(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周方向に沿って複数の磁極を含み固定された第1磁石と、前記第1磁石の周囲を第1回転方向に回転し周面にトナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を担持する第1スリーブと、を備え、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムに所定の現像位置で対向して配置され、前記感光体ドラムに前記トナーを供給する現像ローラーと、
周方向に沿って複数の磁極を含み固定された第2磁石と、前記第2磁石の周囲を第2回転方向に回転し周面に前記現像剤を担持する第2スリーブと、を備え、前記現像ローラーに所定の対向位置で対向するように配置され、前記現像ローラーに前記現像剤を供給する搬送ローラーと、
前記現像剤を攪拌するとともに、前記搬送ローラーに前記現像剤を供給する現像剤攪拌部と、
少なくとも先端側に磁性部材を含み、前記搬送ローラーに対向して配置され、前記現像剤攪拌部から前記搬送ローラーに供給された前記現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、
を備え、
前記第1回転方向および前記第2回転方向は、前記対向位置において互いに対向する方向に設定され、
前記第1磁石は、前記対向位置の前記第1回転方向下流側に配置された第1磁極を備え、
前記第2磁石は、
前記対向位置の前記第2回転方向上流側に配置され、かつ、前記第1磁石の前記第1磁極に対向して配置された第2磁極と
前記第2磁極に対して前記第2回転方向上流側に隣接して配置され、かつ、前記層厚規制部材に対向して配置された第3磁極と、
を備え、
前記第1磁極および前記第3磁極は同極の磁極であり、前記第2磁極は前記第1磁極と異極の磁極であり、
前記現像剤攪拌部から前記搬送ローラーに供給され前記層厚規制部材を通過した前記現像剤が、前記第1磁極および前記第2磁極によって形成される磁界によって、前記搬送ローラーから前記現像ローラーに受け渡され、
前記第1磁石の磁力の半径方向成分における前記第1磁極のピーク磁力をP1(mT)、前記第2磁石の磁力の半径方向成分における前記第2磁極のピーク磁力をP2(mT)、前記層厚規制部材によって規制される前記現像剤の搬送量をM(g/m2)とした場合、
1.13−0.0012×M ≦ P2/P1 ≦ 1.5
の関係が満たされることを特徴とする現像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような技術では、搬送ローラー上の現像剤量を規制するための規制極として機能する磁極が、層厚規制部材に対向するように配置される。この際、層厚規制部材が磁性材料から構成された場合、層厚規制部材と規制極との間に強い磁界が形成される。一方、現像剤の受け渡し部を形成する、搬送ローラー側の第1のS極と現像ローラー側の第1のN極との間にも強い磁界が形成される。この結果、層厚規制部材から現像剤の受け渡し部に至るまでの領域の磁力線が弱まることでトナー飛散が発生し、現像装置の周辺がトナーで汚れやすくなるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、それぞれ内部に磁石を備え、互いに現像剤を受け渡しあう複数のローラーを備える現像装置において、層厚規制後のトナー飛散の発生を抑制するとともに、当該現像装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る現像装置は、周方向に沿って複数の磁極を含み固定された第1磁石と、前記第1磁石の周囲を第1回転方向に回転し周面にトナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を担持する第1スリーブと、を備え、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムに所定の現像位置で対向して配置され、前記感光体ドラムに前記トナーを供給する現像ローラーと、周方向に沿って複数の磁極を含み固定された第2磁石と、前記第2磁石の周囲を第2回転方向に回転し周面に前記現像剤を担持する第2スリーブと、を備え、前記現像ローラーに所定の対向位置で対向するように配置され、前記現像ローラーに前記現像剤を供給する搬送ローラーと、前記現像剤を攪拌するとともに、前記搬送ローラーに前記現像剤を供給する現像剤攪拌部と、少なくとも先端側に磁性部材を含み、前記搬送ローラーに対向して配置され、前記現像剤攪拌部から前記搬送ローラーに供給された前記現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、を備え、前記第1回転方向および前記第2回転方向は、前記対向位置において互いに対向する方向に設定され、前記第1磁石は、前記対向位置の前記第1回転方向下流側に配置された第1磁極を備え、前記第2磁石は、前記対向位置の前記第2回転方向上流側に配置され、かつ、前記第1磁石の前記第1磁極に対向して配置された第2磁極と前記第2磁極に対して前記第2回転方向上流側に隣接して配置され、かつ、前記層厚規制部材に対向して配置された第3磁極と、を備え、前記第1磁極および前記第3磁極は同極の磁極であり、前記第2磁極は前記第1磁極と異極の磁極であり、前記現像剤攪拌部から前記搬送ローラーに供給され前記層厚規制部材を通過した前記現像剤が、前記第1磁極および前記第2磁極によって形成される磁界によって、前記搬送ローラーから前記現像ローラーに受け渡され、前記第1磁石の磁力の半径方向成分における前記第1磁極のピーク磁力をP1(mT)、前記第2磁石の磁力の半径方向成分における前記第2磁極のピーク磁力をP2(mT)、前記層厚規制部材によって規制される前記現像剤の搬送量をM(g/m
