特許第6443485号(P6443485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443485
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/00 20060101AFI20181217BHJP
   A01D 61/00 20060101ALI20181217BHJP
   A01F 12/10 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A01D69/00 302E
   A01D61/00 301C
   A01D61/00 301F
   A01F12/10 J
   A01F12/10 L
   A01F12/10 S
   A01F12/10 D
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-71670(P2017-71670)
(22)【出願日】2017年3月31日
(62)【分割の表示】特願2015-34501(P2015-34501)の分割
【原出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-131238(P2017-131238A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹内 賢一朗
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘道
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−251943(JP,A)
【文献】 特開2012−024008(JP,A)
【文献】 特開2013−192548(JP,A)
【文献】 特開2003−265021(JP,A)
【文献】 特開平06−014640(JP,A)
【文献】 特開2014−230530(JP,A)
【文献】 特開2002−191222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D61/00−61/04
A01D67/00−69/12
A01F12/10−12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置(4)から搬送される穀稈をガイド姿勢で案内し、手動で穀稈を供給する手扱ぎ作業を行う場合に前記ガイド姿勢から手扱ぎ姿勢に変更される補助挟扼杆(50)と、エンジン(E)からの回転動力で駆動され、前記ガイド姿勢にある補助挟扼杆(50)で案内された穀稈を脱穀装置へ搬送するフィードチェン(34)と、前記フィードチェン(34)によって搬送される穀稈を該フィードチェン(34)に押し付けて挟持する挟扼杆(33)と、前記挟扼杆(33)を上方から覆うように設けられ、前記挟扼杆(33)の上方に外部と隔離された空間を形成する挟扼杆カバー(65)と、前記挟扼杆カバー(65)の内部における前側に設けられ、前記補助挟扼杆(50)が前記手扱ぎ姿勢にあることを検知して手扱ぎモードに切り換える手扱ぎセンサ(70)とを備え、
前記挟扼杆(33)と前記補助挟扼杆(50)および前記手扱ぎセンサ(70)が取り付けられるメインフレーム(60)を備え、前記メインフレーム(60)は、前記挟扼杆カバー(65)に対して上下に移動可能に設けられ、
前記挟扼杆カバー(65)の前側の面(66)には、前記手扱ぎ姿勢にある前記補助挟扼杆(50)側の押圧部材(54)が通過する通過穴(66a)と、前記通過穴(66a)の後側に配置されて該通過穴(66a)を閉塞する弾性板状の閉塞部材(75)を備え、
前記手扱ぎセンサ(70)には、本体部(71a)と、前記本体部(71a)から前記通過穴(66a)へ向けて突出する感知部(71b)と、前記感知部(71b)を突出させる突出穴(81a)を有すると共に前記通過穴(66a)と前記本体部(71a)との間に配置される隔離板(81)を備え、
前記手扱ぎセンサ(70)の検知によって手扱ぎモードに切り換わると、エンジン(E)の回転速度が定格回転速度よりも低速になってフィードチェン(34)が駆動される構成としたコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインは、刈取装置と、脱穀装置とを備え、刈取装置で刈り取った穀稈を、フィードチェンによって脱穀装置へ搬送する。また、作業者(たとえば、補助者)は、手刈りした穀稈をコンバインの脱穀装置を用いて脱穀する、いわゆる手扱ぎ作業を行う場合がある。この場合、コンバインは、フィードチェンを低速で駆動する。
【0003】
