特許第6443600号(P6443600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6443600熱転写システム、巻取装置、熱転写方法および巻取方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443600
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】熱転写システム、巻取装置、熱転写方法および巻取方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/38 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B41J17/38 A
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-542664(P2018-542664)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(86)【国際出願番号】JP2017035020
(87)【国際公開番号】WO2018062304
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2018年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-190081(P2016-190081)
(32)【優先日】2016年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】黒田 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 善幸
(72)【発明者】
【氏名】福井 大介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 知子
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−141059(JP,A)
【文献】 特開2006−150956(JP,A)
【文献】 特開2015−091645(JP,A)
【文献】 実開昭61−045171(JP,U)
【文献】 特開昭58−128890(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/141313(WO,A1)
【文献】 特開平09−141987(JP,A)
【文献】 特開2007−331126(JP,A)
【文献】 米国特許第04788559(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と前記基材層の一方の面上の熱移行性染料を含有するインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システムにおいて、
前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流において前記インクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1加熱体と、
前記第1加熱体の下流において、インク転写済の前記インクリボンをその背面層がインク層より外側に位置するように巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍において前記インク転写済のインクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写する第2加熱体と、
前記第1加熱体および前記第2加熱体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1パターンに応じたインクを前記インク層の一部として転写するように前記第1加熱体を制御し、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写するように前記第2加熱体を制御し、
前記背面層は、リン酸エステルを含有し、
前記基材層は、前記インク層に接するプライマ層を有し、
前記プライマ層は、無機微粒子を含有し、
前記制御部は、前記第2加熱体の制御によって内側のインクリボンの背面層から外側のインクリボンのプライマ層に前記リン酸エステルを移行させる、熱転写システム。
【請求項2】
前記背面層は、
イソシアネート系硬化剤で硬化された樹脂と、
前記樹脂と未反応のイソシアネート系硬化剤とを含有する請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項3】
前記樹脂は、ポリビニルアセタール系樹脂を含有する請求項2に記載の熱転写システム。
【請求項4】
前記背面層は、アクリル系樹脂およびシリコーン樹脂を含有し、前記シリコーン樹脂はアミノ変性系あるいはカルボキシ変性系の少なくとも一方を含有する請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項5】
前記無機微粒子は、アルミナゾルまたはコロイダルシリカである請求項1に記載の熱転写システム。
【請求項6】
前記プライマ層は、水系樹脂を含有する請求項5に記載の熱転写システム。
【請求項7】
前記第1加熱体と前記巻取部との間の前記インク転写済のインクリボンを押圧する歯車状の部材を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱転写システム。
【請求項8】
前記巻取部は、外周面にクッション層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱転写システム。
【請求項9】
前記インクリボンは、開始部分にクッション部を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱転写システム。
【請求項10】
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンであって、前記インク層のインクが被写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取装置において、
前記インク転写済のインクリボンをその背面層がインク層より外側に位置するように巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍において前記インク転写済のインクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写する加熱体と、
前記加熱体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写するように前記加熱体を制御し、
前記背面層は、リン酸エステルを含有し、
前記基材層は、前記インク層に接するプライマ層を有し、
前記プライマ層は、無機微粒子を含有し、
前記制御部は、前記加熱体の制御によって内側のインクリボンの背面層から外側のインクリボンのプライマ層に前記リン酸エステルを移行させる、巻取装置。
【請求項11】
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写方法において、
