特許第6443526号(P6443526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443526
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20181217BHJP
   F16H 3/091 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16H3/091
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-232617(P2017-232617)
(22)【出願日】2017年12月4日
(62)【分割の表示】特願2014-163314(P2014-163314)の分割
【原出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2018-54129(P2018-54129A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 宏光
(72)【発明者】
【氏名】藤峰 卓也
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−291461(JP,A)
【文献】 特開2002−147597(JP,A)
【文献】 特開2006−125547(JP,A)
【文献】 実開平2−81966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/00− 3/78
F16H 59/00− 61/12
F16H 61/16− 61/24
F16H 61/26− 61/36
F16H 61/66− 61/70
F16H 63/00− 63/38
F16H 63/40− 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機ケースと、
前記変速機ケースに回転自在に支持され、複数の第1の変速歯車を有する入力軸と、
前記入力軸と平行に延びて前記変速機ケースに回転自在に支持され、前記第1の変速歯車に噛み合う複数の第2の変速歯車を有するカウンタ軸と、
前記複数の第1の変速歯車および前記複数の第2の変速歯車のうちの1組を選択し、選択した1組の前記第1の変速歯車および前記第2の変速歯車により動力を伝達させる変速機構と、
前記変速機ケースに取付けられたシフトユニットとを備えた車両用自動変速機であって、
前記シフトユニットは、前記変速機構を操作する油圧式の変速操作部材と、前記変速操作部材に供給される油圧を発生する油圧発生装置と、前記変速操作部材と前記油圧発生装置とが取付けられるベースプレートとを含んで構成されており、
前記油圧発生装置は、アキュムレータと、作動油を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動油を前記アキュムレータに供給するオイルポンプと、前記オイルポンプを駆動するモータとを備えて前記ベースプレートに一体的に取付けられており、
前記シフトユニットは、前記ベースプレートを介して前記変速機ケースの側壁に取付けられていることを特徴とする車両用自動変速機。
【請求項2】
前記ベースプレートは、前記変速機ケースの前記側壁に取付けられて上下方向に延びる本体部と、前記本体部に設けられ、前記本体部から前記側壁とは反対側に延びる支持部とを備えており、
前記リザーバタンクと前記モータとは、上下方向に重なるようにして前記支持部の上面に取付けられており、
前記オイルポンプは、前記リザーバタンクおよび前記モータと上下方向に重なるようにして前記支持部の下面に取付けられており、
前記本体部に前記変速操作部材と前記アキュムレータとが取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機。
【請求項3】
前記変速操作部材は、筐体に収容されており、
前記筐体は、前記オイルポンプおよび前記モータの側方に設置されており、
前記入力軸の軸線方向において、前記筐体は、前記筐体の底部の軸線方向一端部が前記リザーバタンクよりも下方に位置し、かつ前記筐体の底部の軸線方向他端部が前記筐体の底部の軸線方向一端部よりも下方に位置するように傾斜して設置されており、
前記アキュムレータは、前記リザーバタンク、前記モータおよび前記オイルポンプよりも下方であって、前記リザーバタンクと前記筐体とで囲まれた空間に設置されており、
前記リザーバタンクと前記筐体と前記アキュムレータとは、上下方向に重なるように設置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用自動変速機。
【請求項4】
