特許第6443595号(P6443595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ 日本精工株式会社の特許一覧
特許6443595ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法
<>
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000002
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000003
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000004
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000005
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000006
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000007
  • 特許6443595-ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6443595
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ワークピース支持装置、加工装置、加工方法、軸受の製造方法、車両の製造方法、および機械装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20181217BHJP
   B24B 5/307 20060101ALI20181217BHJP
   B24B 5/18 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B24B41/06 Z
   B24B5/307
   B24B5/18 D
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-536297(P2018-536297)
(86)(22)【出願日】2018年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2018009938
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-220647(P2017-220647)
(32)【優先日】2017年11月16日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】海老名 健
(72)【発明者】
【氏名】横江 康二
(72)【発明者】
【氏名】吉村 隆
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−347896(JP,A)
【文献】 特開2003−117813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/00−51/00
B24B 5/18
B24B 5/307
B24B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
回転駆動装置を用いて回転駆動されるワークピースの円周方向に関する少なくとも1箇所に配置され、前記ワークピースの周面に摺接させるシューと、
前記シューを前記基台に対して支持する支持体と、を備え、
前記支持体は、前記基台に対する前記ワークピースの傾きに合わせて、前記シューを傾かせるための追従構造部を有し
前記追従構造部は、前記ワークピースの円周方向に関する撓み剛性よりも、前記ワークピースの軸方向に関する撓み剛性が小さい異方性弾性部により構成されている、
ワークピース支持装置。
【請求項2】
前記異方性弾性部は、板ばねにより構成されている、
請求項に記載のワークピース支持装置。
【請求項3】
前記追従構造部は、前記ワークピースの円周方向を向いた揺動支持軸を中心として、前記シューを前記基台に対して揺動可能に支持する揺動支持構造部により構成されている、
請求項1に記載のワークピース支持装置。
【請求項4】
ベースと、
回転駆動されるワークピースの位置決めのために、第1方向に平行なラインに沿って前記ワークピースの周面に当接される当接面を有するシューと、
前記ベースに対して前記シューを支持するとともに、前記第1方向に対する前記ワークピースの前記周面の傾きの変化に応じた、前記シューの姿勢の変化を許容する、追従フレームと、
を備え
