(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443336
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】半導体集積回路および論理回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20181217BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20181217BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20181217BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20181217BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L27/04 A
H01L27/092 A
H01L27/092 C
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-538864(P2015-538864)
(86)(22)【出願日】2014年9月3日
(86)【国際出願番号】JP2014004516
(87)【国際公開番号】WO2015045281
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-201061(P2013-201061)
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新保 宏幸
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−225768(JP,A)
【文献】
特開2013−30602(JP,A)
【文献】
特開2009−193981(JP,A)
【文献】
特開平6−45565(JP,A)
【文献】
特開平6−85064(JP,A)
【文献】
特開平9−289251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 21/8238
H01L 27/04
H01L 27/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の入力ノード、並びに、第1および第2のノードと接続された半導体集積回路であって、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に、直列に接続された第1導電型の第1および第2のトランジスタを備え、
前記第1のトランジスタは、同一のゲート長および同一のゲート幅を有するn(nは整数、かつ、n≧1)個のフィン型トランジスタからなり、かつ、ゲートが前記第1の入力ノードに接続されており、
前記第2のトランジスタは、前記n個のフィン型トランジスタとゲート長およびゲート幅が同一のm(mは整数、かつ、m>n)個のフィン型トランジスタからなり、かつ、ゲートが前記第2の入力ノードに接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路において、
前記半導体集積回路は、第3の入力ノードにさらに接続され、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間に、前記第1および第2のトランジスタと直列に設けられており、前記第1導電型の第3のトランジスタをさらに備え、
前記第3のトランジスタは、前記n個のフィン型トランジスタとゲート長およびゲート幅が同一のl(lは整数、かつ、l≧1)個のフィン型トランジスタからなり、かつ、ゲートが前記第3の入力ノードに接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路において、
前記第2のトランジスタを構成する前記各フィン型トランジスタは、第1方向に延びるフィンを用いて構成されており、
前記各フィンは、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3記載の半導体集積回路において、
前記第1のトランジスタを構成する前記各フィン型トランジスタは、前記第1方向に延びるフィンを用いて構成されており、
前記第1のトランジスタの構成に用いたフィンのうちの少なくともいずれか1枚と、前記第2方向に並べて配置されたダミーフィンを有する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記ダミーフィンは、前記第2のトランジスタの構成に用いたフィンのうちの少なくともいずれか1枚と、前記第1方向に延びる同一線上に位置し、かつ、分離されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記第2方向に延びており、前記ダミーフィンと直交するように配置されたダミーゲートが設けられている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6記載の半導体集積回路において、
