特許第6443586号(P6443586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6443586
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】エレベーターの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B66B1/14 GZJT
   B66B1/14 L
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-522163(P2018-522163)
(86)(22)【出願日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】JP2017043150
【審査請求日】2018年4月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】文屋 太陽
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬秀
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−096982(JP,A)
【文献】 特開2011−057156(JP,A)
【文献】 特開2004−010303(JP,A)
【文献】 特開2004−275497(JP,A)
【文献】 特開2000−086095(JP,A)
【文献】 特開2016−064892(JP,A)
【文献】 特開2010−184796(JP,A)
【文献】 特開2015−113205(JP,A)
【文献】 特開2013−241230(JP,A)
【文献】 特表2011−504331(JP,A)
【文献】 特開2015−212885(JP,A)
【文献】 実開昭52−102670(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0205257(US,A1)
【文献】 特開2011−063052(JP,A)
【文献】 特開2015−032312(JP,A)
【文献】 特開2001−258870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00─ 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が通行可能な領域に設置された通信機に対して携帯端末から無線通信で自動的に送信された情報に基づいてエレベーターの呼びを登録する呼び登録部と、
携帯端末の加速度センサで検出された鉛直方向における加速度および進行方向における加速度がともに周期的に変動する場合には利用者の種別が歩行者であると判定し、鉛直方向における加速度が周期的に変化せず且つ進行方向における加速度が周期的に変動する場合には利用者の種別が手動車椅子であると判定し、利用者の種別が手動車椅子であると判定された場合には利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転を制御する運転制御部と、
を備え、
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサで検出された鉛直方向における加速度および進行方向における加速度がともに周期的に変動しない場合には利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定し、利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定された場合には利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転を制御するエレベーターの制御装置。
【請求項2】
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサの検出結果から利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定された場合に、車椅子用運転を実施するとともに、当該利用者と同じかごに乗車可能な他の利用者の人数を制限する請求項1に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項3】
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサの検出結果から利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると判定された場合に、利用者の種別が単独の手動車椅子であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転を制御する請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項4】
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサの検出結果から利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると判定された場合に、通常運転を実施する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項5】
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサの検出結果及び当該携帯端末の電波の受信状態から利用者が静止しているのではなく利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定された場合に、電動車椅子又はパーソナルモビリティに対応する方式でエレベーターの運転を制御する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項6】