2)とした場合、1.13−0.0
012×M≦P2/P1≦1.5の関係が満たされることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、現像剤攪拌部から搬送ローラーに現像剤が供給されるとともに、搬送ローラーから現像ローラーに前記現像剤が供給される。現像位置において現像剤から一部のトナーが感光体ドラムに供給されると、現像ローラーから搬送ローラーに現像剤が回収される。磁性部材を含む層厚規制部材と第3磁極との間に磁界が形成されることで、搬送ローラー上の現像剤が安定して規制される。また、第1磁極と第2磁極との間に形成される磁界によって、搬送ローラーから現像ローラーに安定して現像剤が受け渡される。更に、第1磁極のピーク磁力P1、第2磁極のピーク磁力P2および現像剤の搬送量Mが所定の関係式を満たすことで、層厚規制部材を通過し対向位置に向かって搬送される現像剤に含まれるトナーが、第2スリーブ上から飛散することが抑止される。
【0009】
上記の構成において、前記第1磁石は、前記第1磁極に対して前記第1回転方向上流側で前記対向位置を挟んで配置された第4磁極を更に備え、前記第2磁石は、前記第2磁極に対して前記第2回転方向下流側で前記対向位置を挟んで配置された第5磁極を更に備え、前記第5磁極は、前記第4磁極と異極の磁極であり、前記現像位置を通過した前記現像剤が、前記第4磁極および前記第5磁極によって形成される磁界によって、前記現像ローラーから前記搬送ローラーに受け渡されることが望ましい。
【0010】
本構成によれば、異極関係にある第4磁極および第5磁極によって、現像剤を現像ローラーから搬送ローラーに安定して受け渡すことができる。
【0011】
上記の構成において、前記搬送ローラーの軸心と直交する断面で見た場合、前記層厚規制部材は、所定の厚さを備えた板状部材からなり、かつ、前記搬送ローラーに対向する先端面を備え、前記搬送ローラーの前記軸心と前記層厚規制部材の前記先端面のうち前記第2回転方向上流側の端部とを結ぶ第1直線が、前記搬送ローラーの前記軸心と前記第3磁極の磁力の半径方向成分のピーク位置とを結ぶ第2直線よりも前記第2回転方向下流側に配置され、前記第1直線と前記第2直線とがなす角度が2度以上15度以下の範囲となるように、前記層厚規制部材が配置されていることが望ましい。
【0012】
本構成によれば、磁性部材を含む層厚規制部材によって、搬送ローラー上の現像剤の搬送量を安定して規制することができる。
【0013】
上記の構成において、前記搬送ローラーの前記第2スリーブの表面には、所定の溝形状が備えられていることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、溝形状を備える第2スリーブの強い搬送力によって、トナーが飛散することが更に抑止される。
【0015】
上記の構成において、前記層厚規制部材によって規制される前記現像剤の搬送量M(g/m
2)が、200≦M≦400の範囲に設定されていることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、トナーが飛散しやすい領域に現像剤の搬送量が設定されても、第1磁極のピーク磁力P1、第2磁極のピーク磁力P2および現像剤の搬送量Mが所定の関係式を満たすことで、層厚規制部材を通過し対向位置に向かって搬送される現像剤に含まれるトナーが、第2スリーブ上から飛散することが抑止される。
【0017】
上記の構成において、前記現像ローラーの軸心は、前記感光体ドラムの軸心よりも下方に配置され、前記搬送ローラーの軸心は、前記現像ローラーの軸心よりも下方に配置されていることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、僅かなトナーが搬送ローラーから飛散した場合であっても、当該トナーが現像ローラーに付着することが抑止される。
【0019】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の何れか1に記載の現像装置と、前記現像装置から前記トナーが供給され、前記周面にトナー像を担持する前記感光体ドラムと、前記感光体ドラムからシートに前記トナー像を転写する転写部と、を有することを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、それぞれ内部に磁石を備え、互いに現像剤を受け渡しあう複数のローラーを備える現像装置を備え、層厚規制後のトナー飛散の発生が抑止された画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、それぞれ内部に磁石を備え、互いに現像剤を受け渡しあう複数のローラーを備える現像装置において、層厚規制後のトナー飛散の発生が抑止されるとともに、当該現像装置を備えた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る画像形成装置10について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態では、画像形成装置の一例として、タンデム方式のカラープリンタを例示する。画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機等であってもよい。
【0024】
図1は、画像形成装置10の内部構造を示す断面図である。この画像形成装置10は、箱形の筐体構造を備える装置本体11を備える。この装置本体11内には、シートPを給紙する給紙部12、給紙部12から給紙されたシートPに転写するトナー像を形成する画像形成部13、前記トナー像が一次転写される中間転写ユニット14、二次転写ローラー145、画像形成部13にトナーを補給するトナー補給部15、及び、シートP上に形成された未定着トナー像をシートPに定着する処理を施す定着部16が内装されている。さらに、装置本体11の上部には、定着部16で定着処理の施されたシートPが排紙される排紙部17が備えられている。