前記ダミーゲートは、フローティングゲートである
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項6記載の半導体集積回路において、
前記第2方向に延びており、前記第1のトランジスタの構成に用いたフィンのうちの少なくともいずれか一枚と直交するように設けられた第1のゲートを備え、
前記ダミーゲートと前記第1のゲートとは、前記第2方向に延びる同一直線上に形成され、かつ、電気的に接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項8記載の半導体集積回路において、
前記ダミーゲートと前記第1のゲートとは、一体に形成されている
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
複数個の半導体集積回路を備え、
前記複数個の半導体集積回路は、請求項1記載の半導体集積回路である第1の半導体集積回路を含んでいる
ことを特徴とする論理回路。
【請求項11】
請求項10に記載の論理回路において、
前記第1の半導体集積回路を含む標準セルによって構成されている
ことを特徴とする論理回路。
【請求項12】
請求項10に記載の論理回路において、
前記複数個の半導体集積回路は、基本ゲートを構成する
ことを特徴とする論理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィン構造を有するフィン型トランジスタを用いた半導体集積回路および論理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体集積回路の設計において、トランジスタの駆動能力は、そのトランジスタのゲート幅やゲート長を調整したり、並列接続するトランジスタ数を変更したりすることによって、調整可能であることが知られている。
【0003】
特許文献1では、ゲート長またはゲート幅の異なる複数のトランジスタを配置し、それらのなかから必要に応じたトランジスタを選択して、接続することによって、駆動能力を調整可能にした半導体電子回路が開示されている。
【0004】
また近年、半導体デバイスの分野において、フィン構造のトランジスタ(以下、フィン型トランジスタと称する)の利用が提案されている。
図6はフィン型トランジスタの概略を示す模式図である。二次元構造のMOSトランジスタと異なり、ソースおよびドレインはフィンと呼ばれる隆起した立体構造を持つ。そして、このフィンを包むように、ゲートが配置されている。このフィン構造により、チャネル領域がフィンの3つの面で形成されるので、チャネルの制御性が従来よりも大幅に改善する。このため、リーク電力削減、オン電流の向上、さらには動作電圧の低減などの効果が得られ、半導体集積回路の性能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−27554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体微細プロセスにおいて、トランジスタのゲートや拡散層の形状、配線パタンの形状は、デバイスの特性の均一化や歩留まりに大きく影響する。特に、フィン型トランジスタでは、フィンの幅がトランジスタの特性に大きな影響を及ぼすため、ゲート幅およびゲート長が均一なフィン型トランジスタによって構成されたトランジスタを用いた設計を行うことが好ましい。
【0007】
一方で、半導体集積回路の設計において、トランジスタのゲート幅およびゲート長を固定値にした場合において、例えばトランジスタの駆動能力を増減させるとき、トランジスタの直並列数を増減させることが考えられる。しかしながら、この場合に取りうるトランジスタの駆動能力値は、最小能力のトランジスタの整数倍等の離散的な値に制約されることになる。結果として、設計の自由度を下げてしまうという課題があり、ひいては、回路性能低下の原因となる場合がある。
【0008】
本開示は、フィン型トランジスタを用いた半導体集積回路において、所望の駆動能力に容易に調整可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様では、第1および第2の入力ノード、並びに、第1および第2のノードと接続された半導体集積回路において、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に、直列に接続された第1導電型の第1および第2のトランジスタを備え、前記第1のトランジスタは、同一のゲート長および同一のゲート幅を有するn(nは整数、かつ、n≧1)個のフィン型トランジスタからなり、かつ、ゲートが前記第1の入力ノードに接続されており、前記第2のトランジスタは、前記n個のフィン型トランジスタとゲート長およびゲート幅が同一のm(mは整数、かつ、m>n)個のフィン型トランジスタからなり、かつ、ゲートが前記第2の入力ノードに接続されていることを特徴とする。
