(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像読取ユニットと画像データを処理する処理部とを接続するFFCは、特許文献1の
図9(a)および
図9(b)に示されるように屈曲されて引き回されるとともに、変形自在に装置内に収容されており、これによって画像読取時における画像読取ユニットの移動に対応してFFCが変形しつつ追従するように構成されている。
【0006】
しかし、このようにFFCが屈曲されて引き回されると、FFCの屈曲部による反力が画像読取ユニットに対してかかる場合がある。そして、FFCからの反力が画像読取ユニットにかかる位置によっては、画像読取ユニットを案内するレールに対して画像読取ユニットが傾くなどして安定した姿勢を保てない虞がある。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、画像読取ユニットに接続されるケーブルによる反力が画像読取ユニットに与える影響を軽減し、画像読取ユニットの姿勢を安定して維持させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、所定の方向に往復移動可能な画像読取ユニットと、前記画像読取ユニットを支持して前記所定の移動方向に案内するガイド部と、一端側において前記画像読取ユニットに固定されるとともに、前記画像読取ユニットの移動に追従して変形可能な、第1のケーブルおよび第2のケーブルと、を備え、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルは、前記画像読取ユニットに対し、前記第1のケーブルから受ける反力によって生じる回転モーメントと、前記第2のケーブルから受ける反力によって生じる回転モーメントが、互いに打ち消し合うように設けられている、ことを特徴とするものである。
【0009】
本態様によれば、それぞれ一端側が画像読取ユニットに固定される第1のケーブルと第2のケーブルの二つのケーブルが、それらの固定位置において前記画像読取ユニットに対して与える回転モーメントを互いに打ち消し合うように設けられているので、画像読取ユニットの姿勢を安定して維持させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る画像読取装置は、第1の態様において、前記画像読取ユニットにおける前記第1のケーブルの固定位置と前記第2のケーブルの固定位置は、前記ガイド部を挟んで互いに反対側に配置されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
前記ガイド部は、前記画像読取ユニットがそれぞれのケーブルから受ける反力によって生じる回転モーメントの回転中心となる。
本態様によれば、その回転中心となる前記ガイド部を挟んで互いに反対側に、第1のケーブルの固定位置と前記第2のケーブルの固定位置を配置することにより、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルによって生じる前記回転モーメントが互いに打ち消し合う構成を容易に実現することができる。以って、第1の態様と同様の作用効果を奏する。
【0012】
本発明の第3の態様に係る画像読取装置は、第1の態様または第2の態様において、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルは異なる剛性を有し、前記画像読取ユニットにおいて、剛性が低い方のケーブルの固定位置は、剛性が高い方のケーブルの固定位置よりも前記ガイド部から離れた位置に設けられている、ことを特徴とするものである。
【0013】
前記画像読取ユニットがケーブルから受ける反力によって生じる回転モーメントの大きさ(F)は、回転中心となるガイド部からのケーブルの固定位置までの距離(r)と、前記ケーブルの固定位置にかかる反力(f)の積(rf)となる。また通常、剛性の高いケーブルによる反力は、剛性の低いケーブルによる反力よりも大きい。
本態様によれば、剛性が低い方のケーブルを剛性が高い方のケーブルよりもガイド部から離れた位置に固定することによって、第1のケーブルと前記第2のケーブルのそれぞれの剛性が異なる場合であっても、第1のケーブルと前記第2のケーブルのそれぞれのケーブルによって生じる回転モーメントの大きさバランスをとり、両ケーブルの回転モーメントが互いに打ち消し合うように設けることができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る画像読取装置は、第3の態様において、前記剛性が低い方のケーブルは、前記画像読取ユニットを駆動する駆動源に電力を供給するケーブルであり、前記剛性が高い方のケーブルは、前記画像読取ユニットによって読み取った読取データを伝送するケーブルである、ことを特徴とするものである。
