(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの総称である。
【0017】
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、非架橋性モノマーと官能基を有する架橋性モノマーの共重合体、架橋剤および紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物である。
ここで、共重合体は、非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位およびホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位を含み、
共重合体は、架橋性モノマーを構成する単位として官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位を含み、
共重合体における、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比が、20〜60質量%であり、
共重合体を構成する単位のうち酸性基を有するモノマー由来の単位の質量比が0.5質量%未満であり、
紫外線吸収剤が23℃で液状または油状である。
【0018】
上記構成により、本発明の粘着剤組成物は、金属腐食防止性、紫外線吸収性、粘着力、保持力、段差埋まり性および異物埋まり性が良好な粘着剤層を形成することができる。
具体的には、共重合体を構成する単位のうち酸性基を有するモノマー由来の単位の質量比を非常に少ない範囲に制御することにより、粘着剤層の金属腐食防止性を良好にできる。
共重合体を構成する単位のうち官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比をある程度多い範囲に制御することにより、架橋剤と共重合体の架橋確率を高めることができ、23℃で液状または油状である紫外線吸収剤を用いる場合も粘着剤層の保持力を良好にできる。なお、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマーは架橋剤を用いる場合の反応点となり、架橋により粘着力や保持力の制御が可能となる。
ガラス転移温度が高いモノマーと低いモノマーを有する共重合体を、23℃で液状または油状である紫外線吸収剤と併用することにより、紫外線吸収性に加え、粘着剤層において粘着力と、段差埋まり性または異物埋まり性との両方(両者のバランス)を良好にできる。
【0019】
さらに、本発明の粘着剤組成物は、耐衝撃性に優れた粘着剤層を形成することができる。粘着剤層の耐衝撃性は、粘着剤層の90°剥離力が10N以上となるように共重合体の構成等を調整することにより、効果的に向上する。
以下、本発明の粘着剤組成物の好ましい態様を説明する。
【0020】
<共重合体>
本発明に用いられる、非架橋性モノマーと官能基を有する架橋性モノマーの共重合体は、共重合体の非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位およびホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位を含み、共重合体の架橋性モノマーを構成する単位として官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位を含む。共重合体において、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比は20〜60質量%であり、共重合体を構成する単位のうち酸性基を有するモノマー由来の単位の質量比は0.5質量%未満である。
【0021】
本発明では、共重合体は、アクリル共重合体であることが好ましく、架橋性アクリル共重合体であることがより好ましい。なお、共重合体は、上記構成単位を所定条件で含むものであればその他の制限はなく、公知の共重合体を用いることもできる。
【0022】
(非架橋性モノマーを構成する単位)
−ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位−
共重合体は、共重合体の非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位を含む。すなわち、共重合体は、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下の非架橋性モノマーに由来する単位を含む。
ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下の非架橋性のモノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチルなどを挙げることができる。中でも、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下の非架橋性のモノマーは、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)であることが好ましい。なお、これらは必要に応じ2種類以上を併用してもよい。
非架橋性モノマー単位のうちガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位およびガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位の質量比は、1:1〜5:1であることが好ましく、2:1〜5:1であることがより好ましい。さらに異物埋まり性を良好にする観点からは、ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位およびガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位の質量比は、3:1〜5:1であることが特に好ましい。
【0023】
−ガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位−
共重合体は、共重合体の非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位を含む。すなわち、共重合体は、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上の非架橋性モノマーに由来する単位を含む。
ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上の非架橋性のモノマーとしては、アクリル酸メチル(MA)、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、アクリル酸シクロヘキシル(CHA)、アクリル酸イソボルニル(IBXA)、アクリル酸t−ブチル(TBA)、アクリル酸ベンジル(BZA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)などを挙げることができる。中でも、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上の非架橋性のモノマーは、アクリル酸メチル(MA)又は2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)であることが好ましく、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)であることがより好ましい。これらは必要に応じ2種類以上を併用してもよい。