前記運転制御部は、利用者の種別が車輪付き移動体であると判定された場合には、かごの床面と乗場の床面との隙間を車輪が通過する際に携帯端末の加速度センサで検出される加速度変化から車輪付き移動体が乗場とかごとの間を横切ったことが検出されるまで当該かごの移動を開始させない請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項7】
前記呼び登録部は、携帯端末の加速度センサの検出結果から車輪付き移動体が予め設定された特定の動きをしたことが検出された場合に、当該動きに対応する呼びを登録する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項8】
前記運転制御部は、携帯端末の加速度センサの検出結果から算出された利用者の移動速度に基づいて推定されたエレベーターの乗場に当該利用者が到着するまでの所要時間に応じて、当該乗場にかごが到着するタイミングを調整する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエレベーターの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、利用者が車椅子を使用している場合に、通常とは異なる方式でエレベーターの運転を制御することが知られている。また、下記特許文献1には、利用者が所持する携帯端末から送信された情報に基づいてエレベーターの運転を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2015−3785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、利用者が車椅子を使用していることを示す情報をエレベーターの制御装置に送信するためには、事前に携帯端末を操作して設定を行う必要がある。このため、車椅子を使用する利用者に煩雑な操作が要求される。
【0005】
この発明は、上記の課題を解決するためになされた。その目的は、利用者に煩雑な操作を要求することなく、利用者が歩行者でない場合に適切な方式でエレベーターの運転を制御することができるエレベーターの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターの制御装置は、利用者が通行可能な領域に設置された通信機に対して携帯端末から無線通信で自動的に送信された情報に基づいてエレベーターの呼びを登録する呼び登録部と、携帯端末の加速度センサで検出された鉛直方向における加速度および進行方向における加速度がともに周期的に変動する場合には利用者の種別が歩行者であると判定し、鉛直方向における加速度が周期的に変化せず且つ進行方向における加速度が周期的に変動する場合には利用者の種別が手動車椅子であると判定し、利用者の種別が手動車椅子であると判定された場合には利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転を制御する運転制御部と、を備え、運転制御部は、携帯端末の加速度センサで検出された鉛直方向における加速度および進行方向における加速度がともに周期的に変動しない場合には利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定し、利用者の種別が電動車椅子又はパーソナルモビリティであると判定された場合には利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、携帯端末の加速度センサの検出結果から利用者の種別が車輪付き移動体であると判定された場合に、利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーターの運転が制御される。このため、利用者に煩雑な操作を要求することなく、利用者が歩行者でない場合に適切な方式でエレベーターの運転を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの概要を示す模式図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの構成図である。
図3】歩行者の加速度変化の一例を示す図である。
図4】単独の手動車椅子の加速度変化の一例を示す図である。
図5】電動走行車の加速度変化の一例を示す図である。
図6】実施の形態1における通信機の配置の例を示す第1の模式図である。
図7】実施の形態1における通信機の配置の例を示す第2の模式図である。
図8】実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図9】制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して実施の形態について説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号が付される。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの概要を示す模式図である。
【0011】
図1に示すように、エレベーター1は、昇降路2、巻上機3、ロープ4、かご5、釣合おもり6及び制御装置7を備えている。昇降路2は、例えば、建物の各階を貫くように形成されている。巻上機3は、例えば、図示しない機械室等に設けられている。制御装置7は、例えば、昇降路2内又は機械室等に設けられている。ロープ4は、巻上機3に巻き掛けられている。かご5及び釣合おもり6は、ロープ4によって昇降路2内に吊り下げられている。かご5及び釣合おもり6は、巻上機3が駆動することにより昇降する。巻上機3は、制御装置7によって制御される。
【0012】
制御装置7は、例えば、1つのかご5の移動を制御する装置であってもよい。制御装置7は、例えば、複数のかご5の移動を制御する群管理装置であってもよい。
【0013】
