特許第6443629号(P6443629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6443629サンプリングバッグの洗浄装置及び洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443629
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】サンプリングバッグの洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   G01N1/00 101X
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-140256(P2015-140256)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-166851(P2016-166851A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2018年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-154384(P2014-154384)
(32)【優先日】2014年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-41544(P2015-41544)
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512165293
【氏名又は名称】株式会社テクロム
(74)【代理人】
【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫
(72)【発明者】
【氏名】服部 良平
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3178212(JP,U)
【文献】 実開昭51−035190(JP,U)
【文献】 特開平09−043116(JP,A)
【文献】 特開2007−155385(JP,A)
【文献】 特開2009−175111(JP,A)
【文献】 特開平10−197511(JP,A)
【文献】 特開2003−194682(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0072285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリングバッグ内に加湿したガスを供給してサンプリングバッグを加湿ガスで洗浄するための加湿ガスチューブと、サンプリングバッグ内に乾燥ガスを供給して加湿ガスを追い出すと共にサンプリングバッグ内を乾燥する乾燥ガスチューブと、加湿ガスチューブ及び/又は乾燥ガスチューブを装着して形成され、サンプリングバッグに設けられた接続口に接続して使用される接続アタッチメントとを備え、接続アタッチメントをサンプリングバッグの接続口に接続した状態で加湿ガスチューブや乾燥ガスチューブがサンプリングバッグ内に差し込まれるように加湿ガスチューブや乾燥ガスチューブの各先部は接続アタッチメントより突出しており、接続アタッチメントをサンプリングバッグの接続口に接続した状態でサンプリングバッグ内が接続口を通して外部と連通する排気口が接続アタッチメントに設けられていることを特徴とするサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項2】
接続アタッチメントに設けられたチューブ挿通孔に、加湿ガスチューブ及び/又は乾燥ガスチューブがスライド自在に差し込んで挿通された状態で、加湿ガスチューブ及び/又は乾燥ガスチューブが接続アタッチメントに装着されていることを特徴とする請求項1に記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項3】
接続アタッチメントに設けた一対の各チューブ挿通孔に、加湿ガスチューブと乾燥ガスチューブがそれぞれ挿通された状態で、接続アタッチメントに加湿ガスチューブ及び乾燥ガスチューブが装着されており、一つのサンプリングバッグに対して一つの接続アタッチメントを備えて成ることを特徴とする請求項2に記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項4】
接続アタッチメントに設けた一つのチューブ挿通孔に、加湿ガスチューブ又は乾燥ガスチューブが挿通された状態で、接続アタッチメントに加湿ガスチューブ又は乾燥ガスチューブが装着されており、一つのサンプリングバッグに対して加湿ガスチューブを装着した接続アタッチメントと、乾燥ガスチューブを装着した接続アタッチメントを備えて成ることを特徴とする請求項2に記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項5】
加湿ガスチューブにガスを供給する経路に設けた加湿ガス用開閉弁と、乾燥ガスチューブにガスを供給する経路に設けた乾燥ガス用開閉弁と、設定された所定の時間加湿ガス用開閉弁を開いた後、この所定時間が経過した後に加湿ガス用開閉弁を閉じると共に乾燥ガス用開閉弁を開き、且つ設定された所定の時間後に乾燥ガス用開閉弁を閉じるように加湿ガス用開閉弁と乾燥ガス用開閉弁を制御する制御部とを備えて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項6】
加湿ガスチューブと乾燥ガスチューブを一対として、複数対の加湿ガスチューブと乾燥ガスチューブを備えて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項7】
水中にガスを潜らせることによって加湿ガスを生成する加湿ガス生成器を備え、加湿ガス生成器の水を加熱する水加熱具を具備して成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項8】
サンプリングバッグを加熱する加熱装置を備え、加湿ガス生成器の水の加熱温度を、加湿ガスを通して洗浄するサンプリングバッグの加熱温度よりも高い温度に設定して成ることを特徴とする請求項7に記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項9】
乾燥ガスチューブから乾燥ガスを供給してサンプリングバッグ内を乾燥した後に、乾燥ガスチューブを通してサンプリングバッグ内の乾燥ガスを吸引排出する吸引装置を備えて成ることを特徴とする請求項8に記載のサンプリングバッグの洗浄装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のサンプリングバッグの洗浄装置を用いてサンプリングバッグの洗浄を行なうにあたって、サンプリングバッグの接続口に接続アタッチメントを接続すると共に、接続アタッチメントに装着した加湿ガスチューブや乾燥ガスチューブをサンプリングバッグ内に差し込み、加湿ガスチューブを通してサンプリングバッグ内に加湿したガスを供給すると共にサンプリングバッグ内の加湿ガスを接続アタッチメントの排気口から排出させることによって、サンプリングバッグ内に加湿ガスを通過させて加湿ガスでサンプリングバッグを洗浄した後、乾燥ガスチューブを通してサンプリングバッグ内に乾燥ガスを供給して、サンプリングバッグ内の加湿ガスを追い出して接続アタッチメントの排気口から排出すると共にサンプリングバッグ内を乾燥ガスで乾燥させることを特徴とするサンプリングバッグの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを捕集して分析するために使用されるサンプリングバッグの洗浄装置及びこの洗浄装置を用いたサンプリングバッグの洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスを捕集してその成分を分析するためにサンプリングバッグが使用されている。このサンプリングバッグは環境雰囲気のガスなどを捕集して分析するために使用されるだけでなく、自動車の内装材などの部品から放散されるガスを捕集して検査するためにも使用されている。
【0003】
例えば、自動車の内装材は構成物質から揮発性有機化合物(VOC)が放散されると、いわゆるシックカー症候群が引き起こされるおそれがある。このため、自動車の内装材は放散されるVOCの種類と量が厳しく規制されており、内装材メーカーが内装材を自動車メーカーに納入する際に、内装材から放散されるガスを検査することが求められる。このように自動車内装材などの部品から放散されるガスを検査するにあたっては、検査する部品をサンプリングバッグに入れて密閉し、これを乾燥機などの加熱装置にセットして所定温度で所定時間加熱し、検査部品から放散されるガスをサンプリングバッグ内に捕集する。そしてサンプリングバッグ内に捕集したガスをガスクロマトグラフなどの分析機で分析することによって、検査部品から放散されるVOCなどのガスを検査をすることができる。
【0004】
図14は市販されているサンプリングバッグ1の一例を示すものであり、無色透明フィルムを矩形の袋状に加工すると共に一辺の端部に筒状の樹脂成形品からなる接続口2を取り付けて形成されるものである。サンプリングバッグ1内は接続口2で外部と連通される以外、密閉された状態にある。このサンプリングバッグ1としては、図14(a)のように一個の接続口2を設けた一口タイプの他に、図14(b)のように接続口2を二個設けた二口タイプもあり、一般的に小容量のサンプリングバッグ1は一口タイプ、大容量のサンプリングバッグ1は二口タイプに形成されている。
【0005】
