特許第6443432号(P6443432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6443432植物由来ポリエチレンを用いた包装材用シーラントフィルム、包装材用積層フィルム、および包装袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443432
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】植物由来ポリエチレンを用いた包装材用シーラントフィルム、包装材用積層フィルム、および包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20181217BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20181217BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20181217BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20181217BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B65D30/02
   C08J5/18CES
   C08L23/08
   B32B27/32 102
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-248759(P2016-248759)
(22)【出願日】2016年12月22日
(62)【分割の表示】特願2015-77248(P2015-77248)の分割
【原出願日】2011年2月14日
(65)【公開番号】特開2017-71449(P2017-71449A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】松下 田恵子
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 文
(72)【発明者】
【氏名】油野 政人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克伸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良彦
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−102048(JP,A)
【文献】 特開2010−274611(JP,A)
【文献】 特開2009−197168(JP,A)
【文献】 特開2010−162748(JP,A)
【文献】 特開2009−108264(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/031984(WO,A1)
【文献】 特開2005−307108(JP,A)
【文献】 特開平08−199052(JP,A)
【文献】 特開2008−044365(JP,A)
【文献】 特開平09−316310(JP,A)
【文献】 特開2004−067219(JP,A)
【文献】 特開平10−081795(JP,A)
【文献】 特開平09−077921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 27/32
B65D 30/02
C08J 5/18
C08L 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン系樹脂からなるヒートシール性フィルムであって、
植物由来エチレンと石油由来α−オレフィンとの気相重合法により得られた植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を5〜90重量%と、石油由来のポリエチレン系樹脂を10〜95重量%とを混合した単層構成のフィルムをヒートシール性フィルムとするものであり、
該ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度が80〜100%未満のエチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする包装材用シーラントフィルム。
【請求項2】
前記α−オレフィンが、ブテン−1またはヘキセン−1またはこれらの混合物であって、前記植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、密度が0.910〜0.925g/cm3、メルトフローレートが0.5〜4.0g/10分の物性を有することを特徴とする請求項1に記載の包装材用シーラントフィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材用シーラントフィルムを、基材フィルムと積層させたことを特徴とする包装材用積層フィルム。
【請求項4】
請求項に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリエチレン系樹脂からなるフィルムに関し、より詳細には、このポリエチレン系樹脂が、植物由来ポリエチレン系樹脂を含む包装材用シーラントフィルムおよび包装材用積層フィルム、これらのフィルムを用いた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、シャンプーやリンスなどの詰め替えや、食品などの包材として用いられるパウチなどに代表される包装袋は、シーラントフィルムおよび基材フィルムからなる包装材料で構成されており、環境問題や石油など枯渇資源の節約に対応し、これら石油資源の包装材料への使用量低減のため、カーボンニュートラルな材料としてのポリ乳酸系樹脂に、エチレン−α−オレフィン共重合体およびエポキシ基を有する重合体をそれぞれ所定量含有させた生分解性の樹脂組成物を含む包装袋(例えば特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−155516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような包装袋では、上述したように、包装袋を構成する樹脂組成物に石油由来原料以外の生分解性樹脂を含有させて石油由来原料の比率を下げているものの、石油系樹脂と比較して引裂強度やヒートシール強度などの加工適性が著しく劣り、生産性を向上させることができないという問題があった。
