(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が前記導電性ブラシロールへ印加されることにより前記導電性ブラシロールから前記像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、少なくとも前記所定の温度よりも低い温度のトナーである、
請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
前記電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が前記導電性ブラシロールへ印加されることにより前記導電性ブラシロールから前記像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、前記像担持体の表面に1層以上3層以下のトナー層を形成する、
請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
前記電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が前記導電性ブラシロールへ印加されることにより、前記導電性ブラシロールから前記像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、前記像担持体の回転方向の少なくとも1周分である、
請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
前記導電性ブラシロールに接して回転し、前記導電性ブラシロールで保持されたトナーを前記導電性ブラシロールから回収し、回収したトナーを前記導電性ブラシロールへ塗布するブラシロール当接部材を更に備える、
請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、像担持体の表面に当接するクリーニングブレードを備えた従来の画像形成装置では、像担持体とクリーニングブレードとの当接部に摩擦熱が生じる。よって、摩擦熱により、当接部の温度は装置内部の温度よりも高くなっている。この状態で印刷が終了し像担持体が停止すると、当接部において、滞留しているトナーが熱で凝集して固着してしまうという問題がある。
【0005】
上記特許文献1に記載の画像形成装置では、トナーの凝集を防ぐため冷却用ファンによって装置内部の温度上昇を抑制しているが、当接部周辺を直接的に冷却していないため、当接部の温度をトナーが凝集しない温度にまで十分に冷却するまでには無駄な時間がかかってしまう。
【0006】
一方、当接部周辺を直接冷却する冷却手段を装置内部に備えた画像形成装置も知られている。例えば、特許文献2に記載の画像形成装置では、像担持体を冷却するための気流を発生させる送風ダクトを備えている。特許文献3に記載の画像形成装置では、像担持体を冷却するための冷却液を内包した冷却装置を備えている。しかしながら、上記特許文献2及び3に記載の画像形成装置では、送風ダクト又は冷却装置といった部品点数の増加によるコストアップの問題を引き起こしている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、部品点数を増加することなく、印刷終了後における像担持体とクリーニングブレードとの当接部の温度を低下させることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、導電性ブラシロールと、クリーニングブレードと、除電手段と、温度検出手段と、電圧切替手段と、を備える。導電性ブラシロールは、像担持体の表面に接し、像担持体の表面に残留したトナーである転写残トナーの少なくとも一部を除去して保持する。クリーニングブレードは、像担持体の表面に当接し、転写残トナーのうち導電性ブラシロールで除去されなかったトナーを除去する。除電手段は、像担持体の回転方向で導電性ブラシロールよりも上流側に配置され、像担持体の表面電位を除電する。温度検出手段は、自装置の内部温度を検出する。電圧切替手段は、導電性ブラシロールへの電圧の印加を切り替える。電圧切替手段は、温度検出手段によって検出された内部温度が、所定の温度を超えた場合、印刷終了時において、導電性ブラシロールが保持するトナーと同極性の電圧を導電性ブラシロールへ印加する。
【0009】
本発明に係る画像形成装置では、自装置の内部温度が所定の温度を超えると、印刷終了時において、導電性ブラシロールが保持するトナーと同極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加される。よって、印刷終了時において、電気的反発により、導電性ブラシロールに保持されているトナーが像担持体の表面に吐き出される。吐き出されるトナーは、摩擦を抑える潤滑粉として作用するので、像担持体とクリーニングブレードとの当接部の温度上昇を抑制することができる。また、吐き出されるトナーの温度は、摩擦熱による温度上昇が生じている当接部の温度よりも少なくとも低い。このため、吐き出されるトナーと当接部との間での熱交換により、当接部の温度を低下させることができる。以上より、部品点数を増加することなく、印刷終了後における像担持体とクリーニングブレードとの当接部の温度を低下させることができる。
【0010】
また、所定の温度は、画像形成装置におけるトナーのガラス転移温度以下であってもよい。この構成によれば、自装置の内部温度がガラス転移温度以下の所定の温度になると、印刷終了時に導電性ブラシロールから像担持体の表面にトナーが吐き出され、当接部が冷却される。よって、当接部を、ガラス転移温度以下の温度となるように効果的に冷却することができる。
【0011】