ここで、サンプリングバッグは、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフッ化ビニル(テドラー:登録商標)フィルムなど、各種の樹脂フィルムで形成されているが、サンプリングバッグを構成する樹脂フィルムからガスが放散されると、このガスが検査をするガスに混入するおそれがある。特に自動車内装材などの部品を検査する場合、サンプリングバッグを切断して検査する部品を入れ、切断した部分をヒートシール、クリップ止め、テープ止め等して密閉した後、サンプリングバッグを乾燥機などの加熱装置に入れて、サンプリングバッグ内の検査部品を加熱することによってガスを放散させるようにしているため、この加熱でサンプリングバッグを構成する樹脂フィルムからもガスが放散され易くなり、このガスが検査をするガスに混入して、正確な検査をすることができなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、サンプリングバッグにガスを捕集して分析する検査を行なう前に、サンプリングバッグを洗浄することが行なわれている。例えば特許文献1では、サンプリングバッグに窒素ガスなどの洗浄用ガスを供給して充填し、この状態でサンプリングバッグを所定温度で所定時間加熱した後、サンプリングバッグ内の洗浄用ガスを真空ポンプで吸引して抜くようにしている。サンプリングバッグを加熱することによってサンプリングバッグからガスが放散されると、このガスは洗浄用ガスを抜く際に同時に洗浄用ガスと共に排出することができるので、サンプリングバッグ内を洗浄用ガスで洗浄できるものである。そして通常は、この操作を1サイクルとして、複数回繰り返すことによって、サンプリングバッグの洗浄終了としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3178212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1では、サンプリングバッグを洗浄する洗浄ガスとして、窒素ガスなど加湿されていない乾いたガスを使用するようにしている。しかし乾いたガスではサンプリングバッグを洗浄する効果が低い。このため、上記のようにサンプリングバッグ内に洗浄用ガスを充填し、所定温度で所定時間加熱した後に洗浄用ガスをサンプリングバッグから抜き、再度サンプリングバッグ内に洗浄用ガスを充填するという操作を複数回繰り返して、洗浄を行なう必要があり、サンプリングバッグの洗浄に長時間を要するという問題がある。
【0009】
一方、洗浄ガスとして、加湿して水蒸気を含ませた加湿ガスを用いる方法も検討されている。この加湿ガスによる洗浄方法では、加湿されたガスの水分にサンプリングバッグから放散されたガスが吸着されるので、洗浄効果が高い。このため、乾燥機などの加熱装置にサンプリングバッグを入れて所定温度で加熱しながら、加湿ガスをサンプリングバッグ内に所定の時間通過させることによって、サンプリングバッグの洗浄を効率高く行なうことができるものであり、上記の特許文献1の場合のように洗浄用ガスをサンプリングバッグに充填する操作と真空ポンプで抜く操作を複数回繰り返すような必要はない。
【0010】
このサンプリングバッグ1を加湿ガスで洗浄する加湿ガス洗浄方法の具体的な装置は業界においてまだ確立されていないが、次のような問題が予想される。すなわち、サンプリングバッグ1内を加湿ガスで洗浄する場合、加湿ガスは水分の含有量が多いのでサンプリングバッグ1内に水分が残り易く、この水分がガス分析の検査に影響するおそれがあるという問題が予想される。
【0011】
そして、加湿ガスをサンプリングバッグ1内に所定の時間通過させることによって、サンプリングバッグ1の洗浄を行なうにあたっては、図15(a)のa矢印のようにサンプリングバッグ1内に接続口2から加湿ガスを供給し、同じ接続口2からサンプリングバッグ1内の加湿ガスがb矢印のように出ていくようにする必要があるが、c矢印で示すように、サンプリングバッグ1内に接続口2から供給された加湿ガスが直ぐに接続口2からそのまま短絡的に出ていくと、サンプリングバッグ1の奥の端部内にまで加湿ガスが行き渡らず、サンプリングバッグ1の端部内の洗浄が不十分になるおそれがあり、サンプリングバッグ1を均一に洗浄することができないという問題がある。尚、図14(b)のような接続口2を二個設けた二口タイプの場合は、一方の接続口2からサンプリングバッグ1内に加湿ガスを供給して、他方の接続口2から加湿ガスを排出することが可能であるが、二個の接続口2はサンプリングバッグ1の同じ辺に設けられているので、加湿ガスはサンプリングバッグ1の奥にまで行き渡ることなく、一方の接続口2から他方の接続口2へと短絡的に出ていくことになり、この場合も同様にサンプリングバッグ1を均一に洗浄することはできない。
【0012】
また上記のように、サンプリングバッグ1内を加湿ガスで洗浄する場合はサンプリングバッグ1内に水分が残り易いので、サンプリングバッグ1内に加湿ガスを所定時間通過させてサンプリングバッグを洗浄した後、サンプリングバッグ1内に加湿していない乾燥ガスを供給して、サンプリングバッグ1内の加湿ガスを追い出して排出し、さらにサンプリングバッグ1内を乾燥ガスで乾燥させることが考えられる。
【0013】
このとき、サンプリングバッグ1内への乾燥ガスの供給は図15(b)のd矢印のように接続口2を通して行なわれるが、乾燥ガスの供給で追い出されるサンプリングバッグ1内の加湿ガスは同じ接続口2からe矢印のように短絡的に排出されることになる。このため、接続口2を通してサンプリングバッグ1内にf矢印のように流入した乾燥ガスによって、接続口2の付近に存在する加湿ガスはg矢印のように接続口2から短時間で出ていくものの、接続口2から供給された乾燥ガスは、サンプリングバッグ1内の端部にまで容易に行き渡らないので、サンプリングバッグ1の端部内の加湿ガスを完全に乾燥ガスで追い出して接続口2から排出するのに時間がかかり、短時間でサンプリングバッグ1内を乾燥するのが難かしいという問題がある。図14(b)のような接続口2を二個設けた二口タイプの場合も、上記と同様の理由で接続口2付近の加湿ガスが短絡的に追い出されることになり、同様な問題がある。
【0014】
特に、サンプリングバッグ1内の端部に乾燥ガスが行き渡らないと、サンプリングバッグ1は端部での膨らみがなくなって内面同士が重なり合い、端部のこの重なって密着した部分に加湿ガスから出た結露水分が毛細管現象で浸透するおそれがある。このようにサンプリングバッグ1の端部内に水分が毛細管現象で入り込むと、この水分は容易に蒸発しないのでサンプリングバッグ1内を乾燥することが非常に難しくなるという問題がある。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、加湿ガスを用いてサンプリングバッグを短時間で効率よく洗浄することができると共に、サンプリングバッグ内を加湿ガスで均一に洗浄することができ、しかも乾燥ガスによるサンプリングバッグ内の乾燥を短時間で行なうことができるサンプリングバッグの乾燥装置及び乾燥方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るサンプリングバッグの洗浄装置は、サンプリングバッグ1内に加湿したガスを供給してサンプリングバッグ1を加湿ガスで洗浄するための加湿ガスチューブ4と、サンプリングバッグ1内に乾燥ガスを供給して加湿ガスを追い出すと共にサンプリングバッグ1内を乾燥する乾燥ガスチューブ5と、加湿ガスチューブ4及び/又は乾燥ガスチューブ5を装着して形成され、サンプリングバッグ1に設けられた接続口2に接続して使用される接続アタッチメント3とを備え、接続アタッチメント3をサンプリングバッグ1の接続口2に接続した状態で加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5がサンプリングバッグ1内に差し込まれるように加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の各先部は接続アタッチメント3より突出しており、接続アタッチメント3をサンプリングバッグ1の接続口2に接続した状態でサンプリングバッグ1内が接続口2を通して外部と連通する排気口6が接続アタッチメント3に設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
このように、サンプリングバッグ1内に加湿したガスを供給してサンプリングバッグ1を加湿ガスで洗浄するための加湿ガスチューブ4を備えるので、サンプリングバッグ1を加湿ガスで効率よく短時間で洗浄することができるものであり、またサンプリングバッグ1内に乾燥ガスを供給して加湿ガスを追い出すと共にサンプリングバッグ1内を乾燥する乾燥ガスチューブ5を備えるので、サンプリングバッグ1内に水分が残留しないにようすることができ、ガス分析の検査に水分が影響するようなことがなくなるものである。
【0018】
そして、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は接続アタッチメント3に装着されており、接続アタッチメント3をサンプリングバッグ1の接続口2に接続した際に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5がサンプリングバッグ1内に差し込まれるように加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の各先部は接続アタッチメント3より突出しているので、サンプリングバッグ1の接続口2に接続アタッチメント3を接続すると、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端はサンプリングバッグ1内に差し込まれるものであり、加湿ガスチューブ4を通して供給される加湿ガスはサンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して接続アタッチメント3の排気口6から排気されるものであって、サンプリングバッグ1内に接続口2から供給された加湿ガスが直ぐに接続口2から短絡的に出ていくようなことがなくなり、サンプリングバッグ1内の端部にまで加湿ガスを行き渡らせることができ、サンプリングバッグ1に吹き込んで通過させる加湿ガスによって、サンプリングバッグ1内の全体を均一に洗浄することができるものである。また乾燥ガスチューブ5を通して供給される乾燥ガスも、サンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して排出されるものであり、サンプリングバッグ1内に残留する加湿ガスを乾燥ガスで接続口2へと追い出して排気口6から排出することができ、サンプリングバッグ1内に加湿ガスが残留するようなことがなくなって、効率よく短時間でサンプリングバッグ1内を乾燥することができるものである。しかも乾燥ガスはサンプリングバッグ1の奥に吹き込まれてサンプリングバッグ1内の全体に行き渡るので、サンプリングバッグ1の端部で内面同士が重なり合うようなことを抑制でき、加湿ガスから生じた結露水分が毛細管現象で浸透して容易に蒸発しなくなることを防ぐことができるものであり、サンプリングバッグ1内の乾燥を確実に行なうことができるものである。
【0019】
また本発明は、接続アタッチメント3に設けられたチューブ挿通孔8に、加湿ガスチューブ4及び/又は乾燥ガスチューブ5がスライド自在に差し込んで挿通された状態で、加湿ガスチューブ4及び/又は乾燥ガスチューブ5が接続アタッチメント3に装着されていることを特徴とするものである。
【0020】
