特許第6443567号(P6443567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6443567ズームレンズ、撮像装置、移動体及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443567
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ズームレンズ、撮像装置、移動体及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20181217BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-559631(P2017-559631)
(86)(22)【出願日】2016年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2016082366
(87)【国際公開番号】WO2018078888
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】入澤 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 滋彦
(72)【発明者】
【氏名】大畑 篤
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0268831(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/121966(WO,A1)
【文献】 特開平05−019169(JP,A)
【文献】 特開平07−140388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、負屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群と、正屈折力を有する第5レンズ群とからなり、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群から撮像素子までの間隔が一定で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が増加し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間隔が減少し、前記第5レンズ群が前記撮像素子に向けて凸の弧の軌跡で移動し、
前記第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含み、前記第1レンズ群に含まれる前記負の屈折力を有する3つのレンズのアッベ数をそれぞれv1、v2及びv3とすると、条件式
v1>60
v2>60
v3>60
を満足する
ズームレンズ。
【請求項2】
物体側より順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、負屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群と、正屈折力を有する第5レンズ群とからなり、広角端から望遠端への変倍時に前記第1レンズ群から撮像素子までの間隔が一定で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が増加し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間隔が減少し、前記第5レンズ群が前記撮像素子に向けて凸の弧の軌跡で移動し、
前記第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含み、前記第1レンズ群の前記正の屈折力を有するレンズの屈折率をn4、アッベ数をv4とすると、条件式
n4>1.9
v4<35
を満足する
ズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、全系の広角端の焦点距離をfwとすると、条件式
−1.8<f1/fw<−1.1
を満足する
請求項1又は2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含み、前記第1レンズ群に含まれる前記負の屈折力を有する3つのレンズのうち物体側の2つのレンズの少なくとも1つが、非球面レンズである
請求項1から3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、少なくとも3つの凸レンズを含み、前記第2レンズ群が含む全ての前記凸レンズが条件式
v>50
を満足し、
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とすると、条件式
1.0<f2/fw<1.8
を満足する
請求項1から4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第4レンズ群及び前記第5レンズ群の少なくとも一方は、単一のレンズ又は接合レンズから構成され、前記第4レンズ群及び前記第5レンズ群の前記少なくとも一方がフォーカス機能を担う
請求項1から5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第4レンズ群及び前記第5レンズ群の少なくとも一方は、単一のレンズ又は接合レンズから構成され、前記第4レンズ群及び前記第5レンズ群の前記少なくとも一方が防振機能を担う
請求項1から5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第2レンズ群は、正の屈折力を有する非球面レンズである少なくとも1つの単レンズを含む
請求項1から7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第4レンズ群は、負屈折力を有する
請求項1から8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第4レンズ群は、正屈折力を有する
請求項1から8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズと、
前記撮像素子と
を備える撮像装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズを備えて移動する移動体。
【請求項13】
前記移動体は無人航空機である
請求項12に記載の移動体。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズと、
前記ズームレンズを変位可能に支持する支持機構と、
前記支持機構に取り付けられている持ち手部と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ、撮像装置、移動体及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
負正負負正の5群構成のズームレンズが知られている(例えば、特許文献1、2)。当該ズームレンズにおいては、変倍時に、最も物体側に位置する第1レンズ群が移動する。
特許文献1 特開2015−114625号公報
特許文献2 特開2016−118658号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
