特許第6443598号(P6443598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6443598
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】エレベーター装置及び携帯端末
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-540501(P2018-540501)
(86)(22)【出願日】2018年4月10日
(86)【国際出願番号】JP2018015108
【審査請求日】2018年8月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 明彦
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6306133(JP,B1)
【文献】 特開2017−202922(JP,A)
【文献】 特開2017−218264(JP,A)
【文献】 特開2018−043836(JP,A)
【文献】 特開2017−226513(JP,A)
【文献】 特開2017−024858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の監視センターと通信する監視装置と、
前記監視装置に接続され、エレベーターのかごを駆動する駆動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記監視装置又は前記制御装置は、
閉じ込めの発生を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、閉じ込めを解消するための第1動作を行う動作制御手段と、
通信可能な携帯端末を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、前記第2検出手段が検出した携帯端末に第2動作を行わせる端末制御手段と、
前記第1動作が行われても閉じ込めが解消しない場合に、外部の監視センターとの間で通信を開始する通信手段と、
を備え、
前記端末制御手段は、前記第2動作として、前記第2検出手段が検出した携帯端末の第1スピーカから音声を連続的に出力させるエレベーター装置。
【請求項2】
前記端末制御手段は、前記通信手段が前記監視センターの通信を開始する際に前記第2動作を終了させる請求項に記載のエレベーター装置。
【請求項3】
外部の監視センターと通信する監視装置と、
前記監視装置に接続され、エレベーターのかごを駆動する駆動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記監視装置又は前記制御装置は、
閉じ込めの発生を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、閉じ込めを解消するための第1動作を行う動作制御手段と、
通信可能な携帯端末を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、前記第2検出手段が検出した携帯端末に第2動作を行わせる端末制御手段と、
前記第1動作が行われても閉じ込めが解消しない場合に、前記第2検出手段が検出した携帯端末を呼出し、当該携帯端末と外部の監視センターとの間で音声通信を開始させる通信手段と、
を備え、
前記端末制御手段は、前記第2動作として、前記第2検出手段が検出した携帯端末の第1スピーカから音声を連続的に出力させるエレベーター装置。
【請求項4】
前記端末制御手段は、前記第2検出手段が検出した携帯端末を前記通信手段が呼出す際に前記第2動作を終了させる請求項に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
前記第1検出手段は、人がかごに閉じ込められたことを検出し、
前記かごは、第2スピーカを備え、
前記通信手段は、前記第2検出手段が検出した携帯端末と前記監視センターとの間で音声通信が開始されると、前記監視センターからの音声を前記第2スピーカから出力させる請求項又は請求項に記載のエレベーター装置。
【請求項6】
駆動装置を制御する制御装置に接続され且つ外部の監視センターと通信する監視装置と、前記駆動装置が駆動するエレベーターのかごの中で通信可能な通信手段と、
スピーカと、
閉じ込めが発生した際に前記監視装置が出力する特定の信号を前記通信手段が受信すると、特定の動作として、前記スピーカから音声を連続的に出力させる動作制御手段と、
表示器と、
難聴モードに設定するためのモード設定手段と、
を備え
前記動作制御手段は、前記モード設定手段によって難聴モードに設定されている場合に、前記特定の動作が開始された後に前記監視装置を介して音声通信が開始されると、音声信号の入力に合わせて変動する波形を前記表示器に表示させる携帯端末。
【請求項7】