【0025】
装置本体11内には、さらに、画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びるシート搬送路111が形成されている。シート搬送路111には、適所にシートを搬送する搬送ローラー対112が設けられている。また、シートのスキュー矯正を行うと共に、後述する二次転写のニップ部に所定のタイミングでシートを送り込むレジストローラー対113も、シート搬送路111における前記ニップ部の上流側に設けられている。シート搬送路111は、シートPを給紙部12から排紙部17まで、画像形成部13(二次転写ニップ部)及び定着部16を経由して搬送させる搬送路である。
【0026】
給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備える。給紙トレイ121は、装置本体11の下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚のシートPが積層されたシート束PWを貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121に貯留されたシート束PWの最上面のシートPを1枚ずつ繰り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって繰り出されたシートPをシート搬送路111に送り出す。
【0027】
画像形成部13は、シートPに転写するトナー像を形成するものであって、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成ユニットを備える。この画像形成ユニットとして、本実施形態では、後述する中間転写ベルト141の回転方向上流側から下流側へ(
図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット13M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット13C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット13Y、及びブラック(Bk)色の現像剤を用いるブラック用ユニット13Bkが備えられている。各ユニット13M、13C、13Y、13Bkは、それぞれ感光体ドラム20と、感光体ドラム20の周囲に配置された帯電装置21、現像装置23及びクリーニング装置25とを備える。また、各ユニット13M、13C、13Y、13Bk共通の露光装置22が、画像形成ユニットの下方に配置されている。
【0028】
感光体ドラム20は、その軸回りに回転駆動され、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。この感光体ドラム20としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各色の画像形成ユニットに対応して、感光体ドラム20がそれぞれ配置される。帯電装置21は、感光体ドラム20の表面を均一に帯電する。帯電装置21は、帯電ローラーと、前記帯電ローラーに付着したトナーを除去するための帯電クリーニングブラシとを備える。露光装置22は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、均一に帯電された感光体ドラム20の周面に、画像データに基づき変調された光を照射して、静電潜像を形成する。また、クリーニング装置25は、トナー像転写後の感光体ドラム20の周面を清掃する。
【0029】
現像装置23は、感光体ドラム20上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム20の周面にトナーを供給する。現像装置23は、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤用のものである。なお、本実施形態では、トナーはプラスの極性に帯電する特性を備える。
【0030】
中間転写ユニット14は、画像形成部13とトナー補給部15との間に設けられた空間に配置される。中間転写ユニット14は、中間転写ベルト141と、駆動ローラー142と、従動ローラー143と、一次転写ローラー24と、を備える。
【0031】
中間転写ベルト141は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム20の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー142及び従動ローラー143に架け渡されている。中間転写ベルト141は、一の方向に周回駆動され、感光体ドラム20から転写されたトナー像を表面に担持する。
【0032】
駆動ローラー142は、中間転写ユニット14の右端側で中間転写ベルト141を張架し、中間転写ベルト141を周回駆動させる。駆動ローラー142は金属ローラーからなる。従動ローラー143は、中間転写ユニット14の左端側で中間転写ベルト141を張架する。従動ローラー143は、中間転写ベルト141に張力を付与する。
【0033】
一次転写ローラー24は、中間転写ベルト141を挟んで感光体ドラム20と一次転写ニップ部を形成し、感光体ドラム20上のトナー像を中間転写ベルト141上に一次転写する。各色の感光体ドラム20に対向して、それぞれ、一次転写ローラー24が配置される。
【0034】
二次転写ローラー145は、中間転写ベルト141を挟んで駆動ローラー142に対向して配置されている。二次転写ローラー145は、中間転写ベルト141の周面に圧接されて二次転写ニップ部を形成している。中間転写ベルト141上に一次転写されたトナー像は、給紙部12から供給されるシートPに、前記二次転写ニップ部において二次転写される。本実施形態の中間転写ユニット14および二次転写ローラー145は、本発明の転写部を構成する。転写部は、感光体ドラム20からシートPにトナー像を転写する。
