特許第6443377号(P6443377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧
<>
  • 特許6443377-流体機械 図000002
  • 特許6443377-流体機械 図000003
  • 特許6443377-流体機械 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443377
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20181217BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20181217BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20181217BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20181217BHJP
【FI】
   F04B39/00 106
   H05K9/00 G
   F04C29/00 T
   H02K11/33
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-72928(P2016-72928)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-180428(P2017-180428A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】賀川 史大
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−021918(JP,A)
【文献】 特開2001−211663(JP,A)
【文献】 特開2013−008741(JP,A)
【文献】 特開2012−092747(JP,A)
【文献】 特開2013−096298(JP,A)
【文献】 特開2008−267211(JP,A)
【文献】 特開2014−103166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が吸入される吸入口が形成されたハウジングと、
前記ハウジング内に収容されている電動モータと、
前記電動モータを駆動させる駆動装置と、
を備え、
前記駆動装置は、
前記ハウジングの外面に対して対向する位置に設けられ、配線パターンが形成された回路基板と、
前記回路基板と前記ハウジングの外面との間であって前記回路基板に対して離間した位置に設けられ、電磁ノイズを発生する発熱部品と、
少なくとも一部が前記回路基板と前記発熱部品との間に設けられたものであって、前記発熱部品の熱を前記ハウジングに伝達し且つ前記電磁ノイズを吸収又は遮断する金属部材と、
前記駆動装置に入力される直流電力に含まれる流入ノイズを低減させるフィルタ回路と、
前記フィルタ回路によって流入ノイズが低減された直流電力が入力されるものであって、当該直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、
を備え
前記発熱部品は、前記フィルタ回路を構成するコイルを含み、
前記インバータ回路は、複数のスイッチング素子を有する半導体モジュールを備え、
前記半導体モジュールは、前記回路基板と前記ハウジングの外面との間に設けられ、端子によって前記回路基板に取り付けられており、
前記金属部材は、
前記コイルと前記回路基板との間に設けられた第1金属部と、
前記半導体モジュールと前記ハウジングの外面との間に設けられ、前記半導体モジュールの熱を前記ハウジングに伝達する第2金属部と、
前記第1金属部と前記第2金属部とを接続する接続部と、
を有し、
前記コイルには端子が設けられており、
前記第1金属部は、前記コイルの端子が挿通可能な貫通孔を有し、
前記コイルの端子は、前記第1金属部と絶縁され且つ前記貫通孔に挿通された状態で、前記コイルと前記配線パターンとを接続していることを特徴とする流体機械。
【請求項2】
前記第1金属部と前記コイルとの間には、前記第1金属部及び前記コイルの双方と接触している絶縁部が設けられている請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記コイルは、前記回路基板よりも前記ハウジングの外面側に配置されている請求項1又は請求項2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記流体機械は、前記電動モータの駆動によって前記吸入口から吸入された流体を圧縮する圧縮部を備えた電動圧縮機である請求項1〜のうちいずれか一項に記載の流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動モータ及び電動モータを駆動させる駆動装置を備えた流体機械として電動圧縮機が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、流体が吸入されるハウジングに駆動装置が取り付けられており、ハウジングを介して、流体と駆動装置との間で熱交換が行われることによって、駆動装置が冷却されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−324900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動装置には、冷却対象の発熱部品が存在する。当該発熱部品は、熱とともに電磁ノイズを発生する場合がある。発熱部品の電磁ノイズが、当該発熱部品と回路基板との間の空間を伝搬して回路基板に伝わると、回路基板に形成された配線パターンに電磁ノイズが混入し得る。すると、駆動装置の動作に支障が生じ、駆動装置によって駆動される電動モータの制御性の低下が懸念される。この場合、流体機械の運転に支障が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は発熱部品の冷却性の向上と発熱部品から回路基板への電磁ノイズの伝搬の抑制との両立を図ることができる流体機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する流体機械は、流体が吸入される吸入口が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に収容されている電動モータと、前記電動モータを駆動させる駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、前記ハウジングの外面に対して対向する位置に設けられ、配線パターンが形成された回路基板と、前記回路基板と前記ハウジングの外面との間であって前記回路基板に対して離間した位置に設けられ、電磁ノイズを発生する発熱部品と、少なくとも一部が前記回路基板と前記発熱部品との間に設けられたものであって、前記発熱部品の熱を前記ハウジングに伝達し且つ前記電磁ノイズを吸収又は遮断する金属部材と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、発熱部品の熱が、金属部材を介して、ハウジングに伝達される。