特許第6443397号(P6443397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443397
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】A/Fセンサ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/41 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G01N27/41 325Z
   G01N27/41 325J
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-113841(P2016-113841)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-44684(P2017-44684A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-168050(P2015-168050)
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇治山 竜己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康文
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−177005(JP,A)
【文献】 特開2003−004696(JP,A)
【文献】 特開平11−316211(JP,A)
【文献】 特開平11−240755(JP,A)
【文献】 特開2001−072465(JP,A)
【文献】 実開昭60−179862(JP,U)
【文献】 特開2009−053108(JP,A)
【文献】 特開2003−247972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/419
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを浄化する浄化装置(10)よりも上記排ガスの下流側に設けられ、上記排ガスの空燃比を測定するA/Fセンサ(1)であって、
先端が閉塞すると共に基端が開放したコップ型の固体電解質体(2)と、
該固体電解質体の内側に形成され、基準ガスが導入される基準ガス室(3)と、
上記固体電解質体の外面(21)に形成され、上記排ガスに接触する測定電極(4)と、
上記固体電解質体の内面(22)に形成され、上記基準ガスに接触する基準電極(5)と、
上記基準ガス室に配され、上記固体電解質体を加熱するヒータ(6)とを備え、
上記固体電解質体はジルコニアからなり、上記固体電解質体は、上記測定電極と上記基準電極との間に介在し酸素イオンが伝導する検知部(20)を備え、該検知部は、キュービック相の割合が88mol%以上であり、
上記検知部は、上記固体電解質体のうち上記検知部以外の部位よりも、上記キュービック相が1mol%以上多い、A/Fセンサ。
【請求項2】
上記固体電解質体の軸方向における上記測定電極の長さは3mm以下である、請求項1に記載のA/Fセンサ。
【請求項3】
上記固体電解質体はY23を4.5〜6mol%含有する、請求項1又は2に記載のA/Fセンサ。
【請求項4】
上記検知部は、上記キュービック相が95mol%以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のA/Fセンサ。
【請求項5】
上記排ガスの空燃比を測定するときに、上記ヒータによって、上記検知部を600〜1000℃に加熱するよう構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のA/Fセンサ。
【請求項6】
上記検知部の面積は40mm2以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のA/Fセンサ。
【請求項7】
上記検知部の厚さは2mm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のA/Fセンサ。
【請求項8】
排ガスを浄化する浄化装置よりも上記排ガスの下流側に設けられ、上記排ガスの空燃比を測定するA/Fセンサの製造方法であって、
該A/Fセンサは、
先端が閉塞すると共に基端が開放したコップ型の固体電解質体と、
該固体電解質体の内側に形成され、基準ガスが導入される基準ガス室と、
上記固体電解質体の外面に形成され、上記排ガスに接触する測定電極と、
上記固体電解質体の内面に形成され、上記基準ガスに接触する基準電極と、
上記基準ガス室に配され、上記固体電解質体を加熱するヒータとを備え、
上記固体電解質体はジルコニアからなり、上記固体電解質体は、上記測定電極と上記基準電極との間に介在し酸素イオンが伝導する検知部を備え、該検知部は、キュービック相の割合が88mol%以上であり、
上記固体電解質体の未焼成体を焼成することにより、焼成体を製造する焼成工程と、
