(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記状態判定処理を行うと前記排出枚数のカウント数をリセットし、前記状態判定処理を行って以降、前記排出枚数が前記所定枚数を超える毎に前記状態判定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
前記制御部は、前記補正処理として、前記上昇時間から前記基準時間を減算した時間に対応する量だけ前記排出トレイを下降させる処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の用紙排出装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100(「画像形成装置」に相当)は、印刷部1および画像読取部2を備える。
【0017】
印刷部1は、用紙搬送路(
図1では、破線で示す)に沿って用紙Pを搬送する。また、印刷部1は、印刷すべき画像の画像データ(たとえば、画像読取部2が読み取った原稿の画像データ)に基づきトナー像を形成する。そして、印刷部1は、搬送中の用紙Pにトナー像を転写する。なお、印刷部1は、用紙カセットに収容された用紙Pを用紙搬送路に給紙する給紙部11、トナー像を形成して用紙Pに転写する画像形成部12、および、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる定着部13などで構成される。
【0018】
画像読取部2は、光源やイメージセンサーなどで構成される読取ユニット(図示せず)を含む。読取ユニットは、図示しない載置読取用コンタクトガラス上に載置された原稿を読み取る。また、画像読取部2は、図示しない搬送読取用コンタクトガラス上に原稿を搬送する原稿搬送ユニット21を含む。原稿搬送ユニット21を用いた原稿の読み取りでは、原稿搬送ユニット21により搬送される原稿が搬送読取用コンタクトガラス上を通過するとき、当該原稿の読み取りが読取ユニットによって行われる。
【0019】
また、複合機100は、操作パネル3を備える。操作パネル3は、タッチパネルディスプレイ31やハードウェアキー32などを含む。タッチパネルディスプレイ31は、ソフトウェアキーを表示し、ユーザーから各種設定を受け付ける。さらに、タッチパネルディスプレイ31は、メッセージを表示し、ユーザーに対して各種報知を行う。ハードウェアキー32は、操作パネル3に複数設けられる。たとえば、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートキーがハードウェアキー32として操作パネル3に設けられる。操作パネル3は「報知部」に相当する。
【0020】
ここで、複合機100は、後処理装置200を備える。後処理装置200を備えた複合機100は、コピージョブなど用紙Pの排出(画像が印刷された印刷済み用紙Pの排出)を伴うジョブの実行時に、印刷済み用紙Pを後処理装置200に搬入し、後処理装置200から用紙Pを排出する。たとえば、後処理装置200は、印刷済み用紙Pに対して、パンチ処理やステープル処理などの後処理を行う。なお、印刷済み用紙Pが後処理されずに排出される場合もある。後処理装置200は「用紙排出装置」に相当する。
【0021】
<後処理装置の構成>
図2に示すように、後処理装置200は、用紙Pを搬入するための用紙搬入口201および用紙Pを排出するための用紙排出口202を有する。そして、後処理装置200は、用紙搬入口201から搬入した用紙Pを用紙搬送路200Pに沿って搬送し、用紙Pに対して後処理を行った後、用紙排出口202から用紙Pを排出する。なお、後処理装置200には、用紙搬送路200Pに沿って用紙Pを搬送するための搬送ローラー対203が複数設けられる。また、後処理装置200には、用紙排出口202から用紙Pを排出するための用紙排出部204が設けられる。
【0022】
さらに、後処理装置200には、後処理を実行する部分として、たとえば、パンチユニットU1およびステープルユニットU2が設けられる。パンチユニットU1は、用紙Pに対してパンチ処理を行う。ステープルユニットU2は、処理トレイ205に載置された用紙束(複数枚の用紙Pを積層したもの)に対してステープル処理を行う。
【0023】
なお、処理トレイ205は、その一端側(用紙排出口202側)から他端側に向かって斜め下方向に傾けられる。また、処理トレイ205は、用紙Pの幅方向に移動可能なガイド205aを有する。このようなガイド205aを処理トレイ205に設けた場合、処理トレイ205に載置された用紙Pを幅方向にシフトさせてから用紙Pを排出することができる。すなわち、仕分け処理が可能となる。