また、このようなコンバインは、刈取装置から搬送されてきた穀稈をフィードチェンの供給口へ案内する供給ガイドとして、補助挟扼杆を備える。たとえば、穀稈の供給ガイドとなる補助挟扼杆は、上下に揺動可能に設けられ、下降させると穀稈を供給口へ案内する姿勢となり、上昇させると供給口を開放するように供給口から退避した姿勢となる。このようなコンバインでは、手扱ぎ作業を行う場合には、補助挟扼杆を退避姿勢(手扱ぎ姿勢)にする。また、補助挟扼杆が手扱ぎ姿勢にあることを検知するセンサを備える(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−258372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のコンバインでは、手扱ぎセンサに藁屑や塵埃などが付着し、手扱ぎセンサの感度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、補助挟扼杆が手扱ぎ姿勢にあることを検知する手扱ぎセンサの感度の低下を防止することができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を講じる。
【0008】
請求項1に記載の発明は、刈取装置(4)から搬送される穀稈をガイド姿勢で案内し、手動で穀稈を供給する手扱ぎ作業を行う場合に前記ガイド姿勢から手扱ぎ姿勢に変更される補助挟扼杆(50)と、エンジン(E)からの回転動力で駆動され、前記ガイド姿勢にある補助挟扼杆(50)で案内された穀稈を脱穀装置へ搬送するフィードチェン(34)と、前記フィードチェン(34)によって搬送される穀稈を該フィードチェン(34)に押し付けて挟持する挟扼杆(33)と、前記挟扼杆(33)を上方から覆うように設けられ、前記挟扼杆(33)の上方に外部と隔離された空間を形成する挟扼杆カバー(65)と、前記挟扼杆カバー(65)の内部における前側に設けられ、前記補助挟扼杆(50)が前記手扱ぎ姿勢にあることを検知して手扱ぎモードに切り換える手扱ぎセンサ(70)とを備え、前記挟扼杆(33)と前記補助挟扼杆(50)および前記手扱ぎセンサ(70)が取り付けられるメインフレーム(60)を備え、前記メインフレーム(60)は、前記挟扼杆カバー(65)に対して上下に移動可能に設けられ、前記挟扼杆カバー(65)の前側の面(66)には、前記手扱ぎ姿勢にある前記補助挟扼杆(50)側の押圧部材(54)が通過する通過穴(66a)と、前記通過穴(66a)の後側に配置されて該通過穴(66a)を閉塞する弾性板状の閉塞部材(75)を備え、前記手扱ぎセンサ(70)には、本体部(71a)と、前記本体部(71a)から前記通過穴(66a)へ向けて突出する感知部(71b)と、前記感知部(71b)を突出させる突出穴(81a)を有すると共に前記通過穴(66a)と前記本体部(71a)との間に配置される隔離板(81)を備え、
前記手扱ぎセンサ(70)の検知によって手扱ぎモードに切り換わると、エンジン(E)の回転速度が定格回転速度よりも低速になってフィードチェン(34)が駆動される構成としたコンバインとする。
【0009】
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、挟扼杆33、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70がメインフレーム60に取り付けられるため、メインフレーム60の位置を調節することで、挟扼杆33、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70を一括で位置決めすることができる。また、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70の相互位置が変更されないため、両者の位置決めにかかる作業が容易となる。
【0011】
また、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを検知すると手扱ぎモードに切り換わり、この手扱ぎモードでは、エンジンEの回転速度が低速になってフィードチェン34が駆動されるので、作業者の安全性が確保される。
【0012】
また、手扱ぎセンサ70が、押圧部材54によって押圧されることで、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを検知するため、手扱ぎ姿勢を確実に検知することができる。また、手扱ぎセンサ70が外部に露出しないため、見場をよくすることができるまた、通過穴66aを通過した押圧部材54は、感知部71bを押圧する場合、押圧部材54の先端面が隔離板81に当接することで所定量以上の押圧が規制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、コンバインを示す概略側面図である。
図2図2は、コンバインを示す概略平面図である。
図3図3は、コンバインの内部構造を示す概略側断面図である。
図4図4は、脱穀装置を示す模式側断面図である。
