(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタユニットの分解斜視図である。
【
図3】アウターハウジングを取り外したコネクタの平面図である。
【
図6】コネクタ(サブアセンブリ)のYZ断面図であり、
図8のB−B断面図である。
【
図7】インナーハウジング及びセンターシェルの斜視図である。
【
図10】センターシェルの支持穴を説明するための、インナーハウジングを上方から視た斜視図である。
【
図11】端子、導電部材、及びコネクタの先端の斜視図(その1)である。
【
図12】端子、導電部材、及びコネクタの先端の斜視図(その2)である。
【
図13】コネクタのXZ断面図であり、
図3のA−A断面図である。
【
図15】コネクタの製造工程を説明するための図(その1)である。
【
図16】コネクタの製造工程を説明するための図(その2)である。
【
図17】コネクタの製造工程を説明するための図(その3)である。
【
図18】コネクタの製造工程を説明するための図(その4)である。
【
図19】コネクタの製造工程を説明するための図(その5)である。
【
図20】コネクタの製造工程を説明するための図(その6)である。
【
図21】コネクタの製造工程を説明するための図(その7)である。
【
図22】コネクタの製造工程を説明するための図(その8)である。
【
図23】コネクタの製造工程を説明するための図(その9)である。
【
図24】本発明の実施の形態2に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図25】実施の形態2に係るコネクタのYZ断面図である。
【
図26】実施の形態2に係る端子、導電部材、及びコネクタの先端の斜視図(その1)である。
【
図27】実施の形態2に係る端子、導電部材、及びコネクタの先端の斜視図(その2)である。
【
図28】実施の形態2に係るコネクタのXZ断面図である。
【
図29】実施の形態3に係る端子、導電部材、及びコネクタの先端の斜視図(その1)である。
【
図30】(A)は、実施の形態4に係るコネクタのXZ断面図である。(B)は、実施の形態4の変形例に係るコネクタのXZ断面図である。
【
図31】実施の形態5に係るコネクタのXZ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係るコネクタ10及びその製造方法について、
図1〜
図23を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0024】
コネクタ10は、例えば、自動車に装備される電子回路部品同士の接続のためのコネクタユニット100に用いられる。コネクタユニット100は、車載用コネクタユニットであることから、温度変化の大きい環境下や振動の多い環境下で用いられる。
図1に示すように、コネクタユニット100は、本実施の形態1に係るコネクタ10と、相手側コネクタ110とを有する。
【0025】
相手側コネクタ110は、コネクタ10に嵌合するものである。相手側コネクタ110は、絶縁性の素材からなる相手側ハウジングと、オス端子から構成される相手側端子とを有する。
【0026】
相手側ハウジングは、+Y方向に開口する嵌合穴110aが形成された略箱形状の部材である。相手側ハウジングの嵌合穴110aには、コネクタ10が挿入される。相手側ハウジングには、コネクタ10を係止して、嵌合穴110aの内部で固定するための被係止部が形成されている。
【0027】
相手側端子は、導電性の素材からなるオス端子から構成されている。相手側端子の一方の端部は、相手側ハウジングの嵌合穴110aの内部空間に突出している。相手側端子の他方の端部は、相手側ハウジングの後端面から突出し、略S字状に湾曲して、配線基板Sに接続されている。
【0028】
図2〜
図4に示すように、コネクタ10には、複数本の同軸ケーブルCが束ねられたケーブル群Gが接続されている。
【0029】
図5に示すように、同軸ケーブルCは、例えば、複数の銅線からなる内部導体C1と、絶縁性の誘電体C2と、誘電体C2の外周に網み込まれた銅線からなる外部導体C3と、絶縁性の素材からなる被覆部C4とが積層されて構成されている。
【0030】
図4に戻り、コネクタ10は、ケーブル群Gを有するサブアセンブリ12を覆う、アウターハウジング20と、トップシェル30(第1シェル)と、ボトムシェル40(第2シェル)と、を有する。
【0031】