前記インクリボンを送り出し、
前記送り出されたインクリボンを第1加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写し、
インク転写済の前記インクリボンを、その背面層がインク層より外側に位置するように巻き取り、
巻き取られた前記インク転写済のインクリボンを第2加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写することを具備し、
前記第1パターンの転写は、前記第1パターンに応じたインクを前記インク層の一部として転写することで行われ、
前記第2パターンの転写は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写することで行われ、
前記背面層は、リン酸エステルを含有し、
前記基材層は、前記インク層に接するプライマ層を有し、
前記プライマ層は、無機微粒子を含有し、
前記第2加熱体での加熱によって、内側のインクリボンの背面層から外側のインクリボンのプライマ層に前記リン酸エステルを移行させる、熱転写方法。
【請求項12】
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンであって、前記インク層のインクが被写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取方法において、
前記インク転写済のインクリボンを、その背面層がインク層より外側に位置するように巻き取り、
巻き取られた前記インク転写済のインクリボンを加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写することを具備し、
前記第2パターンの転写は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写することで行われ、
前記背面層は、リン酸エステルを含有し、
前記基材層は、前記インク層に接するプライマ層を有し、
前記プライマ層は、無機微粒子を含有し、
記加熱体での加熱によって、内側のインクリボンの背面層から外側のインクリボンのプライマ層に前記リン酸エステルを移行させる、巻取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱転写システム、巻取装置、熱転写方法および巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクリボンを用いて、カードや受像紙等の被転写体に文字や画像を印刷する熱転写システムが広く普及している。インクリボンは、帯状に延びるリボンすなわち基材層と、リボン上に形成され、染料等を含んだインク層と、を有している。インクリボンを用いた印刷においては、印刷すべき所望の文字や画像に対応したパターンで、インクが被転写体に転写される。この場合、インク転写済のインクリボンには、被転写体への転写によりインクが抜けた部分が、印刷された文字や画像に対応したパターンで存在している。このため、インク転写済のインクリボンから、印刷された文字や画像を特定することが可能である。従って、インクリボンを用いて、被転写体にID情報などの秘匿すべき情報を印刷する場合、インク転写済のインクリボンの取り扱いに注意が必要となる。
【0003】
このような問題に対応するため、例えば実開平7−21357号公報に記載の熱転写システムでは、第1加熱体によってインクリボンを加熱して、インク層のインクを例えばID情報を含む文字パターンなどの第1パターンで被転写体に転写した後、巻取部に巻き取られるインク転写済のインクリボンを第2加熱体で加熱して、インク層のインクを第1パターンと異なる第2パターンでインク層の内側に巻き取られた支持層すなわち基材層に転写する。
【0004】
この実開平7−21357号公報に記載の熱転写システムにより、インク転写済のインクリボンから第1パターンが特定されにくくすることができる。
【0005】
しかしながら、写真画像の印刷に主に使用される熱昇華型のインクリボンを用いてインク層の内側の基材層に第2パターンでインクを転写する場合、従来は第1パターンを攪乱すなわち破壊できるほど十分にインクを転写することが困難であった。なぜならば、熱昇華型のインクを十分な発色濃度で転写するためには、被転写体の表面に染料の受容層が必要であるが、巻き取られてインク層の内側に相当するインクリボンの基材層にその機能がないためである。
【0006】
これは、インクリボンのインク層と反対の基材層には、サーマルヘッドで加熱されるため耐熱性の背面層が設けられており、この背面層に染料の受容機能を付与するのが困難なためである。もしリボン背面層の染料受容機能を高めた場合、インクリボンの製造工程において、背面層に転写した染料が、再度別の画面色の染料層に再転写を起こし、染料リボン画面間で混色が発生しやすくなる課題がある。
【0007】
したがって、従来は、熱昇華型のインクリボンのインク抜け部分から顔写真などの印刷された個人情報が特定されることを防止することが困難であるといった問題があった。
【発明の開示】
【0008】
本開示は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、熱昇華型のインクリボンのインク抜け部分から印刷された個人情報が特定されることを防止できる熱転写システム、巻取装置、熱転写方法および巻取方法を提供することを目的とする。
【0009】
本開示の一態様において、
基材層と前記基材層の一方の面上の熱移行性染料を含有するインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写システムにおいて、
前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流において前記インクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写する第1加熱体と、
前記第1加熱体の下流において、インク転写済の前記インクリボンをその背面層がインク層より外側に位置するように巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍において前記インク転写済のインクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写する第2加熱体と、
前記第1加熱体および前記第2加熱体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1パターンに応じたインクを前記インク層の一部として転写するように前記第1加熱体を制御し、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写するように前記第2加熱体を制御する熱転写システムが提供される。
【0010】
前記背面層は、リン酸エステルを含有してもよい。
【0011】
前記背面層は、
イソシアネート系硬化剤で硬化された樹脂と、
前記樹脂と未反応のイソシアネート系硬化剤とを含有してもよい。
【0012】
前記背面層は、イソシアネート系硬化剤で硬化された樹脂を含有し、
前記樹脂が有する水酸基と前記イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル等量比(−NCO/−OH)は0.5以下であってもよい。
