特許第6443663号(P6443663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6443663
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20181217BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H02J7/00 301A
   H01M10/46
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-222588(P2014-222588)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-92910(P2016-92910A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100195992
【弁理士】
【氏名又は名称】城臺 顕
(72)【発明者】
【氏名】嶋 敏洋
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−215922(JP,A)
【文献】 特開2005−285608(JP,A)
【文献】 特開2004−039641(JP,A)
【文献】 特開2005−129359(JP,A)
【文献】 特開2014−100033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
H01M 2/10
H01M 10/42−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気孔が形成された電池パックを複数個着脱可能で、
冷却ファンと、
該冷却ファンを収容し、該電池パックを複数個装着した際に各電池パックの該通気孔のそれぞれと対向可能に設けられた複数の通風孔と、該冷却ファンと該複数の通風孔とをつなぐ風路と、が形成されたハウジングと、
複数の通風孔を独立して開閉可能な開閉装置と、を有し、
該開閉装置は、該電池パックを該ハウジングに対してスライドして装着する際の該電池パックとの接触によって該通風孔を開放すると共に、該電池パックを該ハウジングから取り外す際の該電池パックの移動によって該通風孔を閉鎖するよう該ハウジングに対して動作するように構成したことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
該冷却ファンと該複数の通風孔とをつないで通風する複数の風路が形成され、
該冷却ファンの数は、該通風孔の数よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
該風路は、ダクトによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項4】
該電池パックの内部の温度を検出する電池温度検出手段をさらに備え、
該電池パックの内部の温度に応じて該冷却ファンの回転速度を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関し、詳しくは各種機器、工具等(以下、「電動工具」という)の電源として用いられる電池パックを充電するための充電装置に関する。
【従来の技術】
【0002】
近年,リチウムイオン電池を内蔵した各種の電池パックがコードレス電気機器の電源として用いられている。リチウムイオン電池は、電動工具のような高負荷機器の電源として使用するには好適である。
このような電池パックを充電する際、電池パックの発熱が大きくなるため、充電装置に冷却ファンを設け、効率よく電池パックを冷却する技術が提案されている(特許文献1)。この技術においては、電池パックの種別に応じた冷却を行うことが可能である。しかし、充電装置には、電池パックの充電を行う際に冷却風を電池パック内部へ送り込むための開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−117052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動工具用電池パックの充電装置の場合、粉塵が多く発生する作業所で使用されることが一般的であるため、粉塵が充電装置の開口から、電池パック及び充電装置の内部に侵入することが多かった。内部に入り込んだ粉塵は充電装置や電池パックの故障や動作不良を引き起こす原因となっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、内部への粉塵の侵入を防止した充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明は、通気孔が形成された電池パックを着脱可能で、冷却ファンと、該冷却ファンを収容し、該通気孔と対向可能に設けられた通風孔と、該冷却ファンと該通風孔とをつなぐ風路と、が形成されたハウジングと、該通風孔を開閉可能な開閉装置と、を有することを特徴とする充電装置を提供する。