前記かごの呼びを入力するための呼び入力手段を更に備えた請求項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記動作制御手段は、前記モード設定手段によって難聴モードに設定されている場合に、前記特定の動作が開始された後に前記監視装置を介して音声通信が開始されると、ボタン操作によって音声信号を送信するための表示を前記表示器に行う請求項6又は請求項7に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーター装置と携帯端末とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーター装置が記載されている。特許文献1に記載されたエレベーター装置では、かごが異常停止すると、ドアの開閉動作が行われる。そして、ドアの開閉動作が行われても異常が解消されなければ、監視センターへの通報が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開平9−77412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたエレベーター装置では、かごが異常停止すると、ドアの開閉動作が行われる。ドアが開閉されることによって閉じ込めが解消されれば、乗客は、最寄り階の乗場でかごから降りることができる。ドアの開閉動作によって閉じ込めが解消されなくても、この動作が終了すれば監視センターへの通報が行われる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたエレベーター装置では、閉じ込めが発生してから監視センターへの通報が行われるまでに時間がかかる。このため、監視センターへの通報が行われる前に、乗客がレスキュー隊等を呼んでしまうことがあった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、閉じ込めが発生した場合に、閉じ込めが発生した直後にレスキュー隊等への連絡が行われることを抑制できるエレベーター装置を提供することである。この発明の他の目的は、エレベーターで閉じ込めが発生した場合に、閉じ込めが発生した直後にレスキュー隊等への連絡が行われることを抑制できる携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベーター装置は、外部の監視センターと通信する監視装置と、監視装置に接続され、エレベーターのかごを駆動する駆動装置を制御する制御装置と、を備える。監視装置又は制御装置は、閉じ込めの発生を検出する第1検出手段と、第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、閉じ込めを解消するための第1動作を行う動作制御手段と、通信可能な携帯端末を検出する第2検出手段と、第1検出手段が閉じ込めの発生を検出すると、第2検出手段が検出した携帯端末に第2動作を行わせる端末制御手段と、第1動作が行われても閉じ込めが解消しない場合に、外部の監視センターとの間で通信を開始する通信手段と、を備える。端末制御手段は、第2動作として、第2検出手段が検出した携帯端末の第1スピーカから音声を連続的に出力させる。
【0008】
この発明に係る携帯端末は、駆動装置を制御する制御装置に接続され且つ外部の監視センターと通信する監視装置と駆動装置が駆動するエレベーターのかごの中で通信可能な通信手段と、スピーカと、閉じ込めが発生した際に監視装置が出力する特定の信号を通信手段が受信すると、特定の動作として、スピーカから音声を連続的に出力させる動作制御手段と、表示器と、難聴モードに設定するためのモード設定手段と、を備える。動作制御手段は、モード設定手段によって難聴モードに設定されている場合に、特定の動作が開始された後に監視装置を介して音声通信が開始されると、音声信号の入力に合わせて変動する波形を表示器に表示させる。

【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、エレベーターで閉じ込めが発生した場合に、閉じ込めが発生した直後にレスキュー隊等への連絡が行われることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。
図2図1に示すエレベーター装置の要部を示す図である。
図3】携帯端末の例を示す図である。
図4】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
図8】携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
図9】携帯端末の他の動作例を示すフローチャートである。
図10】表示器の表示例を示す図である。
図11】監視装置のハードウェア資源の例を示す図である。
図12】監視装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。図2は、図1に示すエレベーター装置の要部を示す図である。エレベーター装置は、例えばかご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。
【0013】
主ロープ4は、巻上機5の駆動綱車6に巻き掛けられる。制御装置7は、巻上機5等の機器を制御する。例えば、制御装置7は、駆動綱車6の回転及び停止を制御する。駆動綱車6の回転に応じてかご1は移動する。即ち、巻上機5は、かご1を駆動する駆動装置の一例である。制御装置7に、監視装置8が接続される。監視装置8は、外部の監視センター40と通信する。例えば、監視装置8は、監視センター40とデータ通信を行う。監視装置8は、監視センター40と音声通信を行う。監視装置8が外部の監視センター40と通信を行う方式は、如何なる方式であっても良い。