前記ベースプレートは、前記モータによって前記オイルポンプが駆動されることにより、前記リザーバタンクに貯留される作動油を前記アキュムレータに供給する油路と、前記アキュムレータによって圧力が蓄えられた高圧の油圧を前記変速操作部材に供給する油路とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機。
【請求項5】
前記モータは、前記リザーバタンクの下部に潜り込むようにして前記支持部に取付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用自動変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機に関し、特に、手動変速機において変速操作を自動で行う車両用自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両に搭載される車両用自動変速機にあっては、MT(Manual Transmission)において運転者が行う変速操作をアクチュエータにより自動で行うことで、AT(Automatic Transmission)のような自動変速を可能にしたAMT(Automated Manual Transmission)が知られている。
【0003】
従来のこの種のAMTとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。このAMTは、変速機ケースの上部に、シフトアンドセレクト軸を軸線方向に駆動する第1のアクチュエータと、シフトアンドセレクト軸を軸線周りに回転させる第2のアクチュエータとが設けられており、シフトアンドセレクト軸を軸線方向に移動させるとともに軸線周りに回転させることで、所定の変速段を成立させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−530599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の車両用自動変速機にあっては、変速機ケースの上部に第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータが設けられている。このため、前輪駆動車用の自動変速機のようにエンジンルームに自動変速機が設置される場合には、変速機ケースの上方の空間に第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを設置できる。
【0006】
しかしながら、後輪駆動車用の自動変速機のようにフロアパネルの下方に自動変速機が設置される場合には、従来のように変速機ケースの上部に第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを設置することが困難であった。したがって、自動変速機の搭載性が悪化してしまう。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、自動変速機の高さ方向の寸法を小さくして、車両に対する搭載性を向上できる車両用自動変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、変速機ケースと、前記変速機ケースに回転自在に支持され、複数の第1の変速歯車を有する入力軸と、前記入力軸と平行に延びて前記変速機ケースに回転自在に支持され、前記第1の変速歯車に噛み合う複数の第2の変速歯車を有するカウンタ軸と、前記複数の第1の変速歯車および前記複数の第2の変速歯車のうちの1組を選択し、選択した1組の前記第1の変速歯車および前記第2の変速歯車により動力を伝達させる変速機構と、前記変速機ケースに取付けられたシフトユニットとを備えた車両用自動変速機であって、前記シフトユニットは、前記変速機構を操作する油圧式の変速操作部材と、前記変速操作部材に供給される油圧を発生する油圧発生装置と、前記変速操作部材と前記油圧発生装置とが取付けられるベースプレートとを含んで構成されており、前記油圧発生装置は、アキュムレータと、作動油を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動油を前記アキュムレータに供給するオイルポンプと、前記オイルポンプを駆動するモータとを備えて前記ベースプレートに一体的に取付けられて一体化されており、前記シフトユニットは、前記ベースプレートを介して前記変速機ケースの側壁に取付けられていることを特徴とする車両用自動変速機。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動変速機の高さ方向の寸法を小さくして、車両に対する搭載性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、車両の後部に取付けられる変速機の側面図である。
図2図2は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、変速機の平面図である。