【0015】
一般的に、画像読取ユニットを駆動する駆動源への電力供給用ケーブルの剛性は、画像読取ユニットによって読み取った読取データ伝送用のケーブルの剛性よりも低い。
本態様によれば、剛性が低い画像読取ユニットの駆動源への電力供給用ケーブルを、読取データ伝送用のケーブルよりも前記ガイド部から離れた位置に固定して、両ケーブルの回転モーメントが互いに打ち消し合うように設けることができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る画像読取装置は、第3の態様または第4の態様において、前記画像読取ユニットにおける前記第1のケーブルの固定位置と前記第2のケーブルの固定位置は、前記ガイド部の位置に基づいて設定されている、ことを特徴とするものである。
【0017】
前記ガイド部は前記キャリッジの長手方向のほぼ中心に設けられる場合の他、前記長手方向の一方の端部側に偏っている場合がある。
このような場合には、前記ガイド部の位置から前記キャリッジの長手方向の端部までの距離が長い方に、前記剛性が低い方のケーブルを設けることが好ましい。
このことにより、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの剛性が比較的大きく異なる場合であっても、剛性が低
いケーブル
と剛性が高いケーブルとによって生じる回転モーメントの大きさバランスをとるように、両ケーブルを画像読取ユニットに対して固定することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記画像読取ユニットは、画像を読み取る読取センサーと、前記読取センサーを保持するとともに前記ガイド部に案内されるキャリッジと、を備えて成り、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルは、前記キャリッジに固定されている、ことを特徴とするものである。
【0019】
本態様によれば、画像を読み取る読取センサーとキャリッジによって構成される画像読取ユニットを備えた画像読取装置において、第1の態様から第5の態様のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明に係る画像読取装置の一例としてのスキャナーについて、添付図面を参照して説明する。尚、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0022】
[実施例1]
図1は、本発明に係るスキャナーの外観を表す斜視図である。
図2は、本発明に係るスキャナーの内部を表す斜視図である。
図3は、本発明に係るスキャナーの内部を表す平面図である。
図4は、(A)は本発明に係るスキャナーにおいて、画像読取ユニットが移動した状態を表す斜視図、(B)は(A)を他の方向から見た斜視図である。
図5は、画像読取ユニットとガイド部を表す斜視図である。
図6は、画像読取ユニットの下面を表す斜視図である。
図7は、画像読取ユニットを表す平面図である。
図8は、画像読取ユニットを表す斜視図である。
図9は、読取センサーの下面を表す斜視図である。
図10は、キャリッジにおけるFFCの保持構造を表す斜視図である。
【0023】
また、各図において示すX−Y−Z座標系は、X方向及びY方向が水平方向であり、このうちX方向が画像読取ユニットの走査方向であり、装置の奥行方向である。また、Y方向が画像読取ユニットの延設方向であり、装置幅方向である。Z方向は重力方向であり、装置高さ方向である。尚、各図において+Z方向を装置上面側とし、−Z方向側を装置下面側とする。
【0024】
まず、本発明の一実施例に係るスキャナー1の概略について、図に基づき説明する。
図1に示すスキャナー1は、原稿台ガラス12を備え、この原稿台ガラス12の上面が、原稿を載置する原稿載置面12aを形成する。原稿台ガラス12は本実施形態では透明なガラス板である。原稿台ガラス12の周囲は複数のフレームにより構成されており、これらフレームにより画設された矩形領域が、画像読取ユニット2(
図2を参照)によって読み取りが可能な原稿読み取り領域(原稿載置面12a)となる。