【0035】
トナー補給部15は、画像形成に用いられるトナーを貯留するものであり、本実施形態ではマゼンタ用トナーコンテナ15M、シアン用トナーコンテナ15C、イエロー用トナーコンテナ15Y及びブラック用トナーコンテナ15Bkを備える。これらトナーコンテナ15M、15C、15Y、15Bkは、MCYBk各色に対応する画像形成ユニット13M、13C、13Y、13Bkの現像装置23に、不図示のトナー搬送部を通して各色のトナーを補給する。
【0036】
定着部16へ供給されたシートPは、定着ニップ部を通過することで加熱加圧される。これにより、前記二次転写ニップ部でシートPに転写されたトナー像は、シートPに定着される。
【0037】
排紙部17は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹部の底部に排紙されたシートPを受ける排紙トレイ171が形成されている。定着処理が施されたシートPは、定着部16の上部から延設されたシート搬送路111を経由して、排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0038】
次に、
図1に加え、
図2乃至
図6を参照して、本実施形態に係る現像装置23について、更に詳述する。
図2は、本実施形態に係る現像装置23の内部構造を示す模式的な断面図である。
図2では、現像装置23の各回転部材の回転方向が矢印で示されている。
図3は、本実施形態に係る現像ローラー231および搬送ローラー232の磁極配置を示す模式的な断面図である。
図4は、現像ローラー231の磁極配置を示す模式的な断面図である。
図5Aは、搬送ローラー232の磁極配置を示す模式的な断面図である。また、
図5Bは、搬送ローラー232と層厚規制部材235との対向位置周辺を拡大した模式図である。
図6は、本実施形態に係る現像装置23のハウジング23Hの構造を示す模式的な断面図である。
【0039】
図1乃至
図6を参照して、現像装置23は、ハウジング23Hと、現像ローラー231と、搬送ローラー232と、二本の攪拌スクリュー233(現像剤攪拌部)と、仕切り板234と、層厚規制部材235と、を含む。ハウジング23Hは、現像装置23の各部材を支持する筐体部分である。
【0040】
現像ローラー231は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム20に所定の現像位置NP(
図3)で対向して配置され、感光体ドラム20にトナーを供給する。現像ローラー231は、第1磁石231Aと、第1スリーブ231Bと、を備える(
図3)。なお、本実施形態では、現像位置NPは、感光体ドラム20と現像ローラー231との最近接位置を含む。第1磁石231Aは、周方向に沿って複数の磁極を含み、ハウジング23Hに固定された円柱状の磁石である。第1スリーブ231Bは、第1磁石231Aの周囲を第1回転方向(
図2、
図3の矢印D1方向)に回転し、周面にトナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を担持する。本実施形態では、第1スリーブ231Bは、アルミ製の円管部材(基材)からなる。第1スリーブ231Bの円管部材の周面には、サンドブラスト処理(ブラスト処理)が施されているとともに、更に、その周面上に施されたNiメッキ層を含む。第1スリーブ231BのNiメッキ層の表面は、所定の表面粗さを備えている。本実施形態では、第1スリーブ231Bの表面粗さRzjisは、4.0μmから14.0μmの範囲に設定されている。現像ローラー231の第1スリーブ231Bは、ハウジング23Hに回転可能に支持されている。なお、他の実施形態において、第1スリーブ231Bの周面には、公知の溝形状を備えるものでもよい。
【0041】
搬送ローラー232は、現像ローラー231に所定の対向位置TP(
図3)で対向するように配置され、現像ローラー231に現像剤を供給する。なお、本実施形態では、対向位置TPは、搬送ローラー232と現像ローラー231との最近接位置を含む。搬送ローラー232は、第2磁石232Aと、第2スリーブ232Bと、を備える。第2磁石232Aは、周方向に沿って複数の磁極を含み、ハウジング23Hに固定されている。第2スリーブ232Bは、第2磁石232Aの周囲を第2回転方向(
図2、
図3の矢印D2方向)に回転し、周面にトナーおよびキャリアを含む現像剤を担持する。搬送ローラー232の第2スリーブ232Bは、ハウジング23Hに回転可能に支持されている。搬送ローラー232の第2スリーブ232Bの周面には、公知の溝形状が形成されている。
【0042】
なお、現像ローラー231および搬送ローラー232には、直流バイアスに交流バイアスが重畳された現像バイアスが印加される(
図2)。なお、層厚規制部材235は、搬送ローラー232と同電位となるように不図示の導通路によって接続されている。また、
図3に示すように、現像ローラー231が回転する第1回転方向D1、および搬送ローラー232が回転する第2回転方向D2は、対向位置TPにおいて互いに対向するように設定されている(カウンタ方向)。
【0043】
攪拌スクリュー233は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。攪拌スクリュー233は、第1スクリュー233Aと、第2スクリュー233Bと、を備える。なお、
図2では図示していないが、ハウジング23Hは、第1スクリュー233Aが配置される不図示の第1攪拌部と、第2スクリュー233Bが配置される不図示の第2攪拌部と、を備える(