ハウジングは、流体によって冷却される。これにより、流体を用いて発熱部品を冷却することができる。また、金属部材がノイズ源と回路基板との間に設けられているため、電磁ノイズが、金属部材と回路基板との間の空間を介して回路基板の配線パターンに伝わることを抑制できる。これにより、電磁ノイズが配線パターンに伝わることに起因する不都合、例えば、駆動装置にて誤動作が生じたり、電動モータの制御性が低下したりすることを抑制できる。よって、発熱部品の冷却性の向上と、発熱部品から回路基板への電磁ノイズの伝搬の抑制との両立を図ることができる。
【0008】
上記流体機械について、前記金属部材と前記発熱部品との間には、前記金属部材及び前記発熱部品の双方と接触している絶縁部が設けられているとよい。
かかる構成によれば、発熱部品の熱が絶縁部を介して金属部材に伝達される。これにより、発熱部品と金属部材との短絡を回避しつつ、発熱部品と金属部材との熱交換を行うことができる。
【0009】
上記流体機械について、前記発熱部品には端子が設けられており、前記金属部材は、前記端子が挿通可能な貫通孔を有し、前記端子は、前記金属部材と絶縁され且つ前記貫通孔に挿通された状態で、前記発熱部品と前記配線パターンとを接続しているとよい。
【0010】
かかる構成によれば、発熱部品と回路基板との間に金属部材を配置することによって生じる不都合である端子と金属部材との短絡を回避しつつ、発熱部品と配線パターンとを電気的に接続できる。
【0011】
上記流体機械について、前記発熱部品は、前記回路基板よりも前記ハウジングの外面側に配置されているとよい。
かかる構成によれば、発熱部品をハウジングの外面に接触又は近づけることができるため、発熱部品の熱をハウジングに伝達させることができる。これにより、発熱部品の冷却性の更なる向上を図ることができる。また、発熱部品がハウジングの外面側に配置されるため、発熱部品と回路基板との距離が長くなり易い。このため、回路基板と発熱部品との間に介在する金属部材の厚さを確保し易いため、より好適に電磁ノイズを吸収又は遮断できる。
【0012】
ここで、発熱部品と回路基板との距離が長くなると、端子の長さが長くなり易い。このため、端子に振動又は衝撃が付与されると、端子が曲がる等といった不都合が生じ得る。これに対して、本構成では、上述した通り、端子は金属部材の貫通孔に挿通されている構成であるため、端子の周囲は、金属部材によって囲まれている。これにより、端子は、金属部材によって補強されているため、端子の長さが長くなることによって生じ易い上記不都合を抑制できる。
【0013】
上記流体機械について、前記駆動装置は、当該駆動装置に入力される直流電力に含まれる流入ノイズを低減させるフィルタ回路と、前記フィルタ回路によって流入ノイズが低減された直流電力が入力されるものであって、当該直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、を備え、前記発熱部品は、前記フィルタ回路を構成するコイル及びコンデンサの少なくとも一方であるとよい。
【0014】
かかる構成によれば、フィルタ回路によって流入ノイズが低減されるため、流入ノイズに起因するインバータ回路の誤動作や電動モータの制御性の低下を抑制できる。そして、例えばコイルにおいては、冷却性の向上を通じて温度上昇を抑制でき、より高い電流を流すことが可能となる。また、例えばコンデンサにおいては、温度上昇を抑制することを通じて、耐熱性の低いものを採用することができたり、大きな流入ノイズに耐えることができたりする。
【0015】
上記流体機械について、前記インバータ回路は、複数のスイッチング素子を有する半導体モジュールを備え、前記半導体モジュールは、前記回路基板と前記ハウジングの外面との間に設けられており、前記金属部材は、前記発熱部品と前記回路基板との間に設けられた第1金属部と、前記半導体モジュールと前記ハウジングの外面との間に設けられ、前記半導体モジュールの熱を前記ハウジングに伝達する第2金属部と、を有しているとよい。かかる構成によれば、半導体モジュールの冷却性の向上を図ることができる。
【0016】
上記流体機械について、前記流体機械は、前記電動モータの駆動によって前記吸入口から吸入された流体を圧縮する圧縮部を備えた電動圧縮機であるとよい。
かかる構成によれば、電動圧縮機において、発熱部品の冷却性の向上と、発熱部品から回路基板への電磁ノイズの伝搬の抑制とを図ることを通じて、電動圧縮機を好適に運転させることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、発熱部品の冷却性の向上と発熱部品から回路基板への電磁ノイズの伝搬の抑制との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】流体機械の概要を模式的に示す一部断面図。
図2】インバータ装置を模式的に示す断面図。
図3】インバータ装置の各構成を模式的に示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、流体機械としての電動圧縮機の第1実施形態について説明する。本実施形態の電動圧縮機は、車両に搭載されており、車載空調装置に用いられている。
図1に示すように、車載空調装置100は、流体機械としての電動圧縮機10と、電動圧縮機10に対して流体としての冷媒を供給する外部冷媒回路101とを備えている。外部冷媒回路101は、例えば熱交換器及び膨張弁等を有している。車載空調装置100は、電動圧縮機10によって冷媒が圧縮され、且つ、外部冷媒回路101によって冷媒の熱交換及び膨張が行われることによって、車内の冷暖房を行う。
【0020】
車載空調装置100は、当該車載空調装置100の全体を制御する空調ECU102を備えている。空調ECU102は、車内温度やカーエアコンの設定温度等を把握可能に構成されており、これらのパラメータに基づいて、電動圧縮機10に対してON/OFF指令等といった各種指令を送信する。
【0021】