第1レンズ群を変倍時に移動させるズームレンズにおいては、第1レンズ群の製造誤差、取り付け誤差、駆動誤差等の影響により、変倍時にピントずれや像のずれ等が生じ易い。
【一般的開示】
【0004】
本発明の一態様に係るズームレンズは、物体側より順に、負屈折力を有する第1レンズ群と、正屈折力を有する第2レンズ群と、負屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群と、正屈折力を有する第5レンズ群とを備える。広角端から望遠端への変倍時に第1レンズ群から撮像素子までの間隔が一定で、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が減少し、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が増加し、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔が減少し、第5レンズ群が撮像素子に向けて凸の弧の軌跡で移動する。
【0005】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、全系の広角端の焦点距離をfwとすると、条件式
−1.8<f1/fw<−1.1
を満足してよい。
【0006】
第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含み、前記第1レンズ群に含まれる前記負の屈折力を有する3つのレンズのアッベ数をそれぞれv1、v2及びv3とすると、条件式
v1>60
v2>60
v3>60
を満足してよい。
【0007】
第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含んでよい。第1レンズ群に含まれる前記負の屈折力を有する3つのレンズのうち物体側の2つのレンズの少なくとも1つが、非球面レンズであってよい。
【0008】
第2レンズ群は、少なくとも3つの凸レンズを含み、前記第2レンズ群が含む全ての前記凸レンズが条件式
v>50
を満足してよい。前記第2レンズ群の焦点距離をf2とすると、条件式
1.0<f2/fw<1.8
を満足してよい。
【0009】
第4レンズ群及び前記第5レンズ群の少なくとも一方は、単一のレンズ又は接合レンズから構成されてよい。第4レンズ群及び前記第5レンズ群の前記少なくとも一方がフォーカス機能を担ってよい。
【0010】
第4レンズ群及び前記第5レンズ群の少なくとも一方は、単一のレンズ又は接合レンズから構成されてよい。第4レンズ群及び前記第5レンズ群の前記少なくとも一方が防振機能を担ってよい。
【0011】
第2レンズ群は、正の屈折力を有する非球面レンズである少なくとも1つの単レンズを含んでよい。
【0012】
第1レンズ群が、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含み、前記第1レンズ群の前記正の屈折力を有するレンズの屈折率をn4、アッベ数をv4とすると、条件式
n4>1.9
v4<35
を満足してよい。
【0013】
第4レンズ群は、負屈折力を有してよい。
【0014】
第4レンズ群は、正屈折力を有してよい。
【0015】
本発明の一態様に係る撮像装置は、上記のズームレンズと、撮像素子とを備える。
【0016】
本発明の一態様に係る移動体は、上記のズームレンズを備えて移動する。
【0017】
移動体は無人航空機であってよい。
【0018】
本発明の一態様に係るシステムは、上記のズームレンズと、ズームレンズを変位可能に支持する支持機構と、支持機構に取り付けられている持ち手部とを備える。
【0019】
上記のズームレンズによれば、変倍時にピントずれや像のずれ等が生じにくい。
【0020】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】無人航空機(UAV)100及びコントローラ50を備える移動体システム10の一例を概略的に示す。
図2】UAV100の機能ブロックの一例を示す。
図3】第1実施例におけるレンズ系300のレンズ構成を示す。
図4】広角端から望遠端への変倍時における各レンズ群の移動軌跡を模式的に示す。
図5】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図6】中間画角における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図7】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図8】3波長の光についてのレンズ系300の球面収差図を示す。
図9】第2実施例におけるレンズ系900のレンズ構成を示す。
図10】広角端から望遠端への変倍時における各レンズ群の移動軌跡を模式的に示す。
図11】広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図12】中間画角における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図13】望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
図14】レンズ系900の3波長の光についての球面収差図を示す。
図15】スタビライザ800の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0024】
図1は、無人航空機(UAV)100及びコントローラ50を備える移動体システム10の一例を概略的に示す。UAV100は、UAV本体101、ジンバル110、複数の撮像装置230、及び撮像装置220を備える。撮像装置220は、レンズ装置160及び撮像部140を備える。UAV100は、撮像装置を備えて移動する移動体の一例である。移動体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。
【0025】
UAV本体101は、複数の回転翼を備える。UAV本体101は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV100を飛行させる。UAV本体101は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV100を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。UAV100は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
【0026】
撮像装置230は、所望の撮像範囲に含まれる被写体を撮像する撮像用のカメラである。複数の撮像装置230は、UAV100の飛行を制御するためにUAV100の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。撮像装置230は、UAV本体101に固定されていてよい。
【0027】
2つの撮像装置230が、UAV100の機首である正面に設けられてよい。さらに他の2つの撮像装置230が、UAV100の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置230はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置230もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。複数の撮像装置230により撮像された画像に基づいて、UAV100の周囲の3次元空間データが生成されてよい。撮像装置230により撮像された被写体までの距離は、複数の撮像装置230によるステレオカメラにより特定され得る。