従って、この発明の目的は、再生可能資源である植物由来のポリエチレン系樹脂を原料に用いて、石油資源の節約を可能とするとともに、二酸化炭素の排出量削減による環境にやさしい包装材用シーラントフィルムおよび包装材用積層フィルム、ならびにこれらのフィルムを用いた加工適性に優れる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明に係る包装材用シーラントフィルムは、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、植物由来エチレンと石油由来α−オレフィンとの気相重合法にて得られた直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を5〜90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10〜95重量%とを含む樹脂組成物と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成のフィルムをヒートシール性フィルムとすることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明に係る包装材用シーラントフィルムは、請求項1に記載のフィルムにおいて、前記ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の包装材用シーラントフィルムにおいて、前記α−オレフィンが、ブテン−1またはヘキセン−1またはこれらの混合物、密度が0.910〜0.925g/cm、メルトフローレートが0.5〜4.0g/10分の物性を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明に係る包装材用積層フィルムは、請求項1ないし3のいずれか1
項に記載の包装材用シーラントフィルムを、基材フィルムと積層させたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明に係る包装袋は、請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、植物由来エチレンと石油由来α−オレフィンとの気相重合法にて得られた直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を5〜90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10〜95重量%とを含む樹脂組成物と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成のフィルムをヒートシール性フィルムとするので、ポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルムの構成を、全て石油由来の樹脂組成物に依存する状態から、この石油由来のポリエチレン系樹脂に、石油由来のポリエチレン系樹脂と性能的に違いがなく、カーボンニュートラルなサトウキビなど植物由来のポリエチレン系樹脂を混成(置換)することで、石油資源の使用量を削減するとともに、包装材用シーラントフィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルムを提供することができる。さらに、包装材用シーラントフィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルムを提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体であるので、包装材用シーラントフィルムを構成するポリエチレン系樹脂の原料由来を、このバイオマス度を指標にして識別でき、包装材用シーラントフィルムの製造時から廃棄時まで由来原料を確認することができる。従って、原料由来の識別を可能としたポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルムを提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、α−オレフィンが、ブテン−1またはヘキセン−1またはこれらの混合物、密度が0.910〜0.925g/cm、メルトフローレートが0.5〜4.0g/10分の物性を有するので、石油由来のポリエチレン系樹脂と物性的に違いがないため、既存のフィルム製造工程を用いることができ、包材の加工適性を損ねることなく原料を切替えることができる。従って、環境負荷の低減および生産効率に優れたポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルムを提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、植物由来ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂からなる包装材用シーラントフィルム(請求項1ないし3のいずれかに記載)を、基材フィルムと積層させた包装材用積層フィルムとするので、ヒートシールに用いるシーラントフィルムにおいても、このシーラントフィルムであるフィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、包装材用積層フィルムの製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装材用積層フィルムを提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、植物由来ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂からなるフィルム(請求項1ないし3のいずれかに記載)を、基材フィルムと積層させた包装材用積層フィルム(請求項4に記載)を用いてなる包装袋であるので、包装袋を構成する包装材用積層フィルムにおけるポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、包装袋の製造および廃棄時の二
酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装袋を提供することができる。
【0015】
さらに、使い捨てとして世の中に数多く出回る包装袋を構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、包装袋の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】サトウキビ由来のポリエチレン製造の一例を示すフロー図である。
図2】本願発明のサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
図3】本願発明の樹脂組成物と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成のフィルムを模式的に示す断面側面図である。
図4】本願発明の中間層を樹脂組成物とした多層構造からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
図5】本願発明の中間層を樹脂組成物および石油由来ポリエチレン系樹脂を混合した層とした多層構造からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