電動圧縮機10は、外部冷媒回路101から冷媒が吸入される吸入口11aが形成されたハウジング11と、ハウジング11に収容された圧縮部12及び電動モータ13とを備えている。
【0022】
ハウジング11は、全体として筒状(詳細には略円筒状)であって、伝熱性を有する材料(例えばアルミニウム等の金属)で形成されている。ハウジング11には、冷媒が吐出される吐出口11bが形成されている。ハウジング11内には、冷媒が存在しており、ハウジング11と冷媒との間で熱交換が行われる。つまり、ハウジング11は、冷媒によって冷却される。また、ハウジング11は、グランドに電気的に接続されている。
【0023】
圧縮部12は、後述する回転軸21が回転することによって、吸入口11aからハウジング11内に吸入された冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を吐出口11bから吐出させるものである。なお、圧縮部12の具体的な構成は、スクロールタイプ、ピストンタイプ、ベーンタイプ等任意である。
【0024】
電動モータ13は、圧縮部12を駆動させるものである。電動モータ13は、例えばハウジング11に対して回転可能に支持された回転軸21と、当該回転軸21に対して固定された円筒状のロータ22と、ハウジング11に固定されたステータ23とを有する。回転軸21の軸線方向と、円筒状のハウジング11の軸線方向とは一致している。ステータ23は、円筒状のステータコア24と、ステータコア24に形成されたティースに巻回されたコイル25とを有している。ロータ22及びステータ23は、回転軸21の径方向に対向している。コイル25が通電されることによりロータ22及び回転軸21が回転し、圧縮部12による冷媒の圧縮が行われる。
【0025】
図1に示すように、電動圧縮機10は、電動モータ13を駆動させる駆動装置としてのインバータ装置30と、ハウジング11と協働してインバータ装置30を収容する収容室S1を区画するカバー部材31と、カバー部材31をハウジング11に締結する締結部32と、を備えている。
【0026】
カバー部材31は、回転軸21の軸線方向におけるハウジング11の両端部のうち吐出口11bとは反対側の取付壁部11cに取り付けられている。そして、圧縮部12、電動モータ13及びインバータ回路60は、回転軸21の軸線方向に配列されている。すなわち、本実施形態の電動圧縮機10は所謂インライン型である。
【0027】
カバー部材31は、例えばアルミニウム等の金属製であり、全体として有底筒状である。カバー部材31は、底部と底部の外周縁から立設する側部とからなる本体部31aと、側部の底部側の端部とは反対側の端部から側方(回転軸21の径方向外側)に向けて突出したフランジ部31bとを有している。締結部32は、フランジ部31bと取付壁部11cとを締結している。
【0028】
本体部31aと取付壁部11cとによってインバータ装置30が収容される収容室S1が区画されている。収容室S1は、金属で区画された空間である。なお、収容室S1には冷媒は流入しないようになっている。
【0029】
カバー部材31には、コネクタ33が形成されており、当該コネクタ33を介して、インバータ装置30と、空調ECU102及び車載蓄電装置103とが電気的に接続されている。インバータ装置30には、車載蓄電装置103から直流電力が供給される。
【0030】
インバータ装置30は、取付壁部11cに形成された気密端子(図示略)等を介してコイル25に電気的に接続されている。インバータ装置30は、車載蓄電装置103からの直流電力を、電動モータ13が駆動可能な交流電力に変換して、その変換された交流電力をコイル25に供給することにより、電動モータ13を駆動させる。
【0031】
なお、車載蓄電装置103は、他の車載機器とインバータ装置30とで共用されている。他の車載機器とは、例えばパワーコントロールユニット(PCU)などであり、車種に応じて異なり得る。
【0032】
図2及び図3に示すように、インバータ装置30は、回路基板40と、フィルタ回路50と、インバータ回路60と、金属部材70とを備えている。
回路基板40は、板状(詳細には円板状)である。回路基板40は、ハウジング11に対して対向する位置に設けられており、詳細には取付壁部11cにおけるカバー部材31側の面であるハウジング端面11dに対して対向する位置に設けられている。回路基板40の基板面とハウジング端面11dとは、回転軸21の軸線方向に対向している。ハウジング端面11dは、ハウジング11の外面とも言える。
【0033】
回路基板40には、複数の端子孔41と、当該複数の端子孔41に挿通される端子と電気的に接続される配線パターン42とが形成されている。本実施形態では、配線パターン42は、回路基板40におけるハウジング端面11dと対向する対向面とは反対側の面に形成されている。但し、これに限られず、上記対向面にも形成されていてもよいし、上記対向面のみに形成されていてもよいし、回路基板40が多層基板である場合には、複数層に形成されていてもよい。
【0034】
フィルタ回路50は、車載蓄電装置103からインバータ装置30に入力される直流電力に含まれる流入ノイズを低減させるものである。フィルタ回路50は、例えばコモンモードチョークコイル51と、コンデンサ52とを有するLC共振回路である。コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52は、電流が流れることによって発熱するとともに電磁ノイズを発生させる。本実施形態では、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52が「発熱部品」に相当する。
【0035】
図3に示すように、コモンモードチョークコイル51は、コア51aと、コア51aに巻回された第1巻線51b及び第2巻線51cとを有している。
コア51aは、例えば所定の厚さを有した多角形(本実施形態では長方形)のリング状に形成されている。換言すれば、コア51aは、所定の高さを有した筒状とも言える。なお、本実施形態では、コア51aは、1つのパーツで構成されている。但し、これに限られず、コア51aは、例えば対称形状の2つのパーツを連結させることによって構成されていてもよいし、3つ以上のパーツで構成されてもよい。
【0036】
両巻線51b,51cは、互いの巻回軸方向が一致した状態で対向配置されている。本実施形態では、両巻線51b,51cの巻数(ターン数)は同一に設定されている。両巻線51b,51cは、両巻線51b,51cに同一方向の電流であるコモンモード電流が流れる場合には互いに強め合う磁束が発生する一方、両巻線51b,51cに互いに逆方向の電流であるノーマルモード電流が流れる場合には互いに打ち消しあう磁束が発生するように巻回されている。