前記追従フレームは、前記第1方向に交差する平面に平行に配されるとともに、前記第1方向において前記シューの前記当接面の中央位置又は前記ワークピースの前記周面の中央位置に配される、ブレードを有し、
前記平面は、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と、前記第1及び第2方向と交差する第3方向とを含み、
前記ブレードは、前記第2方向及び前記第3方向において比較的に剛な支持を提供し、前記第1方向において比較的に柔軟な支持を提供する、
ワークピース支持装置。
【請求項5】
前記平面は、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と、前記第1及び第2方向と交差する第3方向とを含み、
前記第1方向において、前記ブレードの厚みは、前記シューの前記当接面の1/2の長さ又は前記ワークピースの周面の1/2の長さより小さい、請求項に記載のワークピース支持装置。
【請求項6】
前記追従フレームは、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と前記第1及び第2方向と交差する第3方向とにおいて比較的に剛な支持を提供し、前記第3方向に沿った軸周りにおいて比較的に柔軟な支持を提供する、請求項4又は5に記載のワークピース支持装置。
【請求項7】
ワークピースを回転駆動するための回転駆動装置と、
前記ワークピースに加工を施すための工具と、
請求項1〜のうちの何れか1項に記載のワークピース支持装置と、を備えた、
加工装置。
【請求項8】
請求項に記載の加工装置を使用する加工方法であって、
前記回転駆動装置を用いてワークピースを回転駆動し、かつ、前記ワークピース支持装置を構成するシューを前記ワークピースの周面に摺接させることにより、前記ワークピースの径方向に関する位置決めを図りながら、前記工具を用いて前記ワークピースに加工を施す、
加工方法。
【請求項9】
軌道輪を備えた軸受の製造方法であって、
請求項に記載の加工方法により前記軌道輪に加工を施す、
軸受の製造方法。
【請求項10】
軸受を備えた車両の製造方法であって、
請求項に記載の軸受の製造方法により前記軸受を製造する、
車両の製造方法。
【請求項11】
軸受を備えた機械装置の製造方法であって、
請求項に記載の軸受の製造方法により前記軸受を製造する、
機械装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動装置を用いて回転駆動されるワークピース(被加工物)の径方向の位置決めを図る技術に関する。
本願は、2017年11月16日に出願された特願2017−220647号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シュータイプのワークピース支持装置が知られている。こうした支持装置は、例えばワークピースに研削加工や超仕上加工を施すのに用いられる。シュータイプのワークピース支持装置は、たとえば図5に示すように、回転駆動装置を用いて回転駆動されるワークピース1の外周面にシュー2を摺接させることによって、ワークピース1の径方向の位置決めを図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167996号公報
【特許文献2】特開2011−98408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シュータイプのワークピース支持装置を含んで構成される加工装置においては、構成部材の製造誤差や組立誤差などに起因して、ワークピース1とシュー2とのアライメントがずれる場合がある。すなわち、ワークピース1とシュー2との互いの位置関係が正規の位置関係に対して傾く場合がある。アライメントのずれは、たとえば、図6(a)に示すような、基準軸に対するワークピース1の回転中心軸αの傾斜や、図6(b)に示すような、ワークピース1の回転中心軸αに対するワークピース1の幾何中心軸βの傾斜(回転振れの原因となるもの)などがある。例えば、図6(a)に示すアライメントのずれは、ワークピース1を回転駆動する主軸とシュー2とのセット精度が悪い場合などに生じる。また、例えば、図6(b)に示すアライメントのずれは、ワークピース1の軸方向側面に磁気吸着する主軸(バッキングプレート)の先端面が、主軸の回転中心軸に直交する仮想平面に対して傾斜している場合などに生じる。
【0005】