【0024】
処理トレイ205の一端側には、用紙Pを用紙排出口202から排出するための排出ローラー対241(上部ローラー241aおよび下部ローラー241b)が設けられる。上部ローラー241aにはアーム242の一端が接続され、アーム242の他端には回動軸243が接続される。これにより、回動軸243を支点としてアーム242の一端を上方向に回動させると、上部ローラー241aが上方向に移動するので、上部ローラー241aが下部ローラー241bから離間する。一方で、回動軸243を支点としてアーム242の一端を下方向に回動させると、上部ローラー241aが下方向に移動するので、上部ローラー241aが下部ローラー241bに接近する。
【0025】
なお、排出ローラー対241、アーム242および回動軸243は、用紙排出部204の構成部材である。また、用紙排出部204は、排出ローラー対241を回転させるための排出モーターM1(
図3参照)を含む。
【0026】
処理トレイ205に用紙Pを載置するときには、上部ローラー241aを下部ローラー241bから離間させ、上部ローラー241aと下部ローラー241bとの間に用紙Pの先端を進入させる。その後、たとえば、図示しないパドルにより、処理トレイ205の載置面に沿って用紙Pを斜め下方向にシフトさせる(あるいは、用紙Pが自重で斜め下方向にシフトする)。
【0027】
処理トレイ205に載置された用紙Pを排出するときには、上部ローラー241aを下部ローラー241bに接近させることにより、上部ローラー241aと下部ローラー241bとで用紙Pを挟み込み、上部ローラー241aおよび下部ローラー241bを回転させる。これにより、処理トレイ205に載置された用紙Pが用紙排出口202から排出される。なお、ステープル処理やシフト処理を行わない場合、用紙排出部204は、用紙Pを処理トレイ205に載置せずに用紙排出口202から排出する。
【0028】
用紙排出口202から排出される用紙Pは、排出トレイ206の載置面206aに積載される。排出トレイ206の載置面206aは、用紙排出方向の上流側(用紙排出口202側)から下流側に向かって斜め上方向に傾けられる。また、排出トレイ206は、上下方向に昇降可能に構成される。
【0029】
排出トレイ206の昇降は、昇降部207によって行われる。たとえば、昇降部207は、図示しないが、排出トレイ206の移動方向である上下方向に間隔を隔てて配置された一対のプーリー、排出トレイ206が取り付けられるとともに一対のプーリーに張架される昇降ベルト、および、排出トレイ206の昇降をガイドする昇降ガイドなどを含む。この構成では、プーリーが回転すると、昇降ベルトが周回するので、昇降ベルトに取り付けられた排出トレイ206が昇降する。なお、昇降部207は、プーリーを回転させるための昇降モーターM2(
図3参照)を含む。
【0030】
<複合機のハードウェア構成>
図3に示すように、複合機100は、メイン制御部110を備える。メイン制御部110は、CPU111およびメモリー112(ROMやRAM)を含む。メモリー112には、CPU111を動作させるための制御用のプログラムやデータが記憶される。そして、メイン制御部110(CPU111)は、複合機100の全体制御を行う。また、メイン制御部110は、印刷部1の印刷動作や画像読取部2の読取動作の制御を行う。
【0031】
また、複合機100(操作パネル3)は、パネル制御部130を備える。パネル制御部130は、操作パネル3の表示動作を制御するとともに、操作パネル3に対して行われた操作を検知する。
【0032】
また、複合機100(後処理装置200)は、後処理制御部210を備える。後処理制御部210は「制御部」に相当する。
【0033】
後処理制御部210は、後処理CPU211および後処理メモリー212を含む。後処理メモリー212には、後処理CPU211を動作させるための制御用のプログラムやデータが記憶される。そして、後処理制御部210(後処理CPU211)は、メイン制御部110から指示を受け、後処理装置200の後処理動作を制御する。
【0034】