【0037】
但し、両巻線51b,51cにノーマルモード電流が流れている状況において、コモンモードチョークコイル51には漏れ磁束が発生している。すなわち、コモンモードチョークコイル51は、ノーマルモード電流に対して所定のインダクタンスを有している。換言すれば、コモンモードチョークコイル51は、コモンモード電流に対してはインピーダンス(詳細にはインダクタンス)が相対的に大きくなり、ノーマルモード電流に対してはインピーダンスが相対的に小さくなるように構成されている。なお、漏れ磁束は、コモンモードチョークコイル51の周囲に発生しており、両巻線51b,51cにおける巻回軸方向の両端部に集中し易い。
【0038】
図2及び図3に示すように、コモンモードチョークコイル51には、第1巻線51bから引き出された第1入力端子53及び第1出力端子54と、第2巻線51cから引き出された第2入力端子55及び第2出力端子56とが設けられている。
【0039】
各端子53〜56は、ハウジング端面11dと回路基板40との対向方向Zに延びている。両入力端子53,55は、配線パターン42を介してコネクタ33に接続されており、当該両入力端子53,55には車載蓄電装置103からの直流電力が入力される。両出力端子54,56は、配線パターン42を介してインバータ回路60に接続されている。
【0040】
ここで、図2に示すように、コモンモードチョークコイル51は、回路基板40とハウジング11(詳細にはハウジング端面11d)との間であって回路基板40に対して離間している位置に設けられている。詳細には、コモンモードチョークコイル51は、回路基板40よりもハウジング端面11d側に配置されている。換言すれば、コモンモードチョークコイル51と回路基板40との距離は、コモンモードチョークコイル51とハウジング端面11dとの距離よりも長いとも言える。
【0041】
電動圧縮機10は、コモンモードチョークコイル51を覆う伝熱性の絶縁部57を有している。絶縁部57は、コモンモードチョークコイル51の全体を覆っている。絶縁部57は、コモンモードチョークコイル51と接触しているとともに、ハウジング端面11dに接触している。このため、コモンモードチョークコイル51にて発生する熱は、絶縁部57を介して取付壁部11cに伝達される。各端子53〜56は、絶縁部57を貫通している。
【0042】
なお、絶縁部57は、コモンモードチョークコイル51と他の部品との短絡を抑制できればよく、例えば絶縁フィルムであってもよいし、絶縁カバーであってもよい。更に、絶縁部57は、コモンモードチョークコイル51の表面に形成された絶縁コーティング層であってもよい。
【0043】
また、絶縁部57もコモンモードチョークコイル51(発熱部品)の一部であるとすると、絶縁部57を有するコモンモードチョークコイル51が、ハウジング端面11dに直接接触しているとも言える。
【0044】
図2に示すように、コンデンサ52は、回路基板40とハウジング11(詳細にはハウジング端面11d)との間であって回路基板40に対して離間している位置に設けられている。詳細には、コンデンサ52は、回路基板40よりもハウジング端面11d側に配置されている。コンデンサ52は、回路基板40に対して離間している。換言すれば、コンデンサ52と回路基板40との距離は、コンデンサ52とハウジング端面11dとの距離よりも長いとも言える。
【0045】
コンデンサ52の表面は絶縁されている。詳細には、本実施形態のコンデンサ52は、絶縁カバーによって覆われた状態でパッケージ化されている。コンデンサ52は、絶縁された状態でハウジング端面11dに接触している。なお、コンデンサ52は、例えば直方体形状であるが、これに限られず、コンデンサ52の具体的な形状は任意である。
【0046】
コンデンサ52には、第1端子58及び第2端子59が設けられている。コンデンサ52の第1端子58及び第2端子59は、対向方向Zに延びており、配線パターン42を介してコモンモードチョークコイル51及びインバータ回路60の双方に接続されている。
【0047】
なお、上記コンデンサ52は、Xコンデンサである。また、フィルタ回路50は、上記コンデンサ52とは別に、コモンモードチョークコイル51とグランドとに接続されたYコンデンサ(図示略)を有していてもよい。
【0048】
かかる構成によれば、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52を含むフィルタ回路50によって、インバータ装置30に入力される直流電力に含まれるコモンモードノイズ、及び、所定の周波数帯域のノーマルモードノイズの双方が低減される。本実施形態では、コモンモードノイズ及びノーマルモードノイズが「流入ノイズ」に相当する。
【0049】
インバータ回路60は、複数のスイッチング素子を有する半導体モジュール61を備えている。
半導体モジュール61は、例えばIGBT等といったパワースイッチング素子を複数有するパワーモジュールである。半導体モジュール61は、回路基板40とハウジング11(詳細にはハウジング端面11d)との間に設けられている。半導体モジュール61は、端子によって回路基板40に取り付けられている。本実施形態の半導体モジュール61は、複数のスイッチング素子が絶縁カバーによって収容された状態でパッケージ化されている。
【0050】
なお、半導体モジュール61は、ハウジング端面11dよりも回路基板40側に配置されていてもよい。すなわち、半導体モジュール61とハウジング端面11dとの距離は、半導体モジュール61と回路基板40との距離よりも長くてもよい。但し、これに限られず、半導体モジュール61は、回路基板40よりもハウジング端面11d側に配置されていてもよいし、回路基板40とハウジング端面11dとの中間に配置されていてもよい。
【0051】
インバータ回路60は、気密端子(図示略)を介してコイル25に接続されている。インバータ回路60は、複数のスイッチング素子が所定のパターンでスイッチング動作することにより、フィルタ回路50から入力される直流電力を電動モータ13が駆動可能な交流電力に変換する。そして、インバータ回路60は、その変換された交流電力をコイル25に出力することにより、電動モータ13を駆動させる。なお、電動モータ13が例えば三相モータである場合、インバータ回路60は三相インバータである。
【0052】
ちなみに、コモンモードチョークコイル51、コンデンサ52及び半導体モジュール61は並んで設けられている。この場合、半導体モジュール61とコモンモードチョークコイル51との間にコンデンサ52が配置されている。また、半導体モジュール61とコンデンサ52との間隔は、コモンモードチョークコイル51とコンデンサ52との間隔よりも広く設定されている。