図5図5は、挟扼杆、補助挟扼杆および挟扼杆カバーを示す概略側断面図である。
図6図6は、補助挟扼杆および挟扼杆カバーを示す概略平断面図である。
図7図7は、挟扼杆カバーを示す概略正面図である。
図8図8は、閉塞部材を示す概略斜視図である。
図9図9は、補助挟扼杆の動作説明図である。
図10図10は、閉塞部材の動作説明図である。
図11図11は、手扱ぎセンサの他の例の動作説明図である。
図12図12は、フィードチェンおよびスクレーパを示す概略側面図である。
図13図13は、スクレーパを示す概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、コンバイン1を示す概略側面図(一部断面)である。図2は、コンバイン1を示す概略平面図(一部透視)である。図3は、コンバイン1の内部構造を示す説明図である。なお、詳細には、図3は、コンバイン1の脱穀搬送系を示す概略側断面図である。
【0016】
コンバイン1は、走行しながら穀稈を刈り取って脱穀するものである。なお、以下では、図1および図2に示すように、コンバイン1の前進方向を「前」、コンバイン1の後退方向を「後」とし、前後方向と直交する方向を左右方向とする。また、左右方向において、コンバイン1の前方に向かって右側を「右」とし、コンバイン1の前方に向かって左側を「左」とする。
【0017】
図1および図2に示すように、コンバイン1は、走行装置3と、刈取装置4と、脱穀装置5とを備える。走行装置3は、コンバイン1の機体フレーム2の下方に設けられ、左右一対のクローラによってコンバイン1を走行させる。刈取装置4は、機体フレーム2の前方に設けられ、圃場の穀稈を収穫する。脱穀装置5は、機体フレーム2の上方左側に設けられ、穀稈を脱穀し、脱穀した穀粒を選別する。
【0018】
脱穀装置5で選別した穀粒は、脱穀装置5の右側に設けられたグレンタンク6に貯留される。貯留された穀粒は、排出筒7によって外部へ排出される。また、機体フレーム2の上方右側には、オペレータが搭乗する操縦席8が設けられ、さらに、操縦席8の下方には、エンジンE(図3参照)を搭載するエンジンルーム9が設けられる。
【0019】
図1および図3に示すように、刈取装置4は、主枠となる刈取フレーム10を備える。刈取フレーム10は、刈取後フレーム11と、刈取後フレーム11の先端部において左右方向に延在する刈取伝動ケース12と、刈取伝動ケース12に設けられた刈取縦フレーム13と、刈取縦フレーム13の中間部から後方へ向けて延出する刈取横フレーム14とを備える。また、刈取後フレーム11の基部は、筒体24の右側に偏倚した部分に取り付けられる。なお、筒体24には、機体フレーム2に設けられた左右一対の懸架台20,20に回動可能に軸支された回転軸21が内装される。
【0020】
また、刈取装置4は、分草杆15と、引起装置16と、刈刃装置17と、搬送装置18とをさらに備える。分草杆15は、刈取装置4の前側に設けられ、圃場面に植立した穀稈(植立穀稈)を分草する。引起装置16は、分草杆15の後側に設けられ、倒伏状態の植立穀稈を引き起こす。刈刃装置17は、引起装置16の後側に設けられ、植立穀稈の株元を切断する。搬送装置18は、引起装置16および刈刃装置17の後側に設けられ、刈り取った穀稈(刈取穀稈)を脱穀装置5の前方に設けられた脱穀部搬送装置35へ向けて搬送する。また、搬送装置18は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置18aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置18bとを備える。
【0021】
図1および図3に示すように、脱穀装置5には、上部に、穀稈の脱穀を行う脱穀部30が設けられ、下部に、脱穀した穀粒の選別を行う選別部31が設けられる。脱穀部30の前壁および後壁には、扱ぎ胴5D(図4参照)の回転軸が軸支され、脱穀部30の左壁には、扱ぎ胴5Dに沿って扱ぎ口32が形成される。また、脱穀部30には、扱ぎ口32に沿って穀稈の株元を挟持して後側へ搬送する脱穀部搬送装置35が設けられる。さらに、脱穀部30の上部には、脱穀部30を覆う脱穀部カバー30aが設けられる。また、選別部31には、唐箕5Gと、一番回収部5Iと、二番回収部5J(いずれも、図4参照)とが前側から順に設けられる。なお、扱ぎ胴5D、唐箕5G、一番回収部5Iおよび二番回収部5Jについては、図4を用いて後述する。
【0022】
図1および図3に示すように、脱穀部搬送装置35の上部には、挟扼杆33が設けられ、挟扼杆33の下方には、フィードチェン34が設けられる。なお、挟扼杆33は、スプリングなどの付勢手段33a(図5参照)によってフィードチェン34へ向けて付勢される。
【0023】
