線リソース制御を無線端末3との間で行う。ここで、第1の無線局1は、無線リソース制御に関する設定を第1のセル10において無線端末3に送信してもよいし、第2の無線局2を介して第2のセル20において無線端末3に送信してもよい。後者の場合、第1の無線局1が第2の無線局2に第2のセル20における無線リソース制御に関する設定を含むメッセージを送信するが、第2の無線局2は当該メッセージのコンテンツを知らなくてもよいし、知ることができるような構成にしてもよい。また、第2の無線局2が第2のセル20にて無線リソース制御に関する設定を送信する場合、当該設定を下りリンクデータと同様に送信してもよい。
【0031】
第2の無線局2及び無線端末3の少なくとも一方は、第2のセル20における第2の無線局2と無線端末3の間の無線リンクの問題に関する情報(Radio link (RL) problem related information)を第1の無線局1に送信する。一例において、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報は、当該無線リンクの問題に対処するための第1の無線局1による制御を引き起こす。第1の無線局1による制御は、例えば、第2のセル20での無線端末3の無線リンクの回復制御、第2のセル20での無線端末3の無線リンクの解放制御、及び第2のセル20とは異なるセル(例えば、第1のセル10又は第3のセル)での無線端末3の無線リンクの確立制御、のうち少なくとも1つを含む。例えば、第1の無線局1は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報に基づき、第2のセル20の無線リンクの回復の為の指示、第2のセル20の代わりの別のセル(例えば、第の1セル10又は第3のセル)において無線リンクを確立する指示、又は、第2のセル20の無線リンクを解放する指示などを、第2の無線局2若しくは無線端末3又はこれら両方に送信してもよい。
【0032】
第2のセル20における無線リンクの問題は、例えば、無線リンク切断若しくは呼切断(いずれもRadio Link Failure: RLFとも呼ぶ)、及び同期外れ(loss of synchronization)、のうち少なくとも1つを含む。なお、第2のセル20における無線リンクの問題は、無線端末3が通信不能であるような深刻な問題だけに限られない。無線リンクの問題は、無線リンクの受信品質の低下又はスループットの低下であってもよく、無線リンクの受信品質が所定品質を下回ったことを又はスループットが所定値を下回ったことを示す閾値超過警報であってもよい。無線リンクの受信品質は、例えば、受信電力、又はSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)である。
【0033】
第2の無線局2又は無線端末3は、第2のセル20における無線リンクの問題を検出した場合に、無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)を第1の無線局1に送信してもよい。また、第2の無線局2又は無線端末3は、上述したような無線リンクの問題が起こりそうである場合又は無線リンクの問題が起こっていたが回復した場合に、無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信してもよい。言い換えると、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報は、無線リンクの問題が起こりそうであること、又は無線リンクの問題が起こっていたが回復したことを示してもよい。無線リンクの問題が起こりそうであることは、例えば、無線端末3の移動速度または移動速度に関する指標が所定の値を満たすまたは超えること(例えば、無線端末3が高速移動をしていること)により判定されてもよい。
【0034】
無線端末3は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を自発的に送信してもよいし、第1の無線局1の要求に応じて送信してもよい。例えば、無線端末3は、第2のセル20における無線リンクの問題を検出したことに応じて、無線リンクの問題に関する情報を自発的に第1のセル10において第1の無線局1に報告してもよい。または、第1の無線局1が無線端末3に第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を要求し、無線端末3が当該情報を送信してもよい。
【0035】
同様に、第2の無線局2は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を自発的に送信してもよいし、第1の無線局1の要求に応じて送信してもよい。一例において、第2の無線局2は、第2のセル20において無線端末3との間の無線リンクの問題を検出したことに応じて、無線リンクの問題に関する情報を自発的に第1の無線局1に送信してもよい。他の例において、先ず無線端末3が第2のセル20における無線リンクの問題を検出し、次に無線端末3が第2のセル20における無線リンクの問題を第1のセル10において第1の無線局1に報告し、そして第1の無線局1が第2の無線局2に無線リンクの問題に関する情報の送信を要求し、最後に第2の無線局2が第2のセル20における当該無線端末3との間の無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信してもよい。さらに他の例において、先ず第1の無線局1が第2のセル20において無線端末3と第2の無線局2との間の無線リンクに問題あることを検出し(又は何らかの方法で知り)、次に第1の無線局1が第2の無線局2に無線リンクの問題に関する情報の送信を要求し、そして第2の無線局2が当該情報を第1の無線局1に送信してもよい。
【0036】
無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)は、例えば以下に列挙される情報要素のうち少なくとも1つを含んでもよい。
・トリガ情報
・端末識別子
・セル識別子
・ベアラ識別子
・データ送受信状況
・無線品質の測定情報
・端末移動速度情報
・端末位置情報
【0037】
第2のセル20における無線リンクの問題を報告するために第1のセル10において無線端末3から第1の無線局1に送信されるメッセージは、上述した無線リンクの問題に関する情報を含む。さらに、当該メッセージは、第2のセル20の解放の要求または提案を含んでもよいし、第1のセル10及び第2のセル20のいずれとも異なる第3のセルにおける無線接続の確立の要求または提案を含んでもよい。