ワークピース1とシュー2とのアライメントがずれていると、ワークピース1の外周面とシュー2との接触が、面接触ではなく、線接触や点接触となる。この際に、ワークピース1に対するシュー2の押し付け力によっては、ワークピース1の外周面とシュー2との接触面圧が許容値を超え、ワークピース1の外周面に、シュー傷(シューマーク)と呼ばれるシュー2の接触傷が生じる場合がある。
【0006】
シュー傷は、製品の機能を阻害するものではないが、製品の外見が損なわれるため、通常、ラッピングなどの追加工で除去される。
【0007】
一方、シュー傷の発生を抑制する手段として、シューの素材を軟化する手段が提案されている(例えば、特開2007−167996号公報、特開2011−98408号公報参照)。しかしながら、このような手段を採用するだけでは、シュー傷の発生を抑制できるとしても、シューの摩耗量が多くなって、シューの寿命が短くなるなどの懸念がある。
【0008】
本発明の目的は、シューの素材にかかわらず、ワークピースの外周面にシュー傷が生じるのを抑制することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワークピース支持装置の一態様は、基台と、回転駆動装置を用いて回転駆動されるワークピースの円周方向に関する少なくとも1箇所に配置され、前記ワークピースの周面に摺接させるシューと、前記シューを前記基台に対して支持する支持体とを備える。前記支持体は、前記基台に対する前記ワークピースの傾きに合わせて、前記シューを傾かせるための追従構造部を有している。
【0010】
本態様のワークピース支持装置を実施する場合には、たとえば、次のような構成を採用することができる。すなわち、一例において、前記追従構造部は、前記ワークピースの円周方向に関する撓み剛性よりも、前記ワークピースの軸方向に関する撓み剛性が小さい異方性弾性部により構成されている。前記異方性弾性部は、たとえば、板ばねにより構成されている。
【0011】
別の例において、前記追従構造部は、前記ワークピースの円周方向を向いた揺動支持軸を中心として、前記シューを前記基台に対して揺動可能に支持する揺動支持構造部により構成されている。
【0012】
別の態様において、ワークピース支持装置は、ベースと、回転駆動されるワークピースの位置決めのために、第1方向に平行なラインに沿って前記ワークピースの周面に当接される当接面を有するシューと、前記ベースに対して前記シューを支持するとともに、前記第1方向に対する前記ワークピースの前記周面の傾きの変化に応じた、前記シューの姿勢の変化を許容する、追従フレーム(compliant frame)と、を備える。
【0013】
一例において、前記追従フレームは、前記第1方向に交差する平面に平行に配されるとともに、前記第1方向において前記シューの前記当接面の中央位置又は前記ワークピースの前記周面の中央位置に配される、ブレードを有する。
【0014】
この場合、例えば、前記平面は、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と、前記第1及び第2方向と交差する第3方向とを含み、前記ブレードは、前記第2方向及び前記第3方向において比較的に剛な支持を提供し、前記第1方向において比較的に柔軟な支持を提供する。
【0015】
代替的及び/又は追加的に、例えば、前記平面は、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と、前記第1及び第2方向と交差する第3方向とを含み、前記第1方向において、前記ブレードの厚みは、前記シューの前記当接面の1/2の長さ又は前記ワークピースの前記外周面の1/2の長さより小さい。
【0016】
代替的及び/又は追加的に、前記追従フレームは、前記ワークピースの径方向に沿った第2方向と前記第1及び第2方向と交差する第3方向とにおいて比較的に剛な支持を提供し、前記第3方向に沿った軸周りにおいて比較的に柔軟な支持を提供する。
【0017】
本発明の加工装置の一態様は、ワークピースを回転駆動するための回転駆動装置と、前記ワークピースに加工を施すための工具と、上記態様のワークピース支持装置とを備える。
【0018】
本発明の加工方法の一態様は、上記態様の加工装置を使用する加工方法であって、前記回転駆動装置を用いてワークピースを回転駆動し、かつ、前記ワークピース支持装置を構成するシューを前記ワークピースの外周面に摺接させることにより、前記ワークピースの径方向に関する位置決めを図りながら、前記工具を用いて前記ワークピースに加工を施す。
【0019】
本発明の軸受の製造方法の一態様は、軌道輪を備えた軸受を製造対象とするもので、上記態様の加工方法により前記軌道輪に加工を施す。
【0020】
本発明の車両の製造方法の一態様は、軸受を備えた車両を製造対象とするもので、上記態様の軸受の製造方法により前記軸受を製造する。