アウターハウジング20は、樹脂等の絶縁性の素材からなり、コネクタ10の内部部品を保護するためのケースである。アウターハウジング20は、アウターハウジング本体21と、一対のケーブルカバー22とを有する。アウターハウジング本体21は、相手側ハウジングの被係止部に係止する係止部と、当該係止を解除するための係止解除部23とが形成されている。ケーブルカバー22は、ヒンジ24を介して、アウターハウジング本体21に回動可能に取り付けられている。
【0032】
トップシェル30(第1シェル)は、金属等の導電性の素材からなり、グランド及びシールドとして構成されている。トップシェル30には、支持穴31(第
1支持穴)が形成されている。支持穴31は、Y軸方向を長手方向とする長方形の穴であり、複数の支持穴31が、X軸方向に沿って等間隔に設けられている。支持穴31には、孔の縁から上側に傾きつつ突出して対向する一対の弾性片32が形成されている。
【0033】
ボトムシェル40(第2シェル)は、金属等の導電性の素材からなり、グランド及びシールドとして構成されている。ボトムシェル40には、複数の支持穴41が形成されている。支持穴41は、Y軸方向を長手方向とする長方形の穴であり、複数の支持穴41が、X軸方向に沿って等間隔に設けられている。支持穴41には、孔の縁から
下側に傾きつつ突出して対向する一対の弾性片42が形成されている。
【0034】
図6に示すように、コネクタ10は、上記の部材に加えて、樹脂等の絶縁性の素材からなるインナーハウジング50(ハウジング)と、センターシェル60(第3シェル)と、複数の端子70と、複数の導電部材80とを有する。なお、上述のサブアセンブリ12は、インナーハウジング50と、センターシェル60と、端子70と、導電部材80と、ケーブル群Gとから構成されている。なお、
図7において、センターシェル60は、ハッチングによって示されている。
【0035】
図7に示すように、インナーハウジング50(ハウジング)は、樹脂等の絶縁性の素材からなる。インナーハウジング50は、インナーハウジング本体51と、ヒンジ51aを介して、インナーハウジング本体51に回転可能に接続されている上側カバー52及び下側カバー53とから構成されている。上側カバー52及び下側カバー53は、ヒンジ51aのX軸方向に平行な回転軸を中心に回転する。
【0036】
図8に示すように、インナーハウジング本体51には、16列2段の合計32室の端子収容室54と、センターシェル収容室55とが形成されている。端子収容室54は、全て同サイズに形成され、インナーハウジング本体51の上面(第1面)に形成されている上段の16室の端子収容室54(第1収容室)と、下面(第2面)の16室の端子収容室54(第2収容室)とから構成されている。上段の端子収容室54は、下段の端子収容室54とX軸方向にずれた位置に設けられている。上段の端子収容室54の一部は、
図7に示すように、上側カバー52によって覆われる。また、下段の端子収容室54(第2収容室)は、上段の端子収容室54と上下が逆となるように設けられている。下段の端子収容室54の一部は、下側カバー53によって覆われる。
【0037】
センターシェル60(第3シェル)は、金属等の導電性の素材からなり、グランドとして構成されている。
図9に示すように、本実施の形態1では、センターシェル60は、基端部61と、上側グランド部62と、下側グランド部63と、から構成され、金属板を折り曲げられることによって形成されている。センターシェル60は、インナーハウジング50のセンターシェル収容室55に、+Y側から圧入されて、センターシェル収容室55内で固定される。また、
図10に示すように、センターシェル60の上側グランド部62には、複数の支持穴64が形成されている。下側グランド部63にも、同様に複数の支持穴64が形成されている。支持穴64は、インナーハウジング50に形成された端子収容室54の底面を構成し、端子収容室54毎に設けられている。支持穴64には、孔の縁から突出して対向する一対の弾性片65が形成されている。なお、
図10において、センターシェル60は、ハッチングによって示されている。
【0038】
図11に示すように、端子70は、同軸ケーブルCの内部導体C1に圧着して固定されている。この端子70は、銅,銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。端子70は、Y軸方向に延在するメス端子から構成され、オス端子である相手側端子が接続されている。本実施の形態1のコネクタ10では、インナーハウジング50の端子収容室54の形成数と同数の32個の端子70を有し、2段に配置されている。端子70は、本体部71と、圧着固定部72とを備える。