上記焼成体に形成された上記測定電極と上記基準電極との間に電流を流すことにより、上記検知部における上記キュービック相の割合を88mol%以上にする通電工程と、
を行う、A/Fセンサの製造方法。
【請求項9】
上記検知部は、上記固体電解質体のうち上記検知部以外の部位よりも、上記キュービック相が1mol%以上多い、請求項8に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項10】
上記固体電解質体の軸方向における上記測定電極の長さは3mm以下である、請求項8又は9に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項11】
上記固体電解質体はY23を4.5〜6mol%含有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項12】
上記検知部は、上記キュービック相が95mol%以下である、請求項8〜11のいずれか一項に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項13】
上記A/Fセンサは、上記排ガスの空燃比を測定するときに、上記ヒータによって、上記検知部を600〜1000℃に加熱するよう構成されている、請求項8〜12のいずれか一項に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項14】
上記検知部の面積は40mm2以下である、請求項8〜13のいずれか一項に記載のA/Fセンサの製造方法。
【請求項15】
上記検知部の厚さは2mm以下である、請求項8〜14のいずれか一項に記載のA/Fセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの空燃比を測定するためのA/Fセンサと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、排ガスの空燃比を測定するためのA/Fセンサとして、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体を備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。固体電解質体は、例えばジルコニアからなり、板型またはコップ型に形成されている。固体電解質体の一方の表面には、上記排ガスに接触する測定電極が設けられている。また、他方の表面には、大気等の基準ガスに接触する基準電極が設けられている。
【0003】
固体電解質体の一部は、上記測定電極と上記基準電極とに挟まれた検知部になっている。検知部を活性化温度まで加熱すると、酸素イオンが検知部内を、基準電極から測定電極、又は測定電極から基準電極に移動する。このときに生じる電流を測定することにより、排ガス中の酸素濃度を測定し、空燃比を算出するよう構成されている。
【0004】
A/Fセンサは、車両等のエンジン制御システムに用いられる。エンジン制御システムでは、A/Fセンサによって測定した空燃比の値を用いて、エンジンをフィードバック制御する。これにより、排ガスの空燃比を制御し、排ガス中の有害物質を低減するよう構成されている。
【0005】
また、A/Fセンサは、エンジンの排気管に取り付けられる。この排気管には、排ガスを浄化するための浄化装置が設けられている。A/Fセンサは、浄化装置よりも排ガスの上流側に設けられることが多い。
【0006】
近年、排ガス中の有害物質をさらに低減するための開発が進められている。この目的のためには、排ガスの空燃比を、より高精度に制御することが有効と考えられている。例えば、A/Fセンサを浄化装置の上流側だけでなく、下流側にも設け、この下流側のA/Fセンサを用いて、浄化装置を通過した排ガスの空燃比を、より高い精度で制御するのである。これにより、浄化装置を通過した排ガスに含まれる有害物質を、より低減することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−122878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のA/Fセンサでは、下流側のA/Fセンサに求められる、空燃比の、高い測定精度を得ることが困難であった。すなわち、従来のA/Fセンサは、検知部の電気抵抗が比較的高い。検知部の電気抵抗が高いと、この電気抵抗の値が、A/Fセンサ毎にばらつきやすくなる。そのため、検知部に流れる電流の値が、A/Fセンサ毎にばらつきやすくなり、空燃比の測定精度が低下しやすくなる。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、排ガスの浄化装置よりも下流側に設けられ、排ガスの空燃比をより正確に測定できるA/Fセンサと、その製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、排ガスを浄化する浄化装置(10)よりも上記排ガスの下流側に設けられ、上記排ガスの空燃比を測定するA/Fセンサ(1)であって、