図6】本願発明の積層フィルムの一例を模式的に示す断面側面図である。
図7】本願発明の積層フィルムを用いて形成した包装袋の一例としてのスタンディングパウチを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。食品や化粧品などに用いられるラミネートチューブなどに例示される容器や、シャンプーやリンスの詰め替えの包材として広く採用されているスタンディングパウチなどに例示される包装袋には、これら容器や包装袋が積層フィルムで構成されている。
【0018】
この積層フィルムには、基材フィルムに、ヒートシール材として積層フィルムの内面に使用するシーラントフィルムを積層させるものがあり、基材フィルムの材質として、例えばポリエチレン系樹脂などが用いられるとともに、シーラントフィルムの材質には、積層体として例えば中間層を挟んで直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂が用いられている。
【0019】
このように、積層フィルムの材質には、プラスチック樹脂であるポリエチレン系樹脂が多く用いられているが、従来、このポリエチレン系樹脂は、出発原料を石油とする石油化学由来により製造されており、例えば、上述した直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、原油の精製などにより得られたエチレンと、コモノマー種としてのα−オレフィンとを、メタロセン触媒の存在下、気相において、120℃以上などの高温で共重合させたものである。なお、α−オレフィンは、一般式R−CH=CH(式中、Rは炭素数1以上のアルキル基)で表される、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、オクタデセンなど例示することができる。また、メタロセン触媒は特に限定しないが、例えば、シクロペンタジエニル基、置換基を有するシクロペンタジエニル基(置換シクロペンタジエニル基)、インデニル基、置換インデニル基から選ばれる1種類の基と、フルオレニル基、置換フルオレニル基から選ばれる1種類の基が、架橋基により架橋された配位子を有する周期表第4族の遷移金属化合物を挙げることができ、その代表例としてジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ
−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体および上記メタロセン化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示するメタロセン化合物を主成分として含むメタロセン触媒が用いられる。また、メタロセン触媒は、例えば、シクロペンタジエニル基、置換基を有するシクロペンタジエニル基(置換シクロペンタジエニル基)、インデニル基、置換インデニル基から選ばれる1種類の基と、フルオレニル基、置換フルオレニル基から選ばれる1種類の基が、架橋基により架橋された配位子を有する周期表第4族の遷移金属化合物を挙げることができ、その代表例としてジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体および上記メタロセン化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体などを例示するメタロセン化合物を主成分とするものである。
【0020】
しかしながら、石油など枯渇資源の節約志向とともに、二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化など環境問題の意識が高まる中で、上述したような石油由来によるポリエチレン系樹脂では、石化製品の製造から廃棄に至るまでの間に、石油原料の持つ固定化した二酸化炭素が大量に排出されてしまうため、上記志向に沿うことができない。
【0021】
このような問題を踏まえ、近年、プラスチック類を、カーボンニュートラルで再生可能資源である植物から製造する技術の開発が進んでおり、その中でも、プラスチック類中で最も多く生産されているポリエチレンを、バイオマス系のサトウキビを出発原料として生産する技術が確立した。(加工技術研究会編、コンバーテック2009.9、P63〜67)なお、カーボンニュートラルとは、植物の生育時の二酸化炭素吸収量と、燃焼時の二酸化炭素排出量とが略同一であることをいう。
【0022】
図1は、サトウキビ由来のポリエチレン製造の一例を示すフロー図、図2は本願発明のサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
【0023】
この図1に示すように、畑より刈り取ったサトウキビをから取り出した糖液を加熱濃縮して結晶化させた粗糖と廃糖密とを遠心分離機で分離する。次いで、廃糖密を適切な濃度まで水で希釈し、酵母菌により発酵させてエタノールを生成する。そして、このバイオエタノールを加熱して触媒存在下で分子内脱水反応により得られたエチレンを、重合触媒により重合させてポリエチレンが得られる。なお、植物由来のエチレンおよびポリエチレンは、石油由来のエチレンおよびポリエチレンと品質同等性が確認されている。
【0024】
そこで、本願発明のフィルムに用いる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、上記のような出発原料を植物由来としたエチレンから生成するものであるが、この生成方法としては、石油由来のエチレンから直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を生成する場合と同じように、植物由来エチレンと、α−オレフィンとを、メタロセン触媒の存在下において気相重合
法により共重合させることで得ることができる。
【0025】
本願発明では、上記のようにして得られた植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いて容器や包装袋を構成した積層フィルムを形成するフィルムを製造することにより、積層フィルムに用いられる樹脂組成物(直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂など)において、石油由来樹脂組成物の使用比率を低下させて、石油資源の節約を可能とするとともに、二酸化炭素の排出量削減による環境向上に貢献するものである。
【0026】
本願では、上記気相重合法にて得られたサトウキビ(サトウキビに限定されず、その他直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の製造原料となる植物であればよい)由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる樹脂組成物1を用いて、図2に示すようなフィルムF1とすることができる。