また、所定の温度は、画像形成装置におけるトナーのガラス転移温度よりも5℃低い温度であってもよい。この構成によれば、自装置の内部温度がガラス転移温度よりも5℃低い温度となると、すなわち自装置の内部温度がガラス転移温度になる前に、印刷終了時に導電性ブラシロールから像担持体の表面にトナーが吐き出され、当接部が冷却される。よって、当接部を、ガラス転移温度よりも低い温度となるように十分に冷却することができる。
【0012】
この画像形成装置において、電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加されることにより導電性ブラシロールから像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、少なくとも所定の温度よりも低い温度のトナーであってもよい。この場合、所定の温度よりも低い温度のトナーが像担持体の表面に吐き出されるので、当接部を、所定の温度よりも低い温度となるように十分に冷却することができる。
【0013】
この画像形成装置において、電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加されることにより導電性ブラシロールから像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、像担持体の表面に1層以上3層以下のトナー層を形成してもよい。当接部の温度を低下させるためには、像担持体の表面に少なくとも1層のトナー層が形成されることが好ましい。また、像担持体の表面上のトナーのクリーニング不良が発生しないようにするためには、像担持体の表面に形成されるトナー層は3層以下であることが好ましい。よって、この構成によれば、像担持体の表面上のトナーのクリーニング不良を発生させることなく、当接部の温度を低下させることができる。
【0014】
この画像形成装置において、電圧切替手段によってトナーと同極性の電圧が導電性ブラシロールへ印加されることにより、導電性ブラシロールから像担持体の表面へ吐き出されるトナーは、像担持体の回転方向の少なくとも1周分であってもよい。この構成によれば、像担持体の回転方向の少なくとも1周分のトナーが像担持体の表面に吐き出され、像担持体の表面全体を冷却することができるので、当接部を十分に冷却することができる。
【0015】
この画像形成装置は、ブラシロール当接部材を更に備えてもよい。ブラシロール当接部材は、導電性ブラシロールに接して回転し、導電性ブラシロールで保持されたトナーを導電性ブラシロールから回収すると共に、回収したトナーを導電性ブラシロールへ塗布する。この場合、ブラシロール当接部材により、トナーが導電性ブラシロールから回収されると共に、回収されたトナーが導電性ブラシロールへ塗布されるので、導電性ブラシロールで保持されるトナーの偏りを抑制することができる。
【0016】
この画像形成装置において、ブラシロール当接部材は、導電性ブラシロールの軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた螺旋溝を有し、ブラシロール当接部材の回転方向は、時計回り及び反時計回りに切り替えられてもよい。この場合、螺旋溝を有するブラシロール当接部材が導電性ブラシロールの軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材が時計回り又は反時計回りに切り替えられて回転することができるので、トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域にむらなく塗布することができる。
【0017】
この画像形成装置において、ブラシロール当接部材は、導電性ブラシロールの軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた第1螺旋溝及び他方向に巻かれた第2螺旋溝を有し、ブラシロール当接部材の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れか一方であってもよい。この場合、互いに異なる方向に巻かれた第1螺旋溝及び第2螺旋溝を有するブラシロール当接部材が導電性ブラシロールの軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材が回転することができるので、回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域に対してむらなく塗布することができる。
【0018】
また、導電性ブラシロールの抵抗値は、10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さく、導電性ブラシロールへ印加される電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さくてもよい。この場合、導電性ブラシロールのクリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見て好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品点数を増加することなく、印刷終了後における像担持体とクリーニングブレードとの当接部の温度を低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
まず、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を説明する。画像形成装置1は、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する装置である。