【0007】
上記構成によれば、開閉装置によって通風孔を閉じることによって、ハウジング内部への粉塵等の侵入を防止することが可能である。そのため、粉塵等の多い作業現場での使用においても、充電装置の性能を維持すると共に装置の長寿命化を図ることができる。
【0008】
上記充電装置は、該電池パックを複数個同時に着脱可能で、該通風孔は複数個形成され、該冷却ファンと該通風孔とをつないで通風する複数の風路が形成され、該冷却ファンの数は、該複数の通風孔の数よりも少ないことが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、電池パックを複数個充電可能となる。さらに電池パックが装着されていない通風孔及び風路を開閉装置で閉鎖することができるため、電池パックが装着された通風孔にのみ通風を行うことが可能となる。このため、冷却ファンからの送風を装着された電池パックだけに重点的に送ることが可能となり、電池パックの冷却を効率よく行うことができる。また、複数の風路を介して各通風孔に通風するため、冷却ファンの数を通風孔の数よりも少なくすることができる。そのため、従来と比べて簡易な構成の充電装置とすることができる。
【0010】
該開閉装置は、該電池パックの装着時には該通風孔を開放し、該電池パックの非装着時には該通風孔を閉鎖することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、電池パックが装着されていない場合、通風孔を閉鎖することによってハウジング内部への粉塵等の侵入を防止することが可能である。そのため、粉塵等の多い作業現場での使用においても、充電装置の性能を維持すると共に装置の長寿命化を図ることができる。
【0012】
該風路は、ダクトによって形成されることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、風路がダクトによって形成されることにより電池パックと冷却ファンとの間の送風経路における障害物等をなくすことができる。また、ダクトを用いることによって送風が拡散することを防止できる。このため、冷却ファンからの送風を効率よく電池パックに送ることが可能となり、電池パックの冷却を効率よく行うことができる。
【0014】
上記充電装置は、該電池パック内部の温度を検出する電池温度検出手段をさらに備え、該電池パック内部の温度に応じて該冷却ファンの回転速度を制御することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、電池パックの温度に応じて電池パックの冷却を行うことが可能となる。そのため電池パックの冷却を効率よく行うことが可能となる。
本発明はさらに、通気孔が形成された電池パックを複数個着脱可能で、冷却ファンと、該冷却ファンを収容し、該電池パックを複数個装着した際に各電池パックの該通気孔のそれぞれと対向可能に設けられた複数の通風孔と、該冷却ファンと該複数の通風孔とをつなぐ風路と、が形成されたハウジングと、該複数の通風孔を独立して開閉可能な開閉装置と、を有し、該開閉装置は、該電池パックを該ハウジングに対してスライドして装着する際の該電池パックとの接触によって該通風孔を開放すると共に、該電池パックを該ハウジングから取り外す際の該電池パックの移動によって該通風孔を閉鎖するよう該ハウジングに対して動作するように構成したことを特徴とする充電装置を提供している。
上記構成において、該冷却ファンと該複数の通風孔とをつないで通風する複数の風路が形成され、該冷却ファンの数は、該通風孔の数よりも少ないことが好ましい。
また、該風路は、ダクトによって形成されることが好ましい。
また、該電池パックの内部の温度を検出する電池温度検出手段をさらに備え、該電池パックの内部の温度に応じて該冷却ファンの回転速度を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、内部への粉塵の侵入を防止した充電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態による充電装置と、充電装置が充電を行う電池パックの外観図。