【0014】
かご1は、例えばドア10、モータ11、表示器12、マイク13、及びスピーカ14を備える。
【0015】
ドア10は、かご1に形成された出入り口を開閉する。ドア10は、モータ11によって駆動される。モータ11は、制御装置7によって制御される。表示器12は、かご1に乗っている人に情報を報知する手段の一例である。マイク13及びスピーカ14は、かご1に備えられたインターホンを構成する。かご1に乗っている人は、マイク13及びスピーカ14を使用することにより、例えば監視センター40にいるオペレータと会話することができる。
【0016】
図2に示す携帯端末20は、乗客の所有物である。図2は、乗客が携帯端末20を持ってかご1に乗っている例を示す。例えば、携帯端末20に、監視装置8と通信を行うために必要な専用のアプリケーションがインストールされる。携帯端末20が監視装置8と通信を行う方式は、如何なる方式であっても良い。携帯端末20は、LAN経由で監視装置8と通信しても良いし、電気通信事業者を経由して監視装置8と通信しても良い。
【0017】
図3は、携帯端末20の例を示す図である。図3に示すように、携帯端末20は、例えば表示器21、マイク22、スピーカ23、呼び入力部24、動作制御部25、及び通信部26を備える。
【0018】
表示器21、マイク22、及びスピーカ23は、例えば携帯端末20の使用者によって使用される。乗客は、呼び入力部24からかご1の呼びを入力することができる。動作制御部25は、携帯端末20に備えられた機器の動作を制御する。通信部26は、携帯端末20の通信機能を司る。
【0019】
監視装置8は、例えば閉じ込め検出部30、端末検出部31、動作制御部32、端末制御部33、及び通信部34を備える。
【0020】
閉じ込め検出部30は、かご1に人が閉じ込められたことを検出する。以下においては、かご1に人が閉じ込められたことを単に「閉じ込め」とも言う。閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出する方法は、どのような方法でも良い。例えば、閉じ込め検出部30は、人がかご1に乗っている状態でかご1が通常の停止位置ではない位置で停止すると、閉じ込めの発生を検出する。例えば、閉じ込め検出部30は、呼びの登録状況に基づいて、かご1に人が乗っているか否かを判定する。閉じ込め検出部30は、秤装置(図示せず)が計測した値に基づいて、かご1に人が乗っているか否かを判定しても良い。
【0021】
端末検出部31は、通信可能な携帯端末20を検出する。例えば、携帯端末20において上記専用のアプリケーションが立ち上げられると、当該携帯端末20を特定するための識別情報が監視装置8に送信される。端末検出部31は、監視装置8が受信した識別情報に基づいて、携帯端末20を検出する。端末検出部31は、携帯端末20の検出を他の方法で行っても良い。
【0022】
動作制御部32は、エレベーター装置に備えられた機器の動作を制御する。動作制御部32は、制御装置7を介して機器の動作を制御しても良い。端末制御部33は、携帯端末20に備えられた機器の動作を制御する。端末制御部33は、携帯端末20の動作制御部25を介して機器の動作を制御する。通信部34は、監視装置8の通信機能を司る。
【0023】
監視センター40は、例えば表示器41、マイク42、スピーカ43、及び通信部44を備える。表示器41、マイク42、及びスピーカ43は、例えば監視センター40にいるオペレータによって使用される。通信部44は、監視センター40の通信機能を司る。
【0024】
以下に、図4から図8も参照し、エレベーター装置の動作と携帯端末20の動作とについて詳しく説明する。図4から図6は、監視装置8の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
監視装置8では、閉じ込めが発生したか否かが判定される(S101)。閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出していなければ(S101のNo)、制御装置7によって例えば通常運転が行われる。通常運転は、登録されている呼びにかご1を順次応答させる運転である。
【0026】
図7及び図8は、携帯端末20の動作例を示すフローチャートである。携帯端末20において上記専用のアプリケーションが立ち上げられると、通信部26は、監視装置8を検出したか否かを判定する(S201)。通信部26は、監視装置8を検出すると、監視装置8と接続できたか否かを判定する(S202)。
【0027】
携帯端末20と監視装置8との通信が可能になると、S202でYesと判定される。S202でYesと判定されると、携帯端末20では、例えば呼びの入力が行われたか否かが判定される(S203)。上述したように、乗客は、呼び入力部24からかご1の呼びを入力することができる。呼び入力部24から呼びの入力が行われると、通信部26は、入力に応じた呼び信号を監視装置8に送信する(S204)。制御装置7は、監視装置8が受信した呼び信号に基づいて、かご1の呼びを登録する。
【0028】