【0038】
以上に述べたように、本実施形態では、第1の無線局1は、セル10及び20の無線局間キャリアアグリゲーションのために、セル10及び20の無線リソース制御を無線端末3との間で行う。そして、第2の無線局2及び無線端末3の少なくとも一方は、第2のセル20における第2の無線局2と無線端末3の間の無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)を第1の無線局1に送信する。これにより、第1の無線局1は、第2のセル20における無線リンクの問題を認識することができる。したがって、例えば、第1の無線局1は、第2のセル20における無線リンクの問題に対処するための制御を行うことができる。このため、本実施形態は、異なる無線局1及び2によって運用されるセル10及び20のキャリアアグリゲーションにおいて、第2のセル20における無線リンクの問題(例えば、RLF)が生じたことによるパケットロスを低減することができる。
【0039】
続いて以下では、本実施形態に係る無線局1及び2、並びに無線端末3の構成例について説明する。
図2は、第1の無線局1の構成例を示すブロック図である。無線通信部11は、無線端末3から送信された上りリンク信号(uplink signal)をアンテナを介して受信する。受信データ処理部13は、受信された上りリンク信号を復元する。得られた受信データは、通信部14を経由して他のネットワークノード、例えばコアネットワーク4のデータ中継装置若しくはモビリティ管理装置、又は他の無線局に転送される。例えば、無線端末3から受信された上りユーザーデータは、上位ネットワークのデータ中継装置に転送される。また、無線端末3から受信された制御データのうち非アクセス層(Non-Access Stratum(NAS))の制御データは、上位ネットワークのモビリティ管理装置に転送される。さらに、受信データ処理部13は、無線局2に送信される制御データを通信制御部15から受信し、これを通信部14を経由して無線局2に送信する。
【0040】
送信データ処理部12は、無線端末3宛てユーザーデータを通信部14から取得し、誤り訂正符号化、レートマッチング、インタリービング等を行なってトランスポートチャネルを生成する。さらに、送信データ処理部12は、トランスポートチャネルのデータ系列に制御情報を付加して送信シンボル列を生成する。無線通信部11は、送信シンボル列に基づく搬送波変調、周波数変換、信号増幅等の各処理を行って下りリンク信号(downlink signal)を生成し、これを無線端末3に送信する。さらに、送信データ処理部12は、無線端末3に送信される制御データを通信制御部15から受信し、これを無線通信部11を経由して無線端末3に送信する。
【0041】
通信制御部15は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。具体的に述べると、通信制御部15は、セル10及び20のキャリアアグリゲーションを行うために、セル10及び20の無線リソース制御を第1のセル10において無線端末3との間で行う。さらに、通信制御部15は、第2のセル20における第2の無線局2と無線端末3の間の無線リンクの問題に関する情報を、第2の無線局2及び無線端末3の少なくとも一方から受信する。通信制御部15は、受信した無線リンクの問題に関する情報に基づき、当該問題に対処するための制御、例えば、第2のセル20での無線端末3の無線リンクの回復制御、第2のセル20での無線端末3の無線リンクの解放制御、又は第2のセル20とは異なるセルでの無線端末3の無線リンクの確立制御、を行なってもよい。
【0042】
図3は、第2の無線局2の構成例を示すブロック図である。
図3に示された無線通信部21、送信データ処理部22、受信データ処理部23、及び通信部24の機能及び動作は、
図2に示された無線局1の対応する要素、すなわち無線通信部11、送信データ処理部12、受信データ処理部13、及び通信部14と同様である。
【0043】
無線局2の通信制御部25は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。さらに、通信制御部25は、第2のセル20における第2の無線局2と無線端末3の間の無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信してもよい。
【0044】
図4は、無線端末3の構成例を示すブロック図である。無線通信部31は、異なる無線局によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーションをサポートし、信号の送信又は受信のために複数のセル(例えば、セル10及び20)を同時に使用することができる。具体的には、無線通信部31は、アンテナを介して、無線局1若しくは無線局2又はこれら両方から下りリンク信号を受信する。受信データ処理部32は受信された下りリンク信号から受信データを復元してデータ制御部33に送る。データ制御部33は、受信データをその目的に応じて利用する。また、送信データ処理部34及び無線通信部31は、データ制御部33から供給される送信データを用いて上りリンク信号を生成し、無線局1若しくは無線局2又はこれら両方に向けて送信する。
【0045】
無線端末3の通信制御部35は、第1のセル10及び第2のセル20を使用する無線局間キャリアアグリゲーションを制御する。さらに、通信制御部35は、第2のセル20における第2の無線局2と無線端末3の間の無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信してもよい。
【0046】
続いて以下では、本実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の手順例1及び2について説明する。
【0047】
(手順例1)
手順例1では、無線端末3が第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信する。
図5は、手順例1に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。ステップS101及びS102では、無線端末3は、第1のセル10及び第2のセル20のキャリアアグリゲーションを実行する。すなわち、ステップS101及びS102では、第1の無線局1が第1のセル10において無線端末3とデータ又は制御信号の送受信を行い、第2の無線局2が第2のセル20において当該無線端末3とデータの送受信を行う。
【0048】
