特許第6443434号(P6443434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443434
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】用紙類発行装置、用紙ロール保持部
(51)【国際特許分類】
   B65H 16/06 20060101AFI20181217BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20181217BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20181217BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20181217BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B65H16/06 A
   B41J29/00 C
   B65H75/18 Z
   B41J15/04
   B65H75/10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-250607(P2016-250607)
(22)【出願日】2016年12月26日
(62)【分割の表示】特願2014-265402(P2014-265402)の分割
【原出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2017-95283(P2017-95283A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 栄
(72)【発明者】
【氏名】石上 敬二
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/053389(WO,A1)
【文献】 特開2013−016545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00 − 16/10
B41J 15/00 − 15/24
B41J 29/00 − 29/70
B65H 75/00 − 75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に、用紙幅方向から保持する保持部を有する用紙類発行装置であって、
前記保持部は、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロール管体内に付勢手段により先端部が出没可能であって、前記用紙ロールを支持する支持部を備え、
前記保持部の内部に、送受信面が前記用紙ロール側面と略平行に配置され、かつ、前記用紙ロール側面よりも外側に配置された、前記無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を備え
前記アンテナ部は、出没可能な前記支持部と干渉しない位置に設けられたことを特徴とする用紙類発行装置。
【請求項2】
前記支持部の前記先端部は、前記用紙ロールに設けられた無線タグと接触しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の用紙類発行装置。
【請求項3】
帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に保持する用紙ロール保持部であって、
前記用紙ロール保持部は、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロール管体内に付勢手段により先端部が出没可能であって、前記用紙ロールを支持する支持部を備え、
前記用紙ロール保持部の内部に、送受信面が前記用紙ロール側面と略平行に配置され、かつ、前記用紙ロール側面よりも外側に配置された、前記無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を備え、
前記アンテナ部は、出没可能な前記支持部と干渉しない位置に設けられたことを特徴とする用紙ロール保持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙類発行装置、用紙ロール保持部に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙ロールから記録紙を引き出してプリントするプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。詳細には、記録紙ロールの巻芯(紙管)に無線タグ(ICタグ)を備え、アンテナ部と無線タグとが無線式の通信を行う。この場合、アンテナ部と無線タグの間の距離が短い距離であることが、無線通信の品質の観点から好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−219406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタなどでは、記録紙ロールの巻芯(紙管)の軸方向に直交する方向へ離間した位置にアンテナ部が配置されており、記録紙ロールが回転した場合、記録紙ロールの巻芯に設けられたICタグとアンテナ部との間の距離が大きく変化する。このため、無線通信が安定しない場合がある。
【0005】