【0027】
また、上記サトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂と同様に、コモノマー種がブテン−1(C4)、密度が0.910〜0.925g/cm、メルトフローレート(MFR)が0.5〜4.0g/10分の範囲、より好ましくは0.7〜3.5g/10分とした各物性を有することができ、そのエチレン−α−オレフィン共重合体が用いられる。このようなサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる樹脂組成物を石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に対して90重量%を上限に適宜割合で含有させるものである。
【0028】
なお、上記物性評価では、密度(d、単位:g/cm)として、150℃でプレス成形して得られた厚さ1mmのシートを用い、JIS K 6760(1981)に従って測定を行ったものである。また、メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)は、JIS K 7210(1995)に準じ、試験温度190℃の条件にて、試験荷重21.18Nで測定したものである。
【0029】
さらには、上記サトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂には、放射性炭素年代測定14Cによるバイオマス度が、80〜100%を有する上記エチレン−α−オレフィン共重合体が用いられる。
【0030】
ここで、植物(バイオマス)由来と石油由来の樹脂組成物は、分子量や機械的性質・熱的性質のような物性に差を生じない。そこで、これらを区別するためには、一般的にバイオマス度が用いられている。このバイオマス度では、石油由来の樹脂組成物の炭素には、14C(放射性炭素14、半減期5730年)が含まれていないことから、この14Cの濃度を加速器質量分析により測定し、樹脂組成物において、植物由来樹脂組成物の含有割合の指標にするものである。従って、植物由来の樹脂組成物を用いたフィルムであれば、そのフィルムのバイオマス度を測定すると、植物由来樹脂組成物の含有量に応じたバイオマス度が生じる。
【0031】
このバイオマス度の測定は、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。この測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)を標準試料とした。
【0032】
本願ではこのような樹脂組成物からなるフィルムの構成にすることで、全て石油由来の樹脂組成物に依存する状態から、この石油由来のポリエチレン系樹脂に、石油由来のポリ
エチレン系樹脂と性能的に違いがないサトウキビなど植物由来のポリエチレン系樹脂を混成(置換)することで、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
【0033】
また、本願発明の樹脂組成物1は、コモノマー種がブテン−1、密度が0.910〜0.920g/cm,メルトフローレートが0.70〜1.30g/10分のエチレン−α−オレフィン共重合体であるので、石油由来のポリエチレン系樹脂と物性的に違いがないため、既存のフィルム製造工程を用いることができ、包材の加工適性を損ねることなく原料を切替えることができる。
【0034】
さらに、本願発明の樹脂組成物1は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体であるので、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の原料由来を、このバイオマス度を指標にして識別でき、フィルムの製造時から廃棄時までの由来原料を確認することができる。
【0035】
次に、本願では、上述した樹脂組成物1と、後述する石油由来ポリエチレン系樹脂2とで、以下のようなフィルムに構成させることができる。図3は樹脂組成物と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成のフィルムを模式的に示す断面側面図、図4は中間層を樹脂組成物とした多層構造からなるフィルムを模式的に示す断面側面図、図5は中間層を樹脂組成物および石油由来ポリエチレン系樹脂を混合した層とした多層構造からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
【0036】
この場合、上記樹脂組成物1を5〜90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂2を10〜95重量%とを、下記の(A)または(B)あるいは(C)の要領にてフィルムを構成した。まず(A)のフィルムF2として、図3に示すように、樹脂組成物1と、石油由来のポリエチレン系樹脂2とを混合した単層構成にすることができる。
【0037】
また、(B)のフィルムF3として、図4に示すように、中間層を樹脂組成物1とし、外層および内層を石油由来ポリエチレン系樹脂2とした多層構成にすることもできる。
【0038】
さらに、(C)のフィルムF4として、図5に示すように、中間層を樹脂組成物1と、石油由来ポリエチレン系樹脂2とを混合した層とし、外層および内層を石油由来ポリエチレン系樹脂2とした多層構成にすることもできる。
【0039】
このような構成にすることで、フィルムF2〜F4を構成するポリエチレン系樹脂2の石油由来の使用比率を低下させることができ、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。加えて、(B)あるいは(C)のようなフィルムF3〜F4を構成する内外層に石油由来ポリエチレン系樹脂2を用いることで、既存の製造工程が有する特性でフィルムF3〜F4を製造することができる。
【0040】
次に、本願では、上記フィルムF1〜F4を用いた積層フィルムにすることができる。図6は、積層フィルムの一例を模式的に示す断面側面図、図7は本願発明の積層フィルムを用いて形成した包装袋の一例としてのスタンディングパウチを示す斜視図である。
【0041】
まず、積層フィルム3は、この図6に示すように、上記フィルムF1〜F4のいずれかをシーラントフィルム4として、基材フィルム5と積層させる。
【0042】
なお、基材フィルム5としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムまたはシートを使用することができる。
【0043】
このような構成にすることで、ヒートシールに用いるシーラントフィルム4においても、このシーラントフィルム4である各フィルムF1〜F4を構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の節約とともに、積層フィルム3の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