ステップS103では、無線端末3は、第2のセル20における第2の無線局2との間の無線リンクの問題を検出する。なお、既に述べたように、無線端末3は、第2のセル20における無線リンクに問題が起こりそうであること、又は問題が起こったが回復したことを検出してもよい。ステップS104では、無線端末3は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を、第1のセル10において第1の無線局1に送信する。
【0049】
図5の手順によれば、第1の無線局1は、第2のセル20における無線リンクの問題を知ることができ、適切に対処することでパケットロスなどを低減(又は回避)することができる。
図5には明示されていないが、例えば、第1の無線局1は、第2のセル20の無線リンクの回復の為の指示、第2のセル20の代わりの別のセル(例えば、第1のセル10又は第3のセル)において無線リンクを確立する指示、又は、第2のセル20の無線リンクを解放する指示を、第2の無線局2若しくは無線端末3又はこれら両方に送信してもよい。
【0050】
(手順例1の変形)
図5に示された手順は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を無線端末3から第1の無線局1に送信するケースの一例に過ぎない。手順例1は以下のように変形されてもよい。
【0051】
先ず第1の無線局1が第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報の報告を無線端末3に要求する。そして、無線端末3は、第1の無線局1からの要求に応答して、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を送信する。このとき、無線リンクの問題に関する情報は、第2のセル20に限らずに、無線端末3が使用している第1のセル10又は他のセルにおける無線リンクの問題も対象にしてもよい。第2のセル20において無線リンクの問題が発生してない場合、又は問題が検出されていない場合には、無線端末3は、第1の無線局1からの要求に応答して、問題が発生していないこと(又は問題が検出されていないこと)を示す情報を送信してもよい。
【0052】
第1の無線局1は、無線リンクに問題があるか否かを判定する為の条件を無線端末3に送信してもよい。無線端末3は、当該条件を基に無線リンクに問題があるか否かを判定してもよい。
【0053】
(手順例2)
手順例2では、第2の無線局2が第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信する。
図6は、手順例2に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。ステップS201及びS202の処理は、手順例1に関して説明した
図5のステップS101及びS102における処理と同様である。ステップS203では、第2の無線局2は、第2のセル20において、第2のセル20における無線端末3との間の無線リンクの問題を検出する。第2の無線局2は、無線端末3との無線リンクに問題が起こりそうであること、又は問題が起こったが回復したことを検出してもよい。ステップS204では、第2の無線局2は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局1に送信する。
【0054】
図6の手順によれば、第1の無線局1は、第2のセル20における無線リンクの問題を知ることができ、適切に対処することでパケットロスなどを低減(又は回避)することができる。
図6には明示されていないが、例えば、第1の無線局1は、第2のセル20の無線リンクの回復の為の指示、第2のセル20の代わりの別のセル(例えば、第1のセル10又は第3のセル)において無線リンクを確立する指示、又は、第2のセル20の無線リンクを解放する指示を、第2の無線局2若しくは無線端末3又はこれら両方に送信してもよい。
【0055】
(手順例2の変形1)
図6に示された手順は、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を第2の無線局2から第1の無線局1に送信するケースの一例に過ぎない。手順例2は以下のように変形されてもよい。先ず第1の無線局1が第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報の報告を第2の無線局2に要求する。そして、第2の無線局2は、第1の無線局1からの要求に応答して、第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を送信する。このとき、無線リンクの問題に関する情報は、第2のセル20に限らずに、無線端末3が使用している第2の無線局2の別のセルにおける無線リンクの問題も対象にしてもよい。第2のセル20において無線リンクの問題が発生してない場合、又は問題が検出されていない場合には、第2の無線局2は、第1の無線局1からの要求に応答して、問題が発生していないこと(又は問題が検出されていないこと)を示す情報を送信してもよい。
【0056】
第1の無線局1は、無線リンクに問題があるか否かを判定する為の条件を第2の無線局2に送信してもよい。第2の無線局2は、当該条件を基に無線リンクに問題があるか否かを判定してもよい。
【0057】
(手順例2の変形2)
手順例2は以下のように変形されてもよい。先ず無線端末3が第2のセル20における無線リンクの問題を検出し、無線リンクの問題を検出したことを示す無線リンク状態情報を第1の無線局に報告する。次に、第1の無線局1は、無線リンク状態情報の送信元である無線端末3の第2のセル20における無線リンクの問題に関する情報を第2の無線局2に要求する。そして、第2の無線局2は、第1の無線局1からの要求に応答して、無線リンクの問題に関する情報を第1の無線局に送信する。このとき、無線端末3から第1の無線局1に送信される無線リンク状態情報は、例えば、問題が検出されたセル識別子(Cell ID)、及び問題の種類(つまり、どのような問題が発生したかを示す情報)を含んでもよい。
【0058】
<第2の実施形態>
本実施形態では、上述した第1の実施形態を3GPP LTEシステムに適用する例について説明する。本実施形態に係る無線通信システムの構成例は、
図1と同様とすればよい。ただし、無線局1及び2はeNBに相当し、無線端末3はUEに相当し、コアネットワーク4はEPC(Evolved Packet Core)に相当する。無線局間(つまり、eNB間)の情報の送受信は、直接インタフェースであるX2インタフェースを用いてもよいし、EPCを経由するインタフェースであるS1インタフェースを用いてもよいし、或いは、新たに規定されるインタフェース(例えば、X3インタフェース)でもよい。以下では、無線局1及び2をeNB1及び2、無線端末3をUE3とし、コアネットワーク4をEPC4として説明する。