図3図3は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、クラッチを取り外した状態の自動変速機の正面図である。
図4図4は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、図3のIV−IV方向矢視断面図である。
図5図5は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、図4のV−V方向矢視断面図である。
図6図6は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、図1のシフトケースおよび筐体のVI−VI方向矢視断面図である。
図7図7は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、自動変速機の斜視図である。
図8図8は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、フロントケースおよびリヤケースとシフトユニットとを分解した状態を示す図である。
図9図9は、本発明の車両用自動変速機の一実施形態を示す図であり、シフトユニットのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両用自動変速機の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1図9は、本発明に係る一実施形態の車両用自動変速機を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両1には自動変速機2が搭載されており、自動変速機2は、車両1の後方のフロアパネル1Aの下方に設置されている。すなわち、本実施形態の車両1は、後輪駆動車両である。
【0012】
図1図2図4において、自動変速機2は、フロントケース4と、フロントケース4に取付けられたリヤケース5と、リヤケース5に取付けられたエクステンションケース6とを備えており、フロントケース4には内燃機関としてのエンジン3が接続されている。
ここで、フロントケース4、リヤケース5およびエクステンションケース6は、本発明の変速機ケース2Aを構成する。
【0013】
図4において、フロントケース4にはクラッチ7が設けられており、クラッチ7は、エンジン3のクランクシャフト8の軸線方向端部に設けられたフライホイール9に対向している。
【0014】
クラッチ7には入力軸10の軸線方向一端部10aが取付けられている。入力軸10は、軸線方向一端部10a側でフロントケース4に形成された筒状部4aに回転自在に支持されており、軸線方向他端部10b側で出力軸11に回転自在に支持されている。
【0015】
出力軸11は、リヤケース5およびエクステンションケース6に回転自在に支持されており、入力軸10に対して相対回転する。ここで、入力軸10の軸線方向一端部10aは、本発明の入力軸10の軸線方向端部を構成する。
【0016】
クラッチ7は、入力軸10に一体的に回転自在、かつ入力軸10の軸線方向に移動自在に設けられたクラッチディスク12と、クラッチディスク12をフライホイール9に押し付けるプレッシャプレート13と、プレッシャプレート13をフライホイール9側に付勢するダイヤフラムスプリング14とを備えている。
【0017】
フロントケース4の筒状部4aの外周部にはレリーズベアリング15が設けられており、レリーズベアリング15は、入力軸10の軸線方向に移動してダイヤフラムスプリング14の半径方向内方に対して接触および離隔する。
【0018】
レリーズベアリング15にはクラッチレバー16の基端部16aが接触している(図3参照)。クラッチレバー16は、入力軸10の軸線Oからフロントケース4の開口部4bを通してフロントケース4の外方に突出しており、突出方向の先端部16bがクラッチアクチュエータ17に接続されている。
【0019】
図4において、クラッチアクチュエータ17は、クラッチレバー16の先端部16bに連結する連結部材21を備えている。
クラッチアクチュエータ17の内部に油圧が供給されると、連結部材21が図4中、左方に移動する。連結部材21が図4中、左方に移動すると、クラッチレバー16が時計回転方向に回転してレリーズベアリング15が図4中、右方に移動し、ダイヤフラムスプリング14によるプレッシャプレート13の付勢を解除する。
このとき、クラッチディスク12がフライホイール9から離隔してクランクシャフト8の回転が入力軸10に伝達されなくなる。
【0020】
また、連結部材21が図4中、右方に移動すると、クラッチレバー16が反時計回転方向に回転してレリーズベアリング15が図4中、左方に移動する。
このとき、ダイヤフラムスプリング14がプレッシャプレート13を付勢してクラッチディスク12をフライホイール9に押し付けることにより、クランクシャフト8の回転を入力軸10に伝達する。