図1に示されるように、画像形成装置1は、用紙Pを搬送する記録媒体搬送ユニット10と、静電潜像を現像する現像装置20と、トナー像を用紙Pに二次転写する転写ユニット30と、周面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム40と、トナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット50と、を備えている。
【0023】
記録媒体搬送ユニット10は、画像が形成される記録媒体としての用紙Pを搬送経路R1上で搬送する。用紙Pは、カセットKに積層されて収容される。記録媒体搬送ユニット10は、用紙Pに転写されるトナー像が二次転写領域R2に到達するタイミングで、搬送経路R1を介して二次転写領域R2に用紙Pを到達させる。
【0024】
現像装置20は、色ごとに4個設けられている。各現像装置20は、トナーを感光体ドラム40に担持させる現像ローラ21を備えている。現像装置20では、トナーとキャリアを所望の混合比になるように調整し、さらに混合撹拌してトナーを均一に分散させ最適な帯電量を付与した現像剤が調整される。この現像剤を現像ローラ21に担持させる。そして、現像ローラ21の回転により現像剤が感光体ドラム40と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ21に担持された現像剤のうちのトナーが感光体ドラム40の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。
【0025】
転写ユニット30は、現像装置20で形成されたトナー像を用紙Pに二次転写する二次転写領域R2に搬送する。転写ユニット30は、転写ベルト31と、転写ベルト31を懸架する懸架ローラ31a,31b,31c,31dと、感光体ドラム40と共に転写ベルト31を挟持する一次転写ローラ32と、懸架ローラ31dと共に転写ベルト31を挟持する二次転写ローラ33と、を備えている。
【0026】
転写ベルト31は、懸架ローラ31a,31b,31c,31dにより循環移動する無端状のベルトである。一次転写ローラ32は、転写ベルト31の内周側から感光体ドラム40を押圧するように設けられる。二次転写ローラ33は、転写ベルト31の外周側から懸架ローラ31dを押圧するように設けられる。
【0027】
感光体ドラム40は、色ごとに4個設けられている。各感光体ドラム40は、転写ベルト31の移動方向に沿って設けられている。感光体ドラム40の周上には、現像装置20と、帯電ローラ41と、露光ユニット42と、クリーニングユニット43と、が設けられている。
【0028】
帯電ローラ41は、感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電手段である。帯電ローラ41は、感光体ドラム40の回転に追従して動く。露光ユニット42は、帯電ローラ41によって帯電した感光体ドラム40の表面を、用紙Pに形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム40の表面のうち露光ユニット42により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。4個の現像装置20は、それぞれの現像装置20に対向して設けられたトナータンクNから供給されたトナーによって感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。各トナータンクN内には、それぞれ、マゼンタ、イエロー、シアン及びブラックのトナーが充填されている。クリーニングユニット43は、感光体ドラム40上に形成されたトナー像が転写ベルト31に一次転写された後に感光体ドラム40上に残存するトナーを回収する。
【0029】
定着ユニット50は、転写ベルト31から用紙Pへ二次転写されたトナー像を用紙Pに付着させ、定着させる。定着ユニット50は、用紙Pを加熱する加熱ローラ51と、加熱ローラ51を押圧する加圧ローラ52と、を備えている。加熱ローラ51及び加圧ローラ52は円筒状に形成されており、加熱ローラ51は内部にハロゲンランプ等の熱源を備えている。加熱ローラ51と加圧ローラ52との間には接触領域である定着ニップ部が設けられ、定着ニップ部に用紙Pを通過させることにより、トナー像を用紙Pに溶融定着させる。
【0030】
また、画像形成装置1には、定着ユニット50によりトナー像が定着された用紙Pを装置外部へ排出するための排出ローラ61,62が設けられている。
【0031】
続いて、画像形成装置1による印刷工程について説明する。画像形成装置1に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置1の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラ41により感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる(帯電工程)。その後、露光ユニット42により感光体ドラム40の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する(露光工程)。
【0032】
現像装置20では、静電潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程)。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム40と転写ベルト31とが対向する領域において、感光体ドラム40から転写ベルト31へ一次転写される(転写工程)。転写ベルト31には、4個の感光体ドラム40上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、懸架ローラ31dと二次転写ローラ33とが対向する二次転写領域R2において、記録媒体搬送ユニット10から搬送された用紙Pに二次転写される。