また、挟扼杆33の前側には、刈取装置4から搬送されてきた刈取穀稈をフィードチェン34の供給口34aへ案内する供給ガイドとして、補助挟扼杆50が設けられる。補助挟扼杆50は、支軸52を中心に上下に揺動可能である。補助挟扼杆50は、下方へ揺動させた姿勢で刈取穀稈をフィードチェン34の供給口34aへ案内し、上方へ揺動させた姿勢で所定位置から退避して供給口34aを開放する。さらに、補助挟扼杆50の付近には、補助挟扼杆50を上方へ揺動させた姿勢にあることを検知するセンサ(手扱ぎセンサ)70が設けられる。なお、挟扼杆33、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70については、図5以降を用いて後述する。
【0024】
図3に示すように、フィードチェン34は、第1スプロケット36、第2スプロケット37および第3スプロケット38に掛け回される。第1スプロケット36は、チェンレール39の前側に回転自在に設けられる。第2スプロケット37は、チェンレール39の前側に設けられ、エンジンEからの回転動力を前側からフィードチェン34へ伝達する前側伝動部FDの前側ギヤボックスに支持される。第3スプロケット38は、チェンレール39の後側に設けられ、エンジンEからの回転動力を後側からフィードチェン34へ伝達する後側伝動部BDの後側ギヤボックスに支持される。なお、チェンレール39は、懸架台20,20に回転自在に支持された支持フレーム22に取り付けられる。
【0025】
また、図2および図3に示すように、操縦席8に設けられたサイドパネル40の前側には、油圧式無段変速装置を操作する主変速レバー41が設けられる。主変速レバー41の後側には、植立穀桿の倒伏状態などに応じてトランスミッションの有段式の副変速装置を切り換える副変速レバー42が設けられる。また、副変速レバー42のグリップ部には、脱穀スイッチ43と、刈取スイッチ44とが設けられる。さらに、操縦席8の前側には、エンジンEの回転速度を変更する操作を受け付ける、アクセルダイヤルやアクセルペダルなどの回転速度操作部45が設けられる。
【0026】
エンジンEの回転動力は、機体フレーム2の前側に設けられた油圧式無段変速装置と、脱穀装置5のカウンタ軸へ伝達される。なお、エンジンEの回転動力を伝達する動力伝達経路において、エンジンEの出力軸とカウンタ軸との間には、脱穀スイッチ43の操作によって接続/接続解除状態となる脱穀クラッチが設けられる。
【0027】
また、油圧式無段変速装置に伝達された回転動力は、油圧式無段変速装置によって増減速され、トランスミッションへ伝達される。トランスミッションに伝達された回転動力は、走行装置3および刈取装置4へ伝達される。なお、トランスミッションと刈取装置4との間の動力伝達経路には、刈取スイッチ44の操作によって接続/接続解除状態となる刈取クラッチが設けられる。
【0028】
刈取装置4に伝達された回転動力は、前側伝動部FDの前側ギヤボックスへ伝達される。前側ギヤボックスに伝達された回転動力は、第2スプロケット37を介してフィードチェン34へ伝達される。フィードチェン34に伝達された回転動力は、フィードチェン34において穀桿を挟持する作用面側を前側から後側へ向けて駆動する。なお、刈取装置4と前側ギヤボックスとの間の動力伝達経路には、動力伝達経路の接続/接続解除状態を切り換える前側クラッチを構成するテンションアームなどが設けられる。
【0029】
一方、上述したカウンタ軸に伝達された回転動力は、後側伝動部BDの後側ギヤボックスへ伝達される。後側ギヤボックスに伝達された回転動力は、第3スプロケット38を介してフィードチェン34へ伝達される。フィードチェン34に伝達された回転動力は、フィードチェン34において穀桿を挟持する作用面側を前側から後側へ向けて駆動する。なお、後側ギヤボックスには、動力伝達経路の接続/接続解除状態を切り換える後側クラッチを構成する爪クラッチなどが設けられる。
【0030】
ここで、図4を参照して脱穀装置5について説明する。図4は、脱穀装置5を示す模式側断面図である。図4に示すように、脱穀装置5は、脱穀部30と、選別部31とを備える。脱穀部30は、処理室5Aと、処理室5Aの後側に設けられた排塵処理室5Bとを含んで構成される。脱穀部30には、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能な円柱形状の扱ぎ胴5Dが配設される。扱ぎ胴5Dは、回転動作により、脱穀部30内に搬送されてきた穀稈の先端部(穂先)から穀粒を脱穀する。なお、処理室5Aには、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能な処理胴5Cが配設される。また、排塵処理室5Bには、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能な排塵処理胴5Eが配設される。
【0031】
