【実施例】
【0010】
本発明の一実施例にかかる車両用フードインナパネルを
図1〜
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の車両用フードインナパネルを組み込んだフードが適用される車両の一実施形態を示す図である。なお、図中の前側及び後側は、車両進行方向D1の前側及び後側を表し、左側及び右側は、運転席から見て車幅方向D2の左側及び右側を表す。
【0011】
図1に示す車両1は、車室Rの車両進行方向D1前側にエンジンルームERが設けられている。そして、エンジンルームの上部開口がフード2によって開閉自在に覆われている。フード2は、その後側の縁部に図示しないヒンジ機構が設けられ、当該ヒンジ機構を中心に上下回動することで、エンジンルームERの上部開口を開閉できるように構成されている。
【0012】
フード2は、フードアウタパネル3と、フードアウタパネル3に取り付けられる車両用フードインナパネル4(以下、フードインナパネルと略記する)と、を備えている。フードアウタパネル3は、
図2(A)及び
図3(A)に示すように、車幅方向D2に長尺の略長方形状のパネルであり、金属板をプレス加工して設けられる。
【0013】
フードインナパネル4は、
図2(B)及び
図3(B)に示すように、フードアウタパネル3とほぼ同じ大きさの車幅方向D2に長尺の略長方形状のパネルであり、金属板をプレス加工して設けられる。
【0014】
フードインナパネル4は、
図2〜
図5に示すように、略平板状のパネル本体41と、パネル本体41の中央からフードアウタパネル3に向かって窪む凹部42と、凹部42に形成された複数の前側ビード431、後側ビード432、左側ビード433及び右側ビード434(=ビード)と、が設けられている。凹部42は、フードアウタパネル3に重ねられ、長尺の開口部44(=第1開口部)が設けられた底壁部42aと、当該底壁部42aの全周縁から立設する立壁部42bと、から構成されている。底壁部42aは、当該外縁がフードインナパネル4の外縁に沿って形成され、車幅方向D2に長尺の略長方形状に形成されている。
【0015】
開口部44は、底壁部42aの外縁に沿って切り取られ、車幅方向D2(=長手方向)に長尺の略長方形状に形成されている。立壁部42bは、車両進行方向D1(=短手方向)に対向する前壁42b1及び後壁42b2と、車幅方向D2に対向する左壁42b3及び右壁42b4と、から構成されている。前壁42b1、後壁42b2、左壁42b3及び右壁42b4は、同じ高さに設けられているが、後壁42b2は、前壁42b1、左壁42b3及び右壁42b4に比べて傾斜が急に設けられている。
【0016】
ビード431〜434は、プレス加工により形成された、フードアウタパネル3から離れる方向に断面略U字状に窪んだ溝部である。ビード431〜434は、底壁部42aの開口部44周縁に複数形成されている。ビード431〜434は、
図5に示すように、開口部44の周縁と直交する方向に沿って形成され、開口部44を中心とした放射状に形成されている。
【0017】
前側ビード431は、開口部44よりも車両進行方向D1の前側(=一方側)に設けられたビードである。後側ビード432は、開口部44よりも車両進行方向D1の後側(=他方側)側に設けられたビードである。左側及び右側ビード433及び434は、開口部44よりも車幅方向D2の左側及び右側にそれぞれ設けられたビードである。
【0018】
上記前側及び後側ビード431及び432は、車両進行方向D1に沿って形成されている。また、全ての後側ビード432と、全ての前側ビード431と、は車幅方向D2の位置がずれている。詳しく説明すると、
図5及び
図6に示すように、任意の後側ビード432を通り車両進行方向D1に延在する直線(図中点線で示す)上に前側ビード431がない。また、任意の前側ビード431を通り車両進行方向D1に延在する直線(図中点線で示す)上に後側ビード432がない。
【0019】
これにより、後側ビード432は、前側ビード431と前側ビード431の間の開口部44前縁と車両進行方向D1に対向している。また、前側ビード431は、後側ビード432と後側ビード432の間の開口部44後縁と車両進行方向D1に対向している。
【0020】
本実施例では、全ての前側ビード431と、全ての後側ビード432と、の車幅方向D2の位置がずれていて、車幅方向D2の位置が一致しているものはない。