図2】本発明の実施の形態による充電装置であって、電池パックを2つ装着した状態での充電装置内部を示す断面図。
図3】本発明の実施の形態による充電装置であって、電池パックを1つ装着した状態での充電装置内部を示す断面図。
図4】本発明の実施の形態による充電装置の図3のIV−IV線に沿った断面図であって、電池パックを装着する前の状態を示す図。
図5】本発明の実施の形態による充電装置の図3のIV−IV線に沿った断面図であって、電池パックを装着した状態と冷却風の流れを示す図。
図6】本発明の実施の形態による充電装置のカバーの外観図。
図7】本発明の実施の形態による充電装置のブロック図。
図8】本発明の実施の形態による充電装置に充電される電池パックの状態と、冷却ファンの動作との関係を示す表。
図9】本発明の変形例による充電装置であって、電池パックを装着する前の状態を示す断面図。
図10】本発明の実施の形態による充電装置であって、電池パックを装着した状態を示す断面図。
図11】本発明の変形例による充電装置のカバーとハウジングの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる充電装置1と、充電装置1によって充電される電池パック2とを図1から図8を参照して説明する。
【0019】
本発明の第1の実施の形態である充電装置1は図1及び図2に示すように、電池パック2を充電するための装置である。充電装置1の筐体は、電気的に絶縁性を備えた樹脂材料からなるハウジング3により構成される。
【0020】
なお、図1の矢印の示すように充電装置1の方向を定義する。すなわち、図1紙面左右方向を充電装置1の左右方向とする。また、紙面上下方向を充電装置1の上下方向とし、紙面略手前奥行方向を充電装置1の前後方向とする。
【0021】
電池パック2を図2乃至図5図7に示す。電池パック2は、図示せぬ電動工具に装着され、電力を供給可能である。また、充電装置1に着脱可能であって、電池パック2をハウジング3の上面で略前後方向にスライドさせることで、充電装置1に装着される。電池パック2は、リチウムイオン二次電池であるセル22と、過充電、過電流等の発生を監視する保護IC27と(図7)、電池パック2の内部の温度を検出して保護IC27に出力する電池側サーミスタ21と、全体の外殻を成し、セル22を収容する電池ケース25と、保護IC27と電気的に接続され、充電装置1への装着時には充電装置1や電動工具との電気的な接続を行う電池端子部26(図7)とを有する。電池端子部26は、セル22と電気的に接続し充電電流を流す充電端子部26A、26Bと、保護IC27と電気的に接続するIC端子部26Cとを有する。また、電池ケース25には、電池パック2内部との冷却風の移動を可能とする通気孔2a、2bが形成されている。本実施の形態においては、通気孔2bは冷却風を吸入し、通気孔2aは通気孔2bから吸入した冷却風を排出する。
【0022】
ハウジング3は、その内部に制御基板5(図7)と、冷却ファン6と、ダクト12とを収容する。ハウジング3の上面右側には右通風孔3a、上面左側には左通風孔3b、下面には下面通風孔3cが形成されている。右通風孔3a及び左通風孔3bは、電池パック2をハウジング3に装着した際、通気孔2bと上下方向に対向する位置に形成されている。ハウジング3の上面には電池端子部26と接続可能な端子部7(図7)が配置されている。端子部7及び各通風孔3a、3bの上部を閉鎖するように、カバー9が、ハウジング3の上面に備えられている。
【0023】
ダクト12は、略矩形の中空断面を有し、各通風孔3a、3b、3cをつないで連通する。ダクト12は、右ダクト12Aと、左ダクト12Bと、下ダクト12Cとを有する。
【0024】
下ダクト12Cはダクト12の下部を形成し、下面通風孔3cから上方へ直線状に延びる形状を有する(図1乃至図3)。下ダクト12Cには、冷却ファン6が収容される。
【0025】
右ダクト12Aは、前後の側面視において略L字形状を有し、ダクト12の右部分を形成する。右ダクト12Aは、下ダクト12Cの上部から右方へ水平に延び、その後右通風孔3aへ向け上方に延びた形状を有する。左ダクト12Bは、前後の側面視において略L字形状を有し、ダクト12の左部分を形成する。左ダクト12Bは、下ダクト12Cの上部から左方へ水平に延び、その後左通風孔3bに向け上方へ延びた形状を有する。
【0026】
冷却ファン6は、制御基板5と電気的に接続されており、制御基板5から電力の供給を受けて稼働し、冷却風をダクト12内部及び電池ケース25内部に通過させ、電池パック2を冷却する。なお本実施の形態においては、図1等に示す通り、本実施の形態において、冷却ファン6は軸流ファンを用いるが、シロッコファン等他の種類のファンを用いてもよい。