【0010】
本開示の第2態様では、論理回路は、複数個の半導体集積回路を備え、前記複数個の半導体集積回路は、第1態様記載の半導体集積回路である第1の半導体集積回路を含んでいることを特徴とする。
【0011】
この態様によると、半導体集積回路は、n個のフィン型トランジスタによって構成された第1のトランジスタと、m(m>n)個のフィン型トランジスタによって構成された第2のトランジスタとを備えており、それらが直列に接続されている。このように、第1のトランジスタを構成するフィン型トランジスタの個数と第2のトランジスタを構成するフィン型トランジスタの個数とを異ならせることによって、フィン型トランジスタの個数が同じトランジスタを直列に接続した場合と異なる駆動能力を有する駆動回路を実現することができる。したがって、第1および第2のトランジスタのうちの少なくともいずれか一方を構成するフィン型トランジスタの個数を変更することによって、所望の駆動能力を有する半導体集積回路を実現することができる。すなわち、設計の自由度を向上させることが可能となる。これにより、半導体集積回路およびその半導体集積回路を備えた論理回路の性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によると、直列に接続されたトランジスタを有する半導体集積回路において、それらのトランジスタを構成するフィン型トランジスタの個数を異ならせることによって、所望の駆動能力を有する半導体集積回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る論理回路の回路構成例を示す概念図である。
【
図2】実施形態に係る論理回路のレイアウト構成例を示す概念図である。
【
図3】半導体集積回路の構成を模式的に示した図である。
【
図4】実施形態に係る論理回路の他の回路構成例を示す概念図である。
【
図5】実施形態に係る論理回路の他の回路構成例を示す概念図である。
【
図6】フィン型トランジスタの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0015】
また、本明細書では、論理回路の論理機能に寄与するトランジスタを構成するフィンのことを「アクティブフィン」といい、「アクティブフィン」以外のフィンのことを「ダミーフィン」という。
【0016】
図1は実施形態に係る論理回路1Aの回路構成例を示す概念図である。
【0017】
図1に示すように、論理回路1Aは、半導体集積回路としての駆動回路10と、2個のP型トランジスタTp11,Tp12とを備えた2入力NAND回路である。
【0018】
駆動回路10は、出力ノードnoutに接続されたノードn11(第1のノードに相当)と、グランドに接続されたノードn12(第2のノードに相当)との間において、直列に接続された第1および第2のトランジスタとしてのN型トランジスタTn11,Tn12を備えている。
【0019】
N型トランジスタTn11は、後述するフィン型トランジスタ1個(
図1ではFT=1と記載しており、他のトランジスタにおいても同様とする。)によって構成されている。N型トランジスタTn11のゲートは、入力ノードnin1に接続されている。同様に、N型トランジスタTn12は、後述するフィン型トランジスタ2個によって構成されている。N型トランジスタTn12のゲートは、入力ノードnin2に接続されている。
【0020】
2個のP型トランジスタTp11,Tp12は、電源と出力ノードnoutとの間に並列に設けられており、それぞれ後述するフィン型トランジスタ2個によって構成されている。P型トランジスタTp11のゲートは、入力ノードnin1に接続されている。P型トランジスタTp12のゲートは、入力ノードnin2に接続されている。
【0021】
図2は実施形態に係る論理回路1Aのレイアウト構成例を示す概念図である。
【0022】
図2では、アクティブフィンとその上に形成されたゲート配線とによって、フィン型トランジスタが構成されている。ローカル配線は、平面視で、アクティブフィンもしくはダミーフィン、またはゲート配線と重なる部分において、これらの上層に接して形成されており、電気的に接続されている。メタル配線は、ローカル配線の上層に位置しており、コンタクトを介してローカル配線と接続されている。なお、
図2では図の見やすさのために、アクティブフィンおよびダミーフィン(