図1に示すように、建物内には、無線通信機能を有する通信機8が設けられている。通信機8は、例えば、かご5に乗降可能な階のそれぞれに設けられている。通信機8は、例えば、1つの階に複数設けられてもよい。通信機8は、例えば、制御装置7と電気的に接続されている。
【0014】
通信機8は、例えば、建物内において、利用者9が通行可能な領域に設置されている。通信機8は、例えば、エレベーター1の乗場に設置されてもよい。通信機8は、例えば、建物内の通路において、エレベーター1の乗場付近の位置に設置されてもよい。通信機8は、例えば、建物内の通路において、エレベーター1の乗場から離れた位置に設置されてもよい。
【0015】
図1には、利用者9として、利用者9a及び利用者9bが例示されている。利用者9aは、歩行者である。利用者9bは、車輪付き移動体を使用している。車輪付き移動体には、例えば、手動車椅子及び電動走行車等が含まれる。電動走行車には、例えば、電動車椅子及びパーソナルモビリティ等が含まれる。
【0016】
利用者9は、無線通信機能を有する携帯端末10を携帯している。携帯端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン又はタブレット端末等である。携帯端末10は、例えば、ハンズフリータグのように形成されたエレベーター呼び登録用端末であってもよい。
【0017】
図2は、実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの構成図である。
【0018】
図2に示すように、制御システムは、制御装置7、通信機8及び携帯端末10を備える。携帯端末10は、通信部11、加速度センサ12及び判定部13を備える。制御装置7は、呼び登録部14及び運転制御部15を備える。
【0019】
通信部11は、携帯端末10が通信機8の通信範囲内に位置する場合に、通信機8と無線通信を行う。通信部11は、例えば、利用者によって携帯端末10の操作が行われなくとも、通信機8に対して呼び登録信号を自動的に送信し得る。
【0020】
加速度センサ12は、例えば、直交する3軸方向の加速度を検出する。加速度センサ12は、例えば、携帯端末10が通信機8の通信範囲に進入した場合に、加速度の検出動作を開始する。
【0021】
図3は、歩行者の加速度変化の一例を示す図である。図4は、単独の手動車椅子の加速度変化の一例を示す図である。図5は、電動走行車の加速度変化の一例を示す図である。
【0022】
図3から図5の波形は、平坦な床面上を移動している利用者の加速度の経時的変化を示す。加速度の単位は、Gである。図中において、鉛直方向における加速度変化は、実線で表されている。図中において、利用者の進行方向における加速度変化は、破線で表されている。加速度の鉛直方向成分及び進行方向成分は、加速度センサ12の検出結果から算出される。
【0023】
図3に示すように、歩行者の鉛直方向における加速度及び進行方向における加速度は、両足の動きに伴って周期的に変動する。
【0024】
図4に示すように、手動車椅子の鉛直方向における加速度は、ほぼ一定となる。図4に示すように、手動車椅子の進行方向における加速度は、手で漕ぐ動きに伴って周期的に変動する。
【0025】
図5に示すように、電動走行車の鉛直方向における加速度及び進行方向における加速度は、ほぼ一定となる。
【0026】
判定部13は、加速度センサ12の検出結果に基づいて利用者の種別を判定する。判定部13は、例えば、携帯端末10が通信機8の通信範囲に進入した場合に、判定動作を開始する。
【0027】
判定部13は、例えば、図3から図5に示すような加速度波形の特徴に基づいて、利用者の種別が歩行者であるか、手動車椅子であるか、電動走行車であるかを判定する。
【0028】
判定部13によって判定される利用者の種別には、例えば、「介助者を伴う手動車椅子」が含まれてもよい。利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であることは、例えば、手動車椅子の使用者及び介助者のそれぞれの携帯端末10の加速度センサ12の検出結果及び電波の受信状態に基づいて判定され得る。
【0029】
電波の受信状態には、例えば、電波強度が含まれる。電波の受信状態には、例えば、電波を受信しているか否かの区別が含まれる。
【0030】
利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であるか否かの判定は、例えば、手動車椅子の使用者及び介助者のそれぞれの携帯端末10同士が通信可能であれば、実施可能である。この判定は、例えば、一方の携帯端末10から加速度センサ12の検出結果及び電波の受信状態を示す情報を受信した他方の携帯端末10の判定部13によって実施されればよい。この判定は、例えば、検出される電波強度が2台の携帯端末10においてほぼ一致することに基づく。また、この判定は、例えば、電波の受信状態が非受信と受信との間で変化するタイミングが2台の携帯端末10においてほぼ一致することに基づく。
【0031】
通信部11は、例えば、判定部13によって利用者の種別が判定された場合、当該利用者の種別を示す情報を呼び登録信号に付加する。なお、通信部11は、他の情報を呼び登録信号に付加してもよい。
【0032】
通信部11は、例えば、利用者の種別を示す情報が付加された呼び登録信号を通信機8に対して無線通信で送信する。なお、通信部11は、呼び登録信号とは別個に他の情報を送信してもよい。
【0033】
呼び登録部14は、例えば、通信機8が受信した呼び登録信号に基づいてエレベーター1の呼びを登録する。呼び登録部14は、例えば、図示しない乗場ボタン又はかご内ボタンに対する操作に基づいてエレベーター1の呼びを登録してもよい。
【0034】
運転制御部15は、エレベーター1の運転を制御する。エレベーター1の運転には、例えば、かご5の移動及び扉の開閉などが含まれる。運転制御部15は、例えば、通信機8が受信した呼び登録信号に付加された情報が示す利用者の種別に応じた方式でエレベーター1の運転を制御する。