図1の現像装置23参照)。現像剤は、第1スクリュー233Aと、第2スクリュー233Bとの間を循環搬送される。そして、第1スクリュー233Aは、搬送ローラー232に現像剤を供給する。仕切り板234は、ハウジング23Hに備えられた板状部材である。仕切り板234は、第1攪拌部と第2攪拌部とを第1スクリュー233Aおよび第2スクリュー233Bの軸方向に沿って仕切っている。また、トナー補給部15から補給されたトナーは、第2スクリュー233Bの軸方向の一端側からハウジング23H内に流入し、他の現像剤と攪拌される。
【0044】
層厚規制部材235は、搬送ローラー232の軸心と直交する断面で見た場合、搬送ローラー232の周面に対向して配置された先端面を備え、所定の厚さを備えた板状部材である。本実施形態では、層厚規制部材235は磁性金属材料(磁性部材)から構成されている。なお、他の実施形態において、層厚規制部材235が非磁性材料から構成され、その上流側の側面に磁性部材が固定されてもよい。換言すれば、層厚規制部材235は搬送ローラー232に対向する先端部に磁性部材を備えるものであればよい。層厚規制部材235は、攪拌スクリュー233の第1スクリュー233Aから搬送ローラー232に供給された現像剤の層厚を規制する。
【0045】
また、
図2に示すように、現像ローラー231の軸心は、感光体ドラム20の軸心よりも下方に配置され、搬送ローラー232の軸心は、現像ローラー231の軸心よりも更に下方に配置されている。
【0046】
更に、
図2を参照して、トナーおよびキャリアからなり、攪拌スクリュー233で循環搬送された現像剤は、第1スクリュー233Aから搬送ローラー232に供給される。その後、層厚規制部材235によって現像剤の層厚が規制された後、当該現像剤は現像ローラー231に供給される。現像位置NP(
図3)においてトナーの一部が感光体ドラム20に供給されると、現像ローラー231から搬送ローラー232に現像剤が回収される。その後、搬送ローラー232に回収された現像剤は、再び第1スクリュー233Aの周辺の第1攪拌部に流入する。
【0047】
図3および
図4を参照して、本実施形態では、現像ローラー231の第1磁石231Aは、周方向に沿って6つの磁極を備えている。現像ローラー231と搬送ローラー232との対向位置TPから第1回転方向(D1)下流側には、N11極(第1磁極)が配置される。また、N11極の第1回転方向下流側には、S11極が配置される。S11極は、搬送ローラー232から受け取った現像剤を感光体ドラム20側に搬送する搬送極として機能する。更に、S11極の第1回転方向下流側には、感光体ドラム20にトナーを供給する主極として機能するN12極が配置される。N12極は、現像位置NPの近傍に配置されている。
【0048】
更に、第1磁石231Aは、現像位置NPよりも第1回転方向下流側、かつ、対向位置TPよりも第1回転方向上流側の第1領域において、3つの磁極(S12、N13、S13)を備えている。S12極およびN13極は、N12極の第1回転方向下流側に順に配置される。S13極(第4磁極)は、N13極に対して第1回転方向下流側に隣接し、かつ、対向位置TPの第1回転方向上流側に配置された磁極である。また、S13極は、前述のN11極に対して第1回転方向上流側で対向位置TPを挟んで隣接して配置されている。
【0049】
表1には、本実施形態に係る第1磁石231Aとして、6つの磁極の角度および磁力(半径方向成分のピーク値)を例示したものが示されている。なお、表1に示される各磁極の角度は、
図4の対向位置TPを始点(角度0°)として、第1回転方向に沿って示されている。
図4では、対向位置TPと現像ローラー231の回転軸心とを結ぶ直線CL(現像ローラー231の回転軸心と搬送ローラー232の回転軸心とを結ぶ直線)が上記の始点として示されている。
【0051】
一方、
図3および
図5Aを参照して、搬送ローラー232の第2磁石232Aは、周方向に沿って5つの磁極を備えている。現像ローラー231と搬送ローラー232との対向位置TPから第2回転方向(D2)下流側には、N1極(第5磁極)が配置される。また、N1極の第2回転方向下流側には、S1極が配置される。更に、S1極の第2回転方向下流側には、間隔をおいてS2極が配置される。S1極は、搬送ローラー232から現像剤を剥離する剥離極として機能する。S2極は、第1スクリュー233Aから現像剤を汲み上げる汲上極として機能する。S2極の第2回転方向下流側には、N2極(第3磁極)およびS3極(第2磁極)が配置されている。
図5Aに示すように、S3極よりも第2回転方向上流側であって、N2極とS3極との間、特にN2極近傍において前述の層厚規制部材235が搬送ローラー232の第2スリーブ232Bに所定の間隔をおいて対向して配置されている。本実施形態では、層厚規制部材235に対向するN2極が規制極として機能する。このため、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤が受け渡される前に、現像剤の層厚を安定して規制することができる。なお、S3極は、対向位置TPの第2回転方向上流側に配置され、前述のN1極は、S3極に対して第2回転方向下流側に対向位置TPを挟んで隣接して配置されている。また、S3極は、第1磁石231AのN11極に対向して配置され、N1極は、第1磁石231AのS13極に対向して配置されている。
【0052】
表2には、本実施形態に係る第2磁石232Aの一例として、5つの磁極の角度および磁力(半径方向成分のピーク値)が示されている。表2に示される各磁極の角度は、
図5Aの対向位置TPを始点(角度0°)として、第2回転方向に沿って示されている。なお、
図5Aでは、対向位置TPと搬送ローラー232の回転軸心とを結ぶ直線CL(現像ローラー231の回転軸心と搬送ローラー232の回転軸心とを結ぶ直線)が上記の始点として示されている。
【0054】