【0028】
UAV100が備える撮像装置230の数は4つには限定されない。UAV100は、少なくとも1つの撮像装置230を備えていればよい。UAV100は、UAV100の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置230を備えてもよい。撮像装置230は、単焦点レンズ又は魚眼レンズを有してもよい。UAV100に係る説明において、複数の撮像装置230を、単に撮像装置230と総称する場合がある。
【0029】
コントローラ50は、表示部54と操作部52を備える。操作部52は、UAV100の姿勢を制御するための入力操作をユーザから受け付ける。コントローラ50は、操作部52が受け付けたユーザの操作に基づいて、UAV100を制御するための信号を送信する。例えば、操作部52は、レンズ装置160の倍率を変更する操作を受け付ける。コントローラ50は、倍率の変更を指示する信号をUAV100に送信する。
【0030】
コントローラ50は、撮像装置230及び撮像装置220の少なくとも一方が撮像した画像を受信する。表示部54は、コントローラ50が受信した画像を表示する。表示部54はタッチ式のパネルであってよい。コントローラ50は、表示部54を通じて、ユーザから入力操作を受け付けてよい。表示部54は、撮像装置220に撮像させるべき被写体の位置をユーザが指定するユーザ操作等を受け付けてよい。
【0031】
撮像部140は、レンズ装置160により結像された光学像の画像データを生成して記録する。レンズ装置160は、撮像部140と一体的に設けられてよい。レンズ装置160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置160は、撮像部140に対して着脱可能に設けられてよい。
【0032】
ジンバル110は、撮像装置220を可動に支持する支持機構を有する。撮像装置220は、ジンバル110を介してUAV本体101に取り付けられる。ジンバル110は、撮像装置220を、ピッチ軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、撮像装置220を、ロール軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、撮像装置220を、ヨー軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の少なくとも1つの軸を中心に、撮像装置220を回転可能に支持してよい。ジンバル110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸のそれぞれを中心に、撮像装置220を回転可能に支持してよい。ジンバル110は、撮像部140を保持してもよい。ジンバル110は、レンズ装置160を保持してもよい。ジンバル110は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させることで、撮像装置220の撮像方向を変更してよい。
【0033】
図2は、UAV100の機能ブロックの一例を示す。UAV100は、インタフェース102、制御部104、メモリ106、ジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を備える。
【0034】
インタフェース102は、コントローラ50と通信する。インタフェース102は、コントローラ50から各種の命令を受信する。制御部104は、コントローラ50から受信した命令に従って、UAV100の飛行を制御する。制御部104は、ジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を制御する。制御部104は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。メモリ106は、制御部104がジンバル110、撮像部140、及びレンズ装置160を制御するのに必要なプログラムなどを格納する。
【0035】
メモリ106は、コンピュータが可読な記録媒体でよい。メモリ106は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ106は、UAV100の筐体に設けられてよい。UAV100の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0036】
ジンバル110は、制御部112、ドライバ114、ドライバ116、ドライバ118、駆動部124、駆動部126、駆動部128、及び支持機構130を有する。駆動部124、駆動部126及び駆動部128は、モータであってよい。
【0037】
支持機構130は、撮像装置220を支持する。支持機構130は、撮像装置220の撮像方向を可動に支持する。支持機構130は、撮像部140及びレンズ装置160をヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸を中心に回転可能に支持する。支持機構130は、回転機構134、回転機構136、及び回転機構138を含む。回転機構134は、駆動部124を用いてヨー軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。回転機構136は、駆動部126を用いてピッチ軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。回転機構138は、駆動部128を用いてロール軸を中心に撮像部140及びレンズ装置160を回転させる。
【0038】
制御部112は、制御部104からのジンバル110の動作命令に応じて、ドライバ114、ドライバ116、及びドライバ118に対して、それぞれの回転角度を示す動作命令を出力する。ドライバ114、ドライバ116、及びドライバ118は、回転角度を示す動作命令に従って駆動部124、駆動部126、及び駆動部128を駆動させる。回転機構134、回転機構136、及び回転機構138は、駆動部124、駆動部126、及び駆動部128によりそれぞれ駆動されて回転し、撮像部140及びレンズ装置160の姿勢を変更する。
【0039】
撮像部140は、レンズ系300を通過した光により撮像する。撮像部140は、制御部222、撮像素子221及びメモリ223を備える。制御部222は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部222は、制御部104からの撮像部140及びレンズ装置160に対する動作命令に応じて、撮像部140及びレンズ装置160を制御する。制御部222は、コントローラ50から受信した信号に基づいて、レンズ装置160に変倍を指示する制御命令をレンズ装置160に出力する。
【0040】
メモリ223は、コンピュータが可読な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ223は、撮像部140の筐体の内部に設けられてよい。撮像部140の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0041】