【0033】
積層トナー像が二次転写された用紙Pは、定着ユニット50へ搬送される。用紙Pを加熱ローラ51と加圧ローラ52との間で熱及び圧力を加えながら通過させることにより、積層トナー像を用紙Pへ溶融定着させる(定着工程)。その後、用紙Pは、排出ローラ61及び62によって画像形成装置1の外部へ排出される。
【0034】
次に、
図2及び
図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1における感光体ドラム40周辺の構成について、詳細に説明する。
図2は、画像形成装置1の一部を感光体ドラム40の回転軸方向から見た概略構成図である。
図3は、画像形成装置1の一部を感光体ドラム40の側面側から見た概略構成図である。ただし、
図3では、簡単のため、
図2で示す転写ベルト31、一次転写ローラ32、及び除電手段8を省略して示している。
【0035】
図2及び
図3に示すように、画像形成装置1は、ブラシロール11と、ブラシロール当接部材13と、クリーニングブレード15と、除電手段8と、温度検出部17と、電圧切替部19と、を備える。なお、ブラシロール11及びクリーニングブレード15は、クリーニングユニット43に含まれていてもよい(
図1参照)。
【0036】
ブラシロール11は、クリーニングブレード15よりも感光体ドラム40の回転方向Aで上流側に配置されており、感光体ドラム40の表面上に残留するトナー(以下、転写残トナーともいう)の少なくとも一部を除去して保持する。ブラシロール11は、金属製の軸部材11aと、軸部材11aに固定されるブラシ部11bと、を有し、導電性である。軸部材11aは、感光体ドラム40の軸方向に延在する。ブラシ部11bは、複数の起毛が植設された基布であり、軸部材11aの外周面に巻き付けられることにより軸部材11aに固定されている。ブラシ部11bは、例えば、材質が導電性アクリル、導電性PET、導電性ナイロン、太さが3〜6デニール、密度が50〜200K本/inch
2が挙げられる。また、ブラシロール11の外径は、例えば直径が10〜20mm(そのうちブラシ部に含まれる起毛の長さは2〜5mm)であり、ブラシロール11の抵抗値は、例えば10
2〜10
6MΩである。
【0037】
ここで、ブラシロール11の抵抗値は、例えば、ブラシロール11を食い込ませた銅板、電流計、及び電源を直列に接続し、ブラシロール11を3回転させたときに、電流計で測定された値の平均値によって算出される。なお、例えば電源は500Vであり、ブラシロール11はトナー付着のない新規な状態で、銅板に0.5mm食い込ませる。
【0038】
ブラシロール11へ印加される電圧は、電圧切替部19によって切り替え可能である。電圧切替部19は、後述する温度検出部17により検出された画像形成装置1の内部温度に応じて、ブラシロール11へ印加する電圧を切り替える電圧切替手段である。例えば、電圧切替部19は、ブラシロール11へ印加する電圧を、感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性に対して同極性又は逆極性に切り替える。また、電圧切替部19は、ブラシロール11へ印加する電圧をオフに切り替える。なお、電圧切替部19によるブラシロール11の動作の詳細は、後述する。
【0039】
感光体ドラム40の回転軸方向に直交する周方向において、ブラシロール11の起毛の少なくとも一部が、感光体ドラム40の表面40aに接している。ブラシロール11は、感光体ドラム40と接する部分において回転方向Aに抗う方向Bに回転している。なお、ブラシロール11は、方向Bとは反対方向に回転していてもよい。電圧切替部19により、トナーの極性に対して逆極性(プラス)の電圧がブラシロール11に印加されることにより、ブラシロール11は、感光体ドラム40の表面40a上のトナーを起毛で捕捉する。すなわち、ブラシロール11は、感光体ドラム40の表面40aからトナーを回収し、感光体ドラム40の表面40aをクリーニングする。また、ブラシロール11は、感光体ドラム40の表面40aから回収したトナーを保持する。
【0040】
除電手段8は、感光体ドラム40の回転方向Aでブラシロール11よりも上流側に配置されている。除電手段8は、感光体ドラム40の表面電位を除電する。これにより、ブラシロール11は、除電手段8によって感光体ドラム40の表面電位が除電された後、感光体ドラム40の表面40aと接する。
【0041】
ブラシロール当接部材13は、例えば金属製のロール部材であり、感光体ドラム40の軸方向に延在している。ブラシロール当接部材13における延在方向の幅と、ブラシロール11における延在方向の幅とは略同じであり、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の軸部材11aの軸方向全域に当接する(
図3参照)。ブラシロール当接部材13は、一方向に巻かれるように形成された螺旋溝13aを有している。ブラシロール当接部材13は、時計回り及び反時計回りの何れかに切り替え可能に回転する。ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の回転方向に対し同方向又は反対方向に回転することによって、ブラシロール11に保持されたトナーを、ブラシロール当接部材13の長手方向においてまんべんなく回収する。また、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の回転方向と同方向又は反対方向に回転することによって、回収したトナーを軸方向に循環させながらブラシロール11の軸方向全域にまんべんなく塗布する。
【0042】