【0021】
本発明の機械装置の製造方法の一態様は、軸受を備えた機械装置を製造対象とするもので、上記態様の軸受の製造方法により前記軸受を製造する。なお、製造対象となる機械装置は、動力の種類を問わない(動力が人力以外のものであっても良いし、動力が人力であっても良い)。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、シューの素材にかかわらず、ワークピースの外周面にシュー傷が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施形態を示す略側面図である。
図2図2は、図1のA矢視図である。
図3図3は、アライメントにずれが生じている場合の挙動を示す、図2の部分拡大図である。
図4図4は、本発明の第2の実施形態を示す図である。
図5図5は、従来のワークピース支持装置を用いてワークピースを支持する状態を示す図である。
図6図6(a)および図6(b)は、アライメントにずれが生じている場合の例を示す図である。
図7】転がり軸受の1例を示す、部分切断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態について、図1〜3を用いて説明する。本実施形態において、加工装置3は、ワークピース1aの外周面に研削加工を施すためのもので、回転駆動装置4と、工具である砥石5と、ワークピース支持装置6とを備えている。ワークピース1aは、たとえば、車両や各種の機械装置に組み込まれるラジアル転がり軸受を構成する軌道輪(内輪、外輪)などの、金属製のリング状部材である。
【0025】
回転駆動装置4は、電動モータなどの駆動源により回転駆動可能な主軸7を備えている。主軸7は、先端部にバッキングプレート8を有している。ワークピース1aは、軸方向側面をバッキングプレート8の先端面に磁気吸着することにより、主軸7に支持されている。
【0026】
砥石5は、外周面を研削面9とし、かつ、自身の中心軸を中心として回転駆動可能となっている。また、砥石5は、ワークピース1aの外周面に対する径方向の遠近動が可能となっている。すなわち、砥石5は、研削面9を、主軸7に支持されたワークピース1aの外周面に対して押し付け可能となっている。
【0027】
ワークピース支持装置6は、基台(ベース)10と、2つのシュー11と、これらのシュー11ごとに設けられた支持体(追従フレーム)12とを備えている。別の例において、シュー11の個数は1又は3以上にできる。
【0028】
2つのシュー11は、ワークピース1aの円周方向に離隔して配置されている。それぞれの先端面13がワークピース1aの外周面に対して摺接するようにシュー11が配されている。シュー11は、少なくともワークピース1aの径方向に関する位置決めを図るためのものである。シュー11の各々は、回転駆動されるワークピース1aの位置決めのために、基準軸に沿った第1方向(例えば基準回転軸に沿った第1方向)に平行なラインに沿ってワークピース1aの外周面に当接される先端面(当接面)13を有する。2つのシュー11はそれぞれ、たとえば鋼、超硬合金などの金属製で、略矩形ブロック状に構成されている。シュー11の一例において、ワークピース1aの外周面と対向する側の端面である先端面(当接面)13が、ワークピース1aの外周面に面接触可能な部分円筒状の凹面になっている。すなわち、シュー11は、凹面形状を有する先端面13を有する。シュー11の他の例において、他の形状を有する先端面13を有することができる。また、シュー11は、様々な材質を適用できる。
【0029】
なお、一例において、ワークピース1aの外周面に2つのシュー11の先端面13を摺接させる円周方向位置は、ワークピース1aの外周面に砥石5(研削面9)を押し付ける円周方向位置から外れた位置で、かつ、砥石5からワークピース1aに負荷される荷重を効率良く支承できる位置であれば良い。他の例において、図示の位置とは別の位置にシュー11を配置できる。また、シュー11の先端面13は、上述のような円筒状の凹面以外の形状、たとえば、V字形凹面などの、従来から知られている各種の形状を採用することもできる。
【0030】
2つのシュー11はそれぞれ、基台10に、支持体(追従フレーム)12を介して支持されている。支持体12は、異方性弾性部である板ばね(追従構造部、ブレード、スプリングブレード)14と、ホルダ15とを有する。支持体(追従フレーム)12は、基台10に対してシュー11を支持するとともに、第1方向に対するワークピース1aの外周面の傾きの変化に応じた、シュー11の姿勢の変化(シュー11の向きの変化、先端面(当接面)13の向きの変化)を許容する、ように構成されている。