図2ではフィンと記載する)にハッチを付している。ただし、ゲート配線の下に位置する部分についてはハッチを省いている。また、ローカル配線およびメタル配線にも種類が異なるハッチを付しており、メタル配線とローカル配線とがコンタクトで接続された部分を黒く塗りつぶして示している。
【0023】
論理回路1Aは、図面横方向(第1方向に相当)に延びており、図面縦方向(第1方向と垂直をなす第2方向に相当)に図面上側から図面下側に向かって並べて配置された複数のアクティブフィンF11,F12,F21,F22を備えている。アクティブフィンF22は、他のアクティブフィンF11,F12,F21と比較して、図面横方向の長さが短く形成されており、その左端部の図面横方向における位置は、他のアクティブフィンF11,F12,F21と同じになるように配置されている。さらに、論理回路1Aは、図面横方向に延びており、アクティブフィンF22の図面右側に、図面縦方向の位置が同じになるように並べて(分離して)配置されたダミーフィンF23を備えている。ダミーフィンF23は、アクティブフィンF21と図面縦方向に並べて配置されている。なお、本開示において、位置が同じとは実質的に同じであることを指し、設計や製造の誤差等によりその位置が多少ずれたものを含むものとする。
【0024】
ゲート配線G11は、図面縦方向に延びており、アクティブフィンF11,F12とそれぞれの図面横方向の中間における右寄りの部分において直交している。これにより、P型トランジスタTp11を構成する2個のフィン型トランジスタTp11a,Tp11bが実現されている。さらに、ゲート配線G11は、アクティブフィンF21と図面横方向の中間における右寄りの部分において直交している。これにより、N型トランジスタTn11を構成する1個のフィン型トランジスタTn11aが実現されている。そして、ゲート配線G11には、入力ノードnin1が接続されており、この入力ノードnin1を介して入力信号IN1が与えられる。
【0025】
ゲート配線G12は、図面縦方向に延びており、ゲート配線G11の図面左側にゲート配線G11と並べて配置されている。そして、ゲート配線G12は、アクティブフィンF11,F12とそれぞれの図面横方向の中間における左寄りの部分において直交している。これにより、
P型トランジスタTp12を構成する2個のフィン型トランジスタTp12a,Tp12bが実現されている。さらに、ゲート配線G12は、アクティブフィンF21と図面横方向の中間における左寄りの部分において直交しており、アクティブフィンF22と図面横方向の中間において直交している。これにより、N型トランジスタTn12を構成する2個のフィン型トランジスタTn12a,Tn12bが実現されている。そして、ゲート配線G12には、入力ノードnin2が接続されており、この入力ノードnin2を介して入力信号IN2が与えられる。
【0026】
ダミーゲートとしてのゲート配線G13は、図面縦方向に延びており、ゲート配線G11の図面下側に、ゲート配線G11と図面横方向の位置が同じになるように並べて(分離して)配置されている。そして、ゲート配線G13は、ダミーフィンF23と図面横方向の中間において直交している。これにより、フィン構造を有するダミートランジスタTd13が実現されている。なお、ゲート配線G11とゲート配線G13とは、別々に形成してもよいし、ゲート配線G11からゲート配線G13まで延びる1本のゲート配線を形成して、形成後その一部(図内領域H)を切除してもよい。
【0027】
出力信号OUTが出力される出力ノードnoutは、論理回路1Aの図面と同一平面における中心部分から図面縦方向に延びており、コンタクトを介して接続配線e13に接続されている。接続配線e13は、ゲート配線G11,G12の間において、アクティブフィンF11,F12と接続されている。また、アクティブフィンF11,F12の図面左端部は、図面縦方向に延びる接続配線e14a、および接続配線e14aとコンタクトを介して接続された図面縦方向に延びる接続配線e14bを介して電源線V1に接続されている。同様に、アクティブフィンF11,F12の図面右端部は、図面縦方向に延びる接続配線e15a、および接続配線e15aとコンタクトを介して接続された図面縦方向に延びる接続配線e15bを介して電源線V1に接続されている。これにより、電源線V1と出力ノードnoutとの間に並列に接続された2個のP型トランジスタTp11,Tp12が実現されている。P型トランジスタTp11,Tp12はP型の導電型領域AR10に配置されている。
【0028】
また、出力ノードnoutは、論理回路1Aの図面と同一平面における中心部分から図面横方向に延びており、図面縦方向に延びる接続配線e11a、および接続配線e11aとコンタクトを介して接続された接続配線e11bに接続されている。接続配線e11bは、アクティブフィンF21の図面右端部と接続されている。なお、