具体的には、後処理制御部210は、排出モーターM1の駆動を制御し、排出ローラー対241を回転させる(用紙Pの排出動作を制御する)。また、後処理制御部210は、昇降モーターM2の駆動を制御し、昇降ベルトを周回させる。すなわち、後処理制御部210は、排出トレイ206を昇降させる(排出トレイ206の昇降動作を制御する)。また、後処理制御部210は、搬送ローラー対203を回転させるための搬送モーターM3の駆動を制御する。さらに、後処理制御部210は、パンチユニットU1およびステープルユニットU2の各動作を制御する。
【0035】
また、後処理制御部210は、上面検知部231、搬入検知部232および排出検知部233に接続される。
【0036】
上面検知部231は、用紙排出口202(排出ローラー対241)の下方位置を検知位置とする検知部であり、昇降部207により上昇される排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の用紙P(載置面206aに積載された用紙P)の上面が検知位置に到達したか否かを検知するための検知部である。なお、上面検知部231の検知位置(
図2参照)は、排出トレイ206の載置面206a(または、排出トレイ206上の用紙Pの上面)が上面検知部231の検知位置に在る状態であっても、用紙排出口202から排出される用紙Pが排出トレイ206(または、排出トレイ206上の用紙P)に干渉しない位置とされる。
【0037】
たとえば、上面検知部231は、図示しないが、上面検知部231の検知位置に配置されたアクチュエーター、および、アクチュエーターを検知対象とする光センサー(発光部および受光部を有するセンサー)などを含む。アクチュエーターは、昇降部207により上昇される排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の用紙Pの上面が検知位置に到達すると、上方に押圧され、光センサーの光路を遮光(開放)する。この状態から、排出トレイ206が下降すると、アクチュエーターに対する押圧が解除されることによってアクチュエーターが下方に移動する(元の位置に戻る)ので、光センサーの光路が開放(遮光)される。
【0038】
これにより、上面検知部231(光センサー)の出力値は、排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の用紙Pの上面が検知位置に在るときと無いときとで変化する。なお、上面検知部231は、排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の用紙Pの上面が検知位置に到達すると、上面検知信号を出力する(上面検知部231の出力値レベルが所定レベルに変化する)。そして、後処理制御部210は、上面検知部231の出力値に基づき、昇降部207により上昇される排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の用紙Pの上面が上面検知部231の検知位置に到達したか否かの検知を行う。
【0039】
搬入検知部232は、用紙搬入口201に配置され、用紙搬入口201における用紙Pの有無に応じて出力値を変化させる。後処理制御部210は、搬入検知部232の出力値に基づき、用紙搬入口201における用紙Pの先端到達や後端通過を検知する(用紙Pが搬入されたか否かを検知する)。たとえば、後処理制御部210は、搬入検知部232の出力値に基づき、後処理装置200に搬入された用紙Pの枚数をカウントする。
【0040】
排出検知部233は、用紙排出口202に配置され、用紙排出口202における用紙Pの有無に応じて出力値を変化させる。後処理制御部210は、排出検知部233の出力値に基づき、用紙排出口202における用紙Pの先端到達や後端通過を検知する(排出トレイ206に用紙Pが排出されたか否かを検知する)。たとえば、後処理制御部210は、排出検知部233の出力値に基づき用紙Pの後端通過を検知したとき、排出トレイ206に用紙P(または、用紙束)が排出されたと判断する。
【0041】
ここで、後処理制御部210は、後述する状態判定処理を行うべきか否かを判断するため、排出トレイ206に排出される用紙Pの排出枚数をカウントする。具体的には、後処理制御部210は、排出トレイ206に用紙Pが排出されると、排出枚数をカウントアップする。なお、排出枚数のカウント数は、後述する状態判定処理の実行時にリセットされる。あるいは、用紙Pの排出を伴うジョブの完了後に排出枚数のカウント数がリセットされてもよい。
【0042】
<ジョブ実行時の制御>