クリーニングブレード15は、板状部材であり、ウレタンゴム等の弾性体から構成される。クリーニングブレード15は、ブラシロール11よりも感光体ドラム40の回転方向Aで下流側に配置されており、感光体ドラム40の表面40aに残留した転写残トナーのうち、ブラシロール11で除去されなかったトナーを除去する。クリーニングブレード15は、感光体ドラム40の軸方向に延在している。クリーニングブレード15は、感光体ドラム40の軸方向全域に当接する当接部15aを有している。クリーニングブレード15における延在方向の幅と、ブラシロール11における延在方向の幅とは略同じである。クリーニングブレード15は、ブラシロール11で除去されなかった感光体ドラム40上のトナーを当接部15aで掻き取る。
【0043】
温度検出部17は、画像形成装置1内の温度を検出する温度検出手段である。温度検出部17は、例えば温度センサを有する。温度検出部17は、連続印刷により上昇する装置内部の温度を検出することができる位置に配置され、例えば一次転写ローラ32と定着ユニット50との間に配置されている。なお、熱源である定着ユニット50は高温(例えば、150℃〜200℃)となっているため、温度検出部17は定着ユニット50の付近には配置しないことが好ましい。温度検出部17は、検出した温度を電圧切替部19へ出力する。
【0044】
次に、
図4及び
図5を参照し、電圧切替部19によるブラシロール11の動作について詳細に説明する。
【0045】
図4及び
図5は、印刷工程に対応したブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図であり、印刷工程におけるどのタイミングでブラシロール11が動作するかを示す図である。図の点線の位置は、各工程の起動電源がオフとなった状態、又は、ブラシロール11の印加電圧がオフとなった状態を示している。点線の位置より上側は、各工程において起動電源がオンとなった状態、又は、ブラシロール11への印加電圧が感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性と同極性であることを示している。点線の位置より下側は、ブラシロール11の印加電圧が感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性と逆極性であることを示している。
【0046】
図4及び
図5に示すように、画像形成装置1は、印刷工程を次のようなタイミングで行う。まず、感光体ドラム40のモータを起動し、感光体ドラム40にマイナスの電荷を帯電する(帯電工程)。続いて、帯電した感光体ドラム40の表面40aを、印刷紙に形成する画像に応じて露光する(露光工程)。露光工程終了後、感光体ドラム40の表面40a上に各感光体ドラム40に対応して設けられたトナータンクからトナーを供給し、感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像する(現像工程)。現像工程の開始に続いて、このようにして形成されたトナー像を、感光体ドラム40と転写ベルト31とが対向する領域において、感光体ドラム40から一次転写ローラ32へ一次転写する(転写工程)。なお、感光体ドラム40は、印刷時だけでなく印刷終了後も、所定の期間、起動(Cycle Down)している。
【0047】
図4は、画像形成装置1の内部温度が、所定の温度を超えない通常状態の場合におけるブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図である。
図5は、画像形成装置1の内部温度が、所定の温度を超える高温状態の場合におけるブラシロール11の動作のタイミングの一例を示すタイミング図である。ここで、所定の温度(以下、「所定温度ともいう」)とは、当接部15aにおいてトナーの凝集が生じない範囲で任意に設定される画像形成装置1の内部温度である。所定の温度は、例えばトナーのガラス転移温度以下の温度である。例えば、トナーのガラス転移温度を50℃とすると、所定温度は、50℃以下の温度であり、好ましくは、トナーのガラス転移温度より5℃低い45℃以下である。なお、所定温度は、使用時環境の上限温度を考慮すると、32℃以上であることが好ましい。
【0048】
印刷中におけるブラシロール11の動作は、内部温度が所定温度を超えるかどうかによらず同様である(
図4及び
図5参照)。印刷中において、電圧切替部19は、ブラシロール11への印加電圧を感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性と逆極性に切り替える。これにより、感光体ドラム40の表面40a上のトナーの一部をブラシロール11によって回収及び保持する。このときにブラシロール11へ回収されたトナーは、感光体ドラム40の表面40aへの吐き出し用のトナーとなる。電圧切替部19は、ブラシロール11への印加電圧を所定の時間切り替えた後、当該印加電圧をオフとする。
【0049】
一方、印刷終了時におけるブラシロール11の動作は、内部温度が所定温度を超えるかどうかによって異なる。
図4に示すように、内部温度が所定温度を超えない通常状態の場合には、印刷終了時において、電圧切替部19は、ブラシロール11への印加電圧を切り替えずにオフのままとする。すなわち、印刷終了時においてブラシロール11から感光体ドラム40へのトナーの吐き出しが行われない。なお、内部温度が所定温度を超えない場合とは、少なくとも内部温度が所定温度より低い場合であるが、内部温度が所定温度と等しい場合を含んでもよい。
【0050】
これに対し、