【0024】
−各単位の組み合わせ−
共重合体は、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位として、アクリル酸エステルに由来する単位を含み、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位として、メタクリル酸エステルに由来する単位を含むことが好ましい。そして、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルは、エステル構造が同一であることが好ましい。ここで、エステル構造が同一であるとは、エステル結合を含む側鎖(この場合の側鎖とは重合体にした時の側鎖になる部分をさす)を構成する部分の構造が同一であることをいう。エステル構造が同一であるアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)と2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)との組み合わせが挙げられる。
【0025】
ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位は、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−65℃以下のモノマー由来の単位であることがより好ましく、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位は、ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上0℃以下のモノマー由来の単位であることが特に好ましい。中でも、ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位が2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)であり、ガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位が2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)であることが好ましい。共重合体の構成を上記構成とすることにより、本発明の粘着剤組成物から、金属腐食防止性、紫外線吸収性、粘着力、保持力、段差埋まり性および異物埋まり性が良好な粘着剤層を形成することができ、さらに、粘着剤層の耐衝撃性を高めることができる。
【0026】
−ガラス転移温度が−60℃を超え−15℃未満のモノマー由来の単位−
共重合体は、共重合体の非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃を超え−15℃未満のモノマー由来の単位を含んでいてもよい。
ホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃を超え−15℃未満の非架橋性モノマーとしては、n−ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、イソブチルアクリレート(IBA)、イソオクチルアクリレート(IOA)、イソノニルアクリレート(INAA)、イソステアリルアクリレート(ISTA)、フェノキシエチルアクリレート(PHEA)、ラウリルアクリレート(LA)、メトキシエチルアクリレート(2MEA)などを挙げることができる。これらは必要に応じ2種類以上を併用してもよい。
共重合体を構成する非架橋性モノマー単位のうちホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃を超え−15℃未満のモノマー由来の単位の質量比は、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜3質量%であることが特に好ましい。
【0027】
ここで、本明細書におけるガラス転移温度とは、各モノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度である。具体的なガラス転移温度としては、文献値を採用してもよいが、各モノマーを重量平均分子量が1万以上のホモポリマーとした後、該ホモポリマーのガラス転移温度をDSC(示差走査熱計量計)を用いて測定した値を採用してもよい。
【0028】
(架橋性モノマー由来の単位)
本発明では、共重合体の架橋性モノマーを構成する単位として官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位を含む。すなわち、共重合体は、ヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかを有する架橋性モノマーに由来する単位を含む。
官能基はヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかであればよいが、官能基がヒドロキシ基であることが好ましい。
本発明では、共重合体において、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比は、20〜60質量%であり、20〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
【0029】
−ヒドロキシ基を有するモノマー由来の単位−
架橋性モノマーがヒドロキシ基を有するモノマーである場合、ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは必要に応じ2種類以上を併用してもよい。
官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマーは、官能基がヒドロキシ基である架橋性モノマーであることが好ましく、中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
共重合体における、ヒドロキシ基を有するモノマー由来の単位の質量比は、20〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。共重合体におけるヒドロキシ基を有するモノマー由来の単位の質量比が60質量%以下であると、粘着剤組成物の塗工適性を高めることができ、粘着剤層の粘着力を良好にすることができる。
【0030】
−アミド基またはアミノ基を有するモノマー由来の単位−
架橋性モノマーが、アミド基またはアミノ基を有するモノマー由来の単位を有している場合は、アミド基またはアミノ基を有するモノマー由来の単位としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチルアクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