メイン制御部110は、用紙Pの排出を伴うジョブ(以下、単にジョブと称する場合がある)の実行指示を操作パネル3がユーザーから受け付けると、後処理制御部210にジョブ開始命令を送信するとともに、印刷部1にジョブを開始させる。すなわち、メイン制御部110は、印刷部1に印刷を行わせ、印刷済み用紙Pを後処理装置200に搬入させる。なお、ジョブ開始命令には、後処理条件などを示す情報が含まれる。
【0043】
後処理制御部210は、ジョブ開始命令をメイン制御部110から受けると、ジョブ開始命令に含まれる後処理条件を示す情報に基づき、実行すべき後処理を認識する。たとえば、ステープル処理や仕分け処理を実行する場合、後処理制御部210は、処理トレイ205上で処理すべき用紙束の用紙Pの枚数(排出トレイ206に排出する用紙束の用紙Pの枚数)を認識する。そして、後処理制御部210は、後処理装置200に用紙Pが搬入されると、必要な後処理を行わせるとともに、処理済み用紙P(または、用紙束)の排出トレイ206への排出を行わせる。
【0044】
以下、
図4に示すフローチャートを参照し、後処理装置200のジョブ実行時の制御の流れについて説明する。
図4に示すフローチャートは、後処理制御部210がメイン制御部110からジョブ開始命令を受けたときにスタートする。
【0045】
なお、
図4に示すフローチャートのスタート時点では、排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の最上層の用紙Pの上面が上面検知部231の検知位置に在る状態となっている。たとえば、前回実行したジョブの完了後に、排出トレイ206の載置面206aまたは排出トレイ206上の最上層の用紙Pの上面が上面検知部231の検知位置に到達するまで排出トレイ206を上昇させる処理を行ってもよい。あるいは、当該処理は今回実行するジョブの開始時に行ってもよい。
【0046】
ステップS1において、後処理制御部210は、後処理装置200に搬入した用紙Pに対する後処理をパンチユニットU1やステープルユニットU2に行わせる。また、後処理制御部210は、処理済み用紙Pの排出トレイ206への排出を用紙排出部204に行わせる。
【0047】
ステップS2において、後処理制御部210は、排出検知部233が排出トレイ206への用紙Pの排出を検知したか否かを判断する。その結果、排出検知部233が用紙Pの排出を検知した場合には、ステップS3に移行し、排出検知部233が用紙Pの排出を検知しない場合には、ステップS1に移行する。
【0048】
ステップS3に移行すると、後処理制御部210は、排出トレイ206に排出した用紙Pの排出枚数をカウントアップする。ここで、用紙排出部204が用紙束を排出した場合には、用紙束に含まれる用紙Pの枚数が排出枚数としてカウントされる。
【0049】
ステップS4において、後処理制御部210は、排出枚数(カウント数)が所定枚数を超えたか否かを判断する。たとえば、所定枚数は30枚である。ステップS4において、排出枚数が所定枚数を超えたと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS5に移行し、排出枚数が所定枚数を超えていないと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS1に移行する。
【0050】
ステップS5に移行すると、後処理制御部210は、排出枚数のカウント数をリセットする。そして、後処理制御部210は、排出トレイ206に排出された用紙Pの積載状態を判定するための状態判定処理を行う。
【0051】
具体的には、ステップS6において、後処理制御部210は、昇降部207を駆動することにより、排出トレイ206を現在位置から所定量(距離)Dpだけ下降させる(
図5の左図参照)。たとえば、所定量Dpは20mmに設定される。このように排出トレイ206を下降させると、用紙Pの後端部分が上面検知部231と上下方向に対向する位置(用紙Pの後端部分を上面検知部231に当接させることができる位置)に配置された状態となるように、排出トレイ206上において用紙Pを斜め下方向(用紙搬送方向の上流側)にシフトさせることができる。すなわち、排紙トレイ206上における用紙Pの姿勢が整えられる。以下、
図5に示す用紙Pの積載状態を正常状態と称する。
【0052】