また、記録紙ロールの巻芯(紙管)内にICタグを貼付した場合、ロール紙の外径が大きいほど(巻き数が大きいほど)、無線通信の電波強度を強くすることを要する。また、電波強度に対応させてロール紙の外径や巻数を比較的小さい規定値以下とする制限を要する場合も生じる。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、用紙ロールに設けられた無線タグがどのような向きや位置に配置されていたとしても、その無線タグと良好に通信可能な用紙類発行装置、用紙ロール保持部を提供すること、などを目的とする。
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による用紙類発行装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に、用紙幅方向から保持する保持部を有する用紙類発行装置であって、
前記保持部は、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロール管体内に付勢手段により先端部が出没可能であって、前記用紙ロールを支持する支持部を備え、
前記保持部の内部に、送受信面が前記用紙ロール側面と略平行に配置され、かつ、前記用紙ロール側面よりも外側に配置された、前記無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を備え
前記アンテナ部は、出没可能な前記支持部と干渉しない位置に設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明による用紙ロール保持部は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に保持する用紙ロール保持部であって、
前記用紙ロール保持部は、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロール管体内に付勢手段により先端部が出没可能であって、前記用紙ロールを支持する支持部を備え、
前記用紙ロール保持部の内部に、送受信面が前記用紙ロール側面と略平行に配置され、かつ、前記用紙ロール側面よりも外側に配置された、前記無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を備え、
前記アンテナ部は、出没可能な前記支持部と干渉しない位置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙ロールに設けられた無線タグがどのような向きや位置に配置されていたとしても、その無線タグと良好に通信可能な用紙類発行装置、用紙ロール保持部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る用紙類発行装置としてのプリンタの一例を示す斜視図。
図2】開状態の用紙類発行装置としてのプリンタの一例を示す斜視図。
図3】プリンタの構成の一例を示す模式図。
図4】用紙ロール(ライナレスラベルロール)の一例を示す斜視図。
図5】プリンタの電気的な構成の一例を示す機能ブロック図。
図6】用紙類発行装置の保持部の一例を示す図。
図7】保持部、用紙ロール、無線タグの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る用紙類発行装置は、帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に、用紙幅方向から保持する保持部(用紙ロール保持部)を有する。この保持部は、用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロールに設けられた無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を備える。
つまり、本発明の実施形態に係る用紙類発行装置は、用紙ロールの用紙の幅を規制するガイド部材(保持部)にアンテナ部を内蔵している。
【0012】
本発明の実施形態に係る用紙類発行装置としてのプリンタ(ラベルプリンタ)を、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。なお、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る用紙類発行装置としてのプリンタ1の一例を示す斜視図である。図2は開状態の用紙類発行装置としてのプリンタ1の一例を示す斜視図である。
【0014】
プリンタ1は、中空の管体に帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールから用紙を繰り出し、その繰り出された用紙を切断手段により切断し枚葉状の用紙にしてラベル(媒体)を発行する。
【0015】
プリンタ1は、本体部1aにラベルを発行する印字機構部3やカッタ(切断手段)などのユニット31を有する。プリンタ1の本体部1aの上部に表示入力部5が設けられている。表示入力部5は、液晶表示器などの表示部9bと、タッチパネル9aと、キーボードなどの操作部7(キー操作部)とを有する。
【0016】
プリンタ1は、詳細には、本体部1a内に制御装置を有する。制御装置は、CPU、RAM、などを有し、印字機構部3、表示入力部5、カッタの可動刃や可動刃を駆動するモータなどを統括的に制御する。
【0017】
図2に示したように、プリンタ1の本体部1aは、例えば、印字機構部やカッタを有するユニット31、用紙ロール6を着脱自在に保持する一対の保持部60(61、62)などを収容可能である。
【0018】
図3はプリンタの構成の一例を示す模式図である。