【0021】
また、クラッチアクチュエータ17の内部に油圧を供給することを停止すると、クラッチディスク12がフライホイール9に押し付けられる位置で連結部材21が位置決めされる。
【0022】
このようにクラッチ7は、エンジン3のクランクシャフト8と入力軸10との間で動力を断続する。ここで、付勢とは、勢いが増加されることを意味する。なお、クラッチアクチュエータ17は、本発明のクラッチ操作部材を構成する。
【0023】
入力軸10には、クラッチ7側から順に、1速入力ギヤ22A、リバース入力ギヤ22B、2速入力ギヤ22C、4速入力ギヤ22Dおよび3速入力ギヤ22Eが設けられている。
【0024】
1速入力ギヤ22A、リバース入力ギヤ22Bおよび2速入力ギヤ22Cは、入力軸10に固定されている。また、4速入力ギヤ22Dおよび3速入力ギヤ22Eは、入力軸10に回転自在に設けられている。
【0025】
出力軸11の一端部には5速入力ギヤ22Fが設けられており、5速入力ギヤ22Fは、出力軸11の外周部に形成されたドグから構成される。
【0026】
フロントケース4およびリヤケース5にはカウンタ軸23が回転自在に設けられており、カウンタ軸23は、入力軸10と平行に延びている。カウンタ軸23には、クラッチ7側から順に、1速カウンタギヤ24A、リバース出力ギヤ24B、2速カウンタギヤ24C、4速カウンタギヤ24D、3速カウンタギヤ24Eおよびカウンタドライブギヤ24Fが設けられている。
【0027】
1速カウンタギヤ24Aおよび2速カウンタギヤ24Cは、カウンタ軸23に回転自在に設けられている。そして、リバース出力ギヤ24Bは、カウンタ軸23の軸線方向に移動自在に設けられている。リバース出力ギヤ24Bおよび2速カウンタギヤ24Cは、カウンタ軸23の軸線方向に移動自在に設けられている。また、4速カウンタギヤ24D、3速カウンタギヤ24Eおよびカウンタドライブギヤ24Fは、カウンタ軸23に固定されている。
【0028】
カウンタドライブギヤ24Fは、カウンタドリブンギヤ25に噛み合っており、カウンタドリブンギヤ25は、出力軸11と一体的に回転するように出力軸11に取付けられている。
【0029】
フロントケース4およびリヤケース5にはリバースアイドラ軸26が取付けられており、リバースアイドラ軸26は、入力軸10と平行に延びている(図5参照)。リバースアイドラ軸26にはリバースアイドラギヤ27が設けられている(図5参照)。リバースアイドラギヤ27は、リバースアイドラ軸26に回転自在で、かつリバースアイドラ軸26の軸線方向に移動自在となっており、車両1の後進時にリバース入力ギヤ22Bおよびリバース出力ギヤ24Bに噛み合う。
【0030】
ここで、1速入力ギヤ22A、リバース入力ギヤ22B、2速入力ギヤ22C、4速入力ギヤ22Dおよび3速入力ギヤ22Eは、本発明の第1の変速歯車を構成する。また、1速カウンタギヤ24A、リバース出力ギヤ24B、2速カウンタギヤ24C、4速カウンタギヤ24Dおよび3速カウンタギヤ24Eは、本発明の第2の変速歯車を構成する。
【0031】
図4において、フロントケース4およびリヤケース5には3速−4速シフト軸28が設けられており、3速−4速シフト軸28は、入力軸10の軸線方向に移動自在となっている。また、3速−4速シフト軸28にはシフトヨーク28Aおよびシフトフォーク28Bが取付けられている。
【0032】
また、フロントケース4およびリヤケース5には3速−4速シフト軸28と平行に図示しない1速−2速シフト軸および5速−リバースシフト軸が設けられており、1速−2速シフト軸および5速−リバースシフト軸は、入力軸10の軸線方向に移動自在となっている。
また、1速−2速シフト軸および5速−リバースシフト軸には図示しないシフトヨークおよびシフトフォーク30、31が取付けられている。
【0033】
シフトフォーク28Bは、シンクロ部材29に接続されており、シンクロ部材29は、入力軸10と一体的に回転自在で、かつ入力軸10の軸線方向に移動自在に設けられている。シンクロ部材29は、入力軸10の軸線方向一方側に移動することにより、3速入力ギヤ22Eと3速カウンタギヤ24Eとを噛み合わせて前進3速段を成立させ、入力軸10の回転を、カウンタ軸23を介して出力軸11に伝達する。
【0034】
また、シンクロ部材29は、入力軸10の軸線方向他方側に移動することにより、4速入力ギヤ22Dと4速カウンタギヤ24Dとを噛み合わせて前進4速段を成立させ、入力軸10の回転を、カウンタ軸23を介して出力軸11に伝達する。
【0035】
1速−2速シフト軸のシフトフォーク30は、シンクロ部材32に接続されており、シンクロ部材32は、カウンタ軸23と一体的に回転自在で、かつカウンタ軸23の軸線方向に移動自在に設けられている。
【0036】