撮像素子221は、撮像部140の筐体の内部に保持され、レンズ装置160を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部222に出力する。制御部222は、撮像素子221から出力された画像データをメモリ223に格納する。制御部222は、画像データを、制御部104を介してメモリ106に出力して格納してもよい。
【0042】
レンズ装置160は、ズームレンズである。レンズ装置160は、全長固定ズームレンズである。レンズ装置160は、5群ズームレンズである。レンズ装置160は、制御部162、メモリ163、駆動機構161、及びレンズ系300を備える。レンズ系300は、物体側より順に、第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305を備える。第1レンズ群301は、レンズ装置160の変倍時に、レンズ系300の光軸方向に移動しない。第1レンズ群301は、レンズ系300の光軸方向に固定されたレンズであってよい。レンズ装置160が備える複数のレンズ群のうち、変倍時の像面移動に関与する最も物体側に位置するレンズ群は、レンズ装置160の変倍時に移動しない。そのため、変倍時にピントずれや像のずれ等が生じにくい。本実施形態の説明において、レンズ系300の光軸のことを、単に「光軸」と呼ぶ場合がある。また、「レンズ群」とは、1つ以上のレンズのまとまりのことをいう。「レンズ群」は単一のレンズから構成されてよい。「レンズ群」とは、単一のレンズから構成されたレンズも含む概念である。
【0043】
制御部162は、制御部222からの制御命令に従って、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305の少なくとも一つを光軸に沿って移動させる。例えば、第2制御部162は、変倍時に、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305を光軸に沿って移動させる。これにより、変倍時にピント位置の移動が生じないようにする。レンズ装置160のレンズ系300により結像された像は、撮像部140により撮像される。
【0044】
駆動機構161は、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305を駆動する。駆動機構161は、例えばアクチュエータと、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305を保持する保持部材とを備える。アクチュエータには、制御部162から駆動用のパルスが供給される。アクチュエータは、供給されたパルスに応じた駆動量だけ変位する。アクチュエータの変位に応じて保持部材が変位することにより、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305が変位する。
【0045】
レンズ装置160は、撮像部140と一体的に設けられてよい。レンズ装置160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置160は、撮像部140に対して着脱可能に設けられてよい。
【0046】
撮像装置230は、制御部232、制御部234、撮像素子231、メモリ233、及びレンズ235を備える。制御部232は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部232は、制御部104からの撮像素子231の動作命令に応じて、撮像素子231を制御する。
【0047】
制御部234は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部234は、制御部104からのレンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235の焦点距離を制御する。制御部234は、レンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235の焦点を制御してよい。制御部234は、レンズ235に対する動作命令に応じて、レンズ235が有する絞りを制御してよい。
【0048】
メモリ233は、コンピュータが可読な記録媒体であってよい。メモリ233は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。
【0049】
撮像素子231は、レンズ235を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部232に出力する。制御部232は、撮像素子231から出力された画像データをメモリ233に格納する。
【0050】
本実施形態では、UAV100が、制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162を備える例について説明する。しかし、制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162のうちの複数で実行される処理をいずれか1つの制御部が実行してよい。制御部104、制御部112、制御部222、制御部232、制御部234、及び制御部162で実行される処理を1つの制御部で実行してもよい。本実施形態では、UAV100が、メモリ106、メモリ223、及びメモリ233を備える例について説明する。メモリ106、メモリ223、及びメモリ233のうちの少なくとも1つに記憶される情報は、メモリ106、メモリ223、及びメモリ233のうちの他の1つ又は複数のメモリに記憶してよい。
【0051】
レンズ系300において、第1レンズ群301は、負屈折力を有する。第2レンズ群302は、正屈折力を有する。第3レンズ群303は、負屈折力を有する。第5レンズ群305は、正屈折力を有する。第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305は、物体側より、第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304、第5レンズ群305の順で設けられる。なお、本実施形態の説明においてレンズ系300の変倍時の挙動を説明する場合、無限遠の被写体に対してレンズ装置160をズームレンズとして機能させる場合の挙動を示す。
【0052】
広角端から望遠端への変倍時に、第1レンズ群301から撮像素子221までの間隔は一定である。広角端から望遠端への変倍時に、第1レンズ群301と第2レンズ群302との間隔は減少する。広角端から望遠端への変倍時に、第2レンズ群302と第3レンズ群303の間隔が増加する。広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群303と第4レンズ群304の間隔が減少する。広角端から望遠端への変倍時に、第5レンズ群305は、撮像素子221に向けて凸の弧の軌跡で移動する。凸の弧の軌跡で移動するとは、例えば、第5レンズ群305が撮像素子221に近づいた後に撮像素子221から離れるような軌跡で移動することを意味する。
【0053】