【0013】
前記樹脂は、アセタール系樹脂を含有してもよい。
【0014】
前記背面層は、アクリル系樹脂およびシリコーン樹脂を含有し、前記シリコーン樹脂はアミノ変性系あるいはカルボキシ変性系の少なくとも一方を含有してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記第2パターンの一部において前記インク転写済のインクリボンがその内側のインク転写済のインクリボンに融着するように前記第2加熱体を制御してもよい。
【0016】
前記基材層は、前記インク層に接するプライマ層を有してもよい。
【0017】
前記プライマ層は、無機微粒子を含有してもよい。
【0018】
前記無機微粒子は、アルミナゾルまたはコロイダルシリカであってもよい。
【0019】
前記プライマ層は、水系樹脂を含有してもよい。
【0020】
前記第1加熱体と前記巻取部との間の前記インク転写済のインクリボンを押圧する歯車状の部材を備えてもよい。
【0021】
前記巻取部は、外周面にクッション層を有してもよい。
【0022】
前記インクリボンは、開始部分にクッション部を有してもよい。
【0023】
本開示の一態様において、
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンであって、前記インク層のインクが被写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取装置において、
前記インク転写済のインクリボンをその背面層がインク層より外側に位置するように巻き取る巻取部と、
前記巻取部の近傍において前記インク転写済のインクリボンを前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写する加熱体と、
前記加熱体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写するように前記第2加熱体を制御する巻取装置が提供される。
【0024】
本開示の一態様において、
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインクを転写する熱転写方法において、
前記インクリボンを送り出し、
前記送り出されたインクリボンを第1加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記被転写体に対して第1パターンで転写し、
インク転写済の前記インクリボンを、その背面層がインク層より外側に位置するように巻き取り、
巻き取られた前記インク転写済のインクリボンを第2加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写することを具備し、
前記第1パターンの転写は、前記第1パターンに応じたインクを前記インク層の一部として転写することで行われ、
前記第2パターンの転写は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写することで行われる熱転写方法が提供される。
【0025】
本開示の一態様において、
基材層と前記基材層の一方の面上のインク層と前記基材層の他方の面上の背面層とを有するインクリボンであって、前記インク層のインクが被写体に対して第1パターンで転写されたインク転写済のインクリボンを巻き取る巻取方法において、
前記インク転写済のインクリボンを前記背面層が前記インク層より外側に位置するように巻き取り、
巻き取られた前記インク転写済のインクリボンを加熱体で前記背面層側から加熱し、前記インク層のインクを前記インク層の内側の背面層に対して前記第1パターンと異なる第2パターンで転写することを具備し、
前記第2パターンの転写は、前記第2パターンに応じたインクを前記インク層ごと転写することで行われる巻取方法が提供される。
【0026】
本開示によれば、熱昇華型のインクリボンのインク抜け部分から印刷された個人情報が特定されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1の実施形態による熱転写システムを示す図。
図2】第1の実施形態による熱転写システムの巻取装置を示す拡大図。
図3A】第1の実施形態による熱転写システムの第2加熱体を示す平面図。
図3B】第2加熱体を示す部分拡大断面図。
図4A】第1の実施形態による熱転写システムのインクリボンを示す断面図。
図4B図4Aのインクリボンの斜視図。
図5A】第1の実施形態による熱転写システムの動作例において、第1パターンでのインク転写済のインクリボンを示す平面図。
図5B】第1パターンでインクが転写された被写体を示す平面図。
図5C】第1パターンでのインク転写済のインクリボンを示す断面図。
図6A】第1の実施形態による熱転写システムの動作例において、内側インクリボンの背面層から外側インクリボンへのリン酸エステルの移行を模式的に示す断面図。
図6B】内側インクリボンの背面層への第2パターンでのインク転写状態を模式的に示す断面図。
図7】第1の実施形態による熱転写システムの動作例において、第2パターンでのインク転写済のインクリボンを示す平面図。
図8】第1の実施形態の第1の変形例による熱転写システムの巻取装置を示す拡大図。
図9A】第1の実施形態の第1の変形例によるによる熱転写システムの動作例において、第2パターンでのインク転写済のインクリボンの第1の例を示す平面図。
図9B】第2パターンでのインク転写済のインクリボンの第2の例を示す平面図。
図10】第1の実施形態の第2の変形例による熱転写システムを示す図。
図11】第1の実施形態の第3の変形例による熱転写システムの巻取装置を示す拡大図。
図12】第1の実施形態の第4の変形例による熱転写システムにおいて、インクリボンを示す斜視図。
図13A】第2の実施形態による熱転写システムの動作例において、内側インクリボンの背面層に外側インクリボンのインク層がプライマ層との接着力に勝る接着力で接着される状態を模式的に示す断面図。
図13B】内側インクリボンの背面層への第2パターンでのインク転写状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、図1乃至図12を参照して、本開示の第1の実施形態について説明する。はじめに図1を参照して、熱転写システム10の全体構造について説明する。
【0029】
(熱転写システム10)
図1に示す熱転写システム10は、基材層11と基材層11の一方の表面上のインク層12と基材層11の他方の表面上の背面層13とを有するインクリボン14を用いて被転写体15に所望のパターンでインク12aを転写する。熱転写システム10に用いるインクリボン14は、昇華性染料インク12aを有する熱昇華型のインクリボン14である。
【0030】
図1に示すように、熱転写システム10は、インクリボン14の送り出し方向の上流側から順に、送出部16と、複数の送出側ガイドロール17と、第1転写装置18と、複数の巻取側ガイドロール19と、巻取部20と、第2転写装置21とを有する。第1転写装置18は、第1加熱体22と、プラテンロール23とを有する。第2転写装置21は、第2加熱体211を有する。また、熱転写システム10は、制御部24を有する。巻取部20と第2転写装置21とは、巻取装置2を構成している。
【0031】