共重合体を構成する単位のうちアミド基またはアミノ基を有するモノマー由来の単位は、架橋性官能基を有するモノマーに由来する単位であるため20〜60質量%の範囲で使用することができるが、架橋性官能基を有するモノマーとしてはヒドロキシ基を有するモノマーが含まれることが好ましい。このため、実際の質量比は0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましく、0〜5質量%であることが特に好ましく、0質量%であることがより特に好ましい。
なお、共重合体は架橋性モノマー由来の単位として、ヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基以外のその他の官能基を有するモノマー由来の単位を含んでいてもよい。その他の官能基を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマーなどを挙げることができる。
【0031】
(酸性基を有するモノマー由来の単位)
酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸等のカルボキシル基含有単量体などを挙げることができる。
共重合体を構成する単位のうち酸性基を有するモノマー由来の単位の質量比は、0.5質量%未満であり、0.1質量%未満であることが好ましく、0.01質量%未満であることがより好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
なお、酸性基を有するモノマーは架橋性モノマーであってもよい。
【0032】
(共重合体の物性)
共重合体の重量平均分子量は、10万以上200万以下が好ましく、20万以上100万以下がより好ましく、30万以上80万以下が特に好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な異物埋まり性を確保することができる。なお、共重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
【0033】
共重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。共重合体として公知の方法により合成したものを用いる場合、例えば、溶液重合法を適用することができる。溶液重合法としては、イオン重合法やラジカル重合法など挙げられる。その際に使用される溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。また、溶液重合法以外の方法としては、具体的には、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを挙げることができる。
【0034】
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−70℃以上0℃以下であることが好ましく、−65℃以上−5℃以下であることがより好ましく、−60℃以上−10℃以下であることがさらに好ましい。共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着剤組成物を粘着剤層としたときの凝集力をより高めることができる。これにより、耐久性に優れ、かつ粘着力に優れた粘着剤層が得られる。
【0035】
<架橋剤>
架橋剤は、熱により共重合体と反応する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、共重合体が有する官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。本発明では共重合体がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかを含むため、容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることが好ましい。
本発明では、架橋剤が二官能性以上のエポキシ化合物および二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類または2種類以上であることが好ましく、二官能性以上のイソシアネート化合物であることがより好ましい。
【0036】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
架橋剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、キシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)、キシレンジイソシアネート系架橋剤(綜研化学社製、TD−75)、ポリイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートL−55E)等が挙げられる。
【0037】
(架橋剤の含有量)
架橋剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする接着物性等に応じて適宜選択され、特に限定されない。例えば、共重合体100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下とすることが好ましく、0.03質量部以上3質量部以下とすることがより好ましく、0.05質量部以上0.8質量部以下とすることが特に好ましい。
【0038】
<紫外線吸収剤>
本発明の粘着剤組成物は、23℃で液状または油状である紫外線吸収剤を含む。
紫外線吸収剤が23℃で液状または油状であるとは、希釈溶剤がなくても紫外線吸収剤のみで23℃で流動性がある状態のことを言う。
【0039】
紫外線吸収剤は、波長340nm以上に吸収極大波長を有する紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0040】
本発明では、紫外線吸収剤が、ヒドロキシ基を有する化合物であることが、紫外線吸収剤の含有量が少なくても紫外線吸収性を良好にできる観点から好ましい。
紫外線吸収剤の骨格としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、下記一般式(1)または(2)で示される化合物であることが好ましい。また、紫外線吸収剤として、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(2)で示される化合物を混合したものを用いることも好ましい。
【0041】
【化1】
一般式(1)中、
R1:水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはシアノ基
R2:水素原子または炭素数1〜8のアルキル基
R3:アルキル基系構造体。
【0042】
【化2】
一般式(2)中、
R1、R2、R3:少なくとも1つ以上が水酸基、アルキル基系構造体またはハロゲン原子。
【0043】
中でも、基本骨格の芳香環に分子量の大きなアルキル基を導入することは、相溶性を向上させる観点から好ましい。