更に、現像ローラー231の第1磁石231Aおよび搬送ローラー232の第2磁石232Aのうち対向位置TPの周囲に配置された磁極の配置および機能について付言する。第1磁石231AのN11極および第2磁石232AのS3極は、異極の磁極である。同様に、第1磁石231AのS13極および第2磁石232AのN1極は、異極の磁極である。そして、S13極およびN1極によって形成される磁界によって、現像位置NPを通過した現像剤が、現像ローラー231から搬送ローラー232に受け渡される。また、攪拌スクリュー233の第1スクリュー233Aから搬送ローラー232に供給された現像剤は、層厚規制部材235によって規制された後、S3極およびN11極によって形成される磁界によって、搬送ローラー232から現像ローラー231に受け渡される。また、第2磁石232AのN2極は、第1磁石231AのN11極と同極の磁極である。また、第2磁石232AのS3極は、同N11極と異極の磁極である。
【0055】
図6を参照して、ハウジング23Hは、現像ローラー231および搬送ローラー232に対向する複数の内壁部を備えている。詳しくは、ハウジング23Hは、第1内壁部23H1と、第2内壁部23H2と、第3内壁部23H3と、第4内壁部23H4と、を備える。第1内壁部23H1は、S12極、N13極およびS13極に対向し、かつ、現像位置NPからS13極に対向する位置まで現像ローラー231の第1スリーブ231Bの周面に沿うように延設されている。第2内壁部23H2は、第1内壁部23H1に接続されるとともに、N1極およびS1極に対向し、かつ、搬送ローラー232の第2スリーブ232Bの周面に沿うように延設されている。同様に、第3内壁部23H3は、第1内壁部23H1とは反対側でS11極およびN11極に対向し、かつ、現像位置NPからN11極に対向する位置まで現像ローラー231の第1スリーブ231Bの周面に沿うように延設されている。第1内壁部23H1と第3内壁部23H3との間において、現像ローラー231の第1スリーブ231Bが部分的に露出され、感光体ドラム20に対向して配置されている。第4内壁部23H4は、第3内壁部23H3に接続されるとともに、S3極、N2極に対向し、かつ、搬送ローラー232の第2スリーブ232Bの周面に沿うように延設されている。なお、前述の層厚規制部材235は、第4内壁部23H4と交差するようにハウジング23Hに固定され、搬送ローラー232の半径方向に沿って延びている。
【0056】
また、
図6に示すように、各内壁部と現像ローラー231の第1スリーブ231Bおよび搬送ローラー232の第2スリーブ232Bとの間には、略均等な隙間H(現像剤の搬送路)が形成されている。本実施形態では、当該隙間Hの高さは、現像ローラー231および搬送ローラー232の半径よりも小さく、0.5mmから2.0mmの範囲に設定されている。
【0057】
近年、トナーおよびキャリアを含む現像剤が使用される、2成分現像方式では、画像品質の向上のため、平均体積粒径30〜45μm程度の小粒径キャリアが使用されることが多い。また、現像ローラー231上の現像剤搬送量も400g/m
2以下の範囲に設定されることが主流となってきている。そして、この低搬送量を安定して実現させるためには、磁性の層厚規制部材235が使用されることが望ましい。
【0058】
図3を参照して、層厚規制部材235の先端とN2極との間には、強い磁界が形成される。また、異極同士のS3極およびN11極によって形成される強い磁界によって、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤が受け渡される。
【0059】
このように、N2極から発生する磁力線の多くが層厚規制部材235に向かい、S3極から発生する磁力線の多くが、対向する現像ローラー231のN11極に向かうと、N2極とS3極とを結ぶ磁力線は非常に少なくなりやすい。この結果、このN2極とS3極との間で現像剤が飛翔しやすい。搬送ローラー232上で現像剤の飛翔が発生すると、その部分でトナー飛散が発生しやすくなり、画像形成装置10の機内が汚染されやすい。
【0060】
本実施形態では、2本の磁気ローラー(現像ローラー231、搬送ローラー232)を備えた現像装置23において、感光体ドラム20には1本の現像ローラー231が対向して配置されている。また、磁性材料を含む層厚規制部材235は搬送ローラー232に対向して配置されている。そして、上記のように、層規制後の現像剤からトナーが飛散することを抑止するために、現像装置23は、第1磁石231Aおよび第2磁石232Aの磁極条件に特徴を備えている。
【0061】
すなわち、本実施形態では、第1磁石231Aの磁力の半径方向成分におけるN11極のピーク磁力をP1(mT)、第2磁石232Aの磁力の半径方向成分におけるS3極のピーク磁力をP2(mT)、層厚規制部材235によって規制される現像剤の搬送量をM(g/m
2)とした場合、
1.13−0.0
012×M ≦ P2/P1 ・・・(式1)
の関係が満たされる。この場合、搬送ローラー232のN2極とS3極との間で、現像剤からトナーが飛散することが抑止される。これは、S3極の磁力が強くなることで、S3極とN2極との間に安定して磁力線が形成され、現像剤の保持力が増大するためである。
【0062】
一方、S3極の磁力が強すぎる場合、現像剤がS3極からN11極に移動しにくい。このため、上記の式1に加え、
P2/P1 ≦ 1.5 ・・・(式2)
の関係が満たされることが望ましい。この場合、現像剤からトナーが飛散することが抑止されつつ、搬送ローラー232から現像ローラー231に安定して現像剤を受け渡すことができる。
【0063】
なお、層厚規制部材235によって規制される現像剤の搬送量M(g/m
2)が、200≦M≦400の範囲に設定されていることで、トナーの飛散および現像剤の受け渡しが更に安定して実現される。
【0064】