【0025】
尚、スキャナー1は不図示の開閉可能なカバーを備えており、このカバーが、原稿載置面12aを開閉する様に構成されている。またこのカバーには弾性材(例えばスポンジ)により形成された原稿押さえマット(不図示)が設けられており、カバーを閉じた際に、原稿載置面12aに載置された原稿が前記原稿押さえマットにより押圧され、その被読み取り面が原稿載置面12aに密着するようになっている。
【0026】
原稿載置面12aを画設するフレームは、具体的には右アッパーフレーム7、左アッパーフレーム8、リアフレーム9、上フロントフレーム10、のこれらにより構成されている。これらフレームは、筐体5に対して取り付けられる。尚、上フロントフレーム10の下側には、下フロントフレーム11が筐体5に対して取り付けられる。符号13は、スキャナー1を操作する操作ボタンである。以上の各フレームおよび筐体5は、本実施形態では全て樹脂材料により形成される。
【0027】
筐体5は箱形の形状を成しており、
図2に示すように、この筐体5に画像読取ユニット2が設けられている。即ち、本実施形態においてスキャナー1はフラットベッド型のスキャナーであり、原稿台ガラス12の下側に、画像読取ユニット2が原稿台ガラス12に対して相対的に移動可能に設けられている。画像読取ユニット2は、本実施形態ではX軸方向に沿って移動する様に設けられている。
【0028】
画像読取ユニット2は、読取センサー3と読取センサー3を保持するキャリッジ4とによって構成されている(
図4〜
図9を参照)。読取センサー3は、キャリッジ4に取り付けられる付勢部材(不図示)によってキャリッジ4内において+X方向に付勢された状態で保持されている。
読取センサー3は、光源3aと受光部3b(
図5、
図8を参照)を備え、原稿載置面12aに載置された原稿に光源3aから光を照射し、該原稿からの反射光を受光部3bで受光して原稿の情報を読み取る光学センサーであり、例えばCCD(Charge Coupled Devices)方式或いはCIS(Contact Image Sensor)方式の光学センサーを用いることができる。
【0029】
キャリッジ4は、ガイド部6に対して移動可能に係合するとともに、キャリッジ4を移動させる駆動源としてのモーター14(
図6を参照)を備え、ガイド部6に案内されてモーター14の駆動力によってX軸方向に移動するように構成されている。
より具体的には、キャリッジ4は、以下に詳述するラックピニオン機構により、ガイド部6に案内されてX軸方向にスライド移動する。
【0030】
ガイド部6には、
図5に示すようにラック17がX軸方向に延設されている。ラック17は、キャリッジ4においてモーター14の駆動によって回転するピニオン16(
図6を参照)に噛合する。
また、ガイド部6は、キャリッジ4側に設けられる係合部材20と係合する凸部18を備えている。
【0031】
一方、キャリッジ4は、
図6に示すように、その下面側(−Z方向側)にモーター14を備えており、ウォームギア15によってモーター14の駆動力が伝達されて、ピニオン16が回転するように構成されている。
また、キャリッジ4には、前述したガイド部6側の凸部18に対してスライド可能に係合する凹部19を備えた係合部材20が設けられている。
【0032】
キャリッジ4に設けられたピニオン16が、ガイド部6のラック17に噛合した状態でモーター14を駆動することにより、ピニオン16がラック17に接しつつ回転し、キャリッジ4はガイド部6(凸部18)に案内されてX軸方向に移動する。
【0033】
キャリッジ4の下面側に設けられるモーター14には、モーター14に電力を供給するケーブルである第1のケーブル21(フレキシブルフラットケーブル、以下FFCと称する場合がある)の一端が接続されている。第1のケーブル21の他端は不図示の電力供給源に接続されている。モーター14に接続された第1のケーブル21は、キャリッジ4の下面側から引き出され、キャリッジ4の所定の位置、例えば本実施形態においてはキャリッジ4の+X方向側の壁面の位置26に固定されてから筐体5内に引き回されている。そして、
図3に示すように湾曲した部分を有することによりキャリッジ4の移動、すなわち、画像読取ユニット2の移動に追従して変形可能に構成されている。
第1のケーブル21は、保持部材28(
図5を参照)により保持されて位置26においてキャリッジ4に固定されている。
【0034】
また、キャリッジ4に保持される読取センサー3は、その下面側(−Z方向側)に受光部3bで読み取った原稿の情報を電気信号に変換する基板23(