【0031】
板ばね(ブレード)14は、自由状態での厚さ方向を、主軸7の軸方向(ワークピース1aの軸方向、第1方向)とほぼ一致させた状態で配置されている。板ばね14は、第1方向に交差する平面に平行に配される。板ばね14は、第1方向においてシュー11の先端面(当接面)13の中央位置又はワークピース1aの外周面の中央位置に配される。一例において、板ばね14は、ワークピース1aに対する遠位側の端部である基端部を、基台10に結合されることにより、基台10に片持ち支持されている。すなわち、板ばね14は、ワークピース1aの円周方向(具体的には、ワークピース1aの外周面のうちでシュー11の先端面13を摺接させる部分の円周方向である、図1におけるX1方向)に関する撓み剛性が最も高く、ワークピース1aの軸方向(具体的には、ワークピース1aの外周面のうちでシュー11の先端面13を摺接させる部分の幅方向である、図2および図3におけるX2方向)に関する撓み剛性が最も低くなる方向に配置された状態で、基台10に片持ち支持されている。
【0032】
前述したように、シュー11の先端面13は、第1方向に平行なラインに沿ってワークピース1aの外周面に当接される。板ばね(ブレード)14は、第1方向に交差する第1平面に平行に配される。第1平面は、ワークピース1aの径方向に沿った第2方向と、第1及び第2方向と交差する(例えば第1及び第2方向と実質的に垂直な)第3方向とを含む。第1方向は板ばね14の厚さ方向及び/又はワークピース1aの回転軸に沿った方向に関連し、第2方向は板ばね14の長さ/高さ方向(基台10からシュー11に向かう方向)及び/又はワークピース1aの径方向に関連し、第3方向は板ばね14の幅方向及び/又はワークピース1aの外周面の幅に関連する。板ばね14は、第2方向及び第3方向において比較的に剛な支持を提供し、第1方向において比較的に柔軟な支持を提供する。代替的及び/又は追加的に、板ばね14は、第2方向及び第3方向において比較的に剛な支持を提供し、第3方向に沿った軸周りにおいて比較的に柔軟な支持を提供する。
【0033】
一例において、第1方向において、板ばね(ブレード)14の厚み(第1方向における板ばねの長さ)は、シュー11の先端面13の1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、又は1/2の長さと実質的に同じかより小さくできる。あるいは、第1方向において、板ばね14の厚みは、ワークピース1aの外周面の1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、又は1/2の長さと実質的に同じかより小さくできる。板ばね(ブレード)14が、第1方向に沿って重ねて又は並べて配された複数の板ばね(ブレード)からなる場合、総厚み(厚みの合計)について同様に設定できる。
【0034】
一例において、第3方向において、板ばね(ブレード)14の幅(第3方向における板ばねの長さ)は、シュー11の先端面13の1/2の長さと実質的に同じかより大きくできる。あるいは、第3方向において、板ばね14の幅は、シュー11の先端面13の長さと実質的に同じかより大きくできる。例えば、第3方向において、板ばね14の幅は、シュー11の先端面13の3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、又は10/10の長さと実質的に同じかより大きい。あるいは、板ばね14の幅は、板ばね14の厚みの2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍の長さと実質的に同じかより大きくできる。板ばね(ブレード)14が、第1方向に沿って重ねて又は並べて配された複数の板ばね(ブレード)からなる場合、総長さ(幅の合計)について同様に設定できる。
【0035】
一例において、板ばね14は、基台10に対して固定された実質的な固定端と、シュー11に接続された実質的な自由端とを有する。板ばね14は、固定端と自由端との間で、少なくとも第2方向に沿って延在する延在部を有する。例えば、板ばね14は、第2方向及び/又は第3方向の板ばね14の範囲にわたり、実質的に平面形状を有することができる。別の例において、板ばね14は、少なくとも1つの曲げ部を有する形状を有することができる。板ばね14は、均一な厚みを有する、又は不均一な厚みを有することができる。
【0036】