レンズ系300において、変倍時に第1レンズ群301は撮像素子221に対して移動せず、第5レンズ群305が撮像素子221側に近づいた後に撮像素子221から離れる軌跡を描いて移動することにより、変倍を主に担う第2レンズ群302の移動による像面ズレを補正できる。変倍時に第1レンズ群301が移動しないようにすることにより、レンズ群の駆動機構を簡素化することができる。また、振動等の外乱発生時に第1レンズ群301の偏芯を抑制することができる。そのため、振動時のピントずれや解像劣化を抑えることができる。また、撮像装置220の小型化と高性能化を実現できる。
【0054】
広角端から望遠端への変倍時に、第4レンズ群304と第5レンズ群305の間隔が増加する。なお、広角端から望遠端への変倍時において、広角端における画角から予め定められた画角までの間において、第4レンズ群304と第5レンズ群305の間隔が増加する。一方、当該予め定められた画角より大きい画角から望遠端における画角までの間において、第4レンズ群304と第5レンズ群305の間隔が一定又は減少し得る。
【0055】
第1レンズ群301は、物体側から順に、それぞれ負、負、負、正の屈折力を有する4つのレンズを含んでよい。第1レンズ群301に含まれる負の屈折力を有する3つのレンズのアッベ数をv1、v2、v3とすると、次の3つの条件式
v1>60 (条件式1)
v2>60 (条件式2)
v3>60 (条件式3)
を満足することが好ましい。
【0056】
第1レンズ群301において、負の屈折力を有する3つのレンズで負屈折力を分担できるので、第1レンズ群301の全体の負屈折力を高めることができる。また、レンズ系300の全長を短くすることができる。また、結像特性を高めることができる。負の屈折力を有する3つのレンズで第1レンズ群301の負のパワーを分担するので、低分散材を用いて負の屈折力を持つレンズを形成することができる。これにより、色収差をより強く抑制することができる。
【0057】
第1レンズ群301の焦点距離をf1、全系(レンズ系300)の広角端の焦点距離をfwとすると、条件式
−1.8<f1/fw<−1.1 (条件式4)
を満足することが好ましい。条件式4の下限を満足する、すなわち、第1レンズ群301の屈折力を所定の下限閾値より高くすることで、レンズ系300を小型化することができる。条件式4の上限を満足する、すなわち第1レンズ群301の屈折力を所定の上限閾値より高くしないことで、結像特性を高めることができる。
【0058】
第2レンズ群302の焦点距離をf2とすると、条件式
1.0<f2/fw<1.8 (条件式5)
を満足することが好ましい。条件式5の上限を満足する、すなわち、第2レンズ群302の屈折力を所定の下限閾値より高くすることで、レンズ系300を小型化することができる。条件式5の下限を満足する、すなわち、第2レンズ群302の屈折力を所定の上限閾値より高くしないことで、結像特性を高めることができる。
【0059】
第2レンズ群302は少なくとも3つの凸レンズを含んでよい。第2レンズ群302に含まれる全ての凸レンズのアッベ数vが50より大きいことが好ましい。第2レンズ群302の凸レンズのアッベ数を全て50以上にすることで、第2レンズ群302の屈折力を強めつつ、色収差を抑制することができる。これにより、結像特性を高めつつ、レンズ系300を小型化することができる。
【0060】
第1レンズ群301の正レンズの屈折率をn4、アッベ数をv4とすると、2つの条件式
n4>1.9 (条件式6)
v4<35 (条件式7)
を満足することが好ましい。第1レンズ群301が有する正レンズが条件式6及び条件式7を満足することで、第1レンズ群301の光軸方向の厚みを薄くすることができる。これにより、レンズ系300の全長の短縮化に寄与する。
【0061】
第4レンズ群304及び第5レンズ群305は、単一のレンズ又は接合レンズから構成されてよい。第4レンズ群304及び第5レンズ群305の少なくとも一方が、フォーカス機能を担ってよい。第4レンズ群304及び第5レンズ群305の少なくとも一方が、防振機能を担ってよい。
【0062】
フォーカス機能を実現したり、レンズ系で防振機能を実現したりするには、いずれかのレンズ群を駆動することが必要となる。レンズ系300においては、フォーカス機能又は防振機能を担うレンズ群を単一のレンズ又は接合レンズとすることで、レンズの駆動機構を簡素化することができる。また、レンズの駆動素子を軽量化することができる。ひいてはレンズ系300全体の小型化に寄与する。
【0063】
第1レンズ群301に含まれる負の屈折力を有する3つのレンズのうち物体側の2つのレンズの少なくとも1つは、非球面レンズであることが好ましい。物体側のレンズは軸上光線と周辺光線の高さの差が大きくなる。レンズ系300においては、物体側の2枚のレンズのうち少なくとも1つを非球面とすることで、歪曲収差や像面湾曲を効果的に補正することができる。
【0064】
第2レンズ群302は、正の屈折力を有する非球面レンズである少なくとも1つの単レンズを含むことが好ましい。第2レンズ群302が有する最も物体側のレンズが、正の屈折力を有する非球面レンズの単レンズであることが望ましい。第2レンズ群302の正の屈折力を高めるためには、第2レンズ群302を構成する正レンズの屈折力を高める必要がある。第2レンズ群302の物体側のレンズの正の屈折力を高めることで、レンズ系300の全長を短くすることができる。また、強いパワーを持つレンズに非球面を用いることで、収差を効果的に補正することができる。
【0065】
図3は、第1実施例におけるレンズ系300のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。図3は、広角端、中間画角、及び望遠端のそれぞれにおける第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305の位置を示す。なお、STOは絞りを示す。第1実施例において、第4レンズ群304は負屈折力を有する。すなわち、レンズ系300は、負正負負正の5群で構成される。
【0066】
ここで、レンズ系300の実施例の説明で用いられる記号等の意味を説明する。レンズ系300が有する複数の面は、面番号iで識別される。物体側からみてレンズの最初の面を第1面とし、以降、光線が面を通過する順に面番号をカウントアップする。「Di」は、第i番目の面と第i+1番目の面との間の光軸上の間隔を示す。
【0067】
「f」は焦点距離を示す。「Fno」はFナンバーを示す。「ω」は半画角を示す。「R」は曲率半径を示す。曲率半径において、「INF」は平面であることを示す。「n」は屈折率を示す。vは、アッベ数を示す。屈折率n及びアッベ数vは、d線(λ=587.6nm)における値である。
【0068】
表1は、第1実施例におけるレンズ系300が有するレンズのレンズデータを示す。なお、表1において、Diは面番号iに対応づけて示されている。
【表1】
【0069】
表1において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表2は、非球面形状を有する面の面番号と、非球面パラメータとを示す。表2において、「κ」は、円錐定数(コーニック定数)を示す。「A」、「B」、「C」、及び「D」は、それぞれ4次、6次、8次、及び10次の非球面係数である。また、非球面係数において、「E−i」は10を底とする指数表現を示す。すなわち、「E−i」は、「10−i」を表す。例えば、「6.04845E−06」は、「6.04845×10−6」を表す。
【表2】
【0070】
「x」をレンズ面の頂点からの光軸方向における距離とし、「y」を光軸に垂直な方向における高さとし、「c」をレンズの頂点における近軸曲率とした場合、非球面形状は次の式によって定義される。