(送出部16)
送出部16は、図1の矢印Rで示す方向に回転して、下流側にインクリボン14を送り出す。
【0032】
複数の送出側ガイドロール17は、インクリボン14の搬送方向に間隔を空けて配置されている。各送出側ガイドロール17は、送出部16から送り出されたインクリボン14の下流側への搬送をガイドする。
【0033】
(第1加熱体22)
第1加熱体22とプラテンロール23とは、送出側ガイドロール17の下流のインクリボン14を挟んで互いに対向するように設けられている。プラテンロール23は、インク層12側においてインクリボン14に対向する。プラテンロール23は、インク層12とプラテンロール23との間に搬送された被転写体15を支持する。第1加熱体22は、背面層13側においてインクリボン14に対向する。第1加熱体22は、インクリボン14を背面層13側から加熱する。第1加熱体22は、例えば、通電によって発熱する発熱素子を有するサーマルヘッドである。インクリボン14を加熱することで、第1加熱体22は、インク層12の昇華性染料インク12aを被転写体15に第1パターンで転写し、昇華性染料の転写量変化による色階調表現を実現する。第1パターンは、例えば、免許証、社員証、パスポートの写真などの身分証明書すなわちIDカードの画像パターンである。また被転写体15は、昇華性染料インク12aを受容する機能を有する。
【0034】
第1パターンでインク12aを転写することで、インクリボン14には、第1パターンのインク抜け部分が生じる。第1パターンのインク抜け部分の具体例は、後述の動作例で説明する。
【0035】
複数の巻取側ガイドロール19は、インクリボン14の搬送方向に間隔を空けて配置されている。各巻取側ガイドロール19は、第1パターンでのインク転写済のインクリボン14の下流側への搬送をガイドする。
【0036】
(巻取部20)
図2は、第1の実施形態による熱転写システム10の巻取装置2を示す拡大図である。巻取装置2の巻取部20は、例えば、ロール状のコア本体である。巻取部20は、モータ等の不図示の駆動源の動力によって図1および図2の矢印Rで示す方向に回転する。回転することで、巻取部20は、巻取側ガイドロール19から搬送されたインク転写済のインクリボン14を、そのインク層12が内側に位置するように巻き取る。すなわち、巻取部20は、第1加熱体22の下流において、インク転写済のインクリボン14を、その背面層13がインク層12より外側に位置するように巻き取る。
【0037】
(第2加熱体211)
図1および図2に示すように、第2加熱体211は、巻取部20の近傍に配置されている。第2加熱体211は、ロール状を有し、モータ等の不図示の駆動源の動力によって図1および図2の矢印Rで示す方向に回転する。
【0038】
図3Aは、第1の実施形態による熱転写システム10の第2加熱体211を示す平面図である。図3Bは、第2加熱体211を示す部分拡大断面図である。図3Aおよび図3Bに示すように、第2加熱体211は、その外周面に第1パターンと異なる第2パターンで配置された突起部211aを有する。
【0039】
第2加熱体211は、突起部211aによって、巻取部20に巻き取られたインク転写済のインクリボン14のうち最外周に位置する外側インクリボン14Aを、その背面層13側から加熱し、かつ、押圧する。第2加熱体211は、例えば、通電によって発熱する発熱抵抗体である。外側インクリボン14Aを加熱することで、外側インクリボン14Aのインク層12のインク12aが、巻取部20に巻き取られたインクリボン14のうち外側インクリボン14Aに内側において隣接する内側インクリボン14Bの背面層13に転写する。突起部211aが第2パターンで配置されていることで、内側インクリボン14Bの背面層13には、外側インクリボン14Aのインク12aが第2パターンで転写される。すなわち、第2加熱体211は、巻取部20の近傍において、インク転写済のインクリボン14Aを背面層13側から加熱し、インク層12のインク12aをインク層12の内側の背面層13に対して第1パターンと異なる第2パターンで転写する。
【0040】
第1パターンと異なる第2パターンでインク12aを転写することで、外側インクリボン14Aに、第1パターンのインク抜け部分を攪乱すなわち破壊する第2パターンのインク抜け部分を形成できる。第1パターンのインク抜け部分を攪乱できるので、第1パターンに示される顔画像などの個人情報が漏洩することを防止できる。
【0041】
なお、巻取部20では、インク転写済のインクリボン14の巻き取りが進むにつれて、巻き取られたインクリボン14で構成されるロール体の外径が増加していく。このようなロール体の外径の増加に対応するため、第2加熱体211は、図2に示される巻取部20径方向D1に移動可能となるよう図示しない支持機構で支持されている。支持機構で第2加熱体211を支持することにより、巻取り駆動が停止されている場合や、第2加熱体211による加熱が不要な場合に、第2加熱体211を径方向D1に移動させて、巻取部20に巻き取られたインクリボン14との接触を任意に中止することが可能となる。
【0042】
(制御部24)
制御部24は、第1加熱体22と第2加熱体211とを制御する。具体的には、制御部24は、第1パターンに応じたインク12aをインク層12の一部として転写するように第1加熱体22を制御する。また、制御部24は、第2パターンに応じたインク12aをインク層12ごと転写するように第2加熱体22を制御する。
【0043】
例えば、制御部24は、第2加熱体211が第1加熱体22に対して1より大きい所定倍の温度で発熱するように加熱体21、22の発熱温度を制御する。制御すべき発熱温度としては、例えば、予め行った実験結果に基づいた好適な発熱温度を設定してもよい。
【0044】
なお、第1の実施形態において、第2パターンに応じたインク12aをインク層12ごと転写可能であることは、後述のように、背面層13がリン酸エステルを含有することで確保されている。
【0045】
制御部24によれば、第1パターンの転写時には、被転写体15に対して、第1パターンに応じた昇華性染料インク12aの転写量を変化させることで、色階調表現を実現して印刷品質を確保することができる。
一方、第2パターンの転写時には、背面層13に対して、昇華性染料インク12aをインク層12ごと転写する、いわゆる異常転写を積極的に生じさせることで、外側インクリボン14Aから内側インクリボン14Bの背面層13へのインク12aの移行を確実に促すことができる。これにより、背面層13に昇華性染料の受容機能がなくても、外側インクリボン14Aには、第1パターンのインク抜け部分を攪乱する第2パターンのインク抜け部分を確実に形成することができる。同時に、第2パターンの高濃度の染料画像がインク層12ごと背面層13に移行することで、内側インクリボン14Bの第1パターンのインク抜け部分を一部覆い隠し、さらに攪乱効果を高めることができる。
【0046】
(インクリボン14)
図4Aは、第1の実施形態による熱転写システムのインクリボン14を示す断面図である。図4Bは、図4Aのインクリボンの斜視図である。図4Aに示すように、インクリボン14は、順に、背面層13と、基材層11と、インク層12とが積層されて構成されている。また、図4Aに示すように、基材層11は、背面層13に接する樹脂層111と、樹脂層111とインク層12との間においてインク層12に接するプライマ層112とを有する。