図5に示すように、内部温度が所定温度を超える高温状態の場合には、印刷終了時において、電圧切替部19は、ブラシロール11への印加電圧を感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性と同極性に所定時間切り替える。これにより、印刷終了時においてブラシロール11から感光体ドラム40へトナーが吐き出される。吐き出されたトナーは、クリーニングブレード15にて回収される。すなわち、吐き出されたトナーが感光体ドラム40とクリーニングブレード15との当接部15aに接触する。これにより、当接部15aが冷却される。なお、内部温度が所定温度を超える場合とは、少なくとも内部温度が所定温度より高い場合であるが、内部温度が所定温度と等しい場合を含んでもよい。
【0051】
以下、感光体ドラム40に吐き出されたトナーによる当接部15aの冷却効果について、
図6〜
図10を参照し、詳細に説明する。なお、以下の
図6〜
図10の説明においては、トナーの平均粒径が6μm、感光体ドラム40の直径が30mm、トナーのガラス転移温度が50℃であることを前提として説明する。
【0052】
図6は、画像形成装置1の内部温度と、当接部15aの温度との関係を示すグラフである。
図6の横軸は画像形成装置1の内部温度を示し、
図6の縦軸は当接部15aの温度を示す。
図6に示すように、画像形成装置1の内部温度は、連続印刷等に伴い上昇し、これに伴い当接部15aの温度も上昇する。画像形成装置1の内部温度は、通常状態の場合には、冷却用ファン等によりトナーの凝集が生じない所定の温度(例えば、トナーのガラス転移温度よりも5℃低い45℃)となるように保たれている。これに対し、当接部15aの温度は、感光体ドラム40とクリーニングブレード15との間の摩擦熱により、画像形成装置1の内部温度よりも3℃高くなっている。
【0053】
本実施形態の画像形成装置1では、上述のように、自装置の内部温度が所定の温度よりも高くなった場合、印刷終了時にブラシロール11から感光体ドラム40へトナーが吐き出される。
図7は、ブラシロール11から感光体ドラム40へトナーが吐き出される前後の当接部15aの温度を示すグラフである。
図7の横軸は、感光体ドラム40へ吐き出されるトナーの温度を示し、
図7の縦軸は、当接部15aの温度を示す。ただし、
図7に示す場合は、トナーが吐き出されることにより感光体ドラム40の表面40aに形成されるトナー層が3層であると共に、表面40aに吐き出されるトナーの量が感光体ドラム40の回転方向の1周分であることを前提条件としている。
【0054】
ここで、トナー層とは、感光体ドラム40の表面40a上に積層されるトナーの層である。トナー層は、所定の平均粒径(例えば6μm)のトナーが感光体ドラム40の表面40a上に一面に並んだ状態を1層とし、1層目上に複数の階層が形成され得る。また、感光体ドラム40の回転方向の1周分のトナーとは、感光体ドラム40が1回転する間に感光体ドラム40の表面40aに吐き出され続けたトナーを示す。
【0055】
トナー層の階層は、例えばブラシロール11への印加電圧に応じて制御される。
図8は、ブラシロール11への印加電圧とトナー層の階層との関係を示すグラフである。ただし、
図8においては、ブラシロール11への印加電圧が、感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性と同極性である場合を示している。また、
図8に示す場合は、トナーの平均粒径が6μmであることを前提条件としている。
図8に示すように、例えばブラシロール11への印加電圧が−200Vであるとき、トナー層の階層は1層となる。ブラシロール11への印加電圧が−400Vであるとき、トナー層の階層は2層となる。ブラシロール11への印加電圧が−600Vであるとき、トナー層の階層は3層となる。
【0056】
再び
図7を参照すると、トナーが吐き出される前(冷却前)における当接部15aの温度は、吐き出されるトナーの温度よりも高い。これに対し、トナーが吐き出された後(冷却後)における当接部15aの温度は、吐き出されるトナーの温度と略同等となっている。すなわち、吐き出されたトナーによって、吐き出されたトナーの温度と略同等の温度にまで当接部15aが冷却されている。よって、吐き出されたトナーの温度が少なくともトナーのガラス転移温度よりも低い温度であれば、当接部15aもトナーのガラス転移温度よりも低い温度に冷却される。
【0057】
図9は、感光体ドラム40の表面40aに形成されるトナー層と、当接部15aの温度との関係を示すグラフである。
図9の横軸は、表面40aに吐き出されるトナー層の階層を示し、
図9の縦軸は、当接部15aの温度を示す。ただし、
図9に示す場合は、感光体ドラム40の表面40aに吐き出されるトナーの温度が45℃であり、感光体ドラム40の表面40aに吐き出されるトナーは感光体ドラム40の回転方向の5周分であることを前提条件としている。
【0058】
図9に示すように、トナー層が1層以上である場合、当接部15aの温度は、吐き出されるトナーの温度と略同等となっており、当接部15aが十分に冷却されている。一方、トナー層が4層以上である場合には、トナーのクリーニング不良が発生する可能性がある。トナーのクリーニング不良とは、トナーがクリーニングブレード15をすり抜けてしまいクリーニングブレード15によってトナーを十分に掻き取る事ができないことをいう。よって、感光体ドラム40の表面40aに形成されるトナー層は、1層以上3層以下であることが好ましい。
【0059】
図10は、トナーが感光体ドラム40に吐き出されているときの感光体ドラム40の回転数と、当接部15aの温度との関係を示すグラフである。
図10の横軸は感光体ドラムの回転数を示し、
図10の縦軸は当接部15aの温度を示す。ただし、
図10に示す場合は、感光体ドラム40の表面40aに吐き出されるトナーの温度が45℃であることを前提条件としている。また、
図10には、表面40aに形成されるトナー層が1〜3層の場合について示している。
【0060】