【0059】
無線端末(UE)3は、第1のセル10(Cell10)における第1の無線接続を維持したまま、第2のセル20(Cell20)における第2の無線接続を確立することができる。「無線接続の確立」とは、例えば、UE3とeNB(例えば、eNB1又は2)が通信可能な状態になること(例えば、RRC Connection Setup手順が完了している)、又はUE3とeNB(例えば、eNB1又は2)が通信に必要な情報(例えば、UE context)を共有している状態になること、に相当する。より具体的には、UE3は、異なる無線局(eNB)によって運用される複数のセルのキャリアアグリゲーション(Inter-eNB CAまたはInter-Site CAと呼ぶ)をサポートする。なお、ここでの「Inter-eNB CA」とは、実際に異なるeNBのセルで信号を同時に受信又は送信することに限定はされない。例えば、「Inter-eNB CA」は、異なるeNBのセルの両方において信号(例えば、ユーザーデータ又は制御情報)を受信又は送信することが可能な状態になっているが実際にはいずれかのeNBのセルで信号を受信又は送信すること、異なるeNBのセルそれぞれで種類の異なる信号を受信又は送信すること、或いは、異なるeNBのセルそれぞれを信号の受信又は送信のいずれかに使用すること、などを含む。
【0060】
本実施形態の適用例として、UE3が、eNB1のCell10をプライマリセル(PCell)として使用している間に、eNB2のCell20をセカンダリセル(SCell)として使用する無線基地局間のキャリアアグリゲーション(Inter-eNB CA)を行うことが考えられる。プライマリセル(PCell)は、CAを開始する前にサービングセルとして使用されていたセルである。一方、セカンダリセル(SCell)は、UE3がプライマリセルに接続していることを前提として、追加的に又は従属的に使用される(活性化される)セルである。PCellでは、無線接続の確立(RRC Connection Establishment)や無線接続の再確立(RRC Connection Re-establishment)の際に、NASモビリティ情報(Non Access Stratum mobility information)及びセキュリティ情報(security input)等が送受信される。PCellに対応するDL Component CarrierがDL PCCであり、UL Component CarrierがUL PCCである。同様に、SCellに対応するDL Component CarrierがDL SCCであり、UL Component CarrierがUL SCCである。
【0061】
無線端末(UE)3は、第1のセル10(Cell10。例えば、PCell)で第1の無線基地局(eNB)1との無線接続(RRC Connection)を確立し、第2のセル20(Cell20。例えば、SCell)で第2の無線基地局(eNB)2との無線接続を確立する。eNB1は、Cell10及びCell20における制御系管理機能(例えば、RRC layer)を有する。具体的には、eNB1は、Cell10及びCell20のキャリアアグリゲーションを行うために、Cell10及びCell20の無線リソース制御をUE3との間で行う。ここで、eNB1は、無線リソース制御に関する設定(例えば、Radio Resource Configuration)をCell10においてUE3に送信してもよいし、eNB2を介してCell20においてUE3に送信してもよい。後者の場合、eNB1がeNB2にCell20における無線リソース制御に関する設定を含むメッセージをX2インタフェース又はS1インタフェース(或いは新規インタフェース)で送信するが、eNB2は当該メッセージのコンテンツを知らなくてもよいし、知ることができるような構成にしてもよい。また、eNB2がCell20にて無線リソース制御に関する設定を送信する場合、当該設定をデータと同様にData Radio Bearer (DRB)で送信してもよい。
【0062】
eNB2及びUE3の少なくとも一方は、Cell20におけるeNB2とUE3の間の無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)をeNB1に送信する。一例において、Cell20における無線リンクの問題に関する情報は、当該無線リンクの問題に対処するためのeNB1による制御を引き起こす。eNB1による制御は、例えば、Cell20でのUE3の無線リンクの回復制御(Radio Link Recovery)、Cell20でのUE3の無線リンクの解放制御(Radio Link Release、RRC Connection Release)、及びCell20とは異なるセル(例えば、Cell10又は第3のセル)でのUE3の無線リンクの確立制御(RRC Connection Setup)、のうち少なくとも1つを含む。例えば、eNB1は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報に基づき、Cell20の無線リンクの回復の為の指示、Cell20の代わりの別のセル(例えば、Cell10又は第3のセル)において無線リンクを確立する指示、又は、Cell20の無線リンクを解放する指示などを、eNB2若しくはUE3又はこれら両方に送信してもよい。
【0063】
Cell20における無線リンクの問題は、例えば、無線リンク切断若しくは呼切断(いずれもRadio Link Failure: RLFとも呼ぶ)、及び同期外れ(loss of synchronization)、のうち少なくとも1つを含む。なお、Cell20における無線リンクの問題は、UE3が通信不能であるような深刻な問題だけに限られない。無線リンクの問題は、無線リンクの受信品質の低下又はスループットの低下であってもよく、無線リンクの受信品質が所定品質を下回ったことを又はスループットが所定値を下回ったことを示す閾値超過警報であってもよい。無線リンクの受信品質は、例えば、Reference Signal Received Power(RSRP)、Reference Signal Received Quality(RSRQ)、又はReceived Signal Strength Indicator (RSSI)である。
【0064】