【0053】
金属部材70は、例えばアルミニウム等の伝熱性と導電性とを有するもので構成されている。また、本実施形態の金属部材70は非磁性体であり、その比透磁率は、例えば「0.9〜3」である。
【0054】
図2及び図3に示すように、金属部材70は、発熱部品であるコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、回路基板40との間に設けられた第1金属部71を備えている。
【0055】
第1金属部71は、対向方向Zを厚さ方向とする板状(例えば矩形板状)であり、回路基板40側から見てコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の双方を覆っている。すなわち、第1金属部71は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52における回路基板40側の面を覆っている。
【0056】
第1金属部71は、ハウジング端面11dと対向する第1板面71aと、回路基板40と対向する第2板面71bとを有している。
第1板面71aは、コモンモードチョークコイル51を覆う絶縁部57及びコンデンサ52の双方に接触している。このため、コモンモードチョークコイル51の熱は、絶縁部57を介して、第1金属部71に伝わる。また、コンデンサ52の熱も第1金属部71に伝達される。すなわち、第1金属部71は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の熱を吸収する。
【0057】
一方、第2板面71bは、回路基板40に対して離間している。このため、第2板面71bと回路基板40との間には隙間(空気層)が形成されている。これにより、金属部材70と回路基板40とが絶縁されているとともに、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52から伝達された熱が、第1金属部71を介して回路基板40に伝わることが規制されている。
【0058】
また、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52にて電磁ノイズが発生した場合、当該電磁ノイズは、第1金属部71によって遮断される。これにより、第1金属部71によって、上記電磁ノイズが、回路基板40の配線パターン42に伝わることが規制されている。なお、第1金属部71にて遮断された電磁ノイズは、熱に変換される。
【0059】
図2及び図3に示すように、第1金属部71には、各端子53〜56,58,59が挿通可能な貫通孔72が形成されている。貫通孔72は、各端子53〜56,58,59に対向する位置にそれぞれ形成されている。各貫通孔72は、各端子53〜56,58,59よりも一回り大きく形成されている。各貫通孔72の内面には絶縁層72aが形成されている。
【0060】
コモンモードチョークコイル51に設けられた各端子53〜56は、絶縁層72aに接触した状態で、各貫通孔72及び各端子孔41に挿通されており、その状態でコモンモードチョークコイル51と配線パターン42とを電気的に接続している。これにより、各端子53〜56と金属部材70との短絡が抑制されている。各端子53〜56は第1金属部71によって囲まれている。
【0061】
同様に、コンデンサ52に設けられた各端子58,59は、絶縁層72aに接触した状態で、各貫通孔72及び各端子孔41に挿通されており、その状態でコンデンサ52と配線パターン42とを電気的に接続している。これにより、各端子58,59と金属部材70との短絡が抑制されている。各端子58,59は、第1金属部71によって囲まれている。
【0062】
図2及び図3に示すように、第1金属部71の第1板面71aには、当該第1板面71aから起立した枠部73が形成されている。
枠部73は、コモンモードチョークコイル51の外形に対応させて形成された第1区画室S2と、コンデンサ52の外形に対応させて形成された第2区画室S3とを区画している。コモンモードチョークコイル51は第1区画室S2に収容され、コンデンサ52は第2区画室S3されている。枠部73は、コモンモードチョークコイル51の側面(コモンモードチョークコイル51における対向方向Zに延設する面)の全体、及び、コンデンサ52の側面(コンデンサ52における対向方向Zに延設する面)の全体を覆っている。すなわち、本実施形態の金属部材70は、ハウジング端面11dと接触している部分及び各端子53〜56,58,59が引き出されている部分を除き、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52を覆っている。なお、コモンモードチョークコイル51の側面とは、コア51aの外周面及び両巻線51b,51cにおける上記外周面に巻回されている部分で構成されている。
【0063】
また、絶縁部57のうちコモンモードチョークコイル51の側面を覆う部分と、枠部73とが接触しており、コンデンサ52の側面と枠部73とが接触している。これにより、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、金属部材70との間で熱交換が行われる箇所の面積が大きくなっている。
【0064】
図2に示すように、枠部73の先端面は、ハウジング端面11dに接触している。これにより、金属部材70の熱は、枠部73の先端面とハウジング端面11dとの接触箇所を介してハウジング11に伝わる。但し、これに限られず、枠部73の先端面と、ハウジング端面11dとは離間していてもよいし、介在物を介して接していてもよい。
【0065】
金属部材70は、半導体モジュール61とハウジング端面11dとの間に設けられた第2金属部74と、第1金属部71と第2金属部74とを接続する接続部75とを備えている。
【0066】
第2金属部74は、対向方向Zを厚さ方向とする板状であり、対向方向Zから見て半導体モジュール61よりも大きく形成されている。第2金属部74は、半導体モジュール61の熱が伝達されるように構成されている。詳細には、図2に示すように、第2金属部74は、半導体モジュール61に接触している。
【0067】