x=cy/(1+(1−(1+κ)c1/2)+Ay+By+Cy8+Dy10
なお、「x」はサグ量とも呼ばれる。「y」は像高とも呼ばれる。近軸曲率は、曲率半径の逆数である。
【0071】
表3は、広角端、中間画角及び望遠端のそれぞれにおけるレンズ系300の焦点距離、Fナンバー及び半画角を示す。
【表3】
【0072】
レンズ系300における広角端と望遠端との間の変倍に際して、第1レンズ群301と第2レンズ群302との間の面間隔D8、第2レンズ群302と第3レンズ群303との間の面間隔D15、第3レンズ群303と第4レンズ群304との間の面間隔D21、第4レンズ群304と第5レンズ群305との間の面間隔D29、及び、第5レンズ群305と撮像素子221との」間の面間隔D31が変化し得る。表4は、広角端、中間画角及び望遠端のそれぞれにおける面間隔を示す。
【表4】
【0073】
表5は、第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305のそれぞれの焦点距離を示す。
【表5】
【0074】
図4は、レンズ系300の広角端から望遠端への変倍時に第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305が移動する軌跡を模式的に示す。矢印は、レンズ系300の変倍に際して移動することを示す。図3及び図4に示されるように、第1レンズ群301から撮像素子221までの間隔は、変倍時に一定である。
【0075】
第1レンズ群301は、物体側より、負レンズL1、負レンズL2、負レンズL3及び正レンズL4の4枚のレンズを有する。負レンズL1は非球面レンズである。第1レンズ群301を構成するレンズのうち物体側に配置される2つを凹レンズとし、少なくとも1つの凹レンズを非球面レンズとすることが好ましい。物体側に凹レンズを配置することがより好ましい。これにより、特に入射角が大きくなる広角側の軸外光線を緩やかに曲げることができるので、周辺光線に対する結像特性を高めることができる。また、物体側においては周辺光線が他の光線から分離されている。この物体側に非球面レンズを配置することで、歪曲収差及び像面湾曲等の収差を良好に補正することができる。また、第1レンズ群301が持つ負のパワーを3枚の負レンズL1〜L3で分担するので、収差を抑えながら第1レンズ群301の負のパワーを強めることができる。また、レンズ系300の全長を短くすることができる。
【0076】
第1レンズ群301の正レンズL4の屈折力及びアッベ数は、n>1.9、v<35を満たすことが望ましい。第1レンズ群301の負レンズL1〜L3のアッベ数は、全てv>60であることが望ましい。特に、第1レンズ群301において、負レンズL2及び負レンズL3のアッベ数は、v>70である。第1レンズ群301を構成する3枚の負レンズL1〜L3のうち少なくとも1つのアッベ数は、v>70であることが望ましい。負レンズである第1レンズ群301に含まれる少なくとも1つの負レンズのアッベ数をv>70とすることで、特に広角側の倍率色収差を良好に補正することができる。
【0077】
第2レンズ群302は、物体側より負正の接合レンズL5及びL6、正の単レンズL7及びL8を有する。第2レンズ群302を構成するレンズのうち少なくとも1つ以上のレンズを接合レンズとすることが望ましい。接合レンズを構成するレンズL6のアッベ数はv>65であることが望ましい。
【0078】
第3レンズ群303は、絞りSTOと、単レンズL10と、負正の接合レンズL11及びL12とを有する。第4レンズ群304は、負正の接合レンズL13及びL14と、正負の接合レンズL15及びL16と、単レンズL17とを有する。第3レンズ群303及び第4レンズ群304はともに、少なくとも1つ以上の接合レンズを含むことが望ましい。第3レンズ群303及び第4レンズ群304が含むレンズの少なくとも1つ以上を接合レンズとすることにより、軸上色収差を良好に補正することができる。
【0079】
第5レンズ群305は、単レンズである。第5レンズ群305は接合レンズであってよい。第5レンズ群305はフォーカスレンズとして機能する。フォーカス機能を有する第5レンズ群305を単レンズ又は接合レンズとすることで、第5レンズ群305の駆動機構への重量負荷を軽減することができる。また、第5レンズ群305を保持する保持枠を小型化することができる。
【0080】
図3及び図4に示されるように、広角端から望遠端へと変倍する場合、第2レンズ群302は像面側から物体側へと一方向に移動する。レンズ系300の変倍においては、第1レンズ群301及び第2レンズ群302が主変倍成分を担い、第3レンズ群303、第4レンズ群304及び第5レンズ群305が副変倍成分を担う。第5レンズ群305は、変倍に伴う像面変動の補正も担う。
【0081】
第3レンズ群303は、広角端から望遠端への変倍時に、像面側から物体側へ移動する。このとき、第3レンズ群303は、第2レンズ群302との間隔が開くように移動する。広角端から望遠端への変倍時に、第4レンズ群304は、像面側から物体側へ移動する。このとき、第4レンズ群304は、第3レンズ群303との間隔が近づくように移動する。広角端から望遠端への変倍時に、第5レンズ群305は撮像素子221に向けて凸の移動軌跡で移動する。レンズ群が撮像素子221に向けて凸の移動軌跡で移動するとは、例えば横軸を画角又は焦点距離とし、縦軸を光軸方向におけるレンズ群の変位量とし、撮像素子221に向かう方向を縦軸の正方向としてレンズ群の移動軌跡を描いた場合に、レンズ群の移動軌跡が凸となることを意味する。第5レンズ群305と第4レンズ群304との間隔は、広角端から予め定められた画角になるまでの間は広がる。第5レンズ群305と第4レンズ群304との間隔は、予め定められた画角から望遠端に到達するまでの間、狭くなり得る。
【0082】
図5は、広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。図6は、中間画角における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。図7は、望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
【0083】
図5から図7に示す球面収差図において、実線はd線(587.56nm)の値を示し、破線はg線(435.84nm)の値を示す。図5から図7に示す非点収差図において、実線はd線のサジタル像面の値を示し、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。図5から図7に示す歪曲収差図は、d線についての値を示す。各収差図から、レンズ系300は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが分かる。
【0084】
図8は、3波長の光についてのレンズ系300の球面収差図を示す。太線はc線(656.28nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。広角端、中間画角、望遠端ともに、各波長の光について球面収差が0.1mm以内の範囲に収まっている。これにより、軸上色収差が良好に補正されていることが分かる。
【0085】