また、S202でYesと判定されると、通信部26は、例えば監視装置8から表示信号を受信したか否かを判定する(S205)。通信部26が監視装置8から表示信号を受信すると、動作制御部25は、受信した表示信号に基づいて表示器21にメッセージを表示させる(S206)。S206では、例えば「次の点検は7月31日です。」といったメッセージが表示器21に表示される。携帯端末20がかご1の中に存在する場合は、S206において、例えば「このかごは、5階、8階、及び12階に停止します。」といったメッセージが表示器21に表示されても良い。
【0029】
一方、監視装置8では、閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出すると(S101のYes)、動作制御部32が解消動作を行う(S102)。解消動作は、閉じ込めを解消するための特定の動作である。例えば、動作制御部32は、解消動作として、ドア10の開閉動作を行う。動作制御部32は、解消動作として、安全装置のリセット信号を出力しても良い。動作制御部32は、解消動作として、機器との通信リトライを行っても良い。解消動作の例は、これらに限定されない。
【0030】
また、監視装置8では、閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出すると、監視装置8に接続している携帯端末20が存在するか否かが判定される(S103)。端末検出部31が携帯端末20を検出すると、S103でYesと判定される。S103でYesと判定されると、端末制御部33は、S103で端末検出部31が検出した携帯端末20に抑制動作を行わせる。抑制動作は、携帯端末20の使用者に、通話のための発信操作を躊躇させるための特定の動作である。例えば、端末制御部33は、端末検出部31が検出した携帯端末20に対して通信部34から抑制動作信号を送信させる(S104)。
【0031】
動作制御部32による解消動作が終了すると、監視装置8では、閉じ込めが解消されたか否かが判定される(S105)。解消動作が行われることによって閉じ込めが解消すると(S105のYes)、通信部34は、端末検出部31が検出した携帯端末20に終了信号を送信する(S106)。終了信号は、携帯端末20において抑制動作を終了させるための信号である。
【0032】
監視装置8がS104で送信した抑制動作信号は、携帯端末20の通信部26によって受信される。携帯端末20では、S202でYesと判定されると、監視装置8から抑制動作信号を受信したか否かが判定される(S207)。通信部26が抑制動作信号を受信すると(S207のYes)、動作制御部25は抑制動作を行う(S208)。例えば、動作制御部25は、抑制動作として、スピーカ23から音声を連続的に出力させる。動作制御部25は、抑制動作として、表示器21にメッセージを表示しても良い。動作制御部25は、抑制動作として、マイク22の機能を無効にし、その旨を表示器21に表示しても良い。
【0033】
抑制動作が開始されると、携帯端末20では、終了信号を受信したか否かが判定される(S209)。監視装置8がS106で送信した終了信号は、通信部26によって受信される。通信部26が終了信号を受信すると(S209のYes)、動作制御部25は抑制動作を終了する(S210)。
【0034】
一方、監視装置8では、解消動作が行われても閉じ込めが解消しなければ(S105のNo)、監視装置8に接続している携帯端末20が存在するか否かが判定される(S107)。端末検出部31が携帯端末20を検出すると、S107でYesと判定される。S107でYesと判定されると、通信部34は、監視センター40と音声通信を行うための処理を開始する(S108)。その後、通信部34は、監視センター40と接続できたか否かを判定する(S109)。
【0035】
監視センター40と監視装置8との音声通信が可能になると、S109でYesと判定される。S109でYesと判定されると、通信部34は、端末検出部31が検出した携帯端末20に対して呼出しを行う(S110)。端末検出部31が複数の携帯端末20を検出していれば、通信部34は、S110においてその複数の携帯端末20に対して呼出しを行う。即ち、通信部34は、S110において、通信可能な全ての携帯端末20を呼出す。通信部34は、携帯端末20への呼出しを行うと、呼出しを行った携帯端末20が応答したか否かを判定する(S111)。
【0036】
携帯端末20では、抑制動作が開始された後に終了信号を受信していなければ、音声着信したか否かが判定される(S211)。音声着信があれば(S211のYes)、動作制御部25は、抑制動作を終了させる(S212)。また、S211でYesと判定されると、携帯端末20では、携帯端末20の使用者がその着信に対する応答操作を行ったか否かが判定される(S213)。携帯端末20の使用者は、例えば、通話ボタンを押すことによってその音声着信に応答することができる。S213では、例えば、通話ボタンが押されたか否かが判定される。
【0037】
携帯端末20の使用者が応答操作を行うと(S213のYes)、通信部26は、監視装置8に対して応答信号を送信する(S214)。S214で応答信号が送信されると、携帯端末20では、監視装置8と接続できたか否かが判定される(S215)。監視装置8と携帯端末20との音声通信が可能になると、S215でYesと判定される。
【0038】