【0047】
(樹脂層111)
基材層11を構成する樹脂層111としては、熱転写に耐え得る耐熱性と強度を有する種々の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂層111は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。樹脂層111は、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等であってもよい。樹脂層111は、上述の樹脂を2種以上含有してもよい。
【0048】
(プライマ層112)
プライマ層112は、例えば、基材層11へのインク層12の密着性を高めるために設けられている。プライマ層112は、熱可塑性樹脂と無機微粒子112aとを含有している。プライマ層112の無機微粒子112aは、好ましくは、コロイダルシリカまたはアルミナゾルである。コロイダルシリカまたはアルミナゾルを採用することで、インク層12との密着性を確実に高めることができる。無機微粒子112aは、コロイダルシリカ以外のシリカ、例えば、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等のアルミナゾル以外のアルミナ水和物、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等であってもよい。プライマ層112には、同種類の無機微粒子112aのみが含有されていてもよく、または、異なる種類の無機微粒子112aが含有されていてもよい。プライマ層112の熱可塑性樹脂は、親水性樹脂すなわち水系樹脂である。樹脂層111およびインク層12との密着性が良好で、かつ、インク層12の染着性が低いため、親水性樹脂の中でもポリビニルピロリドン樹脂またはポリビニルアルコール樹脂を好適に用いることができる。親水性樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂等であってもよい。プライマ層112は、上記の水系樹脂のうち1種類のみを含有していてもよく、または、2種類以上を含有していてもよい。
【0049】
プライマ層112は、例えば、無機微粒子がアルコール類と水との混合物等の水系溶媒中にゾル状に分散し、かつ、熱可塑性樹脂が該水系溶媒中に分散あるいは溶解した塗工液を、グラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等によって塗布し、乾燥することで形成してもよい。
【0050】
(インク層12)
インク層12すなわち染料層は、1色の単一層であってもよく、または、図4Bに示すように、色相CMYの異なるインクすなわち染料を含む複数のインク層12を、基材層11の同一面に面順次に繰り返し形成したものであってもよい。インク層12は、熱移行性染料を任意のバインダーによって担持した層である。インク層12のインク12aとしては、熱によって昇華移行する各種の昇華性染料インクを用いることができる。熱溶融性インクが印字に適しているのに対して、熱昇華性インクは、印画に適している。インク層12のインク12aとしては、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
【0051】
インク層12のバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等を好適に用いることができる。
【0052】
インク層12は、例えば、適当な溶剤中に上記インク12aおよびバインダーと、必要に応じてシランカップリング剤等の添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材層11の上に塗布、乾燥させることで形成してもよい。塗工液の塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等であってもよい。
【0053】
(背面層13)
背面層13は、例えば、第1加熱体22の熱によるステッキングや印画しわ等の影響を防止するために設けられている。背面層13は、樹脂と添加剤とを含有する。添加剤は、樹脂中に添加される態様および樹脂に上塗りされる態様のいずれであってもよい。インク層12との密着性を高めるため、背面層13の樹脂は、インク層12のバインダーの樹脂と同じであることが好ましい。インク層12のバインダーと同じ樹脂としては、例えば、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂等を挙げることができる。背面層13の樹脂は、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアルコール高分子化合物等のポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等であってもよい。
【0054】
外側インクリボン14Aのインク層12が内側インクリボン14Bの背面層13に第2パターンで転写されることを促進するため、背面層13は、添加剤として、リン酸エステルを含有する。背面層13がリン酸エステルを含有することで、インクリボン14を加熱した際に、内側インクリボン14Bの背面層13から外側インクリボン14Aにリン酸エステルが移行して外側インクリボン14Aのインク層12とプライマ層112との密着性を低減できる。これにより、第2パターンでのインク層12の転写を更に確実に行うことができる。背面層13の総質量に対するリン酸エステルの含有量は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
背面層13がリン酸エステルを含有することは、例えば、背面層13の表面分析によって、下記(a)および(b)に示されるリン酸エステル由来の物性を検出することで実証することができる。
(a)エネルギ分散型X線分光法(EDX)による面分析すなわち元素マッピングをした際に、P元素が0.25質量%以上となること。
(b)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収体が1028(P−O−C伸縮)、1105(P−OH伸縮)、1244(P=O伸縮)cm−1付近にあること。
【0056】
ただし、(a)のエネルギ分散型X線分光法の測定条件は、以下のとおりである。
分析装置:走査型電子顕微鏡/エネルギ分散型X線分光法(SEM/EDX)
加速電圧:20kV
倍率:500倍(視野全面200μm×250μmを走査)
【0057】
また、(b)の赤外線吸収スペクトルの測定条件は、以下のとおりである。
分析装置:フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)
測定方法:ATR法(ゲルマニウム)
分解能:4cm−1
積算回数:32回
【0058】
リン酸エステル以外の添加剤として、背面層13は、架橋剤や充填剤を含有していてもよい。またシリコーン樹脂を含有してもよく、前記シリコーン樹脂はアミノ変性系あるいはカルボキシ変性系の少なくとも一方であることが好ましい。
【0059】
背面層13は、基材層11の上に、上記の樹脂、添加剤を適当な溶剤により溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調製し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥することで形成してもよい。
【0060】
(動作例)
次に、以上のように構成された熱転写システム10の動作例について説明する。先ず、不図示の被転写体15の搬送装置は、第1加熱体22とプラテンロール23との間に被転写体15を搬送する。一方、送出部16は、図1のR方向に回転して、下流側にインクリボン14を送り出し、巻取部20は、図1のR方向に回転して、インクリボン14を巻き取る。送出部16から送り出されたインクリボン14は、複数の送出側ガイドロール17を経由して第1加熱体22とプラテンロール23との間に到達する。
【0061】
第1加熱体22は、第1加熱体22とプラテンロール23との間に到達したインクリボン14を、プラテンロール23上の被転写体15に押し付ける。このとき、制御部24は、第1パターンにしたがって第1加熱体22を発熱させる制御を行う。この制御は、発熱素子への通電制御であってもよい。また、制御部24は、第1加熱体22を発熱させる制御として、第1パターンに応じたインク12aをインク層12の一部として転写するように第1加熱体22を制御する。すなわち、制御部24は、インク層12の異常転写が生じない程度に抑制された温度で第1加熱体22を発熱させる。
【0062】
図5Aは、第1の実施形態による熱転写システム10の動作例において、第1パターンでのインク転写済のインクリボン14を示す平面図である。図5Bは、第1パターンでインクが転写された被写体15を示す平面図である。図5Cは、第1パターンでのインク転写済のインクリボン14を示す断面図である。
【0063】
制御部24の制御により、第1加熱体22は、被転写体15に押し付けられたインクリボン14のインク層12のうち、一部のインク12aを第1パターンにしたがって被転写体15に転写する。これにより、被転写体15上には、例えば図5Bに示すように、第1パターンの一例である人間の顔写真画像が印画される。被転写体15上に第1パターンでインク12aが転写されることで、図5Aおよび図5Cに示すように、インクリボン14には、第1パターンのインク抜け部分12bすなわち印画痕が形成される。
【0064】
第1パターンでのインク転写済のインクリボン14は、第1加熱体22の下流側に搬送され、複数の巻取側ガイドロール19を経由して巻取部20に巻き取られる。図2に示すように、巻取部20において、インク転写済のインクリボン14は、インク層12が内側に位置し、背面層13が外側に位置するように巻取部20の外周に巻き付けられる。このようにインクリボン14が巻き付けられることで、第2加熱体211には、外側インクリボン14Aの背面層13が面し、内側インクリボン14Bの背面層13には、外側インクリボン14Aのインク層12が接触する。
【0065】
図6Aは、第1の実施形態による熱転写システム10の動作例において、内側インクリボン14Bの背面層13から外側インクリボン14Aへのリン酸エステル131の移行を模式的に示す断面図である。図6Bは、内側インクリボン14Bの背面層13への第2パターンでのインク転写状態を模式的に示す断面図である。なお、図6Bでは、インク転写状態を分かり易くするために内側インクリボン14Bと外側インクリボン14Aとを離した状態で図示しているが、実際は、巻取部20の外周において両インクリボン14A、14Bは互いに接触している。
【0066】
図6Aに示すように、第2加熱体211は、その突起部211aを介して外側インクリボン14Aの背面層13に当接する。このとき、制御部24は、第1パターンと異なる第2パターンにしたがって第2加熱体211を発熱させる制御を行う。この制御は、第1加熱体22への通電制御であってもよい。また、制御部24は、第2加熱体211を発熱させる制御として、第2パターンに応じたインク12aをインク層12ごと転写するように第2加熱体211を制御する。すなわち、制御部24は、インク層12が異常転写される温度で第2加熱体211を発熱させる。第1の実施形態のインクリボン14を用いる場合、後述のように背面層13に含有するリン酸エステル131が外側インクリボン14Aへ移行して、外側インクリボン14Aのプライマ層112とインク層12との密着性を低下させるため、比較的低温でインク層12の異常転写を発生させることができる。このとき、制御部24は、第2加熱体211を170℃以上200℃以下で発熱させることが好ましい。
【0067】
制御部24で制御された温度での第2加熱体211の発熱により、図6Aに示すように、内側インクリボン14Bの背面層13から外側インクリボン14Aに向かってリン酸エステル131が移行する。外側インクリボン14Aに移行したリン酸エステル131は、例えば、外側インクリボン14Aのプライマ層112と反応して、このプライマ層112と外側インクリボン14Aのインク層12との密着性を低下させる。プライマ層112とインク層12との密着性が低下することで、図6Bに示すように、第2パターンに応じた外側インクリボン14Aのインク12aが、インク層12ごと内側インクリボン14Bの背面層13に転写される。
【0068】
また別の実施形態として、リン酸エステル131により、プライマ層112と樹脂層111の密着性が低下するように、プライマ層112を設計しても良い。この場合は、第2パターンに応じた外側インクリボン14Aのインク12aが、インク層12およびプライマ層112ごと内側インクリボン14Bの背面層13に転写されることで、同様の効果が得られる。
【0069】
図7は、第1の実施形態による熱転写システム10の動作例において、第2パターンでのインク転写済のインクリボン14を示す平面図である。第2パターンでのインク層12の転写により、外側インクリボン14Aのインク層12には、図7に示すように、第1パターンのインク抜け部分12bを攪乱するように、第2パターンのインク抜け部分12cが形成される。これにより、外側インクリボン14Aのインク層12において、第1パターンが特定されることを防止できる。
【0070】
したがって、第1の実施形態によれば、熱昇華型のインクリボン14のインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを防止できる。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、リン酸エステルを含有する背面層13を用いることで、内側インクリボン14Bの背面層13から外側インクリボン14Aにリン酸エステルを移行させて外側インクリボン14Aのインク層12とプライマ層112との密着性を低減できる。これにより、内側インクリボン14Bの背面層13に外側インクリボン14Aのインク層12のインク12aを第2パターンで更に確実に昇華転写でき、第2パターンのインク抜け部分12cによって第1パターンのインク抜け部分12bを更に確実に攪乱できる。
【0072】
また、第1の実施形態では、リン酸エステルが外側インクリボン14Aのインク層12aの転写を促すことができるので、後述する第2の実施形態とは異なり、背面層13の硬化度を高くすることもできる。背面層13の硬化度を高くすることで、巻取部20に巻き取られたインクリボン14同士の接着を防止できる。インクリボン14同士の接着を防止できることで、巻き取られたインクリボン14を第1加熱体22側に巻き戻すことができる。これにより、第1加熱体22に対してインクリボン14を往復させる態様の熱転写記録を行うことができる。