図10に示すように、トナー層が3層の場合には、感光体ドラム40の回転数が1周となった時点で、吐き出されたトナーの温度と同じ45℃にまで当接部15aが冷却されている。トナー層が2層の場合には、感光体ドラム40の回転数が2周となった時点で、吐き出されたトナーの温度と同じ45℃にまで当接部15aが冷却されている。トナー層が1層の場合には、感光体ドラム40の回転数が4周となった時点で、吐き出されたトナーの温度と同じ45℃にまで当接部15aが冷却されている。
【0061】
また、トナー層が1〜3層のいずれの場合にも、少なくとも感光体ドラム40の回転数が1周となった時点で当接部15aが冷却されている。このように、感光体ドラム40が少なくとも1周回転する間、感光体ドラム40の表面40aにトナーが吐き出されることで、感光体ドラム40の表面40a全体にトナーが吐き出される。これにより、感光体ドラム40の表面40a全体が冷却され、感光体ドラム40とクリーニングブレード15との当接部15aが十分に冷却される。よって、吐き出されるトナーの量は、少なくとも感光体ドラムの回転数の一周分の量であることが好ましい。
【0062】
次に、クリーニング性能及びトナーの吐き出し性能の観点におけるブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値について、
図11及び
図12を用いて説明する。
図11及び
図12における横軸は、ブラシロール11への印加電圧を示し、縦軸は、ブラシロール11の抵抗を示している。
【0063】
まず、トナーと逆極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合について説明する。
図11は、トナーと逆極性の電圧を印加する場合のブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値を示すグラフである。例えば、感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性がマイナスの場合、これと逆極性であるプラスの電圧をブラシロール11に印加すると、トナー等がブラシロール11で感光体ドラム40の表面40a上から除去される(以下、単に「クリーニング」ともいう)。このとき、抵抗値を10
2MΩ以下とすると、電圧の印加により感光体ドラム40間で短絡が生じ電圧が維持できなくなる。一方、抵抗値を10
6MΩ以上とすると、電圧降下により、トナーのクリーニング及び保持したトナーの感光体ドラム40への吐き出しができなくなる。よって、クリーニング性能及びトナーの吐き出し性能という観点で見た場合、抵抗値は10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さい範囲が好ましい。
【0064】
また、ブラシロール11の印加電圧について、+100V以下では、トナーを静電吸着することができず、クリーニングを行うことができない。一方、放電開始電圧(+700V)以上では、クリーニングによりトナーを保持できるものの、保持したトナーが逆極化してしまうので、トナーの極性と同極性を印加した際にブラシロール11から感光体ドラム40へトナーを吐き出すことができない。よって、クリーニング性能及びトナーの吐き出し性能という観点で見た場合、ブラシロール11の印加電圧は、+100Vより大きく且つ+700Vより小さい範囲が好ましい。
【0065】
続いて、トナーと同極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合について説明する。
図12は、トナーと同極性の電圧を印加する場合のブラシロール11の抵抗及び印加電圧の適正値を示すグラフである。例えば、感光体ドラム40の表面40a上のトナーの極性がマイナスの場合、これと同極性であるマイナスの電圧をブラシロール11に印加すると、ブラシロール11に保持されたトナーが感光体ドラム40へ吐き出される(以下、単に「トナーの吐き出し」ともいう)。このとき、トナーと逆極性の電圧をブラシロール11へ印加する場合と同様の理由で、抵抗値は10
2MΩより大きく且つ10
6より小さい範囲が好ましい。
【0066】
また、ブラシロール11の印加電圧について、−100V以上では、トナーがブラシロール11に静電反発することができず、トナーの吐き出しを行うことができない。一方、放電開始電圧(−700V)以下では、感光体ドラム40上のトナーが過帯電されてしまい、ブラシロール11に保持されているトナーとの間で電荷の授受が行われることにより、保持されているトナーの極性が混在することになり、トナーの吐き出しが不安定となってしまう。よって、クリーニング性能及びトナーの吐き出し性能という観点で見た場合、ブラシロール11の印加電圧は、−700Vより大きく且つ−100Vより小さい範囲が好ましい。
【0067】
以上より、ブラシロール11の印加電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さいことが好ましい。
【0068】
上述した通り、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、画像形成装置1の内部温度が所定温度を超えると、印刷終了時において、ブラシロール11が保持するトナーと同極性の電圧がブラシロール11へ印加される。よって、印刷終了時において、電気的反発により、ブラシロール11に保持されているトナーが感光体ドラム40の表面に吐き出される。吐き出されるトナーは、摩擦を抑える潤滑粉として作用するので、当接部15aの温度上昇を抑制することができる。また、吐き出されるトナーの温度は、摩擦熱よる温度上昇が生じている当接部の温度よりも少なくとも低い。このため、吐き出されるトナーと当接部との間での熱交換により、当接部の温度を低下させることができる。以上より、部品点数を増加することなく、印刷終了時における像担持体とクリーニングブレードとの当接部の温度を低下させることができ、当接部に滞留したトナーが凝集して固着してしまうことを防止することが可能となる。