選別部31は、脱穀部30の下方に支点5Faを中心に揺動可能に設けられた選別棚5Fと、選別棚5Fの下方に設けられた唐箕5Gと、唐箕5Gよりも後側に設けられた副唐箕5Hと、一番回収部5Iおよび二番回収部5Jと、選別棚5Fの後側に設けられた排塵ファン5Kとを含んで構成される。選別部31は、脱穀部30において脱粒された穀粒を含む被処理物(扱ぎ胴5Dが脱穀したもの)から枝梗などの夾雑物を除去して穀粒を回収する。すなわち、選別部31は、選別棚5Fの揺動動作と、唐箕5Gおよび副唐箕5Hによる送風と、排塵ファン5Kによる吸引とにより、脱穀部30から送られてきた被処理物から穀粒を選別する。
【0032】
また、脱穀装置5には、処理室5Aおよび排塵処理室5Bの下方に、脱穀した穀粒を落下選別するシーブ5Lと、選別した穀粒をさらに落下選別する選別網5Mとが設けられる。シーブ5Lおよび選別網5Mでは、比重の重い穀粒が下方へ通過する。また、被処理物のうち軽量なもの(夾雑物)は、唐箕5Gおよび副唐箕5Hによる送風および排塵ファン5Kによる吸引により、シーブ5Lの上方を後側へ移動する。
【0033】
また、脱穀装置5には、シーブ5Lおよび選別網5Mを通過した穀粒を回収する一番回収部5Iと、一番回収部5Iと同様に穀粒を回収する二番回収部5Jとが設けられる。回収した穀粒は、上述したグレンタンク6へ搬送され、貯留される。なお、脱穀装置5を通過して穀粒が扱ぎ取られた穀稈(排藁)は、脱穀部搬送装置35(図1参照)の後側に設けられた排藁搬送装置により、後側に設けられた排藁切断装置へ搬送される。排藁切断装置は、排藁搬送装置に投入された排藁を切断し、たとえば、圃場へ排出する。
【0034】
ここから、図5図11を参照して、挟扼杆33、補助挟扼杆50、挟扼杆カバー65および手扱ぎセンサ70について説明する。図5は、挟扼杆33、補助挟扼杆50および挟扼杆カバー65を示す概略側断面図である。図6は、補助挟扼杆50および挟扼杆カバー65を示す概略平断面図である。図7は、挟扼杆カバー65を示す概略正面図である。図8は、閉塞部材75を示す概略斜視図である。
【0035】
補助者などの作業者は、手刈りした穀稈を脱穀装置5で脱穀する、いわゆる手扱ぎ作業を行う場合がある。作業者が手扱ぎ作業を行う場合、コンバイン1を手扱ぎ作業に対応する「手扱ぎモード」に切り換える。手扱ぎモードでは、作業者の安全性を確保するため、エンジンEの回転速度を各モードの定格回転速度よりも低速にしてフィードチェン34を駆動する。なお、以下では、手扱ぎモード以外の各モードを「非手扱ぎモード」という場合がある。
【0036】
図5および図6に示すように、フィードチェン34の前側には、刈取装置4から搬送されてきた穀稈(刈取穀稈)をフィードチェン34の供給口34aへ案内する供給ガイドとして、上述した補助挟扼杆50が設けられる。補助挟扼杆50は、揺動部51と、ガイド部55とを備える。揺動部51は、後述する挟扼杆カバー65の前側に配置され、支軸52を中心に上下に揺動可能に設けられる。また、揺動部51は、挟扼杆カバー65の内部に設けられた後述するメインフレーム60に取り付けられ、スプリングなどの付勢部材53によって、上方へ揺動した場合には後側の挟扼杆カバー65へ向けて付勢される。なお、揺動部51が下方へ揺動した場合には付勢部材53による付勢が解除される。
【0037】
また、揺動部51は、上方へ揺動させた手扱ぎ姿勢で挟扼杆カバー65と対向する面に押圧部材54を備える。押圧部材54は、手扱ぎ姿勢で挟扼杆カバー65の内部に配置された後述する手扱ぎセンサ70へ向けて延出して設けられ、手扱ぎ姿勢にある場合に手扱ぎセンサ70に接触する。具体的には、押圧部材54は、手扱ぎ姿勢にある場合に、後述する感知部71bを押圧する。
【0038】
ガイド部55は、前後方向に延在する杆状に形成され、揺動部51を下方へ揺動させたガイド姿勢でフィードチェン34と対向する面に連結部材56を介して設けられる。また、ガイド部55は、前側が上方へ向けて湾曲形成される。補助挟扼杆50は、搬送されてきた穀稈をフィードチェン34との間に案内し、案内した穀稈をフィードチェン34に押し付けて、フィードチェン34と共に挟持する。なお、補助挟扼杆50とフィードチェン34との間に挟持された穀稈は、フィードチェン34の循環駆動によって後側へ搬送される。
【0039】
補助挟扼杆50の後側には、上述した挟扼杆33が配置される。挟扼杆33は、メインフレーム60の前後方向に延在する横材61の下方に上述した付勢手段33aを介して取り付けられる。これにより、挟扼杆33は、フィードチェン34へ向けて付勢される。また、挟扼杆33の上方には、挟扼杆33を上方から覆うように、挟扼杆33に沿って前後方向に延在する挟扼杆カバー65が設けられる。
【0040】