【0073】
このようなインクリボン14を往復させる態様の熱転写記録を行うため、背面層13は、樹脂と未反応の架橋剤を含有していてもよい。架橋剤は、イソシアネート系硬化剤であってもよい。背面層13が樹脂と未反応の架橋剤を含有することで、第2加熱体211の発熱による内側インクリボン14Bの背面層13と外側インクリボン14Aのインク層12とのブロッキングを抑制することができる。これにより、内側インクリボン14Bと外側インクリボン14Aとの接着を更に有効に防止して、インクリボン14を往復させる態様の熱転写記録を更に適切に行うことができる。
【0074】
(第1の変形例)
図8は、第1の実施形態の第1の変形例による熱転写システム10の巻取装置2を示す拡大図である。
【0075】
図3Aおよび図3Bでは、突起部211aを有するロール状の第2加熱体211について説明した。これに対して、図8に示すように、第2加熱体211は、図8の紙面垂直方向に沿って図示しない複数の発熱素子が整列配置されたサーマルヘッドの態様であってもよい。温度が一様の図3Aおよび図3Bの第2加熱体211に対して、サーマルヘッドの態様の第2加熱体211は、発熱素子ごとに独立した通電エネルギを印加することで各発熱素子を独立した温度で発熱させることができる。各発熱素子を独立した温度で発熱させることができるので、図3Aおよび図3Bの第2加熱体211よりも複雑な形状の第2パターンを転写できる。また、各発熱素子を多様な発熱パターンで発熱させることで、多様な形状の第2パターンを転写できる。
【0076】
図9Aは、第1の実施形態の第1の変形例によるによる熱転写システム10の動作例において、第2パターンでのインク転写済のインクリボン14の第1の例を示す平面図である。図9Bは、第2パターンでのインク転写済のインクリボン14の第2の例を示す平面図である。
【0077】
例えば、第1の変形例の第2加熱体211は、図9Aのインク抜け部分12cに示すように、市松模様の第2パターンを転写することができる。また、第2加熱体211は、図9Bのインク抜け部分12cに示すように、波形状の第2パターンを転写することもできる。これらの第2パターンのインク抜け部分12cは、図7に示した突起部211aによる帯状の第2パターンのインク抜け部分12cよりも更に良好に第1パターンを攪乱している。
【0078】
したがって、第1の変形例によれば、熱昇華型のインクリボン14のインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを更に確実に防止できる。
【0079】
(第2の変形例)
図10は、第1の実施形態の第2の変形例による熱転写システム10を示す図である。図10に示すように、熱転写システム10は、第1加熱体22と巻取部20との間のインク転写済のインクリボン14を押圧する2つの歯車27A、27Bを備えてもよい。
【0080】
図10の歯車27A、27Bは、両者27A、27Bの間にインク転写済のインクリボン14を挟み込みながら、互いに異なる方向R、Rに回転する。モータ等の歯車27A、27Bの動力は、1つであってもよい。両歯車27A、27Bは互いに噛み合っているので、一方の歯車27A、27Bに動力を伝達させれば、一方の歯車27A、27Bの回転を他方の歯車27A、27Bに伝達させることができる。歯車27A、27Bの動力を共通にすることで、コストを削減できる。なお、歯車27A、27Bの位置は、図10に示される位置に限定されず、第1加熱体22と巻取部20との間の任意の位置であってもよい。
【0081】
歯車27A、27Bによれば、インクリボン14を押圧することで、インク層12にダメージを与えることができる。インク層12にダメージを与えることで、インク層12とプライマ層112との密着性を更に低減できる。これにより、第2加熱体211によるインク層12の異常転写を更に確実に行うことができる。
【0082】
第2の変形例によれば、第2加熱体211による第2パターンでのインク層12の転写を更に確実に行うことができるので、第1パターンでのインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを更に確実に防止できる。
【0083】
(第3の変形例)
図11は、第1の実施形態の第3の変形例による熱転写システム10の巻取装置2を示す拡大図である。図2の説明では、コア本体に直接インクリボン14を巻き付ける態様の巻取部20を例示した。これに対して、図11に示すように、巻取部20は、巻取部20のコア本体の外周面にクッション層28を有していてもよい。クッション層28は、例えば、発泡樹脂やゴム等の弾性材料を含有してもよい。
【0084】
インクリボン14の開始部分は、内側にインクリボン14が存在しない状態で巻取部20に巻き取られる。また、内側にインクリボン14が存在しないので、インクリボン14の開始部分には、内側インクリボン14Bの背面層13からインク層12の転写を促進するリン酸エステルが移行しない。
【0085】
しかるに、巻取部20がクッション層28を有することで、弾性を有した状態でインクリボン14の開始部分を巻取部20に巻き付けることができる。インクリボン14の開始部分が弾性を有することで、第2加熱体211は、インクリボン14の開始部分をコア本体に直接巻き付ける場合と比較してインクリボン14を安定的に押圧できる。インクリボン14を安定的に押圧できることで、インクリボン14の開始部分のインク層12とクッション層28との密着性を確保できる。密着性を確保できるので、インクリボン14の開始部分のインク層12を、クッション層28に確実に転写させることができる。
【0086】
したがって、第3の変形例によれば、第2加熱体211によるインクリボン14の開始部分のインク層12の転写を確実に行うことができるので、インクリボン14の開始部分においても第1パターンでのインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを確実に防止できる。
【0087】
(第4の変形例)
図12は、第1の実施形態の第4の変形例による熱転写システム10において、インクリボン14を示す斜視図である。図12に示すように、インクリボン14の開始部分に、クッション部としてのリードフィルム141を設けてもよい。リードフィルム141は、基材層11と同一の樹脂でもよいし、発泡樹脂やゴム等の弾性材料を含有してもよい。リードフィルム141を設けることで、第3の変形例と同様に、第2加熱体211がインクリボン14の開始部分を安定的に押圧できる。これにより、インクリボン14の開始部分のインク層12とクッション層28との密着性を確保できるので、インクリボン14の開始部分のインク層12をクッション層28に確実に転写させることができる。
【0088】
したがって、第4の変形例によれば、第3の変形例と同様に、第2加熱体211によるインク層12の転写を更に確実に行うことができるので、第1パターンでのインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを更に確実に防止できる。