eNB2又はUE3は、Cell20における無線リンクの問題を検出した場合に、無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)をeNB1に送信してもよい。また、eNB2又はUE3は、上述したような無線リンクの問題が起こりそうである場合又は無線リンクの問題が起こっていたが回復した場合に、無線リンクの問題に関する情報をeNB1に送信してもよい。言い換えると、Cell20における無線リンクの問題に関する情報は、無線リンクの問題が起こりそうであること、又は無線リンクの問題が起こっていたが回復したことを示してもよい。無線リンクの問題が起こりそうであることは、例えば、UE3の移動速度または移動速度に関する指標(例えば、Mobility State)が所定の値を満たすまたは超えることにより判定されてもよい。例えば、UE3が高速移動端末であること、UE3のMobility StateがHigh(又はMedium)であることを無線リンクの問題が起こりそうであることとしても良い。
【0065】
UE3は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報を自発的に送信してもよいし、eNB1の要求に応じて送信してもよい。例えば、UE3は、Cell20における無線リンクの問題を検出したことに応じて、無線リンクの問題に関する情報を自発的にCell10においてeNB1に報告してもよい。または、eNB1がUE3にCell20における無線リンクの問題に関する情報を要求し、UE3が当該情報を送信してもよい。
【0066】
同様に、eNB2は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報を自発的に送信してもよいし、eNB1の要求に応じて送信してもよい。一例において、eNB2は、Cell20においてUE3との間の無線リンクの問題を検出したことに応じて、無線リンクの問題に関する情報を自発的にeNB1に送信してもよい。他の例において、先ずUE3がCell20における無線リンクの問題を検出し、次にUE3がCell20における無線リンクの問題をCell10においてeNB1に報告し、そしてeNB1がeNB2に無線リンクの問題に関する情報の送信を要求し、最後にeNB2がCell20における当該UE3との間の無線リンクの問題に関する情報をeNB1に送信してもよい。さらに他の例において、先ずeNB1がCell20においてUE3とeNB2との間の無線リンクに問題あることを検出し(又は何らかの方法で知り)、次にeNB1がeNB2に無線リンクの問題に関する情報の送信を要求し、そしてeNB2が当該情報をeNB1に送信してもよい。
【0067】
無線リンクの問題に関する情報(RL problem related information)は、例えば以下に列挙される情報要素のうち少なくとも1つを含んでもよい。
・トリガ情報(Trigger information)
・端末識別子(UE identity)
・セル識別子(Cell identity)
・ベアラ識別子(bearer identity)
・データ送受信状況(data status)
・無線品質の測定情報(measurement information)
・端末移動速度情報(UE speed information)
・端末位置情報(UE location information)
【0068】
トリガ情報は、無線リンクの問題に関する情報を送信することになった要因(Cause)、例えばSCellでRL problemを検出したことを示す情報(SCell RL problem)でもよいし、前述の無線リンクの問題のいずれに相当するのかを示す情報でもよい。これに代えて、トリガ情報は、無線リンクの問題に関する情報を送信することの目的(Intention)、例えば当該情報の送信により何を期待しているかを示す情報でもよい。例えば、無線リンクの回復、無線リンクの解放、あるいは新たな無線リンクの確立、などを示しても良い。
【0069】
端末識別子は、無線リンクの問題に関する情報の対象となるセルにおける一時的な端末識別子でもよいし、端末固有識別子でもよい。一時的な端末識別子は、例えば、Cell Radio Network Temporary Identifier(C-RNTI)、Temporary Mobile Subscriber Identity(TMSI)、又はShort Message Authentication Code Identity(Short MAC-I)である。端末固有識別子は、例えば、International Mobile Subscriber Identity(IMSI)である。
【0070】
セル識別子は、例えば物理セル識別子(Physical Cell Identifier (PCI))、論理セル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier (ECGI))、高度化セル識別子(Enhanced Cell ID (E-CID))、疑似セル識別子(Virtual Cell ID (V-CID))、のいずれかである。
【0071】
ベアラ識別子は、無線リンクの問題に関する情報の対象となるセルにおける無線ベアラの識別子でもよいし、ネットワークベアラの識別子でもよい。無線ベアラの識別子は、例えば、Data Radio Bearer Identity(DRB-Identity)である。ネットワークベアラの識別子は、例えば、eps-BearerIdentity、又はEPS Radio Access Bearer Identity(E-RAB ID)である。
【0072】
データ送受信状況は、無線リンクの問題に関する情報の対象となるセルにおけるデータ送信または受信に関する状況(例えば、Sequence Number (SN) Status、又はRadio Link Control (RLC) Status)でもよいし、送信または受信が完了していないデータがあるか否かを示す情報(例えば、data flag)でもよい。
【0073】
無線品質の測定情報は、無線リンクの問題に関する情報の対象となるセルや当該セルの周辺セルの端末測定結果(measurement results)でもよいし、所定の無線品質を満たすか否かを示す情報でもよい。
【0074】
端末移動速度情報は、無線端末の移動速度(UE speed)を示してもよい。これに代えて、端末移動速度情報は、無線端末の移動速度のレベルを示す情報(例えば、High speed、Medium speed、Low speed、Normal speed、或いはMobility StateがHigh、Medium、Normalなど)でもよいし、無線端末の移動速度が所定の条件を満たすか否かの情報(例えば、高速移動端末か否かの情報)でもよい。