【0021】
また、上述したように車両進行方向D1に対向する前壁42b1及び後壁42b2は、互いに傾斜が異なり、後壁42b2の方が前壁42b1よりも傾斜が急に設けられている。そして、傾斜が急な後壁42b2側に設けられた後側ビード432は、傾斜が緩やかな前壁42b1側に設けられた前側ビード431よりも長く設けられている。
【0022】
詳しく説明すると、後側ビード432は、開口部44の縁部から後壁42b2のフードアウタパネル3から離れた側の端部(即ち、後壁42b2とパネル本体41との稜線L1(
図5))に亘って設けられている。一方、前側ビード431は、開口部44の縁部から底壁部42aの外縁(即ち、底壁部42aと前壁42b1との稜線L2(
図5))に亘って設けられている。
【0023】
また、後側ビード432は、前側ビード431よりも密に設けられている。本実施例では車幅方向D2中央部の後側ビード432は、狭いピッチで例えば12個並べて形成されている。また、車幅方向D2両端部の後側ビード432は、広いピッチで例えば2個ずつ並べて形成されている。前側ビード431は、上記狭いピッチよりも広いピッチで例えば10個並べて形成されている。
【0024】
即ち、後側ビード432の平均ピッチが、後側ビード432の平均ピッチよりも狭く設けられている。そして、開口部44周縁において、前側と後側とはほぼ同じ長さであるが、前側ビード431の方が、後側ビード432よりも数が多い。本実施例では、前側ビード431の数が16であるのに対して、後側ビード432の数は10である。
【0025】
左側ビード433及び右側ビード434は、開口部44よりも左側及び右側に設けられ、車両進行方向D1に沿っていない。左側及び右側ビード433及び434は、開口部44周縁から後壁42b2のフードアウタパネル3から離れた側の端部(即ち、後壁42b2とパネル本体41との稜線L1)の手前に亘って設けられている。
【0026】
また、底壁部42aの開口部44の周縁には、当該開口部44の内側に向かって突出する複数の凸部42a1が形成されている。本実施例では、隣り合うビード431〜434間に1つの凸部42a1が形成されている。言い換えると、隣り合う凸部42a1間に1つのビード431〜434が形成されている。この凸部42a1の上面には、接着剤が塗布されて、フードアウタパネル3との接着面S1〜S3(
図7)となる。本実施形態では、全ての凸部42a1が接着面S1〜S3に設けられている。
【0027】
前側接着面S1は、開口部44よりも車両進行方向D1前側に設けられた接着面である。即ち、前側接着面S1は、複数の前側ビード431のうち車幅方向D2の最も右側の前側ビード431と最も左側の前側ビード431との間に設けられた接着面である。後側接着面S2は、開口部44よりも車両進行方向D1の後側に設けられた接着面である。即ち、後側接着面S2は、複数の後側ビード432のうち車幅方向D2の最も右側の後側ビード432と最も左側の後側ビード432との間に設けられた接着面である。左右接着面S3は、前側接着面S1と後側接着面S2との間に設けられた接着面である。
【0028】
そして、複数の前側接着面S1のうち車幅方向D2中央の一部と、後側接着面S2と、は車幅方向D2の位置が一致するように設けられている。即ち、
図7に示すように、前側接着面S1と、後側接着面S2と、を結ぶ直線(図中点線で示す)が車両進行方向D1に沿って設けられている。
【0029】
また、フードアウタパネル3には、前側ビード431よりも開口部44から離れた側に前側開口部45と、後側ビード432よりも開口部44から離れた側に後側開口部46と、が設けられている。
【0030】
前側開口部45は、前側ビード431に対応した開口であり、前壁42b1に設けられている。前側開口部45は、車両進行方向D1に沿って長尺に形成され、その長手方向一端が前側ビード431近傍に形成されている。
【0031】
後側開口部46は、後側ビード432に対応した開口であり、後壁42b2よりも後側のパネル本体41に設けられている。後側開口部46は、車幅方向D2に長尺に形成されている。後側開口部46は、互いに隣り合う後側ビード432の一方の後側から他方の後側に亘って形成されている。即ち、後側開口部46の車幅方向D2長さは、後側ビード432のピッチ以上に形成されている。