図9を参照)を備え、基板23には、第2のケーブル22(FFC)が接続される接続部24を備えている。第2のケーブル22は、基板23において電気信号に変換された画像の読取データを制御部25(
図4を参照)に伝送するケーブルである。第2のケーブル22は、読取センサー3の下面側から引き出されてキャリッジ4の+X方向側の壁面に固定されている。第2のケーブル22のキャリッジ4への固定位置は、符号27で示す。第2のケーブル22も、第1のケーブル21と同様に、
図3に示すような湾曲した部分を有することによりキャリッジ4の移動、すなわち、画像読取ユニット2の移動に追従して変形可能に構成されている。
【0035】
尚、第2のケーブル22は、位置27において保持部材29(
図5を参照)により保持されてキャリッジ4に固定されている。保持部材29は、
図10に示すように、保持部29aによって第2のケーブル22を固定するとともに、前述したキャリッジ6の駆動機構に係るウォームギア15の軸15aの軸受け部29bを一体に備えている。保持部材29は、例えば樹脂材料によって形成することができる。
【0036】
尚、第1のケーブル21は保持部材28によって保持され、固定位置26から+Y側に延設されて平面視でS字状に湾曲している。一方、第2のケーブル22は保持部材29によって保持され、−Y側に延設されて平面視で逆S字状に湾曲している。すなわち、第1のケーブル21と第2のケーブル22は、X軸に対して対照的な湾曲形状になるように引き回されている。
【0037】
ここで、通常、画像読取装置において、キャリッジ4に接続されるFFC(例えば、第1のケーブル21および第2のケーブル22)がキャリッジ4の移動に追従して変形可能に設けられる場合、
図3に示すように筐体5内において屈曲されて引き回されるので、キャリッジ4におけるFFCの固定位置にはFFCの反力がかかる。その結果、キャリッジ4には、キャリッジ4と係合するガイド部6を中心とする回転モーメントが発生する。
【0038】
本発明において、画像読取装置1は、キャリッジ4に固定されるケーブルとして、第1のケーブル21および第2のケーブル22の2つのケーブルを備えている。そして、第1のケーブル21および第2のケーブル22は、キャリッジ4(画像読取ユニット2)に対し、第1のケーブル21から受ける反力によって生じる回転モーメントと、第2のケーブル22から受ける反力によって生じる回転モーメントが、互いに打ち消し合うように設けられている点が特徴である。
【0039】
より具体的には、本実施形態において、第1のケーブル21の固定位置26および第2のケーブル22の固定位置27は、
図3に示すように、キャリッジ4の移動方向に交差する面の同じ側であって、ガイド部6を挟んで互いに反対側に配置されている。
前述のようにガイド部6は、キャリッジ4がそれぞれのケーブル(第1のケーブル21、第2のケーブル22)から受ける反力によって生じる回転モーメントの回転中心R(
図7を参照)となる。
すなわち、回転中心Rとなるガイド部6を挟んで互いに反対側に、第1のケーブル21の固定位置26と前記第2のケーブル22の固定位置27が配置されている。
【0040】
第1のケーブル21の固定位置26と前記第2のケーブル22の固定位置27には、それぞれ
図7に示す反力f1と反力f2がかかる。反力f1と反力f2は同方向(−X方向)に作用しているが、回転中心R(ガイド部6)を挟んで互いに反対側において作用しているので、反力f1の作用に基づくガイド部6を中心とする回転モーメントF1と反力f2の作用に基づくガイド部6を中心とする回転モーメントF2は互いに逆方向となり、互いに打ち消しあう。
【0041】
ここで、第1のケーブル21と第2のケーブル22は、それぞれの剛性が異なる場合がある。通常、剛性の高いケーブルによる反力は、剛性の低いケーブルによる反力よりも大きい。
そして、キャリッジ4が、キャリッジ4に固定されるケーブルから受ける反力によって生じる回転モーメントの大きさ(F)は、回転中心となるガイド部6からのケーブルの固定位置までの距離(r)と、ケーブルの固定位置にかかる反力(f)の積(rf)となる。尚、ガイド部6からケーブルの固定位置までの距離は、Y軸方向の距離を言うものとする。
【0042】
このため、キャリッジ4において、剛性が低い方のケーブルの固定位置は、剛性が高い方のケーブルの固定位置よりもガイド部6から離れた位置に設けられる。このことによって、剛性の異なる二つのケーブルによって生じる回転モーメントの大きさバランスをとり、両ケーブルの回転モーメントが互いに打ち消し合うように設けることができる。