【0035】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が歩行者である場合に、エレベーター1の通常運転を実施する。
【0036】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が車輪付き移動体である場合に、通常運転とは異なる方式でエレベーター1の運転を制御する。
【0037】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が単独の手動車椅子である場合に、車椅子用運転を実施する。
【0038】
車椅子用運転の実施中は、例えば、通常運転時よりも戸開閉速度が低下する。車椅子用運転の実施中は、例えば、通常運転時よりも戸開時間が延長される。
【0039】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が電動走行車である場合に、車椅子用運転を実施するとともに、追加の制御を行う。運転制御部15は、追加の制御として、例えば、音声アナウンス等で他の利用者に注意喚起してもよい。運転制御部15は、追加の制御として、例えば、電動走行車と同じかご5に乗車可能な他の利用者の人数を制限してもよい。なお、他の利用者とは、エレベーターを利用する他の利用者全体であり、かご5が停止中の階以外に居る利用者を含む。
【0040】
運転制御部15は、例えば、他の利用者の人数が少ない場合には、電動走行車の専用運転を実施することで、かご5への他の利用者の乗車を禁止してもよい。乗車の禁止は、例えば、音声アナウンスの放送、かご内又は乗場への表示等により行われる。この場合、他の利用者は、電動走行車とかご5に同乗できない。他の利用者の人数が少ないか否かの判定基準は、例えば、予め設定される。
【0041】
運転制御部15は、例えば、他の利用者の人数が少ない場合には、電動走行車の乗車階とは異なる階での乗場呼びに応答しないことで、かご5の乗車人数を制限してもよい。この場合、電動走行車が行先階で降りるまでの間は、乗場呼びが発生している階をかご5が通過する。他の利用者の人数が少ないか否かの判定基準は、例えば、予め設定される。
【0042】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子である場合に、他の利用者の人数が多い場合には、エレベーター1の通常運転を実施してもよい。他の利用者の人数が多いか否かの判定基準は、例えば、予め設定される。
【0043】
運転制御部15は、例えば、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子である場合に、同じかご5に乗車可能な他の利用者の人数を制限してもよい。かご5の乗車人数を制限する方法は、例えば、利用者の種別が電動走行車である場合と同様である。
【0044】
実施の形態1において、判定部13は、制御装置7の機能であってもよい。この場合、加速度センサ12の検出結果及び携帯端末10の電波の受信状態などを示す情報が通信部11から通信機8に送信されれば、判定部13による判定動作を実施できる。この場合、通信部11は、例えば、携帯端末10が通信機8の通信範囲内に入った時点で呼び登録信号の送信を先行して行い、携帯端末10が通信範囲から出るまで継続的に加速度及び電波に関するデータの送信を行ってもよい。また、この場合、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であるか否かを判定するために携帯端末10同士が通信する必要は無い。例えば、利用者の種別の判定が個々の携帯端末10内で行われ、介助者及び手動車椅子に乗っている利用者のそれぞれの携帯端末10からの呼び登録信号を制御装置7が受信したタイミングに基づいて、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると制御装置7で判定されてもよい。
【0045】
上述したように、判定部13は、利用者の種別が電動走行車であるか否かを判定する。ただし、移動中の電動走行車の加速度波形は、加速度の変化がほとんど無いため、静止している利用者の加速度波形に類似し得る。判定部13は、例えば、判定動作において、利用者が静止しているのか、利用者の種別が電動走行車であるのかを識別する。以下、静止している利用者と電動走行車との識別方法について説明する。
【0046】
判定部13は、例えば、加速度の変動の大きさに基づいて、静止している利用者と電動走行車とを識別し得る。この識別方法は、静止している利用者の方が電動走行車よりも加速度の変動が少ないということに基づく。
【0047】
判定部13は、例えば、利用者の進行方向における速度変化に基づいて、静止している利用者と電動走行車とを識別し得る。この識別方法は、電動走行車の進行方向における速度が走行に伴って変化し得ることに基づく。利用者の進行方向における速度は、加速度の進行方向成分を積分することで得られる。
【0048】
判定部13は、例えば、加速度センサ12の検出結果及び携帯端末10の電波の受信状態に基づいて、静止している利用者と電動走行車とを識別し得る。以下、この識別方法について、図6及び図7を参照して説明する。
【0049】
図6は、実施の形態1における通信機の配置の例を示す第1の模式図である。
【0050】
図6は、エレベーター1の乗場又は乗場付近の位置に通信機8が設置されている場合を示す。この場合、通信機8の通信範囲には、乗場及び乗場付近の通路が含まれる。この場合、利用者がエレベーター1の乗場に向かって移動すると、携帯端末10と通信機8との間の電波強度が強くなる。一方、利用者が静止していると、携帯端末10と通信機8との間の電波強度は変化しない。
【0051】