シンクロ部材32は、カウンタ軸23の軸線方向一方側に移動することにより、1速入力ギヤ22Aと1速カウンタギヤ24Aとを噛み合わせて前進1速段を成立させ、入力軸10の回転を、カウンタ軸23を介して出力軸11に伝達する。
【0037】
また、シンクロ部材32は、カウンタ軸23の軸線方向他方側に移動することにより、2速入力ギヤ22Cと2速カウンタギヤ24Cとを噛み合わせて前進2速段を成立させ、入力軸10の回転を、カウンタ軸23を介して出力軸11に伝達する。
【0038】
5速−リバースシフト軸のシフトフォーク31は、シンクロ部材33に接続されており、シンクロ部材33は、入力軸10と一体的に回転自在で、かつ入力軸10の軸線方向に移動自在に設けられている。
【0039】
シンクロ部材33は、入力軸10の軸線方向において5速入力ギヤ22F側に移動することにより、出力軸11を入力軸10に直結させて前進5速段を成立させ、入力軸10の回転を、カウンタ軸23を介さずに出力軸11に伝達する。
【0040】
5速−リバースシフト軸には図示しないシフトフォークが設けられており、シフトフォークは、リバースアイドラギヤ27に接続されている。このシフトフォークは、5速−リバースシフト軸がクラッチ7側に移動することにより、リバースアイドラギヤ27をリバース入力ギヤ22Bとリバース出力ギヤ24Bとに噛み合わせることで、後進段を成立させ、入力軸10の回転を、前進時と反対方向に回転するカウンタ軸23を介して出力軸11に伝達する。
【0041】
図1図2図4図6図7図8において、リヤケース5の上部にはシフトケース5Aが設けられており、シフトケース5Aは、リヤケース5の上部から上方に膨れ出ている。
図4図6において、シフトケース5Aにはシフトアンドセレクト軸34が設けられており、シフトアンドセレクト軸34は、入力軸10の軸線Oと直交する軸線を有する。
【0042】
図6において、シフトアンドセレクト軸34は、シフトケース5Aに回転自在かつ、軸線方向に移動自在に設けられており、シフトアンドセレクト軸34は、コイルスプリング58によってシフトユニット35側に付勢されている。
【0043】
シフトアンドセレクト軸34の軸線方向一端部には操作レバー34Aが設けられており、操作レバー34Aは、シフトアンドセレクト軸34の軸線から半径方向外方に延びている。
シフトケース5Aには開口部5aが形成されており、操作レバー34Aは、開口部5aを通してシフトケース5Aの外部に突出し、変速機ケース2Aの側壁2a側に位置している(図8参照)。ここで、フロントケース4およびリヤケース5の両側壁のうちの一方の側壁は、変速機ケース2Aの側壁2aである。
【0044】
図1図6図7図8において、変速機ケース2Aの側壁2aにはシフトユニット35が設けられており、シフトユニット35は、筐体36を有する。図6において、筐体36には開口部36aが形成されており、操作レバー34Aは、開口部36aに挿入されている。
【0045】
図1において、筐体36にはシフトアクチュエータ37が設けられており、シフトアクチュエータ37は、操作レバー34Aを噛み合うように設置されている。
【0046】
筐体36にはシフト操作ソレノイド39(図9参照)が設けられており、シフト操作ソレノイド39は、シフトアクチュエータ37に供給される油圧を調整する。すなわち、筐体36にはシフトアクチュエータ37を作動させるための図示しない油路が形成されている。
【0047】
シフト操作ソレノイド39は、シフトアクチュエータ37の内部に形成される油路に油圧が供給されることにより、油圧が操作レバー34Aに押し付け力を作用させてシフトアンドセレクト軸34をシフト方向に回転させる。
【0048】
筐体36にはセレクトアクチュエータ40が設けられており(図6参照)、セレクトアクチュエータ40は、シフトアンドセレクト軸34に軸線上に設けられる。
【0049】
筐体36にはセレクト操作ソレノイド41(図9参照)が設けられており、セレクト操作ソレノイド41は、セレクトアクチュエータ40に供給される油圧の大きさを調整する。すなわち、筐体36にはセレクトアクチュエータ40を作動するための図示しない油路が形成されており、セレクト操作ソレノイド41は、油路を通してセレクトアクチュエータ40に供給される油圧の大きさを調整する。
これにより、シフトアンドセレクト軸34は、コイルスプリング58の付勢力に抗して軸線方向に移動し、シフトヨーク28Aを含んだ複数のシフトヨークの位置を選択する。
【0050】
このようにシフトアンドセレクト軸34は、シフトアクチュエータ37およびセレクトアクチュエータ40によって駆動されることにより、軸線方向に移動することや軸線周りに回転することができる。
【0051】