第2金属部74の少なくとも一部(本実施形態では全部)は、ハウジング端面11dに直接又は介在物を介して間接的に接している。すなわち、本実施形態では、金属部材70における第2金属部74のハウジング端面11dと対向する面全体及び枠部73の先端面が、ハウジング端面11dに直接又は介在物を介して間接的に接している。このため、金属部材70がコモンモードチョークコイル51、コンデンサ52及び半導体モジュール61から吸収した熱は、第2金属部74及び枠部73等を介して、ハウジング11に伝達される。すなわち、金属部材70は、コモンモードチョークコイル51、コンデンサ52及び半導体モジュール61から熱を吸収し、その熱をハウジング11に伝達するものである。なお、既に説明した通り、ハウジング11は、吸入口11aから吸入される冷媒によって冷却される。
【0068】
接続部75は、コンデンサ52と半導体モジュール61との間に設けられており、対向方向Zに延びている。第1金属部71と第2金属部74とは、コンデンサ52と半導体モジュール61との間の部分にて対向方向Zから見て重なっており、接続部75は、その重なり部分を接続している。このため、金属部材70は、全体として、対向方向Zから見てクランク形状となっている。接続部75におけるコンデンサ52側の側面は、第2区画室S3を区画するものとして機能している。本実施形態では、第1金属部71、第2金属部74及び接続部75は一体形成されている。
【0069】
なお、本実施形態では、半導体モジュール61は、回路基板40に対して離間しているが、両者の間には金属部材70は存在しない。また、接続部75とは第1金属部71及び第2金属部74を連結する連結部とも言える。
【0070】
また、金属部材70とハウジング11とが直接又は介在物を介して間接的に接しているため、金属部材70とハウジング11とで閉ループを形成することができる。更に、金属部材70は、ハウジング11を介してグランドに電気的に接続されている。これにより、金属部材70は、電磁ノイズを遮断し易い。
【0071】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)流体機械としての電動圧縮機10は、流体としての冷媒が吸入される吸入口11aが形成されたハウジング11と、ハウジング11内に収容されている電動モータ13と、電動モータ13を駆動させる駆動装置としてのインバータ装置30とを備えている。インバータ装置30は、ハウジング11、詳細にはハウジング11の外面であるハウジング端面11dに対して対向する位置に設けられ、配線パターン42が形成された回路基板40を備えている。インバータ装置30は、回路基板40とハウジング端面11dとの間であって回路基板40に対して離間した位置に設けられ、電磁ノイズを発生するコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52とを備えている。
【0072】
かかる構成において、電動圧縮機10は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の熱をハウジング11に伝達し且つこれらの電磁ノイズを遮断する金属部材70を備えている。金属部材70は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、回路基板40との間に設けられている第1金属部71を有している。
【0073】
かかる構成によれば、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の熱が金属部材70を介して、ハウジング11に伝達され、当該ハウジング11は、冷媒によって冷却される。これにより、冷媒を用いてコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52を冷却することができる。
【0074】
また、第1金属部71がノイズ源と回路基板40との間に設けられているため、電磁ノイズがノイズ源と回路基板40との間の空間を介して、回路基板40の配線パターン42に伝わることを抑制できる。これにより、電磁ノイズが配線パターン42に伝わることに起因する不都合、例えば、インバータ装置30にて誤動作が生じたり、電動モータ13の制御性が低下したりすることを抑制できる。
【0075】
(2)金属部材70の第1金属部71と、コモンモードチョークコイル51との間には、第1金属部71及びコモンモードチョークコイル51の双方と接触している絶縁部57が設けられている。かかる構成によれば、コモンモードチョークコイル51の熱が絶縁部57を介して第1金属部71に伝達される。これにより、コモンモードチョークコイル51と第1金属部71との短絡を回避しつつ、コモンモードチョークコイル51と第1金属部71との熱交換を行うことができる。
【0076】
(3)コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52には、端子53〜56及び端子58,59が設けられている。第1金属部71は、各端子53〜56,58,59が挿通可能な複数の貫通孔72を有している。コモンモードチョークコイル51に設けられた各端子53〜56は、第1金属部71と絶縁され且つ各貫通孔72に挿通された状態で、コモンモードチョークコイル51と配線パターン42とを接続している。同様に、コンデンサ52に設けられた各端子58,59は、第1金属部71と絶縁され且つ各貫通孔72に挿通された状態で、コンデンサ52と配線パターン42とを接続している。これにより、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、回路基板40との間に第1金属部71を配置することによって生じる不都合である各端子53〜56,58,59と第1金属部71との短絡を回避しつつ、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、配線パターン42とを電気的に接続できる。
【0077】
(4)コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52は、回路基板40よりもハウジング11(詳細にはハウジング端面11d)側に配置されている。これにより、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52がハウジング端面11dに近づいている又は直接若しくは介在物を介して間接的に接しているため、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の熱をハウジング11に伝達させることができる。これにより、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の冷却性の更なる向上を図ることができる。
【0078】