先端が閉塞すると共に基端が開放したコップ型の固体電解質体(2)と、
該固体電解質体の内側に形成され、基準ガスが導入される基準ガス室(3)と、
上記固体電解質体の外面(21)に形成され、上記排ガスに接触する測定電極(4)と、
上記固体電解質体の内面(22)に形成され、上記基準ガスに接触する基準電極(5)と、
上記基準ガス室に配され、上記固体電解質体を加熱するヒータ(6)とを備え、
上記固体電解質体はジルコニアからなり、上記固体電解質体は、上記測定電極と上記基準電極との間に介在し酸素イオンが伝導する検知部(20)を備え、該検知部は、キュービック相の割合が88mol%以上であり、
上記検知部は、上記固体電解質体のうち上記検知部以外の部位よりも、上記キュービック相が1mol%以上多い、A/Fセンサにある。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、排ガスを浄化する浄化装置よりも上記排ガスの下流側に設けられ、上記排ガスの空燃比を測定するA/Fセンサの製造方法であって、
該A/Fセンサは、
先端が閉塞すると共に基端が開放したコップ型の固体電解質体と、
該固体電解質体の内側に形成され、基準ガスが導入される基準ガス室と、
上記固体電解質体の外面に形成され、上記排ガスに接触する測定電極と、
上記固体電解質体の内面に形成され、上記基準ガスに接触する基準電極と、
上記基準ガス室に配され、上記固体電解質体を加熱するヒータとを備え、
上記固体電解質体はジルコニアからなり、上記固体電解質体は、上記測定電極と上記基準電極との間に介在し酸素イオンが伝導する検知部を備え、該検知部は、キュービック相の割合が88mol%以上であり、
上記固体電解質体の未焼成体を焼成することにより、焼成体を製造する焼成工程と、
上記焼成体に形成された上記測定電極と上記基準電極との間に電流を流すことにより、上記検知部における上記キュービック相の割合を88mol%以上にする通電工程と、
を行う、A/Fセンサの製造方法にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記検知部におけるキュービック相の割合を88mol%以上にすると、検知部の電気抵抗を大幅に低下でき、この電気抵抗のばらつきを低減できることを見出した。すなわち、ジルコニアの結晶には、キュービック相(以下、C相とも記す)と、モノクリニック相(以下、M相とも記す)と、テトラゴナル相(以下、T相とも記す)とがある。M相とT相は電気抵抗が高いが、C相は電気抵抗が低い。そのため、検知部におけるC相の量を充分に増やすことにより、検知部の電気抵抗を下げることができる。したがって、検知部の電気抵抗の製品ばらつきを低減でき、検知部に流れる電流のばらつきを低減できる。そのため、排ガスの空燃比を、高い精度で測定することが可能になる。したがって、排ガスの空燃比をより高い精度で制御でき、排ガス中の有害物質をより低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明の上記第2の態様においては、上記焼成工程と上記通電工程とを行う。
焼成工程を行っただけでは、検知部のC相の割合を88mol%以上にすることは困難であるが、測定電極と上記基準電極との間に電流を流す工程(通電工程)を行えば、検知部のC相を容易に88mol%以上にすることができる。そのため、上記A/Fセンサを容易に製造することができる。
【0014】
以上のごとく、本発明によれば、排ガスの浄化装置よりも下流側に設けられ、排ガスの空燃比をより正確に測定できるA/Fセンサと、その製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1における、固体電解質体の要部拡大断面図。
図2】実施形態1における、固体電解質体の側面図。
図3】実施形態1における、A/Fセンサの断面図。
図4】実施形態1における、A/Fセンサの取り付け位置を説明するための図。
図5】実施形態1における、各サンプルの製造工程を説明するための図。
図6】実験例1における、検知部のC相の割合と、検知部の電気抵抗との関係を表したグラフ。
図7】実験例1における、X線の入射角度θが72〜76°の範囲での、検知部のXRDによる分析結果。
図8】実験例2における、検知部の電気抵抗と、C相の割合と、検知部の温度との関係を表したグラフ。
図9】実験例3における、検知部の電気抵抗と、C相の割合と、検知部の面積との関係を表したグラフ。
図10】実験例4における、検知部の電気抵抗と、C相の割合と、検知部の厚さとの関係を表したグラフ。
図11】実験例5における、固体電解質体の曲げ強さと温度との関係を、破壊確率ごとに記したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記A/Fセンサは、車両のエンジンから排出される排ガスの空燃比を測定するための、車載用A/Fセンサとすることができる。
【0017】
(実施形態1)