用紙ロール6(ラベルロール)は、中空の管体6aに、長尺帯状の台紙レスラベル用紙がロール状に巻かれている。この用紙ロール6の中空の管体6aに、無線タグ20(RFIDタグ(ICタグ)、または、非接触無線タグともいう)が設けられている。
【0019】
用紙ロール6は、一対の保持部間に回転可能にセットされる。この用紙ロール6を回動可能に支持する保持部(60)にアンテナ部66やリーダライタ等が設けられている。リーダライタは、発振器、変調器、復調器、などを備え、制御部の制御により、用紙ロール6の中空の管体6aに設けられた、無線タグ20へのデータの書き込み、データの読み出しを行う。無線通信方式としては規定の方式を採用することができる。アンテナ部66と無線タグ20間の無線通信の最大通信距離は約100mm程度である。
【0020】
無線タグ20は、アンテナ、変調器、記憶部、制御回路などを有する。無線タグ20の記憶部は、不揮発性メモリまたは揮発性メモリなどで構成され、所定の情報、例えば、発行情報(発行履歴情報、発行エラー情報、当該用紙ロールにおける走行距離など)、制御プログラム、などを記憶する。無線タグ20は揮発性メモリを搭載した場合、電池などの電源を備える。
【0021】
ラベル用紙の引き出し方向下流側には、案内ローラ108が設けられ、その下流側には、サーマルヘッド103a(印字ヘッド)とプラテンローラ103bとからなる印字部103が配置され、更にその印字部103より下流側近傍にはカッタ104が配置されている。カッタ104は、固定刃104aと可動刃104bなどを有する。長尺のラベル用紙は、カッタ104により切断されて枚葉状のラベルLとなる。
【0022】
また、用紙ロール6(ラベルロール)から引き出されて印字部103に至る台紙レスラベル用紙の移送経路には、台紙レスラベル用紙が印字部103に供給されているか否かを検出する用紙検出センサ106が配置されている。
【0023】
図4は用紙ロール6の一例を示す斜視図である。
長尺帯状の台紙レスラベル用紙は、一方面(上面)に印字面が形成され、この印字面に剥離加工処理が施され、他方面(下面)に粘着剤を塗布した粘着面が形成されている。用紙ロール6は、この長尺帯状の台紙レスラベル用紙を中空の管体6aにロール状に巻回した構造を有し、用紙ロール6を保持する一対の保持部(不図示)に回転可能に支持される。この保持部(不図示)の少なくとも一方には、管体側面の周縁に沿ってアンテナ部66が設けられている。アンテナ部66は、管体6aに設けられた無線タグ20とデータ通信を行う。
尚、用紙ロールはこの形態に限られるものではなく、台紙付きラベルロールなどであってもよい。
【0024】
図5はプリンタの電気的構成の一例を示す機能ブロック図である。
プリンタは、制御部109(CPU)、フラッシュメモリ110、RAM111、表示・操作部112(図1に示した表示・操作部112に対応する)、インターフェース113、プラテンローラを回転させるステッピングモータ114、サーマルヘッド103a(印字ヘッド)、カッタ駆動用モータ115、用紙検出センサ106、ラベル検出手段としてのラベル検出センサ107、及び、非接触無線タグ通信部としてのリーダライタ67、などを備える。
【0025】
制御部109(CPU)は、フラッシュメモリ110やRAM111などの記憶部に記憶されたプログラムを実行して、プリンタの動作を統括する中央演算処理装置である。
【0026】
記憶部としてのフラッシュメモリ110やRAM111は、制御プログラム、データなどを記憶する。フラッシュメモリ110は、制御プログラムや、制御用データ等を記憶する読み出し専用メモリである。RAM111は、一時的にデータを呼び出して処理するためのワークエリアを有する。そのワークエリアは、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データ等を呼び出して記憶する呼出商品エリア、などを有する。
【0027】
また、このRAM111には、ラベル印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル、ラベル印字用の各種商品データが設定された商品ファイル等の他に、ラベル検出センサ107の検出結果に基づく、判定手段による判定内容を設定したファイル等が記憶されており、電源オフ時もファイルを保持するようにバッテリーでバックアップされている。
【0028】
リーダライタ67は、非接触無線タグ通信部であり、制御部109の制御により、アンテナ部を介して無線タグ20とデータ通信を行う。リーダライタ67により書込みするデータとしては、ロット番号(用紙ロールの製造ロット番号)、プリンタ情報(プリンタの型番や識別情報等)、発行日時(印刷を行った日)、オペレータ情報(操作を行った操作者の識別情報や氏名等)、発行データ(印刷指示データ等)、フォーマット情報(フォーマットの識別番号等)、エラー情報(エラー番号などを含むエラー詳細データ)、発行に係わる情報(発行枚数(10枚/10枚)、印刷データに基づくラベル発行方向の長さ、用紙ロールにおける現時点までの走行距離等)、などである。
発行枚数は、10枚発行する指示に基づいて、正しく10枚発行できた場合は10枚/10枚であり、3枚しか印刷できなかった場合は3枚/10枚となる。
【0029】
制御部109は、枚葉状の用紙(ライナレスラベル)が発行される毎に、このデータ(印刷情報)を、リーダライタ67およびアンテナ部を介して無線タグ20に書き込む処理を行う。
また、制御部109は、新たな印刷を行う前に、無線タグ20から直近の印刷情報(発行情報)を読み取り、次に発行する印刷データが正しく印刷することができるか否かを発行情報に基づいて判断する。
【0030】