【0027】
端子部7は、充電端子部26A、26Bと接続可能な装置側充電端子部7A、7Bとを有する。また、IC端子部26Cと接続可能な装置側IC端子部7Cを有する。
【0028】
カバー9は、ハウジング3上面に2つ配置され、各通風孔3a、3bを開閉可能に構成される。詳細には、カバー9は、図6に示すように、板状で矩形の蓋92と、軸91と、脚93とを有する。軸91は、ダクト12A、12Bの上部側面に回転可能に支持される。蓋92は、通風孔3a,3bと略同じ形状を有しており、軸91を中心に回動可能である。脚93は2本の棒状の部材であり、蓋92と略直交方向に延びた形状を有する。カバー9は図示せぬバネを備えており、軸91を中心に右側面視時計回り方向に付勢される。カバー9は、電池パック2の非装着時には、バネの付勢力によって各通風孔3a、3bを閉鎖するように配置される(図4)。カバー9は、本発明における開閉装置に相当する。
【0029】
制御基板5を図7を用いて説明する。図7には、電池パック2が2つ装着された状態での充電装置1のブロック図を示す。制御基板5は、ハウジング3内部に設置されており、端子部7と電気的に接続されている。制御基板5は、外部の交流電源ACに接続し、給電される。また、制御基板5は、充電装置1の各部品を制御する電圧変換回路4と制御回路5Aとを備える。制御基板5は、電圧変換回路4、端子部7、及び電池端子部26を介して電池パック2に電力を供給する。
【0030】
電圧変換回路4は、交流電源AC及び装着された電池パック2と電気的に接続する。電圧変換回路4は、交流電源ACから得られた電圧を適切な電圧に降圧または昇圧し、充電に適した電流を電池パック2へと出力する。
【0031】
制御回路5Aは、サーミスタ21が検出した温度情報に基づいて冷却ファン6の動作を制御し、これにより電池パック2の温度を管理する。また、制御回路5Aは、電池パック2の保護IC27を介して温度情報、電池種別情報、着脱の検出及び過充電と過電流の発生の有無に関する信号を受取り、これらの信号に基づいて電圧変換回路4を制御する。制御回路5Aは、サーミスタ21の検出した電池パック2の温度と、電池パック2の装着の有無に基づいて冷却ファン6の回転速度を制御する。制御の一例として、高温の電池パック2が充電器に接続された場合、制御回路5Aは、電圧変換回路4を制御して充電電流の出力を停止することで高温待機状態とすると共に、冷却ファン6を回転させて電池パック2を迅速に冷却する。冷却ファン6の動作詳細は後述する。
【0032】
図8には、冷却ファン6の制御を説明する表を示す。図8の行方向には充電装置1の右側に装着される電池パック2の状態を示し、列方向には充電装置1の左側に装着される電池パック2の状態を示す。これらの状態に個々対応して、図8の如く冷却ファン6の回転の強弱が決定される。
【0033】
なお、図8における電池パック2の高温及び低温とは、あらかじめ定めた閾値と比較することによって決定される。例えば、摂氏40度以上であれば高温、摂氏40度未満であれば低温という方法で、電池パック2の高温及び低温を定義する。
【0034】
すなわち、電池パック2が2つ装着され、2つの電池パック2が高温、高温待機状態または充電中である場合、制御回路5Aは、冷却ファン6の回転速度を高くし(強回転)、電池パック2の冷却が早く行われるようにする。また、電池パック2が1つ装着され、高温、高温待機状態または充電中である場合、制御回路5Aは冷却ファン6の回転速度を低くし(弱回転)、1つの電池パック2を冷却するのに適量の冷却風を電池パック2へ送出する。このように、充電パック2の装着数、状態に応じて冷却風の量を制御することによって、効率よく電池パック2を冷却する。
【0035】
冷却時の充電装置1の動作について説明する。電池パック2を充電装置1に装着する時には、電池パック2が脚93の後面を押圧することによりカバー9がバネの付勢力に抗して回動し、右通風孔3aまたは左通風孔3bを開放する位置に移動する(図3図5)。このとき、電池端子部26と端子部7とが互いに接触することにより電気的に接続する(図7)。さらに、右通風孔3aと通気孔2bとが上下方向に対向し、ダクト12と電池ケース25内部が連通することにより、下ダクト12Cから電池パック2内部へ至る風路を形成する。
【0036】