上記A/Fセンサに係る実施形態について、図1図5を用いて説明する。図4に示すごとく、本形態のA/Fセンサ1は、排ガスgを浄化する浄化装置10よりも排ガスgの下流側に設けられる。A/Fセンサ1は、排ガスgの空燃比を測定するために設けられている。
【0018】
図3に示すごとく、A/Fセンサ1は、固体電解質体2と、ヒータ6とを備える。固体電解質体2は、先端が閉塞すると共に基端が開放したコップ型に形成されている。固体電解質体2の内側には、大気等の基準ガスが導入される基準ガス室3が形成されている。この基準ガス室3に、ヒータ6が配されている。
【0019】
図1に示すごとく、固体電解質体2の外面21には、排ガスgに接触する測定電極4が形成されている。また、固体電解質体2の内面22には、基準ガスに接触する基準電極5が形成されている。
【0020】
固体電解質体2はジルコニアからなる。固体電解質体2は、測定電極4と基準電極5との間に介在し酸素イオンが伝導する検知部20を備える。検知部20は、キュービック相の割合が88mol%以上とされている。
【0021】
本形態のA/Fセンサ1は、車両のエンジンから発生する排ガスの空燃比を測定するための、車載用A/Fセンサである。
【0022】
図2に示すごとく、固体電解質体2は、部分的に拡径した拡径部25を備える。この拡径部25よりも先端側の部位23は、排ガスgに曝される。また、拡径部25よりも基端側には、出力取出部24が形成されている。出力取出部24は、排ガスgに曝されない。出力取出部24の外面には、ターミナル部42が形成されている。測定電極4とターミナル部42とは、リード部41によって接続されている。
【0023】
測定電極4は、固体電解質体2を取り囲むように環状に形成されている。固体電解質体2の軸方向(Z方向)における測定電極4の長さL(図1参照)は、3mm以下にされている。また、本形態では、基準電極5を、固体電解質体2の内面22の全面に形成してある。測定電極4および基準電極5は、それぞれPtからなる。
【0024】
図1に示すごとく、固体電解質体2の外面21には、拡散層211とトラップ層212とが形成されている。これら拡散層211及びトラップ層212は、測定電極4を覆っている。拡散層211はアルミナ−マグネシア−スピネルからなり、トラップ層212は、多孔質アルミナからなる。排ガスgは、拡散層211及びトラップ層212を通って、測定電極4に接触する。拡散層211は、排ガスgの拡散速度を律速させるために設けられている。トラップ層212は、排ガスg中の被毒物質を捕集するために設けられている。
【0025】
ヒータ6(図3参照)を用いて、検知部20の温度を活性化温度まで上昇させると、排ガスgがリッチ雰囲気のときには、酸素イオンが固体電解質体2内を、基準電極5から測定電極4に移動する。また、リーン雰囲気のときには、測定電極4から基準電極5に移動する。このときに、測定電極4と基準電極5との間に流れる電流値を測定することにより、排ガスg中の酸素濃度を測定し、排ガスgの空燃比を算出するようになっている。
【0026】
上述したように、本形態の検知部20は、C相が88mol%以上とされている。固体電解質体20のうち検知部20以外の部位は、C相が88mol%未満である。より詳しくは、87mol%以下である。また、本形態の固体電解質体20は、Y23を4.5〜6mol%含有する。
【0027】
また、本形態では、検知部20の面積を20〜40mm2にし、検知部20の厚さThを0.5〜2mmにしてある。
【0028】
次に、固体電解質体2の製造方法について説明する。固体電解質体2を製造するには、図5に示すごとく、まず、ZrO2粉末とY23粉末とを混合し、コップ型に成形して、固体電解質体2の未焼成体28を作製する。その後、焼成する(焼成工程)。この焼成体29に、測定電極4および基準電極5をメッキ形成する。その後、焼成体29の表面に、拡散層211をプラズマ溶射し、さらにトラップ層212となるスラリーを塗布して、乾燥させる。
【0029】
焼成体29は通常、C相の割合が全ての部位において87mol%以下になる。例えば、未焼成体28の組成をZrO294%、Y236%にし、1100℃で約24時間焼成すると、C相の割合が全ての部位において87mol%である焼成体29が形成される。
【0030】
その後、焼成体29内にヒータ6を配置し、ヒータ6によって焼成体29を加熱しつつ、測定電極4と基準電極5との間に電流を流す(通電工程)。通電工程では、例えば、検知部20の温度を850℃にし、測定電極4と基準電極5との間に260mAの電流を流す。このようにすると、検知部20の結晶構造が変化し、C相の割合が増加する。通電工程を所定時間行うことにより、検知部20のC相の割合を88mol%以上にすることができる。
【0031】
なお、A/Fセンサ1を用いて排ガスgの空燃比を測定する際には、ヒータ6を用いて、検知部20を600〜1000℃に加熱する。空燃比を測定するときには、検知部20に流れる電流は僅かである。そのため、空燃比を測定している間に、C相の割合が変化することはない。これに対して、上記通電工程では、検知部20の温度を850℃にし、検知部20に、空燃比を測定するときよりも高い、数100mA程度の電流を流す。このように高い電流を流すと、検知部20の結晶構造が変化し、C相の割合が増加する。