【0043】
本実施形態においては、第1のケーブル21(モーター14への電力供給用ケーブル)の剛性が、第2のケーブル22(読取データ伝送用ケーブル)の剛性よりも低い。
したがって、キャリッジ4において、剛性が低い第1のケーブル21の固定位置26は、剛性が高い第2のケーブル22の固定位置27よりもガイド部6から離れた位置に設けられている。ガイド部6の回転中心Rから第1のケーブル21の固定位置26までの距離はr1であり、ガイド部6の回転中心Rから第2のケーブル22の固定位置27までの距離はr2である。
尚、2つのケーブルの剛性が同じ場合には、それぞれの固定位置は、回転中心Rから同じ距離の位置に設けることができる。
【0044】
本実施形態において、ガイド部6は、キャリッジ
4の長手方向(Y軸方向)のほぼ中心に位置している。キャリッジ4における第1のケーブル21の固定位置26と第2のケーブル22の固定位置27は、ガイド部6の位置に基づいて設定することが望ましい。
例えば、ガイド部6がキャリッジ
4の長手方向の一方の端部側に偏っている場合には、
ガイド部
6の位置か
らキャリッジ
4の長手方向の端部までの距離が長い方に、前記剛性が低い方のケーブルを設けることが好ましい。すなわち、ガイド部6からの距離を長くとれる側に剛性の低いケーブルを設けることが望ましい。
このことにより、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルの剛性が比較的大きく異なる場合であっても、剛性が低
いケーブル
と剛性が高いケーブルとによって生じる回転モーメントの大きさバランスをとるように、両ケーブルを画像読取ユニットに対して固定することが可能となる。
【0045】
上記実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
すなわち、画像読取ユニットを成すキャリッジ4に固定される第1のケーブル21と第2のケーブル22の二つのケーブルが、それらが固定される位置26、位置27において画像読取ユニット2(キャリッジ4)に対して与える回転モーメントを互いに打ち消し合うように設けられているので、画像読取ユニット2の姿勢を安定して維持させることができる。
【0046】
また、前記回転モーメントの回転中心となるガイド部6を挟んで互いに反対側に、第1のケーブル21の固定位置26と前記第2のケーブル22の固定位置27を配置することにより、第1のケーブル21と第2のケーブル22によって生じる回転モーメントが互いに打ち消し合う構成を容易に実現することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、第1のケーブル21が第2のケーブル22よりも剛性が低いので、第1のケーブル21を第2のケーブル22よりもガイド部6から離れた位置に固定している。これにより、剛性が異なる二つのケーブルによって生じる回転モーメントが互いに打ち消し合う構成とすることができる。
【0048】
尚、本実施形態においては、画像読み取りユニットを成すキャリッジ4における第1のケーブルの固定位置と第2のケーブルの固定位置が、ガイド部を挟んで互いに反対側に配置される例について説明したが、他の配置にすることも可能である。例えば、キャリッジ4において読取センサー3をX軸方向において保持する側壁の両側(+X方向側と−X方向側)に二つのケーブルを設けることも可能である。
また、本実施例では、第1のケーブル21と第2のケーブル22がキャリッジ6に固定されている場合について説明したが、各ケーブルの固定位置はキャリッジ6に限らず、各ケーブルが画像読取ユニット2に対して反力を与え、ガイド部6を中心として回転する場合に本発明を適用できる。例えば、ケーブルの接続部においてその反力に基づく回転モーメントが生じる構成であってもよい。
【0049】
<本発明に係る画像読取装置の他の構成>
上記において
図5を用いて説明したように、画像読取ユニット2は、キャリッジ4の背面側(−Z側)に設けられた係合部材20と、ガイド部6とが係合しつつX軸方向にスライドすることにより、ガイド部6に案内されて移動する。
【0050】
以下において、係合部材20とガイド部6の他の例について説明する。
図11(A)はガイド部と係合する画像読取ユニットを表す斜視図、
図11(B)はガイド部と画像読取ユニットの係合部の拡大正面図である。
図12(A)は係合部材の正面図、
図12(B)はガイド部の正面図である。