【0044】
以上のような積層フィルム3を用い、積層フィルム3からなる2枚の側面シート7、8のシーラントフィルム4面同士を対向して配置し、積層フィルム3の下端部に少なくとも片面にシーラントフィルム4が積層された積層体からなる底面シート9を、シーラントフィルム4面を外面にして中央で山折りして挿入し、ガセット部を有する形式に形成されており、山折りされた底面シート9の両側下端近傍には、略半円形の底面シートの切り欠き部が設けられ、ガセット部が、周縁部を含む船底形の底部シール部でヒートシールされ底部が形成される。
【0045】
次いで、表裏の2枚の側面シート7、8の両側端縁部を側端縁シール部でヒートシールして胴部が形成され、上端部を残して内容物の充填口とする、図7に示すようなスタンディングパウチ形式に製袋されたパウチ(包装袋6)が形成される。そして、上端部の充填口に設けた上部シール部は、この部分から内容物を充填した後、例えば、脱気シールなどによりヒートシールして密封するものである。なお、図示しないが、胴部の上部などにレーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部を形成させてもよい。
【0046】
このような構成にすることで、包装袋6を構成する積層フィルム3におけるポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の節約とともに、包装袋6の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。特にこの包装袋6が、詰め替え用スタンディングパウチであるので、使い捨てとして普及するこのような包装袋を構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させるとともに、二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。
【0047】
なお、本願発明の樹脂組成物1からなるフィルムF1〜F4や、これらフィルムF1〜F4を用いた積層フィルム3を使用して、上述したスタンディングパウチに例示される包装袋6以外にも、ポリエチレン系樹脂を用いた樹脂組成物1から構成される、例えば、飲食品・化粧品・薬品・雑貨品などの内容物を収容するラミネートチューブ、液体紙容器などを含む容器や、容器の蓋材、あるいは容器のラベルなどを構成することができ、いっそう石油由来の使用比率を低下させるとともに、二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。
【0048】
次に、本願発明の植物由来ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)を用いて構成したフィルムの実施例を説明する。
【実施例1】
【0049】
スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL−LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工
条件において樹脂組成物を成形することで、厚み50μmの安定して外観の優れる図1に示すフィルムF1を製膜することができ、そのバイオマス度を測定すると、約88%であった。なお、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に含まれるコモノマー種のブテン−1(C4)は石油由来のものであり、その含有量は1〜15モル%(以下同様)である。
【0050】
これに対し、上記フィルムF1の比較例1として、石化由来C4LL直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いて、実施例1と同様にして、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件で厚み50μmのフィルムに成形し、バイオマス度を測定すると、0%であった。
【0051】
実施例1の樹脂組成物について次の各物性評価試験を行い、得られた結果を以下に記す。
【表1】
上記結果から、サトウキビ(植物)由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(実施例1)は、石化由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(比較例1)に比べて、引張破断強度や引裂強さが強く、腰やシール強度は同等の強度を有し、弾性率が低く柔軟であることが分かる。このように、植物由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、石化由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂と比較して同等以上の物性を有し、石化由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の製造加工適性と遜色ないことが実証された。
【0052】
なお、引張破断強度(伸び)は、JIS−Z1702を参考にテンシロン万能試験機を用い、試験速度500mm/min. N=3 JIS−K7127試験片タイプ5(ダンベル片:最小平行巾6mm、チャック間距離80mm)で行った。
弾性率(引張)は、JIS−K7176参考にテンシロン万能試験機を用い、試験速度1mm/min. 1.5mm伸びた時の強度を測定したもので、N=3 JIS−K7127試験片タイプ2参考(短冊:巾15mm、チャック間距離150mm)で行った。
腰は、ループスティフネステスターを用い、ループ長さ60mm、サンプル巾15mm、N=3、押しつぶし距離17mm(目盛り3)で行った。
シール強度は、ヒートシールテスターTP−701Sを用い、片面加熱 1kgf/cm×1.0s PET12μmを評価サンプルの上に載せてシールし、テンシロン万能試験機において試験速度300mm/min. 巾15mm N=3 140℃で行った。
【実施例2】
【0053】
スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL−LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を50重量%と、石油由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂2である宇部丸善ポリエチレンLDPE−F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50重量%を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図3に示すフィルムF2に成形し、そのバイオマ
ス度を測定すると、約44%であった。
【実施例3】
【0054】