【0032】
次に、A/Fセンサ1の全体の構造について説明する。図3に示すごとく、A/Fセンサ1は、上記固体電解質体2と、ハウジング14と、配線15(15a,15b)と、ヒータ用配線16と、カバー17(17a,17b)と、大気側カバー18(18a〜18c)と、シール部19とを備える。固体電解質体2は、ハウジング14内に固定されている。
【0033】
2本の配線15(15a,15b)のうち、一方の配線15aは、上記ターミナル部42(図2参照)に電気接続している。また、他方の配線15bは、上記出力取出部24の内面に形成された基準電極5に電気接続している。ヒータ用配線16は、ヒータ6に接続している。
【0034】
固体電解質体2の先端は、2つのカバー17(17a,17b)によって保護されている。カバー17a,17bには、それぞれ開口部170が形成されている。この開口部170を通って、排ガスgがカバー17内に入る。
【0035】
また、Z方向における、ハウジング14の基端側の部位には、肩部140が形成されている。肩部140よりも先端側には、ばね部材141が配されている。肩部140を加締めることにより、固体電解質体2をZ方向における先端側に加圧し、拡径部25をハウジング14に押し当てている。これにより、拡径部25とハウジング14との間から排ガスgが漏れないようにしている。
【0036】
ハウジングよりもZ方向における基端側には、3枚の大気側カバー18(18a,18b,18c)が設けられている。大気側カバー18b,18cの基端側の部位には、シール部19が配されている。上記配線15とヒータ用配線16とは、このシール部19内を通っている。大気側カバー18b,18cを加締めることにより、シール部19を固定してある。また、大気側カバー18b,18cには貫通部180が形成されている。この貫通部180を通って、基準ガスである大気が、センサ外から基準ガス室3に導入される。
【0037】
次に、A/Fセンサ1の取り付け位置について説明する。図4に示すごとく、本形態のA/Fセンサ1は、排気管12に取り付けられる。排気管12は内燃機関11に接続している。排気管12には、排ガスgを浄化する浄化装置10が設けられている。
【0038】
排気管12は、浄化装置10と内燃機関11との間を接続する上流部分12aと、浄化装置10よりも下流側に設けられた下流部分12bとを備える。A/Fセンサ1は、排気管12の下流部分12bに取り付けられている。また、上流部分12aには、上流用空燃比センサ8が取り付けられている。
【0039】
A/Fセンサ1と上流用空燃比センサ8とは、制御回路部13に接続している。A/Fセンサ1と上流用空燃比センサ8と制御回路部13とにより、エンジン11を制御するエンジン制御システム100が構成されている。
【0040】
制御回路部13は、上流用空燃比センサ8の出力信号に基づいて、浄化装置10よりも上流側の排ガスgの空燃比を算出する。また、制御回路部13は、A/Fセンサ1の出力信号に基づいて、浄化装置10よりも下流側の排ガスgの空燃比を算出する。制御回路部13は、これらの空燃比の測定値を用いて、エンジン11のフィードバック制御を行う。本形態では、上流用空燃比センサ8によって測定した空燃比の値を用いて、エンジン11を大まかに制御している。また、A/Fセンサ1によって測定した空燃比の値を用いて、エンジン11を精密に制御している。これにより、排ガスgの空燃比を正確に制御している。そのため、本形態のA/Fセンサ1には、空燃比の高い測定精度が要求される。
【0041】
一方、浄化装置10は、ハニカム構造体101と、該ハニカム構造体101の表面に形成された触媒層とを備える。ハニカム構造体101は、コージェライト等からなり、排ガスgが通過する複数のセルを有する。また、触媒層は、PtやPd等の貴金属触媒を含有している。排ガスgが上記セル内を通過する際に、排ガスgが貴金属触媒に接触する。これにより、排ガスgに含まれるNOxやCO等の有害物質を浄化するよう構成されている。
【0042】
本形態の作用効果について説明する。上述したように、本形態の検知部20は、C相の割合が88mol%以上にされている。このようにすると、検知部20の電気抵抗を大幅に低下でき、この電気抵抗のばらつきを低減できる。すなわち、ジルコニアには、C相と、M相と、T相とがある。M相とT相は電気抵抗が高いが、C相は電気抵抗が低い。そのため、検知部20におけるC相の量を充分に増やすことにより、検知部20の電気抵抗を下げることができる。したがって、検知部20の電気抵抗の製品ばらつきを低減でき、検知部20に流れる電流のばらつきを低減できる。そのため、排ガスgの空燃比を、高い精度で測定することが可能になる。したがって、排ガスgの空燃比をより高い精度で制御でき、排ガスg中の有害物質をより低減することが可能となる。
【0043】
また、本形態では、Z方向における測定電極4の長さL(図1参照)を3mm以下にしてある。