図7に示すように、挟扼杆カバー65の前側の面(前面)66には、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にある場合に押圧部材54が通過する通過穴66aが設けられる。前面66の裏面には、通過穴66aを裏面側から閉塞する閉塞部材75が取り付けられる。なお、挟扼杆カバー65は、上述した脱穀装置5の脱穀部30に配置され、挟扼杆カバー65の内部が脱穀部30と隔離された空間を形成する。
【0041】
図8に示すように、閉塞部材75は、弾性板状に形成され、閉塞部76と、取付部77とを備える。閉塞部76は、挟扼杆カバー65の通過穴66a(図7参照)を閉塞するように、通過穴66aよりも大きな面積を有する。取付部77は、閉塞部76よりも幅狭に形成され、閉塞部76の基端側に延出して設けられる。また、取付部77の基端側には、閉塞部材75を前面66(図7参照)の裏面における通過穴66aの周辺に取り付けるためにボルトなどが挿通される取付穴78が設けられる。このような閉塞部材75では、取付部77が閉塞部76よりも幅狭に形成されることで、取付部77が適度な弾性を有するようになり、閉塞時に通過穴66aとの密着度を高めることができる。
【0042】
また、図5および図6に示すように、挟扼杆カバー65の内部には、上述したメインフレーム60が配置される。メインフレーム60は、上述した横材61と、横材61の前側において横材61から立ち上がった縦材62とを備える。メインフレーム60は、挟扼杆カバー65の左右の面に設けられ上下に延びた長穴67に、ボルトなどの固定具68を介して取り付けられる。これにより、メインフレーム60は、挟扼杆カバー65の内部を上下に移動するようになり、挟扼杆カバー65に対する位置決めを行うことができる。なお、上述したように、縦材62には、補助挟扼杆50が付勢部材53を介して取り付けられる。また、縦材62には、補助挟扼杆50の手扱ぎ姿勢を検知する手扱ぎセンサ70が取り付けられる。コンバイン1(図1参照)では、作業者が手扱ぎ作業を行う場合に手扱ぎ姿勢となるように補助挟扼杆50を操作すると、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを手扱ぎセンサ70が検知して手扱ぎモードに切り換える。
【0043】
従来、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを検知するために、たとえば、補助挟扼杆50の支軸52まわりに角度検出センサを設ける場合があった。しかしながら、このような角度検出センサでは、脱穀部30(図4参照)に配置されることから、脱穀動作による藁屑や塵埃などが付着することがあった。そこで、手扱ぎセンサ70を、脱穀動作による影響を受けない位置に設けることとした。以下では、このような位置に設けられる手扱ぎセンサ70について説明する。
【0044】
手扱ぎセンサ70は、挟扼杆カバー65の内部における前側に配置される。手扱ぎセンサ70としては、たとえば、本体部71aから感知部71bが突出した押圧式スイッチが採用される。手扱ぎセンサ70は、上方へ揺動された補助挟扼杆50の押圧部材54が感知部71bを押圧することで、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを検知する。なお、押圧式スイッチのような接触センサの他、手扱ぎセンサ70として光学式センサや磁気式センサなどの非接触センサが採用されてもよい。
【0045】
ここで、図9および図10を参照して補助挟扼杆50の動作について説明する。図9は、補助挟扼杆50の動作説明図である。図10は、補助挟扼杆50の動作による閉塞部材75の動作説明図である。なお、図10には、図中上部に通過穴66aの閉塞状態を示し、図中下部に通過穴66aの開放状態を示している。図9に示すように、補助挟扼杆50は、下方へ揺動された姿勢から支軸52を中心に上方へ揺動することで、すなわち、手扱ぎ姿勢へと姿勢を変更することで、押圧部材54が挟扼杆カバー65の通過穴66a(図7参照)を通過して手扱ぎセンサ70の感知部71bを押圧する。また、補助挟扼杆50は、付勢部材53によって揺動部51が挟扼杆カバー65へ向けて付勢される。これにより、補助挟扼杆50の手扱ぎ姿勢が保持される。
【0046】
なお、通常の刈取り作業時には、補助挟扼杆50は、支軸52を中心に下方へ揺動され、フィードチェン34(図5参照)へ穀稈を案内するガイド姿勢となる。この場合、手扱ぎセンサ70はOFF(非手扱ぎモード)となる。一方、手扱ぎ作業時には、補助挟扼杆50は、支軸52を中心に上方へ揺動され、フィードチェン34の供給口34a(図5参照)の上方から退避して、供給口34aを開放する手扱ぎ姿勢となる。この場合、手扱ぎセンサ70は、感知部71bが押圧部材54によって押圧され、ON(手扱ぎモード)となる。
【0047】