ここで、3速−4速シフト軸28、シフトヨーク28A、シフトフォーク28B、30、31、シンクロ部材29、32、33およびシフトアンドセレクト軸34は、本発明の変速機構を構成する。また、シフトアクチュエータ37、シフト操作ソレノイド39、セレクトアクチュエータ40、セレクト操作ソレノイド41は、本発明の変速操作部材を構成する。
【0052】
また、筐体36にはクラッチ操作ソレノイド42が設けられており(図9参照)、クラッチ操作ソレノイド42は、クラッチアクチュエータ17の内部に供給される油圧を調整する。
【0053】
図1図7図8において、シフトユニット35は、筐体36、リザーバタンク43、アキュムレータ44、オイルポンプ45、モータ46およびベースプレート47を含んで構成されており、これら筐体36、リザーバタンク43、アキュムレータ44、オイルポンプ45およびモータ46は、ベースプレート47に取付けられて一体化されている。
【0054】
リザーバタンク43は、作動油を貯留している。オイルポンプ45は、モータ46によって駆動されることにより、リザーバタンク43に貯留される作動油をベースプレート47に形成される図示しない油路を介してアキュムレータ44に供給する(図9参照)。
【0055】
アキュムレータ44は、作動油の圧力を蓄え、ベースプレート47に形成された図示しない油路を通して高圧の油圧を筐体36に供給する。筐体36に供給される油圧は、シフト操作ソレノイド39、セレクト操作ソレノイド41およびクラッチ操作ソレノイド42を通してシフトアクチュエータ37、セレクトアクチュエータ40およびクラッチアクチュエータ17に供給される(図9参照)。
【0056】
ここで、リザーバタンク43、アキュムレータ44、オイルポンプ45およびモータ46は、本発明の油圧発生装置を構成する。
【0057】
図1図4図5において、カウンタ軸23の軸線上でクラッチ7に最も近い1速カウンタギヤ24Aに対向する変速機ケース2Aの側壁2aにはセンサ48が取付けられており、センサ48は、1速カウンタギヤ24Aの回転数を検出する。ここで、1速カウンタギヤ24は、本発明のクラッチ側変速歯車を構成する。
【0058】
図1において、筐体36には制御装置49が設けられており、制御装置49は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んだマイクロコンピュータから構成されている。
【0059】
図1図5図7において、制御装置49にはワイヤハーネス50を介してモータ46が接続されており、制御装置49は、モータ46に駆動信号を出力してモータ46を駆動する。
【0060】
制御装置49にはワイヤハーネス51からワイヤハーネス50を介してセンサ48が接続されており、制御装置49は、センサ48の検出情報に基づいて入力軸10の回転数を検出する。
【0061】
図8において、ベースプレート47にはクラッチアクチュエータ17の内部に油圧を供給する油路が形成されている。制御装置49は、例えば、運転席に設けられる図示しないシフトレバーのシフト操作を検出する図示しないシフトポジョンセンサの検出情報、車速を検出する図示しない車速センサの検出情報、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ等からの検出情報に基づいて変速点を判断する。
【0062】
制御装置49は、変速点を判断したときに、クラッチ操作ソレノイド42を操作してクラッチアクチュエータ17の内部に油圧を供給することにより、連結部材21を図4中、左方に移動させて、ダイヤフラムスプリング14によるプレッシャプレート13の付勢を解除してクラッチ7を切断する。
【0063】
また、制御装置49は、クラッチ7の切断時に、シフト操作ソレノイド39およびセレクト操作ソレノイド41を制御して、シフトアクチュエータ37およびセレクトアクチュエータ40を駆動することにより、シフトアンドセレクト軸34を軸線方向および軸線周りに操作して変速を行う。
【0064】
図1において、シフトユニット35およびセンサ48は、変速機ケース2Aの同一側の側壁2aに取付けられており、シフトユニット35は、センサ48を挟んでクラッチ7と反対側に設置されている。
【0065】
具体的には、ベースプレート47は、変速機ケース2Aの側壁2aに取付けられて上下方向に延びる本体部47Aと、本体部47Aから上方に延びる支持部47Bとを備えている。
【0066】
入力軸10の軸線方向において、筐体36は、筐体36の底部36Aのセンサ48側の軸線方向一端部36bが底部36Aの軸線方向他端部36cに対してセンサ48から上方に離れるように傾斜しており、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の空間54には油圧発生装置の一部であるアキュムレータ44が設置されている。
【0067】