そのため、測定電極4を構成する貴金属の使用量を低減でき、A/Fセンサ1の製造コストを低減できる。上記長さLを短くすると、空燃比の測定精度が低下しやすいが、本形態ではC相の量を88mol%以上にしてあるため、空燃比の測定精度を高めることができる。したがって、A/Fセンサ1の製造コスト低減と、空燃比の測定精度向上とを両立することができる。
【0044】
また、本形態の検知部20は、固体電解質体2のうち検知部20以外の部位よりも、C相が1mol%以上多い。
そのため、固体電解質体2を容易に製造することができる。すなわち、固体電解質体2を製造する際には、上述したように、未焼成体28(図5参照)を焼成し、焼成体29を作成する。しかしながら、C相の割合が88mol%以上の焼成体29を得ることは困難である。これに対して、C相の割合が87mol%以下の焼成体29を得ることは比較的容易である。そのため、例えばC相の割合が87mol%の焼成体29を作成し、その後、上記通電工程を行って、検知部20のみC相を1mol%以上増やせば、検知部20のC相が88mol%以上である固体電解質体2を容易に製造することができる。
また、後述するように、C相を87mol%から88mol%以上にすると、検知部20の電気抵抗は大きく低下する(図6参照)。したがって、検知部20のC相の割合を、その他の部位の割合である87mol%よりも1mol%以上増やせば、検知部20の電気抵抗を大きく低下させることができる。
【0045】
また、本形態の固体電解質体2は、Y23を4.5〜6mol%含有する。このようにすると、固体電解質体2の熱膨張率を、拡散層211(図1参照)及びトラップ層212を構成する多孔質アルミナの熱膨張率と、略等しくすることができる。そのため、ヒータ6によって固体電解質体2を加熱したときに、固体電解質体2に熱応力が加わりにくくなる。
【0046】
また、検知部20のC相は、95mol%以下とすることが好ましい。
固体電解質体2を製造する際に、検知部20に流す電流の量を増やすと、C相の割合は増える。しかし、95mol%以上にしようとすると、ZrO2がZrに還元される等の問題が生じる。そのため、C相の割合は、95mol%以下にすることが望ましい。
【0047】
また、本形態のA/Fセンサ1は、排ガスgの空燃比を測定するときに、ヒータ6によって、検知部20を600〜1000℃に加熱するよう構成されている。
検知部20の温度が600℃未満になると、後述するように、検知部20の電気抵抗を充分に小さくすることができない。また、1000℃を超えると、温度が高すぎ、固体電解質体2の強度が低下しやすくなる。さらに、検知部20の温度が1000℃を超える場合は、ヒータ6の消費電力が高くなりすぎるという問題も生じる。したがって、空燃比を測定する際には、検知部20の温度を600〜1000℃にすることが好ましい。なお、空燃比を測定する際の検知部20の温度は、650〜800℃にすることが、さらに好ましい。
【0048】
また、本形態では、検知部20の面積、すなわち測定電極4の面積を、40mm2以下にしている。検知部20の面積が40mm2を超えると、面積が大きすぎるため、測定電極4を構成する貴金属の使用量が増加しやすくなる。そのため、A/Fセンサ1の製造コストが上昇しやすくなる。したがって、検知部20の面積は、40mm2以下にすることが好ましい。
【0049】
また、本形態では、検知部20の面積、すなわち測定電極4の面積を、20mm2以上にしている。測定電極4の面積には製造ばらつきがあるため、面積を小さくし、20mm2未満にすると、この製造ばらつきの影響が大きくなる。そのため、検知部20の電気抵抗のばらつきが大きくなり、空燃比の測定精度が低下しやすくなる。したがって、検知部20の面積は、20mm2以上にすることが好ましい。
【0050】
また、本形態では、検知部20の厚さThを2mm以下にしている。検知部20の厚さThが2mmを超えると、検知部20の電気抵抗が高くなりすぎ、空燃比の測定精度が低下しやすくなる。したがって、検知部20の厚さThは、2mm以下にすることが好ましい。
【0051】
また、本形態では、検知部20の厚さThを0.5mm以上にしている。検知部20の厚さThが0.5mm未満になると、後述するように、検知部20の強度が低下しやすくなる。したがって、検知部20の厚さThは、0.5mm以上にすることが好ましい。
【0052】
また、本形態では、A/Fセンサ1を製造するにあたり、上記焼成工程と、上記通電工程とを行う。焼成工程では、固体電解質体2の未焼成体28(図5参照)を焼成し、焼成体29を製造する。また、通電工程では、焼成体29に形成された測定電極4と基準電極5との間に電流を流し、検知部20におけるC相の割合を88mol%以上にする。これにより、固体電解質体2を形成する。
通電工程を行うと、検知部20のC相の割合を容易に増やすことができる。そのため、固体電解質体2を製造しやすい。
【0053】
また、上記検知部20におけるC相の割合は、88.5mol%以上であることが、より好ましい。88.5mol%以上であると、検知部20の電気抵抗のばらつきを、より抑制することができる(図6参照)。
【0054】