図10に示すように、閉塞部材75は、非手扱ぎモードでは、挟扼杆カバー65の通過穴66aを閉塞する。このため、手扱ぎセンサ70が外部に露出しない。また、閉塞部材75は、手扱ぎモードでは、押圧部材54が通過穴66aを通過して閉塞部材75の閉塞部76を挟扼杆カバー65の内部へ押し込み、押圧部材54に押された閉塞部76を介して手扱ぎセンサ70を押圧する。なお、押圧部材54が閉塞部76を押し退け、押圧部材54の先端部が手扱ぎセンサ70を直接押圧するようにしてもよい。また、このように、閉塞部材75が開閉する構成の他、たとえば、閉塞部材75に伸縮性の高い弾性体を用い、閉塞部材75を通過穴66aの周縁部で固定して、押圧部材54によって閉塞面を伸長させて、閉塞面越しに手扱ぎセンサ70を押圧する構成としてもよい。さらに、押圧部材54の先端部は、フランジ状に形成される。これにより、手扱ぎセンサ70を確実に押圧することができる。
【0048】
上述したコンバイン1によれば、手扱ぎセンサ70を、脱穀装置5の脱穀部30と隔離された挟扼杆カバー65の内部に設けたことで、藁屑や塵埃などから保護することができる。これにより、手扱ぎセンサ70の感度の低下を防止することができる。また、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢をとる場合には、支軸52と手扱ぎセンサ70との距離が一定であるため、支軸52を中心に揺動することで、揺動部51が手扱ぎセンサ70に対して一定の位置で近接する。これにより、補助挟扼杆50の手扱ぎ姿勢を確実に検知することができる。なお、手扱ぎセンサ70に非接触センサを採用した場合でも、手扱ぎセンサ70が挟扼杆カバー65の内部における前側にあることで、手扱ぎ姿勢にある補助挟扼杆50と手扱ぎセンサ70とが近接して、手扱ぎセンサ70の検知精度が向上するようになる。
【0049】
また、手扱ぎセンサ70は、手扱ぎセンサ70が補助挟扼杆50に押圧されることで補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にあることを検知するため、補助挟扼杆50の手扱ぎ姿勢を確実に検知することができる。さらに、手扱ぎセンサ70が外部に露出しないため、見場をよくすることができる。
【0050】
また、補助挟扼杆50が手扱ぎ姿勢にある場合以外は通過穴66aが閉塞されるため、挟扼杆カバー65の内部へ藁屑や塵埃などが侵入することを抑えることができる。さらに、通過穴66aが閉塞されることで見場をよくすることができる。
【0051】
また、挟扼杆33、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70がメインフレーム60に取り付けられるため、メインフレーム60の位置を調節することで、挟扼杆33、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70を一括で位置決めすることができる。さらに、補助挟扼杆50および手扱ぎセンサ70の相互位置が変更されないため、両者の位置決めにかかる作業が容易となる。
【0052】
また、挟扼杆カバー65は、下方が開口されており、作業者は開口から手扱ぎセンサ70に手が届くようになる。このため、手扱ぎセンサ70のメンテナンスなどを行う場合には、脱穀部30を遮蔽する脱穀部カバー30aを開けるだけで他に部品などを取り外すことがない。これにより、メンテナンスなどにかかる作業が容易となる。
【0053】
図11は、手扱ぎセンサ70の他の例の動作説明図である。なお、図11には、図中上部に押圧部材54の通過穴66aの通過前状態を示し、図中下部に押圧部材54の通過穴66aの通過後状態を示している。
【0054】
図11に示すように、手扱ぎセンサ70は、挟扼杆カバー65の内部において手扱ぎセンサ70の固定に用いる固定部(固定部材)80をさらに備える。また、固定部材80は、挟扼杆カバー65の前面66に設けられた通過穴66aと手扱ぎセンサ70の本体部71aとの間に介在する隔離板81を備える。隔離板81には、手扱ぎセンサ70の感知部71bを挿通させて前側へ向けて突出させる突出穴81aが設けられる。これにより、通過穴66aを通過した押圧部材54は、感知部71bを押圧する場合、押圧部材54の先端面が隔離板81に当接することで所定量以上の押圧が規制される。
【0055】
このような固定部材80では、押圧部材54が隔離板81に当接して感知部71bを過度に押圧することがないため、手扱ぎセンサ70の破損などを防止することができる。さらに、隔離板81を押圧部材54のストッパとして機能させることで、手扱ぎ姿勢を確実に保持することができる。
【0056】
次に、図12および図13を参照してフィードチェン34のスクレーパ90について説明する。図12は、フィードチェン34およびスクレーパ90を示す概略側面図である。図13は、スクレーパ90を示す概略背面図である。
【0057】