一般式(1)または(2)で示される化合物が好ましい理由としては、例えば、トリアゾール環を形成する側の芳香環に電子求引性基である塩素が結合したものや、フェノール環側をメチレン基で二量化したものでは、紫外線の吸収極大波長が長波長側にシフトし、さらに近紫外域の吸収が強くなる点が挙げられる。
【0044】
紫外線吸収剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、一般式(1)で示される化合物としてBASF社製のチヌビン 384−2、チヌビン 109などを挙げることができ、一般式(2)で示される化合物としてBASF社製のチヌビン 477などを挙げることができる。
【0045】
(紫外線吸収剤の含有量)
本発明では、粘着剤組成物における紫外線吸収剤の配合量を高くできる点にも特徴がある。従来、粘着剤組成物に紫外線吸収剤を多く添加した場合、紫外線吸収剤が析出するなどして高配合を達成することが困難である場合があった。一方で、紫外線吸収剤の配合量を高めるために、粘着剤組成物の構成や紫外線吸収剤の種類を調整した場合には、金属腐食性や粘着物性が両立されない場合があった。そこで、本発明においては、粘着剤組成物の構成を所定の構成とすることにより、紫外線吸収剤を高配合とでき、かつ、金属腐食性、粘着力、保持力、段差埋まり性および異物埋まり性といった各種性能を両立することを可能にした。
【0046】
紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されるものではなく、また、粘着剤層の厚みによっても異なるが、一例として粘着剤層が100μm(±50μm程度)の時は紫外線吸収剤を共重合体100質量部に対して0.1〜8質量部含有することが好ましく、0.5〜6質量部含有することがより好ましく、1〜4質量部含有することが特に好ましい。
紫外線吸収剤の含有量を上記範囲の下限値以上とすることにより、紫外線吸収性を良好にすることができる。紫外線吸収剤の含有量を上記範囲の上限値以下とすることにより、相溶性、粘着力及び保持力を良好にすることができる。
また、紫外線吸収剤を2種類以上併用してもよく、上記の紫外線吸収剤であれば、その場合の含有割合は、上記の配合量内で任意に選ぶことができる。
【0047】
<溶剤>
粘着剤組成物はさらに溶剤を含有してもよい。溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
【0048】
溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中における溶剤の含有量は、特に限定されないが、共重合体100質量部に対し、25質量部以上500質量部以下とすることができ、30質量部以上400質量部以下とすることができる。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下とすることができ、20質量%以上80質量%以下とすることができる。
なお、粘着剤組成物は、溶媒を含む状態では、固形分濃度が20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
【0049】
<併用される添加剤>
架橋剤および紫外線吸収剤と併用される添加剤としては、紫外線の透過率を下げる点でヒンダードアミン系化合物に代表される光安定剤が好ましい。
光安定剤の作用機構は、上記の紫外線吸収剤の機構と異なり、一般的に3種類のHALS酸化体を中心とし、ラジカル補足効果が主な安定化効果とされていると推定される。
【0050】
また、紫外線吸収剤をより効果的に長時間の使用に耐久させるためには、ヒンダードフェノール系化合物に代表される酸化防止剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤の変質は、共重合体を重合する際に使用された重合開始剤の残存物から生成するラジカルが原因であると推定されるため、酸化防止剤によって生成するラジカルを捕捉することによって紫外線吸収剤の変質を抑制できると考えられる。
同様に、酸化防止剤は、一般にラジカル連鎖停止剤とよばれる一次酸化防止剤と、過酸化物分解剤として作用する二次酸化防止剤とに分類される。一次酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤が挙げられる。また、二次酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられる。
これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0051】
併用される添加剤の含有量は、共重合体100質量部に対して0.03〜1.5質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
含有量が下限値以上であれば、高温、低温及び湿熱環境下にて長時間にわたって使用した際の紫外線吸収性を確実に維持でき、上限値以下であれば、380nmでの透過率上昇や粘着力の低下をより防止できる。
【0052】
粘着剤組成物には、上述した添加剤の他に、必要に応じて、粘着付与剤、シランカップリング剤、金属腐食防止剤などの他の添加剤が含まれてもよい。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
金属腐食防止剤としては金属と錯体を形成し金属表面に皮膜を作ることにより腐食を防止するタイプが好ましく、特にベンゾトリアゾール系金属腐食防止剤が好ましい。
【0053】
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有し、粘着剤層が本発明の粘着剤組成物の硬化物である。
【0054】
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、片面粘着シートでも両面粘着シートでもよい。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、ノンキャリアタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
【0055】
本発明の粘着シートが支持体を有している場合、支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、ITO蒸着フィルムや金属メッシュフィルムのような透明導電性フィルムや電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。
【0056】
粘着剤層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、粘着シートは、剥離シート付き粘着シートであってもよい。
図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、
図1の粘着シート11は、ノンキャリアタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
【0057】