以上のごとく、本形態によれば、排ガスの浄化装置よりも下流側に設けられ、排ガスの空燃比をより正確に測定できるA/Fセンサを提供することができる。
【0055】
(実験例1)
本形態の効果を確認するための実験を行った。まず、下記表1に示すように、検知部20におけるC相の割合が互いに異なる、5種類のA/Fセンサ1のサンプル(サンプル1〜5)を製造した。そして、これらのサンプルの検知部20の電気抵抗を測定した。これにより、C相の割合と、電気抵抗のばらつきとの関係を調査した。
【0056】
【表1】
【0057】
まず、上記サンプルの製造方法について説明する。サンプル1〜5を製造するにあたり、ZrO2粉末とY23粉末を混合し、コップ型に成形した。これにより、固体電解質体2の未焼成体28(図5参照)を製造した。未焼成体28の組成は、ZrO294mol%、Y236mol%にした。
【0058】
その後、焼成工程を行った。サンプル2〜5については、未焼成体28を1100〜1185℃で24時間焼成した。また、サンプル1については、同じ温度で6時間焼成した。これにより、焼成体29を作成した。上記条件で焼成工程を行うと、サンプル1については、焼成体29のC相の割合が86mol%となり、サンプル2〜5については、焼成体29のC相の割合が87mol%となる。
【0059】
また、未焼成体28を焼成した後、測定電極4および基準電極5をメッキ形成した。その後、焼成体29の表面に、拡散層211をプラズマ溶射し、さらに、トラップ層212となるスラリーを塗布し、乾燥させた。
【0060】
サンプル1、2については、焼成体29に通電工程を行わず、焼成体29をそのまま固体電解質体2として使用した。また、サンプル3〜5については、焼成体29に通電工程を行った。これにより、検知部20のC相の割合を調整した。例えば、サンプル5については、ヒータ6を用いて焼成体29を850℃に加熱しつつ、測定電極4と基準電極5との間に電流を260mAで25秒流した。その後、同じ温度で、電流の向きを逆にし、260mAで25秒流した。その後、電流を流さない状態で、ヒータ6を用いて850℃で5分間加熱した。この条件で通電工程を行うと、電流によって検知部20のC相の割合が増加し、88.5%となる。このようにして、サンプル5を作成した。サンプル3、4については、温度および電流値をサンプル5と同一にし、電流を流す時間を表1に示す値にした。これにより、サンプル3、4を作成した。
【0061】
サンプル1〜5を作成した後、各サンプルの検知部20におけるC相の割合を、X線回折法(XRD)により測定した。測定には、波長0.15418nmのX線を用いた。このX線をサンプル1〜5の検知部20に照射し、入射角度θを、20〜90°に変化させて、反射強度を測定した。X線を照射すると、図7に示すように、C相、M相、T相の各結晶面に対応するピークが、所定の入射角度θに現れる。
【0062】
そして、M相、T相、C相の、各結晶面に対応するピークの強度を測定し、下記式を用いて、検知部20中の各相の割合を算出した。下記式におけるm、t、cは、それぞれM相のピーク強度、T相のピーク強度、C相のピーク強度を意味し、()内の数値は、結晶面のミラー指数を意味する。また、MはM相の割合、TはT相の割合、CはC相の割合を意味する。
M={m(111)+m(−111)}/{m(111)+m(−111)+t(111)+c(111)}×100
T=(100−M)×{t(400)+t(004)}/{t(400)+t(004)+c(400)}
C=(100−M)×c(400)/{t(400)+t(004)+c(400)}
【0063】
検知部20におけるC相の割合を測定した後、検知部20の電気抵抗を測定した。この際、ヒータ6を用いて、検知部20の温度を700℃にし、この状態で、検知部20の電気抵抗を測定した。電気抵抗の平均値および3σを表1に示す。また、C相の割合と電気抵抗との関係を図6に示す。なお、検知部20の面積は28.26mm2であり、検知部20の厚さは0.5mmであった。また、測定電極4の厚さは1.6μmであった。
【0064】
図6から、検知部20におけるC相の割合が88mol%以上であれば、電気抵抗が充分に低く、かつ電気抵抗のばらつきも小さくなることが分かる。そのため、このA/Fセンサ1を用いれば、空燃比を測定する際、検知部20に流れる電流のばらつきを低減でき、空燃比を正確に測定できることが分かる。したがって、排ガスgの空燃比を正確に制御でき、排ガスg中の有害物質を低減できることが分かる。
【0065】
(実験例2)
次に、検知部20の温度と電気抵抗との関係を確認するための実験を行った。まず、実験例1と同様の工程を行って、A/Fセンサ1のサンプルを複数個作成した。各サンプルの、検知部20におけるC相の割合は、85、85.5、86、86.5、87、87.5、88、88.5、89mol%にした。これらのサンプルを、ヒータ6を用いて500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃に加熱し、各温度における検知部20の電気抵抗を測定した。なお、各サンプルの、検知部20の面積は28.26mm2とし、検知部20の厚さは0.5mmとした。