図4に戻り、ステップS7において、後処理制御部210は、昇降部207を駆動することによって、排出トレイ206を上昇させる。このとき、後処理制御部210は、計時を開始する。続いて、ステップS8において、後処理制御部210は、上面検知部231が上面検知信号を出力したか否か(上面検知部231の出力値レベルが所定レベルに変化したか否か)を判断する。その結果、上面検知信号が出力されたと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS9に移行し、上面検知信号が出力されていないと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS8の判断が繰り返される。
【0053】
ステップS9に移行すると、後処理制御部210は、排出トレイ206の上昇を停止させる。そして、ステップS10において、後処理制御部210は、排出トレイ206の上昇開始から上面検知部231が上面検知信号を出力するまでの時間である上昇時間を取得し、上昇時間に基づき、排出トレイ206上の用紙Pの積層状態を判定する。
【0054】
ここで、
図5に示すように、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態であったとする。また、排出トレイ206上の最上層の用紙Pの上面と上面検知部231との間の上下方向の距離Dが10mmであったとする。そして、排出トレイ206の上昇速度が25mm/sに設定されているとする。この場合、排出トレイ206の上昇開始から400msが経過すると、排出トレイ206上の最上層の用紙Pの上面が上面検知部231に当接し、上面検知部231が上面検知信号を出力する。すなわち、上昇時間は400msである(排出トレイ206が距離Dだけ上昇する)。
【0055】
一方で、
図6に示すように、
図5に示した例と同枚数の用紙Pが排出トレイ206に排出されているが、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が異常状態(排出トレイ206上の用紙Pが用紙排出方向の下流側にずれた状態)になっているとする。この場合には、排出トレイ206の上昇開始から400msが経過しても上面検知部231は上面検知信号を出力せず、排出トレイ206の上昇開始から800msが経過したときに上面検知部231が上面検知信号を出力する。すなわち、上昇時間は800msである(排出トレイ206が所定量Dpだけ上昇する)。
【0056】
このように、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態であるか異常状態であるかによって上昇時間は異なり、排出トレイ206上の積載状態が異常状態である場合には正常状態である場合に比べて上昇時間が長くなる。そこで、後処理制御部210は、上昇時間が基準時間以下であった場合(上昇時間が短い場合)、積載状態が正常状態であると判定する一方、上昇時間が基準時間を超えた場合(上昇時間が長い場合)、積層状態が異常状態であると判定する。
【0057】
なお、用紙Pの積層状態の判定基準となる基準時間は、予め定められており、排出トレイ206が所定量Dpだけ上昇するのに要する時間(第1時間)より短く、排出トレイ206に所定枚数の用紙Pが積載されている場合の上昇時間の理論値(第2時間)よりも長い時間に設定される。たとえば、基準時間は、第1時間と第2時間とを加算した時間の1/2に設定される。
【0058】
図4に戻り、ステップS10において、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態であると後処理制御部210が判断した場合には、ステップS11に移行する。ステップS11に移行すると、後処理制御部210は、排出トレイ206の上下方向の位置を現在位置に維持する。その後、ステップS1に移行する。この場合、後処理制御部210は、排出トレイ206上の最上層の用紙Pの上面が上面検知部231の検知位置に在る状態で、次の用紙P(または、用紙束)を排出トレイ206に排出させる。
【0059】
一方で、ステップS10において、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が異常状態であると判断した場合、後処理制御部210は、排出トレイ206の上下方向の位置を補正するための補正処理を行う。
【0060】
具体的には、ステップS12において、後処理制御部210は、用紙Pの排出を停止させる。そして、ステップS13において、後処理制御部210は、昇降部207を駆動することにより、排出トレイ206を下降させる補正処理を行う。
【0061】