図9は、第2実施例におけるレンズ系900のレンズ構成を、撮像素子221とともに示す。レンズ系900は、第1レンズ群901と、第2レンズ群902と、第3レンズ群903と、第4レンズ群904と、第5レンズ群905とを備える。第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、第4レンズ群904、及び第5レンズ群905は、それぞれ、レンズ系300における第1レンズ群301、第2レンズ群302、第3レンズ群303、第4レンズ群304、及び第5レンズ群305に対応する。レンズ系900に関する説明において、レンズ系900が有する特徴のうち、レンズ系300との相違点のみを説明し、同様の特徴については省略する場合がある。また、レンズ系900の説明で用いられる記号等は、特に説明しない限り、レンズ系300に関連して説明した記号等の意味と同じである。
【0086】
第2実施例において、第4レンズ群904は正屈折力を有する。すなわち、レンズ系900は、負正負正正の5群で構成される。
【0087】
図9には、広角端、中間画角、及び望遠端のそれぞれにおける第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、第4レンズ群904及び第5レンズ群905の位置が示されている。
【0088】
表6は、レンズ系900が有するレンズのレンズデータを示す。
【表6】
【0089】
表6において、面番号に*が付されている面は、非球面形状を有する面である。表7は、レンズ系900において非球面形状を有する面と、非球面パラメータとを示す。「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、それぞれ4次、6次、8次、10次及び12次の非球面係数である。
【表7】
【0090】
「x」をレンズ面の頂点からの光軸方向における距離とし、「y」を光軸に垂直な方向における高さとし、「c」をレンズの頂点における近軸曲率とした場合、非球面形状は次の式によって定義される。
x=cy/(1+(1−(1+κ)c1/2)+Ay+By+Cy8+Dy10+Ey12
【0091】
表8は、広角端、中間画角及び望遠端のそれぞれにおけるレンズ系900の焦点距離、Fナンバー及び半画角を示す。
【表8】
【0092】
レンズ系900における広角端と望遠端との間の変倍に際して、第1レンズ群901と第2レンズ群902との間の面間隔D8、第2レンズ群902と第3レンズ群903との間の面間隔D15、第3レンズ群903と第4レンズ群904との間の面間隔D21、第3レンズ群903と第4レンズ群904との間の面間隔D29、及び第5レンズ群905と撮像素子221との間の面間隔D31が変化し得る。表9は、広角端、中間画角及び望遠端のそれぞれにおける焦点距離及び面間隔を示す。
【表9】
【0093】
表10は、第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、第4レンズ群904及び第5レンズ群905のそれぞれの焦点距離を示す。
【表10】
【0094】
図10は、レンズ系900の広角端から望遠端への変倍時に第1レンズ群901、第2レンズ群902、第3レンズ群903、第4レンズ群904及び第5レンズ群905が移動する軌跡を模式的に示す。矢印は、レンズ系900の変倍に際して移動することを示す。図9及び図10に示されるように、第1レンズ群901から撮像素子221までの間隔は、変倍時に一定である。
【0095】
第1レンズ群901は、物体側より、負レンズL1、負レンズL2、負レンズL3及び正レンズL4の4枚のレンズを有する。なお、第2実施例において、Liは、物体側からi番目の光学要素のレンズであることを示すための記号である。第1実施例におけるレンズに割り当てられた記号Liと同じ記号であっても、同じレンズであることを意味しない。
【0096】
第1レンズ群901を、負レンズL1、負レンズL2、負レンズL3及び正レンズL4の4枚のレンズを含んで構成することで、特に入射角が大きくなる広角側の軸外光線を緩やかに曲げることができる。したがって、歪曲収差、コマ収差、及び像面湾曲などの軸外収差を良好に補正することができる。また、望遠側の球面収差を良好に補正することができる。また、第1レンズ群901が持つ負のパワーを3枚の負レンズL1〜L3で分担するので、収差を抑えながら第1レンズ群901の負のパワーを強めることができる。また、レンズ系900の全長を短くすることができる。
【0097】
負レンズL1は非球面レンズである。第1レンズ群901を構成するレンズのうち物体側に配置される2つを凹レンズとし、少なくとも1つの凹レンズを非球面レンズとすることが好ましい。物体側に凹レンズを配置することがより好ましい。これにより、特に入射角が大きくなる広角側の軸外光線を緩やかに曲げることができるので、周辺光線に対する結像特性を高めることができる。また、物体側においては周辺光線が他の光線から分離されている。この物体側に非球面レンズを配置することで、歪曲収差及び像面湾曲等の収差を良好に補正することができる。
【0098】
第1レンズ群901の正レンズL4の屈折力及びアッベ数は、n>1.9、v<35を満たすことが望ましい。第1レンズ群901の負レンズL1〜L3のアッベ数は、全てv>60であることが望ましい。特に、第1レンズ群901において、負レンズL2及び負レンズL3のアッベ数は、v>70である。第1レンズ群901を構成する3枚の負レンズL1〜L3のうち少なくとも1つのアッベ数は、v>70であることが望ましい。負レンズである第1レンズ群901に含まれる少なくとも1つの負レンズのアッベ数をv>70とすることで、特に広角側の倍率色収差を良好に補正することができる。
【0099】
第2レンズ群902は、物体側より正の単レンズL5、負正の接合レンズL6及びL7、正の単レンズL8を有する。第2レンズ群902を構成するレンズのうち少なくとも1つ以上のレンズを接合レンズとすることが望ましい。第2レンズ群902に含まれる全ての凸レンズのアッベ数vが50より大きいことが好ましい。第2レンズ群902の凸レンズのアッベ数を全て50以上にすることで、第2レンズ群902の屈折力を強めつつ、色収差を抑制することができる。これにより、結像特性を高めつつ、レンズ系900を小型化することができる。
【0100】
第3レンズ群903は、絞りSTOと、負レンズL10と、負正の接合レンズL11及びL12とを有する。第4レンズ群904は、正の単レンズL13と、負正の接合レンズL14及びL15と、負正の接合レンズL16及びL17とを有する。第3レンズ群903及び第4レンズ群904はともに、少なくとも1つ以上の接合レンズを含むことが望ましい。第3レンズ群903及び第4レンズ群904が含むレンズの少なくとも1つ以上を接合レンズとすることにより、軸上色収差を良好に補正することができる。
【0101】
第5レンズ群905は、単レンズである。第5レンズ群905は接合レンズであってよい。第5レンズ群905はフォーカスレンズとして機能する。フォーカス機能を有する第5レンズ群905を単レンズ又は接合レンズとすることで、第5レンズ群905の駆動機構への重量負荷を軽減することができる。また、第5レンズ群905を保持する保持枠を小型化することができる。
【0102】
図9及び図10に示されるように、広角端から望遠端へと変倍する場合、第2レンズ群902は像面側から物体側へと一方向に移動する。レンズ系900の変倍においては、第1レンズ群901及び第2レンズ群902が主変倍成分を担い、第3レンズ群903、第4レンズ群904及び第5レンズ群905が副変倍成分を担う。第5レンズ群905は、変倍に伴う像面変動の補正も担う。