リザーバタンク43は、センサ48の上方に設置されており、リザーバタンク43は、ベースプレート47の支持部47Bに取付けられている。オイルポンプ45およびモータ46は、リザーバタンク43とセンサ48との間で上下方向に重なるように設置されており、オイルポンプ45およびモータ46は、ベースプレート47の支持部47Bに取付けられている。
【0068】
筐体36の底部36Aの軸線方向一端部36bは、リザーバタンク43の下方で、かつオイルポンプ45およびモータ46の側方に形成される空間55に設置されており、筐体36の軸線方向一端部36bは、上下方向においてリザーバタンク43と重なっている。
【0069】
制御装置49は、シフトアクチュエータ37および図1において図示しないセレクトアクチュエータ40に対してセンサ48側およびモータ46側に位置するように筐体36に取付けられている。
【0070】
また、シフトユニット35において、クラッチアクチュエータ17は、筐体36の下方に設置されており、空間54は、クラッチアクチュエータ17、センサ48、オイルポンプ45、モータ46、リザーバタンク43および筐体36によって囲まれる三角形の空間となる。
【0071】
すなわち、アキュムレータ44は、クラッチアクチュエータ17、センサ48、オイルポンプ45、モータ46、リザーバタンク43および筐体36によって囲まれる三角形の空間54に設置される。
【0072】
図1図3図7図8において、シフトユニット35の底部にはプロテクタ56が取付けられており、プロテクタ56は、クラッチアクチュエータ17のクラッチアクチュエータハウジング18を下方から覆うガイド板57を備えている。これにより、車両1の走行中に下方から飛散する石がクラッチアクチュエータハウジング18に衝突することを防止して、クラッチアクチュエータハウジング18が損傷することを防止できる。したがって、クラッチアクチュエータハウジング18からオイルが漏出することを防止できる。
【0073】
このような構成を有する本実施形態の自動変速機2によれば、カウンタ軸23の軸線上でクラッチ7に最も近い1速カウンタギヤ24Aに対向して変速機ケース2Aの側壁2aにセンサ48が設けられる。
【0074】
これにより、センサ48を変速機ケース2Aの側壁2aの入力軸10の軸線方向一端部10aに寄せることができ、変速機ケース2Aの側壁2aに対してシフトユニット35を設置するための空間を広く確保できる。
【0075】
また、本実施形態の自動変速機2によれば、シフトユニット35とセンサ48とを変速機ケース2Aの同一側の側壁2aに取付け、かつ、シフトユニット35を、センサ48を挟んでクラッチ7と反対側に設置した。
【0076】
これに加えて、入力軸10の軸線方向において、筐体36の底部36Aのセンサ48側の軸線方向一端部36bが底部36Aの軸線方向他端部36cに対してセンサ48から上方に離れるように筐体36を傾斜させ、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の空間54にアキュムレータ44を設置した。
【0077】
これにより、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の空間54を拡大することができ、この空間54にアキュムレータ44を設置できる。このため、アキュムレータ44がセンサ48に邪魔されることなしに、アキュムレータ44と筐体36とを変速機ケース2Aの側壁2aに設置できる。
【0078】
このため、変速機ケース2Aの側壁2aに対してアキュムレータ44とセンサ48とが占める空間が拡大することを防止して、シフトユニット35の小型化を図ることができる。この結果、自動変速機2を、例えば、フロアパネル1Aの下方に設置する場合に変速機ケース2Aの高さ方向の寸法を短くでき、車両1に対する自動変速機2の搭載性を向上できる。
【0079】
また、シフトユニット35とセンサ48とを変速機ケース2Aの側壁2aに取付けることにより、制御装置49とセンサ48とを接続するためのワイヤハーネス51、52の全長を短縮できる。これにより、シフトユニット35をより一層小型化できる。これに加えて、ワイヤハーネス51、52の全長を短縮できる分だけ、ワイヤハーネス51、52の取付け作業の作業性を向上できる。
【0080】
また、本実施形態の自動変速機2によれば、空間54に設置される油圧発生装置の一部をアキュムレータ44から構成した。これにより、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の拡大された空間に形状の大きいアキュムレータ44をシフトユニット35に効率よく取付けることができる。このため、シフトユニット35の小型化をより効果的に図ることができる。
【0081】
また、形状の大きいアキュムレータ44をシフトユニット35に取付けることができるため、オイルを高圧にでき、シフトアクチュエータ37およびセレクトアクチュエータ40に供給する油圧を高くできる。このため、シフトアクチュエータ37およびセレクトアクチュエータ40の応答性を高めることがきる。