加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を接続アタッチメント3のチューブ挿通孔8に挿通した状態で、チューブ長手方向にスライドさせることによって、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をその先端側が接続アタッチメント3から突出する長さ寸法を調整することができるものであり、サンプリングバッグ1の大きさに合わせて加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5のこの寸法調整をすることによって、市販の任意の大きさのサンプリングバッグ1に対応して、サンプリングバッグ1内の奥深くに加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を差し込んだ状態で、サンプリングバッグ1の洗浄を行なうことができるものである。
【0021】
また本発明は、接続アタッチメント3に設けた一対の各チューブ挿通孔8a,8bに、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5がそれぞれ挿通された状態で、接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4及び乾燥ガスチューブ5が装着されており、一つのサンプリングバッグ1に対して一つの接続アタッチメント3を備えて成ることを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、一つの接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5が装着されているので、サンプリングバッグ1の接続口2に一つの接続アタッチメント3を接続するだけで、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1に差し込んで洗浄を行なうことができ、洗浄の操作が容易になるものである。
【0023】
また本発明は、接続アタッチメント3に設けた一つのチューブ挿通孔8に、加湿ガスチューブ4又は乾燥ガスチューブ5が挿通された状態で、接続アタッチメント8に加湿ガスチューブ4又は乾燥ガスチューブ5が装着されており、一つのサンプリングバッグ1に対して加湿ガスチューブ4を装着した接続アタッチメント3と、乾燥ガスチューブ5を装着した接続アタッチメント3を備えて成ることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、接続アタッチメント3には加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5が一本ずつ装着されるため、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5として径が太くガス流量が大きいものを用いることができるものであり、接続口2を複数設けた大容量のサンプリングバッグ1に加湿ガスチューブ4を装着した接続アタッチメント3と乾燥ガスチューブ5を装着した接続アタッチメント3をそれぞれ接続することによって、大容量のサンプリングバッグ1の洗浄を効率良く行なうことができるものである。
【0025】
また本発明は、加湿ガスチューブ4にガスを供給する経路に設けた加湿ガス用開閉弁10と、乾燥ガスチューブ5にガスを供給する経路に設けた乾燥ガス用開閉弁11と、設定された所定の時間加湿ガス用開閉弁10を開いた後、この所定時間が経過した後に加湿ガス用開閉弁10を閉じると共に乾燥ガス用開閉弁11を開き、且つ設定された所定の時間後に乾燥ガス用開閉弁11を閉じるように加湿ガス用開閉弁10と乾燥ガス用開閉弁11を制御する制御部12とを備えて成ることを特徴とするものである。
【0026】
この発明によれば、接続アタッチメント3をサンプリングバッグ1に接続して加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1に差し込み、そして加湿ガスチューブ4にガスを供給することで加湿ガスチューブ4からサンプリングバッグ1に加湿ガスを供給するようにして洗浄を開始すると、あとは制御部12の働きで、所定時間経過後に加湿ガスの供給を停止すると共に乾燥ガスの供給を開始し、さらに乾燥ガスの供給を所定時間後に停止するものであり、加湿ガスによるサンプリングバッグ1の洗浄と、乾燥ガスによるサンプリングバッグ1の乾燥を自動的に行なうことができるものである。
【0027】
また本発明は、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5を一対として、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5を複数対備えて成ることを特徴とするものである。
【0028】
このように複数対の加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5と、これに応じた数の接続アタッチメント3を備えることによって、複数のサンプリングバッグ1に加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5をセットすることができ、複数のサンプリングバッグ1を並行して同時に洗浄することができるものである。例えば自動車の内装材などは複数のサンプルについて放散されるガスの検査をすることが要求されることがあるが、複数のサンプルに使用される複数のサンプリングバッグ1を同時に洗浄して、検査に対応することができるものである。
【0029】
また本発明は、水中にガスを潜らせることによって加湿ガスを生成する加湿ガス生成器19を備え、加湿ガス生成器19の水を加熱する水加熱具55を具備して成ることを特徴とするものである。
【0030】
このように水中にガスを潜らせてガスに水分を含有させることによって加湿ガスを生成させるにあたって、水を加熱して温度を高めることによって、加湿ガスの湿度をより高くすることができ、湿度の高い加湿ガスでサンプリングバッグ1を効率良く洗浄することができるものである。
【0031】
また本発明は、サンプリングバッグ1を加熱する加熱装置29を備え、加湿ガス生成器19の水の加熱温度を、加湿ガスを通して洗浄するサンプリングバッグ1の加熱温度よりも高い温度に設定して成ることを特徴とするものである。
【0032】
サンプリングバッグ1を加熱装置29で加熱することによって、サンプリングバッグ1に含有されるガス成分が放散され易くなるので、サンプリングバッグ1の洗浄の効果を高めることができるものであり、またサンプリングバッグ1の加熱温度よりも加湿ガス生成器19の水の加熱温度を高く設定することによって、サンプリングバッグ1内に供給される加湿ガスの湿度(相対湿度)を高く維持することができ、湿度の高い加湿ガスでサンプリングバッグ1の洗浄の効果を高めることができるものである。
【0033】
また本発明は、乾燥ガスチューブ5から乾燥ガスを供給してサンプリングバッグ1内を乾燥した後に、乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1内の乾燥ガスを吸引排出する吸引装置13を備えて成ることを特徴とするものである。
【0034】
乾燥ガスによってサンプリングバッグ1内を乾燥した状態では、サンプリングバッグ1内に乾燥ガスが残っているが、吸引装置13で吸引して乾燥ガスを排出することによって、サンプリングバッグ1が容量の大きなものであっても、短時間で且つ確実に乾燥ガスをサンプリングバッグ1から抜き取ることができるものである。
【0035】
本発明に係るサンプリングバッグの洗浄方法は、上記のサンプリングバッグ洗浄装置を用いてサンプリングバッグ1の洗浄を行なうにあたって、サンプリングバッグ1の接続口2に接続アタッチメント3を接続すると共に、接続アタッチメント3に装着した加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込み、加湿ガスチューブ4を通してサンプリングバッグ1内に加湿したガスを供給すると共にサンプリングバッグ1内の加湿ガスを接続アタッチメント3の排気口6から排出させることによって、サンプリングバッグ1内に加湿ガスを通過させて加湿ガスでサンプリングバッグ1を洗浄した後、乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1内に乾燥ガスを供給して、サンプリングバッグ1内の加湿ガスを追い出して接続アタッチメント3の排気口6から排出すると共にサンプリングバッグ1内を乾燥ガスで乾燥させることを特徴とするものである。
【0036】
この方法によれば、加湿ガスチューブ4からサンプリングバッグ1内に供給する加湿ガスでサンプリングバッグ1を効率よく短時間で洗浄することができると共に、乾燥ガスチューブ5からサンプリングバッグ1内に供給する乾燥ガスでサンプリングバッグ1内を乾燥して水分が残留しないようにすることができ、ガス分析の検査に水分が影響するようなことがなくなるものである。そして加湿ガスチューブ4を通してサンプリングバッグ1内に供給される加湿ガスは、サンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して接続アタッチメント3の排気口6から排気されるものであり、サンプリングバッグ1内に接続口2から供給された加湿ガスが直ぐに接続口2から短絡的に出ていくようなことがなくなって、サンプリングバッグ1の端部内にまで加湿ガスを行き渡らせることができ、サンプリングバッグ1に吹き込んで通過させる加湿ガスによって、サンプリングバッグ1の全体を均一に洗浄することができるものである。また乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1内に供給される乾燥ガスも、サンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して排出されるものであり、サンプリングバッグ1内に残留する加湿ガスを乾燥ガスで接続口2へと追い出して排気口6から排出することができ、サンプリングバッグ1の端部内に加湿ガスが残留するようなことがなくなって、短時間でサンプリングバッグ1内を乾燥することができるものである。しかも乾燥ガスはサンプリングバッグ1の奥に吹き込まれてサンプリングバッグ1内の全体に行き渡るので、サンプリングバッグ1の端部で内面同士が重なり合うようなことを抑制でき、加湿ガスから生じた結露水分が毛細管現象で浸透して容易に蒸発しなくなることを防ぐことができるものであり、サンプリングバッグ1内の乾燥を確実に行なうことができるものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、加湿ガスチューブ4からサンプリングバッグ1内に供給する加湿ガスでサンプリングバッグ1を効率よく短時間で洗浄することができると共に、乾燥ガスチューブ5からサンプリングバッグ1内に供給する乾燥ガスでサンプリングバッグ1内を乾燥して水分が残留しないようにすることができ、ガス分析の検査に水分が影響するようなことがなくなるものである。そして加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5はサンプリングバッグ1内に差し込まれるので、加湿ガスチューブ4を通して供給される加湿ガスはサンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して接続アタッチメント3の排気口6から排気されるものであり、加湿ガスが接続口2から短絡的に出ていくようなことがなくなって、サンプリングバッグ1内の端部にまで加湿ガスを行き渡らせることができ、サンプリングバッグ1に吹き込んで通過させる加湿ガスによって、サンプリングバッグ1内の全体を均一に洗浄することができるものである。また乾燥ガスチューブ5を通して供給される乾燥ガスも、サンプリングバッグ1内の接続口2から離れた位置に吹き込まれ、サンプリングバッグ1内を流れた後に接続口2を通して排出されるものであり、サンプリングバッグ1内に残留する加湿ガスを乾燥ガスで接続口2へと追い出して排気口6から排出することができ、サンプリングバッグ1内に加湿ガスが残留するようなことがなくなって、効率よく短時間でサンプリングバッグ1内を乾燥することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は概略図、(b)は一部の拡大断面図である。