【0039】
本体部71は、相手側端子が挿入される開口73(接続部)を有し、底板部71aと天板部71bと側板部71cとからなる略角筒状に形成されている。底板部71aと天板部71bとには、互いに向き合う凸形状となるバネ接点部が形成されている。なお、本実施の形態1では、本体部71は、開口73を有する略角筒状に形成されているが、これに限らず、略角筒状ではない形状に形成されていてもよい。
【0040】
圧着固定部72は、同軸ケーブルCの内部導体C1をかしめるために用いられる。圧着固定部72は、かしめにより、同軸ケーブルCの内部導体C1に圧着され、電気的に接続される。
【0041】
図11,12に示すように、導電部材80は、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されるための圧着金属端子である。導電部材80は、銅,銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成され、同軸ケーブルCの外部導体C3に巻き付けられ、外部導体C3から板材の一対の端部が重ねられて突出する。本実施の形態1のコネクタ10では、インナーハウジング50の端子収容室54の形成数と同数の32個の導電部材80を有する。導電部材80は、トップシェル30又はボトムシェル40に接触する第1突出部81と、センターシェル60に接触する第2突出部82とが、設けられている。第1突出部81及び第2突出部82は、端子70の延在方向に直交する方向であるZ軸方向に突出する。
第1突出部81は、外部導体C3に取り付ける前の導電部材80における板状の一対の端部が重ねられて構成されている。第2突出部82は、導電部材80の板状に
舌状の2つの切れ込み82aを入れ、一対の
舌状の部分を対向するように起ち上げて重ねられることによって構成されている。なお、
舌状の切れ込み82aの形状は、U字状であってもよいし、四角形状であっても、三角形状であってもよい。
【0042】
図13及び
図14に示すように、第1突出部81は、Z軸方向(+Z方向又は−Z方向)に突出して形成されている。詳しくは、上段に配置された導電部材80の第1突出部81は、+Z方向に突出し、下段に配置された導電部材80の第1突出部81は、−Z方向に突出して形成されている。第1突出部81は、トップシェル30の支持穴31又はボトムシェル40の支持穴41に嵌め込まれることで、トップシェル30又はボトムシェル40に支持される。支持穴31,41に嵌め込まれた第1突出部81には、支持穴31,41の縁から突出する弾性片32,42が導通可能に接触する。これにより、導電部材80は、トップシェル30又はボトムシェル40に導通可能に接続される。
【0043】
第2突出部82は、Z軸方向(−Z方向又は+Z方向)に突出して形成されている。詳しくは、上段に配置された導電部材80の第2突出部82は、−Z方向に突出し、下段に配置された導電部材80の第2突出部82は、+Z方向に突出して形成されている。第2突出部82は、センターシェル60の支持穴64に嵌め込まれることで、センターシェル60に支持される。支持穴64に嵌め込まれた第2突出部82には、支持穴64の縁から突出する弾性片65が導通可能に接触する。
【0044】
導電部材80は、
図11に示すように、2箇所の圧着部分83a,83bによって、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定される。
図14に示すように、上段の端子収容室54に収容されている端子70(第1端子)及び導電部材80(第1導電部材)と、下段の端子収容室54に収容されている端子70(第2端子)及び導電部材80(第2導電部材)とは、上下の向きが逆となるように配置されている。
【0045】
上述のように構成されたコネクタ10の製造方法について、
図15〜
図23を参照して説明する。
【0046】
(端子圧着工程)
先ず、
図15に示すように、同軸ケーブルCの内部導体C1に、端子70をかしめて、圧着固定する。この端子圧着工程により、同軸ケーブルCの内部導体C1と端子70とが電気的に接続される。端子圧着工程は、コネクタ10に接続される同軸ケーブルCの本数分行われる。
【0047】
(導電部材圧着工程)