【0089】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、背面層13に含有されたリン酸エステルによって外側インクリボン14Aから内側インクリボン14Bへのインク層12の転写を促す実施形態について説明した。これに対して、第2実施形態では、背面層13の硬化剤による硬化度を抑制することで外側インクリボン14Aから内側インクリボン14Bへのインク層12の転写を促すように構成されている。以下、具体的に説明する。
【0090】
第2の実施形態において、背面層13は、イソシアネート系硬化剤で硬化された樹脂を含有する。樹脂は、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂を含有する。イソシアネート系硬化剤は、アセタール系樹脂を、その水酸基を利用して架橋させ、背面層13の塗膜強度または耐熱性を向上させることができる。
【0091】
イソシアネート系硬化剤は、例えば、ポリイソシアネート樹脂であってもよい。ポリイソシアネート樹脂としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートやこれらの混合物などの芳香族系ポリイソシアネートが挙げられる。
【0092】
背面層13の樹脂が有する水酸基とイソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル等量比(−NCO/−OH)は0より大きく0.5以下である。モル等量比(−NCO/−OH)が0.5より大きいと、内側インクリボン14Bの背面層13の硬化度が大きくなることで、内側インクリボン14Bの背面層13と、この背面層13に転写される外側インクリボン14Aのインク層12との接着力を十分に大きくすることは困難である。これに対して、モル等量比(−NCO/−OH)を0.5以下とすることで、背面層13の硬化度を抑制して、内側インクリボン14Bの背面層13と外側インクリボン14Aのインク層12との接着力を十分に大きくすることができる。この接着力が外側インクリボン14Aのインク層12とプライマ層112との接着力に勝ることで、内側インクリボン14Bのインク層12を外側インクリボン14Aの背面層13に転写できる。
【0093】
なお、背面層13は、シリコーン樹脂フィラーやフッ素系樹脂フィラーなどの多角形状の有機フィラーを含有してもよい。多角形状の有機フィラーを含有することで、サーマルヘッドに付着したカスを掻き取ることができる。
【0094】
図13Aは、第2の実施形態による熱転写システム10の動作例において、内側インクリボン14Bの背面層13に外側インクリボン14Aのインク層12がプライマ層112との接着力に勝る接着力で接着される状態を模式的に示す断面図である。図13Bは、内側インクリボン14Bの背面層13への第2パターンでのインク転写状態を模式的に示す断面図である。
【0095】
既述したように、第2の実施形態では、モル等量比(−NCO/−OH)が0.5以下であることで、背面層13の硬化度が抑制されている。硬化度が抑制されていることで、図13Aに示すように、内側インクリボン14Bの背面層13と外側インクリボン14Aのインク層12との接着力Fが、外側インクリボン14Aのインク層12と外側インクリボン14Aのプライマ層112との接着力Fに勝る。これにより、図13Bに示すように、外側インクリボン14Aのインク層12を内側インクリボン14Bの背面層13に確実に転写できる。なお、外側インクリボン14Aから内側インクリボン14Bの背面層13へのインク層12の転写は、第2加熱体21を発熱させた際に生じてもよく、また、第2加熱体21の発熱後、内側インクリボン14Bと外側インクリボン14Aとを引き剥がす際に生じてもよい。
【0096】
また別の実施形態として、内側インクリボン14Bの背面層13と外側インクリボン14Aのインク層12との接着力Fが、外側インクリボン14Aの樹脂層111と外側インクリボン14Aのプライマ層112との接着力Fに勝るように、プライマ層112を設計しても良い。この場合は、外側インクリボン14Aのインク層12およびプライマ層112を、内側インクリボン14Bの背面層13に転写することで同様な効果が得られる。
【0097】
また、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、制御器24は、インク層12の異常転写を抑制する温度で第1加熱体22を発熱させ、かつ、インク層12の異常転写を生じさせる温度で第2加熱体211を発熱させる。第2の実施形態のインクリボン14を用いる場合、制御部24は、第2加熱体211を180℃以上220℃以下で発熱させることが好ましい。
【0098】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、硬化度が抑制された背面層13を用いることで、内側インクリボン14Bの背面層13と外側インクリボン14Aのインク層12との接着力を、外側インクリボン14Aのインク層12と外側インクリボン14Aのプライマ層112との接着力より大きくすることができる。これにより、外側インクリボン14Aのインク層12を内側インクリボン14Bの背面層13に確実に熱転写できるので、第1パターンでのインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを防止できる。
【0099】
なお、第2の実施形態において、制御部24は、第2パターンの一部において外側インクリボン14Aが内側インクリボン14Bに融着するように第2加熱体211を制御してもよい。例えば、制御部24は、第2パターンの或る点または区間における転写の際には、外側インクリボン14Aのインク層12が異常転写する温度で第2加熱体211を発熱させ、第2パターンの別の点または区間における転写の際には、インク層12が異常転写する温度より高い温度で第2加熱体211を発熱させてもよい。インク層12が異常転写する温度より高い温度で第2加熱体211を発熱させることで、インクリボン14A、14B中の樹脂を溶融させて両インクリボン14A、14Bを融着させることができる。また同様に、巻き取る速度を部分的に遅くすることで第2加熱体211のインクリボン14Aに加える熱量を増加させて、内側インクリボン14Bに部分的に融着させてもよい。あるいは、第2加熱体211の印加圧力を部分的に高くすることで第2加熱体211のインクリボン14Aに加える熱量を増加させて、内側インクリボン14Bに部分的に融着させてもよい。
【0100】
内側インクリボン14Bと外側インクリボン14Aとを貼り合わせることで、両インクリボン14A、14Bを引き剥がそうとする際に両インクリボン14A、14Bが破け易くなる。したがって、第1パターンでのインク抜け部分12bから印刷された個人情報が特定されることを更に確実に防止できる。
【0101】
また、第1の実施形態と第2の実施形態とを適宜組み合わせてもよい。例えば、第2の実施形態のインクリボン14の背面層13に、第1の実施形態で説明したリン酸エステルを含有させてもよい。また、第2の実施形態の熱転写システム10と第1の実施形態の第1〜第4の変形例とを適宜組み合わせてもよい。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された本開示とその均等の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B