一方、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と回路基板40との距離が長くなると、各端子53〜56,58,59の長さが長くなり易い。また、車両に搭載されている電動圧縮機10においては、振動又は衝撃が付与され得る。この場合、各端子53〜56,58,59の長さが長くなると、振動又は衝撃によって曲がり易くなる。
【0079】
これに対して、本実施形態では、各端子53〜56,58,59は第1金属部71の各貫通孔72に挿通されている構成であるため、各端子53〜56,58,59の周囲は、第1金属部71によって囲まれている。これにより、各端子53〜56,58,59は、第1金属部71によって補強されている。よって、各端子53〜56,58,59の長さが長くなった場合であっても、振動等から好適に保護することができる。
【0080】
(5)インバータ装置30は、インバータ装置30に入力される直流電力に含まれる流入ノイズ(詳細にはコモンモードノイズ及びノーマルモードノイズ)を低減するフィルタ回路50と、フィルタ回路50によって流入ノイズが低減された直流電力が入力されるものであって当該直流電力を交流電力に変換するインバータ回路60とを備えている。コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52は、フィルタ回路50を構成している。
【0081】
かかる構成によれば、フィルタ回路50によって流入ノイズが低減されるため、流入ノイズに起因するインバータ回路60の誤動作や電動モータ13の制御性の低下を抑制できる。そして、コモンモードチョークコイル51においては、冷却性の向上を通じて温度上昇を抑制でき、より高い電流を流すことが可能となる。また、コンデンサ52においては、温度上昇を抑制することを通じて、耐熱性の低いものを採用することができたり、大きな流入ノイズに耐えることができたりする。
【0082】
(6)フィルタ回路50は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52を含むLC共振回路である。金属部材70(詳細には第1金属部71及び枠部73)は、コモンモードチョークコイル51の少なくとも一部(本実施形態ではコモンモードチョークコイル51における回路基板40側の面及び側面)を覆っている。かかる構成によれば、金属部材70が、コモンモードチョークコイル51の漏れ磁束に対してダンピング抵抗として機能する。これにより、フィルタ回路50のQ値を下げることができる。したがって、フィルタ回路50の共振周波数付近のノーマルモードノイズをフィルタ回路50にて低減することができる。よって、専用のダンピング抵抗を別途設けることなく、低減可能なノーマルモードノイズの周波数帯域の拡大を図ることができ、それを通じて汎用性の向上を図ることができる。
【0083】
詳述すると、車載蓄電装置103は、インバータ装置30と他の車載機器とで共用されている。このため、他の車載機器にて発生したノイズがノーマルモードノイズとなり得る。この場合、車種に応じて、上記他の車載機器にて発生するノイズの周波数が異なるため、インバータ装置30に流入するノーマルモードノイズの周波数は車種に応じて変動する。すると、フィルタ回路50が低減可能なノーマルモードノイズの周波数帯域が狭いと、適用できない車種が生じ、汎用性が低下する。
【0084】
これに対して、本実施形態では、低減可能なノーマルモードノイズの周波数帯域が広くなっているため、適用可能な車種を増やすことができる。これにより、本電動圧縮機10の汎用性の向上を図ることができる。
【0085】
(7)インバータ回路60は、複数のスイッチング素子を有する半導体モジュール61を備えている。半導体モジュール61は、回路基板40とハウジング端面11dとの間に設けられている。金属部材70は、第1金属部71に加えて、半導体モジュール61とハウジング端面11dとの間に設けられ、半導体モジュール61の熱をハウジング11に伝達する第2金属部74を備えている。かかる構成によれば、半導体モジュール61の冷却性の向上を図ることができる。
【0086】
また、一般的に、半導体モジュール61の高さは、コモンモードチョークコイル51の高さ及びコンデンサ52の高さよりも低い。すなわち、半導体モジュール61における対向方向Zの長さは、コモンモードチョークコイル51における対向方向Zの長さ及びコンデンサ52における対向方向Zの長さよりも短い。また、既に説明した通り、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と回路基板40との間には金属部材70が設けられている。このため、高さの低い半導体モジュール61をハウジング11に接触させようとすると、半導体モジュール61の端子が長くなってしまい、振動又は衝撃によって端子が断線してしまうおそれがある。一方、本実施形態によれば、半導体モジュール61の冷却性の向上を図りつつ、第2金属部74の厚さ(第2金属部74の対向方向Zの長さ)分だけ半導体モジュール61の端子を短くすることができる。したがって、振動又は衝撃が大きい車両に搭載される電動圧縮機10に、インバータ回路60を搭載しても、振動又は衝撃によって半導体モジュール61の端子が断線してしまうことを抑制できる。
【0087】
(8)金属部材70は、第1金属部71と第2金属部74とを接続する接続部75を備えている。これにより、第1金属部71及び第2金属部74が一体化されているため、金属部材70の熱容量の向上を図ることができる。
【0088】
特に、本実施形態では、第1金属部71がコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52から吸収した熱を、接続部75を介して、第2金属部74に伝達させることができ、それを通じてハウジング11に伝達させることができる。これにより、第1金属部71を好適に冷却することができ、コモンモードチョークコイル51等の冷却性の更なる向上を図ることができる。
【0089】
(9)接続部75は、コンデンサ52と半導体モジュール61との間に設けられている。これにより、コンデンサ52にて発生した電磁ノイズが、コンデンサ52と半導体モジュール61との間の空間を通って、半導体モジュール61に伝搬するのを抑制することができる。よって、半導体モジュール61のスイッチング素子の誤動作等を抑制できる。
【0090】