第1層用および第3層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL−エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。同様に第2層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるブラスケム社C4LL−LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層比は1:1:1とした。次いで、二種三層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図4に示すフィルムF3に成形し、そのバイオマス度を測定すると、約29%であった。
【実施例4】
【0055】
第1層用および第3層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL−エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。同様に第2層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるブラスケム社C4LL−LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)50重量部と、宇部丸善ポリエチレンLDPE−F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50重量部とを200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層比は1:2:1とした。次いで、二種三層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図5に示すフィルムF4に成形し、このバイオマス度を測定すると、約22%であった。
【実施例5】
【0056】
外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN−1102)と、実施例4のフィルムF4とを用いて2液硬化型のウレタン系接着剤を使用し、ONy面に該接着剤を約4g/m塗布してポリエチレンのコロナ処理面をドライラミネーション法により貼合し、2層構成の図6に示す積層フィルム3を得、このバイオマス度を測定すると、約18%であった。
【0057】
そして、この積層フィルム3を使用し、レーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部付詰め替え用スタンディングパウチ(包装袋6)を作成し、この詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れなどは全く認められなかった。
【実施例6】
【0058】
外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN−1102)と、中間層に、片面にアルミニウム蒸着された厚さ12μmのVMPET(金属蒸着フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着したもの)のアルミニウム蒸着面と積層し、さらにVMPETのポリエチレンテレフタレート面に2液硬化型のウレタン系接着剤を約4g/m塗布して、実施例4のフィルムF4のコロナ処理面とをドライラミネーション法により貼合し、3層構成の積層フィルム3を得た。そして、この積層フィルム3を使用し、レーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部付詰め替え用スタンディングパウチ(包装袋6)を作成し、バイオマス度を測定すると、約17%であった。
【0059】
作成した詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れ等は全く認められなかった。
【実施例7】
【0060】
上記実施例6の注出口部付詰め替え用スタンディングパウチにおける底材のみを、延伸ポリアミド(ONY)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)からなる石油由来フィルムを用いて作成した詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れ等は全く認められなかった。従って、本願発明のスタンディングパウチの底材には、胴部と同じ植物由来を含む積層フィルム3でも、石油由来のフィルムでもどちらを用いてもよい。
【実施例8】
【0061】
実施例1同様に、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL−LL318(d=0.918、MFR=2.7g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み120μm(1種3層)の安定して外観の優れるフィルムを製膜することができ、そのバイオマス度を測定すると、約88%であった。
【実施例9】
【0062】
実施例1同様に、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL−LL318(d=0.918、MFR=2.7g/10分)と、三井化学C6LL−エボリューSP2020(d=0.918、MFR=3.8g/10分)とを7:3で200℃において混練溶融し、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み120μm(1種3層)の安定して外観の優れるフィルムを製膜することができ、そのバイオマス度を測定すると、約59%であった。
【0063】
以上詳述したように、この例のポリエチレン系樹脂からなるフィルムF1〜F4は、気相重合法にて得られた直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物1からなるものである。また、これらフィルムF1〜F4をシーラントフィルムとし、基材フィルム5と積層させた積層フィルム3とするとともに、包装袋6は、この積層フィルム3からなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
なお、この発明は、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムおよび、このフィルムで構成された包装袋や容器など、ポリエチレン系樹脂を用いたあらゆる製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 樹脂組成物
2 石油由来ポリエチレン系樹脂
3 積層フィルム
4 シーラントフィルム
5 基材フィルム
6 包装袋
7,8 側面シート
9 底面シート
F1〜F4 フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7