図2では、ノードn11は、接続配線e11a,e11b、すなわちローカル配線とメタル配線とによって構成されているものとしたが、そのいずれか一方で構成してもよい。ノードn12についても同様である。
【0029】
アクティブフィンF21,F22は、ゲート配線G11,G12の間において、図面縦方向に延びる接続配線e16によって接続されている。また、アクティブフィンF21,F22の図面左端部は、図面縦方向に延びる接続配線e12a、および接続配線e12aとコンタクトを介して接続された図面縦方向に延びる接続配線e12bを介してグランド線V2に接続されている。これにより、出力ノードnoutとグランド線V2との間において、直列に接続された2個のN型トランジスタTn11,Tn12が実現されている。N型トランジスタTn11,Tn12はN型の導電型領域AR20に配置されている。
【0030】
なお、本態様では、N型トランジスタTn11を構成するゲート配線G11と、N型トランジスタTn12を構成するゲート配線G12とは、そのゲート長(図面横方向の長さ)が同一であるものとする。また、各アクティブフィンF21,F22は、フィン幅およびフィン高さが同一であるものとする。なお、本開示において、同一とは、実質的に同一であることを指し、すなわち製造上の誤差等の多少の誤差を含んでいる。
【0031】
以上のように、論理回路1Aの駆動回路10において、2個のN型トランジスタTn11,Tn12を構成するフィン型トランジスタは、それぞれ同一のゲート長、並びに同一のフィン幅および同一のフィン高さを有する。一方で、2個のN型トランジスタTn11,Tn12は、それぞれを構成するフィン型トランジスタの個数が異なる。すなわち、その駆動能力が異なる。具体的には、N型トランジスタTn12は、N型トランジスタTn11と比較して駆動能力が大きい。このように、フィン型トランジスタの個数が異なるトランジスタ(例えば、N型トランジスタTn11,Tn12)を直列に接続することによって、N型トランジスタTn11を2個直列に接続した場合よりも駆動能力を大きくすることができ、かつ、N型トランジスタTn12を2個直列に接続した場合よりも駆動能力を小さくすることができる。すなわち、本態様によると、駆動回路において、直列接続されたトランジスタのフィン型トランジスタの個数を異ならせることによって、フィン型トランジスタの個数が同じトランジスタを直列に接続した場合とは異なる駆動能力を有する駆動回路を実現することができる。したがって、上記の直列接続されたトランジスタのフィン型トランジスタの個数を変更することによって、所望の駆動能力を有する駆動回路(半導体集積回路)を実現することができる。すなわち、設計の自由度を向上させることが可能になる。これにより、駆動回路およびその駆動回路を備える論理回路の性能を向上させることができる。
【0032】
なお、
図2の論理回路1Aについて、標準セル(スタンダードセル)化を行ってもよい。ここで、半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、標準セルを用いたスタンダードセル方式について説明する。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ、ラッチ、フリップフロップ、全加算器など)を標準セルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数の標準セルを配置してそれらの標準セルの間を、メタル配線を用いて接続することによってLSI(Large Scale Integration)チップを設計する方式のことである。すなわち、本態様に係る論理回路を標準セル化することにより、これを用いた装置、例えば半導体集積回路等の設計の容易性が向上する。
【0033】
また、
図1では、駆動回路10において、2個のN型トランジスタTn11,Tn12が直列に接続された例について説明したが、フィン型トランジスタの個数の異なるトランジスタが3個以上直列に接続されていても同様の効果が得られる。
【0034】
図3は、本態様に係る駆動回路10の構成を模式的に示した図である。
【0035】
図3に示すように、駆動回路10は、ノードn11とノードn12との間に、r(rは整数、かつ、r≧2)個直列に接続されたN型トランジスタTn11,…,Tn1rを有する。N型トランジスタTn11,…,Tn1rは、それぞれ異なる個数(A1個,…,Ar個)のフィン型トランジスタによって構成されている。そして、N型トランジスタTn11,…,Tn1rのゲートは、それぞれ異なる入力ノードnin1,…,ninrに接続されており、それぞれに異なる入力信号IN1,…,INrが与えられる。
【0036】
そして、上記N型トランジスタTn11,…,Tn1rのフィン型トランジスタの個数A1,…,Arを適宜変更することによって、所望の駆動能力を有する駆動回路10(半導体集積回路)を実現することができる。すなわち、設計の自由度を向上させることが可能になる。これにより、駆動回路およびその駆動回路を備える論理回路の性能を向上させることができる。