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO
2単位と(CH
3)
3SiO
1/2単位あるいはCH
2=CH(CH
3)SiO
1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
【0058】
本発明では、粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シートおよび第2の剥離シートの剥離力が異なることが好ましい。
図1の例では、剥離シート12においては、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
【0059】
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上450μm以下であることがより好ましく、30μm以上450μm以下であることがさらに好ましく、40μm以上400μm以下であることが一層好ましく、40μm以上350μm以下であることがより一層好ましく、40μm以上300μm以下であることが特に好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性を十分に確保することができ、さらに耐久性を高めることができる。また、粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、両面粘着シートの製造が容易となる。また粘着剤層の厚みが薄い場合は紫外線吸収剤を上限に近い量を添加することが好ましい。
【0060】
本発明では、粘着シートの380nmの波長の光での分光透過率が、粘着剤層の厚みに関わらず5%以下に制御することが好ましい。通常、380nmでの紫外線透過率が8%以下であれば、長期にわたり携帯電話やスマートフォン等のフラットパネルディスプレイに問題が生じないことが経験的に知られているが、本発明に用いられる紫外線吸収剤を先述の範囲で配合すれば、粘着剤層の厚みが上記の好ましい範囲の厚み範囲で5%以下となる。
【0061】
粘着剤層の粘着力は1N/25mm以上であることが好ましく、5N/25mm以上であることがより好ましく、8N/25mmを超えることが特に好ましい。
【0062】
なお、上述した被着体に対する粘着剤層の粘着力は、各被着体に対する180°引き剥がし、粘着力をJIS Z 0237にならって測定した値である。
【0063】
粘着剤層の90°剥離力は10N以上であることが好ましく、11N以上であることがより好ましい。なお、粘着剤層の90°剥離力の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50N以下であれば意図せぬ場所に貼着してしまった場合にでも容易に剥がすことが可能であるため好ましい。粘着剤層の90°剥離力を上記範囲内とすることにより、粘着剤層の耐衝撃性をより効果的に高めることができる。
【0064】
粘着剤層の90°剥離力は以下の方法で測定される。
まず、粘着シートの一方の面に透明PETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300 100μm)を貼合する。透明PETフィルムを基材とした粘着シートを25mm×60mmに裁断後、粘着シートの他方の面セパレータを剥がしてガラス板に2kg荷重ロールで圧着し、常温で24時間放置する。その後、JIS Z 0237の10.4.6に記載の90°引き剥がし粘着力の測定方法に準じて90°剥離力を測定する。
【0065】
(粘着シートの製造方法)
粘着シートの製造方法は、特に限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着剤層と他の層から構成されてもよいが、粘着剤層のみから構成されるものであることが好ましい。他の層としては、例えば上記以外の粘着剤組成物から形成される粘着剤層、支持体、剥離シート等が挙げられる。支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
【0066】
粘着シートの製造工程は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
【0067】
以下、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱して硬化物とする工程について代表して説明する。
【0068】
粘着シートを形成する粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
【0069】
塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。塗膜の加熱により、共重合体および架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着シート)が形成される。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
【0070】
(粘着シートの使用方法)
本発明の粘着シートの使用方法においては、粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させる。
【0071】
[積層体]
本発明の積層体は、本発明の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有する積層体である。
被着体は、表面に金属または金属酸化物を有してもよい。また、積層体のいずれかの層の表面は、金属または金属酸化物を有してもよい。
【0072】
本発明の積層体においては、被着体が段差部を有してもよい。また、被着体は液晶モジュールを有する画像表示装置を構成する光学部材またはタッチパネルを構成する光学部材であることが好ましい。積層体は、粘着シートの粘着剤層を被着体の表面に接触させる工程を経て得られることが好ましい。
【0073】
図2は、本発明の粘着シート21を被着体22と被着体24に貼合した積層体20の構成の一例を表す断面図である。
図2に示されているように、被着体22及び24は段差部(27a、27b、27c、27dまたは27aと27bまたは27cと27dのいずれか片側だけでも良い)を有する。
図2では、被着体22は段差部(27a、27b)を有しており、被着体24が段差部(27c、27d)を有している。なお、段差部(27a、27b、27c、27d)の厚みは、通常5μm以上60μm以下である。このように本発明の粘着シート21は、段差部を有する部材に貼合することができることが好ましく、段差部の凹凸に追従することができることが好ましい。
【0074】
被着体は、光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本発明の粘着シートは、タッチパネルのセンサー積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルのセンサー積層用であることがより好ましい。この観点から、本発明の粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましい。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー,トリアセチルセルロース,ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