また、無線タグ20は、この無線タグ20が付された用紙ロールにおける走行距離を記憶している。このため、制御部109は、無線タグ20またはプリンタが記憶する用紙ロールの基本全長から当該用紙ロールにおける走行距離を減算して得られた値が当該用紙ロールの残量であり、これから印刷する印刷データの発行方向の長さ以上であるか否かを判定することができる。
制御部109は、演算結果の残量が印刷データの発行方向の長さ以上である場合、印刷可とし、演算結果の残量が印刷データの発行方向の長さ未満である場合、発行不可として印刷するのを禁止し、印刷媒体である用紙ロール6の交換を要する旨を、報知手段(表示部など)を介して報知を行う。
【0031】
図6は用紙類発行装置としてのプリンタの保持部60(61)の一例を示す図である。図7は保持部60(61,62)、用紙ロール6、無線タグ20の一例を示す図である。
【0032】
用紙類発行装置としてのプリンタは、用紙ロール6の管体6aと略直交する両側より挟持し、用紙ロール6を保持する一対の保持部60(61、62)と、保持部60の少なくとも一方に、管体6aの側面の周縁に沿って配置されたアンテナ部66と、を有する。アンテナ部66は、管体6aに設けられた無線タグ20とデータ通信を行う。
本実施形態では、保持部60(61)は、本体部にアンテナ部66、リーダライタ67、接続線68などを有する。保持部60(61)の本体部の両端部には棒状の支持部材に嵌合する孔部hが設けられている。
本実施形態では、一対の保持部60(61,62)は、付勢手段としてのバネなどの付勢部61c,62cにより出没可能な支持部61b,62bをその保持部60(61、62)の本体部の略中心に備える。この支持部61b,62bの先端部は、用紙ロール6を着脱容易となるように略凸形状に形成されている。
また、ラベルセット軸を紙管内部に挿入する(用紙幅方向に亘る紙管内部に支持軸(保持軸)を挿入する)という構造としないため、用紙ロール6の回転や用紙の繰り出しがスムーズであるため、ラベルロールに設けたRFIDタグとの読み書き不良を生じさせることがない。
また、ライナレスラベルロールの側面に貼付面に塗布した糊(粘着材)がはみ出すという現象が生じることがあり、従来であれば、この側面のはみ出した糊によりラベルロールの回転に悪影響を与える、または、ラベルロールが外れてしまう等の問題を生じさせる可能性があった。
本発明の実施形態では、支持部61b,62bの先端部を、用紙ロール6を着脱容易となるように略凸形状に形成したので、ラベルロールが支持部61b,62bから外れることなく安定させて回転させることができるので、ラベルロールに設けたRFIDタグとの読み書き不良を生じさせることがない。
【0033】
このように、一対の保持部60(61、62)は、用紙ロール6の管体6aの周縁に沿って配置されたアンテナ部66を有するので、用紙ロール6を保持状態で、無線タグ20(RFIDタグ)の向きが何れの向きであったとしても、管体6a内の無線タグ20と良好に通信を行うことができる。
【0034】
また、本発明の実施形態では、アンテナ部66を備えた保持部60(61)は、アンテナ部66を介して、無線タグ20(RFIDタグ)と非接触で通信を行うリーダライタ67(送受信回路)を有する。
この場合、アンテナ部66とリーダライタ67とを近距離に配置することができるので、用紙ロール6の管体6a内に配置された無線タグ20との通信に関し、ノイズ等による影響を低減することができる。
また、アンテナ部66とリーダライタ67とを一体化した構成としてもよく、この場合、ノイズ等による影響をさらに低減することができる。
【0035】
また、本発明の実施形態では、一対の保持部は、付勢手段としてのバネなどの付勢部61c,62cにより出没可能な支持部61b,62bをその保持部60(61、62)の略中心に備える。支持部61b,62bが用紙ロール6の中空の管体6a内部に嵌入することにより用紙ロール6を回転可能に保持する。いわゆるドロップインタイプの形態となっている。
この場合、用紙ロール6を容易に着脱することができるとともに、用紙ロール6から用紙の繰り出しを円滑に行うことができ、且つ、用紙ロール6の管体6aが回転した場合であっても、保持部60の内部に設けたリーダライタ67は、アンテナ部66を介して、管体6a内に配置された無線タグ20と良好に通信を行うことができる。
【0036】
また、上述した本発明の実施形態では、アンテナ部66は、用紙ロール6の側面と平行、且つ、出没可能な支持部61b,62bを囲む形状に設けられている。
このため、用紙ロール6の管体6aが回転した場合であっても、リーダライタ67は、アンテナ部66を介して、管体6a内に配置された無線タグ20と良好に通信を行うことができる。
【0037】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る用紙類発行装置は、帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に、用紙幅方向から保持する保持部60(用紙ロール保持部)を有する。この保持部60は、用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロールに設けられた無線タグ20とデータ通信を行うアンテナ部66を備える。