図6のように通信機8が配置されている場合、判定部13は、例えば、電波強度に変化があり、且つ加速度の変化が小さい場合に、利用者の種別が電動走行車であると判定し得る。加速度の変化が小さいか否かの判定基準は、例えば、予め設定される。
【0052】
図7は、実施の形態1における通信機の配置の例を示す第2の模式図である。
【0053】
図7は、エレベーター1の乗場に向かう通路に通信機8が設置されている場合を示す。図7における通信機8の通信範囲は、図6における通信機8の通信範囲よりも狭い。この場合、通信機8の通信範囲には、乗場及び乗場付近の通路が含まれない。この場合、利用者がエレベーター1の乗場に向かって移動すると、通信範囲を通過する間だけ携帯端末10が電波を受信する。一方、利用者が静止していると、携帯端末10の電波の受信状態は変化しない。
【0054】
図7のように通信機8が配置されている場合、判定部13は、例えば、携帯端末10の電波の受信状態が非受信、受信、非受信という順番で変化し、且つ加速度の変化が小さい場合に、利用者の種別が電動走行車であると判定し得る。加速度の変化が小さいか否かの判定基準は、例えば、予め設定される。
【0055】
図8は、実施の形態1におけるエレベーターの制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【0056】
利用者が通信範囲を通行すると(ステップS101)、利用者の種別の判定が行われる(ステップS102)。
【0057】
ステップS103では、利用者の種別が歩行者であるか否かが判定される。
【0058】
ステップS103で利用者の種別が歩行者であると判定された場合、通常運転が実施される(ステップS104)。
【0059】
ステップS103で利用者の種別が歩行者でないと判定された場合、ステップS105の処理が行われる。ステップS105では、利用者の種別が単独の手動車椅子であるか否かが判定される。
【0060】
ステップS105で利用者の種別が単独の手動車椅子であると判定された場合、車椅子用運転が実施される(ステップS106)。
【0061】
ステップS105で利用者の種別が単独の手動車椅子でないと判定された場合、ステップS107の処理が行われる。ステップS107では、利用者の種別が電動走行車であるか否かが判定される。
【0062】
ステップS107で利用者の種別が電動走行車であると判定された場合、車椅子用運転及び乗車人数の制限が実施される(ステップS108)。
【0063】
ステップS107で利用者の種別が電動走行車でないと判定された場合、ステップS109の処理が行われる。ステップS109では、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であるか否かが判定される。
【0064】
ステップS109で利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると判定された場合、通常運転又は乗車人数の制限が実施される(ステップS110)。
【0065】
ステップS109で利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子でないと判定されるということは、利用者の種別が判定できなかったことを意味する。例えば、利用者が通信範囲内で静止している場合には、ステップS109で利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子でないと判定され得る。この場合には、例えば、通常運転を実施してもよいし、呼び登録が行われなくともよい。
【0066】
実施の形態1によれば、呼び登録部14は、利用者が通行可能な領域に設置された通信機8に対して携帯端末10から無線通信で送信された情報に基づいてエレベーター1の呼びを登録する。運転制御部15は、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から利用者の種別が車輪付き移動体であると判定された場合に、利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーター1の運転を制御する。このため、利用者に煩雑な操作を要求することなく、利用者が歩行者でない場合に適切な方式でエレベーター1の運転を制御することができる。
【0067】
実施の形態1によれば、運転制御部15は、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から利用者の種別が電動走行車であると判定された場合に、利用者の種別が手動車椅子であると判定された場合とは異なる方式でエレベーター1の運転を制御する。運転制御部15は、例えば、利用者の種別が電動走行車であると判定された場合に、車椅子用運転を実施するとともに、当該利用者と同じかご5に乗車可能な他の利用者の人数を制限する。このため、電動走行車の使用者の利便性を向上させることができる。例えば、電動車椅子は一般に手動車椅子よりも大きいため、同じかご5に乗車可能な他の利用者の人数を制限する意義が大きい。
【0068】
実施の形態1によれば、運転制御部15は、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると判定された場合に、利用者の種別が単独の手動車椅子であると判定された場合とは異なる方式でエレベーター1の運転を制御する。運転制御部15は、例えば、利用者の種別が介助者を伴う手動車椅子であると判定された場合に、通常運転を実施する。このため、他の利用者の利便性が低下することを抑制できる。介助者を伴う手動車椅子は、単独の手動車椅子よりも容易に他の利用者との干渉を避けることができるため、他の利用者と同乗しても安全上の問題は少ない。
【0069】
実施の形態1によれば、運転制御部15は、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果及び当該携帯端末10の電波の受信状態から利用者が静止しているのではなく利用者の種別が電動走行車であると判定された場合に、電動走行車に対応する方式でエレベーター1の運転を制御する。このため、単に静止している利用者の種別が誤って電動走行車と判定されることを防止できる。