【0075】
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体の貼合に用いることができる。この場合、本発明の粘着シートは、タッチパネルの内部におけるITOフィルム同士の貼合、ITOフィルムとITOガラスとの貼合、タッチパネルのITOフィルムと液晶パネルとの貼合、カバーガラスとITOフィルムとの貼合、カバーガラスと加飾フィルムとの貼合などに用いられる。
【0076】
(積層体の製造方法)
本発明は積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、上述した粘着シートを被着体の表面に接触させる工程を含むことが好ましい。
【実施例】
【0077】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0078】
[実施例1]
<粘着剤組成物の作製>
Tg≦−60℃の非架橋性モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA;Tgは約−70℃)を50質量%、Tg≧−15℃の非架橋性モノマーとしてアクリル酸メチル(MA)を15質量%、ヒドロキシ基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を35質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、共重合体(A)を得た。共重合体(A)の重量平均分子量は40万〜50万であった。この時のTg≦−60℃の非架橋性モノマーとTg≧−15℃の非架橋性モノマーの質量比は凡そ3.3:1である。
なお、数平均分子量または重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
上記で得られた共重合体(A)の固形分100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を0.12質量部、紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 477)を2質量部、別の紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 384−2)を0.56質量部加えて、固形分濃度が40質量%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
なお、紫外線吸収剤として用いたBASF社製のチヌビン 477はヒドロキシ基含有のトリアジン系化合物であり、チヌビン 384−2はヒドロキシ基含有のベンゾトリアゾール系化合物であり、いずれも23℃で油状であった。
【0079】
<粘着シートの作製>
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工量が150μm/m
2になるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL−07(L))に貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える粘着シートを得た。この粘着シートに対し、23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置するエージング処理を施した。
【0080】
<積層体(1)の作製>
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷し、5μmの段差部を有する印刷段差ガラスを得た。
【0081】
得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO−650EMT)を用いて、粘着剤層が印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層の面にガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を上記ラミネーターで貼合し、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(1)を得た。
【0082】
<積層体(2)の作製>
得られた粘着シートを、縦50mm×横25mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し厚さ100μmの透明PETフィルム(品名:コスモシャインA4300、東洋紡社製)に貼合した。
被着体として、偏光板(ポラテクノ(株)製、SKN−18243T)を予めガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の片面と同寸法に切り出し、上記偏光板の表面に中心粒径30μmのガラスビーズを約0.05mg散布したものを作製した。
上記透明PETフィルムと一体化されている積層体の第2の剥離シートを剥がし、ラミネーターで上記被着体の偏光板のガラスビーズが散布された表面と貼合した。その後、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(2)を得た。
【0083】
[実施例2および3、比較例4]
実施例1で合成した共重合体(A)の代わりに、共重合体の合成に用いる非架橋性モノマーの質量比を下記表1に記載のとおりに変更して合成した共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
【0084】
[実施例4]
Tg≦−60℃の非架橋性モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA;Tgは約−70℃)を50質量%、Tg≧−15℃の非架橋性モノマーとして2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA;Tgは約−10℃)を15質量%、ヒドロキシ基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を35質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、共重合体(E)を得た。共重合体(E)の重量平均分子量は40万〜50万であった。この時のTg≦−60℃の非架橋性モノマーとTg≧−15℃の非架橋性モノマーの質量比は凡そ3.3:1であった。
上記で得られた共重合体(E)の固形分100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を0.12質量部、紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 477)を2質量部、別の紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 384−2)を0.56質量部加えて、固形分濃度が40質量%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