このように、本実施形態では、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤が受け渡される領域に配置された2つの磁極(S3極、N11極)は互いに異極の磁極であり、層厚規制部材235の周辺から対向位置TPにかけて配置された2つの磁極(N2極、S3極)も互いに異極の磁極からなる。そして、上記の式1および式2が満たされるように、第1磁石231Aおよび第2磁石232Aの磁極条件、更に、層厚規制部材235と搬送ローラー232との間のギャップが予め設定されている。この結果、層厚規制部材235を通過し対向位置TPに向かって搬送される現像剤に含まれるトナーが、搬送ローラー232の第2スリーブ232B上から飛散することが抑止される。この結果、飛散したトナーが現像装置23の周囲へ移動し、画像形成層10の内部が汚染することが抑止される。また、現像装置23のハウジング23H内に飛散したトナーが堆積し、そのトナーが現像位置NPに運ばれ、画像上にトナーの塊が色点として発生することも抑止される。
【0065】
なお、磁性材料を含む層厚規制部材235によって、搬送ローラー232上の現像剤の搬送量が安定して規制されるためには、層厚規制部材235の配置が好適に調整されることが望ましい。すなわち、
図5Bを参照して、搬送ローラー232の軸心232Cと層厚規制部材235の先端面のうち第2回転方向上流側の端部235Cとを結ぶ第1直線L1が、搬送ローラー232の軸心232CとN2極の磁力の半径方向成分のピーク位置とを結ぶ第2直線L2よりも第2回転方向下流側に配置され、第1直線L1と第2直線L2とがなす角度θが2度以上15度以下の範囲となるように、層厚規制部材235が配置されることが望ましい。
【0066】
また、本実施形態では、搬送ローラー232の第2スリーブ232Bの表面には、所定の溝形状(ローレット溝)が備えられている。このため、公知のサンドブラスト加工が施されたスリーブと比較して、第2スリーブ232Bの搬送力が高く維持される。この結果、層厚規制部材235から対向位置TPに向かって現像剤が安定して搬送され、トナー飛散が更に抑止される。
【0067】
また、本実施形態では、
図6に示すように、現像ローラー231の軸心は感光体ドラム20の軸心よりも下方に配置され、搬送ローラー232の軸心は現像ローラー231の軸心よりも下方に配置されている。そして、N11極がS3極よりも上方に配置されている。換言すれば、S3極の磁力の半径方向成分のピーク位置に対向する第2スリーブ232Bの外周位置は、N11極の磁力の半径方向成分のピーク位置に対向する第1スリーブ231Bの外周位置よりも下方に配置されている。このため、搬送ローラー232から僅かなトナーが飛散した場合や、磁力に拘束されにくいトナーの凝集物や異物が現像剤中に含まれている場合でも、これらの粒子は重力に作用によって、現像ローラー231に到達することなく落下する。このため、これらの凝集物や異物が画像上に現れることが抑止される。
【0068】
また、本実施形態では、対向位置TPを挟んだ位置に、異なる方向に向かって現像ローラー231および搬送ローラー232間の現像剤の受け渡し領域が安定して形成される。特に、搬送ローラー232から現像ローラー231へ、および現像ローラー231から搬送ローラー232へは、いずれも異極同士の磁極によって現像剤が受け渡される。なお、本実施形態では、一例として、現像ローラー231と感光体ドラム20との間のギャップ(現像位置NP)が、0.25mmよりも大きく0.40mm以下に設定される。一方、現像ローラー231と搬送ローラー232との間のギャップ(対向位置TP)は、0.18mm以上0.25mm以下に設定される。換言すれば、現像ローラー231と搬送ローラー232との間のギャップは、現像ローラー231と感光体ドラム20との間のギャップよりも狭く設定される。そして、このように狭く設定された対向位置TPを挟むように、現像ローラー231と搬送ローラー232との間で現像剤の受け渡しが行われる。なお、前述のように、対向位置TPには、いずれの磁極のピーク位置も対向していない。このため、上記のように対向位置TPのギャップが狭く設定されても、対向位置TPに現像剤が介在し現像剤の固着が発生することが抑止される。また、周方向において対向位置TPを挟むように、受け渡しの現像剤の磁気ブラシが2つ形成されるため、対向位置TPでトナーが飛散した場合でも、当該トナーを封じ込めることができる。
【0069】
また、
図6を参照して、本実施形態では、第1内壁部23H1および第2内壁部23H2が、現像ローラー231および搬送ローラー232の周面に沿って形成されながら互いに接続されているため、現像ローラー231から搬送ローラー232に現像剤をスムーズに受け渡すことができる。同様に、搬送ローラー232から現像ローラー231への現像剤の受け渡し領域においても、第3内壁部23H3および第4内壁部23H4によって、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤をスムーズに受け渡すことができる。
【実施例】
【0070】
次に、実施例に基づいて、本発明を更に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。後記の各実験では、以下の実験条件において実験を行った。
<実験条件>
・プリント速度:55枚/分
・感光体ドラム20:アモルファスシリコン感光体(a−Si)、直径φ30mm、表面電位Vo(白地部、背景部)=+270V、VL(画像部)=+20V、周速=300mm/sec
・層厚規制部材235と第2スリーブ232Bとのギャップ:200〜600μm
・搬送ローラー232、現像ローラー231上の現像剤搬送量(層厚規制後):200〜400g/m
2
・キャリア:体積平均粒径35μm、磁力80emu/g、フェライト樹脂コートキャリア