【0082】
また、本実施形態の自動変速機2によれば、リザーバタンク43が、センサ48の上方に設置され、オイルポンプ45およびモータ46が、リザーバタンク43とセンサ48との間で上下方向に重なるように設置され、筐体36の軸線方向一端部36bが、リザーバタンク43の下方で、かつオイルポンプ45およびモータ46の側方に形成される空間55に設置される。
【0083】
これにより、リザーバタンク43、アキュムレータ44、オイルポンプ45およびモータ46と、制御装置49、シフト操作ソレノイド39、セレクト操作ソレノイド41、クラッチ操作ソレノイド42、シフトアクチュエータ37および筐体36とを近接させつつ、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の空間54を拡大できる。
【0084】
このため、筐体36の底部36Aとセンサ48との間の拡大された空間54に形状の大きいアキュムレータ44を設置できることに加えて、変速機ケース2Aの側壁2aの狭い空間にリザーバタンク43、オイルポンプ45、モータ46、筐体36、センサ48およびアキュムレータ44を設置できる。このため、シフトユニット35をより効果的に小型化できる。
【0085】
また、本実施形態の自動変速機2によれば、制御装置49が、シフトアクチュエータ37およびセレクトアクチュエータ40に対してセンサ48側およびモータ46側に位置するように筐体36に取付けられる。
【0086】
これにより、制御装置49をセンサ48に近づけることができ、制御装置49とセンサ48とを接続するワイヤハーネス51、52の全長をより効果的に短縮できる。このため、シフトユニット35をより効果的に小型化できる。これに加えて、ワイヤハーネス51の全長をより効果的に短縮できる分だけ、ワイヤハーネス51、52の取付け作業の作業性をより効果的に向上できる。
【0087】
また、本実施形態の自動変速機2によれば、シフトユニット35において、クラッチアクチュエータ17が筐体36の下方に設置され、クラッチアクチュエータ17、センサ48、オイルポンプ45、モータ46、リザーバタンク43および筐体36によって囲まれる三角形の空間54にアキュムレータ44が設置される。
【0088】
これにより、クラッチアクチュエータ17、センサ48、オイルポンプ45、モータ46、リザーバタンク43および筐体36を小さい空間に設置しつつ、クラッチアクチュエータ17、センサ48、オイルポンプ45、モータ46、リザーバタンク43および筐体36によって囲まれる三角形の空間54にアキュムレータ44を設置できる。このため、シフトユニット35をより効果的に小型化できる。
【0089】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0090】
1...車両、2...自動変速機、2A...変速機ケース、2a...側壁、3...エンジン(内燃機関)、7...クラッチ、10...入力軸、10a...軸線方向一端部(軸線方向端部)、16...クラッチレバー、17...クラッチアクチュエータ(クラッチ操作部材)、22A...速入力ギヤ(第1の変速歯車)、22B...リバース入力ギヤ(第1の変速歯車)、22C...2速入力ギヤ(第1の変速歯車)、22D...4速入力ギヤ、22E...3速入力ギヤ、23...カウンタ軸、24A...1速カウンタギヤ(第2の変速歯車、クラッチ側変速歯車)、24B...リバース出力ギヤ(第2の変速歯車)、24C...2速カウンタギヤ(第2の変速歯車)、24D...4速カウンタギヤ(第2の変速歯車)、24E...3速カウンタギヤ(第2の変速歯車)28...3速−4速シフト軸(変速機構)、28A...シフトヨーク、28B,30,31...シフトフォーク(変速機構)、29,32,33...シンクロ部材(変速機構)、34...シフトアンドセレクト軸(変速機構)、35...シフトユニット、36...筐体、36A...筐体の底部、36b...筐体の底部の軸線方向一端部、36c...筐体の底部の軸線方向他端部、37...シフトアクチュエータ(変速操作部材)、39...シフト操作ソレノイド(変速操作部材)、40...セレクトアクチュエータ(変速操作部材)、41...セレクト操作ソレノイド(変速操作部材)、42...クラッチ操作ソレノイド(クラッチ操作部材)、43...リザーバタンク(油圧発生装置,シフトユニット)、44...アキュムレータ(油圧発生装置,シフトユニット)、45...オイルポンプ(油圧発生装置,シフトユニット)、46...モータ(油圧発生装置,シフトユニット)、47...ベースプレート(シフトユニット)、48...センサ、49...制御装置、54,55...空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9