【0069】
また、所定温度が画像形成装置1におけるトナーのガラス転移温度以下であるとすることにより、自装置の内部温度がガラス転移温度以下の所定温度になると、印刷終了時にブラシロール11から感光体ドラム40の表面40aにトナーが吐き出され、当接部15aが冷却される。よって、当接部15aを、ガラス転移温度以下の温度となるように効果的に冷却することができる。
【0070】
また、所定温度が画像形成装置1におけるトナーのガラス転移温度よりも5℃低い温度であるとすることにより、自装置の内部温度がガラス転移温度よりも5℃低い温度となると、すなわち自装置の内部温度がガラス転移温度になる前に、印刷終了時にブラシロール11から感光体ドラム40の表面40aにトナーが吐き出され、当接部15aが冷却される。よって、当接部15aを、ガラス転移温度よりも低い温度となるように十分に冷却することができる。
【0071】
また、ブラシロール11から感光体ドラム40の表面40aへ吐き出されるトナーが、少なくとも所定温度よりも低い温度のトナーであるとすることにより、所定温度よりも低い温度のトナーが感光体ドラム40の表面40aに吐き出されるので、当接部15aを、所定温度よりも低い温度になるように十分に冷却することができる。
【0072】
また、ブラシロール11から感光体ドラム40の表面40aへ吐き出されるトナーが、感光体ドラム40の表面40aに1層以上3層以下のトナー層を形成するとすることにより、感光体ドラム40の表面40a上のトナーのクリーニング不良を発生させることなく、当接部15aの温度上昇を十分に抑制することができる。
【0073】
また、ブラシロール11から感光体ドラム40の表面40aへ吐き出されるトナーが、感光体ドラム40の回転方向の少なくとも1周分であるとすることにより、感光体ドラム40の表面40a全体を冷却することができるので、当接部15aを十分に冷やすことができる。
【0074】
また、この画像形成装置1では、ブラシロール当接部材13を備えるので、ブラシロール当接部材13により、トナーがブラシロール11から回収されると共に、回収されたトナーがブラシロール11へ塗布されるので、ブラシロール11で保持されるトナーの偏りを抑制することができる。
【0075】
また、ブラシロール当接部材13は、ブラシロール11の軸方向全域に当接し、一方向に巻かれた螺旋溝13aを有し、ブラシロール当接部材13の回転方向は、時計回り及び反時計回りの何れかに切り替えられている。このような螺旋溝13aを有するブラシロール当接部材13がブラシロール11の軸方向全域に当接された状態で、ブラシロール当接部材13が時計回り又は反時計回りに切り替えられて回転することができるので、転写残トナーを導電性ブラシロールの軸方向全域にむらなく塗布することができる。
【0076】
また、ブラシロール11の抵抗値は、10
2MΩより大きく且つ10
6MΩより小さく、ブラシロール11への印加電圧の絶対値は、100Vより大きく且つ放電開始電圧より小さいとすると、ブラシロール11のクリーニング性能及び吐き出し性能という観点で見て好ましい。
【0077】
なお、実施形態によれば、除電手段8によって感光体ドラム40の表面電位が除電されるので、ブラシロール11からのトナーの吐き出しを適切に行うことができる。
【0078】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の変形例について
図13を用いて説明する。
図13は、変形例に係る画像形成装置を感光体ドラム40の側面側から見た概略構成図である。
【0079】
図13で示すように、変形例に係る画像形成装置1Aが上記実施形態に係る画像形成装置1と異なる点は、ブラシロール当接部材23が、一方向に巻かれた第1螺旋溝23a及び他方向に巻かれた第2螺旋溝23bを有しており、ブラシロール当接部材23の回転方向が、時計回り又は反時計回りの何れか一方とされている点である。
【0080】
第1螺旋溝23aは、ブラシロール当接部材23の長手方向における一方の端部領域23Bから中央領域23Aにわたる範囲で形成されている。第2螺旋溝23bは、ブラシロール当接部材23の長手方向における他方の端部領域23Cから中央領域23Aにわたる範囲で形成されている。よって、中央領域23Aにおいては、互いに異なる方向に巻かれた第1螺旋溝23aと第2螺旋溝23bとが混在している。これにより、ブラシロール当接部材23の回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、転写残トナーを軸方向に循環させることができる。
【0081】
また、端部領域23Bでは一方向に巻かれた第1螺旋溝23aが形成され、端部領域23Cでは他方向に巻かれた第2螺旋溝23b形成されている。すなわち、端部領域23Bと端部領域23Cとでは、互いに異なる方向の螺旋溝が形成されている。これにより、ブラシロール当接部材23の回転方向が時計回り又は反時計回りの何れか一方であっても、転写残トナーをブラシロール11の長手方向における両端部に運搬することができる。以上より、ブラシロール当接部材23によって、ブラシロール11の軸方向全域に対して転写残トナーをむらなく塗布することができる。
【0082】
以上、本実施形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0083】
例えば、本実施形態においては、トナーがマイナスを帯びているとしたが、トナーがプラスを帯びているとしてもよく、その場合には、トナーの同極性はプラスとなり、トナーの逆極性はマイナスとなる。