・トナー:体積平均粒径6.8μm、トナー濃度7%、正帯電性
【0071】
現像ローラー231の条件は以下のとおりである。
・現像ローラー231:直径φ20mm
・現像ローラー231の感光体ドラム20に対する周速比:1.8(対向位置で同方向、ウィズ方向)
・現像ローラー231と感光体ドラム20とのギャップ:300μm
・現像バイアス:直流バイアス=170V、交流バイアス=Vpp1.4kV、周波数f3.7kHz、Duty50%、矩形波(なお、搬送ローラー232および層厚規制部材235も同電位である)。
・第1スリーブ231Bの表面条件:サンドブラスト(Rzjis8μm)、Niメッキ処理。
また、実験に用いた現像ローラー231の磁極分布は、先の表1に示された条件である。なお、以下の現像ローラー231および搬送ローラー232の磁力測定は、日本電磁測器株式会社 GAUSS METER Model GX−100を用いて行った。
【0072】
また、実験に用いた搬送ローラー232の条件は以下のとおりである。
・搬送ローラー232:直径φ20mm
・第2スリーブ232Bの表面条件:ローレットV溝(溝深さ80μm、溝幅0.2mm、溝本数120本)
・搬送ローラー232の現像ローラー231に対する周速比:1.05(対向位置で逆方向、カウンタ方向)
・搬送ローラー232と現像ローラー231とのギャップ:250μm
また、実験に用いた搬送ローラー232の磁極分布は、先の表2に示されたものである。
【0073】
上記の実験条件において、第1磁石231Aおよび第1スリーブ231Bの磁極条件を変化させ、各画質の評価を行った結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
なお、表3のN11極、S3極およびN2極の磁極角度は、各磁極の半径方向成分のピーク位置で表されている。この際、現像ローラー231の回転軸心と搬送ローラー232の回転軸心とを結ぶ直線CLを始点として、各磁極のピーク位置が示されている。N11極の角度は、直線CLから第1回転方向下流側に測定し、S3極およびN2極の角度は、直線CLから第2回転方向上流側に測定している。また、表3の各磁極の磁力は、各磁極の半径方向成分のピーク磁力で表されている。磁力比率とは、S3極のピーク磁力をN11極のピーク磁力で除した値である。
【0076】
また、画質評価のうち、トナー飛散は、N2極からS3極までの領域でトナー飛散が発生しているか否かを評価しており、○はトナー飛散が発生せず、×はトナー飛散が発生している状態を示している。なお、トナー飛散の評価は、現像剤搬送量Mを200g/m
2および400g/m
2の2つの条件でそれぞれ行っている。また、現像剤受け渡しとは、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤の受け渡しがスムーズに行われているかが評価されている。表3では、○は現像剤の受け渡しが良好であり、×は現像剤の受け渡しが停滞している状態を示している。
【0077】
ここで、
図7は、横軸を現像剤搬送量M(g/m
2)とし、縦軸を磁力比率(表3のS3/N11、式1および式2のP2/P1に相当)とした場合の表3のトナー飛散の評価結果をプロットしたグラフである。
図7において、直線k2よりも磁力比率S3/N11が低い場合には、トナー飛散が発生する(飛翔発生)。一方、直線k2よりも磁力比率S3/N11が大きい場合(直線k2上を含む)には、トナー飛散が抑止される。なお、直線k2は、以下の式3で表される。
磁力比率(S3/S11)=1.13−0.0
012×M ・・・ (式3)
【0078】
一方、表3に示されるように、磁力比率(S3/S11)が1.5よりも大きい場合には、搬送ローラー232から現像ローラー231への現像剤の受け渡し不良が発生し、磁力比率(S3/N11)が1.5以下の場合には、搬送ローラー232から現像ローラー231に現像剤が安定して受け渡される。換言すれば、
図7では、磁力比率(S3/N11)が直線k1以下の範囲に設定されることで、現像剤の受け渡しが好適に実現される(k1=1.5)。
【0079】
なお、上記の実験において、第1スリーブ231Bの表面条件については、Rzjis4μm以上14μm以下の範囲で同様の評価を行った結果、上記と同様の結果が得られることがわかった。また、トナー濃度5%以上12%以下の範囲で、上記と同様の評価を行ったところ、トナー飛散および現像剤の受け渡しに関して同様の結果が得られた。更に、現像ローラー231および搬送ローラー232の直径が16mm以上35mm以下の範囲、感光体ドラム20の周速が200mm/sec以上400mm/sec以下の範囲で同様の評価を行った場合も、同様の結果が得られた。更に、表3において、N2極の角度を、75度から90度の範囲に変化させた場合も、上記と同様の結果を得た。
【0080】
以上、本発明の一実施形態に係る現像装置23およびこれを備える画像形成装置10につき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0081】
(1)上記の実施形態では、第1磁石231Aおよび第2磁石232Aにおいて、層厚規制部材235による層規制から現像ローラー231への現像剤の受け渡しに関わる3つの磁極がN2極、S3極およびN11極の場合にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の各磁極のS極およびN極が反転されたものでもよい。
【0082】
(2)更に、上記の実施形態では、第1磁石231AのS13極と第2磁石232AのN1極とが対向して配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1磁石231A側にN極が配置され、第2磁石232A側にS極が配置され、これらの磁極が互いに対向して配置される態様でもよい。