補正処理を行うとき、後処理制御部210は、状態判定処理時に計時した上昇時間(基準時間よりも長い時間)から基準時間を減算した時間に排出トレイ206の上昇速度を乗じた値を補正量(距離)Dcとして求め、排出トレイ206の下降量が補正量Dcとなるよう昇降部207を駆動する(
図7参照)。なお、補正量が予め定められていてもよい(補正量が固定値であってもよい)。
【0062】
補正処理を行うと、ステップS14において、後処理制御部210は、補正処理の実行回数をカウントアップする。そして、ステップS15において、後処理制御部210は、補正処理の実行回数が予め定められた閾値回数に達したか否かを判断する。なお、状態判定処理の結果、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態であると後処理制御部210が判断した場合には、補正処理の実行回数のカウント数がリセットされる。したがって、ここでは、補正処理の連続実行回数が閾値回数に達したか否かの判断が行われることになる。
【0063】
ステップS15において、補正処理の連続実行回数が閾値回数に達していないと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS1に移行する。この場合、後処理制御部210は、排出トレイ206を補正量だけ下降させた状態で、次の用紙P(または、用紙束)を排出トレイ206に排出させる。一方で、補正処理の連続実行回数が閾値回数に達したと後処理制御部210が判断した場合には、ステップS16に移行する。
【0064】
ステップS16に移行すると、後処理制御部210は、昇降部207を駆動することにより、排出トレイ206を現在位置から所定量だけさらに下降させる。そして、ステップS17において、後処理制御部210は、排出トレイ206上の用紙Pの確認をユーザーに促すための処理を行う。たとえば、後処理制御部210は、報知要求通知をパネル制御部130に送信する。報知要求通知を受けたパネル制御部130は、報知メッセージを操作パネル3(タッチパネルディスプレイ31)に表示させる。特に限定されないが、操作パネル3には、排出トレイ206が満杯状態である旨のメッセージが表示される。別の例として、ランプなどの点灯装置(「報知部」に相当)を後処理装置200に別途設け、当該ランプを点灯または点滅させることによって、排出トレイ206が満杯状態である旨をユーザーに報知してもよい。
【0065】
なお、後処理制御部210は、状態判定処理を1回行って以降も、ジョブが完了するまでは排出枚数をカウントする(排出枚数のカウント数は状態判定処理を実行するとリセットされる)。そして、後処理制御部210は、状態判定処理を行って以降、排出枚数(カウント数)が所定枚数を超える毎に、前回実行した状態判定処理と同様の状態判定処理を行う。
【0066】
すなわち、
図8に示すように、排出トレイ206を所定量Dpだけ下降させた後、上面検知部231が上面検知信号を出力するまで排出トレイ206を上昇させる。そして、このときの排出トレイ206の上昇時間に基づき、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態であるか否かを判定する(用紙Pの積載状態が異常状態であれば補正処理を行う)。
図8では、排出トレイ206上の用紙Pの積載状態が正常状態である場合を図示する。また、
図8では、前回の状態判定処理で上面検知部231により検知された用紙Pの上面に符号PS1を付し、今回の状態判定処理で上面検知部231により検知される用紙Pの上面に符号PS2を付す。
【0067】
本実施形態の後処理装置200(用紙排出装置)は、上記のように、用紙排出口202から排出される用紙Pが積載されるとともに、用紙排出方向の上流側から下流側に向かって斜め上方向に傾けられた排出トレイ206と、排出トレイ206を上下方向に昇降させる昇降部207と、排出トレイ206に用紙Pを排出する用紙排出部204と、用紙排出口202の下方位置を検知位置とし、昇降部207により上昇される排出トレイ206の上面または排出トレイ206上の用紙Pの上面が検知位置に到達すると上面検知信号を出力する上面検知部231と、排出トレイ206への用紙Pの排出を用紙排出部204に行わせるとき、昇降部207を駆動し、上面検知部231が上面検知信号を出力するまで排出トレイ206を上昇させることによって、排出トレイ206の上面または排出トレイ206上の用紙Pの上面を上面検知部231の検知位置に到達させるとともに、排出トレイ206に排出された用紙Pの積載状態を判定するための状態判定処理を行う後処理制御部210(制御部)と、を備える。