【0075】
端末位置情報は、無線端末の位置情報(例えば、Global Positioning System (GPS) location information、又はpositioning information)でもよいし、おおよその無線端末の位置を示す情報(例えば、無線品質とセルIDの組み合わせであるRF fingerprint)でもよいし、屋内か屋外かを示す情報でもよい。
【0076】
Cell20における無線リンクの問題を報告するためにCell10においてUE3からeNB1に送信されるメッセージは、上述した無線リンクの問題に関する情報を含む。さらに、当該メッセージは、Cell20の解放の要求または提案(SCell release request、又はSCell (re)configuration request - release)を含んでもよいし、Cell10及びCell20のいずれとも異なる第3のセルにおける無線接続の確立の要求または提案(SCell (re)configuration request - Cell3 addition)を含んでもよい。
【0077】
続いて以下では、本実施形態に係る無線通信システムにおける通信制御方法の手順例3〜5について説明する。なお、UE3が、eNB1のCell10をPCellとして使用している間に、eNB2のCell20をSCellとして使用する無線基地局間のキャリアアグリゲーション(Inter-eNB CA)を行うことを想定する。ここで、UE3がCell20(つまり、SCell)においてRLFの発生を判定する為のタイマは、Cell10(つまり、PCell)におけるタイマT310と共通でも良いし、異なるタイマT3XY(例えば、T312)を規定しても良い。また、タイマT3XYの値は、T310と同じでもよいし、異なっていてもよい。さらに、RLFの発生の判定に用いる受信品質の閾値(QinとQout)もPCellと同じでもよいし、異なってもよい(例えば、Qin-SCellとQout-SCell、Qin2とQout2)。
【0078】
(手順例3)
手順例3は、第1の実施形態で説明した手順例1に対応する。すなわち、UE3がCell20(つまり、SCell)における無線リンクの問題に関する情報をeNB1に送信する。
図7は、手順例3を示すシーケンス図の一例である。なお、
図7において、Cell10(つまり、PCell)はCELL1と表示され、Cell20(つまり、SCell)はCELL2と表示されている。さらに、1台のUE3がUE1として表示されている。
【0079】
ステップS301及びS302では、UE3は、CELL1及びCELL2のキャリアアグリゲーションを実行する。具体的に述べると、ステップS301では、eNB1がCELL1において下りリンク制御信号(DL signaling)若しくは下りリンクデータ(DL data)又はこれら両方をUE1に送信する。ステップS302では、eNB2がCELL2において下りリンクデータ(DL data)をUE3に送信する。
【0080】
ステップS303及びS304では、UE3は、CELL2における無線リンクの問題を検出する(Radio link problem detection)。ステップS305では、UE3は、無線リンクの問題に関する情報を、CELL1においてeNB1に送信する(Radio link problem report (including Radio link problem related information of CELL2))。
【0081】
ステップS306〜S309では、eNB1は、CELL2における無線リンクの問題に関する情報を受信したことに応じて、当該問題に対処するための処理を行う。すなわち、ステップS306では、eNB1は、CELL2における無線リンクの問題を検出したUE3(
図7中のUE1)のために設定されているベアラの解放をeNB2に指示する(CELL2 reconfiguration indication (including request of UE1's bearer release))。ステップS307では、eNB2は、UE3のためのベアラを解放し、eNB1にベアラ解放完了を報告する(CELL2 reconfiguration response (including completion of UE1's bearer release))。ステップS308では、eNB1は、UE3にCELL2の(ベアラの)解放とCELL1の無線リソース設定(Radio Resource Configuration)の再設定を指示する(RRC Connection Reconfiguration (including CELL2 release and CELL1 reconfiguration))。
【0082】
図7の例では、UE3は、CELL2において実行していたDL dataの受信をCELL1で継続する(つまり、引き継ぐ)。この場合、CELL1の無線リソース設定の再設定の指示は、例えばCELL2において設定していた(つまり、使用していた)ベアラをCELL1のベアラとして設定すること、又はCELL2において実行していたデータ通信(
図7ではDL data受信)をCELL1で引き継ぐこと、などの指示に必要な情報を含む。これにより、ステップS309では、eNB1及びUE3は、CELL1においてDL signalingおよびDL dataの送受信を行う。
【0083】
図7の手順によれば、eNB1は、Cell20における無線リンクの問題を知ることができ、適切に対処することでパケットロスなどを低減(又は回避)することができる。
【0084】
(手順例3の変形)
図7に示された手順は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報をUE3からeNB1に送信するケースの一例に過ぎない。手順例3は以下のように変形されてもよい。
【0085】
eNB1がeNB2にUE3のベアラ解放の指示を行う場合に、eNB1がCell20におけるUE3のデータ通信状況(例えば、SN status)をeNB2に要求し、eNB2がeNB1に当該データ通信状況を報告してもよい。
【0086】
図7には示されていないが、eNB1がeNB2のCell20におけるベアラの設定をCell10において引き継ぐ場合には、コアネットワーク(EPC)4の再設定も必要である。例えば、eNB1は、UE3のベアラの(再)設定をEPC4内のMobility Management Entity(MME)に要求する。そして、MMEがeNB1にベアラ設定指示を行う。さらに、MMEがUser Plane (Data)の経路切り替え(Path switch request)をS-GWに指示し、S-GWが経路切り替え(Path switch)を行う。