【0070】
実施の形態1において、判定部13は、例えば、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から、車輪付き移動体が乗場とかごとの間を横切ったことを検出してもよい。この検出は、例えば、かご5の床面と乗場の床面との隙間を車輪が通過する際に検出される鉛直方向の加速度変化に基づいて行われる。運転制御部15は、例えば、利用者の種別が車輪付き移動体であると判定された場合には、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から車輪付き移動体が乗場とかご5との間を横切ったことが判定部13によって検出されるまで当該かご5の移動を開始させなくてもよい。これにより、車輪付き移動体の使用者の利便性を向上させることができる。
【0071】
実施の形態1において、判定部13は、例えば、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から、車輪付き移動体が予め設定された特定の動きをしたことを検出してもよい。呼び登録部14は、例えば、車輪付き移動体が予め設定された特定の動きをしたことが検出された場合に、当該動きに対応する呼びを登録してもよい。具体的には、例えば、車輪付き移動体が右回りに回転する動きをした場合に、上方向の呼びが登録されるように設定されていてもよい。これにより、車輪付き移動体の使用者の利便性を向上させることができる。
【0072】
実施の形態1において、制御システムは、推定動作を行う推定部を備えてもよい。推定動作とは、携帯端末10の加速度センサ12の検出結果から算出された利用者の移動速度に基づいて、エレベーター1の乗場に当該利用者が到着するまでの所要時間又は乗場に当該利用者が到着する時刻を推定することである。運転制御部15は、例えば、推定部によって推定された所要時間又は時刻に応じて、乗場にかご5が到着するタイミングを調整してもよい。これにより、かご5の到着が早すぎたり遅すぎたりすることを防止できる。
【0073】
推定部は、例えば、制御装置7の機能であってもよい。この場合、加速度センサ12の検出結果又は利用者の進行方向における速度を示す情報が通信部11によって呼び登録信号に付加されていれば、推定部による推定動作を実施できる。
【0074】
推定部は、例えば、携帯端末10の機能であってもよい。この場合、推定部によって推定された所要時間又は時刻を示す情報が通信部11によって呼び登録信号に付加されていれば、運転制御部15によって乗場にかご5が到着するタイミングを調整することが可能である。
【0075】
図9は、制御装置のハードウェア構成図である。
【0076】
制御装置7における呼び登録部14及び運転制御部15の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア50であってもよい。処理回路は、プロセッサ51およびメモリ52を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア50として形成され、更にプロセッサ51およびメモリ52を備えていてもよい。図9は、処理回路が、その一部が専用ハードウェア50として形成され、プロセッサ51およびメモリ52を備えている場合の例を示している。
【0077】
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア50である場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0078】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ51および少なくとも1つのメモリ52を備える場合、制御装置7の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPとも呼ぶ。メモリ52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
【0079】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置7の各機能を実現することができる。なお、携帯端末10の各機能も、図9に示す処理回路と同様の処理回路により実現される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、この発明は、携帯端末から送信された情報に基づいてエレベーターの運転を制御するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 エレベーター
2 昇降路
3 巻上機
4 ロープ
5 かご
6 釣合おもり
7 制御装置
8 通信機
9 利用者
9a 利用者
9b 利用者
10 携帯端末
11 通信部
12 加速度センサ
13 判定部
14 呼び登録部
15 運転制御部
50 専用ハードウェア
51 プロセッサ
52 メモリ
【要約】
利用者に煩雑な操作を要求することなく、利用者が歩行者でない場合に適切な方式でエレベーターの運転を制御することができるエレベーターの制御装置を提供する。この発明に係る制御装置(7)は、利用者(9)が通行可能な領域に設置された通信機(8)に対して携帯端末(10)から無線通信で送信された情報に基づいてエレベーター(1)の呼びを登録する呼び登録部(14)と、携帯端末(10)の加速度センサ(12)の検出結果から利用者の種別が車輪付き移動体であると判定された場合に、利用者の種別が歩行者であると判定された場合とは異なる方式でエレベーター(1)の運転を制御する運転制御部(15)と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9