【0103】
第3レンズ群903は、広角端から望遠端への変倍時に、像面側から物体側へ移動する。このとき、第3レンズ群903は、第2レンズ群902との間隔が開くように移動する。広角端から望遠端への変倍時に、第4レンズ群904は、像面側から物体側へ移動する。このとき、第4レンズ群904は、第3レンズ群903との間隔が近づくように移動する。広角端から望遠端への変倍時に、第5レンズ群905は撮像素子221に向けて凸の移動軌跡で移動する。第5レンズ群905と第4レンズ群904との間隔は、広角端から予め定められた画角になるまでの間は広がる。第5レンズ群905と第4レンズ群904との間隔は、予め定められた画角から望遠端に到達するまでの間、狭くなり得る。
【0104】
図11は、広角端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。図12は、中間画角における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。図13は、望遠端における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す。
【0105】
図11から図13に示す球面収差図において、実線はd線(587.56nm)の値を示し、破線はg線(435.84nm)の値を示す。図11から図13に示す非点収差図において、実線はd線のサジタル像面の値を示し、破線はd 線のメリディオナル像面の値を示す。図11から図13に示す歪曲収差図は、d線についての値を示す。各収差図から、レンズ系900は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが分かる。
【0106】
図14は、レンズ系900の3波長の光についての球面収差図を示す。太線はc線(656.28nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。広角端、中間画角、望遠端ともに、各波長の光について球面収差が十分小さい範囲に収まっている。軸上色収差が良好に補正されていることが分かる。
【0107】
表11は、第1実施例及び第2実施例の条件式に係る数値をまとめて示す。表11において条件式1、条件式2及び条件式3に対応づけられた数値は、それぞれ負レンズL1、負レンズL2及び負レンズL3のアッベ数を示す。条件式4に対応づけられた数値は、f1/fwの値を示す。条件式5に対応づけられた数値は、f2/fwの値を示す。条件式6に対応づけられた数値は、屈折率を示す。条件式7に対応づけられた数値は、アッベ数を示す。
【表11】
【0108】
以上に説明したように、レンズ系300及びレンズ系900によれば、最も物体側に位置するレンズを変倍時に移動させないズームレンズを提供することができる。これにより、最も物体側に位置するレンズに関する製造誤差や駆動誤差等の影響を抑制することができる。例えば、変倍時にピントずれや像のずれ等を生じにくくすることができる。
【0109】
図15は、スタビライザ800の一例を示す外観斜視図である。スタビライザ800は、移動体の他の一例である。例えば、スタビライザ800が備えるカメラユニット813が、撮像装置220と同様の構成の撮像装置を備えてよい。カメラユニット813が、レンズ装置160と同様の構成のレンズ装置を備えてよい。
【0110】
スタビライザ800は、カメラユニット813、ジンバル820、及び持ち手部803を備える。ジンバル820は、カメラユニット813を回転可能に支持する。ジンバル820は、パン軸809、ロール軸810、及びチルト軸811を有する。ジンバル820は、パン軸809、ロール軸810、及びチルト軸811を中心に、カメラユニット813を回転可能に支持する。ジンバル820は、支持機構の一例である。
【0111】
カメラユニット813は、撮像装置の一例である。カメラユニット813は、メモリを挿入するためのスロット812を有する。ジンバル820は、ホルダ807を介して持ち手部803に固定される。
【0112】
持ち手部803は、ジンバル820、カメラユニット813を操作するための各種ボタンを有する。持ち手部803は、シャッターボタン804、録画ボタン805、及び操作ボタン806を含む。シャッターボタン804が押下されることで、カメラユニット813により静止画を記録することができる。録画ボタン805が押下されることで、カメラユニット813により動画を記録することができる。
【0113】
デバイスホルダ801が持ち手部803に固定されている。デバイスホルダ801は、スマートフォンなどのモバイルデバイス802を保持する。モバイルデバイス802は、WiFiなどの無線ネットワークを介してスタビライザ800と通信可能に接続される。これにより、カメラユニット813により撮像された画像をモバイルデバイス802の画面に表示させることができる。
【0114】
スタビライザ800においても、カメラユニット813がスタビライザ800の他の部位と干渉することを抑制できる。
【0115】
以上、移動体の一例としてUAV100及びスタビライザ800を取り上げて説明した。撮像装置220と同様の構成を有する撮像装置は、UAV100及びスタビライザ以外の移動体に取り付けられてよい。
【0116】
以上において、移動体に取り付けられる撮像装置について説明した。しかし、撮像装置220と同様の構成を有する撮像装置は、移動体に取り付けられる撮像装置に限られない。撮像装置220と同様の構成は、いわゆるコンパクトデジタルカメラ等のレンズ非交換式のカメラに適用できる。レンズ装置160と同様の構成は、一眼レフレックスカメラ等のレンズ交換式カメラの交換レンズに適用できる。レンズ装置160と同様の構成は、撮像用の様々なレンズ装置の構成に適用できる。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0118】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0119】
10 移動体システム
50 コントローラ
52 操作部
54 表示部
100 UAV
101 UAV本体
102 インタフェース
104 制御部
106 メモリ
110 ジンバル
112 制御部
114、116、118 ドライバ
124、126,128 駆動部
130 支持機構
134、136、138 回転機構
140 撮像部
160 レンズ装置
161 駆動機構
162 制御部
163 メモリ
220、230 撮像装置
221 撮像素子
222 制御部
223 メモリ
231 撮像素子
232 制御部
233 メモリ
234 制御部
235 レンズ
300 レンズ系
301 第1レンズ群
302 第2レンズ群
303 第3レンズ群
304 第4レンズ群
305 第5レンズ群
800 スタビライザ
801 デバイスホルダ
802 モバイルデバイス
803 持ち手部
804 シャッターボタン
805 録画ボタン
806 操作ボタン
807 ホルダ
809 パン軸
810 ロール軸
811 チルト軸
812 スロット
813 カメラユニット
820 ジンバル
900 レンズ系
901 第1レンズ群
902 第2レンズ群
903 第3レンズ群
904 第4レンズ群
905 第5レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15