(10)金属部材70は、第1金属部71におけるコモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52側の面である第1板面71aから起立した枠部73を備えており、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52は、枠部73に囲まれている。これにより、コモンモードチョークコイル51の側面及びコンデンサ52の側面から放射される電磁ノイズをより好適に遮断できるとともに、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52の熱を金属部材70に好適に伝達させることができる。更に、枠部73の先端面がハウジング端面11dと接触していることにより、金属部材70の熱を、ハウジング11に伝達できる。
【0091】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ コモンモードチョークコイル51に代えて、巻線が1つの通常のコイルを採用してもよい。但し、コモンモードノイズ及びノーマルモードノイズの双方を低減できる点に着目すれば、コモンモードチョークコイル51を採用する方が好ましい。
【0092】
○ 第1金属部71は、コモンモードチョークコイル51と回路基板40との間、及び、コンデンサ52と回路基板40との間の双方に設けられていたが、これに限られず、いずれか一方のみに設けられていてもよいし、半導体モジュール61と回路基板40との間に設けられていてもよい。この場合、半導体モジュール61が「発熱部品」に相当する。
【0093】
○ 第1金属部71、第2金属部74及び接続部75は、一体形成されていたが、これに限られず、複数のパーツから構成されていてもよい。
○ 接続部75を省略してもよい。すなわち、第1金属部71と第2金属部74とは別体であってもよい。
【0094】
○ 第2金属部74及び接続部75の少なくとも一方を省略してもよい。また、第1金属部71は、コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52と、回路基板40との間にのみ存在してもよい。要は、金属部材70は、コモンモードチョークコイル51、コンデンサ52及び半導体モジュール61のうち少なくとも1つから発生した熱をハウジング11に伝達可能で、且つ少なくとも一部が、コモンモードチョークコイル51、コンデンサ52及び半導体モジュール61のうち少なくとも1つと回路基板40との間にあればよい。
【0095】
○ 枠部73は、コモンモードチョークコイル51の側面の全体を覆っていたが、これに限られず、少なくとも一部を覆えばよい。コンデンサ52についても同様である。また、枠部73は、コモンモードチョークコイル51又はコンデンサ52のいずれか一方のみを囲む構成でもよい。
【0096】
○ 枠部73の少なくとも一部に、エンボスや貫通孔(又はスリット)が形成されていてもよい。また、枠部73の少なくとも一部がメッシュ形状となっていてもよい。第1金属部71及び接続部75についても同様である。
【0097】
○ 絶縁部57と金属部材70(第1金属部71及び枠部73)との間、又は、絶縁部57とコモンモードチョークコイル51との間には若干の隙間があってもよい、要は、コモンモードチョークコイル51と金属部材70とは、絶縁部57を介して熱交換可能であればよい。コンデンサ52についても同様である。
【0098】
○ 実施形態では、コンデンサ52は、ハウジング端面11dと直接又は介在物を介して間接的に接していたが、これに限られず、コンデンサ52が、ハウジング端面11dに対して離間していてもよい。コモンモードチョークコイル51についても同様である。
【0099】
○ 第2金属部74は、半導体モジュール61及びハウジング端面11dの双方と直接又は介在物を介して間接的に接していたが、これに限られず、第2金属部74が半導体モジュール61及びハウジング端面11dの少なくとも一方に対して離間していてもよい。
【0100】
○ 各端子53〜56,58,59と金属部材70との絶縁態様については、実施形態に限られず、任意である。
○ コモンモードチョークコイル51等は、ハウジング端面11dよりも回路基板40側に配置されていてもよいし、ハウジング端面11dと回路基板40との中間に配置されていてもよい。
【0101】
○ コア51aの形状は任意である。例えば、コアとして、UUコア、EEコア及びトロイダルコア等を用いてもよい。また、コアは、完全に閉じたリング状である必要はなく、隙間が形成されている構成であってもよい。
【0102】
○ 金属部材70は、非磁性体に限られず、磁性体であってもよい。この場合、電磁ノイズは、金属部材70に吸収される。要は、金属部材は、電磁ノイズを吸収又は遮断するものであればよい。
【0103】
○ コモンモードチョークコイル51及びコンデンサ52のいずれか一方が、回路基板40とハウジング端面11dとの間以外に配置されていてもよい。
○ フィルタ回路50の具体的な回路構成は任意である。また、フィルタ回路50を省略してもよい。
【0104】
○ 本実施形態の電動圧縮機10は、所謂インライン型であったが、これに限られず、インバータ装置30がハウジング11の径方向に取り付けられている所謂キャメルバック型であってもよい。この場合、ハウジング11の側面(詳細には外周面)が「ハウジング端面」に相当する。
【0105】
○ 電動圧縮機10は、車載空調装置100以外に用いられてもよい。例えば、車両に燃料電池が搭載されている場合には、電動圧縮機10は燃料電池に空気を供給する空気供給装置に用いられてもよい。すなわち、圧縮対象の流体は、冷媒に限られず、空気など任意である。
【0106】
○ 流体機械は電動圧縮機10に限られず、任意である。例えば、車両に燃料電池が搭載されている場合には、流体機械は、燃料電池に水素を供給する電動ポンプ装置でもよい。この場合、電動ポンプ装置は、水素タンクの水素を圧縮することなく供給するポンプと、ポンプを駆動させる電動モータとを備えているとよい。
【0107】
○ 電動圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず任意である。
○ 各実施形態と各別例とを適宜組み合わせてもよい。
上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
【符号の説明】
【0109】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、11a…吸入口、11c…取付壁部、11d…ハウジング端面(ハウジングの外面)、12…圧縮部、13…電動モータ、30…インバータ装置(駆動装置)、40…回路基板、42…配線パターン、50…フィルタ回路、51…コモンモードチョークコイル、52…コンデンサ、53〜56,58,59…端子、57…絶縁部、60…インバータ回路、61…半導体モジュール、70…金属部材、71…第1金属部、72…貫通孔、73…枠部、74…第2金属部。
図1
図2
図3