図2】接続アタッチメントの一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は側面図である。
図3】接続アタッチメントに加湿ガスチューブと乾燥ガスチューブを装着した状態を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図4】サンプリングバッグの洗浄の際のガスの流れを説明するものであり、(a)(b)はそれぞれ断面図である。
図5】サンプリングバッグを洗浄する際のサンプリングバッグ内の湿度の変化を示すものであり、(a)は図4のようにしてサンプリングバッグを洗浄する際の湿度の変化を示すグラフ、(b)は図15のようにしてサンプリングバッグを洗浄する際の湿度の変化を示すグラフである。
図6】サンプリングバッグ洗浄装置のシステムを示す正面図である。
図7】複数のサンプリングバッグを洗浄する洗浄装置のシステムの一例を示す概略図である。
図8】加湿ガス生成器を加熱する実施の形態の一例を示す断面図である。
図9】加湿ガス生成器を加熱して生成させた加湿ガスをサンプリングバッグに供給する際のサンプリングバッグ内の湿度の変化を示すグラフである。
図10】加湿ガス生成器を複数連ねて接続した実施の形態の一例を示す正面図である。
図11】接続アタッチメントの他例を示すものであり、(a)は断面図、(b)は加湿ガスチューブあるいは乾燥ガスチューブを装着した状態の断面図である。
図12】同上の接続アタッチメントをサンプリングバッグに接続して洗浄を行なう状態を示す概略図である。
図13】吸引装置を用いた実施の形態におけるサンプリングバッグ洗浄装置のシステムの一例を示す概略図である。
図14】サンプリングバッグの一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ斜視図である。
図15】従来例でのガスの流れを説明するものであり、(a)(b)はそれぞれ斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0040】
図2は接続アタッチメント3の一例を示すものであり、フッ素系樹脂などで図2(a)のように全体として円柱状に形成してある。接続アタッチメント3の一方の端部は、図2(b)に示すように、一方の端面のみで開口する空洞部7aを内周に設けた円筒状の筒状接続部7として形成してあり、またこの筒状接続部7の先端部は径の小さい接続用フランジ15として形成してある。接続用アタッチメント3の一か所に半径方向で孔が穿設してあり、この孔は筒状接続部7の内周の空洞部7aに連通していて、排気口6として接続用アタッチメント3の外周面に開口している。
【0041】
また接続アタッチメント3の筒状接続部7と反対側の端部には断面円形のチューブ挿通孔8が穿設してある。チューブ挿通孔8は図2(c)に示すように接続アタッチメント3の中央部に配置して設けてあり、チューブ挿通孔8は一方の端部が接続アタッチメント3の端面で、他方の端部が筒状接続部7の空洞部7aの端面で、それぞれ開口するように形成してある。
【0042】
図2の実施の形態では、チューブ挿通孔8は接続アタッチメント3に一対設けるようにしてあり、各チューブ挿通孔8a,8bは近接して平行に配置してある。接続アタッチメント3の端面には一対の円形のパッキン収容凹部16,16が凹設してあり、各チューブ挿通孔8a,8bはこのOリング収容凹部16,16の底面の中央で開口するようにしてある。
【0043】
加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5としては、フッ素系樹脂などで可撓性を有する円管状に成形した直径1.5〜3mm程度のものを使用することができる。ここで、上記のチューブ挿通孔8a,8bの内径は加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の直径より僅かに大きい寸法に形成されるものであり、また上記の筒状接続部7の空洞部7aの内径は加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5の直径を合わせたよりも大きい寸法に形成されるものである。
【0044】
そして加湿ガスチューブ4をチューブ挿通孔8aに、乾燥ガスチューブ5をチューブ挿通孔8bに差し込んで挿通し、筒状接続部7内を通して導出させることによって、図3のように接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5が装着してある。加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は、チューブ挿通孔8a,8b内をスライドさせることによって、図3の矢印のようにチューブ長手方向に移動させることができるものである。このとき、弾性を有するOリング17が各Oリング収容凹部16に嵌め込んであり、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5はこのOリング17の内周に通してあって、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の外周がOリング17に弾性的に接している。従って、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をチューブ挿通孔8a,8b内に沿ってスライドさせるときには、この弾接による抵抗を受けるものであり、不用意に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5がスライド移動してしまうことを防ぐことができるものである。またこのOリング17によって加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5とチューブ挿通孔8a,8bとの間の気密性が確保されている。
【0045】
上記のように接続アタッチメント3に装着される加湿ガスチューブ4には加湿ガスが供給されるようになっており、また乾燥ガスチューブ5には乾燥ガスが供給されるようになっている。これらのガスとしては、窒素ガスのような不活性なガスを用いるのが好ましいが、大気中の空気を用いることもできる。空気の場合にはフィルターなどを通して清浄にして使用するのが望ましい。
【0046】
本発明において加湿ガスは、窒素ガスや空気などのガスに水分を補給して加湿したものであり、例えばガスを水中に通過させることによって加湿したものを用いることができる。図1の実施の形態では、加湿瓶などで形成される加湿ガス生成器19を用いて加湿ガスを調製するようにしている。加湿ガス生成器19は水20を入れて蓋21で密閉したものであり、一方の端部を接続アタッチメント3に挿通して装着した加湿ガスチューブ4の他方の端部が蓋21に挿通して取り付けてある。この加湿ガスチューブ4の端部は加湿ガス生成器19内において水20の水面よりも上方の空間に位置するようにしてある。加湿ガス生成器19には窒素ガスや空気などのガスを供給するガスチューブ22が接続してある。このガスチューブ22は蓋21に挿通して取り付けてあり、その先端部を水20の中に浸漬してある。そしてガスチューブ22を通してガスを送ると、ガスはガスチューブ22の先端から水20中を潜って加湿ガス生成器19内に供給される。このようにガスを水20中を潜らせてバブリングすることによって、水分が水蒸気としてガスに含まれることになり、湿度を高めた加湿ガスとなる。この加湿ガスは加湿ガス生成器19から加湿ガスチューブ4へと送り出される。
【0047】
また図1の実施の形態では、ガスチューブ22の途中に逆流防止瓶などで形成される逆流防止容器23を設けるようにしてある。すなわち、ガスチューブ22の途中を切断して、各切断した端部を逆流防止容器23の蓋24を通して、逆流防止容器23の中に差し込んで取り付けるようしてある。加湿ガスチューブ4を通してサンプリングバッグ1に供給される加湿ガスが加湿ガスチューブ4を逆流すると、加湿ガス生成器19内の圧力が高くなるので、加湿ガス生成器19内の水20がガスチューブ22内を逆流するおそれがある。このように水20がガスチューブ22を逆流しても水は逆流防止容器23内に流れ込んで貯まり、これ以上ガスチューブ22を逆流することを防ぐことができるものである。尚、逆流防止容器23内に活性炭などを入れておけば、ガスチューブ22を通して供給されるガス中の不純成分などを活性炭に吸着させることができ、ガスを清浄化した状態で加湿ガスチューブ4に送ることができるものである。
【0048】
ここで、ガスに水分を補給して加湿するにあたっては、上記のような加湿ガス生成器19を用いる他に、水を加熱して発生させた水蒸気を窒素ガスや空気などのガスに混合させて加湿する方法など、任意の方法を採用することができるものである。
【0049】
また、本発明において乾燥ガスは、加湿ガスよりも含有する水分が少ないものであればよく、水分を補給して加湿する前のガスをそのまま用いることができる。このとき、窒素ガスのようにガスボンベから供給されるものであればそのまま用いることができるが、大気中の空気を用いる場合、湿度が高いときには除湿して使用するのが望ましい。
【0050】