【0037】
なお、駆動回路10において、直列に接続されたr個のトランジスタにおけるフィン型トランジスタの個数はすべてが異なっている必要はなく、その一部が異なっていればよい。具体的には、例えば、
図4に示すように、複数個の直列接続されたトランジスタのうち、一部のフィン型トランジスタの個数は異ならせる一方、他部のフィン型トランジスタの個数を等しくしても同様の効果が得られる。
【0038】
図4において、論理回路1Bは、駆動回路10と、3個のP型トランジスタTp11,Tp12,Tp13とを備えた3入力NAND回路である。
【0039】
駆動回路10は、
図1の構成に加えて、N型トランジスタTn12とノードn12との間に設けられたN型トランジスタTn13を備えている。レイアウト構成図は図示しないが、N型トランジスタTn13は、フィン型トランジスタ1個によって構成されている。なお、3個のN型トランジスタTn11,Tn12,Tn13において、各トランジスタを構成するフィン型トランジスタは、それぞれ同一のゲート長、並びに同一のフィン幅および同一のフィン高さを有するものとする。すなわち、N型トランジスタTn13の駆動能力は、N型トランジスタTn11の駆動能力と等しいものとする。そして、N型トランジスタTn13のゲートは、入力ノードnin3に接続されており、入力ノードnin3を介して入力信号IN3が与えられる。
【0040】
3個のP型トランジスタTp11,Tp12,Tp13は、電源と出力ノードnoutとの間に並列に設けられている。レイアウト構成図は図示しないが、P型トランジスタTp11,Tp12,Tp13は、フィン型トランジスタ2個によって構成されている。また、P型トランジスタTp11,Tp12,Tp13のゲートは、それぞれ、入力ノードnin1,nin2,nin3に接続されている。
【0041】
以上のように、論理回路の駆動回路において、複数個の直列接続されたトランジスタのうち、一部のフィン型トランジスタの個数を異ならせる一方、他部のフィン型トランジスタの個数を等しくすることによって、フィン型トランジスタの個数が同じトランジスタを直列に接続した場合とは異なる駆動能力を有する駆動回路を実現することができる。したがって、
図1と同様に、上記の直列接続されたトランジスタのフィン型トランジスタの個数を適宜変更することによって、所望の駆動能力を有する駆動回路(半導体集積回路)を実現することができる。すなわち、設計の自由度を向上させることが可能になる。これにより、駆動回路およびその駆動回路を備える論理回路の性能を向上させることができる。
【0042】
[その他の実施形態]
以上、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術はこれに限定されず、適宜、組み合わせ、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0043】
例えば、
図1〜
図4において、駆動回路10は、N型トランジスタによって構成されているものとしたが、これに限定されない。例えば、
図5に示すように、駆動回路がP型トランジスタによって構成されていても同様の効果が得られる。
【0044】
図5において、論理回路2Aは、駆動回路20と、2個のN型トランジスタTn21,Tn22とを備えた2入力NOR回路である。
【0045】
駆動回路20は、電源に接続されたノードn21(第1のノードに相当)と、出力ノードnoutに接続されたノードn22(第2のノードに相当)との間において、直列に接続されたP型トランジスタTp21,Tp22(第2および第1のトランジスタに相当)を備えている。P型トランジスタTp21のゲートは、入力ノードnin1に接続されている。P型トランジスタTp22のゲートは、入力ノードnin2に接続されている。レイアウト構成図は図示しないが、P型トランジスタTp21は、フィン型トランジスタ2個によって構成されており、P型トランジスタTp22は、フィン型トランジスタ1個によって構成されている。なお、2個のP型トランジスタTp21,Tp22において、各トランジスタを構成するフィン型トランジスタは、それぞれ同一のゲート長、並びに同一のフィン幅および同一のフィン高さを有するものとする。
【0046】
2個のN型トランジスタTn21,Tn22は、出力ノードnoutとグランドとの間に並列に設けられている。レイアウト構成図は図示しないが、N型トランジスタTn21,Tn22は、それぞれフィン型トランジスタ2個によって構成されている。また、N型トランジスタTn21,Tn22のゲートは、それぞれ、入力ノードnin1,nin2に接続されている。
【0047】
これにより、
図5に示す態様においても、