【0085】
[実施例5及び6]
実施例4で合成した共重合体Bの代わりに、共重合体の合成に用いる非架橋性モノマーの質量比を下記表1に記載のとおりに変更して合成した共重合体を用いた以外は実施例4と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
【0086】
[実施例7]
特開2017−171777号公報の実施例1を参考にして、以下の方法で実施例7の粘着剤組成物を調製した。
Tg≦−60℃の非架橋性モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA;Tgは約−70℃)を60質量%、Tg≧−15℃の非架橋性モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA;Tgは約105℃)を20質量%、ヒドロキシ基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を20質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、共重合体(F)を得た。共重合体(F)の重量平均分子量は60万であった。この時のTg≦−60℃の非架橋性モノマーとTg≧−15℃の非架橋性モノマーの質量比は凡そ3:1であった。
上記で得られた共重合体(F)の固形分100質量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,製品名「BHS8515」)0.4質量部、紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 477)を2質量部、別の紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン 384−2)を0.56質量部加えて、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
【0087】
[比較例1]
特開2012−014043号公報の実施例1を参考にして、以下の方法で比較例1の粘着剤組成物を調製した。
実施例1で合成した共重合体Aの代わりに、共重合体の合成に用いるモノマーの質量比を下記表1に記載のとおりに変更して合成した共重合体(B)を用い、紫外線吸収剤を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
比較例1では非架橋性モノマーとしてn−ブチルアクリレート(BA;Tgは約−55℃)を65質量%、およびMAを35質量%、架橋性モノマーとして酸性基含有モノマーであるアクリル酸(AA)を2質量%となるように配合した以外は実施例1と同様にして共重合体(B)を得た。
比較例1では紫外線吸収剤としてBASF社製のチヌビン 144を2質量部、BASF社製のチヌビン 109を4質量部用いた。なお、紫外線吸収剤として用いたBASF社製のチヌビン 144は淡黄色粉末、チヌビン 109は、23℃で油状であった。
【0088】
[比較例2]
特開2014−196377号公報の実施例1を参考にして、以下の方法で比較例2の粘着剤組成物を調製した。
実施例1で合成した共重合体Aの代わりに、共重合体の合成に用いるモノマーの質量比を下記表1に記載のとおりに変更して合成した共重合体(C)を用い、架橋剤として日本ポリウレタン社製の「コロネートL−55E」を用い、紫外線吸収剤を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
比較例2ではBA、MAおよび2HEAを用いて、BA 39質量%、MA 60質量%および2HEA 1質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の代わりに2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いた以外は実施例1と同様にして共重合体(C)を得た。共重合体(C)の重量平均分子量は65万であった。
比較例2では紫外線吸収剤としてBASF社製のチヌビン 477を4質量部用いた。
【0089】
[比較例3]
特開2012−207055号公報の実施例1を参考にして、以下の方法で比較例3の粘着剤組成物を調製した。
実施例1で合成した共重合体Aの代わりに、共重合体の合成に用いるモノマーの質量比を下記表1に記載のとおりに変更して合成した共重合体(D)を用い、架橋剤としてキシレンジイソシアネート系架橋剤(綜研化学社製、TD−75)3.75質量部を用い、紫外線吸収剤を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
比較例3ではアクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAEA;Tg約−60℃)、BA、MAおよび2HEAを用いて、DMAEA、BA、MAおよび2HEAを0.5質量%、66.5質量%、30質量%、3質量%となるように配合した以外は実施例1と同様にして共重合体(D)を得た。共重合体(D)の重量平均分子量は75万であった。
比較例3では紫外線吸収剤としてエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートからなる紫外線吸収剤(ジプロ化社製のSEESORB 501;ヒドロキシ基を含有しない)を4質量部用いた。なお、ジプロ化社製のSEESORB 501は、23℃で固体であった。
【0090】
[評価]
<金属腐食防止性>
粘着シートを、5mm×12mmになるよう裁断し、一方の離型シートを剥離して、厚さ100μmの透明PETフィルム(品名:コスモシャインA4300、東洋紡社製)を貼合し、透明フィルムを基材とした粘着シートを得た。次いで、もう一方の離型シートを剥離し、粘着剤層側を銅板に貼り合わせた後、85℃、相対湿度85%の雰囲気下で240時間保存した。その後、透明PETフィルム側から銅箔の表面を目視で観察して、銅板表面の腐食の有無を確認し、下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:腐食が認められない。
×:腐食が認められる。
【0091】
<紫外線吸収性>
透明PETフィルムを基材とした粘着シートを50mm×50mmに裁断し、軽剥離セパレータを剥がしてガラス(品名:S9112、松浪硝子工業社製)に貼合した。次いで、重剥離セパレータを剥がして、ガラス/粘着剤層の構成にしてから、紫外可視近赤外分光光度計(型式:UV−3100PC、島津製作所社製)を用い、波長380nmの分光透過率を測定した。
下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:透過率が8%未満。
×:透過率が8%以上。
【0092】
<相溶性(再結晶化)>