図12に示すように、フィードチェン34は、エンジンE(図3参照)から回転動力が伝達され、挟扼杆33と共に穀稈を挟持する作用面34b側を前側から後側へ向けて駆動する。すなわち、フィードチェン34は、作用面34bとは反対側の非作用面34c側を後側から前側へ向けて駆動する。ここで、フィードチェン34の作用面34b(および非作用面34c)には、脱穀部30(図4参照)の脱穀動作によって発生する藁屑などが付着する。このような藁屑などの付着物を取り除くために、フィードチェン34の非作用面34cの下方にスクレーパ90が設けられる。スクレーパ90は、非作用面34c側において前後方向に延在してフィードチェン34を下方から支持するチェンレール39を避けるように、チェンレール39の受口39aよりも後側に設けられる。詳細には、スクレーパ90は、チェンレール39の受口39aと、フィードチェン34の後側の駆動ローラ(第3スプロケット38)との間に設けられる。
【0058】
このようなスクレーパ90では、フィードチェン34がチェンレール39に支持されていない位置にあるため、チェンレール39に妨げられることなく、フィードチェン34の付着物を取り除くことができる。また、フィードチェン34が支持されていない位置では、フィードチェン34が上下に波打ちながら循環する。このため、スクレーパ90は、フィードチェン34の付着物を効率的に掻き落とすことができる。なお、スクレーパ90の下方に他の部材がないため、スクレーパ90に掻き落とされた付着物は落下し、他の部材などにさらに付着することはない。
【0059】
また、図12および図13に示すように、スクレーパ90は、支持部91と、へら部93とを備える。さらに、支持部91は、固定板91aと、支持板91bとを備える。固定板91aは、板面の向きが前後方向に沿ってボルトなどの固定具92で固定される。支持板91bは、固定板91aの後端縁部から略直角に屈曲するように一体的に設けられ、前後方向に面して設けられる。支持部91としては、たとえば、金属製が採用される。へら部93は、フィードチェン34と接触する部分であり、弾性体を用いて板状に形成される。このように、へら部93に弾性体を用いることで、フィードチェン34の損傷を防止することができる。また、へら部93は、ボルトなどの固定具94によって支持板91bに固定される。このため、へら部93は、交換可能となり、摩耗などした場合に交換することができる。また、スクレーパ90全体を交換する必要がなくなり、安価となる。なお、スクレーパ90は、支持部91における固定板91aと支持板91bとの間の弾力(ばね力)と、へら部93の弾力とをあわせた力でフィードチェン34の付着物を掻き落とす。
【0060】
また、スクレーパ90は、後側へ所定の傾斜角度θを有して設けられる。すなわち、へら部93が、フィードチェン34に対して所定の傾斜角度θで接触する。このように、へら部93がフィードチェン34に傾斜して接触することで、掻き落とされたフィードチェン34の付着物が支持部91の支持板91bなどにさらに付着することを防止することができる。
【0061】
また、スクレーパ90は、へら部93がフィードチェン34に接触して前側へ弾性変形すると、チェンレール39の受口39aにおける始端部に当接して始端部に前側から支持される。このように、へら部93が受口39aの始端部に当て止めされることで、フィードチェン34に押されても付着物を掻き落とすことができる。
【0062】
また、図13に示すように、スクレーパ90は、付着物を掻き落とすための作用部、すなわち、へら部93の上端縁部に、へら部93がW字状となるように2つの切欠き95,95が設けられる。このように、へら部93がW字状に形成されることで、切欠き95,95にフィードチェン34の左右方向の両端部が入り込む。これにより、スクレーパ90は、フィードチェン34の両内側面や両外側面の付着物を掻き落とすことができる。
【0063】
なお、上述したスクレーパ90は、支持部91の固定板91aと支持板91bとの間を略直角となるように設けているが、固定板91aと支持板91bとの間に前側へ所定の傾斜角度を有するように設けてもよい。すなわち、スクレーパ90は、支持板91bが、後側へ所定の傾斜角度θを有し、かつ、固定板91a側となる内側縁部に対して外側縁部が前側へ所定の傾斜角度を有する。このように、スクレーパ90が、後側および前側へ所定の傾斜角度を有することで、スクレーパ90に掻き落とされた付着物を、コンバイン1の外方、すなわち、コンバイン1の機体から外れるように落下させることができる。
【0064】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
4 刈取装置
33 挟扼杆
34 フィードチェン
50 補助挟扼杆
54 押圧部材
60 メインフレーム
65 挟扼杆カバー
66 前側の面
66a 通過穴
70 手扱ぎセンサ
71a 本体部
71b 感知部
75 閉塞部材
81a 突出穴
81 隔離板
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13