後処理制御部210は、排出トレイ206に排出される用紙Pの排出枚数をカウントし、排出枚数が所定枚数を超えるまでは状態判定処理を行わず、排出枚数が所定枚数を超えたとき、状態判定処理として、排出トレイ206を所定量だけ下降させた後、上面検知部231が上面検知信号を出力するまで排出トレイ206を上昇させるとともに、排出トレイ206の上昇開始から上面検知部231が上面検知信号を出力するまでの上昇時間を計時する処理を行う。そして、上昇時間が予め定められた基準時間以下であった場合、後処理制御部210は、積載状態が正常状態であると判定し、上面検知部231が上面検知信号を出力した状態で次の用紙Pを排出させ、上昇時間が基準時間を超えた場合、後処理制御部210は、積載状態が異常状態であると判定し、排出トレイ206を下降させる補正処理を行ってから次の用紙Pを排出させる。
【0068】
本実施形態の構成では、上昇時間が基準時間以下であった場合(上昇時間が短い場合)、用紙Pの積載状態が正常状態であると判定し、上昇時間が基準時間を超えた場合(上昇時間が長い場合)、用紙Pの積載状態が異常状態であると判定する。ここで、排出トレイ206上における用紙Pの積載位置が用紙排出方向の下流側にずれている場合には、ずれていない場合に比べて上昇時間が長くなる。このため、状態判定処理を上昇時間に基づき行うことにより、排出トレイ206上における用紙Pの積載位置が用紙排出方向の下流側にずれた状態(異常状態)になっているか否かを判定することができる。
【0069】
そして、排出トレイ206上における用紙Pの積載位置が用紙排出方向の下流側にずれた状態(異常状態)になっている場合には、排出トレイ206を下降させる補正処理を行い、その後、次の用紙Pを排出するので、当該用紙Pの排出が既に排出された用紙P(排出トレイ206上における積載位置が用紙排出方向の下流側にずれた用紙P)によって阻害されるのを抑制することができる。これにより、用紙Pの排出不良(たとえば、紙詰まりなど)が発生するのを抑制することができる。
【0070】
ここで、排出トレイ206上における用紙Pの積載位置が用紙搬送方向の下流側にずれている場合の上昇時間とずれていない場合の上昇時間との時間差は、状態判定処理の対象となる用紙Pの枚数が少ないほど小さくなる。このため、状態判定処理の対象となる用紙Pの枚数が少ない状態でも状態判定処理を行うよう構成すると(たとえば、排出トレイ206に用紙Pを排出する毎に状態判定処理を行うよう構成すると)、誤判定が発生し易くなる。
【0071】
このため、本実施形態の構成では、排出枚数が所定枚数を超えるまでは状態判定処理を行わず、排出枚数が所定枚数を超えたときに状態判定処理を行う。すなわち、状態判定処理の対象となる用紙Pの枚数が所定枚数を超えた状態で状態判定処理を行う(状態判定処理の対象となる用紙Pの枚数が少ない状態では状態判定処理を行わない)。これにより、誤判定が発生するのを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、後処理制御部210は、状態判定処理を行うと排出枚数のカウント数をリセットし、状態判定処理を行って以降、排出枚数(カウント数)が所定枚数を超える毎に状態判定処理を行う。これにより、状態判定処理が前回行われて以降に排出トレイ206に排出された用紙Pの積載状態が異常状態になったとしても、前回の状態判定処理からの排出枚数が所定枚数を超えた時点で状態判定処理(補正処理)が再度行われるので、用紙Pの排出不良が発生するのを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、後処理制御部210は、補正処理の連続実行回数が予め定められた閾値回数に達したとき、排出トレイ206上の用紙Pの確認を促すための報知を操作パネル3(報知部)に行わせる。これにより、用紙Pの排出不良が発生し易い状態のまま放置されるのを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、後処理制御部210は、補正処理として、上昇時間から基準時間を減算した時間に対応する量だけ排出トレイ206を下降させる処理を行う。これにより、排出トレイ206が必要以上に下降された状態になるのを抑制することができる。
【0075】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。