一例において、板ばね14は、ワークピース1aに対する近位側の端部である先端部を、矩形板状のホルダ15の後側面(ワークピース1aと反対側の側面)の幅方向中央部に結合している。そして、このホルダ15の前側面(ワークピース1a側の側面)に、シュー11を固定している。他の例において、支持体(追従フレーム)12は、別の形態のホルダ14を有することができる。板ばね14とシュー11との接続構造について、様々な形態を採用することができる。
【0037】
なお、一例において、基台10に対する板ばね14の基端部の結合位置を、ワークピース1aの径方向に関して調節できるようになっている。そして、このような結合位置の調節によって、2つのシュー11のそれぞれの先端面13の径方向位置を調節することにより、サイズ(外径寸法)が異なる複数のワークピース1aの外周面に対して、2つのシュー11のそれぞれの先端面13を面接触させることができるようになっている。
【0038】
本実施形態において、このような加工装置3を用いて、ワークピース1aの外周面に研削加工を施す際には、バッキングプレート8の先端面にワークピース1aの軸方向側面を磁気吸着することにより、主軸7に対してワークピース1aを回転駆動可能に支持する。また、ワークピース1aの外周面に2つのシュー11のそれぞれの先端面13を接触させることにより、ワークピース1aの径方向に関する位置決めを図る。そして、この状態で、主軸7を回転駆動することにより、ワークピース1aを回転駆動しながら、ワークピース1aと反対方向に回転する砥石5の研削面9を、ワークピース1aの外周面に押し付けることにより、ワークピース1aの外周面に研削加工を施す。
【0039】
この際に、加工装置3では、ワークピース1aとワークピース支持装置6とのアライメントのずれに起因して、前述の図6に示した従来の場合と同様、図3に示すように、基台10に対してワークピース1aが傾いて回転する場合でも、ワークピース1aの外周面にシュー傷が生じるのを抑制することができる。
【0040】
すなわち、加工装置3では、基台10に対してシュー11を支持している板ばね14が、ワークピース1aの軸方向(X2方向)に関する撓み剛性が最も低くなる方向に配置されている。このため、一例において、図3に示すように、基台10に対してワークピース1aが傾いて回転する場合でも、同図に示すように、ワークピース1aの傾きに合わせて板ばね14がワークピース1aの軸方向(X2方向)に撓むことにより、ワークピース1aの外周面にシュー11の先端面13が追従して、ワークピース1aの外周面にシュー11の先端面13を面接触させることができる。支持体(追従フレーム)12において、第1方向に対するワークピース1aの外周面の傾きの変化に追従して、シュー11の姿勢が変化する。このため、ワークピース1aの外周面にシュー傷が生じるのを抑制することができる。他の例において、板ばね14は、図3とは異なる変形を示すことができる。
【0041】
したがって、ワークピース1aの外周面に研削加工を施す際の、ワークピース1aの高速回転化を図ることができる。また、シュー傷を除去するための追加工などを省略することができる。したがって、ワークピース1aの加工のサイクルタイムを短くすることができる。
【0042】
また、本実施形態において、加工装置3では、板ばね14が、ワークピース1aの円周方向(X1方向)に関する撓み剛性が最も高くなる方向に配置されている。このため、板ばね14がワークピース1aの円周方向(X1方向)に撓むことを実質的に阻止することができ、シュー11によるワークピース1aの径方向に関する位置決めを安定して行うことができる。したがって、ワークピース1aの外周面の研削加工を安定して行うことができる。
【0043】
本発明の第2の実施形態について、図4を用いて説明する。本実施形態において、加工装置では、ワークピース支持装置6aのうち、基台10に対してシュー11を支持する支持体12aの構造が、第1の実施形態と異なる。
【0044】
本実施形態では、支持体(追従フレーム)12aは、シュー11を固定したホルダ15aと、揺動支持軸(ピン)16とを有する。シュー11の先端面(当接面)13は、第1方向(例えば基準回転軸に沿った第1方向)に平行なラインに沿ってワークピース1aの外周面に当接される。ワークピース1aの外周面とシュー11の先端面13との接触部が第1方向に平行なラインに沿って延在するように、シュー11がワークピース1aに当接される。あるいは、ワークピース1aの外周面とシュー11の先端面13との接触部が第1方向に平行なラインを含むように、シュー11がワークピース1aに当接される。支持体12aは、基台(ベース)10に対してシュー11を支持するとともに、第1方向に対するワークピース1aの外周面の傾きの変化に応じた、シュー11の姿勢の変化(シュー11の向きの変化、先端面(当接面)13の向きの変化)を許容する、ように構成されている。支持体12aは、ワークピース1aの径方向に沿った第2方向と第1及び第2方向と交差する(例えば第1及び第2方向に垂直な)第3方向とにおいて比較的に剛な支持を提供し、第3方向に沿った軸周りにおいて比較的に柔軟な支持を提供する、ように構成されている。