以下に、サンプリングバッグ1の洗浄の方法について説明する。サンプリングバッグ1としては図14に示すものなど、市販の任意のものを使用することができる。サンプリングバッグ1は各種の大きさのものが市販されているので、サンプリングバッグ1の大きさに合わせて、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5が接続アタッチメント3の筒状接続部7から突出する長さを調節する。上記のように加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は、チューブ挿通孔8a,8b内をスライドさせることによって、チューブ長手方向に移動させることができるので、接続アタッチメント3の筒状接続部7から加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5が突出する長さを容易に調節することができる。調節する長さは、サンプリングバッグ1の接続口2から、矩形に形成されるサンプリングバッグ1の接続口2から最も遠い角の端部までの距離にほぼ合うようにするのが望ましいが、通常は加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端がサンプリングバッグ1の中央部付近あるいはそれより奥にまで差し込まれる長さに調節すれば十分であり、つまり加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5はその先端がサンプリングバッグ1の少なくとも中央部に位置する長さで接続アタッチメント3から突出するようにすればよい。このように各種の大きさのサンプリングバッグ1において接続口2から最も遠い角の端部までの距離にほぼ合うよう長さ調節ができるように、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5はそれ自体が十分な長さを有するものを用いるものであり、使用する最も大きなサンプリングバッグ1の対角線よりも長い寸法に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を用いる必要がある。
【0051】
そしてまず、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1の円筒状の接続口2の内周を通してサンプリングバッグ1内に差し込む。このとき図4に示すように、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端がサンプリングバッグ1の端部内に位置するよう、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込んで、接続口2から最も遠い端部の角隅内に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端が位置するようにするのが望ましいが、通常は加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端がサンプリングバッグ1の中央部より奥に位置するように差し込まれていれば十分である。ここで、接続アタッチメント3から加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5が突出する長さが短いときや長過ぎるときは、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1に差し込んだ状態で、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をスライドさせて接続アタッチメント3から突出する長さを調整するようにすればよい。
【0052】
このように加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込んだ状態で、サンプリングバッグ1の接続口2に接続アタッチメント3を接続して固定する。接続口2と接続アタッチメント3の接続は、シリコンなど弾性を有する材料で円筒形に形成したジョイント筒26を用い、図1(b)のように、ジョイント筒26の両側の内周に接続口2と接続アタッチメント3の筒状接続部7の接続用フランジ15をそれぞれ差し込んで篏合することによって行なうことができる。サンプリングバッグ1の接続口2はその外径寸法がメーカー毎に若干異なるので、接続口2の外径寸法の相違を吸収しつつ、接続口2と接続アタッチメント3の筒状接続部7とを接続するために、弾性を有するジョイント筒26を用いるようにしている。
【0053】
ここで、図14(a)のように一つの接続口2を設けたサンプリングバッグ1を洗浄する場合には、接続口2に接続アタッチメント3を接続することによって、サンプリングバッグ1内を密閉することができるが、図14(b)のように複数の接続口2を設けたサンプリングバッグ1を洗浄する場合には、接続アタッチメント3を接続しない接続口2に栓をするなどして閉じることにより、サンプリングバッグ1内を密閉状態にするものである。
【0054】
次に、ガスチューブ22を通して窒素ガスや空気などのガスを送り出す。このガスは加湿ガス生成器19を通過する際に加湿され、加湿ガスとなって加湿ガスチューブ4を通して送られてサンプリングバッグ1内に供給される。加湿ガスは加湿ガスチューブ4の先端からサンプリングバッグ1内に吹き込まれるものであり、加湿ガスチューブ4の先端はサンプリングバッグ1内に深く差し込まれているので、加湿ガスはサンプリングバッグ1の接続口2から遠く離れた箇所に吹き込まれる。このようにサンプリングバッグ1内の奥深くに加湿ガスチューブ4の先端から加湿ガスが吹き込まれると、加湿ガスはサンプリングバッグ1の端部へ送られてサンプリングバッグ1の端部が膨らみ、次に接続口2の側へ向かって膨らむ部分が広がるように、加湿ガスはサンプリングバッグ1内を流れる。すなわち図4(a)に実線矢印で示すように、加湿ガスはサンプリングバッグ1の奥の端部から接続口2の方向に向かってサンプリングバッグ1内の全域を流れる。そしてサンプリングバッグ1の容量を超える量の加湿ガスが吹き込まれると、容量を超える分の加湿ガスは接続口2から接続アタッチメント3の筒状接続部7の空洞部7a内に流れ出し、接続アタッチメント3に設けた排気口6を通して排気される。
【0055】
このように、排気口6から加湿ガスを排出しながら、加湿ガスチューブ4を通して加湿ガスをサンプリングバッグ1内に吹き込み続けることによって、サンプリングバッグ1内に加湿ガスを流し続けることができるものであり、サンプリングバッグ1内に流す加湿ガスでサンプリングバッグ1内を洗浄することができるものである。ここで、加湿ガスは水分を多く含むものであり、サンプリングバッグ1から放散されるガスはこの水分に吸着され易いので、サンプリングバッグ1から放散されるガスを加湿ガスに吸着した状態で、加湿ガスと共に排気口6から排出することができる。従って、サンプリングバッグ1を洗浄するガスとして加湿ガスを用いて加湿洗浄することによって、効率良く、且つ高い効果で洗浄を行なうことができるものである。
【0056】
しかも上記のように加湿ガスチューブ4からサンプリングバッグ1の奥に向けて加湿ガスを吹き込むようにすることによって、加湿ガスは図4(a)の実線矢印のようにサンプリングバッグ1の奥から接続口2の方向に向かって流れた後、接続口2を通って排出されるものであり、既述した図15(a)の破線矢印cのように接続口2からサンプリングバッグ1に流入した加湿ガスが直ちに短絡的に接続口2から排出されるようなことはない。従って、加湿ガスはサンプリングバッグ1内の全面を流れた後に排出されるものであり、サンプリングバッグ1内に加湿ガスが充満された状態にすることができるので、加湿ガスでサンプリングバッグ1内の全面を均一に加湿洗浄することができるものである。
【0057】
上記のように加湿ガスをサンプリングバッグ1内に通して洗浄するにあたって、後述するようにサンプリングバッグ1を加熱しながら行なうのが一般的である。そして例えば容量が10Lのサンプリングバッグ1の場合、加熱温度を80℃、加湿ガスの流量を200mL/minに設定して加湿洗浄を行なうときには、加湿ガスを3〜5時間程度サンプリングバッグ1内に通すことによって加湿洗浄を完了することができる。
【0058】
上記のようにして加湿ガスでサンプリングバッグ1内を洗浄した後、加湿ガスチューブ4による加湿ガスの供給を停止し、次いで乾燥ガスチューブ5を通して乾燥ガスをサンプリングバッグ1に供給する。乾燥ガスは乾燥ガスチューブ5の先端からサンプリングバッグ1内に吹き込まれるものであり、乾燥ガスチューブ5の先端はサンプリングバッグ1の奥に差し込まれているので、乾燥ガスはサンプリングバッグ1の接続口2から遠い位置に吹き込まれる。このようにサンプリングバッグ1内に乾燥ガスチューブ5の先端から乾燥ガスが吹き込まれると、乾燥ガスはサンプリングバッグ1の端部へ送られ、図4(b)に実線矢印で示すように、サンプリングバッグ1の端部から接続口2の側へ向かって流れる。そしてサンプリングバッグ1内の加湿ガスはこの乾燥ガスの流れによって、図4(b)に鎖線矢印で示すように接続口2に向けて押され、接続口2から接続アタッチメント3の筒状接続部7を通過して、排気口6から排出される。このとき、乾燥ガスは実線矢印のようにサンプリングバッグ1の奥から接続口2の方向に向かって流れた後、接続口2を通って排出されるものであり、既述した図15(b)の破線矢印fのように接続口2からサンプリングバッグ1に流入した乾燥ガスが直ちに短絡的に接続口2から排出されるようなことはない。従って、サンプリングバッグ1内に加湿ガスが残るようなことなく、サンプリングバッグ1内から加湿ガスを乾燥ガスで追い出して完全に排出することがができるものであり、サンプリングバッグ1内を効率よく乾燥することができるものである。
【0059】
また、乾燥ガスはサンプリングバッグ1の奥に差し込まれている乾燥ガスチューブ5の先端から吹き込まれるので、サンプリングバッグ1の端部内での乾燥ガスのガス圧が高い。サンプリングバッグ1の端部内のガス圧が低いと、サンプリングバッグ1の端部での膨らみがなくなって内面同士が重なり合い、この重なって密着した部分に加湿ガスから出た結露水分が毛細管現象で浸透し、サンプリングバッグ1内を乾燥することが困難になるが、サンプリングバッグ1の端部内での乾燥ガスのガス圧を高く確保できるので、サンプリングバッグ1の内面同士が重なり合って密着することを防ぐことができ、結露水分が毛細管現象で残留するようなことを未然に防ぐことができるものである。
【0060】
上記のように乾燥ガスをサンプリングバッグ1に通してサンプリングバッグ1内を乾燥する場合も、後述するようにサンプリングバッグ1を加熱しながら行なうのが一般的である。そして例えば容量が10Lのサンプリングバッグ1の場合、加熱温度を80℃、乾燥ガスの流量を200mL/minに設定して乾燥を行なうときには、乾燥ガスを20〜40分間程度サンプリングバッグ1内に通すことによって乾燥を完了することができる。上記のようにして、加湿ガスと乾燥ガスを使用したサンプリングバッグ1の洗浄工程を終了することができるものである。