【0032】
前側ビード431と後側ビード432とが開口部44を挟んで一直線上に並んでいると、フードインナパネル4の剛性が落ちる。上述した実施例によれば、全ての前側ビード431と、後側ビード432と、の車幅方向D2の位置がずれていて、一直線上に並んでいないので、フードアウタパネル3の剛性を確保することができる。しかも、歩行者が衝突時には前側及び後側ビード431及び432を起点に前壁42b1及び後壁42b2が変形する。これにより、
図8に示すように、前側ビード431及び後側ビード432を結ぶような縦折りF1がフードアウタパネル3に発生して、衝撃を緩和して衝撃値を低減できる。
【0033】
また、傾斜が急な後壁42b2の方が、傾斜が緩やかな前壁42b1よりも衝突時に変形しにくい。上述した実施例によれば、傾斜が急な後壁42b2側に設けられた後側ビード432は、傾斜が緩やかな前壁42b1に設けられた前側ビード431よりも長くかつ密に設けられている。しかも、後側ビード432は、後壁42b2にも設けられている。このため、衝突時に前壁42b1及び後壁42b2が、前側ビード431及び後側ビード432を起点に同程度に変形する。
【0034】
上述した実施例によれば、前側接着面S1と後側接着面S2とが車幅方向D2の位置が一致するように設けられている。これにより、接着面S1、S2は強固となり、衝突時に接着面S1、S2以外の部分で変形が生じて、衝撃を吸収できる。
【0035】
上述した実施例によれば、接着面S1〜S3は、隣り合うビード431〜434間に設けられる。これにより、接着面S1〜S3は変形しにくいため、衝突の力をビード431〜434に集中しやすくなる。特に、後側ビード432を起点として後壁42b2がつぶれやすくなるため、上述した縦折りF1に加えて、フードアウタパネル3の後端に
図8に示す三角折れF2が生じる。三角折れF2は、谷折りF21と、谷折りF21を挟む2つの山折りF22及びF23と、からなる。谷折りF21は、後側ビード432から車両進行方向D1に沿ってフードアウタパネル3の後端まで形成され、フードインナパネル4側に向かって凹に折り曲げられている。2つの山折りF22及びF23は、後側ビード432からそれぞれ放射状にフードアウタパネル3の後端まで形成される。このため、より衝撃を緩和して衝撃値を低減できる。
【0036】
上述した実施例によれば、前側及び後側ビード431及び432よりも開口部44から離れた側に前側開口部45、後側開口部46が設けられている。これにより、より一層、衝突時に前壁42b1及び後壁42b2を変形しやすくできる。また、三角折れF2も発生しやすくなる。
【0037】
なお、上述した実施例では、車幅方向D2に長尺の開口部44の前側ビード431と後側ビード432との車幅方向D2の位置をずらして設けていたが、これに限ったものではない。開口部44が車両進行方向D1に長尺なものが1つ、または、複数設けられていてもよい。この場合、左側ビード433と右側ビード434との車両進行方向D1の位置がずれていればよい。
【0038】
また、上述した実施例では、脆弱部をビード431〜434で設けていたが、これに限ったものではない。脆弱部としては、他の部分よりも力がかかったときに変形しやすい構造であればよい。例えば、脆弱部の板厚を他よりも薄くすることや、ミシン目状の孔をあけること等が挙げられる。
【0039】
また、上述した実施例では、前側ビード431と後側ビード432との長さを異ならせていたが、これに限ったものではない。前側ビード431と後側ビード432との長さを同じにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施例では、後壁42b2の傾斜が、前壁42b1の傾斜よりも急に設けていたが、これに限ったものではない。前壁42b1の傾斜が、後壁42b2の傾斜よりも急に設けてもよい。この場合、前側ビード431を後側ビード432よりも長くする。
【0041】
また、上述した実施例では、ビード431〜434と、ビード431〜434と、の間に1つの凸部42a1が形成されていたがこれに限ったものではない。例えば、ビード431〜434と、ビード431〜434と、の間に複数の凸部42a1が形成されていてもよい。
【0042】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。