このため、用紙ロールに設けられた無線タグ20がどのような向きや位置に配置されていたとしても(例えば、用紙が紙管に巻回された用紙ロールであり、その紙管内表面に無線タグが貼付され、用紙を繰り出す毎に紙管内表面に貼付された無線タグの位置が回転する毎にその位置が変位してしまう状態であっても)、その無線タグ20と良好に通信可能な保持部60を備える用紙類発行装置を提供することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る用紙類発行装置のアンテナ部66は、用紙ロールに設けられた無線タグ20とデータ通信を行う距離が略等距離となるように保持部60の内部の所定範囲に設けられている。
つまり、用紙ロールに設けた無線タグ20が回転したとしてもロール紙の径方向、および、側面からの距離が等距離となるような範囲(形状)に用紙ロールの側面を囲むようにしたアンテナ部66を設けた。例えば、アンテナ部66は、四角形状、円形状であってもよい。
このため、用紙ロールから用紙が繰り出される、あるいは、用紙の繰り出しが停止された状態において無線タグ20の位置が変化しても、アンテナ部66と無線タグ20とが確実にデータ通信を行うことができる。
【0039】
また、本発明の実施形態に係る用紙類発行装置の保持部の内部に設けたアンテナ部66は、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する両側、あるいは、前記用紙ロールの用紙幅方向と直交する何れか一側より保持する保持部60(61)の内部に前記アンテナ部66が設けられている。
このため、用紙幅方向と直交する用紙ロールの両側、または、用紙幅方向と直交する用紙ロールの何れか一側に位置させたアンテナ部66で用紙ロールに設けた無線タグ20と通信するようにしたので、ラベルロールの外形サイズや寸法(例えば幅や径のサイズ)が異なったとしても通信距離が一定でありデータ通信に影響を及ぼさないようにすることができ、確実にデータ通信を行うことができる。
また、装置本体の筐体が金属である場合、その金属とアンテナ部とが干渉して通信強度が落ちてしまうという現象が生じるが、本発明の実施形態では、保持部60(61)の内部にアンテナ部66を設けたので、アンテナ部66側に金属等が近接(接近)させても、保持部60(61)そのものの材質(例えばプラスティック(樹脂)等)が金属等による影響を軽減させるので安定してRFIDタグの読み書きが可能になる。
【0040】
また、本発明の実施形態において、アンテナ部66を備えた保持部60(61)は、アンテナ部66を介して、無線タグ20と非接触で所定の情報を読み書きするリーダライタ67を保持部の内部に備えている。
保持部60(61)の内部にアンテナ部66とともにリーダライタ67を備える機構(構造)としたので、例えばアンテナ部66やリーダライタ67等に不良等が生じた場合、保持部60(61)とともにパーツ交換することにより容易に保守対応できるので、メンテナンスが迅速にでき、また保守作業が容易であるため人為的なミスを軽減させることができる。また、ユニットに対しての制御であるためリードライトの制御を簡易にすることができる。
【0041】
また、本発明の実施形態に係る用紙ロール保持部(保持部)は、帯状の用紙を巻回してなる用紙ロールの用紙を繰り出し可能に保持する。この用紙ロール保持部は、用紙ロールの用紙幅方向と直交する用紙ロール側面と略平行に設けられ、用紙ロールの用紙幅方向への移動を規制し、用紙ロールが備える無線タグとデータ通信を行うアンテナ部を当該用紙ロール保持部内部の所定範囲に設けた。
このため、用紙ロールに設けられた無線タグがどのような向きに配置されていたとしても、その無線タグと良好に通信可能な用紙ロール保持部を提供することができる。
【0042】
また、この用紙ロール保持部(保持部)の内部に設けたアンテナ部は、用紙の繰り出しに伴い縮径する用紙ロールに設けられた無線タグとデータ通信が行える所定範囲に設けられている。
このため、ロール紙の用紙が繰り出され少なくなった(縮径された)としても、用紙幅と直交する側面方向における所定範囲にアンテナ部が設けられているので、確実に用紙ロールに設けた無線タグと通信ができる。
尚、ロール紙をドロップインするタイプで幅方向に移動しない保持部(例えば、凹部状の保持部である場合は鉛直方向に位置する壁面内部)、または、ロール紙を幅方向から規制するもの(用紙ロールの用紙幅方向と直交する両側、または、用紙幅方向と直交する何れか一側で規制する構造など)であってもよい。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0044】
また、上述した実施形態では、用紙類発行装置としてラベルプリンタを例に説明したが、この形態に限られるものではない。例えば、本発明に係る用紙類発行装置をPOSレジスタ、券売機(発券機)、単に事前印字されたラベルをカッタで切断し発行する発行装置、情報機器、などに適用してもよい。
【0045】
また、保持部60(用紙ロール保持部)は、片側及び両側から保持する形態であってもよく、また、ドロップインされたロール紙を保持する構成であってもよい。
【0046】
また、保持部60(用紙ロール保持部)は、保持軸を持たない態様であってもよい。
【0047】
また、本発明の用紙ロール保持部は、ラベル発行装置、ラベル貼付装置、POSレジスタ、券売機など、ロール紙を保持して用紙を発行する装置であれば何れの装置であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1…プリンタ(用紙類発行装置)
6…用紙ロール
6a…管体
20…無線タグ
60、61、62…保持部(用紙ロール保持部、保持手段)
61b、62b…突起部
61c、62c…付勢部
66…アンテナ部
67…リーダライタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7