【0061】
ここで、上記の図4のように、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端がサンプリングバッグ1の端部内に位置するよう、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込んだ状態で、上記の加湿及び乾燥を行なったときの、サンプリングバッグ1内の湿度の変化を図5(a)のグラフに示す。図5(a)のグラフにみられるように、加湿の工程では当初から急激に湿度が高まっており、加湿ガスの吹き込みの開始と同時にサンプリングバッグ1内に加湿ガスが充満していることが確認され、また乾燥の工程に移ると急激に湿度が下がっており、乾燥ガスの吹き込みでサンプリングバッグ1内の加湿ガスが効率よく追い出されることが確認される。
【0062】
一方、図5(b)のグラフは、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をその先端が接続アタッチメント3から殆ど突出しない状態で接続アタッチメント3に装着するようにし、図15(a)(b)の状態が再現されるようにして、加湿及び乾燥を行なったときの、サンプリングバッグ1内の湿度の変化を示すものである。この場合には、加湿の工程で加湿ガスを吹き込んでも、サンプリングバッグ1内の湿度は僅かにしか上がらず、サンプリングバッグ1内に吹き込まれた加湿ガスはサンプリングバッグ1の奥にまで入ることなく直ちに排出されてしまうことが確認される。
【0063】
図6はサンプリングバッグ洗浄装置のシステムを示すものである。28は制御装置であり、内部にガス配管、制御弁、制御部などが組み込まれており、ガス配管にはガスボンベなどが接続できるようになっている(制御装置28内については図7を参照)。加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は制御装置28のガス配管に接続してあり、上記のように加湿ガスチューブ4を通してサンプリングバッグ1に加湿ガスを供給して行なう洗浄や、乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1に乾燥ガスを供給して行なう洗浄は、制御装置28で自動的に制御して行なうことができるようにしてある。
【0064】
またこのシステムでは、加熱装置29を用いるようにしている。加熱装置29としては一般に使用されている乾燥機をそのまま用いることができる。乾燥機の側壁には通常、配管取り入れ用の開口が設けられているので、この開口を開いて加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を通し、接続アタッチメント3を加熱装置29内に配置することができる。そして加熱装置29内において、接続アタッチメント3にサンプリングバッグ1を接続することによって、加熱装置29内で所定の温度に加熱しながら、上記の加湿ガスと乾燥ガスによるサンプリングバッグ1の洗浄を行なうことができるものである。このようにサンプリングバッグ1を加熱すると、サンプリングバッグ1からガスが放散され易くなるので、サンプリングバッグ1の洗浄の効率を高めることができるものである。
【0065】
ここで、図6の実施の形態では、加湿ガス生成器19は加熱装置29の外側に配置するようにしてあるが、後述の図7に示すように加湿ガス生成器19を加熱装置29の中に配置するようにしてもよい。このように加湿ガス生成器19を加熱装置29の中に配置すると、加湿ガス生成器19内の水20が加熱されて水蒸気が発生し、加湿ガス生成器19で生成される加湿ガス中の水分含有量を高め、高湿度の加湿ガスを生成することができ、加湿ガスによる洗浄効果を向上することができるものである。尚、図6の実施の形態では逆流防止容器23の使用を省略しているが、加湿ガス生成器19と制御装置28の間の位置に逆流防止容器23を組み込むようにしてもよいのは言うまでもない。
【0066】
図7は、図6のサンプリングバッグ洗浄装置において、複数対の加湿ガスチューブ4及び乾燥ガスチューブ5と、これに対応した複数の接続アタッチメント3を備えたシステムを示すものである。制御装置28内にガス配管として、メイン配管31と、メイン配管31から分岐した加湿ガス用配管32と乾燥ガス用配管33が設けてあり、加湿ガス用配管32と乾燥ガス用配管33にはそれぞれ加湿ガス用制御弁10と乾燥ガス用制御弁11が設けてある。加湿ガス用配管32と乾燥ガス用配管33の先部はさらに複数本ずつの分岐配管32a,33aに分岐してある。図7の実施の形態では、加湿ガス用配管32の分岐配管32aと乾燥ガス用配管33の分岐配管33aは3本ずつ設けるようにしてあるが、勿論これに限定されるものではない。メイン配管31は制御装置28の外部においてガスボンベや送風ポンプなどに接続されるものであり、開閉弁34及び圧力計35が設けてある。メイン配管31にはさらに制御弁36及び抵抗管37を介してフローバルブ38が接続してある。
【0067】
また制御装置28にはスイッチやタイマーなどを備えて形成される制御部12が設けてあり、この制御部12にはスイッチとしてスタートスイッチ41とストップスイッチ42が、またタイマーとして加湿用タイマー39と乾燥用タイマー40が設けてある(図6参照)。そして制御部12は、加湿ガス用制御弁10、乾燥ガス用制御弁11、開閉弁34、制御弁36などに電気的に接続してあり、加湿ガス用制御弁10や乾燥ガス用制御弁11を開閉制御することができるようになっている。例えば、制御部12の加湿用タイマー39を操作して加湿洗浄時間を設定することによって、加湿ガス用制御弁10をこの設定した時間開いた後に閉じるように制御することができ、また乾燥用タイマー40を操作して乾燥時間を設定することによって、乾燥ガス用制御弁11をこの設定した時間開いた後に閉じるように制御することができるようにしてある。
【0068】
加湿ガス用配管32の各分岐配管32aには抵抗管37を介してガスチューブ22が、乾燥ガス用配管33の各分岐配管33aには抵抗管37を介して乾燥ガスチューブ5がそれぞれ接続してある。各ガスチューブ22の途中には既述のように逆流防止容器23を設けてあると共に、ガスチューブ22の先端部は既述のように加湿ガス生成器19に接続してあり、加湿ガス生成器19に既述のように加湿ガスチューブ4の一端部が接続してある。そして加湿ガス用配管32の分岐配管32aにガスチューブ22を介して連結される加湿ガスチューブ4と、乾燥ガス用配管33の分岐配管33aに接続される乾燥ガスチューブ5の一本ずつを対として、既述の図3のように接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5を装着する。加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5は複数対あるので、接続アタッチメント3は複数個(図7の実施の形態では3個)設けられることになる。そして図7の実施の形態では、接続アタッチメント3と共に加湿ガス生成器19も加熱装置29内にセットされるようにしてある。
【0069】
上記のサンプリングバッグ洗浄装置でサンプリングバッグ1の洗浄を行なうにあたっては、加熱装置29内において接続アタッチメント3にサンプリングバッグ1を接続して、サンプリングバッグ1内に加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5を差し込み、サンプリングバッグ1を洗浄できるようにセットする。そして加熱装置29内が所定の一定温度で加熱されるように設定する。加熱装置29による加熱時間は、サンプリングバッグ1の洗浄が完了すると同時に停止されるように加熱装置29のタイマーで設定しておくのが望ましい。
【0070】
また制御装置28の制御部12の加湿用タイマー39と乾燥用タイマー40を操作して加湿洗浄時間と乾燥時間を入力設定する。初期状態では、メイン配管31の開閉弁34、加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10、乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11はいずれも閉じているが、スタートスイッチ41をオンにしてメイン配管31の開閉弁34を開くと、制御部12からの指令で加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10が開くと共に加湿洗浄時間のカウントが開始される。このように開閉弁34と加湿ガス用制御弁10が開くと、ガスボンベや送風ポンプなどから供給されるガスがメイン配管31から加湿ガス用配管32を通過して各分岐管32aに供給され、さらにガスチューブ22と逆流防止容器23を通過して加湿ガス生成器19に送られる。ガスは加湿ガス生成器19の水20を潜る際に加湿されて加湿ガスとなり、この加湿ガスは加湿ガスチューブ4を通してサンプリングバッグ1内に吹き込まれる。そして加湿ガスが設定された時間サンプリングバッグ1に吹き込まれることによって、既述のようにしてサンプリングバッグ1内を加湿ガスで加湿洗浄することができる。
【0071】
設定された加湿洗浄時間が経過すると、制御部12からの指令で加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10が閉じると共に乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11が開き、同時に乾燥時間のカウントが開始される。このように加湿ガス用制御弁10が閉じることによってサンプリングバッグ1への加湿ガスの供給が停止され、また乾燥ガス用制御弁11が開くことによって、加湿されていない乾燥したガスがメイン配管31から乾燥ガス用配管33を通過して各分岐管33aに供給され、さらに乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1内に吹き込まれる。乾燥ガスが設定された時間サンプリングバッグ1に吹き込まれることによって、既述のようにしてサンプリングバッグ1内を乾燥ガスで乾燥することができる。
【0072】
設定された乾燥時間が経過すると、制御部12からの指令で乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11が閉じ、サンプリングバッグ1への乾燥ガスの供給が停止される。このようにして、加湿ガス及び乾燥ガスを用いて行なうサンプリングバッグ1の洗浄の一連の工程は終了するものであり、サンプリングバッグ1への加湿ガスの供給・停止、乾燥ガスの供給・停止を自動的に行わせることができ、煩わしい操作をする必要なく、サンプリングバッグ1を自動的に洗浄することができるものである。