続いて、同軸ケーブルCの外部導体C3に、導電部材80をかしめて、圧着固定する。この圧着固定をすることにより、同時に、第1突出部81及び第2突出部82も形成される。この導電部材圧着工程により、同軸ケーブルCの外部導体C3と導電部材80とが電気的に接続される。導電部材圧着工程は、コネクタ10に接続される同軸ケーブルCの本数分行われる。
【0048】
(センターシェル60取付工程)
続いて、センターシェル60を、インナーハウジング50のセンターシェル収容室55に、+Y側から圧入し、センターシェル収容室55内に固定する。
【0049】
(収容・グランド接続工程)
続いて、
図16に示すように、インナーハウジング50のインナーハウジング本体51の上
側の端子収容室54に、同軸ケーブルCの先端にかしめられた端子70及び導電部材80を収容する。また、下側の端子収容室54に、同軸ケーブルCの先端にかしめられた端子70及び導電部材80を収容する。
【0050】
端子70及び導電部材80が、端子収容室54に収容されると、
図17に示すように、グランドとして構成されるセンターシェル60に、導電部材80が接続される。具体的には、第2突出部82が、Z軸方向に移動されて、センターシェル60の支持穴64に嵌り込む。これにより、第2突出部82が、支持穴64の縁から突出する弾性片65に導通可能に接触する。この収容・グランド接続工程により、導電部材80とセンターシェル60とが電気的に接続され、結果的に、同軸ケーブルCの外部導体C3とセンターシェル60とが電気的に接続される。収容・グランド接続工程は、コネクタ10に接続される同軸ケーブルCの本数分行われる。以上より、
図18に示すように、端子70が全極固定されたサブアセンブリ11が得られる。
【0051】
(上側カバー52のヒンジ回転工程)
続いて、インナーハウジング本体51のヒンジ51aの回転軸を中心に、上側カバー52を回転させて、上側の端子収容室54の一部を覆う。上側カバー52は、端子収容室54の天板として構成されると共に、端子70を係止する。上側カバー52と端子70との係止により、端子70は、インナーハウジング本体51から抜け止めされた状態で、端子収容室54に保持される。
【0052】
(下側カバー53のヒンジ回転工程)
続いて、インナーハウジング本体51のヒンジ51aの回転軸を中心に、下側カバー53を回転させて、下側の端子収容室54の一部を覆う。これにより、下側カバー53は、端子収容室54の底板として構成されると共に、端子70を係止する。下側カバー53と端子70との係止により、端子70は、インナーハウジング本体51から抜け止めされた状態で、端子収容室54に保持される。ヒンジ回転工程により、
図19に示すように、上側カバー52及び下側カバー53が閉じられたサブアセンブリ12が得られる。
【0053】
(トップシェル30装着工程)
続いて、
図20,
図21に示すように、サブアセンブリ12に、トップシェル30を装着して、トップシェル30に導電部材80を接続する。具体的には、トップシェル30をZ軸方向に移動させて、第1突出部81を、トップシェル30の支持穴31に嵌め込む。これにより、第1突出部81を、支持穴31の縁から突出する弾性片32に導通可能に接触させる。この工程により、導電部材80とトップシェル30とが電気的に接続され、結果的に、同軸ケーブルCの外部導体C3とトップシェル30とが電気的に接続される。
【0054】
(ボトムシェル40装着工程)
続いて、サブアセンブリ12に、ボトムシェル40を装着して、ボトムシェル40に導電部材80を接続する。具体的には、ボトムシェル40をZ軸方向に移動させて、第1突出部81を、ボトムシェル40の支持穴41に嵌め込む。これにより、第1突出部81を、支持穴41の縁から突出する弾性片42に導通可能に接触させる。この工程により、導電部材80とボトムシェル40とが電気的に接続され、結果的に、同軸ケーブルCの外部導体C3とボトムシェル40とが電気的に接続される。トップシェル30及びボトムシェル40の装着工程により、
図22に示すように、トップシェル30及びボトムシェル40が装着されたサブアセンブリ13が得られる。
【0055】
(一括カシメ工程)
続いて、トップシェル30の端部33及びボトムシェル40の端部43を、ケーブル群Gの外周にカシメを施す。この工程により、トップシェル30の端部33及びボトムシェル40が、ケーブル群Gに対して固定される。
【0056】
(アウターハウジング20装着工程)
続いて、