図1と同様に、フィン型トランジスタの個数が同じトランジスタを直列に接続した場合とは異なる駆動能力を有する駆動回路を実現することができる。したがって、駆動回路において直列接続されたトランジスタのフィン型トランジスタの個数を変更することによって、所望の駆動能力を有する駆動回路(半導体集積回路)を実現することができる。
【0048】
また、
図3では、同一導電型として、N型のトランジスタを有する駆動回路10について説明したが、同一導電型として、P型のトランジスタを有する駆動回路についても、
図3と同様の考え方に基づいて、2個以上の直列接続されたトランジスタを有する駆動回路を実現することが可能である。
【0049】
また、
図1および
図5では、論理回路として、NAND回路またはNOR回路の例について説明したが、論理回路はこれに限定されない。例えば、AND回路、OR回路、EOR(Exclusive OR)回路、ENOR(Exclusive NOR)回路、複合ゲート、フリップフロップなどの他の基本ゲート(組み合わせ論理回路、順序回路を含む)に本態様に係る駆動回路を適用してもよい。その際に、上記の各基本ゲートについて、それぞれ標準セル化を行ってもよい。
【0050】
また、
図2において、N型トランジスタTn12を構成する2個のフィン型トランジスタTn12a,Tn12bは、図面縦方向に並べて配置されているものとしたが、これに限定されない。例えば、図面横方向に並んでいてもかまわない。ただし、セルの図面横方向の面積の削減やメタル配線/ローカル配線の配線容易性を向上させるためには、N型トランジスタTn12を構成する2個のフィン型トランジスタTn12a,Tn12bは、図面縦方向に並べて配置されるのが好ましい。
【0051】
また、
図2において、論理回路1Aは、アクティブフィンF22の図面右側に、図面縦方向の位置が同じになるように並べて配置されたダミーフィンF23を備え、ダミーフィンF23は、アクティブフィンF21と図面縦方向に並べて配置されているものとしたが、これに限定されない。例えば、アクティブフィンF22とダミーフィンF23との図面縦方向の位置がずれていてもよいし、ダミーフィンF23は、アクティブフィンF21と図面縦方向に並べて配置されていなくてもよい。また、ダミーフィンF23を設けなくても、
図2と同様の効果が得られる。ただし、ダミーフィンF23を設けることによって、フィン構造を規則的にすることができるため、製造上のばらつき等を抑制することができる。また、ダミーフィンF23は、フローティングでなくてもよく、固定電位が与えられていてもよい。例えば、ダミーフィンF23がグランドに接続されていてもよい。
【0052】
また、
図2において、論理回路1Aは、ダミーフィンF23と図面横方向の中間において直交するゲート配線G13を備え、ゲート配線G13は、ゲート配線G11と図面縦方向に並べて(分離されて)配置されているもの、すなわちフローティングゲートであるものとしたが、これに限定されない。例えば、ゲート配線G11とゲート配線G13とが一体に形成されていてもよい。これにより、
図1と同様の効果が得られるとともに、ゲート構造の規則性が向上する。また、ゲート配線G13に固定電位が与えられていてもよい。また、ゲート配線G13は設けなくてもよい。ただし、
図2の位置にゲート配線G13を設けることによって、ゲート配線G13を設けない場合と比較して、ゲート構造を規則的にすることができるため、製造上のばらつき等を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示によると、半導体集積回路の設計において、その駆動能力を調整することが可能である。したがって、駆動能力の調整を要する回路に有用であり、例えば、NAND回路、OR回路等の基本ゲート等を有する論理回路およびその論理回路を備えた半導体集積回路等に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B,2A 論理回路
10,20 駆動回路(半導体集積回路)
Tn11 N型トランジスタ(第1のトランジスタ)
Tn12 N型トランジスタ(第2のトランジスタ)
Tn13 N型トランジスタ(第3のトランジスタ)
Tp21 P型トランジスタ(第2のトランジスタ)
Tp22 P型トランジスタ(第1のトランジスタ)
Tn11a,Tn12a,Tn12b フィン型トランジスタ
Tp11a,Tp11b,Tp12a,Tp12b フィン型トランジスタ
nin1 入力ノード(第1の入力ノード)
nin2 入力ノード(第2の入力ノード)
nin3 入力ノード(第3の入力ノード)
n11 ノード(第1のノード)
n12 ノード(第2のノード)
F21,F22 アクティブフィン(フィン)
F23 ダミーフィン
G11 ゲート配線(第1のゲート)
G13 ゲート配線(ダミーゲート)