透明PETフィルムを基材とした粘着シートを50mm×50mmに裁断し、温度−40℃環境下で250時間処理したものを紫外線吸収剤が再結晶していないか、目視による外観検査を行った。紫外線吸収剤が再結晶していないものを○、紫外線吸収剤が再結晶して局在化しているものを×とした。
【0093】
<粘着力>
透明PETフィルムを基材とした粘着シートを25mm×60mmに裁断後、軽剥離セパレータを剥がしてガラス板に2kg荷重ロールで圧着し、常温で24時間放置した。その後、引張試験機(型式:オートグラフAGS−J、島津製作所社製)を用い、JIS Z 0237に準じて引張速度300mm/分で180度剥離した際の剥離強度を測定し、その剥離強度を粘着力とした。
この粘着力が、8N/25mmを超えたものを◎、5〜8N/25mmのものを○、1N/25mm以上5N/25mm未満のものを△、1N/25mm未満のものを×とした。
【0094】
<保持力>
粘着シートについて、保持力をJIS Z 0237に準拠して、以下の手順で測定した。
上記で製造した粘着シートの軽剥離セパレータを剥離して、露出した粘着剤にPETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300 100μm)を貼合した後、25mm×50mmのサイズに切り出し、重剥離シートを剥離して露出した粘着剤層をSUS板表面との接触面が25mm×25mmになるように貼り付けた。その後、SUS板からはみ出した粘着シートに1kgのおもりを装着し、40℃、dry環境下に24hr放置した。取り出し後、粘着シートとSUS板界面でのずれた距離を測定した。
下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:ずれの距離が5mm未満。
×:ずれの距離が5mm以上もしくはおもりが落下する。
【0095】
<90°剥離力>
透明PETフィルムを基材とした粘着シートを25mm×60mmに裁断後、軽剥離セパレータを剥がしてガラス板に2kg荷重ロールで圧着し、常温で24時間放置した。その後、JIS Z 0237の10.4.6に記載の90°引き剥がし粘着力の測定方法に準じて90°剥離力を測定した。
【0096】
<段差埋まり性および異物埋まり性>
(初期)
積層体(1)の段差部および積層体(2)のガラスビーズ散布部分をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、粘着シートの段差埋まり性および異物埋まり性を以下の基準で評価した。
◎:段差部及びガラスビーズ周辺より直径が50μm以上の気泡が全く発生していない。
○:段差部及びガラスビーズ周辺より直径が50μm以上150μm未満の気泡が5個未満発生している。
×:段差部及び/又はガラスビーズ周辺より直径が50μm以上150μm未満の気泡が6個以上発生している、もしくは、直径が150μm以上の気泡が発生している。
【0097】
(耐久)
積層体(1)の段差部および積層体(2)を85℃、相対湿度85%の環境下で24時間処理し、処理後の段差部およびガラスビーズ散布部分をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、粘着シートの段差埋まり性および異物埋まり性を以下の基準で評価した。
◎:段差部及びガラスビーズ周辺より直径が50μm以上の新たな気泡が全く発生していない。
○:段差部及びガラスビーズ周辺より直径が50μm以上150μm未満の新たな気泡が5個未満発生している。
×:段差部及び/又はガラスビーズ周辺より直径が50μm以上150μm未満の新たな気泡が6個以上発生している、もしくは、直径が150μm以上の新たな気泡が発生している。
【0098】
<耐衝撃性>
積層体(1)を高さ1.0mの位置から、積層体(1)の面が地面に対して90°となるように落下させ、以下の判断基準で評価した。
◎:段差部及びガラスビーズ周辺より直径が50μm以上の新たな気泡が全く発生していない。
○:積層体の段差部周辺に直径が50μm以上150μm未満の新たな気泡が5個未満発生している。
△:積層体の段差部周辺に直径が50μm以上150μm未満の新たな気泡が6個以上発生している、もしくは、直径が150μm以上の新たな気泡が1個以上5個未満発生している。
×:積層体の段差部周辺に直径が150μm以上の新たな気泡が5個以上発生している、もしくは完全に剥がれる。
【0099】
【表1】
【0100】
上記表1から、実施例1〜7で得られた粘着剤組成物は、金属腐食防止性、紫外線吸収性、粘着力、保持力、段差埋まり性、異物埋まり性および耐衝撃性を良好にできることがわかった。特に実施例3〜6では、優れた段差埋まり性と耐衝撃性が発揮されていた。
ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位を含まず、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位を含まず、酸性基含有モノマー由来の単位の質量比が多い共重合体を用いた比較例1で得られた粘着シートは、金属腐食防止性が悪く、段差埋まり性および異物埋まり性も悪かった。
ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位を含まず、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比が本発明で規定する下限値を下回る共重合体を用いた比較例2で得られた粘着シートは、保持力が悪く、段差埋まり性、異物埋まり性(耐久)および耐衝撃性も悪かった。
ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位を含まず、官能基がヒドロキシ基、アミド基又はアミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比が本発明で規定する下限値を下回る共重合体を用い、23℃で液状または油状ではない紫外線吸収剤を用いた比較例3で得られた粘着シートは、粘着力が悪く、段差埋まり性および異物埋まり性も悪かった。なお、比較例3では相溶性も悪かった。
ガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位を含まない共重合体を用いた比較例4で得られた粘着シートは、段差埋まり性および異物埋まり性が悪かった。
【解決手段】非架橋性モノマーと官能基を有する架橋性モノマーの共重合体、架橋剤および紫外線吸収剤を含有する粘着剤組成物であって、共重合体の非架橋性モノマーを構成する単位としてホモポリマーとした時のガラス転移温度が−60℃以下のモノマー由来の単位およびホモポリマーとした時のガラス転移温度が−15℃以上のモノマー由来の単位を含み、共重合体の架橋性モノマーを構成する単位として官能基がヒドロキシ基、アミド基、アミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位を含み、共重合体の官能基がヒドロキシ基、アミド基、アミノ基のいずれかである架橋性モノマー由来の単位の質量比が20〜60質量%であり、共重合体を構成する単位のうち酸性基を有するモノマー由来の単位の質量比が0.5質量%未満であり、紫外線吸収剤が23℃で液状または油状である、粘着剤組成物;粘着シート;積層体。