図23に示すように、サブアセンブリ13に、アウターハウジング20を装着する。続いて、ヒンジ24の回転軸を中心に、ケーブルカバー22を回転させて、ケーブル群Gの両側から、ケーブルカバー22を取り付ける。この工程により、アウターハウジング20が、ケーブル群Gに対して固定される。以上により、
図1に示すコネクタ10が完成する。
【0057】
以上、説明したように、本実施の形態1では、
図11に示すように、導電部材80は、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されている。このため、例えば、導電部材80と外部導体C3とをはんだ付けで接続する場合よりも、導電部材80と同軸ケーブルCの外部導体C3とを容易に接続することができる。結果として、コネクタ10の組立工程における作業効率を向上させることができる。
【0058】
車載用コネクタを使用する場合、過酷な温湿度下や振動の多い環境下で使用されることが想定されるが、本実施の形態1に係るコネクタ10の導電部材80は、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されているため、はんだ箇所の亀裂や劣化が生じることなく、コネクタ10の導通状態の低下を抑制することができる。したがって、コネクタ10の接続信頼性を向上させると共に、品質を安定させることができる。
【0059】
本実施の形態1では、導電部材80に加えて、端子70も、同軸ケーブルCの内部導体C1に圧着して固定されている。このため、コネクタ10の全ての接続箇所を、無はんだ接続することができ、結果として、コネクタ10の組立工程における作業効率を向上させることができると共に、コネクタ10の接続信頼性を向上させることができる。
【0060】
本実施の形態1では、
図14に示すように、導電部材80の第2突出部82が、センターシェル60の支持穴64に嵌め込まれている。このため、導電部材80とセンターシェル60とを容易に接続することができ、結果として、コネクタ10の組立工程における作業効率を向上させることができる。
【0061】
本実施の形態1では、導電部材80の第1突出部81が、トップシェル30又はボトムシェル40の支持穴31,41に嵌め込まれて、導電部材80を支持している。このため、導電部材80とトップシェル30又はボトムシェル40とを容易に接続することができ、結果として、コネクタ10の組立工程における作業効率を向上させることができる。
【0062】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2に係るコネクタ10Aについて、
図24〜
図28を参照して説明する。なお、以下の実施の形態2では、理解を容易にするため、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付し説明を省略すると共に、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0063】
コネクタ10Aは、
図24,
図25に示すように、センターシェル60(第3シェル)を有さない点で、実施の形態1に係るコネクタ10と相違する。コネクタ10Aは、アウターハウジング20と、トップシェル30と、ボトムシェル40と、インナーハウジング50Aと、端子70と、導電部材80Aとを有する。インナーハウジング50A及び導電部材80A以外の部材は、実施の形態1のものと同じものである。なお、
図24においては、発明の理解を容易にするために、同軸ケーブルCの一部を省略している。
【0064】
インナーハウジング50Aは、樹脂等の絶縁性の素材からなる部材であり、センターシェル収容室が形成されていない点で、実施の形態1のものと相違する。このインナーハウジング50Aは、実施の形態1のものと同様に、インナーハウジング本体51と、ヒンジ51aを介して、インナーハウジング本体51に回転可能に接続されている上側カバー52及び下側カバー53とから構成されている。インナーハウジング本体51には、16列2段の合計32室の端子収容室54が形成されている。
【0065】
図26,
図27に示すように、導電部材80Aは、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されるための圧着金属端子である。導電部材80Aは、銅,銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成され、第2突出部82が形成されていない点で、実施の形態1のものと相違する。この導電部材80Aは、トップシェル30又はボトムシェル40に接触する第1突出部81が設けられている。第1突出部81は、端子70の延在方向に直交する方向であるZ軸方向に突出する。第1突出部81は、同軸ケーブルCの外部導体C3に取り付ける前の導電部材80Aの板状の端部が、重なって形成されている。