尚、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その構成の説明は省略する。
【0051】
図11(A)に示す画像読取ユニット2は、キャリッジ4の背面側(−Z側)に係合部材30を備え、ガイド部34が係合部材30と係合して画像読取ユニット2をX軸方向に案内する。係合部材30は、ネジ33[
図11(B)を参照]によってキャリッジ4の背面側に取り付けられている。
【0052】
係合部材30は、
図12(A)に示すように、第1凹部31と第2凹部32の二つの凹部を備えている。また、ガイド部34は、
図12(B)に示すように、第1凸部35と第2凸部36の二つの凸部を備えている。そして、第1凹部31は、
図11(B)に示すように第1凸部35に対して係合するとともに、摺接してX軸方向にスライド移動可能に構成されている。また、第2凹部32は、第2凸部36に対して係合する。
【0053】
ここで、例えば、スキャナー1を持ち運ぶ際にスキャナー1の姿勢を斜めにした場合や、スキャナー1を落としてしまった場合に、画像読取ユニット2がガイド部34から外れてしまう虞がある。このような場合に、実施例1の画像読取ユニット2は、凸部18と凹部19との係合のみによってガイド部6に支持されているので、ガイド部6から外れやすい。
本実施形態に係る係合部材30とガイド部34は、第1凹部31および第1凸部35と、第2凹部32および第2凸部36の2つの係合部を備えるので、画像読取ユニット2がガイド部34から外れる虞を低減することができる。
尚、第2凹部32と第2凸部36は、通常(使用時)の状態では互いに接触しないことが望ましいが、第1凹部31の安定したスライド移動を妨げない程度であれば接触していてもよい。
【0054】
次に、本発明に係る画像読取装置の更に他の構成について、
図13を用いて説明する。
図13は、スキャナーの内部を表す斜視図である。
第1のケーブル21と第2のケーブル22は、前述のように画像読取ユニット2の移動に追従して変形可能に構成されている。また、画像読取ユニット2が+X側端部に位置する場合(
図13の状態)には、第1のケーブル21および第2のケーブル22は、筐体5のX軸方向に延びる側壁(符号なし)にFFCのフラットな面が沿うように設けられる。
【0055】
ここで、第1のケーブル21の剛性が特に低い場合、例えば
図13の矢印41の範囲において第1のケーブル21が垂れ下がり易く、−Z方向に弛んだ状態になる場合がある。第1のケーブル21が弛んでいると、画像読取ユニット2が+X側端部(
図13における画像読取ユニット2の位置)から−X方向側に移動するときに、第1のケーブル21を画像読取ユニット2の下方に巻き込んでしまう虞がある。画像読取ユニット2が第1のケーブル21を巻き込むと、画像読取ユニット2はスタックしてしまう。
【0056】
このような場合には、第1のケーブル21の矢印41の範囲に対し、補強部材40を設けるとよい。補強部材40は、第1のケーブル21とほぼ同じ幅に形成され、第1のケーブル21に取り付けられたときに−Z方向に弛まない剛性を備えているとともに、画像読取ユニット2の移動に追従して変形可能な材料を用いることができる。
また、補強部材40の第1のケーブル21への取り付けには、例えば、両面テープや接着剤を用いることができる。尚、両面テープや接着剤等を第1のケーブル21の全面に設けると、第1のケーブル21の全体の剛性が高くなりすぎる虞があるので、矢印41の範囲に間隔を開けて数か所を接着することが好ましい。
尚、補強部材40を設ける場合の第1のケーブル21が固定される位置26は、補強部材40を取り付けた状態の第1のケーブル21の剛性に基づいて設定される。
【0057】
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1 スキャナー、2 画像読取ユニット、3 読取センサー、
3a 光源、3b 受光部、4 キャリッジ、5 筐体、6 ガイド部、
7 右アッパーフレーム、8 左アッパーフレーム、9 リアフレーム、
10 上フロントフレーム、11 下フロントフレーム、
12 原稿台ガラス、12a 原稿載置面、13 操作ボタン、14 モーター、
15 ウォームギア、16 ピニオン、17 ラック、 18 凸部、19 凹部、
20 係合部材、21 第1のケーブル、22 第2のケーブル、
23 基板、24 接続部、25 制御部、26 位置(固定位置)、
27 位置(固定位置)、28 保持部材、29 保持部材