【0087】
図7はCell20における下りリンクデータの送受信の問題への対処を示しているが、Cell20における上りリンクデータ(UL data)の送受信の問題への対処も同様に実現されてもよい。
【0088】
図7は、Cell20におけるUE3の無線リンクの問題に対処するために、eNB1がCell10でのUE3の無線リンクの確立制御を行う例を示した。これに代えて、eNB1は、Cell20の無線リンクの回復の為の指示、又はCell10及びCell20のいずれとも異なるセル(例えば、第3のセル(CELL3))において無線リンクを確立する指示を、Cell10においてUE3に送信してもよい。
【0089】
UE3は、Cell20の代わりのセルをセカンダリセル(SCell)として設定(つまり、追加)する要求、またはCell20をSCellから除外する要求などをeNB1に送信してもよい。
【0090】
(手順例4)
手順例4は、第1の実施形態で説明した手順例2に対応する。すなわち、eNB2がCell20における無線リンクの問題に関する情報をeNB1に送信する。
図8は、手順例4に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。なお、
図8において、Cell10(つまり、PCell)はCELL1と表示され、Cell20(つまり、SCell)はCELL2と表示されている。さらに、1台のUE3がUE1として表示されている。
【0091】
ステップS401及びS402の処理は、手順例3に関して説明した
図7のステップS301及びS302の処理と同様である。ステップS403及びS404では、eNB2は、CELL2においてUE3(
図8中のUE1)との間の無線リンクに問題があることを検出する(Radio link problem detection for UE1)。ステップS405では、eNB2は、無線リンクの問題に関する情報をeNB1に送信する(Radio link problem report (including Radio link problem related information of UE1 at CELL2))。
【0092】
ステップS406〜S409では、eNB1は、CELL2における無線リンクの問題に関する情報を受信したことに応じて、当該問題に対処するための処理を行う。ステップS406〜S409の処理は、
図7に示したステップS306〜S309の処理と同様である。
【0093】
図8の手順によれば、eNB1は、Cell20における無線リンクの問題を知ることができ、適切に対処することでパケットロスなどを低減(又は回避)することができる。
【0094】
(手順例4の変形)
図8に示された手順は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報をeNB2からeNB1に送信するケースの一例に過ぎない。手順例4は以下のように変形されてもよい。
【0095】
eNB2は、Cell20においてUE3との間の無線リンクに問題があることを検出した場合、まず当該検出を報告するメッセージをeNB1に送信し、後続のメッセージで無線リンクの問題に関する詳細な情報をeNB1に送信してもよい。後続のメッセージは、例えば、eNB1からの要求に対する応答メッセージとしてeNB2によって送信されてもよい。
【0096】
図8には示されていないが、eNB1がeNB2のCell20におけるベアラの設定をCell10において引き継ぐ場合には、コアネットワーク(EPC)4の再設定も必要である。コアネットワークの再設定は、手順例3に示した手順に従って行われてもよい。
【0097】
図8はCell20における下りリンクデータの送受信の問題への対処を示しているが、Cell20における上りリンクデータ(UL data)の送受信の問題への対処も同様に実現されてもよい。
【0098】
図8は、Cell20におけるUE3の無線リンクの問題に対処するために、eNB1がCell10でのUE3の無線リンクの確立制御を行う例を示した。これに代えて、eNB1は、Cell20の無線リンクの回復の為の指示、又はCell10及びCell20のいずれとも異なるセル(例えば、第3のセル(CELL3))において無線リンクを確立する指示を、Cell10においてUE3に送信してもよい。
【0099】
(手順例5)
手順例5は、第1の実施形態で説明した手順例2の変形に対応する。手順例5では、UE3がCell20における無線リンクの問題を検出したことを無線リンク状態情報(Radio Link Status Information)としてeNB1に報告し、eNB1がeNB2に無線リンクの問題に関する情報を要求し、eNB2が当該要求に応えて無線リンクの問題に関する情報を送信する。
【0100】
例えば、無線リンク状態情報は、Radio Link Failure (RLF) reportを含んでも良い。ここで、LTEにおけるRLF reportは通常はPCellにおけるRLFに関する情報であるが、SCellにおけるRLFに関する情報に拡張することを想定する。つまり、下記の少なくともいずれかの情報を含むでもよい。
・RLFを検出したSCellの識別子(failedSCellId)
・RLFを検出したSCellの端末測定結果(measurementResultLastServSCell)
・SCellでRLFを検出した時点で保有している隣接セルの端末測定結果(measResultNeighCells)
・SCellでRLFを検出した時点で保有している無線端末の位置情報(locationInfo)
・SCellでRLFを検出した要因(rlf-Cause-SCell)
・SCellでRLFを検出してからの経過時間(timeSinceFailure-SCell)
尚、SCellでRLFを検出した要因はPCellでRLFを検出した要因(つまり、現行LTEの規定)に新たにt3XY-Expiry(例えば、t312-Expiry)を追加しても良い。
【0101】
図9は、手順例5に係る通信制御方法を示すシーケンス図の一例である。なお、
図9において、Cell10(つまり、PCell)はCELL1と表示され、Cell20(つまり、SCell)はCELL2と表示されている。さらに、1台のUE3がUE1として表示されている。
【0102】
図9のステップS901〜S904の処理は、手順例3に関して説明した