【0045】
一例において、揺動支持軸16は、円柱状で、基台10に固定されており、かつ、ワークピース1aの円周方向(具体的には、ワークピース1aの外周面のうちでシュー11の先端面13を摺接させる部分の円周方向である、図4における表裏方向)を向いている。ホルダ15aは、円形の係合孔17を有しており、この係合孔17に対して揺動支持軸16を相対回転可能に係合させている(内嵌している)。本例では、このような係合孔17に揺動支持軸16を係合させて成る揺動支持構造部を採用することによって、ホルダ15aに固定されたシュー11を、基台10に対して揺動支持軸16を中心とする揺動(図4に矢印で示すような揺動)を可能に支持している。なお、他の例において、揺動支持軸16をホルダ15aに固定し、係合孔17を基台10に設ける構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、揺動支持軸16は、シュー11と共に揺動(回動)する。揺動構造、又は板ばね14とシュー11との接続構造について、様々な形態を採用することができる。
【0046】
本実施形態では、ワークピース1aの外周面に研削加工を施す際に、アライメントのずれに起因して、基台10に対してワークピース1aが傾いて回転する場合には、ワークピース1aの傾きに合わせてシュー11が揺動支持軸16を中心として揺動することにより、ワークピース1aの外周面にシュー11の先端面13が追従して、ワークピース1aの外周面にシュー11の先端面13を面接触させることができる。このため、ワークピース1aの外周面にシュー傷が生じるのを抑制することができる。その他の構成および作用は、第1の実施形態と同様にできる。
【0047】
本発明の対象となるワークピースは、シューを摺接させる外周面を有するものであれば、特に種類は問わない。また、ワークピースに施す加工は、研削加工に限らず、たとえば、超仕上加工などの他の加工とすることもできる。また、ワークピースの加工部位は、外周面に限らず、たとえば、内周面や軸方向側面とすることもできる。また、ワークピース支持装置を構成するシューの数(シューおよび追従構造部の組み合わせの数)は、2つに限らず、1つ又は3つ以上とすることもできる。また、ワークピース支持装置は、加工装置に限らず、ワークピースの性状(たとえば、真円度など)を測定するための測定機に組み込んで使用することもできる。
【0048】
図7は、転がり軸受の1例を示す、部分切断斜視図である。各種回転機器の回転支持部に、図7に示す様なラジアル玉軸受100が組み込まれている。図7において、転がり軸受100は、単列深溝型であって、互いに同心に配置された外輪102と内輪103との間に複数個の玉104、104が設置されている。外輪102の内周面の軸方向中間部に深溝型の外輪軌道105が全周に亙って形成されている。内輪103の外周面の軸方向中間部に深溝型の内輪軌道106が、全周に亙って形成されている。各玉104、104は、保持器107により保持された状態で、外輪軌道105と内輪軌道106との間で転動自在に配置されている。こうした軸受100は、外輪102と内輪103との相対回転が自在に構成されている。軸受として、様々な種類の軸受が適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、1a ワークピース
2 シュー
3 加工装置
4 回転駆動装置
5 砥石
6、6a ワークピース支持装置
7 主軸
8 バッキングプレート
9 研削面
10 基台(ベース)
11 シュー
12、12a 支持体(追従フレーム)
13 先端面
14 板ばね(ブレード、スプリングブレード)
15、15a ホルダ
16 揺動支持軸
17 係合孔
【要約】
ワークピース支持装置(6)は、基台(10)と、回転駆動装置(4)を用いて回転駆動されるワークピース(1a)の円周方向に関する少なくとも1箇所に配置され、前記ワークピース(1a)の周面に摺接させるシュー(11)と、シュー(11)を基台(10)に対して支持する支持体(12)とを備える。支持体(12)は、基台(10)に対するワークピース(1a)の傾きに合わせて、シュー(11)を傾かせるための追従構造部(板ばね(14))を有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7