携帯端末20がS214で送信した応答信号は、監視装置8の通信部34によって受信される。通信部34が何れかの携帯端末20から応答信号を受信すると、S111でYesと判定される。これにより、監視装置8と1台の携帯端末20との音声通信が可能になる。即ち、この携帯端末20と監視センター40との間で、監視装置8を介した音声通信が開始される(S112)。携帯端末20の使用者は、マイク22とスピーカ23とを用いて、監視センター40にいるオペレータと会話をすることができる。監視センター40にいるオペレータは、マイク42とスピーカ43とを用いて、携帯端末20の使用者と会話をすることができる。また、S111でYesと判定されると、S110で呼出しを行った携帯端末20のうちS111で応答した携帯端末20以外の携帯端末20に対する呼出しがキャンセルされる(S113)。
【0039】
監視センター40と携帯端末20との間で音声通信が開始されると、通信部34は、監視センター40から入力される音声を、かご1に備えられたスピーカ14からも出力させる(S114)。これにより、かご1に乗っている人は、オペレータが話している内容をスピーカ14から聞くことができる。その後、監視装置8では、監視センター40との接続が切れたか否かが判定される(S115)。例えば、監視センター40にいるオペレータが音声通信を切るための特定の操作を行うと、S115でYesと判定される。S115でYesと判定されると、通信部34は、携帯端末20との接続を切り、携帯端末20との音声通信を終了させる(S116)。
【0040】
また、S107でNoと判定されると、通信部34は、監視センター40と音声通信を行うための処理を開始する(S117)。その後、通信部34は、監視センター40と接続できたか否かを判定する(S118)。監視センター40と監視装置8との音声通信が可能になると、S118でYesと判定される。S118でYesと判定されると、監視センター40とかご1との間で音声通信が開始される(S119)。即ち、かご1にいる人は、マイク13とスピーカ14とを用いて、監視センター40にいるオペレータと会話をすることができる。監視センター40にいるオペレータは、マイク42とスピーカ43とを用いて、かご1にいる人と会話をすることができる。
【0041】
監視センター40とかご1との間で音声通信が開始されると、監視装置8では、監視センター40との接続が切れたか否かが判定される(S120)。S120でYesと判定されることにより、監視センター40とかご1との間の音声通信が終了する。
【0042】
一方、S215で携帯端末20が監視装置8と接続することにより、この携帯端末20と監視センター40との間で、監視装置8を介した音声通信が開始される(S216)。即ち、携帯端末20の使用者は、マイク22とスピーカ23とを用いて、監視センター40にいるオペレータと会話をすることができる。その後、携帯端末20では、監視装置8との接続が切れたか否かが判定される(S217)。S217でYesと判定されることにより、携帯端末20と監視センター40との間の音声通信が終了する。S217でYesと判定されると携帯端末20の処理はS202に戻る。
【0043】
本実施の形態に示す例では、閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出すると、動作制御部32が解消動作を行う。一方、携帯端末20では、閉じ込め検出部30が閉じ込めの発生を検出すると抑制動作が行われる。このため、閉じ込めが発生した直後に、携帯端末20からレスキュー隊等に連絡が行われることを抑制できる。
【0044】
携帯端末20のスピーカ23から音が流れている時に、人はその携帯端末20を用いて電話をかけようとは思わない。このため、抑制動作としては、スピーカ23から音声を連続的に出力させることが好適である。
【0045】
本実施の形態では、S211でYesと判定されると、動作制御部25が抑制動作を終了させる例について説明した。これは一例である。抑制動作を終了させるか否かの判断は、監視装置8側で行われても良い。例えば、端末制御部33は、通信部34が監視センター40との通信を開始する際に、携帯端末20で行われている抑制動作を終了させる。かかる場合、端末制御部33は、例えばS108で処理を開始する時に、抑制動作を終了させるための信号を通信部34に送信させる。端末制御部33は、S109でYesと判定された時に、抑制動作を終了させるための信号を通信部34に送信させても良い。他の例として、端末制御部33は、端末検出部31が検出した携帯端末20を通信部34がS110で呼出す際に、携帯端末20で行われている抑制動作を終了させても良い。
【0046】
次に、携帯端末20が採用可能な他の機能について説明する。図9は、携帯端末20の他の動作例を示すフローチャートである。図9は、図8のS215でYesと判定された後の動作例を示す。
【0047】
図9に示す動作を実現するため、携帯端末20にモード設定部27が更に備えられる。図10は、表示器21の表示例を示す図である。図10は、モード設定部27が携帯端末20の動作モードとして難聴モードを設定するためのボタン27aを備える例を示す。携帯端末20の使用者は、表示器21に表示されたボタン27aを押すことにより、携帯端末20の動作モードを難聴モードに設定することができる。
【0048】