【0073】
ここで、自動車の内装材などは複数個のサンプルについて放散ガスの検査をすることが要求されることがあるが、図7の実施の形態では複数対の加湿ガスチューブ4及び乾燥ガスチューブ5と、複数の接続アタッチメント3を備えるので、複数のサンプリングバッグ1を並行して同時に洗浄することができる。従って、複数個のサンプルのガス検査に使用される複数のサンプリングバッグ1を同時に洗浄して、このような検査に対応することができるものである。
【0074】
上記の図7の実施の形態では加湿ガス生成器19を加熱装置29内に配置し、加熱装置29の庫内温度で加湿ガス生成器19内の水20が加熱されるようにしてある。水20を加熱すると加湿ガス生成器19で生成される加湿ガス中の水分含有量を高め、高湿度の加湿ガスを生成することができる。しかし、サンプリングバッグ1を加熱する温度と同じ温度で加湿ガス生成器19を加熱する場合には、加湿ガス生成器19を通過して生成される加湿ガスの温度はサンプリングバッグ1の温度とほぼ同じであるので、サンプリングバッグ1内に供給される加湿ガスの湿度(相対湿度)はあまり高くならない。
【0075】
そこで、加熱装置29とは別に、加湿ガス生成器19の水20を加熱する水加熱具55を具備するのが好ましい。図8は水加熱具55の一例を示すものであって、加熱容器56の内周にリング状の電気ヒータ57を取り付けて形成してあり、電気ヒータ57の内周に加湿ガス生成器19の下部を差し込んでセットすることによって、電気ヒータ57で加湿ガス生成器19内の水20を加熱することができるようにしてある。このような水加熱具55を用い、電気ヒータ57の加熱温度を調整することによって、加熱装置29によるサンプリングバッグ1の加熱温度よりも高い温度で加湿ガス生成器19を加熱することができるものである。そしてこのようにサンプリングバッグ1の加熱温度よりも高い温度で加湿ガス生成器19を加熱して加湿ガスを生成させると、加湿ガスはその温度よりも低い温度のサンプリングバッグ1に供給されるので、サンプリングバッグ1内で温度低下することになり、サンプリングバッグ1内での加湿ガスの湿度(相対湿度)はさらに高くなる。従って、湿度をより高くした加湿ガスでサンプリングバッグ1を洗浄することができるものである。水加熱具55による加湿ガス生成器19の加熱は、加熱装置29内で行なうようにしてもよく、また加熱装置29外で行なうようにしても、いずれでもよい。また水加熱具55は図8のようなものに限らないものであり、例えば加湿ガス生成器19内にヒーターを内蔵して、水20を直接加熱するように形成してもよい。
【0076】
ここで、加湿ガス生成器19の水20を、サンプリングバッグ1の加熱温度と同じ温度で加熱して加湿ガスを生成させた場合と、サンプリングバッグ1の加熱温度よりも高い温度で加熱して加湿ガスを生成させた場合において、これらの加湿ガスをサンプリングバッグ1に供給したときの、サンプリングバッグ1内の湿度(相対湿度)を測定し、結果を図9のグラフに示す。すなわち、加熱装置29の庫内温度を65℃に設定しておき、まず水加熱具55による加湿ガス生成器19の加熱温度を65℃に設定して加湿ガスを生成させ、この加湿ガスをサンプリングバッグ1に1時間流し、次いで乾燥ガスに切り替えてサンプリングバッグ1に1時間流し、これを2回繰り返した。図12のグラフはサンプリングバッグ1内の湿度(相対湿度)の変化を示すものであり、前二つの波がこのときのサンプリングバッグ1内の湿度であり、加湿ガスをサンプリングバッグ1に流している間の湿度は約45%RHであった。
【0077】
次に、加熱装置29の庫内温度を65℃に設定したまま、水加熱具55による加湿ガス生成器19の加熱温度を85℃に設定して加湿ガスを生成させ、この加湿ガスをサンプリングバッグ1に1時間流し、次いで乾燥ガスに切り替えてサンプリングバッグ1に1時間流し、これを2回繰り返した。図12のグラフの後ろ二つの波がこのときのサンプリングバッグ1内の湿度であり、加湿ガスをサンプリングバッグ1に流している間の湿度は約80%RHであった。このように、サンプリングバッグ1の加熱温度よりも高い温度で加湿ガス生成器19を加熱して加湿ガスを生成させることによって、湿度の高い加湿ガスでサンプリングバッグ1を洗浄できるものである。
【0078】
加湿ガスの湿度を高めるにあたっては、上記のように加湿ガス生成器19内の水を加熱する他に、図10に示すように、加湿ガス生成器19を複数個、直列に接続することによっても行なうことができる。すなわち、ガスチューブ22を通して送られるガスは加湿ガス生成器19の水20を潜る際に水分を含んで加湿ガスとなるが、加湿ガス生成器19を複数個直列に接続することによって、ガスは水中を複数回潜ることになり、水分を多く含んで湿度の高い加湿ガスを生成することができるものである。加湿ガス生成器19の個数は制限されるものではなく、また上記の水加熱具55を併用することによって、より湿度の高い加湿ガスを生成することができるものである。
【0079】
また上記の実施の形態では、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5を一つの接続アタッチメント3に装着し、この接続アタッチメント3をサンプリングバッグ1に接続することによってサンプリングバッグ1内を洗浄することができるようにしている。ここで、サンプリングバッグ1には内容量の小さいものから大きなものまで各種のものがあり、検査をするサンプルの大きさなどに応じて使い分けている。そして、内容量の大きいサンプリングバッグ1を洗浄する場合には、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5から加湿ガスや乾燥ガスを大きな流量で供給する必要がある。しかし上記の実施の形態のように、一つの接続アタッチメント3に一対のチューブ挿通孔8a,8bを穿設し、それぞれに加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を挿通して装着する場合には、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5として太い径のものを使用することは難しく、加湿ガスや乾燥ガスを大きな流量でサンプリングバッグ1に供給することは困難である。
【0080】
そこで図11の実施の形態では、一つの接続アタッチメント3に一本の加湿ガスチューブ4あるいは乾燥ガスチューブ5を装着するようにしている。すなわち、図11(a)のように、接続アタッチメント3の中央に一本のチューブ挿通孔8が穿設してある。チューブ挿通孔8はこのように一本であるので、既述の図2のように一対のチューブ挿通孔8a,8bを穿設する場合よりも大きな径で形成することができる。従って図11(b)に示すように、このチューブ挿通孔8に挿通して接続アタッチメント3に装着する加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5として太い径のものを使用することができるものである。
【0081】
このように図11の実施の形態では、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5をそれぞれ別の接続アタッチメント3に装着するものであるが、その他の構成は上記の実施の形態と同じである。そして、内容量の大きいサンプリングバッグ1には通常、複数個の接続口2が設けてあるので(通常は一辺の両端部に2個)、サンプリングバッグ1内を洗浄するにあたっては、図12に示すように、一方の接続口2に加湿ガスチューブ4を装着した接続アタッチメント3を接続して、サンプリングバッグ1内に加湿ガスチューブ4を差し込むと共に、他方の接続口2に乾燥ガスチューブ5を装着した接続アタッチメント3を接続して、サンプリングバッグ1内に乾燥ガスチューブ5を差し込む。このとき加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端がサンプリングバッグ1の中央部より奥に位置するよう、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込むものであり、接続口2から最も遠い端部の角隅内に加湿ガスチューブ4の先端や乾燥ガスチューブ5の先端が位置するようにするのが望ましい。ここで、サンプリングバッグ1の大きさに合わせて加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をスライドさせて接続アタッチメント3からが突出する長さを調節しておくことによって、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5をサンプリングバッグ1内に差し込んだ際に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端をサンプリングバッグ1内の奥に容易に位置させることができるものである。勿論、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の先端はサンプリングバッグ1内の端部に正確に位置している必要はなく、少なくともサンプリングバッグ1の中央部よりも奥に位置していればよい。
【0082】
そして後は上記と同様に、加湿ガスチューブ4から加湿ガスをサンプリングバッグ1内に吹き込んで、サンプリングバッグ1内を加湿洗浄した後、乾燥ガスチューブ5から乾燥ガスをサンプリングバッグ1内に吹き込んで、サンプリングバッグ1内を乾燥することによって、サンプリングバッグ1内を洗浄することができるものである。このとき、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は太い径に形成したものを用いることができるので、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5から大きな流量で加湿ガスや乾燥ガスをサンプリングバッグ1内に吹き込むことができるものであり、内容量の大きなサンプリングバッグ1であっても、長時間を要することなく、サンプリングバッグ1の洗浄を行なうことができるものである。
【0083】
ここで、上記のように乾燥ガスチューブ5から乾燥ガスを供給してサンプリングバッグ1内を乾燥することによって、サンプリングバッグ1の洗浄は終了するが、サンプリングバッグ1内には乾燥ガスが残留して膨らんだ状態にあるので、サンプリングバッグ1内から乾燥ガスを排出する必要がある。サンプリングバッグ1が小容量のものでは、サンプリングバッグ1を押えることによって乾燥ガスを接続口2から容易に追い出して排出することができるが、サンプリングバッグ1が大容量のものになると、乾燥ガスを接続口2から追い出すのに時間がかかり、乾燥ガスを完全に排出することが難しくなる。
【0084】