図5には、電池パック2が充電装置左側に装着された場合の冷却風の通過する様子を矢印として示している。電池パック2を装着した状態で冷却ファン6が稼働すると、冷却風は、下面通風孔3cから吸気され、下ダクト12C、冷却ファン6、左ダクト12Bを通り、左通風孔3bと通気孔2bを介して電池パック2内部へと送り込まれる。冷却風は、電池パック2内部において、セル22等の部品周囲を通過して電池パック2を冷却し、その後通気孔2aから排出される。
【0037】
このとき、電池パック2が装着されていない右通風孔3aは、カバー9によって閉鎖されている(図3)。そのため、冷却風は、装着された電池パック2へ無駄なく送出される。
【0038】
図2のように電池パック2が左右両側に装着された場合、左右の通風孔3a、3bが開放される。そのため、いずれの電池パック2にも連通する風路が形成され、冷却ファン6から送出された冷却風は、左右双方の電池パック2を同時に冷却することが可能である。
【0039】
上述のように、本発明によれば、カバー9によって左右の通風孔3a、3bを閉じることによって、ハウジング3内部への粉塵等の侵入を防止することが可能である。そのため、粉塵等の多い作業現場での使用においても、充電装置1の性能を維持すると共に装置の長寿命化を図ることができる。
【0040】
さらに、本発明では、電池パック2を複数個充電可能で、電池パック2が装着されていない通風孔3a、3b及びダクト12をカバー9で閉鎖することができるため、電池パック2が装着された通風孔3a、3bにのみ通風を行うことが可能となる。このため、冷却ファン6からの送風を装着された電池パック2に集中して送ることが可能となり、電池パック2の冷却を効率よく行うことができる。また、左右のダクト12A、12Bを介して各通風孔3a、3bに通風するため、冷却ファン6の数を通風孔3a、3bの数よりも少なくすることができる。そのため、従来と比べて簡易な構成の充電装置1とすることができる。
【0041】
本発明では、電池パック2が装着されていない場合、左右の通風孔3a、3bを閉鎖することによってハウジング3内部への粉塵等の侵入を防止することが可能である。そのため、粉塵等の多い作業現場での使用においても、充電装置1の性能を維持すると共に装置の長寿命化を図ることができる。
【0042】
本発明では、風路がダクト12によって形成されることにより電池パック2と冷却ファン6との間の送風経路における障害物等をなくすことができる。また、ダクト12を用いることによって送風が拡散することを防止できる。このため、冷却ファン6からの送風を効率よく電池パック2に送ることが可能となり、電池パック2の冷却を効率よく行うことができる。
【0043】
本発明では制御回路5が、電池パック2の温度に応じて電池パック2の冷却を行う。そのため電池パック2の冷却を効率よく行うことが可能となる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。本実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
本実施の形態においては、冷却ファン6は、下面通風孔3cから吸気を行うように動作を行った。しかし本発明はこの形態に限定されるものではない。冷却ファン6は、電池パック2を介して左右の通風孔3a、3bから吸気し、下面通風孔3cから排気するように動作してもよい。この場合においても、充電装置1は、電池パック2の装着状態及び温度に基づいて効率よく電池パック2の冷却を行うことが可能である。
【0046】
本実施の形態において、開閉装置であるカバー9は、軸92を中心に回動することによって、電池パック2の着脱に応じた右通風孔3aの開閉を実現した。しかし、本発明はこの形態に限定されるものではない。カバー9の代わりに、後述の如くスライド型の開閉装置を設けた構成も、本発明の範囲内である。
<変形例>
【0047】
以下に本発明の変形例にかかる充電装置101を図9から図11を用いて説明する。本実施の形態においては、開閉装置の一例としてカバー9を用いたが、本変形例においては、カバー9の代わりにカバー109とバネ110を用いる。なお、本変形例において、カバー109とバネ110以外の部材は、本実施の形態と同様である。これらの部材には、本実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
カバー109は、図11に示すように板状の部材であり、側面視略直角の折れ曲がり形状を有する。また、図9に示すように、カバー109はバネ110を備えており、カバー109の前下端部は、バネ110を介してハウジング3の上面に接続される。詳細には、カバー109の前下端部はバネ110の後端部に係止されており、バネ110の前端部はハウジング3の内部に係止されている。また、バネ110はカバー109を後方へ付勢する。