【0066】
測定結果を図8に示す。同図に示すごとく、検知部20の温度が500℃の場合は、C相の割合に関わらず、検知部20の電気抵抗が高い。これに対して、検知部20の温度が600℃以上であれば、C相の割合を88mol%以上とすることにより、検知部20の電気抵抗を大きく低減することができる。
【0067】
なお、図8から、900℃と1000℃とでは、検知部20の電気抵抗が殆ど同じであることが分かる。そのため、検知部20を1000℃以上に加熱しても、これ以上、大きく電気抵抗を低減できないことが分かる。また、上述したように、検知部20の温度を1000℃より高くすると、検知部20の強度が低下したり、ヒータ6の消費電力が増大したりする等の問題が生じやすい。したがって、空燃比を測定するときには、検知部20の温度を1000℃以下にするすることが好ましい。
【0068】
(実験例3)
次に、検知部20の面積と電気抵抗との関係を確認するための実験を行った。まず、実験例1と同様の工程を行って、A/Fセンサ1の複数のサンプルを作成した。各サンプルの、検知部20におけるC相の割合と、検知部20の面積とを条件振りした。C相の割合は、実験例2と同様に、85、85.5、86、86.5、87、87.5、88、88.5、89mol%にした。また、検知部20の面積は、20、25、28、30、40mm2にした。そして、各サンプルのヒータ6を加熱して、検知部20の温度を700℃にした。この状態で、検知部20の電気抵抗を測定した。なお、各サンプルの、検知部20の厚さは、0.5mmにした。
【0069】
測定結果を図9に示す。同図から、検知部20の面積を大きくするほど、検知部20の電気抵抗を低減できることが分かる。しかしながら、検知部20の面積を40mm2より大きくすると、上述したように、測定電極4の面積が大きくなり、測定電極4を構成する貴金属の使用量が増大する。そのため、A/Fセンサ1の製造コストが上昇する。また、上述したように、測定電極4の面積には製造ばらつきがある。そのため、検知部20の面積、すなわち測定電極4の面積が20mm2より小さくなると、製造ばらつきの影響が大きくなり、検知部20の電気抵抗のばらつきが大きくなりやすい。したがって、検知部20の面積は、20〜40mm2とすることが好ましい。
【0070】
(実験例4)
次に、検知部の厚さと電気抵抗との関係を確認するための実験を行った。まず、実験例1と同様の工程を行って、A/Fセンサ1の複数のサンプルを作成した。各サンプルの、検知部20におけるC相の割合と、検知部20の厚さとを条件振りした。C相の割合は、実験例2と同様に、85、85.5、86、86.5、87、87.5、88、88.5、89mol%にした。また、検知部20の厚さは、0.5、0.8、1.0、1.5、2.0mmにした。そして、これらのサンプルのヒータ6を加熱して、検知部20の温度を700℃にした。この状態で、検知部20の電気抵抗を測定した。なお、各サンプルの、検知部20の面積は、28.26mm2とした。
【0071】
測定結果を図10に示す。同図から、検知部20を厚くすると、検知部20の電気抵抗が大きくなることが分かる。検知部20の厚さが2mmを超えると、検知部20の電気抵抗、及びそのばらつきが大きくなりすぎる。そのため、排ガスgの空燃比を正確に測定しにくくなる。また、検知部20の厚さが0.5mm未満になると、検知部20の強度が低下しやすくなる。そのため、検知部20の厚さは、0.5〜2mmとすることが好ましい。
【0072】
(実験例5)
次に、固体電解質体2の曲げ強さと温度との関係を確認するための実験を行った。まず、実験例1と同様の工程を行って、固体電解質体2のサンプルを複数個作成した。固体電解質体2の厚さは0.5mmにした。これらのサンプルを用いて4点曲げ試験を行った。これにより、固体電解質体2が破壊するまでに、固体電解質体2に加わる最大応力(曲げ強さ)を測定した。この試験を、室温(約25℃)、600℃、800℃、1000℃において行った。
【0073】
また、上記試験では、各温度において、8個のサンプルを用いた。そして、各温度における曲げ強さを評価し、ワイブルプロットから、破壊確率が90%、50%、10%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%であるときの、曲げ強さの値を算出した。そして、この算出結果をグラフにした。
【0074】
結果を図11に示す。同図から、固体電解質体2の温度が上昇するほど、曲げ強さが低下することが分かる。特に、固体電解質体2の温度が1000℃付近では、常温の半分以下になることが分かる。そのため、A/Fセンサ1を用いて空燃比を測定するときは、固体電解質体2の温度を1000℃以下にすることが好ましい。
【符号の説明】
【0075】
1 A/Fセンサ
10 浄化装置
2 固体電解質体
20 検知部
3 基準ガス室
4 測定電極
5 基準電極
6 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11