そこで図13の実施の形態は、乾燥ガスチューブ5から乾燥ガスを供給してサンプリングバッグ1内を乾燥した後に、乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1内の乾燥ガスを吸引排出する吸引装置13を備えるようにしたものである。制御装置28内のガス配管、制御弁、制御部などは、図7に示すものとほぼ同じであるが、メイン配管31に元栓47を設け、加湿ガス用配管32に逆流防止弁45を設け、複数本(3本)の分岐配管32aのうち一つに積算流量計46を設けるようにしてある。この積算流量計46は、加湿ガスチューブ4からサンプリングバッグ1に供給される加湿ガスの流量を積算して表示するためのものである。図13においては、複数の分岐配管32a,33aのうち、一つの分岐配管32aにガスチューブ22を、一つの分岐配管32bに乾燥ガスチューブ5を接続した状態を図示しているのみであり、他は図示を省略している。
【0085】
そして乾燥ガス用配管33に、乾燥ガス用制御弁11と分岐配管33aとの間の箇所において、排気用配管50が分岐して接続してある。この排気用配管50に吸引ポンプなどで形成される吸引装置13が接続してあり、分岐接続部と吸引装置13の間の箇所において排気用配管50に排気用制御弁51が接続してある。さらに吸引装置13と排気用制御弁51の間の箇所において排気用配管50に、排出するガスの流量を積算する積算流量計52が接続してある。これらの吸引装置13や排気用制御弁51は既述の制御部12に電気的に接続してあって、制御部12でオンオフ制御あるいは開閉制御されるようになっている。
【0086】
図13の実施の形態にあって、メイン配管31の開閉弁34が開いた状態で、加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10が「開」、乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11が「閉」、排気用配管50の排気用制御弁51が「閉」となるように開閉制御されるときには、図13(a)に矢印で示すように、加湿ガスチューブ4から加湿ガスがサンプリングバッグ1に供給される。次に、加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10が「閉」、乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11が「開」、排気用配管50の排気用制御弁51が「閉」となるように開閉制御されると、加湿ガスの供給が停止されると共に、図11(b)に矢印で示すように、乾燥ガスチューブ5から乾燥ガスがサンプリングバッグ1に供給される。
【0087】
次に、加湿ガス用配管32の加湿ガス用制御弁10が「閉」、乾燥ガス用配管33の乾燥ガス用制御弁11が「閉」、排気用配管50の排気用制御弁51が「開」となるように開閉制御されると、同時に、停止していた吸引装置13が作動を開始するようにオン制御される。従って、乾燥ガスチューブ5からサンプリングバッグ1への乾燥ガスの供給が停止されると共に、サンプリングバッグ4内に残留している乾燥ガスは、吸引装置13による吸引力で、乾燥ガスチューブ5から分岐配管32a、乾燥ガス用配管33、排気用配管50を通して、図13(c)に矢印で示すように排出される。このようにサンプリングバッグ1内の乾燥ガスを吸引して強制的に排出することができるので、サンプリングバッグ1が大容量のものであっても、乾燥ガスを短時間で完全に排出することができるものである。
【0088】
サンプリングバッグ1内の乾燥ガスが全量排出されると吸引装置13の作動は停止されるが、この停止の制御は積算流量計52から制御部12に出力される信号に応答してなされる。すなわち、サンプリングバッグ1から排出される乾燥ガスの量は排気用配管50に設けた積算流量計52によって計測されるが、乾燥ガスが排気用配管50を通過する量を積算流量計52で計測して積算し、積算量がサンプリングバッグ1の容量に達した時点で吸引装置13を停止させるように制御するものである。ここで、サンプリングバッグ1内の乾燥ガスが全量排出された後も吸引装置13が作動すると、サンプリングバッグ1内は負圧になるが、サンプリングバッグ1内は接続口2に接続した接続アタッチメント3の排気口6を通して外気と連通しているので、外気が排気口6から接続口2を通してサンプリングバッグ1内に流入し、サンプリングバッグ1内が過剰に負圧になるようなことはない。従って、サンプリングバッグ1内が過剰に負圧になって、サンプリングバッグ1が収縮して皺になるようなことはないので、積算流量計52によって計測されるガスの積算量がサンプリングバッグ1の容量よりも若干に多くなる時点で吸引装置13を停止させるように制御することによって、サンプリングバッグ1内の乾燥ガスを確実に全量排出することができるものである。
【0089】
ここで、サンプリングバッグ1への乾燥ガスの供給と、サンプリングバッグ1からの乾燥ガスの排出は、同じ乾燥ガスチューブ5を通して行なわれるが、乾燥ガスチューブ5の径(内径)が細いと、吸引装置13を作動させてサンプリングバッグ1内の乾燥ガスを吸引排出する際に、乾燥ガスチューブ5内での通気抵抗が大きく、乾燥ガスを排出するのに要する時間が長くなる。この場合、吸引装置13の吸引力を高くして対処することが考えられるが、吸引力が高くなると乾燥ガスチューブ5内が負圧になって、乾燥ガスチューブ5が収縮するおそれがあるので、吸引装置13の吸引力を高めるのには限度がある。従って、乾燥ガスチューブ5として加湿ガスチューブ4よりも径の太いものを用いて、吸引の通気抵抗が低くなるようにするのが望ましい。
【0090】
しかしこのように乾燥ガスチューブ5の径を加湿ガスチューブ4よりも太くすると、サンプリングバッグ1内を乾燥させるために乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1に乾燥ガスを供給する際の、乾燥ガスの供給量の調整が難しくなる。すなわち、制御装置28内のメイン配管31は加湿ガス用配管32と乾燥ガス用配管33の2つのラインに分岐され、加湿ガス用配管32に加湿ガスチューブ4が、乾燥ガス用配管33に乾燥ガスチューブ5がそれぞれ接続されているものであり、メイン配管31を通して圧送されるガスは、加湿ガス用配管32から加湿ガスチューブ4を通して加湿ガスとして、あるいは乾燥ガス用配管33から乾燥ガスチューブ5を通して乾燥ガスとして、サンプリングバッグ1に供給される。そして加湿ガスチューブ4を通して供給される加湿ガスの流量や、乾燥ガスチューブ5を通して供給される乾燥ガスの流量は、ガスの圧力と、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5の長さ及び径(内径)によって決まるので、加湿ガスの供給量と乾燥ガスの供給量をほぼ等しくするために、加湿ガスチューブ4と乾燥ガスチューブ5の径を同じ寸法に設定するのが普通である。ところが上記のように乾燥ガスチューブ5として加湿ガスチューブ4よりも径の太いものを用いると、乾燥ガスの供給量が加湿ガスよりも多くなってしまうことになる。
【0091】
そこで図13の実施の形態では、加湿ガスチューブ4よりも径の太い乾燥ガスチューブ5を用いるにあたって、乾燥ガスチューブ5の上流の乾燥ガス用配管33に流路抵抗を高める流路抵抗器53を設けるようにしてある。乾燥ガス用配管33に流路抵抗器53を設ける位置は、排気用配管50の分岐接続部と乾燥ガス用制御弁11の間の箇所に設定されるものである。この流路抵抗器53としては、乾燥ガス用配管33の流路抵抗を高めることができるものであれば何でもよく、例えば内径を細くした管、流路を長くするために管を渦巻状に巻いた管(例えばブルドン管)などを用いることができるが、スピードコントローラのようにニードルなどで流量調整することによって流路抵抗を任意に変えることができるものが望ましい。
【0092】
このように乾燥ガス用配管33に流路抵抗器53を設けると、図13(b)のように乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1に乾燥ガスを供給するにあたって、メイン配管31から乾燥ガス用配管33に分岐して圧送されるガスは、流路抵抗器53を通過する際に流量が規制されるので、乾燥ガスチューブ5の径が加湿ガスチューブ4よりも太く形成されていても、乾燥ガスは規制された流量で乾燥ガスチューブ5に送られて、乾燥ガスチューブ4からサンプリングバッグ1に供給される。従って、乾燥ガスチューブ5の径が加湿ガスチューブ5より太く形成されていても、乾燥ガスチューブ5を通して供給される乾燥ガスの流量を、加湿ガスチューブ4を通して供給される加湿ガスの流量と同等になるように流路抵抗器53で規制することができるものである。
【0093】
一方、吸引装置13を作動させて図13(c)のように乾燥ガスチューブ5を通してサンプリングバッグ1から乾燥ガスを吸引排気するときには、乾燥ガスチューブ5を通して吸引される乾燥ガスは流路抵抗器53の手前で排気用配管50に流入して排気される。そして乾燥ガスチューブ5の径は加湿ガスチューブ4よりも太く形成されているので、吸引の際の通気抵抗は低いものであり、サンプリングバッグ1内の乾燥ガスを乾燥ガスチューブ5にスムーズに通過させて短時間で排気することができるものである。
【0094】
尚、上記の実施の形態では、加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5は接続アタッチメント3にスライド自在に装着するようにしたが、接続アタッチメント3から突出する長さを調整する必要がない場合には、接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を固定してもよく、あるいは接続アタッチメント3に加湿ガスチューブ4や乾燥ガスチューブ5を一体に設けてもよい。また上記の実施の形態では、加熱装置29として乾燥機などを用いるようにしたが、サンプリングバッグ1を加熱することができるものであれば何でもよく、例えば開閉できる袋に電気ヒーターなどを内蔵し、袋内にサンプリングバッグ1を差し入れて加熱できるようにしたものなどを加熱装置29として用いることもできる。
【符号の説明】
【0095】
1 サンプリングバッグ
2 接続口
3 接続アタッチメント
4 加湿ガスチューブ
5 乾燥ガスチューブ
6 排気口
7 筒状接続部
8 チューブ挿通孔
10 加湿ガス用制御弁
11 乾燥ガス用制御弁
12 制御部
13 吸引装置
19 加湿ガス生成器
20 水
29 加熱装置
55 水加熱具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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