【0066】
図28に示すように、第1突出部81は、Z軸方向(+Z方向又は−Z方向)に突出して形成されている。詳しくは、上段に配置された導電部材80Aの第1突出部81は、+Z方向に突出し、下段に配置された導電部材80Aの第1突出部81は、−Z方向に突出して形成されている。第1突出部81は、トップシェル30の支持穴31又はボトムシェル40の支持穴41に嵌め込まれることで、トップシェル30又はボトムシェル40に支持される。支持穴31,41に嵌め込まれた第1突出部81には、支持穴31,41の縁から突出する弾性片32,42が導通可能に接触する。これにより、導電部材80Aは、トップシェル30又はボトムシェル40に導通可能に接続される。
【0067】
以上、説明したように、本実施の形態2においても、導電部材80Aは、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されているため、実施の形態1と同様に、導電部材80Aと同軸ケーブルCの外部導体C3とを容易に接続することができる。結果として、コネクタ10Aの組立工程における作業効率を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態2に係る導電部材80Aは、同軸ケーブルCの外部導体C3に圧着して固定されているため、過酷な温湿度下や振動の多い環境下で使用される車載用コネクタとして用いても、はんだ箇所の亀裂や劣化が生じることなく、コネクタ10Aの導通状態の低下を抑制することができる。したがって、コネクタ10Aの接続信頼性を向上させると共に、品質を安定させることができる。
【0069】
本実施の形態2では、導電部材80Aに加えて、端子70も、同軸ケーブルCの内部導体C1に圧着して固定されている。このため、コネクタ10Aの全ての接続箇所を、無はんだ接続することができ、結果として、コネクタ10Aの組立工程における作業効率を向上させることができると共に、コネクタ10Aの接続信頼性を向上させることができる。
【0070】
本実施の形態2では、導電部材80Aの第1突出部81が、トップシェル30又はボトムシェル40の支持穴31,41に嵌め込まれて、導電部材80Aを支持している。このため、導電部材80Aとトップシェル30又はボトムシェル40とを容易に接続することができ、結果として、コネクタ10Aの組立工程における作業効率を向上させることができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1,2によって限定されるものではない。
【0072】
例えば、上記実施の形態1,2に係る導電部材80,80Aでは、
図11,
図26に示すように、第1突出部81は、同軸ケーブルCの外部導体C3に取り付ける前の導電部材80,80Aの板状の端部が、重なって形成されている。しかしながら、これに限られない。例えば、
図29に示すように、第1突出部81は、同軸ケーブルCの外部導体C3に取り付ける前の導電部材80Bの板状の端部が、重ならないように形成されていてもよい。この場合、同軸ケーブルCの外部導体C3に取り付ける前の導電部材80Bの板状の一方の端部を、同軸ケーブルCに巻き付けてから、他方の端部を突出させて、第1突出部81を形成する。
【0073】
また、上記実施の形態に係るコネクタ10では、端子70及び導電部材80が、2段に配置されている。しかしながら、これに限らず、端子70及び導電部材80は、1段や3段以上に配置されていてもよい。端子70及び導電部材80が、1段に配置されている場合は、
図30又は
図31に示すように、コネクタ10は、センターシェルを有さずに、トップシェル30及びボトムシェル40を有する。なお、
図30(A)と
図30(B)とを比較するとわかるように、ボトムシェル40には、支持穴41が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態1では、本発明の「第1シェル」を、トップシェル30として説明したが、本発明の「第1シェル」は、ボトムシェル40であってもよい。
【0075】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。