携帯端末20と監視センター40との間で監視装置8を介した音声通信が開始されると(S216)、携帯端末20では、動作モードが難聴モードに設定されているか否かが判定される(S218)。
【0049】
例えば、動作モードが難聴モードに設定されていれば(S218のYes)、動作制御部25は、監視センター40からの音声を示す波形を表示器21に表示させる(S219)。また、動作制御部25は、音声信号の入力に合わせて上記波形を変動させる。これにより、携帯端末20の使用者は、波形が変動しているのを見て、監視センター40のオペレータが話していることを認識できる。
【0050】
更に、動作制御部25は、動作モードが難聴モードに設定されていれば、定型メッセージを音声で送るためのメッセージボタンを表示器21に表示させる(S220)。そして、携帯端末20では、メッセージボタンが押されたか否かが判定される(S221)。表示器21に表示されたメッセージボタンが押されると、押されたメッセージボタンに対応する音声信号が監視センター40に送信される(S222)。これにより、携帯端末20の使用者は、ボタン操作によって音声信号を送信することができる。
【0051】
なお、表示器21に表示されたメッセージボタンが押された際に、押されたメッセージボタンに対応するデータ信号が監視センター40に送信されても良い。
【0052】
本実施の形態では、監視装置8に各種機能が備えられる例について説明した。監視装置8が備える上記機能の一部又は全部は、制御装置7に備えられても良い。
【0053】
本実施の形態において、符号30〜34に示す各部は、監視装置8が有する機能を示す。図11は、監視装置8のハードウェア資源の例を示す図である。監視装置8は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサ51とメモリ52とを含む処理回路50を備える。監視装置8は、メモリ52に記憶されたプログラムをプロセッサ51によって実行することにより、符号30〜34に示す各部の機能を実現する。
【0054】
プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ或いはDSPともいわれる。メモリ52として、半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク或いはDVDを採用しても良い。採用可能な半導体メモリには、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM及びEEPROM等が含まれる。
【0055】
図12は、監視装置8のハードウェア資源の他の例を示す図である。図12に示す例では監視装置8は、例えばプロセッサ51、メモリ52、及び専用ハードウェア53を含む処理回路50を備える。図12は、監視装置8が有する機能の一部を専用ハードウェア53によって実現する例を示す。監視装置8が有する機能の全部を専用ハードウェア53によって実現しても良い。専用ハードウェア53として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0056】
同様に、符号24〜27に示す各部は、携帯端末20が有する機能を示す。携帯端末20のハードウェア資源は、図11に示す例と同様である。携帯端末20は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。携帯端末20は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号24〜27に示す各部の機能を実現する。携帯端末20は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。また、携帯端末20が有する機能の全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明は、エレベーター装置とエレベーター装置と通信可能な携帯端末とに適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 4 主ロープ、 5 巻上機、 6 駆動綱車、 7 制御装置、 8 監視装置、 10 ドア、 11 モータ、 12 表示器、 13 マイク、 14 スピーカ、 20 携帯端末、 21 表示器、 22 マイク、 23 スピーカ、 24 呼び入力部、 25 動作制御部、 26 通信部、 27 モード設定部、 30 閉じ込め検出部、 31 端末検出部、 32 動作制御部、 33 端末制御部、 34 通信部、 40 監視センター、 41 表示器、 42 マイク、 43 スピーカ、 44 通信部、 50 処理回路、 51 プロセッサ、 52 メモリ、 53 専用ハードウェア
【要約】
エレベーター装置は、閉じ込め検出部(30)、動作制御部(32)、端末検出部(31)、及び端末制御部(33)を備える。動作制御部(32)は、閉じ込め検出部(30)が閉じ込めの発生を検出すると、閉じ込めを解消するための解消動作を行う。端末制御部(33)は、閉じ込め検出部(30)が閉じ込めの発生を検出すると、端末検出部(31)が検出した携帯端末(20)に抑制動作を行わせる。抑制動作は、通話のための発信操作を躊躇させるための特定の動作である。
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