図7のステップS301〜S304の処理と同様である。ステップS505では、UE3は、無線リンクの問題を検出したことを無線リンク状態情報としてeNB1に送信する(Radio link problem report (including Radio link status information, e.g. RLF in CELL2))。ステップS506では、eNB1は、無線リンクの問題を検出したUE3(
図9中のUE1)との間の無線リンクの問題に関する情報の送信と、当該UE3(
図9中のUE1)のために設定されているベアラの解放をeNB2に指示する(CELL2 reconfiguration indication (including request of Radio link problem related information and UE1's bearer release))。ステップS507では、eNB2は、UE3のためのベアラを解放し、無線リンクの問題に関する情報およびベアラ解放完了をeNB1に報告する(CELL2 reconfiguration response (including Radio link problem related information and completion of UE1's bearer release))。その後のステップS508及びS509の処理は、
図7に示したステップS308及びS309の処理と同様である。
【0103】
図9の手順によれば、eNB1は、Cell20における無線リンクの問題を知ることができ、適切に対処することでパケットロスなどを低減(又は回避)することができる。
【0104】
(手順例5の変形)
図9に示された手順は、Cell20における無線リンクの問題に関する情報をeNB2からeNB1に送信するケースの一例に過ぎない。手順例5は以下のように変形されてもよい。
【0105】
図9には示されていないが、eNB1がeNB2のCell20におけるベアラの設定をCell10において引き継ぐ場合には、コアネットワーク(EPC)4の再設定も必要である。コアネットワークの再設定は、手順例3に示した手順に従って行われてもよい。
【0106】
図9はCell20における下りリンクデータの送受信の問題への対処を示しているが、Cell20における上りリンクデータ(UL data)の送受信の問題への対処も同様に実現されてもよい。
【0107】
図9は、Cell20におけるUE3の無線リンクの問題に対処するために、eNB1がCell10でのUE3の無線リンクの確立制御を行う例を示した。これに代えて、eNB1は、Cell20の無線リンクの回復の為の指示、又はCell10及びCell20のいずれとも異なるセル(例えば、第3のセル(CELL3))において無線リンクを確立する指示を、Cell10においてUE3に送信してもよい。
【0108】
UE3は、Cell20の代わりのセルをセカンダリセル(SCell)として設定する要求、またはCell20をSCellから除外する要求などをeNB1に送信してもよい。
【0109】
<その他の実施形態>
第1及び第2の実施形態において、第1の無線局1と第2の無線局2の間の情報(メッセージとも呼ぶ)の送受信は、例えばLTE X2インタフェース等の直接インタフェースを用いて行われてもよいし、LTE S1インタフェース等のコアネットワーク(e.g. EPC)4とのインタフェースを介して行われてもよい。
【0110】
第1及び第2の実施形態の適用先としては、第1の無線局1(eNB1)が比較的カバレッジの大きいマクロセルを運用(管理)するマクロ無線基地局(Macro eNB:MeNB)であり、第2の無線局2(eNB2)がカバレッジの小さいセルを運用(管理)する低電力無線局(Low Power Node: LPN)である場合が考えられる。LPNとしては、例えばMeNBと同様の機能を持つピコ無線基地局(Pico eNB:PeNB)や、MeNBに比べ機能が少ない新しい種類のネットワークノード(New Node)である場合が考えられる。或いは、MeNBがLPN及びLPNのセルにおける制御系機能(例えばRRCレイヤ)を管理するような構成でも良い。また、第2のセル20は、従来とは異なる新しい種類のキャリア(New Carrier Type)を構成要素とする従来とは異なる新しい種類のセル(New Cell Type)であってもよい。
【0111】
また、第1及び第2の実施形態で述べた無線局1(通信制御部15)、無線局2(通信制御部25)、及び無線端末3(通信制御部35)による通信制御方法は、いずれもApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)を含む半導体処理装置を用いて実現されてもよい。また、これらの処理は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、Micro Processing Unit(MPU)、Digital Signal Processor(DSP))を含むコンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現してもよい。具体的には、フローチャート及びシーケンス図に示されたアルゴリズムをコンピュータシステムに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを作成し、当該プログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0112】
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0113】
また、第1及び第2の実施形態では、主にLTEシステムに関して説明を行った。しかしながら、これらの実施形態は、LTEシステム以外の無線通信システム、例えば、3GPP UMTS (Universal Mobile Telecommunications System)、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD (High Rate Packet Data))、GSM (Global System for Mobile Communications) システム、又はWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0114】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0115】
この出願は、2013年2月28日に出願された日本出願特願2013−038971を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。