【0049】
カバー109は、図11に示すように突起部109Aをさらに備えている。突起部109は、カバー109の下部から側方へ突出し、前後方向に延びる板状の部材であり、カバー109よりも肉薄な形状を有している。突起部109はハウジング3に摺動可能に嵌合し、このことによりカバー109をハウジング3に対して前後方向にスライド可能としている。
【0050】
電池パック2の非装着時には、右通風孔3aまたは左通風孔3bはカバー109によって閉鎖される(図9)。
【0051】
電池パック2の装着時には、電池パック2がカバー109を押圧することによりカバー109がハウジング3の上面をバネ110の付勢力に抗して略前後方向にスライドし、右通風孔3aまたは左通風孔3bを開放する位置に移動する(図10)。このとき、電池端子部26と端子部7とが互いに接触することにより電気的に接続する。さらに右通風孔3aまたは左通風孔3bと通気孔2bとが上下方向に対向し、電池ケース25内部からダクト12へと至る風路を形成する。なお、バネ110をカバー109の後側に設け、カバー109を引っ張る向きにバネ付勢するように構成してもよい。
【0052】
このような構成によって電池パック2非装着時における充電装置内部への粉塵の侵入を防止するとともに、電池パック2の装着の有無および内部の温度に応じて高温となった部位及び部品を効率よく冷却することのできる充電装置101を提供できる。
【0053】
さらなる変形例として、カバー109およびバネ110の代わりに、右通風孔3aまたは左通風孔3bを覆い得る部材とその部材の移動を行うモータとを組み合わせた開閉装置とすることもできる。この場合、制御基板5がサーミスタ21の温度に応じて開閉装置を制御することによって、左右の通風孔3a、3bの開閉を制御する。このような構成によっても、電池パック2の装着の有無および内部の温度に応じて、高温となった部位及び部品を効率よく冷却することのできる充電装置とすることができる。
【0054】
本実施の形態及び変形例においては、電池パック2を2つ装着可能な充電装置1、101を提示したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。通風孔、開閉装置、端子部7等を必要個数分ハウジング3上に配置し、冷却ファン6と各通風孔をダクト12でつなげる構成とすることによって、電池パック2を1個若しくは3個以上装着可能な充電装置1とすることも可能である。この構成では、電池パック2を装着しない通風孔を開閉装置で閉鎖する構成とし、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。あるいは、装着状態で内部が高温となった電池パック2に対してのみ、開閉装置を用いて通風孔を開放する構成とし、変形例と同様の効果を得ることができる。
【0055】
本実施の形態においては、ダクト12を用いて各通風孔3a、3b、3cをつなげる構成としたが、本発明はこの形態に限定されない。ダクト12を用いずに冷却ファン6を下面通風孔3cの近傍に設け、冷却風を吸入または排出するという構成も本発明の範囲内である。このような構成によっても、ハウジング3内部全体に冷却風を通過させ、左右の通風孔3a、3bを介して冷却風を装着された電池パック2内部にも通過させることが可能である。したがって、この構成においても、本実施の形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。さらにこの構成では、ハウジング3内部に冷却風が通過するため、ハウジング3に収容される制御基板5及び制御基板5を構成する素子、回路の冷却が可能となる。
【0056】
本実施の形態及び変形例においては、高温、低温の定義にかかる閾値を、摂氏40度とした。しかし、本発明はこの形態に限定されるものではない。電池パック2及び充電装置1、101を構成する部品の性質を鑑みて、高温及び低温の定義は適宜変更され得る。
【0057】
本実施の形態及び変形例においては、セル22はリチウムイオン電池としたが、本発明はこの形態に限定されるものではない。本発明のセルは、リチウムイオン電池セル、ニッケル水素電池セル、リチウムイオンポリマー電池セル、ニッケルカドミウム電池セル等を含む。
【符号の説明】
【0058】
1 充電装置
2 電池パック
3 ハウジング
5 制御基板
6 冷却ファン
7 端子部
8 ダクト
9 カバー
110 バネ
21 サーミスタ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11